ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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ティナが可愛すぎて辛いこの数日間です。
そろそろ新しい作品も書いていこうかなんて思ってます。


第17話〜優しさと頼み〜

俺とティナは喫茶店に来た。

病院で話すのもなんだと思い、俺から提案した。

 

「真さん、コーヒーがお好きなのですか?」

 

「コーヒーってか、喫茶店が好きなんだ。理由は特に無いけどさ。」

 

俺たちは店に入り、席を確保した。

 

「先に頼んでこいよ。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

ティナはレジに向かった。

俺はケータイを見る。

ん………心音からメール?

 

『真〜‼︎私の以外の女の子と初デート、ファイトっ‼︎心から祈ってるよっ(笑)』

 

「あいつ………っ。」

 

やれやれ、そんな感情持ってすらねーよ。

あくまでも、同業者としてだ、これは。

おまけに、俺はそんな色恋沙汰に興味はない……多分。

 

「お待たせしました。」

 

ティナが戻ってきた。

 

「おう…………⁉︎」

 

俺は、ティナが片手に手にしているものに驚愕した。それは……ブラックコーヒー。

ティナはそれを飲む。その姿を口をポカンと開けて見つめる俺。

 

「? 真さん?頼まないんですか?」

 

「あっ、あぁ……」

 

俺は立ち上がり、レジに並ぶ。

どうする、どうするんだ俺。

俺より年下であろう女子がコーヒー……ミルクも砂糖も入れていない、正真正銘のブラックコーヒーを飲んでいる。

心音の前や、一人の場合はいつもカフェモカ……の、ミルク多目に砂糖プラスを飲んでいる俺。

しかし、この状況でそれを飲むことは、恥ずかしい……っ‼︎

どうする、強がってブラックか……いや、無理だ…苦過ぎるのは苦手だ。というか、無理だ。

どうする……どうするの、俺っ⁉︎

 

「カフェモカミルク多目、あとチョコパフェ。」

 

俺は敗北感に近い何かを感じた………。

 

 

結局、カフェモカミルク多目とチョコパフェという、いつものパターンだった。

俺は席に戻る。

そして、パフェのアイスを食べる。

 

「真さんって、甘党ですか?」

 

「……だったら何だよ。」

 

ティナはコーヒーを飲みながら言った。

 

「なんか……可愛いですね。」

 

「……どういうことだよ。」

 

「そのままの意味ですよ?」

 

……何故だろう、こいつには言葉という武器では勝てない気がする。

 

「ま、いいけどさ。」

 

「………真さんは、どうしてイニシエーターに?」

 

突然の質問だった。俺は答える。

 

「……昔いた孤児院が潰れて、フラフラしてたところを社長に拾われて、養成所に入って……そんな感じかな。」

 

「噂には聞いています。かつては……」

 

「『死を運ぶ鷹』……だろ?」

 

俺はバナナをフォークに刺して口に運んだ。

 

「………すみません。」

 

「謝ることはねぇよ、事実だしな。ま、今は違うと思いたいけど。」

 

「心音さんはどんな人ですか?」

 

どんな………か。

 

「………良いやつさ。俺はあいつを傷つけた。けど、あいつは俺が悪いなんてこれっぽっちも思ってなかった。そして、俺が一人で戦っているときも、あいつは俺のことを『相棒』って言ってくれた。ホントに……その通りさ。」

 

「……良い人ですね。真さん、蓮太郎さんとお話が合いそうですね。」

 

「蓮太郎………?」

 

「私のいる民警のプロモーターです。里見蓮太郎さん。彼は私を助けてくれました。そして、大切なことを教えてくれました。今の私がいるのも、蓮太郎さんのおかげです。」

 

里見…蓮太郎………か。

 

「……いつか、そいつとも話してみたいな。」

 

「良いお話が出来ると思いますよ。蓮太郎さんと真さん、どこかにている感じがしますから。」

 

「そうか………そのうち、な。」

 

その後も、他愛のない会話を続け、俺たちは喫茶店を出た。

 

 

 

天童民間警備会社の前まで、ティナを送った。

 

「わざわざありがとうございます。優しいですね。」

 

「そうでもないさ。」

 

