どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

84 / 177
・パン、作って。

・パンツ食って。

これを何気ない日常会話に挿入。


主人公「何食べたい?」

ヒロイン「パンツ食って」

主人公「」


考えた人は天才だと思った。



東京エリアの明日

心配だ。

 

心配で心配で仕方がない。心配過ぎてハゲそう。

 

え?何が心配かって?

 

 

 

 

 

優子たちのことに決まっているだろうが!!!

 

 

 

 

 

……確かに俺の嫁、最強宣言をした。さらっと勢いに任せて嫁宣言もしてしまった。

 

最強宣言に関しては後悔している。だが嫁については後悔していない。

 

もし……もしだ……万が一だ……優子たちに何かあった時は。

 

 

「この世界を滅ぼしてやる……」

 

 

「今私より残酷な目的を持っていないかね?」

 

 

持っていない。今は。今は。大事なことなので二回言いました。何なら100回くらい言ってやってもいい。

 

ちくしょう。早く帰らなければ……こうなったらッ!

 

 

「……これをやるから見逃して」

 

 

「……………」

 

 

どうやら買い物袋での取引はダメなようだ。当たり前だ馬鹿。

 

 

「はぁ……結局また戦うのかぁ……嫌だなぁ……」

 

 

「私も望まぬ戦いだ」

 

 

カチャッ

 

シャキンッ

 

 

影胤は不気味な拳銃を二丁両手に持ち、小比奈は二本の刀を両手に持った。

 

 

「許せ我が友」

 

 

ガガガガガッ!!!

 

 

「ッ!?」

 

 

その時、上空から雨の銃弾が降り注いだ。ビルの屋上から多人数の黒服を着た奴らが俺に銃口を向けて発砲していた。

 

銃弾の数は千を超え、一瞬にして逃げ場を失った。

 

絶望的状況に大樹は、

 

 

「……なんてなッ」

 

 

笑った。

 

 

ゴォッ!!

 

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 

大樹の姿が一瞬にして消え去った。まるで瞬間移動をしたかのように。

 

銃弾は地面のアスファルトを削り、誰にも当たらなかった。

 

 

「【無刀の構え】」

 

 

大樹の声が聞こえるが、姿は見えない。

 

 

「【鳳凰(ほうおう)炎脚(えんきゃく)】!!」

 

 

ドゴオオオオオォォォ!!

 

 

巨大な爆発音がビルの中から響いた。ビルは大きく揺れ、屋上まで揺れが伝わった。ビキビキと床にひびが入り、

 

 

ドゴンッ!!

 

 

屋上の床が抜けた。

 

マシンガンを持っていた男たちはバランスを崩し、どんどん下へと落ちて行く。

 

ただでさえボロボロのビルは半壊し、体は途中一緒に降って来たコンクリートなどに叩きつけられながら落下していく。

 

 

「なるほど。これが影胤が言っていた後援者(バック)か」

 

 

そして、落下地点には買い物袋を両手に持った一人の男が笑っていた。

 

 

「安心しろ。俺は人を殺さねぇ。救急車も呼んである」

 

 

大樹は買い物袋を一度地面に置き、右手をギュッと握り絞める。

 

 

「というわけで一回死んで来い」

 

 

この男、言っていることが無茶苦茶である。

 

 

 

________________________

 

 

 

「小比奈。合わせなさい」

 

 

「はいパパ」

 

 

廃墟ビルの崩壊を見ていた影胤と小比奈。二人の視界には後援者(バック)を徹底的に、圧倒的に、ボコボコにしている大樹が映っていた。

 

律儀に買い物袋にコンクリの残骸や砂埃が入らないように配慮して戦っている。それは余裕であることを示していた。

 

しかし、目的はそれでよかった。

 

影胤の狙いはただ一つ。時間稼ぎだからだ。

 

 

ダンッ!!

 

 

影胤と小比奈は同時に飛翔し、崩れ出している廃墟ビルからモクモクと出ている土煙の中にと突っ込む。

 

 

「来やがったな……!」

 

 

大樹は二人が突っ込んで来たことをすぐに察知。両手に持っていた買い物袋を大事に持ち、構える。

 

 

「ッ!」

 

 

小比奈は影胤より速く走り出し、大樹に向かって二本の刀を振り下ろす。

 

 

「【曲芸(きょくげい)の構え】」

 

 

大樹もそれに答えるように小比奈に向かって走り出す。

 

 

「【反転(はんてん)転剣(てんけん)】」

 

 

ガチンッ!!

 

 

小比奈の横を大樹は通り過ぎ、小比奈の斬撃を交わす。小比奈はすぐに振り返り、反撃しようとしたが、

 

 

「ッ!?」

 

 

自分の手には刀が握られていないことに気付く。

 

 

「絶対に使えない技かと思ったが、案外いいかもしれないな。先祖の技は元々これが目的だったしな」

 

 

大樹の手には小比奈が持っていた刀を二本握っていた。

 

 

 

 

 

そして、小比奈の手には()()が握られていた。

 

 

 

 

 

大樹は買い物袋からネギを取り出し、小比奈の持っていた刀と交換したのだ。

 

悪戯が成功した大樹は小比奈に向かって笑みを浮かべる。大人げない行為である。ちなみに買い物袋は足元に置いてあった。

 

 

「絶ッッ対斬るッ!!」

 

 

「ぶはッ!!ネギで!?これは大笑いモノだな!!」

 

 

「ッ!!!」

 

 

ゲラゲラと笑いだした大樹を見た小比奈は憤怒した。ネギを地面に叩き捨て、大樹に向かって鬼の形相で飛び掛かる。

 

 

ガキュンッ!!

 

 

「「ッ!」」

 

 

その時、二人の間に一発の銃弾が通り過ぎた。撃ったのは影胤。

 

 

「下がりなさい!」

 

 

影胤は冷静を忘却した小比奈を落ち着かせる。

 

 

ガキュンッ!!ガキュンッ!!ガキュンッ!!

 

 

影胤はもう一丁の拳銃で大樹に向かって連射し、小比奈との距離を開けさせる。

 

 

「二刀流式、【阿修羅(あしゅら)の構え】」

 

 

銃弾が大樹に当たる前に、大樹は小比奈の二本の刀を振り下ろす。

 

 

「【六刀(ろっとう)鉄壁(てっぺき)】!!」

 

 

ガチンッ!!!

 

 

全ての銃弾を一瞬で縦に斬り、真っ二つなった銃弾は大樹を避けて、後方の壁にめり込んだ。

 

 

「小比奈!」

 

 

影胤は大樹が技を繰り出しているうちに、新しい刀を二本渡す。

 

小比奈はすぐに刀を鞘から抜き取り、大樹に向かって走り出す。大樹も小比奈に向かって走り出し、刀を振り下ろす。

 

 

「ッ!?」

 

 

そして、大樹は戦慄した。

 

 

 

 

 

小比奈の構えが『二刀流式、【阿修羅の構え】』だったからだ。

 

 

 

 

 

(嘘だろ!?簡単に真似できる技じゃねぇぞ!?)

