ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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新展開です。
新たな敵が動き出しますよ‼︎


第25話〜責任と裏切り〜

「はぁ………」

 

夕方のスーパーへ、私は買い物に行っていた。カゴを持ち、食材などを放り込んでいく。

 

「なんで、あんなことになったんだろう……?」

 

昨晩。私は真にハグをし、それにより真は、私と彼の関係が『恋人同士』だと思っている。

まぁ、嬉しく無いわけじゃないけどさ……。

 

「やっぱり、ちゃんとした真に戻ってから……はぅう〜。」

 

ダメだダメだ………ダメだぞ私。完璧に妄想の方に走ってしまっている。

 

「………心音?」

 

後ろから声。その主は……

 

「お、お姉ちゃん?」

 

私の姉、徳崎 紅音だった。

 

「にーはお〜。買い物?」

 

「う、うん。お姉ちゃんも?」

 

「今日アサリが安いってさー。ほら、今旬じゃん?だから今日の夕飯はボンゴレスパゲッティかなーってさ。」

 

「あ、奇遇。私もそのつもりだった。」

 

「おお〜、そうかそうか〜。」

 

私とお姉ちゃんは一緒に買い物をすることにした。

レジを済ませ、袋に詰めている時…

 

「心音……その、マコちゃん、大丈夫?」

 

心配そうな声で聞いてきた。お姉ちゃんには、私が真の事情を話したのだ。

 

「う、うん。身体には問題ないから。あとはいつ記憶が戻るか、かな。」

 

「そっか………ホント、ごめんね。」

 

「え?」

 

「私……職人として失格だよ。自分から、使用者の事を第一にとか言ってたくせに…私の武器のせいで、マコちゃんが………。」

 

かなり責任を感じているみたいね。無理もないかな。

 

「大丈夫だよ。お姉ちゃんは悪くないよ。」

 

「………ありがと、心音。」

 

少し表情が明るくなった。良かった。

それから私たちはスーパーの前で別れた。

 

 

 

 

「ただいま〜。」

 

「あ、おかえりなさい。」

 

真が出迎えた。よし、平常心平常心……

 

「あ、荷物運びますよ。」

 

キューン……じゃなくって………

 

「あ、ありがと。台所に運んどいてくれる?」

 

「はい。」

 

真に荷物を渡し,私は洗面台で手を洗ってからキッチンへ。

あくまでも、ノーマルに……ノーマルに、よ。

リビングでは真と実緒、リコちゃんがトランプをしていた。ババ抜きのようだ。

 

「よっし。」

 

キッチンの買い物袋の中身を冷蔵庫に入れ、アサリ、パスタ麺、ニンニクと、コンソメでいいかな。あとは、ほうれん草……うん、オッケー。

私は早速、ボンゴレスパゲッティの調理に取り掛かった。

 

 

 

 

「おいひー‼︎」

 

実緒が絶賛する。ボンゴレスパゲッティの出来は、我ながら見事な物に仕上がった。

 

「やっぱり、心音さんの料理は旨いですね。ホントに。」

 

キュン……っじゃあ、ないっ‼︎てやっ‼︎

 

「あっ、ありがとうね〜。」

 

よし、抑えたぞ。偉いぞ私。

 

「……そう言えば、心音さん。ここの社長さん、ここ最近見ませんよね?」

 

「あー……確かに。」

 

こんなに長い期間…一週間近くいないとは……今までなかったよね、こんなこと……。

 

「実緒、何か聞いてない?」

 

「それが……全く、何も。ちょくちょく連絡しているんですけど、返事がなくて。」

 

「どうしたのかな……」

 

少し、心配だった。

 

 

 

 

 

街外れの小さなバー。

信也はそこで、一人の女性と話をしていた。

 

「………まさか、あなたが戻ってくれるとは思ってなかったわ。」

 

「……烏丸 凌馬の件から、色々考えた結果…お前たちの考えを正しいと思ったよ。」

 

「嬉しいわ……大歓迎よ。」

 

「………感謝する。」

 

