ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
「はあああっ‼︎」
デルタの剣が空を斬る。心音はそれを身を低くして躱し、逆手刀を振るう。
「てやぁあっ‼︎」
剣で受け止めるデルタ。援護と言わんばかりに、俺はマシンガンを放つ。
「くっ‼︎」
デルタは距離を置き、弾丸を躱す。そこへ紅音が追い打ちにと、トンファーで裏拳を叩き込む。
「さぁああいっ‼︎」
「かはっ⁉︎」
デルタは吹っ飛び、地面に叩きつけられる。が、すぐに起き上がる。
「まだまだ……っ‼︎」
デルタはもうフラフラだった。こちらの勝ちは決まったものだ。
「まだやるのか?」
俺は銃を下ろした。
「当たり前……でしょ………っ。」
デルタはまた倒れ、気を失った。紅音の裏拳が効いたのだろう。
「こいつはもういいわね……」
「行きましょ。」
俺たちは階段を駆け上がった。
「あたしはまだ……っ‼︎」
デルタは剣を杖にして立ち上がろうとする。
「戦える……もん……っ‼︎」
そこへ……デルタを踏みつける男が現れた。
「っ⁉︎」
「おいおい……諦めが悪りぃなぁ……ん?」
「ラムダ……っ‼︎」
デルタを踏みつける男……ラムダは、その手に剣を握っている。
「ザコは引っ込んで……だろ?だったら……お前も消えないとな?んん?」
「ま、待って、ラムダっ‼︎ ヤダっ‼︎ 死にたくないよっ‼︎」
「んあぁ……っ。タマラねぇ声で泣くじゃねぇか……もっと聞かせろよぉっ‼︎」
ラムダは……デルタの右足を斬り落とした。
「っ‼︎ キャアアアアアッ‼︎‼︎」
「ヒャッハッハッハッハー‼︎もっとだぁ…もっと泣けよぉっ‼︎えぇっ⁉︎」
ラムダはそのあと、デルタの四肢を斬り落とした後、首を斬り落とし、それを肉片に変えた……。
「さぁてと? オミクロンから分捕ったコイツの出番だなぁ……‼︎」
その手に握っていたのは……ガス爆弾。地下のイニシエーターを殺すために、オミクロンが作ったものだ。
「ヒヒッ……世界なんてどーでもいい……俺が聞きてぇのは……悲鳴だ。」
ラムダは返り血を浴びたその身で、ゆっくりと歩き出した。
その頃の研究室。そこの壁には……
「……………」
血みどろのオミクロンが磔になっていた……。
「地上か……」
エレベーターは地上までのようだ。私…川野 実緒はシグマと共に行動していた。
「シグマ。ここの最上階に、ボスがいるの?」
「はい、間違いないでしょう。今のところ、セキュリティは働いていません。エレベーターは使えませんので、階段で駆け上がっていくしかないですね。」
「わかった。」
私たちは階段へ駆け出す。
その時だった。
…カツーン…カツーン……
足音が響く。私たちは脚を止める。
階段を降りてくるその人物……姿が現れる。
「おやおやぁ?何でイニシエーターが脱走してんのかなぁ? おいシグマぁ…?まさか……てめぇ…」
「ラムダ様………その返り血は?」
「へっ……ザコを消しただけさ。」
私はランスを構える。その隣でシグマも鎌を構えた。
「なんだよ、歯向かうのか?俺に?」
「……今の私はあなた達の考えに賛同できません。私のデータには、犠牲を払ってまで掴んだ平和は、本当の平和ではない……という考えを真として認識しております。よって、オメガ様の考えは偽と認識いたします。」
「この…シリコン女がぁっ‼︎」
その男…ラムダは駆け出し、剣をシグマに振るう。シグマは剣を鎌で受け止める。
「この……っ‼︎」
「戦闘能力はあなたより上です。」
鎌で剣を弾き、蹴りを入れるシグマ。
「ぐおおおっ‼︎」
吹っ飛ぶが、体制を立て直すラムダ。
「ぐっ……らぁああっ‼︎」
再び駆け出すラムダ。私はシグマの前に立つ。ラムダが剣を振り下ろす。私はランスで受け止める。
「この……ガキがっ‼︎」
剣に入る力が強くなる。私は弾き、ランスをラムダに叩きつける。
「てやっ‼︎」
「うおおおおっ‼︎」
ラムダが吹っ飛ぶ。起き上がり、剣を構える。
「何故だ……俺がっ⁉︎ イニシエーター如きにっ⁉︎」
「言ったはずです。戦闘能力はあなたより上なのですよ?」
「この……っ‼︎」
ラムダは自分の腕に注射器を突き刺した。
「⁉︎ シグマ…あれは⁉︎」
「ミュータント用の強化剤です。投与してから5分間は身体能力が向上しますが、その時間内に外傷や衝撃を与えられると、使用者の身体が崩壊します。」
「なるほど……諸刃の剣…ってやつね。」
「うおらぁっ‼︎」
剣を振り下ろすラムダ。私とシグマは躱す。そして、2人息を合わせ……
「はあああっ‼︎」
「‼︎」
ラムダの身体を斬りつけた。ラムダは吹っ飛び、壁に叩きつけられる。
「ぐおおおおおっ‼︎‼︎」
私はラムダに歩み寄る。皮膚がボロボロになっていく。
「何故だ……俺が…この、俺が………っ‼︎」
「あなたは強くありません。あなたは、自分より弱き者だけを相手にし、それを倒していた……。」
シグマがゆっくりと歩み寄る。
「あなたは見栄を張っていただけです。弱者を責めることしか出来ないあなたは……強者のハズがない。」
「くそ……が……っ。」
ラムダは動かなくなった。
「行きましょう、実緒様。これ以上……理不尽に命が消えるのは…」
「分かってる……行きましょ。」
私とシグマは階段を駆け上がった。
「よし……っ‼︎」
26階に到達。待ち構えていたのは……大人びた雰囲気を醸し出す、ロングヘアの女。
「あら、予想より早かったわね。所詮はデルタちゃんってわけか。」
女は背伸びをし、あくびをする。
「あ、私はイプシロン。よろしくねっ。」
「余裕ぶっこいてるとこ悪りぃが…そんな余裕でいいのか?」
俺はマシンガンを構える。
「えぇ。だって、余裕が無くなるのはあんたらの方なんだし…フフッ。」
怪しく笑うイプシロン。右手を怪しく動かし始める。
「出番よ……ファイ?」
「なっ⁉︎」
「⁉︎」
「そんな……っ⁉︎」
物陰から出てきたのは……信也だった。頭に奇妙な装置を付けられている。デルタの言ってたことはこう言うことか……っ‼︎
「裏切り者は処刑だったんだけど、殺すのも勿体無いから実験台になってもらったの……素敵でしょ?」
「貴様……っ‼︎」
「さぁ、始めるわよ……可愛いお人形さんの舞踊会を‼︎」
ヴァン○ードのペイ○ムーンみたいなセリフになっちゃったイプシロンさん(何故伏字www)。
あと4〜5話位かな…ミュータント編は。