ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
ショタコンにはたまらない描写もあり!?wwww
「真…!!」
扉の前で話だけを聞いていた私は、武器を手に扉を開けようとした。
その時だった。
「何をしている?」
後ろから声。しまった、新手!?
私は振り返り、銃を構える。
そこには……少年の姿があった。両手は黒い手袋をしている。
「……撃ちたきゃ撃てよ。」
「え………?」
「あんたが俺を殺したいなら、好きにすりゃいい。だが、俺は無駄な殺生はしない主義でな。」
この子……味方?
私は銃を降ろした。
「……あんた、何でここに?」
「追ってたの……真、ここに来た…」
「あのイニシエーターか……なるほど、まぁいい。それよりも、早く逃げた方がいいぞ。」
「え?」
その少年は……表情を変えずに言った。
「ここ、もうすぐ爆破されるから。」
「くっ!!」
実験動物は強かった。その力はガストレアのステージ3と互角……いや、それ以上か?いずれにせよ、俺は苦戦を強いられていた。
なんとか蛇の実験動物の撃破には成功したが、あと2体……狼と豹の実験動物の連携に苦しめられていた。体液は注入されていないものの、右脚と左腕から血が流れていた。爪で斬られた。
「ウウウウ………ッ!!」
「フシー……ッ!!」
なんとか攻撃を躱すのが精一杯なのが今の現状だ。
「このままじゃ…………っ!!」
「ば、爆破!?」
「烏丸はここに用は無くなった。証拠の隠滅さ。早くした方がいいぞ。」
「で、でも!!」
真が……危ない!!
「………イニシエーターを助けたいのか?」
少年が私を真っ直ぐ見た。
「え…………?」
「……あいつが戦ってる実験動物は、首をかっ切れば黙る。」
少年は手袋を外し……
「っ!!」
少し顔を歪ませ……右手をカマキリの腕のようなものに変貌させた。
「!?」
「ふん!!」
床の金網を剥がし、その下にあったパイプの表面を斬り抜いた。
「……ここから、外に出られる。奴を助けてここを出たいなら、そうした方がいい。早くしろ。あと10分で爆発するぞ。烏丸はもう避難したからな。」
少年はそう言ってその場を去ろうと振り返った。
「あ、待って!!」
少年は立ち止まる。
「……ありがとう。」
私は一言言った。
「ふん………」
少年は高くジャンプし、地上へ上がっていった。
「さて……」
私は武器を構えた。
「くそ……」
残りの弾丸も少ない。急所を狙っても動きが早く、狙いが定まらない。
「グロロロォ!!」
「シャアアッ!!」
襲いかかる実験動物。くそ……ここまでかよ……!!
……ダァン!!ダァン!!
鳴り響く銃声。実験動物は銃弾をくらい、後ずさる。俺は振り返る。
その銃弾の主は………
「……大丈夫?真。」
心音だった。
「バカ!何でここに!?」
「あんたをつけてたのよ。今度は何を隠しているのかと思ったら、こんな大変なこと隠してたなんて……」
歩み寄り、俺の頭を撫でる。
「これを、一人で解決する気だった訳?」
図星だった。
「全く、何でそんな無茶するかなぁ……心配するじゃん。」
「……逃げろ。これは…」
「あんたの問題じゃない。私たちの問題でもあるのよ。『相棒』のピンチに、背中見せて逃げられるわけないでしょ?」
「!? あい……ぼう………?」
心音は……俺に手を差し出した。
「真を死なせたりなんかさせない。ガストレアにもさせない。これからも、私はあなたを支えるから。これからも……あなたは私の『相棒』だから……ね?」
「………」
涙がこぼれ落ちた。俺は………最低だ。
俺のことをこんなにも大切に……かつて傷つけられた奴にここまで言ってくれるなんて。まだ…『相棒』と呼んでくれるなんて。こんなに、こいつは受け入れようとしてくれていたのに。俺が拒んでいただけだったのか……。
「………っ!!」
俺は心音の手を握った。そして立ち上がった。
「真……!!」
涙を拭い、ライフルを構えた。
「……行こうぜ、心音。」
心音は、それに答えた。
「うん!!!」
刀を抜き、逆手に持つ。
実験動物が吠える。
「真。さっき、ここにいた男の子から聞いたんだけど……あいつら、首を切り裂けば倒れるって。」
小声で囁く心音。
「だったら、俺が奴らを足止めする。隙が出来た所を切り裂く。それがベストだな。」
「OK。」
実験動物が様子を伺う。
「……はっ!!」
俺はライフルで足下を狙う。実験動物達が躱す。躱した所に再び放つ。
「グルルッ!」
「フシッ!」
2体共に隙が生まれた。
「今だ!!」
心音が高速で駆け出す。
「せぇぇえええええいっ!!」
そして、すれ違い様に……2体の実験動物の首を切り裂いた。
「ふう……やったね、真!!」
刀を収め、こちらに駆け寄る心音。
俺も…………あれ…?
視界が……ぼんやりと…………あ……
……バタッ!!
「真!?」
私は倒れた真を揺さぶる。
「ま、真!! しっかりして!!」
『危険です。危険です。爆発まで、1分30秒です。』
マズい!!
私は真を負ぶい、真のカバンを持って駆け出す。
そして、あの少年が作ってくれた道……パイプの中へ飛び降りる。人が2人ほど通れる広さだった。走ることも出来る。私はパイプの中を道なりに進む。
『残り、30秒。』
「はぁ…はぁ……!!」
光が見えてきた……出口だ!!
私は走る。
……ドォォォオオオン…ッ!!
「!!」
爆発の音。そして……
「きゃあぁっ!!」
後ろから爆風が吹く。私はそれに押され、外に出た。
「!!」
辺り一面の緑。下を見るとそこにあったのは……
「………………え?」
川。しかも、流れの速い。
「きゃあああああ………」
私は、真を負ぶったまま川へ真っ逆さまに落ちていった……。
「ん…………?」
気がつくとそこは……河口だった。
私は辺りを見渡す。すると……
「!」
真が……私の隣で、私に抱きついている形で眠っていた。寝息を立てている所からすると、無事のようだ。ただ、傷が酷い。私は腰のポーチから消毒液とガーゼとテープを取り出し、傷の手当をした。真はまだ目覚めない。疲れたのかな。
「真……。」
私は……真を抱きしめた。
「お帰りなさい。」
「ん……心音………すぅ……」
夢でも見てるのかな?全く、相変わらずなんだから。
私は会社に連絡し、迎えを待った。
そういえば、アニメの主題歌がもうすぐ発売ですね!!
早くFULLが聞きたいぜ!!
アニメって原作のどこまでやるのかな?
ちなみに私は4巻までは読んでます。