ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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少し間が空いてしまいましたが……久々?の投稿です。
一応、ガストレア・ヒューマン編は完結です。


第22話〜一瞬と記憶〜

「あのバカ……っ!!」

 

社長は拳を固める。

 

「ど、どうすんですか!?」

 

「……人命に被害が出ないよう、一般人を避難させる!!里見くん、延珠ちゃん、手を貸してくれ!!今から車で市街地に向かう!!」

 

「はい!!行くぞ延珠!!」

 

「あぁ!!」

 

「社長!私たちは!?」

 

私は訪ねた。

 

「実緒と木更を頼む!!安全な所へ!!」

 

社長達は走り去っていった。

 

「心音さん。」

 

ティナは実緒を負ぶった。

 

「少し離れた所に、小さい小屋がありました。そこに行きましょう。」

 

「う、うん!」

 

私は木更さんを負ぶって、脚を進めた。

 

「真…………!!」

 

お願い、死なないで。

私は………あなたを失いたくないの。

 

 

 

 

 

「ここがベストかな……。」

 

見上げたのは、廃ビル地帯と市街地の丁度境界線に位置する高層ビル。14階建てだ。

俺はガストレアの方を向く。恐らく……あと10分でここを通過する。

NHライフルの解除チャージ……30分チャージまで、残り8分。

 

「やってやるよ……!!」

 

俺は駆け出し、階段を上がった。

 

 

 

 

市街地はパニックになっていた。突如現れた超大型ガストレア……その姿に市民達は怯え、平常心を失っていた。

 

「落ち着いて避難しろ!!」

 

蓮太郎たちは市民を避難地まで誘導する。

ガストレアが市街地に到達するまで、残り5分。

既に大方の避難は完了していた。

 

「明崎さん!!この辺りは大丈夫です!!」

 

「分かった……!!」

 

信也はガストレアの方を向く。距離は遠いもの、その巨体ははっきりと見える。

 

「真………!!」

 

 

 

 

 

 

「これでよし。」

 

実緒の手当を済ませ、木更さんが目を覚まし、彼女に今の状況を説明した。

 

「そんなことが……不甲斐ないです。何も出来ないなんて……」

 

「大丈夫です、木更さんのせいじゃないですよ。」

 

私は彼女の肩を叩いた。

 

「徳崎さん……」

 

「……優しいんですね。」

 

ティナちゃんが私に言う。

 

「…………そう、かな。」

 

私は小屋の外を覗いた。

 

「真………。」

 

私はただ、祈るしか無かった。

真が、無事な事を。

 

 

 

 

巨大ガストレアは目と鼻の先にいる。

チャージ完了まで残り2分。

 

「キシャアアアアアアッ!!」

 

奇声を上げ、ゆっくりと進んでくる。

俺は狙いを定める。

 

「俺は……これ以上失うつもりは無い………!!」

 

グリップを握る手に力を込める。

 

「俺は………生きるために戦う…。」

 

残り1分を切った。俺は脚を踏ん張る。

 

「この身が壊れても……護りたいものがある!!」

 

ガストレアが近づいてきた。間もなくこのビルと接触する。残り30秒。

 

「…………人間は確かに愚かかもしれない……けど、愚かだからこそ、変わろうと努力するんだ……。烏丸…………お前の理想は……叶わなかったな。」

 

残り10秒。

 

 

 

 

 

「く………このままじゃ市街地に!!」

 

ガストレアが近づいていた。もうすぐ市街地に侵入される。

 

「真……!!」

 

信也は拳を固め、祈った。

 

 

 

 

「…………」

 

「心配なのでしょう?真さんの事。」

 

「え?」

 

ティナちゃんが歩み寄る。

 

「行ってください。実緒さんは私と天童社長におまかせください。」

 

「で、でも!!」

 

「大丈夫です…あとで、追いかけます…!」

 

木更さんとティナちゃんの目は、力強さを感じた。

 

「……はい!!」

 

私は駆け出した。市街地のガストレアに向かって。

 

 

 

 

『発射可』

 

「うおおおおおおおっ!!」

 

俺は引き金を引いた。

 

「っ!!?うわああああああああああっ!!」

 

俺は反動で、ビルの屋上から放り出された。

そして、そのまま飛ばされ、宙を舞い……

 

「ぐはっ………!!」

 

地面に叩き付けられた。

 

「く……っ」

 

意識が………遠のいて…………………

 

 

 

 

 

放たれた弾丸は……ガストレアの身体を貫通した。

ガストレアは叫びを上げる事無く、爆発して肉片へと化し、溶けていった。

 

 

 

「!?ガストレアが……!!」

 

延珠は目を見開く。蓮太郎が一言呟いた。

 

「天の梯子の凝縮版……その通りだな。」

 

「真……やったか。」

 

信也は微笑んだ。

 

 

 

 

「!?」

 

ガストレアがいない。という事は、真が勝ったのか。

 

「真!!」

 

私は、人民の避難した市街地を走り回った。

 

「真!?どこ!?」

 

NHライフルの反動で、飛ばされているはず。どこまで飛んだのかを予測しつつ、探す。

 

「心音さん!!」

 

遠くから、社長達が駆け寄る。

 

「皆さん!真は!?」

 

「分からん……とにかく手分けして探すぞ!!」

 

 

 

 

「何ですって!?分かったわ、そっちに向かうわ。」

 

木更は蓮太郎からの電話を切った。

 

「真くんがいないらしいわ。探しにいくわよ!!」

 

「はい。」

 

ティナは実緒を負ぶって、木更と共に小屋を出た。

 

 

 

 

「真!?いるなら返事して!!」

 

どこなの……真!!

 

「………!?」

 

交差点の真ん中。NHライフルが地面に突き刺さっていた。私はそれを引き抜く。

 

「重っ……」

 

この辺りにいるはずだ。私はライフルを肩に掛けて走る。

 

「真……きゃっ!!」

 

躓いてしまった。立ち上がろうと起き上がる。

 

「……!!」

 

いた。ガラスの破片に囲まれ、倒れていた。

私は真に駆け寄った。

 

「真!!?」

 

抱える。胸に耳を当てた。鼓動は聞こえる。

気を失っているだけのようだ。

 

「よかった…………!!」

 

私は通信で皆を呼び、真を連れて病院へ向かった。

 

 

 

 

室戸先生の所に真は寝ていた。

搬送されてから3日間。真は目を覚まさなかった。室戸先生曰く、脳にも衝撃の影響が出ているらしい。そもそも生きているだけで奇跡だと。骨折もあったようだがある程度治っているらしく、本当に身体的な異常は無いとの事だ。

私はあれからずっと、真の側にいる。

 

「……真…。」

 

ベッドで眠る真の手を握っていた。

温かさは感じる。

 

「………ん……。」

 

「!」

 

真の瞳が開いた。彼は身を起こす。

 

「真……!!よかった、目が覚めて…」

 

「………君は?」

 

…………え?

 

「君は……誰?」

 

「な、何言ってるの………?私よ!?心音!!あなたの相棒!!」

 

「相棒………?」

 

「やはりか……」

 

室戸先生が歩み寄る。

 

「恐らくと思っていたが……予想通りだったな。」

 

「予想……?」

 

「ことりあそび君は……記憶を失ってしまったようだ。」

 

私はその言葉に……肩を落とした。

窓の外は、大雨。

私がその場に崩れ落ちたと同時に……雷鳴が鳴り響いた。




ありがちな展開ですが、やってみたかったwwww
最近いろいろと心がモヤモヤします……はぁ、なんだろうなこの感覚。
とりあえず、頑張ってみますwwwww

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