 

 

小比奈は二本の刀を高速で振り回す。その瞬間、【六刀鉄壁】が発動した。

 

 

ガチンッ!!ガチンッ!!

 

 

大樹の斬撃は防がれてしまい、小比奈はカウンターで隙を見せた大樹に攻撃する。

 

だが大樹は余裕を持って斬撃を紙一重でそれを避けてしまう。小比奈のスピードが遅いわけではない。大樹が異常な人外的スピードで避けているのだ。

 

 

「そこだッ!!」

 

 

「ッ!?」

 

 

そんな速さで動く大樹を捉えた影胤。ずっと好機を狙っていた。

 

大樹の背後に回り込み、右手に『イマジナリーギミック』で斥力を槍状に展開。

 

 

「『エンドレススクリーム』!!」

 

 

ドゴオオオオオォォォ!!

 

 

影胤が持つ最強の矛。光の槍が大樹に向かって突き進む。

 

爆発音のような音が耳の鼓膜を震え上がらせ、槍の光は目を潰れてしまいそうなくらいの瞬きだった。

 

 

「【無刀の構え】」

 

 

大樹は刀から手を離した。そして右手と左手。二つの手を合わせて一つの拳を作る。

 

 

「【天落(てんらく)(げき)】ッ!!」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

拳を振り下ろし、『エンドレススクリーム』を上からぶち当てる。

 

 

バシュンッ!!!

 

 

「「なッ!?」」

 

 

その光景に影胤と小比奈は目を疑った。

 

 

 

 

 

最強の矛が下に向かって折れ曲がったからだ。

 

 

 

 

 

曲がった矛はコンクリートの床を貫き、床を砕く。コンクリの破片が空に向かって飛び散り、廃墟ビルは完全に倒壊し始める。

 

ありえなかった。現象、理論、歴史、光学、物理……どんな理由や言い訳を並べても大樹の前では無力。

 

全ての(ことわり)、全ての常識、全ての方向性。

 

彼の前では、それが否定され、捻じ曲げられ、変えられる。

 

 

「馬鹿な……そんな馬鹿な……!」

 

 

前回彼と戦った時、彼は『エンドレススクリーム』をかわした。刀で受けようともせず、かわしたのだ。

 

それが今回はどうだろうか?生身の拳で叩き落とした。それがあまりにも残酷な形で実力の違いを見せつけられている。

 

崩れ出すビルの中、力の違いを見せつけられた影胤は動けなくなってしまっていた。小比奈が何度も『パパ』と呼んでも影胤は動けなかった。

 

 

「ったく!世話かけんなよ!!」

 

 

「「ッ!?」」

 

 

大樹は影胤と小比奈の前に降り立ち、二人を抱えた。小比奈は抵抗しようとしたが、助けてもらうことを理解したのか、抵抗することをやめた。

 

大樹は二人を抱えたまま降って来るコンクリの破片を避ける。律儀に買い物袋も手で持つところを口で噛み、回収している。

 

 

「んんんんんッ!!」

 

 

大樹は買い物袋を噛んだまま叫ぶ。

 

 

ドゴオオオオオォォォ!!

 

 

そして、大樹は目の前にある壁を蹴り砕いた。

 

土煙が三人の視界を塞ぐが、すぐに突き抜ける。クリアになった視界、光が三人を照らす。

 

目の前に広がる光景。三人は驚いた。

 

 

 

 

 

「「「「「動くなッ!!警察だッ!!」」」」」

 

 

 

 

 

「「「……………」」」

 

 

サイレンの赤い光と警察が持った懐中電灯が俺たちを照らす。ついでに拳銃の銃口も向けられていた。

 

三人は同時に思った。

 

 

後援者(バック)、マジで覚えとけよっと。

 

 

 

________________________

 

 

 

「ぐあああああ!!」

 

 

夜の暗闇と同じくらいの色で包まれた服を着ていた男が宙を舞う。

 

 

ドサッ!!

 

 

荒れた道路に叩きつけられ、男の意識は刈り取られる。

 

 

「「「「「頑張れお姉ちゃん!!」」」」」

 

 

同時に女の子たちの声援が聞こえた。

 

ここは大樹たちが拠点にしている教会の前。扉の前には二本のバラニウムの槍を持った黒ウサギ。腕輪型CADを右手につけた真由美。携帯端末型のCADを右手で握り絞めた優子。三人の女の子が立っていた。

 

教会の窓からは子どもたちが身を乗り出して彼女たちを応援していた。

 

 

「先程まで怖がっていたのに……もう応援ですか」

 

 

黒ウサギは苦笑いで子どもたちを見る。敵の襲撃時、子どもたちは震えて怖がっていたのに、もう怖がっている女の子はいなかった。

 

 

「大樹君に似たかのかしら?」

 

 

「それ、冗談でもやめたほうがいいわ」

 

 

真由美の言葉に優子はすぐに首を横に振った。

 

 

「立てお前ら!!赤目を殺すんだろうがッ!!」

 

 

一人の男が大声を荒げるが、残りの敵は誰も動こうとしなかった。

 

敵の数は5人……さきほど吹っ飛ばされたので4人である。

 

 

ガキュンッ!ガキュンッ!ガキュンッ!

 

 

男たちは銃の引き金を引き、黒ウサギたちに向かって撃ったが、

 

 

カカカンッ!!

 

 

黒ウサギは槍を前方で円を描くように回転させ、銃弾を全て弾き返した。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

「がはッ!?」

 

 

そして、高速で一人の男との距離を一瞬でゼロにして、右手に持った槍を横に薙ぎ払い、吹っ飛ばした。

 

 

バキンッ!!

 

 

男は汚れた看板をぶち破り、意識を失う。その一連を見た男たちの顔色が悪くなる。遠くから見ても顔色が悪い事が分かるほど青ざめていた

 

 

「今すぐ立ち去りなさい。今のは手加減した攻撃です。これ以上攻撃を続行するなら容赦はしません」

 

 

鋭い目をした黒ウサギの警告。黒服の男たちは後ろに下がってしまう。しかし、大声を荒げた男だけは違った。

 

 

「ふざけるなッ!!このアマッ!!」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

男は発砲。一発の銃弾が黒ウサギに向かって飛んで行くが、

 

 

フォン!!

 

 

黒ウサギの目の前に魔法【ダブル・バウンド】を発動した。

 

銃弾は倍の速度で男の元へと跳ね返る。

 

 

ドスッ!!