「今日は楽しかったです。蓮太郎さんと一緒にいた時くらいに楽しかったです。」

 

「そうか、よかった。」

 

「また、機会があれば…」

 

「あぁ、その時は頼むな。」

 

「では、失礼します。今日はありがとうございました。」

 

ティナは頭を下げ、建物に入っていった。

 

「………俺も帰るか。」

 

夕焼けを見ながら、俺は帰路を辿った。

 

 

 

 

とある実験場。烏丸 凌馬は水槽を眺める。

 

「………何をしているのだ?マンティス……」

 

物陰から、マンティスと呼ばれた黒手袋の男が現れる。

 

「別に………」

 

「そうか…………よし、明日はこれとこれを町に放つとしよう……ふふふ……。」

 

「………なぁ。何故実験体を放つ必要がある?イニシエーターもプロモーターも、奴等を倒している。このままじゃ、こっちの実験体が死んでいくだけじゃないのか?」

 

その問いに、烏丸は答えた。

 

「私はただ、データを集めているだけだよ。」

 

「データ……だと?」

 

烏丸は少年に歩み寄る。

 

「イニシエーターとプロモーターの戦闘データさ。彼らのデータを取り、研究することによって彼らを翻弄するだけの力を、私のウイルスに取り入れる。そうすれば、私の研究は更に素晴らしいものに仕上がる‼︎」

 

「……………」

 

少年は振り返り、足を進める。

 

「どこへ行くのだ?」

 

「……散歩だ。」

 

少年は外に出た。

 

 

 

 

「今日の夕飯はシチューっ、ルンラランっ。」

 

私、徳崎 心音は買い出しの帰り道だった。

 

「もうそろそろ、真が帰ってきたかな?」

 

時計を見る。夕方の6時。ま、もう帰っているかな。

 

「………ん?」

 

川の岸の芝生の上に寝転がっている少年。

黒い手袋……あの子は……!

 

「確か、烏丸 凌馬のとこにいた…‼︎」

 

私は彼に歩み寄った。

少年は私に気付く。

 

「お前は……あの時の。」

 

「あ、あの時はありがとう。おかげで助かったわ。」

 

お礼を言えてなかった。私は頭を下げる。

 

「………敵の俺に頭を下げるとはな……」

 

少年は身体を起こし、私の方を向いた。

 

「でも、あなたは味方な気がする。」

 

「………根拠は?」

 

「無い、けど………えへへ…。」

 

少年は表情を変えない。

 

「……あ、まだ名前言ってなかったね………私、徳崎 心音。君は?」

 

「…………東 雫(あずま しずく)。」

 

「雫くんね、よろしく‼︎ ところで、何をしているの?」

 

「散歩だ。ここに来ると、なんか落ち着くんだ。」

 

「そっか。」

 

私は雫くんの隣に座った。

 

「………ねぇ、雫くんは、烏丸の計画をどう思っているの……?」

 

馬鹿げた質問だが、私は聞いてみた。

 

「………正直、潰れて欲しいと思ってる。」

 

「え………?」

 

私は雫くんを見つめた。

 

「烏丸の改造と洗脳で、理不尽に命が失われている。俺は無駄な殺生をしたくないし、そんな風に命が奪われるのも嫌なんだ。」

 

「雫くん………」

 

「………なぁ、頼みがある。烏丸の計画を止めてくれ。」

 

「え?」

 

雫くんは立ち上がる。そして、私の方をまっすぐ向いた。

 

「街の外れの廃ビルの地下。そこがアジトだ。やつの計画はもうすぐ最終段階に入る。明日の夕方にでも乗り込めば、計画は潰せる。」

 

「雫くん………」

 

「………頼む。」

 

雫くんは去っていった。

 

「………うん。」

 

分かったよ、止めてみせる。

これ以上命は奪わせない……あなたを悲しませないから。

 

「今日の夕飯は、作戦会議も込みかな。」

 

私は駆け足で、事務所に戻った。




え?終わるの⁉︎ そう思うかもしれませんが……
『終わらないよ、どこまでも。』
あ、後ろの平仮名は冗談です(笑)
次回からしばらくは戦闘ばっかだと思います。
原作キャラも活躍しますので、ご期待下さい‼︎

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