ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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真くんのドS回になってしまった(笑)
てか、真くんの台詞が某サイヤの王子と被ってしまった(笑)
そして、リクエストにお応えして、蛭子親子を少しですが出しました‼︎


第10話〜遊びと負担〜

「はぁ………はぁ………っ‼︎」

 

私と実緒は追い詰められていた。

 

「ハッハー‼︎どうしたぁ?終わりかぁ?」

 

右腕が鋭い爪の生えた虎のようになっている男。明らかに人間ではない。その力は恐らく、ガストレアに匹敵する。更にあの再生力……バラニウムによる損傷を回復した…。

 

「くっ………‼︎」

 

ここは一旦退くべきなのかしら……。

 

「心音さん……‼︎」

 

隣で膝をつく実緒。彼女のダメージもかなり大きなものだった。

万事休す……なのか。

 

「さぁ……まだ俺は遊び足りねぇぜ?もっと楽しませてくれよぉぉおおっ‼︎」

 

男が駆け出す。

その時だった。

 

「っ⁉︎」

 

男の背後から弾丸が飛んでくる。そして、その弾丸は男の右肩と右手首に命中した。

 

「‼︎」

 

「……お前か、改造兵士とかいう奴は。」

 

その銃撃の主は……真だった。

 

「ま、真‼︎」

 

「てめぇ……‼︎」

 

男は真の方を向いた。

 

「……心音。実緒ちゃんと一緒に隠れてろ。こいつは俺が倒す。」

 

「真……。分かった‼︎」

 

私は実緒を負ぶって、物陰に退避した。

死なないでね…真。

 

 

「なんだ?今度はお前が俺様と遊んでくれんのか、ああ?」

 

右腕が虎の男が爪を鳴らす。重い金属音が鳴る。

 

「あぁ、感謝しろ。お前みたいなモブを、俺が相手してやるんだからな……」

 

俺は両手にマシンガンを構えた。

 

「ほざけぇぇええ‼︎」

 

男は駆け出し、襲いかかる。動きが単純すぎる。

爪を振りかざしたところを横にかわす。そして。

 

「はっ‼︎」

 

男の横腹に蹴りを入れる。

 

「っ⁉︎ ぐほっ………‼︎」

 

その場に崩れ落ちる男。

 

「この程度か?」

 

俺は男を見下すような視線を向けた。

 

「く………‼︎こ、この…」

 

「お前の行動は読みやすい……『このガキ』とでも言いたいのだろう?」

 

「っ‼︎ ぬああああああああっ‼︎」

 

起き上がりざまに爪を足元に振るう。怒りで我を忘れているようだな。

俺は飛び上がってかわし、距離を置く。

 

「はぁっ‼︎」

 

マシンガンの銃口を男に向け、引き金を引く。

俺は男の両肩、両足首、両太ももに銃弾を浴びせる。

 

「ぐああああああっ‼︎」

 

男は防ぐ間も無く、その場に崩れ落ち、更に両手をついた。

俺はマシンガンを下ろし、ショットガンに持ち替えた。

 

「どうやら、バラニウム製の複数の傷の治りは遅いようだな。」

 

あの変異体ガストレア……キマイラと同じだった。記憶は朧げだが、1箇所のバラニウム製による傷は治るのが早かった。だが、爆発のように全体に傷を伴うような攻撃にたいする回復は遅かったため、回復する前に死んだ。

 

「だったら、こいつで葬ってやる。」

 

俺はショットガンの銃口をを男の後頭部に当てた。

 

「っ‼︎」

 

「ジ・エンド。」

 

ショットガンが火を吹いた。何度も引き金を引く。男は声を上げることも出来ず、血みどろになり動かなくなった。

 

「……ふぅ。」

 

俺はショットガンをバッグに収めた。そして、心音と実緒ちゃんに歩み寄る。

 

「真……」

 

「無事か?」

 

「え、えぇ。なんとか、ね。」

 

「そうか………。」

 

俺は烏丸 凌馬のことを話そうとしたが、巻き込む訳にはいかないと思い、立ち去ろうとした。

 

「真‼︎」

 

心音が呼ぶ。

俺は足を止めた。

 

「……ありがとう。」

 

その一言だった。俺は……口元をほんの少し緩めた。

 

「おう。」

 

ただ一言。

そう言い残して、俺はその場を後にした。

 

 

「真………。」

 

真の背中が見えなくなった。

 

「実緒?大丈夫?」

 

「……………」

 

実緒は……私の背中で眠っていた。

疲れたのでしょう。時間も遅いしね。

 

「よいしょ……っと。」

 

私は実緒を負ぶったまま立ち上がり、その場を後にした。

 

 

「………っ……‼︎」

 

男は……まだ息の根があった。うつぶせに倒れながら、息をしていた。

 

「くそ……あの、ガキ……っ‼︎」

 

その時だった。

 

「っ⁉︎」

 

男の背中に突き立てられたのは……2本の黒い刃。

 

「おじさん、もう疲れたでしょ?だから……眠って?」

 

そして………

 

「あ…………」

 

男は声もなく、黒い刃を突き立てられた少女に引き裂かれた………。

 

 

「このくらいすれば、生き返ったりもしないだろうな。」

 

引き裂かれた男のそばに立った、マスケラの男……蛭子 影胤。

 

「パパ……これ何なの?」

 

引き裂いた本人……蛭子 小比奈は父親を見上げる。

 

「新しい人類と言っているが、これは気に入らないな……人間がガストレアの能力を手にするなど、ね。」

 

「じゃあ……こいつらは、壊していいの?」

 

「勿論だよ、我が娘よ。ただし、程々にな。」

 

「ん……分かった。」

 

小比奈は両手の小太刀を腰に収めた。

 

「帰ろ、パパ?」

 

「あぁ、そうだな。」

 

親子は暗闇に消えた。

 

 

「汚染被害は無い。戦闘による疲労が大半だ。問題は無い。」

 

大学病院の地下。私は室戸先生に、実緒を診てもらっていた。

実緒はベットで寝息を立てている。

 

「良かった……ありがとうございました。」

 

「礼には及ばないよ。それよりも、だ。」

 

室戸先生はビーカーにコーヒーを入れた。

 

「人間がガストレアのような能力を得て、尚且つバラニウムに対する治癒力を備えていた……。」

 

「はい………その、今までこんなケースって……」

 

「無いな。まさか、バラニウムに対する治癒力を備える敵が存在したとは……彼は何か知らないのか?」

 

「え………?」

 

「ことりあそび君だよ。あの、男イニシエーターの。」

 

「真が………?」

 

……そう言えば。

何かを言おうとしたけど、その場を後にした。

あえて追求しなかったけど……。

 

「……何か隠してそうだったかい?」

 

「………はい。」

 

私の返事に、ため息交じりに室戸先生が言った。

 

「やれやれ、今度は何を背負っているのやら……。」

 

「………真…。」

 

何故なの、真?

何故、あなたはそんなに、一人で背負うの?

私は……心配なの。

 

 

 

「よしよし………いいじゃないか……‼︎」

 

手術台の上に乗った、100人ほどの人間。その身体の一部は……改造されていた。

 

「さて、あのイニシエーター………ここが分かるかな……?」

 

まぁ、あの少年は中々見所がある。上手くいけば、私の元へ引き込むことが出来るかもしれないな。

 

「お手並み拝見といこうか。」

 

烏丸 凌馬は、不敵に笑った。




背負う真くん、心配する心音……交錯しますねー、それぞれの思い(笑)
急展開真っ只中なこの作品も、ようやく一週間が経ちました。
皆様、ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いしますね(^ ^)

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