 

 

「あがッ!?」

 

 

跳ね返った銃弾は男の右足を貫いた。男は痛みに耐えられなくなり、その場にうずくまる。

 

 

「「うわああああ!!!」」

 

 

残り二人になった敵は恐怖が最高潮に達し、一緒に逃げ出した。子どもたちは逃げ出した男たちを見て拍手。

 

残ったのは吹っ飛ばされて気絶している男。痛みに耐える男。三人が残った。

 

 

「……どうしましょうか?」

 

 

「そう言えば考えていなかったわ……」

 

 

黒ウサギと優子は今の現状に困り顔になった。

 

 

「とりあえず救急車を呼びますか?」

 

 

「縛る方が先じゃないかしら?」

 

 

黒ウサギの提案と真由美の提案に優子は、

 

 

「大樹君を呼びましょう」

 

 

「「あぁ……」」

 

 

二人は気付く。確かにそっちの方が早い気がすると。

 

 

「では縛った後、黒ウサギの恩恵で怪我を治療。その後は大樹さんに引き渡すでいいですか?」

 

 

「何故かしら……大樹君より警察に引き渡した方がこの人たちが救われるような気がする」

 

 

「アタシも同感だわ……」

 

 

黒ウサギの提案に真由美が深刻そうな顔で呟いた。真由美の言葉に優子も深刻そうな顔で頷く。

 

三人はロープで敵を縛った後、黒ウサギは銃弾を受けた男の治療に取りかかった。

 

その時、こちらに向かって走って来る三人の影が目に入った。優子たちは敵が戻って来たと思い、警戒するが、

 

 

「蓮太郎!こっちだッ!」

 

 

「延珠ちゃん!?」

 

 

聞こえてきた声は延珠の声。延珠の後ろには里見と木更が延珠を追いかけていた。

 

 

「ほら見なさい里見君。さっきの奴ら倒して正解だったでしょ?」

 

 

「完全に戦う気力を失なった奴に飛び蹴りして後悔していたクセによく言うぜ」

 

 

「だ、だって拳銃を……!」

 

 

「一番後ろにいた奴は『たす……』って何かを言いかけて……」

 

 

「蓮太郎!妾を差し置いて木更とイチャつくとは何事だ!」

 

 

「お前も飛び膝蹴りしただろうが!」

 

 

「「「……………」」」

 

 

残りの敵は既に天童民間警備会社の女子たちが倒したようだ。三人は遠い目をした。せっかく見逃したのに、なんかすいませんという目をしていた。

 

 

「ただいまー」

 

 

「あ、大樹さん!……………大量ですね」

 

 

「凄いな。もしかして慣れたのか黒ウサギ?少しは驚こうぜ?」

 

 

今度は大樹が来た。しかし、大樹の後ろには黒い服を着た男たちが10人ほど縄で縛られ、トボトボと連行されていた。

 

状況をすぐに把握した黒ウサギは慣れたのかと言われた時は苦笑いで対応するしかなかった。

 

 

「あ、大樹さん。額が汚れていますよ」

 

 

「額?あー、影胤に至近距離から撃たれたからな。熱かった」

 

 

(((えぇ!?)))

 

 

((大樹君らしいなぁ……))

 

 

蓮太郎と延珠と木更は驚愕。優子と真由美は何故か安心してしまった。

 

黒ウサギはポケットからハンカチを取り出し、大樹の額についた汚れを取ろうとする。大樹は黒ウサギが拭いてくれることに気付き、黒ウサギが拭きやすい高さまで膝を曲げる。

 

 

「ん」

 

 

「ちょっとそのままで………終わりましたよ」

 

 

「サンキュー」

 

 

「「……………ハッ!?」」

 

 

大樹と黒ウサギを見ていた優子と真由美は我に帰る。そして二人は急いで話し合う。

 

 

「どうしてあんなに仲がいいのかしら!?恋人みたいだったわよ」

 

 

「お、落ち着いて真由美さん。アタシたちにも希望はあるわ……!」

 

 

「……そう言えば入学式前から二人は一つ屋根の下で暮らして

 

 

「独り身だったアタシのメンタルが耐えれないからやめて」

 

 

「お店ではあうんの呼吸で仲が良かったって商店街の人が……」

 

 

「ホントにやめて!」

 

 

「でも私は正式に認められた妻だから大丈夫だったわ!ごめんなさい!」

 

 

(裏切られた!?)

 

 

突然の裏切り。世界は残酷である。

 

 

「とりあえず里見たちも食べて行くか?食材は無事だから」

 

 

「食材を守りながら戦ったのか……」

 

 

大樹の言葉に蓮太郎はドン引き。頬を引き攣らせていた。

 

 

 

________________________

 

 

 

教会の部屋の中心では何個も鍋がコンロの上に置かれていた。火を使っているので窓を開けて換気している。

 

男たちは壁側の方にお座り。静かにしていた。

 

鍋の周りには子どもたちは座り、笑顔で鍋の肉や野菜を食べて、賑やかな食卓になっていた。

 

鍋の野菜は大きいモノや小さいモノ。サイズがバラバラである。

 

今回の食事は、量が多いため子どもたちに少し手伝ってもらっている。調理実習という名目で彼女たちにもいい教育になるだろうという理由で、大樹が手伝わせたのだ。

 

 

「ほら」

 

 

俺は縛っていた男たちの縄を解き、目の前にコンロと鍋を置く。自由になったにもかかわらず、男たちは俺の行動が理解できず、固まっていた。

 

 

「すき焼きだ。食べてみろよ、美味いぞ?」

 

 

「い、いるかこんなものッ!」

 

 

「何でだよ?」

 

 

「毒でも入れているんだろ!?赤目を庇う人間をどう信じろって……!」

 

 

「そうか。じゃあ……」

 

 

俺は男たちの前に置いた鍋の中に入っていた肉を掴み、自分の皿に入れて、玉子に浸す。そして、肉を口の中に入れる。

 

 

「うん、美味い。これで毒は入っていないだろ?」

 

 

でも俺、毒を飲んでも死なない自信があるんだよなぁ……ほら、そこの三人の美少女の目がちょっと冷たい。きっと『大樹君って毒を飲んでも平気じゃないの?』って思っているよ。

 

 

「……何故だ」

 

 

一人の男が鋭い目つきで俺を睨んでいた。

 

 

「何故コイツらを庇う!?この餓鬼どもは俺の家族を!友人を!人を食ったあのガストレアと同じ化け物だぞ!」

 

 

その大声は賑わっていた子どもたちの声を一瞬で消した。その言葉を聞いて一番最初に怒ったのは里見だった。

 

 

「テメェ……!」

 

 

「待って里見君」

 

 

蓮太郎が男に殴りかかろうとした時、木更が止めた。

 

大樹は持っていた皿と箸を置き、男の前に立つ。

 

 

「それで、言いたいことはそれで終わりか?」

 

 

「なッ!?」

 

 

大樹は溜め息を漏らした。その言葉に男は驚愕した。

 

 

「じゃあここからは俺のターン」

 

 

 

 

 

大樹は敵が持っていた拳銃を右手に持ち、銃口を自分の頭の側頭部にピッタリとつけた。

 

 

 

 

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 

その行動に誰もが息を飲んだ。次に起こる最悪な光景を頭によぎらせた。

 

そして、

 

 

ドゴンッ!!

