ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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クレイジーな生物学者という、ありきたり設定ですね、はい(笑)
心音の件でご感想を頂きましたが、この作品は全て意図してやっていることで構成されています(笑)
よって、ミスではないですよ、本当に(笑)


第11話〜世界とエゴ〜

「よし。」

 

身支度を整える。銃を詰めたバッグを背負い、俺…小鳥遊 真は家を出た。

目的地は山裏にあるダム。そこにあの男…烏丸 凌馬がいるという。罠かどうか疑うよりかは、実際に行った方が確実だ。

 

「ガストレア・ヒューマン計画……」

 

俺は足を進めた。

 

 

「………よし。」

 

真の後ろをつけているのは私…徳崎 心音だ。向かっているのはいつもの山。

真が何を隠しているのか……それを知るべく、私は尾行することにしたのだ。

 

「真……」

 

彼に対して失礼なのは承知の上だ。

でも……私はこれ以上、あなたに背負って欲しくない。

私は真の尾行を開始した。

 

 

 

「本当に来るのか?」

 

とある研究室。知恵の輪を解いている男が、烏丸 凌馬に問う。

 

「あぁいった目付きの人間は来るんだよな、これが。私の経験上、ね。」

 

「来たらどうする?」

 

「手荒な真似はしないさ。彼には全てを話す。その上で、私の力になってもらおうかな。」

 

「もし、断ったら?」

 

「そうなったら、断れないようにするだけさ。彼には力になってもらいたいからね。」

 

不敵な笑みを浮かべ、モニターを見た烏丸。

そのモニターには……真が映っていた。

 

 

ダムの周辺を調べながら歩く。

 

「何処かに入口が………。」

 

歩いていると………何かに躓いた。

 

「っと。危な……ん?」

 

足元を見る。盛り上がっていたコンクリートの角。俺はしゃがみ、泥を払う。

マンホールの蓋のような物が出てきた。

 

「これは……」

 

俺はそれを外す。底の方に光が見えた。ここだな、間違いない。

俺はマンホールに入っていった。

 

 

「………何よこれ…」

 

マンホールに真が入った後、私もそこへ向かう。そこの方を覗く。真がいなくなった。よし。

私も、真の後を追うようにマンホールに入っていった。

 

 

「来たな……嬉しいよ………イニシエーター君。」

 

さぁて、お出迎えの準備をせねば。

烏丸は実験室へと移動した……。

 

 

「………」

 

静かに進む。いかにも隠れ家という感じがする。怪しげな雰囲気だ。気味が悪い。

そして………。

 

「………ここか?」

 

鉄の扉の前に立つ。扉に手をかけた。俺は扉を開いた。

 

「……ようこそ。イニシエーター君。」

 

烏丸 凌馬……彼が出迎えた。俺は扉を閉め、烏丸を見つめる。

辺りは薄暗かったが、烏丸が部屋の電気を付けた。辺りが明るくなる。

そして、俺の目に映ったのは………

 

「⁉︎ これは………⁉︎」

 

壁一面にびっしりと飾られていた透明の容器。その中には……あらゆる改造されたのであろう生物達。人間もいた。

 

「私の作品だ……素晴らしいだろう?まぁ、この状態にウイルスを組み込めば、更に素晴らしく仕上がるが、ね。」

 

容器を撫でながら言う。

 

「貴様……自分が何をしているのか…分かっているのか⁉︎」

 

「仕方が無いだろう…地球を救うのだよ? この犠牲が。」

 

「何……?」

 

地球を……救う?

