ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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超お久にございます。遅れて申し訳ありません!!
いろいろと忙しく、更新が長引いてしまいました……
この後はきっちり、運行再開イタシマス!!!


第37話EX②〜水蜘蛛と忍〜

静かな川。水面を滑らかに、軽やかに滑る。

 

「大分、動きには慣れてきたようでござるな。」

 

私、水瀬 リコは、パートナーの土条寺 知哉と一緒に、山の麓の川でトレーニングをしていた。

 

「では……用意はいいでござるか?」

 

知哉は手裏剣を取り出す。

 

「うん……‼︎」

 

私は銃を取り出す。

 

「では……っ‼︎」

 

知哉は手裏剣を放つ。

私は水面を滑り、手裏剣を銃弾で弾く。

 

私はモデル・ストライダー………水蜘蛛の能力のイニシエーターなのだ。水面を滑るように移動、地上でも跳び跳ねるように動く事が出来る。

 

全ての手裏剣を弾いた。私は銃を降ろす。

 

「うむ、見事にござる。」

 

「えへへ〜。」

 

私たちは毎日、このようなトレーニングをしています。

 

 

 

「ただいま帰りましたー。」

 

私と知哉はトレーニングを終え、事務所に戻ってきた。

 

「あ、おかえりリコちゃん、知哉さん。」

 

実緒お姉ちゃん達は……大掃除中だった。

 

「あれー?真ー、お姉ちゃんとこへの領収書ってどのファイルにしまってあったけ?」

 

「確か、緑のファイルじゃなかったかー?うわ、この非常食のパン、賞味期限今日じゃねーか!」

 

真さんは倉庫の、心音さんは本棚、実緒お姉ちゃんはデスク周辺の資料の整理をしていた。

 

「大変でござるな……民警も。……ところで、シグマ殿は?」

 

「あぁ、あいつならさっき買い出しに行ってもらってるよ。水とアイス。」

 

真さんは非常食を次々と倉庫から出していく。

 

「おい実緒!!この非常食、一体どうしたんだ!?」

 

「あぁ、確かそれ信也さんが安いからって一杯買ったやつですね……。」

 

「今日の昼と夜は、それの処分だね……ま、私の料理お休みデーってことで……あ、もしかしてダーリン悲しい?」

 

「誰がダーリンだ。」

 

これは……一日かかるな……。

 

「あ、実緒ちゃん知哉さん。申し訳ないんだけど、今日のパトロール、2人で行ってきて!片付けは私たちで大丈夫だから!」

 

「え?そんな、いいんですか?」

 

「明日にこれが縺れ込むのも面倒だし、だからってガストレアも放っておけねーからな……これ、今日の昼飯な。」

 

真さんは私に缶パンを2つ投げ渡した。

 

「承知致した。行こう、リコ殿。」

 

「う、うん。じゃ、皆さんお気をつけて……」

 

私たちは事務所を出た。

 

 

 

 

 

「うー……暑いなぁ……。」

 

市街地を回り、公園のベンチに座る。

 

「夏でござるな。リコ殿、はい。」

 

知哉が氷のたっぷり入ったオレンジジュースを手渡した。私はそれを足下に置き、真さんから貰った缶パンを開けた。

 

「はい、知哉。」

 

中身を手渡す。

 

「む、ありがたく。………おお、中々美味しいものでござるな。」

 

「どれどれ………あ、ホントだ、美味しい。」

 

缶パンって思ってたより美味しいな。私はジュースを飲む。

すると、足下にサッカーボールが転がってきた。

 

「すいませーん!」

 

子供が手を振る。私は彼らの方にボールを転がしてやった。

 

「ありがとうございまーす!」

 

子供達は駆けていった。

 

「やはり、微笑ましいでござるな。拙者はこのような美しい者を壊そうとしていたのか……なんと卑劣な。」

 

拳を固める知哉。私はその手に触れた。

 

「でも、思いとどめたから、いいんじゃないかな?」

 

「リコ殿……。」

 

知哉は微笑む。

 

「よし、じゃあもうちょっと回ろ!」

 

「心得た!!」

 

 

 

 

 

「蓮太郎!あの雲、ウサギみたいだぞ!!」

 

「おお、ホントだな。」

 

河川敷付近を歩いていたのは、里見 蓮太郎さんと、藍原 延珠ちゃんだった。偶然見かけた私は、彼らに駆け寄った。

 

「延珠ちゃん!」

 

「おお!リコではないか!」

 

「お久しぶり!蓮太郎さんも!」

 

「元気みたいだな。」

 

知哉がようやく着いた。

 

「リコ殿……この者達は?」

 

「天童民間警備会社のペア、里見 蓮太郎さんと、藍原 延珠ちゃんです!」

 

「そうかおぬしらが……拙者、新しく明崎民間警備会社のプロモーターとなった、土条寺 知哉と申す。以後、お見知り置きを。」

 

「あんたが彼女のプロモーターか。あんたも元ミュータントだってな。」

 

蓮太郎さんが知哉に歩み寄る。

 

「うむ。リコ殿のおかげで、脚を洗う事が出来たがな。」

 

「なるほどな。それで、今はパトロール中か?」

 

「うむ、そろそろ戻ろうかとしていた所でござる……」

 

「キャアアアアアアッ!!」

 

遠くから悲鳴が。私たちはその方へ駆け出した。角を曲がったそこに……

 

「キエエエエエエエエ!!」

 

ガストレアがいた。蜘蛛のタイプか。私は腰のハンドガンを構える。知哉は刀を逆手に持つ。

 

「はっ!」

 

私は跳ね、銃を撃ち込む。被弾するも、ガストレアは怯まず、爪をこちらに振るう。

 

「させん!!」

 

知哉は刀を振るい、脚を斬り落とした。

 

さらにそこへ…

 

「でやああああああっ!!」

 

延珠ちゃんがガストレアを蹴り上げ、川へと放り込まれる。私は川へジャンプ。水面に立ち、滑るように移動しながら、ガストレアに弾丸を撃ち込む。ガストレアは疲弊し、動かなくなった。

 

「でやっ!!」

 

そこへ知哉が一太刀。ガストレアは肉片となった。

 

「おーい、大丈夫かー?」

 

蓮太郎さんが岸から声をかける。私は、笑顔でそれに答えた。

 

 

 

 

 

その後、蓮太郎さん達と別れ、私たちは事務所に帰ってきた。

 

「終わっだぁ〜!」

 

どうやら終わったようだ。辺りは綺麗になっていた。

 

「お疲れさまでござるな。」

 

「そっちもな。ガストレアの方、サンキュ。」

 

「よし、じゃあ、非常食一掃しますか。」

 

「私がお湯を注いで参ります。」

 

シグマがお湯を湧かし始める。

 

「ふふ……」

 

「?いかがした、リコ殿」

 

「いや、やっぱり、落ち着くなぁって、さ。」

 

ここが私の居場所。帰る場所。

 

これからも、私はここにいたい。

 

「あ、シグマ、私も手伝う!!」

 

この幸せを、護りたい。

 




次回は、モノリス崩壊時の時間軸のお話です。
蓮太郎達がアルデバランたちと戦っているその頃、真達は……といったお話です。

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