 

 

みんなの予想通り、大樹は引き金を引いた。銃声が教会の部屋全体に響き渡る。

 

 

カランッ

 

 

空の薬莢が床に落ちる。

 

男の顔は真っ青になり、身体を震わせた。他の男たちも同じ反応だ。

 

 

「化け物なら……俺もだ」

 

 

チリンッ

 

 

銃弾は大樹の頭部を貫かず、そのまま床に落ちた。

 

血の一滴すら、切り傷すら、擦り傷すら負っていない。無傷だ。

 

 

「ガストレアをその身に宿していなくても、俺は化け物。でもコイツらは違うだろ」

 

 

大樹は後ろを振り向き、子どもたちを見る。

 

 

「美味そうに飯を食って、楽しそうに洋服を見せ合って、眩しい笑顔を見せてくれる。それのどこが化け物だよ」

 

 

バキッ!!

 

 

その時、拳銃を片手で粉々に砕いた。大樹は男の胸ぐらを拳銃を粉々にした反対の手で掴んだ。

 

掴んだ手を上に引き寄せ、男を無理矢理立たせる。

 

 

「アイツらは好きでガストレアウイルスを宿したんじゃねぇんだよ……何でそれが分からない!?」

 

 

「分かっていないのは貴様らだ!その餓鬼どもは俺たちの敵だ!この前だって餓鬼どもは俺たちに危害を与えた!泥棒や暴行、殺人だってやった奴がいるんだぞ!?」

 

 

「ふざけるなッ!!」

 

 

大樹の大声は男を黙らせた。

 

 

 

 

 

「お前たちが、救わなかったせいだろうがぁッ!!!」

 

 

 

 

 

その大声に誰もが驚いた。しかし、もっと驚愕したのは、

 

 

 

 

 

大樹の目から涙が流れていたからだ。

 

 

 

 

 

「お前らが食べ物をあげないから子どもたちは生きるために窃盗をするんだ!お前らが受け入れないから子どもたちは暴力を振るってしまったんだ!お前らが殺そうとするから子どもたちは殺人を犯してしまったんだ!」

 

 

涙が頬を伝わり、ポタポタと床に落ちながら大樹は叫ぶ。それを見た男は何も返答できない。ただ聞くことしかできなかった。

 

 

「お前らは考えたことあるのかよ!?もし自分が子どもたちと同じ立場になってしまったことを!?」

 

 

「ッ……!」

 

 

男の表情が歪む。しかし、大樹は気にせず叫ぶ。

 

 

「そんなの嫌に決まっているだろうが!?辛くて、苦しくて、死にたくなる!誰かに助けを求めたくなるんだよ!!」

 

 

なのにッ!!と大樹は続けて叫ぶ。

 

 

「助けを求めれば、返って来るのは理不尽な痛みとお門違いの憎悪だけだった!暴力を振るわれ、最悪殺される!ここはそんなふざけた世界なんだよ!!」

 

 

「こ、こいつら……は……いつかガストレアになるだろッ!!」

 

 

「ガストレアになるから殺すだと!?だったらこの東京エリアを守っているのは誰だ!?力を持った女の子じゃねぇか!?何もできないテメェらはいいご身分で楽しそうな生活を送っているだけだろうが!」

 

 

掴んだ手の力がだんだん強くなる。服が破れそうな握力になっても、大樹は掴むのをやめない。

 

 

「何もできないお前らがどうしてそんな贅沢な生活をする!?どうしてお前らは子どもたちを傷つける!?本当は心のどこかで思ったことがあるだろ!?」

 

 

大樹は告げる。

 

 

 

 

 

「子どもたちは、何も悪くないことにッ!!」

 

 

 

 

 

大樹の最後の言葉に、掴まれた男はしばらく動かなかった。他の男たちも下を向き、何も喋ろうとしなかった。

 

 

「頼むから……もうやめろよ……!」

 

 

大樹の手から力が抜け、男は解放される。男は突然の解放に足元がふらつき、尻もちをつく。

 

だが、大樹も同じように膝をついていた。

 

 

「人から見放された気持ち……お前らに分かるか?」

 

 

小さな声だったが、周りが静かだったのでしっかりと聞き取れた。

 

 

「俺も、見放されたから……痛いくらい分かるんだよ」

 

 

剣道ができるという理由で周りから拒絶され、敵対される。本当の俺の仲間でいてくれたのは幼馴染の双葉(ふたば)だけだった。

 

上っ面の関係じゃない。彼女との関係は俺に取って唯一の『ホンモノ』だった。

 

だけど彼女が死んだ時、完全に俺は見放された存在になった。

 

大事にしていた『ホンモノ』を失い、俺は落ちていた『ニセモノ』を拾った。『ホンモノ』を忘却し、それから学校生活は『ニセモノ』を抱き続けた。

 

そんな人生、今振り返ってみれば酷いモノだ。

 

しかし親に、姉に頼る選択はあった。しかし、このことを話せば親は悲しみ、姉は怒る。

 

それだけは嫌だった。

 

悲しませたくなかった。迷惑を掛けたくなかった。俺が我慢すればいいと、これは仕方ないと自分の中で言い続けた。『ニセモノ』を俺に与え続けた。

 

家畜の豚のように『ニセモノ』を食わせ続けた。いつか『ニセモノ』が『ホンモノ』に成長することを期待して。

 

だが結局、『ニセモノ』は『嘘』になるだけだった。

 

 

「見放された時の俺は……『嘘』にすがるほど弱かった。でも、『嘘』でも助けて欲しいって思ったんだ……!」

 

 

だから、俺はこの男たちに伝えるんだ。

 

お前たちが、俺と同じように『化け物』にならないために。

 

 

「それだけあの時の俺は最低だった……!」

 

 

伝えなければ、何も始まらない。

 

 

「でも、子どもたちは違う……!」

 

 

何も変わらない。

 

 

「子どもたちは強くて、今を生きようとしている……!」

 

 

何も進まない。

 

 

「だから……彼女たちには……!」

 

 

そして、何も救われない。

 

 

 

 

 

「『ホンモノの愛』をあげなきゃならないんだ……!」

 

 

 

 

 

誰に伝わったか分からない。誰に届いたのかも分からない。

 

でも、俺は子どもたちにあげたいと思った。

 

彼女たちは親に愛されなかったはずだ。祖父母にも、兄妹にも、誰にも。

 

