ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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アニメでいうところの『神回』を意識した今回です!!
ショタコンにはたまらない描写もあり!?wwww


第12話〜再起と相棒〜

「真…!!」

 

扉の前で話だけを聞いていた私は、武器を手に扉を開けようとした。

その時だった。

 

「何をしている?」

 

後ろから声。しまった、新手!?

私は振り返り、銃を構える。

そこには……少年の姿があった。両手は黒い手袋をしている。

 

「……撃ちたきゃ撃てよ。」

 

「え………?」

 

「あんたが俺を殺したいなら、好きにすりゃいい。だが、俺は無駄な殺生はしない主義でな。」

 

この子……味方?

私は銃を降ろした。

 

「……あんた、何でここに?」

 

「追ってたの……真、ここに来た…」

 

「あのイニシエーターか……なるほど、まぁいい。それよりも、早く逃げた方がいいぞ。」

 

「え?」

 

その少年は……表情を変えずに言った。

 

「ここ、もうすぐ爆破されるから。」

 

 

 

「くっ!!」

 

実験動物は強かった。その力はガストレアのステージ3と互角……いや、それ以上か?いずれにせよ、俺は苦戦を強いられていた。

なんとか蛇の実験動物の撃破には成功したが、あと2体……狼と豹の実験動物の連携に苦しめられていた。体液は注入されていないものの、右脚と左腕から血が流れていた。爪で斬られた。

 

「ウウウウ………ッ!!」

 

「フシー……ッ!!」

 

なんとか攻撃を躱すのが精一杯なのが今の現状だ。

 

「このままじゃ…………っ!!」

 

 

 

「ば、爆破!?」

 

「烏丸はここに用は無くなった。証拠の隠滅さ。早くした方がいいぞ。」

 

「で、でも!!」

 

真が……危ない!!

 

「………イニシエーターを助けたいのか?」

 

少年が私を真っ直ぐ見た。

 

「え…………?」

 

「……あいつが戦ってる実験動物は、首をかっ切れば黙る。」

 

少年は手袋を外し……

 

「っ!!」

 

少し顔を歪ませ……右手をカマキリの腕のようなものに変貌させた。

 

「!?」

 

「ふん!!」

 

床の金網を剥がし、その下にあったパイプの表面を斬り抜いた。

 

「……ここから、外に出られる。奴を助けてここを出たいなら、そうした方がいい。早くしろ。あと10分で爆発するぞ。烏丸はもう避難したからな。」

 

少年はそう言ってその場を去ろうと振り返った。

 

「あ、待って!!」

 

少年は立ち止まる。

 

「……ありがとう。」

 

私は一言言った。

 

「ふん………」

 

少年は高くジャンプし、地上へ上がっていった。

 

「さて……」

 

私は武器を構えた。

 

 

 

「くそ……」

 

残りの弾丸も少ない。急所を狙っても動きが早く、狙いが定まらない。

 

「グロロロォ!!」

 

「シャアアッ!!」

 

襲いかかる実験動物。くそ……ここまでかよ……!!

 

……ダァン!!ダァン!!

 

鳴り響く銃声。実験動物は銃弾をくらい、後ずさる。俺は振り返る。

その銃弾の主は………

 

「……大丈夫?真。」

 

心音だった。

 

「バカ!何でここに!?」

 

「あんたをつけてたのよ。今度は何を隠しているのかと思ったら、こんな大変なこと隠してたなんて……」

 

歩み寄り、俺の頭を撫でる。

 

「これを、一人で解決する気だった訳?」

 

図星だった。

 

「全く、何でそんな無茶するかなぁ……心配するじゃん。」

 

「……逃げろ。これは…」

 

「あんたの問題じゃない。私たちの問題でもあるのよ。『相棒』のピンチに、背中見せて逃げられるわけないでしょ?」

 

「!? あい……ぼう………?」

 

心音は……俺に手を差し出した。

 

「真を死なせたりなんかさせない。ガストレアにもさせない。これからも、私はあなたを支えるから。これからも……あなたは私の『相棒』だから……ね?」

 

「………」

 

涙がこぼれ落ちた。俺は………最低だ。

俺のことをこんなにも大切に……かつて傷つけられた奴にここまで言ってくれるなんて。まだ…『相棒』と呼んでくれるなんて。こんなに、こいつは受け入れようとしてくれていたのに。俺が拒んでいただけだったのか……。

 

「………っ!!」

 

俺は心音の手を握った。そして立ち上がった。

 

「真……!!」

 

涙を拭い、ライフルを構えた。

 

「……行こうぜ、心音。」

 

心音は、それに答えた。

 

「うん!!!」

 

刀を抜き、逆手に持つ。

実験動物が吠える。

 

「真。さっき、ここにいた男の子から聞いたんだけど……あいつら、首を切り裂けば倒れるって。」

 

小声で囁く心音。

 

「だったら、俺が奴らを足止めする。隙が出来た所を切り裂く。それがベストだな。」

 

「OK。」

 

実験動物が様子を伺う。

 

「……はっ!!」

 

俺はライフルで足下を狙う。実験動物達が躱す。躱した所に再び放つ。

 

「グルルッ!」

 

「フシッ!」

 

2体共に隙が生まれた。

 

「今だ!!」

 

心音が高速で駆け出す。

 

「せぇぇえええええいっ!!」

 

そして、すれ違い様に……2体の実験動物の首を切り裂いた。

 

「ふう……やったね、真!!」

 

刀を収め、こちらに駆け寄る心音。

俺も…………あれ…?

視界が……ぼんやりと…………あ……

 

 

……バタッ!!

 

「真!?」

 

私は倒れた真を揺さぶる。

 

「ま、真!! しっかりして!!」

 

『危険です。危険です。爆発まで、1分30秒です。』

 

マズい!!

私は真を負ぶい、真のカバンを持って駆け出す。

そして、あの少年が作ってくれた道……パイプの中へ飛び降りる。人が2人ほど通れる広さだった。走ることも出来る。私はパイプの中を道なりに進む。

 

『残り、30秒。』

 

「はぁ…はぁ……!!」

 

光が見えてきた……出口だ!!

私は走る。

 

……ドォォォオオオン…ッ!!

 

「!!」

 

爆発の音。そして……

 

「きゃあぁっ!!」

 

後ろから爆風が吹く。私はそれに押され、外に出た。

 

「!!」

 

辺り一面の緑。下を見るとそこにあったのは……

 

「………………え?」

 

川。しかも、流れの速い。

 

「きゃあああああ………」

 

私は、真を負ぶったまま川へ真っ逆さまに落ちていった……。

 

 

 

「ん…………?」

 

気がつくとそこは……河口だった。

私は辺りを見渡す。すると……

 

「!」

 

真が……私の隣で、私に抱きついている形で眠っていた。寝息を立てている所からすると、無事のようだ。ただ、傷が酷い。私は腰のポーチから消毒液とガーゼとテープを取り出し、傷の手当をした。真はまだ目覚めない。疲れたのかな。

 

「真……。」

 

私は……真を抱きしめた。

 

「お帰りなさい。」

 

「ん……心音………すぅ……」

 

夢でも見てるのかな?全く、相変わらずなんだから。

私は会社に連絡し、迎えを待った。

 

 




そういえば、アニメの主題歌がもうすぐ発売ですね!!
早くFULLが聞きたいぜ!!
アニメって原作のどこまでやるのかな?
ちなみに私は4巻までは読んでます。

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