ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
次回からエンジンかけないとな…‼︎
よし、ファイトだ俺。
「準備は完了だ。」
信也……ファイは、カメラの前に立っていた。
「テレビ局と市街地のモニター全てをジャックできましたぜ。今すぐにでも……」
怪しげな眼鏡の白衣男が笑う。
「あぁ…………」
実緒ちゃんが意識を取り戻してから、俺たちは事務所に戻ってきた。今後どうするかを即座に話し合った。
まずは、敵の身元の調査。拠点への突入、捕獲されたイニシエーターの救出……そんなところだった。
「とりあえず、さらわれたイニシエーターのプロモーターに話を聞けば、何かわかるかもしれませんね。」
「そうね………」
心音はテレビをつけた。昼のニュースが流れていた。
『次のニュースです。昨晩………?』
…ザザザッ……ザザッ…ザッ……
映像が乱れている。
「? 故障か?」
「これ、まだ半年経ってないわよ…?」
『ちょ、ちょっと………な…………よ、こ……え……っ……』
ノイズが酷くなる。すると、いきなり画像が切り替わる。そこに映ったのは……
「⁉︎」
「し、信也さん⁉︎」
その頃、市街地では……
「? 蓮太郎。あのモニター、映像が乱れておるぞ?」
延珠が指差す。蓮太郎は見上げる。
「放送事故、か?」
段々とノイズが酷くなる。すると、画面が切り替わり、信也が映し出される。
「⁉︎ あれは……明崎さん⁉︎」
『東京エリアに住む、全ての存在に告げる。我々はミュータント……この世界の救世主だ。』
「ミュータント…⁉︎」
「真、知ってるの⁉︎」
「いや、知らん。聞いたことがない…」
『我々は耐えてきた。この時が訪れるまで、ずっと。今こそ、ガストレアを根絶やしにする時なのだ。真の平和を取り戻すためには、ガストレアを生み出すウイルス……そして、その因子となり得るものを排除すべきことから始めるべきなのだ‼︎』
「⁉︎ そ、それってまさか…⁉︎」
イニシエーターの誘拐は、そのために…⁉︎
『今ガストレアを狩っているのが、その因子を持った呪われた子供たちなのだ。しかしだ。彼らがガストレアを倒していれば、全てのガストレアが滅ぶのか⁉︎答えはNoだ‼︎ガストレアに変貌する危険性を孕んだ、そんな危険な者たちを、野放しにしておくわけにはいけない‼︎今こそ、皆様の協力が必要なのだ‼︎ただいまより、そのようなイニシエーター、呪われた子供の情報の提供を、市民の皆様にお願いしたい‼︎ 我々は約束しよう‼︎ ガストレアに脅かされることのない、真の平和を‼︎』
映像が戻った。
「なんてこった……‼︎」
「市民を味方につけるなんて…‼︎」
俺たちは驚愕した。そうする以外、出来なかった。
「見事な演説だったわよ?ファイ…?」
黒髪のロングヘアの女が、ファイに微笑む。
「……イプシロン…。」
「行くわよ、早速情報提供の嵐よ〜。」
イプシロンは、ファイに武器を投げ渡す。
「あぁ……分かっている。」
「逃げる⁉︎」
「あぁ、ここも危険だ。あいつら、民警がどこにいるか教えてくれって言ってるようなもんだろ!」
俺は急いで身支度をしていた。それに釣られ、心音と実緒ちゃんも支度を始める。
「とにかく、安全な場所を探そう‼︎民警が立ち寄る所は危険だ‼︎」
「じゃ、じゃあ、病院はアウトですか⁉︎」
「そうなるな……あと、なるべく戦闘は避けるべき、といったところか…」
心音がそこで、ひらめいた顔をした。
「じゃあ、お姉ちゃんの所にしよ‼︎ あそこ、民警の武器を作っていることは公表してないし、地味な場所にあるし‼︎」
そうか、その手がある‼︎
「決まりだな‼︎」
そして俺たちは事務所を後にし、人目を避けながら徳崎重工へと向かった。
「くっ………‼︎」
天童民間警備会社前。蓮太郎と延珠、木更とティナが、黒スーツを身に纏った三つ子の3人の男……ミュータントに囲まれていた。
「ヒャハハハ‼︎」
「大人しくしろよ‼︎」
「捕まえるんだからよ‼︎」
三つ子のミュータントは、右手に装備したクローの爪を鳴らす。
「このっ‼︎」
銃弾を放つ蓮太郎。しかし、銃弾は爪で弾かれる。
「遅いんだよぉぉおおっ‼︎」
襲いかかる男。
「はぁっ‼︎」
刀で受け止める木更。そのまま弾き飛ばす。
「ぎゃっ‼︎」
「に、兄ちゃん‼︎」
「ベータ‼︎」
弾き飛ばされた男に駆け寄るもう2人。
「お前ら……イニシエーターを捕まえてどうする気だ‼︎」
「それは捕まってのお楽しみだぜ‼︎ さっさ捕まれよぉっ‼︎」
3人がかりで襲いかかる。延珠が跳び上がる。
「お主らに……捕まるつもりはないっ‼︎」
1人の男の脳天に踵で蹴り落とす。
「ぐぉおおおおおっ‼︎」
「ガンマ‼︎」
「そこです。」
ティナがトリガーを引く。銃弾は真ん中の男の肩と右足に着弾する。
「ぐああっ⁉︎」
「に、兄ちゃん⁉︎」
「はああっ‼︎」
「うおおおおあっ‼︎」
1人に木更が刀を、蓮太郎が拳を叩き込む。
「のぶぅううううっ‼︎」
三つ子はその場に倒れた。
「何なのよ、こいつら……」
「蓮太郎‼︎これからどうするのだ⁉︎ここにいるのは危険じゃろう?」
「…とりあえず、人気の無い所でやり過ごすしかない。行こう。」
天童民間警備会社の人員も移動を開始した。
「真……心音さん………。」
「ケータイの電波で逆探知もあり得るよな……」
と、呟いてケータイの電源を切る。
俺たちは徳崎重工にいた。
「可能性としては、低くはないね。流石マコちゃん‼︎」
紅音がサムズアップする。
「その呼び方やめろ。」
「でも良かったわ〜、マコちゃんの記憶戻ってさ。私……どうしようかと思ったよ。」
「謝る必要は無いと、先に言っとくぞ。むしろ感謝するぜ。」
「……うん‼︎」
紅音は作業を再開した。
心音は今日の夕飯の支度。実緒ちゃんは窓の外で見張りをしていた。
俺はというと……パソコンの画面に向かっていた。ミュータントについて、だ。序列があれから上がったらしく、350位になったため、有る程度の情報を閲覧することが出来るようになった。データベースを閲覧する。
「ミュータント………あった、これか。」
俺はミュータントのデータをダウンロードし、開く。
「………なるほどな。」
そういうこと、か。
「……………」
ファイは檻の前にいた。檻の中には、捕まったイニシエーターが1人ずつ収監されていた。
「………。」
そこへ現れたのは……銀髪の赤い瞳を持った、無表情な少女。
「交代です。ファイ様。」
「あ、あぁ……。」
ファイはその場を後にした。
「………可哀想に。」
その少女は、どこか悲しげな顔をしていた。
銀髪の少女ですか?モブじゃないよ‼︎ホントだよ‼︎(笑)