知らないはずだ。愛される大切さ、感動、素晴らしさ。それを、俺は教えてあげたい。

 

 

「子どもたちに、絶対に『ニセモノ』で固めた『嘘』はあげちゃいけない。『ホンモノ』だけを、あげ続けるんだ」

 

 

沈黙が続く。聞こえるのは風の音とコンロの火が燃える音だけ。

 

大樹の言葉に誰も答えようとしなかった。しかし、一人の女の子が大樹の隣に来る。

 

女の子は大樹が警察官から助けた子だった。女の子は膝をついた大樹の手を握る。

 

 

「ありがとう」

 

 

「ッ!」

 

 

感謝の言葉に、大樹は目を見開いて驚いた。

 

彼女たちには聞きたくなかったことかもしれない。難しいことだったかもしれない。残酷だったかもしれない。

 

しかし、彼女たちは一つだけしっかりと理解できていた。

 

楢原 大樹という人物が、子どもたちを本気で助けようとしたことを。

 

大樹は黙ってその手を握り返し、反対の手で女の子の頭を優しく撫でる。

 

 

「だから……俺は戦う」

 

 

俺は涙を拭き、立ち上がる。

 

 

「天童、ここに来たということは政府(うえ)から連絡があったんだな?」

 

 

「……ええ、その通りよ」

 

 

木更は真剣な表情で大樹に伝える、

 

 

「聖天子様から蛭子 影胤が動き出した連絡、それと本拠地が分かったわ」

 

 

「影胤の目的とかは聞いた?」

 

 

俺の質問に木更と蓮太郎は苦虫を噛み潰したような顔になった。

 

 

 

 

 

「『ステージ(ファイブ)』が、東京エリアに来るわ」

 

 

 

 

 

その言葉にここにいる大樹以外の人物たちは顔を真っ青にした。

 

ガストレアの完全体『ステージ(フォー)』を凌駕した存在。それが、ガストレア『ステージⅤ』。

 

ガストレア大戦において猛威をふるい、世界を滅ぼしたとされる11体のガストレア。通称『ゾディアック・ガストレア』と呼ばれているほどの最恐を誇る。

 

通常兵器をほぼ無力化させる硬度の皮膚、分子レベルの再生能力。人間には勝つことのできない存在だとまで言われる程だ。

 

そして、一番厄介なことは……。

 

 

「『ステージⅤ』に到達したガストレアはバラニウムの磁場の影響をほぼ……いや、全く受けない。つまりモノリスの影響も受けない」

 

 

大樹の言葉の続き。誰も聞きたくない事実。

 

 

「奴がモノリスを破壊したら、東京エリアは終わりだ」

 

 

「そ、そんな……どうして……!?」

 

 

「影胤が呼び寄せたんだろ。『七星の遺産』は『ステージⅤ』を呼び出すための触媒だ」

 

 

男がどうして『ステージⅤ』が来るのか。その理由を尋ねる前に、大樹が答えた。その言葉に男はさらに顔色を悪くした。

 

木更は現在の状況を伝える。

 

 

「今、東京エリアはパニック状態よ。誰かが……おそらくあなたが言った後援者(バック)が情報を街中にリークしたせいよ。

 

 

「厄介な奴らだな」

 

 

俺は男たちを睨みながら言うと、男たちは視線を逸らした。どうやらガストレアが来ることは知らなかったようだな。

 

 

「現在東京エリアの強力な民警が討伐部隊を組んで蛭子影胤の本拠地に向かおうとしているわ」

 

 

「お前らは行かなくていいのか?」

 

 

「行くに決まっているだろ」

 

 

俺の質問に蓮太郎が答えた。

 

 

「お前がここにいるってことは、何か策があるんだろ」

 

 

「当たり前だ」

 

 

俺は教会の壁に立て掛けてあった12本のバラニウム製の刀を腰に次々と装着する。右の腰に6本、左の腰に6本。

 

 

「恐らくその本拠地はダミー。影胤の後援者(バック)が細工した嘘の場所のはずだ」

 

 

「じゃあそこに行っても……!」

 

 

「無駄足だな。今、聖天子にそういうメールを送った」

 

 

「「「「「メール!?」」」」」

 

 

もちろん、メール(ハッキング)である。

 

 

「本当の居場所は千葉県の房総(ぼうそう)半島の海辺近くに泊めてある豪華客船。今から里見と延珠ちゃんは討伐部隊と合流して豪華客船に向かえ」

 

 

「お前はどうするんだ……」

 

 

「一足先にやることがあるから、そっちを済ませるわ」

 

 

俺は黒いコートを羽織い、教会の扉の前に立つ。

 

 

「大樹さん!黒ウサギも……!」

 

 

「元からそのつもりだ。里見と一緒に黒ウサギは行ってくれ。優子と真由美にもやってもらいたいことがある。もちろん、天童もな」

 

 

「大樹君……」

 

 

優子が俺の名前を呼ぶ。

 

 

「やっとアタシたちに頼るようになったのね……」

 

 

「ああ、やっぱり俺は弱いからな。助けてくれるか?」

 

 

「ええ、もちろんよ」

 

 

優子は大樹に優しい笑みを見せた。大樹も口元が緩んでしまう。

 

 

「詳細は後で携帯端末に送る。そして、最後に……」

 

 

大樹は捕らわれた男たちを見る。

 

 

「子どもたちのこと、守ってくれないか?」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

正気と思えない大樹の言葉。男たちもその言葉に息を飲んだ。

 

 

「もしかしたら影胤は子どもたちを殺そうとするかもしれない。だから守ってくれないか?」

 

 

大樹の言葉に『ハイ』と答える者はいなかった。しかし、

 

 

「報酬は……」

 

 

しかし、一番大樹に文句を言っていた奴が口を開けた。

 

 

「報酬は何だ?」

 

 

「そこに置いてあるすき焼き」

 

 

それからっと大樹は付け足す。

 

 

「東京エリアにいる奴らを全員救って見せる」

 

 

「……もう一つ条件がある」

 

 

「何だ?」

 

 

「この戦いが終われば、俺たちは……」

 

 

「お前らも、誰一人死なせねぇよ」

 

 

男は大樹の強い言葉に驚いた。

 

 

「絶対に死なせないから、頼んでいいか?」

 

 

「……引き受けた」

 

 

男の言葉に、他の男も頷いた。そして男たちは箸を手に取った。

 

それを見届けた後、大樹は教会の扉を勢いよく開ける。

 

 

「朝飯までには、終わらせるぞ」

 

 

明日の朝、子どもたちが起きる前に、腹を空かせる前に、この戦いを終わらせる。

 

 

 

________________________

 

 

 

黒ウサギは装備を整えた後、蓮太郎と延珠の二人と一緒に他の会社の民警たちとヘリに乗った。

 

ヘリの数は10を超え、民警とイニシエーターの数は50を超えた。東京エリアで序列が上位の25組。序列が低いのは蓮太郎ペアぐらいだ。

 

ヘリの中は誰も喋らないせいでプロペラの音がうるさく聞こえてしまう。

 

黒ウサギの隣には蓮太郎。その隣には延珠が座っている。しかし、黒ウサギは気まずい雰囲気だった。

 

黒ウサギの反対には大男が座っていた。大男は黒ウサギを睨んでいた。

 

大男の名前は伊熊(いくま) 将監(しょうげん)。黒ウサギを助けた人物であり、蓮太郎と喧嘩した人物であり、大樹に圧倒的な力を見せつけられた被害者である。

 

 

(見てます見てます!ずっと見ているのですよ!?)

