ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
そろそろ新しい作品も書いていこうかなんて思ってます。
俺とティナは喫茶店に来た。
病院で話すのもなんだと思い、俺から提案した。
「真さん、コーヒーがお好きなのですか?」
「コーヒーってか、喫茶店が好きなんだ。理由は特に無いけどさ。」
俺たちは店に入り、席を確保した。
「先に頼んでこいよ。」
「はい、ありがとうございます。」
ティナはレジに向かった。
俺はケータイを見る。
ん………心音からメール?
『真〜‼︎私の以外の女の子と初デート、ファイトっ‼︎心から祈ってるよっ(笑)』
「あいつ………っ。」
やれやれ、そんな感情持ってすらねーよ。
あくまでも、同業者としてだ、これは。
おまけに、俺はそんな色恋沙汰に興味はない……多分。
「お待たせしました。」
ティナが戻ってきた。
「おう…………⁉︎」
俺は、ティナが片手に手にしているものに驚愕した。それは……ブラックコーヒー。
ティナはそれを飲む。その姿を口をポカンと開けて見つめる俺。
「? 真さん?頼まないんですか?」
「あっ、あぁ……」
俺は立ち上がり、レジに並ぶ。
どうする、どうするんだ俺。
俺より年下であろう女子がコーヒー……ミルクも砂糖も入れていない、正真正銘のブラックコーヒーを飲んでいる。
心音の前や、一人の場合はいつもカフェモカ……の、ミルク多目に砂糖プラスを飲んでいる俺。
しかし、この状況でそれを飲むことは、恥ずかしい……っ‼︎
どうする、強がってブラックか……いや、無理だ…苦過ぎるのは苦手だ。というか、無理だ。
どうする……どうするの、俺っ⁉︎
「カフェモカミルク多目、あとチョコパフェ。」
俺は敗北感に近い何かを感じた………。
結局、カフェモカミルク多目とチョコパフェという、いつものパターンだった。
俺は席に戻る。
そして、パフェのアイスを食べる。
「真さんって、甘党ですか?」
「……だったら何だよ。」
ティナはコーヒーを飲みながら言った。
「なんか……可愛いですね。」
「……どういうことだよ。」
「そのままの意味ですよ?」
……何故だろう、こいつには言葉という武器では勝てない気がする。
「ま、いいけどさ。」
「………真さんは、どうしてイニシエーターに?」
突然の質問だった。俺は答える。
「……昔いた孤児院が潰れて、フラフラしてたところを社長に拾われて、養成所に入って……そんな感じかな。」
「噂には聞いています。かつては……」
「『死を運ぶ鷹』……だろ?」
俺はバナナをフォークに刺して口に運んだ。
「………すみません。」
「謝ることはねぇよ、事実だしな。ま、今は違うと思いたいけど。」
「心音さんはどんな人ですか?」
どんな………か。
「………良いやつさ。俺はあいつを傷つけた。けど、あいつは俺が悪いなんてこれっぽっちも思ってなかった。そして、俺が一人で戦っているときも、あいつは俺のことを『相棒』って言ってくれた。ホントに……その通りさ。」
「……良い人ですね。真さん、蓮太郎さんとお話が合いそうですね。」
「蓮太郎………?」
「私のいる民警のプロモーターです。里見蓮太郎さん。彼は私を助けてくれました。そして、大切なことを教えてくれました。今の私がいるのも、蓮太郎さんのおかげです。」
里見…蓮太郎………か。
「……いつか、そいつとも話してみたいな。」
「良いお話が出来ると思いますよ。蓮太郎さんと真さん、どこかにている感じがしますから。」
「そうか………そのうち、な。」
その後も、他愛のない会話を続け、俺たちは喫茶店を出た。
天童民間警備会社の前まで、ティナを送った。
「わざわざありがとうございます。優しいですね。」
「そうでもないさ。」
「今日は楽しかったです。蓮太郎さんと一緒にいた時くらいに楽しかったです。」
「そうか、よかった。」
「また、機会があれば…」
「あぁ、その時は頼むな。」
「では、失礼します。今日はありがとうございました。」
ティナは頭を下げ、建物に入っていった。
「………俺も帰るか。」
夕焼けを見ながら、俺は帰路を辿った。
とある実験場。烏丸 凌馬は水槽を眺める。
「………何をしているのだ?マンティス……」
物陰から、マンティスと呼ばれた黒手袋の男が現れる。
「別に………」
「そうか…………よし、明日はこれとこれを町に放つとしよう……ふふふ……。」
「………なぁ。何故実験体を放つ必要がある?イニシエーターもプロモーターも、奴等を倒している。このままじゃ、こっちの実験体が死んでいくだけじゃないのか?」
その問いに、烏丸は答えた。
「私はただ、データを集めているだけだよ。」
「データ……だと?」
烏丸は少年に歩み寄る。
「イニシエーターとプロモーターの戦闘データさ。彼らのデータを取り、研究することによって彼らを翻弄するだけの力を、私のウイルスに取り入れる。そうすれば、私の研究は更に素晴らしいものに仕上がる‼︎」
「……………」
少年は振り返り、足を進める。
「どこへ行くのだ?」
「……散歩だ。」
少年は外に出た。
「今日の夕飯はシチューっ、ルンラランっ。」
私、徳崎 心音は買い出しの帰り道だった。
「もうそろそろ、真が帰ってきたかな?」
時計を見る。夕方の6時。ま、もう帰っているかな。
「………ん?」
川の岸の芝生の上に寝転がっている少年。
黒い手袋……あの子は……!
「確か、烏丸 凌馬のとこにいた…‼︎」
私は彼に歩み寄った。
少年は私に気付く。
「お前は……あの時の。」
「あ、あの時はありがとう。おかげで助かったわ。」
お礼を言えてなかった。私は頭を下げる。
「………敵の俺に頭を下げるとはな……」
少年は身体を起こし、私の方を向いた。
「でも、あなたは味方な気がする。」
「………根拠は?」
「無い、けど………えへへ…。」
少年は表情を変えない。
「……あ、まだ名前言ってなかったね………私、徳崎 心音。君は?」
「…………東 雫(あずま しずく)。」
「雫くんね、よろしく‼︎ ところで、何をしているの?」
「散歩だ。ここに来ると、なんか落ち着くんだ。」
「そっか。」
私は雫くんの隣に座った。
「………ねぇ、雫くんは、烏丸の計画をどう思っているの……?」
馬鹿げた質問だが、私は聞いてみた。
「………正直、潰れて欲しいと思ってる。」
「え………?」
私は雫くんを見つめた。
「烏丸の改造と洗脳で、理不尽に命が失われている。俺は無駄な殺生をしたくないし、そんな風に命が奪われるのも嫌なんだ。」
「雫くん………」
「………なぁ、頼みがある。烏丸の計画を止めてくれ。」
「え?」
雫くんは立ち上がる。そして、私の方をまっすぐ向いた。
「街の外れの廃ビルの地下。そこがアジトだ。やつの計画はもうすぐ最終段階に入る。明日の夕方にでも乗り込めば、計画は潰せる。」
「雫くん………」
「………頼む。」
雫くんは去っていった。
「………うん。」
分かったよ、止めてみせる。
これ以上命は奪わせない……あなたを悲しませないから。
「今日の夕飯は、作戦会議も込みかな。」
私は駆け足で、事務所に戻った。
え?終わるの⁉︎ そう思うかもしれませんが……
『終わらないよ、どこまでも。』
あ、後ろの平仮名は冗談です(笑)
次回からしばらくは戦闘ばっかだと思います。
原作キャラも活躍しますので、ご期待下さい‼︎