ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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とんでもなく盛り上げたつもりの今回。
そろそろガストレア・ヒューマンの回もクライマックスかな。


第21話〜無茶と崩壊〜

「うおっ⁉︎」

 

地面が揺れる。

蓮太郎と延珠は地下に到着したと同時に、揺れを感じた。

 

「‼︎ 蓮太郎さん‼︎」

 

木更を負ぶったティナが、蓮太郎たちに駆け寄る。

 

「ティナ‼︎木更さん‼︎」

 

「気を失っているだけですが……とりあえず、地上へ向かいましょう‼︎」

 

「あ、あぁっ‼︎」

 

「何が起きているのだ…⁉︎」

 

「わかりませんが…ここは一旦退いた方が懸命です。」

 

蓮太郎は木更を負ぶって、地上へと戻った。

 

 

 

 

「グオオオオオオッ‼︎」

 

咆哮するタイタン。人型でありながら、血に飢えた野獣の様な叫びを上げる。

 

「この化け物っ‼︎」

 

社長は両手の銃を放つ。

しかし、タイタンには意味が無かった。弾丸は手で弾かれる。

 

「何っ⁉︎」

 

「せやぁっ‼︎」

 

実緒が飛び上がり、ランスを肩に突き刺す。だが、タイタンは二本指で実緒を摘み、そのまま壁に投げつけた。

 

「かは……っ。」

 

実緒はそのまま気を失った。

 

「実緒‼︎」

 

「このっ‼︎」

 

駆け出した心音は刀をタイタンの足元に振るう。しかし、傷つけられてもタイタンは怯むことをせず、片足を上げた。

 

「‼︎ 貰った‼︎」

 

『発射可』

 

俺は5分チャージのNHライフルを放つ。

 

「っ‼︎」

 

タイタンは吹っ飛ばされ、地面に倒れた。

重い音と共に、振動が走る。

 

「真‼︎」

 

心音は俺に駆け寄った。社長も、実緒を負ぶってこちらに来た。

 

「どうするの?」

 

「……社長、実緒の手当てをしてくれ。」

 

「⁉︎ お前……まさか‼︎」

 

その通りだ。あいつは……俺が倒す。

 

「……使いたくはなかったが…NHライフルを10分チャージを叩き込めば、勝機はある。」

 

「無茶だ‼︎ お前の身体がどうなるか知らんぞ‼︎」

 

「無茶でもなんでも、やらなきゃいけないだろ‼︎」

 

社長は俺の顔を見つめる。

 

「……お願いだ。このまま何もしなければ…皆死ぬかもしれない。」

 

「社長、私からもお願いします。」

 

タイタンが立ち上がる。こちらにゆっくりと足を進める。

 

「く………っ‼︎死ぬなよ……‼︎」

 

社長は実緒を負ぶったまま、その場を退いた。

 

「………心音。」

 

「時間稼ぎ頼む………でしょ?」

 

流石俺の相棒……分かってんじゃねぇか。

 

「ただ、無理はするな。お前を死なせるわけにはいかないからな……。」

 

「あら、心配?優しいわねっ。」

 

「うるせーよ。」

 

タイタンが近づく。俺は後ろに下がり、NHライフルにスタンドをセット。チャージを開始した。

心音も刀と銃を構え、身を低くした。

 

「はぁっ‼︎」

 

心音は駆け出し、タイタンに攻撃を仕掛けた。

それに反撃するタイタン。しかし、心音はそれを身軽に躱す。

 

「これ以上……死なせない‼︎」

 

 

 

 

「はぁ……はぁ………‼︎」

 

信也は地上に上がり、実緒を地面に寝かせた。気を失っているだけのようだ。

 

「明崎さん‼︎」

 

近くにいた蓮太郎たちも駆け寄る。

 

「皆、無事か‼︎」

 

「木更さんが気を失っているだけですが……そんなことより、真と心音さんは⁉︎」

 

「………あいつらなら、大丈夫だ。」

 

信也は拳を固め、言った。

 

 

 

 

「くっ………‼︎」

 

巨体のくせに何でこんなに素早いの⁉︎

私はかわしながら、タイタンに銃撃と斬撃で牽制する。しかし、私の行動パターンが読めるようになってきたのか、私はさっきからギリギリで躱している。

 