 

 

将監の視線に黒ウサギは額や背中に嫌な汗を流す。黒ウサギの危機に蓮太郎や延珠は気付かない。むしろ蓮太郎が将監を睨んでいた。

 

 

「おい」

 

 

「は、はい……何でございましょうか……?」

 

 

将監に声をかけられ、黒ウサギはビクビクしながら返答する。

 

 

「何で断った」

 

 

「な、何がでしょうか?」

 

 

「ウチの民警にどうして入らなかったって言ってんだよぉ!あぁ!?」

 

 

「す、すいませんでした!!」

 

 

「うるさいです将監さん」

 

 

「あぁ!?」

 

 

将監のイニシエーターである夏世(かよ)が注意する。しかし、将監はさらに声を荒げた。

 

 

「断った理由が他の民警に入るからだぞ!?そもそもお前はどこに入ったんだ!?あと何だその服は!?」

 

 

「多いですよ!?」

 

 

「文句あるのか!?」

 

 

「ございません!!」

 

 

涙目で黒ウサギは謝罪する。黒ウサギの格好は服はカジノで着ていそうな黒い服、赤色のミニスカートでガーターベルト。そしてシルクハットを被っている。

 

他のプロモーターはそんな黒ウサギをニヤニヤしながら見ていた。それを見たイニシエーターは自分のプロモーターの足を踏んでいた。

 

 

(大樹さん……黒ウサギはもう帰りたいですよ……)

 

 

黒ウサギが落ち込んでいたその時、ヘリが降下していることにみんなは気付いた。

 

いよいよ、作戦が開始される。

 

 

________________________

 

 

 

黒ウサギたちが降り立った場所は森の中だった。12時を過ぎた夜の森は視界がとても悪く、いつガストレアに襲われてもおかしくない。そんな恐怖にプロモーターとイニシエーターは足を震わせている者が多かった。

 

この森の先に、目的地の海辺の港がある。そこに停泊した豪華客船の中に蛭子 影胤はいる。

 

そもそも何故このような場所に民警を降ろし、わざわざ港近くで降ろさなかったのか。

 

その理由は、ここはモノリスの外でガストレアが多く生息している。ヘリの音のせいでガストレアが民警の存在に気付いているはずだ。なので見晴らしの良い場所に降ろすと、ガストレアに見つかり、囲まれる可能性がある。そんな最悪な状況を避けるために、民警が隠れやすい森に降ろしたのだ。

 

さらに見つかる確率を下げるために、プロモーターとイニシエーターの二人組で単独行動している。

 

黒ウサギと蓮太郎と延珠。三人で行動しているのは、この組だけである。

 

 

「本当に黒ウサギと一緒に行動してもよろしいのでしょうか?」

 

 

「むしろ一緒に行動した方がいい。アンタも中々の実力者かもしれないが、イニシエーターがいないのは危険だ」

 

 

「むッ、蓮太郎!やはり木更と同じだからか!?」

 

 

「何がだよ」

 

 

「木更と同じくらいおっぱいが大きいからだ!」

 

 

「お前本当に黙れ!」

 

 

「く、黒ウサギはこっちの方を探索するので……」

 

 

「違う!誤解だからやめてくれ!」

 

 

その時、黒ウサギの動きを止めた。シルクハットの中でウサ耳を動かし、敵の位置を探った。

 

 

「里見さん。この先は危険です。迂回しましょう」

 

 

「は?何でだよ」

 

 

「この先にガストレアがいるからです」

 

 

「「!?」」

 

 

黒ウサギの言葉に蓮太郎と延珠は目を見開いて驚愕した。

 

 

「わ、分かるか延珠?」

 

 

蓮太郎の言葉に延珠は首を振った。

 

延珠より先に敵を見つけたことに蓮太郎はさらに驚いた。

 

 

「大きさからしてステージⅢ~Ⅳだと思われます」

 

 

「お、大きさまで分かるのか!?」

 

 

「黒ウサギのみm……直感です!」

 

 

(えッ!?この人、何者なんだッ!?)

 

 

蓮太郎は戦慄。黒ウサギの嘘に驚くしかなかった。

 

 

「と、とにかく別のルートを……」

 

 

黒ウサギが別のルートを勧めようとした時、

 

 

ドゴオオオオオォォォ!!

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

爆発音が森全体に響き渡った。その音に三人は驚き、顔が真っ青になった。

 

この森で爆発物を使うこと。

 

 

 

 

 

それは、森を起こしてしまうからだ。

 

 

 

 

 

森に棲むガストレアが全て目を覚まし、動き始める。三人に緊張と恐怖が伝わり、体が硬直する。

 

 

「「「……………!」」」

 

 

ガストレアの足音が聞こえ、吠える声が響き……。

 

 

「「「……………?」」」

 

 

が、ガストレアの足音が聞こえ、吠える声が響き……。

 

 

「「「……………」」」

 

 

……………。

 

 

「「「え?」」」

 

 

ガストレアの足音一つ、鳴き声が一つも聞こえなかった。

 

 

「お、おかしい……ガストレアの一匹すら鳴き声をあげないなんて……!?」

 

 

「あ、あれ!?」

 

 

さらに黒ウサギは驚く。黒ウサギは自分の耳を疑った。

 

 

「さ、さっきのガストレアが……もういません……」

 

 

「は?」

 

 

そして、蓮太郎も耳を疑った。

 

 

「ど、どういうことだよ?」

 

 

「黒ウサギにも分かりませんが、さっきのガストレアはどこかに行ったのかと……」

 

 

さっきの爆発音で移動したなら足音や鳴き声が聞こえてもおかしくないはずだ。だが、何も聞こえなかった。

 

 

「と、とにかく迂回しよう。用心して損はないだろ」

 

 

「そ、そうですね……」

 

 

疑問ばかりが残る三人。モヤモヤとした気持ちのまま、彼らは警戒しながら森の中を歩いた。

 

 

 

________________________

 

 

 

時間にして10分。三人が森を歩いていると、黒ウサギが蓮太郎と延珠を止めた。

 