 

「君……名前は?」

 

「小鳥遊……真。」

 

「小鳥遊くん。君には教えてあげよう……私の掲げる地球救済プロジェクト、『ガストレア・ヒューマン計画』を……‼︎」

 

 

「ガストレア・ヒューマン計画……?」

 

私は扉に耳を当て、中の話し声を聞き取る。盗み聞き……になるか。

しかし、地下にこんな設備を設計するなど……何を企んでいるのだろうか?奇妙すぎる。意図があるのだろうが分からない。

とにかく、情報が必要だ。私は話に集中した。

 

 

「私は生物の遺伝子学を研究していてね……あらゆる動物を研究していた。そして、ガストレア大戦の時。私は素晴らしい生命体……ガストレアを見た…。」

 

歩きながら話す烏丸。俺はただ、その場に立って話を聞くのみだった。

 

「私は彼らに心を奪われた……驚異的な再生力、感染力、そして、高い運動能力………私は彼らに心を奪われたのだ……あぁ、素晴らしい‼︎ 君も思わないか?ガストレアという生命体は素晴らしいと‼︎」

 

狂ったように声を荒げる。

 

「……………。」

 

「そして……私は彼らに一つの可能性を見出した。我々人類が彼らの力を得ることにより、この汚れてしまった地球を浄化し、美しい地球を取り戻す……そうだ。ガストレアの力こそ、地球を救うと‼︎」

 

「⁉︎ 貴様……人類を根絶やしにするというのか‼︎」

 

俺はライフルを取り出した。

 

「違うなぁ? 私は、人類にガストレアの力を与えるだけ……」

 

「同じことだ‼︎ ガストレアになることと……一緒だ‼︎ 人類を皆殺しにすることと一緒だ‼︎」

 

「では、君たちは何なのだ?」

 

俺は銃口を烏丸に向けた。

 

「何?」

 

「君たちイニシエーターはどうなのだ?ガストレアウイルスを身体に宿し、自らがガストレア化するかもしれないという恐怖を抱きながら、プロモーターの道具として扱われている、君たちは? 呪われた子供達は世界からどう見られている?ガストレアと同じ扱いだろう?」

 

「俺は………俺は、生きている‼︎」

 

「所詮は道具なのだよ……君たちイニシエーターなんて物は。私の掲げる理想は違う。ガストレアという素晴らしい生命体の力を得た人類こそ、この地球にいるべきなのだ‼︎」

 

「貴様は……ただ逃げているだけだ‼︎」

 

烏丸が足を止め、表情を変えた。

 

「………何だと?」

 

「気に入らないこの世界という檻の中にいるのが嫌で、自分のエゴを通そうとしているだけだ‼︎ お前がやろうとしているのは……ただの殺戮だ‼︎ お前もガストレア大戦を見たんだろう‼︎ あの惨劇でどれほどの人が苦しんでいると思っている⁉︎ 悲劇を繰り返しても……世界は何も変わらない‼︎」

 

烏丸は……大きく溜息をついた。

 

「はぁ………残念だよ、小鳥遊 真くん。君とは私の力になって欲しかったが………それは無理なようだねぇ…‼︎」

 

烏丸は……注射器を取り出した。

 

「これはガストレアの再生力と運動能力、更に私の作ったバラニウム抑制ワクチンを混合した、ウイルス……」

 

そして、傍らにあった巨大な容器を開けた。中にいたのはオオカミをベースに、身体を改造されていた動物だった。

 

「ふん‼︎」

 

烏丸はその動物に注射器を刺し,ウイルスを注入した。

 

「……‼︎ ウウウ……ッ‼︎アオオオオン‼︎」

 

その動物は瞳を赤にし,吠えた。

 

「フハハハハ‼︎ さぁ、行け‼︎」

 

烏丸はその場を去った。

 

「‼︎ 待て‼︎」

 

「グルオオッ‼︎」

 

ウイルスを注入された実験動物が襲いかかって来た。俺はかわし、ライフルを構えた。

 

「くっ………‼︎」

 

『おっと、言い忘れていたが……更に実験動物をプレゼントだ‼︎フハハハハ……』

 

どこからかマイクを通じて烏丸が言う。

すると………

 

「グルルル……‼︎」

 

「シャアアア……っ‼︎」

 

新たに2体……ヒョウの改造動物とヘビの改造動物が、瞳を赤にし、奥の方から現れた……。

 

「マズイな……。」

 

どうする………このままでは……‼︎

 

 




大変なことになったぜ!どうなる真‼︎
そして次回、遂に……⁉︎

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