グラスのテキーラを口に含み、信也は怪しげに笑う。

 

「あなたの素性は?バレてないの?」

 

「当たり前だろ。俺の口の硬さ…知ってんだろ?」

 

「ふふ……まぁ、ね。」

 

女はUSBを信也に差し出す。

 

「これか。作戦のプロジェクトは。」

 

「えぇ、作戦開始よ。私たちは耐えてきた…その殻を破る時が来たのよ……‼︎」

 

「俺たちの逆襲ってかい。」

 

「全ては『オメガ』の為に。それじゃあ、よろしくね………『ファイ』。」

 

女はカウンターに万札を置いて去った。

 

「心音……実緒……お前たちには悪いが………。」

 

信也は冷たい表情のまま、バーを出た。

 

 

 

 

次の日の朝。

私、川野 実緒は明朝から出かけていた。

信也さんの自宅を訪ねるためにだ。

 

「信也さん……」

 

前から連絡してみたが、応答もない。

私は違和感を感じ、行動に移す。

信也さんは会社にいない時は、マンションの一室で生活している。

私はそのマンションのロビーのインターホンを鳴らす。

 

「………………」

 

いないのかな。もしくはまだ起きていないのか……。

 

「実緒…?」

 

背後から声。振り返る。信也さんが、黒いスーツ姿で立っていた。

 

「し、信也さん‼︎ 今までどこに⁉︎」

 

私は信也さんに駆け寄る。

 

「あぁ、少しな……古い知り合いがこちらに来ていてな。」

 

頭を掻きながら、信也さんは言った。

………嘘の仕草。私は一瞬で分かった。

こんな話し方……信也さんはしない。

 

「……何か隠してませんか?」

 

「……何?」

 

「いくら信也さんが会社に来る日は少ないとはいえ、一週間もいないのは不自然です。何か……何か隠していることがあるんじゃないんですか?」

 

信也さんは黙り込む。そして、顔を上げた。

 

「……やはり、お前に隠し事は無理だった…か‼︎」

 

信也さんはいきなり、私にスプレーを吹きかけた。

 

「っ⁉︎」

 

目が……っ‼︎催涙ガス⁉︎

私はその場に膝まづいた。そして、目が開くようになった時には……信也さんはいなくなっていた。

過去に貰った合鍵で部屋に入ったものの、武器やパソコンなどが全て持って行かれており、もぬけの殻だった。

 

「心音さんに伝えなきゃ…‼︎」

 

私は駆け出し、会社に戻った。

 

 

 

 

「社長が⁉︎」

 

実緒から話を聞いた私は驚愕した。

 

「はい。いきなり、人が変わったように……。」

 

「何があったのかしら……」

 

「分かりません。ただ、何かに関わってることは、間違いないみたいです。」

 

実緒は俯きながら話す。

 

「社長………。」

 

一体、どうしたんですか……?

 

 

 

 

薄暗い空間。そこに集まったのは……黒服を纏った、男5人と、女4人。

 

「これで、今の所の全員かしら?」

 

「あぁ、問題ない。」

 

セミロングの女の問いに、パソコンを片手に立っている男……信也が答えた。

 

「遂に我々の時代が来た。ガストレアの力を根絶やしにすべく、我々が動き出す時が……‼︎」

 

奥にいた強面の男が、両手を広げて大らかに言い放つ。

 

「民警の時代は終わり……ってとこかしら?」

 

ロングヘアの女が、爪にマニキュアを塗りながら言う。

 

「ようやく俺たちの自由が手に入るんすよね‼︎ ゾクゾクするっす‼︎」

 

見た目の幼い青年がはしゃぐ。

 

「俺たち……『ミュータント』が世界の救世主になる時が来た。全てのガストレア……そして、その因子を持つイニシエーター…呪われた子供を根絶やしにする…。」

 

信也は拳を突き上げ、言い放つ。

 

「全ては……『オメガ』のために。」

 

 




企画の当初から予定していました、信也の裏切り‼︎
明崎民間警備会社はどうなってしまうのか⁉︎
次回から新展開、本格スタートです‼︎

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