 

「人です。子どもくらいの身長なのでイニシエーターかと……」

 

 

今度は子どもをウサ耳で見つけた。黒ウサギは蓮太郎と延珠にそのことを報告した。すると蓮太郎は、

 

 

「どっちだ?」

 

 

「あちらです」

 

 

イニシエーターのいる方向を尋ねた。黒ウサギが蓮太郎に方向を教えると、蓮太郎は息を大きく吸い込む。

 

 

「おーい!民警なら返事をしろッ!!」

 

 

ガストレアにギリギリ聞こえないぐらいの声量。加減をした大声で遠くにいる子どもに声をかける。

 

 

「近づいて来ます」

 

 

黒ウサギの言葉通り、カサカサと草をかき分ける音、パキパキと木の枝が折れる音がだんだん大きくなっている。子どもが近づいてきているのだ。

 

そして、子どもの姿が確認できた。

 

 

「「ッ!?」」

 

 

子どもの姿を見た黒ウサギと蓮太郎は驚いた。

 

その子どもを黒ウサギは知っている。この子どもに助けてもらったから。

 

そのイニシエーターを蓮太郎は知っている。頭突きしてきた奴の相棒だったから。

 

 

「ッ……あなたがたは」

 

 

将監のイニシエーター、夏世だった。

 

 

________________________

 

 

 

石造りの建物の中から火の光が溢れていた。

 

枯れ木と落ち葉を集め、マッチで着火させた小さな焚火。それを囲むように黒ウサギと夏世。そして蓮太郎が座っていた。

 

延珠は外で見張りをしている。本当は黒ウサギがやるつもりだったが『妾ならこのおっぱいより先に見つけ出せる!』と涙目で告げられたので、黒ウサギも素直に休憩することにした。しかし、ウサ耳は警戒を怠らないようにしている。

 

何故休憩をするのか?それは夏世が怪我をしていたからだ。

 

ここに来る途中ガストレアに襲われてしまい、戦闘中に将監とははぐれてしまい、さらに怪我を負ってしまうと踏んだり蹴ったりだったのだ。

 

夏世は黒ウサギの不思議な力(ギフト)で治してもらい、傷を治療した。

 

 

「一体どういう仕組m……」

 

 

「『聞かぬが仏』という(ことわざ)はご存知でしょうか?」

 

 

「……………」

 

 

黒ウサギは夏世を豆知識で黙らせた。夏世もこれ以上の追及はキッパリ諦めた。蓮太郎は外の風景を眺めて見て見ぬフリをした。

 

 

「改めて自己紹介させてもらいます。三ヶ島ロイヤルガーター所属プロモーター伊熊 将監のイニシエーターで、千寿(せんじゅ) 夏世と申します」

 

 

「えーと、俺は……天童民間k

 

 

「里見さんのことは知っていますので結構です」

 

 

「……………」

 

 

冷たい一言に蓮太郎は膝を抱えて壁の方を向いた。年下から言われるのは相当キツイようだ。

 

 

「く、黒ウサギのことは……」

 

 

「三ヶ島ロイヤルガーターに入らなかった恩知らず」

 

 

「……………」

 

 

絶対零度のような冷たい一言に黒ウサギは膝を抱えて壁の方を向いた。冷た過ぎた。

 

 

「冗談ですからこっちを向いてください」

 

 

ゆっくりと蓮太郎と黒ウサギは振り返り、夏世の方を向いた。二人ともあまりの恥ずかしさに顔が真っ赤である。

 

蓮太郎は恥ずかしさを誤魔化すために、夏世に話しかける。

 

 

「そ、そういや将監はどうしたんだ!?迷子か!?」

 

 

「………迷子」

 

 

(しまった!幼稚すぎたかッ!!)

 

 

今度は夏世が膝を抱えた。蓮太郎は何かないかと話題を探し、夏世の持っていたショットガンに目をつけた。

 

 

「お前の持っている銃、見てもいいか?」

 

 

「ッ!」

 

 

サッ

 

 

その時、夏世は急いで自分の後ろにショットガンを隠した。

 

その怪しい行動に蓮太郎と黒ウサギは眉を潜めた。

 

 

「………イヤだと言ったら?」

 

 

夏世の低い声に黒ウサギが驚くが、蓮太郎は無言で夏世の瞳を見続けた。

 

しばらく沈黙が続くが、視線に耐えかねた夏世はショットガンを蓮太郎に渡し観念した。

 

蓮太郎はショットガンを細かくチェックする。

 

サイレンサー付きフルオートショットガン。装備拡張用の20ミリレイル。

 

 

「……どうして爆発物を使った?」

 

 

そして、合体装着(アドオン)タイプのグレネードランチャーユニット。その薬室の中に弾が無くなっていた。

 

先程の爆発音の犯人は、夏世だったのだ。

 

 

「……罠に、かかったんですよ」

 

 

「罠?」

 

 

夏世が言うには森に降りて将監と一緒にしばらく進むと奥の方で点滅する青いパターンが見えたそうだ。

 

二人は他の民警だと思った。合流して情報交換しようと考えていた。

 

しかし、それは違った。

 

少し考えれば分かることだった。青いライトなんて誰も使わないことに。

 

結局、二人が遭遇したのは民警ではなくガストレア。青いランプをぶら下げたガストレアだったのだ。

 

 

「情けない話ですが、初めて見るタイプで判断が追いつかず……」

 

 

「引き金を引いてしまった」

 

 

「そこからは里見さんのご想像通りです」

 

 

「……ガストレアに追われた時に将監とはぐれてしまい、将監を探していたら俺たちと出会ったってわけだな」

 

 

蓮太郎の言葉に夏世は頷く。蓮太郎は手を(あご)に当てて思考を巡らせる。

 

 

「そのガストレアって植物みたいな奴だったんだよな?」

 

 

「はい」

 

 

「……何か臭いを放ってなかったか?」

 

 

「臭いですか?」

 

 

夏世は蓮太郎の質問に答えるため、出来事を思い出す。

 

 

「……そういえば辺り一帯に腐ったような臭いが……」

 

 

「間違いない」

 

 

蓮太郎は断言する。

 

 

「そいつはラン科の植物と(ほたる)が混ざった動植混合ガストレアだ」

 

 

「動植混合……!?」

 

 

蓮太郎の答えに黒ウサギは驚いた。ガストレアはステージが上がって行くごとに進化するが、動物と植物が混合したガストレアがいることは初めて聞いたからだ。

 

そして同時に夏世も驚愕していていた。

 

 

「今のでそこまで分かるんですか……?」

 

 

モデルとなった動物か植物を当てるのではなく、動植物と答えた蓮太郎。その思考と判断は並みの人間ができるモノではなかった。

 

 