「はぁっ………はぁっ……‼︎」

 

息が上がってきた……そろそろ、不味いかも。

ダメだ、真のチャージが終わるまでは…‼︎

 

「っ⁉︎」

 

私は躓いてしまった。

タイタンは私に手を伸ばす。

 

「‼︎ きゃあっ⁉︎」

 

私はタイタンに握りしめられた。

 

「くっ……‼︎」

 

 

「‼︎ 心音‼︎」

 

『発射可』

 

俺はタイタンの頭に狙いを定めた。

 

「うおおおおおおっ‼︎」

 

俺は脚に力を入れて踏ん張り、トリガーを引いた。

 

「っ⁉︎ ぬわあああっ‼︎」

 

俺は吹っ飛び、壁に叩きつけられた。

 

「っ‼︎」

 

弾丸はタイタンの頭部を貫き、吹っ飛ばした。心音が離れ、そのまま地面に倒れる。

 

「きゃっ‼︎」

 

タイタンは壁に叩きつけられた。

辺りに静寂が広がる。

 

「っつつ………」

 

俺は立ち上がり、心音に駆け寄る。

 

「大丈夫、か?」

 

「うん、大丈夫………。」

 

俺たちはタイタンの方を見た。

 

「やったの………?」

 

「………多分な。」

 

安堵した……その時だった。

 

「………‼︎」

 

首の無くなったタイタンの死体の腹部が………怪しく蠢く。

 

「なっ⁉︎」

 

「そんな……まだ生きているの⁉︎」

 

蠢いていた腹が………食い破られた。

 

「キシャアアアアアアアアッ‼︎」

 

そこから出てきたのは……ガストレアだった。そのガストレアはその巨体さ故に天井を突き破った。

 

「きゃあっ‼︎」

 

天井が崩壊したことで、揺れが酷くなる。俺は心音の腕を掴んだ。

 

「上に登るぞ‼︎」

 

俺たちは地上へ向かった。

 

 

 

「な、なんだ………⁉︎」

 

突然の大きな揺れ。すると、床にヒビが。

 

「‼︎ 逃げろ‼︎」

 

信也の指示に従い、その場にいた全員は廃ビルを出た。

 

「な、何だよ今度は⁉︎」

 

廃ビルが崩壊していく。そこから出てきたのは……

 

「キシャアアアアアアアアッ‼︎」

 

「⁉︎ 馬鹿な…ガストレア⁉︎」

 

しかも、かなりの規模だ。かつて、蓮太郎と延珠が倒したステージ5…スコーピオンと同じ程の大きさ。

もはや生物の原型すらとどめていない。

 

「こいつは……‼︎」

 

 

 

「社長‼︎」

 

良かった、廃ビルから避難したみたいだ。俺と心音は社長たちに駆け寄る。実緒と木更は気を失ったままだった。

 

「真‼︎ 心音‼︎ あれは一体⁉︎」

 

「わからねぇ……ただ、タイタンは恐らくウイルスに汚染されていたんだろう。人にガストレアの力を人工的に宿す……やはり無理だったんだ。」

 

ガストレアは市街地に目を向けた。そしてゆっくりだが、その液体と固体の混合物のような身体で脚を進める。

 

「このままでは街が……‼︎」

 

「……っ‼︎」

 

俺はNHライフルのチャージを始める。

 

「⁉︎ おい、まさかそれを⁉︎」

 

「………10分チャージでタイタンの首を飛ばした…。おまけに、こいつのマックス威力は10分じゃない…。」

 

「…………‼︎ 真……まさか‼︎」

 

俺は走り出した。

 

「ま、真‼︎」

 

 

 

 

俺はガストレアを横目に走る。恐らく、こいつがここから市街地まで到達するのにかかる時間は……30分。

そして、マックス威力………そう、NHライフルにはリミッターがあった。これは恐らく、紅音の気遣い。もしもの時以外は外すな………そういうことかな。

だが……‼︎

 

「今は、そのもしもなんだよ‼︎」

 

俺はリミッターを解除した。残り時間が表示される。残り22分。

やってやるよ……‼︎俺は走る速度を上げた。

 

 




次回の話が終わると、しばらくクールダウンの期間に入るかと。
うん、このパターンで行こうかな(笑)

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