「ああ、ホタルは花粉や(みつ)をとって生きてるけど、獰猛(どうもう)な肉食性のホタルもいるって知ってか?」

 

 

(肉食の蛍……)

 

 

黒ウサギの中にあった蛍のイメージが一気に覆され、少しショックを受けた。

 

 

「別種の蛍の発行パターンを真似て近寄って来た蛍を捕食すんだよ」

 

 

(あー、あー、黒ウサギには何も聞こえないのですよー)

 

 

「それにラン科の植物ってのも、虫類をおびき寄せる腐臭を放って花粉を運んでもらう種がいるらしいし、今回は人間を誘い込む臭いを合成したんだろう」

 

 

蓮太郎のずば抜けた天才的推理に夏世は唖然していた。

 

そこらにいる動物博士、虫博士にこの話を聞いても予測できる者は少ないはずだ。しかし、蓮太郎は予測ではなく『答え』を導きだした。

 

 

「まぁお前らの不注意だけが原因じゃないってことだな」

 

 

「ッ!」

 

 

笑みを見せながら蓮太郎は夏世に言った。夏世は顔を赤くして下を向いた。

 

 

(里見さんも大樹さんと同じような方ですね……)

 

 

黒ウサギは二人を見て微笑む。

 

夏世は照れを隠すために笑いながら言う。

 

 

「それにしても見てもいないガストレアの種類を言い当てるとか、里見さんって生物オタクなんですね」

 

 

「ぐッ!!……それを言うなよ」

 

 

蓮太郎は反論を考えたが、出てきそうにないので開き直った。

 

 

「仕事に有利な知識だぞ!何が悪い!」

 

 

(開き直るところが大樹さんとそっくりなのですよ)

 

 

兄弟か何かではないかと黒ウサギはつい疑ってしまった。

 

 

「でもいいですね。あなたみたいなプロモーターといると退屈しなさそうです。少しだけ、延珠さんが羨ましいです」

 

 

「……お前は伊熊 将監のようなプロモーターと居て楽しいのかよ?」

 

 

「……イニシエーターは殺すための道具です。是非などありません」

 

 

蓮太郎の質問に夏世は答えなかった。だが、その返って来た言葉に蓮太郎は大声を上げた。

 

 

「違うッ!!お前も、延珠も……道具なんかじゃねぇ!」

 

 

「そうですよ!そんなことありません!」

 

 

蓮太郎に続いて黒ウサギも否定した。しかし、夏世の顔色は暗いまま。

 

 

「里見さんは人を殺したことがありますか?」

 

 

夏世は告げる。

 

 

 

 

 

「私はあります」

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

その言葉に二人はゾッとした。

 

 

「人を……人を殺したのかッ!?」

 

 

「なぜ怒るのですか?」

 

 

蓮太郎の低い声を聞いた夏世はさっきと同じペースで話す。

 

 

「人間からガストレアになり、私たち民警によって殺される例はいくらでもあります。その時人々の心に浮かぶ言葉は『退治』『駆除』。でも分かっているはずです」

 

 

夏世の言いたいことは二人にも分かっていていた。

 

 

「それは紛れもなく『人殺し』だと」

 

 

「ッ……………!」

 

 

蓮太郎の表情が歪む。

 

人がガストレアになる。なら逆説を使うとガストレアは人だ。

 

ガストレアを殺すということは人を殺すということ。夏世の言っていることは完全に否定できるものではなかった。

 

 

「それでも私たち(イニシエーター)の仕事はガストレアを殺すこと。そして持ち主(プロモーター)の命令は絶対です。それが例え『人』を殺すことであれ、私は道具として従うだけです」

 

 

「……お前はそれで何とも思わないのか?」

 

 

「思って解決するなら」

 

 

パチンッ!!

 

 

「「ッ!?」」

 

 

 

 

 

黒ウサギは夏世の頬をビンタしていた。

 

 

 

 

 

突然の行動に夏世と蓮太郎は驚いていた。

 

黒ウサギは唇噛み締め、苦しそうな顔をしていた。

 

 

「そんなの……間違っています!!」

 

 

黒ウサギの大声は外にいる延珠にも聞こえた。

 

 

「確かにガストレアを殺した黒ウサギたちは『人殺し』かもしれません……ですが、黒ウサギたちはガストレアになった者たちに『人殺し』という汚名を着せないために、苦しみから解放するために……!」

 

 

「それは綺麗ごとです」

 

 

「それくらい知っています!!でもいつかこんな汚い綺麗ごとを言わないために、黒ウサギたちは戦わないといけないのです!」

 

 

黒ウサギは強く手を握る。思っていることを言葉にするのが難しくて、もどかしくて、悔しかった。

 

 

「だって……そうしないと……そうじゃないと……!」

 

 

「……どうして」

 

 

夏世は黒ウサギに尋ねる。

 

 

「どうして私たちを傷つける者たちを助けないといけないのですか?」

 

 

「ッ……………!」

 

 

「私たちには道具という居場所があるのです。それでも私たちの待遇は厳しいまま」

 

 

「だからそれを……!」

 

 

「そもそも本当に変えれると思っているのですか?」

 

 

「……絶対に変えれます」

 

 

最後の言葉だけは黒ウサギは強く肯定できた。

 

 

「黒ウサギ一人ではできません。ですが、大樹さんと一緒なら……優子さんと真由美さんと一緒なら……この世界を変えれます」

 

 

「……………」

 

 

「黒ウサギが三ヶ島ロイヤルガーターに入らなかったのもそれが理由です。金儲けのためではなく、子どもたちのために黒ウサギは違う民警に入ったのです」

 

 

あの日、武器を貰った後、黒ウサギは三ヶ島ロイヤルガーターの勧誘を断った。そして、黒ウサギが所属した民警は天童民間警備会社だ。

 

金の為では無く、人を救うために入った。子どもたちのために入ったと言って過言ではないだろう。

 

 

「世界を変えることはできます。ですが、亡くなった人の命は変えることも戻すこともできません。黒ウサギたちができることは、最悪なケースを避けることしかできないのです」

 

 

ガストレアを殺すことに、黒ウサギは悩んでいた。しかし、大樹にそのことを話すと、

 

 

 

 

 

『無理して殺さなくていい。辛いならやめていいんだ』

 

 

『ですがッ!』

 

 

『逃げることは悪い事じゃない。最悪な現状から変える一手でもある』

 

 

『……大樹さんは、どうするのですか?』

 

 

『ガストレアから人に戻すことができなかったら、殺すよ俺は』

 

 

『……辛くないのですか?』

 

 

『正直辛い。でもアイツらを殺さないと死ぬ人がいる。人間だったガストレアに殺人をさせたくないし……って綺麗事だなこれは』

 

 

『大樹さん……』

 

 

『世界、変えないとな……』

 

 

 

 

 

遠い目をした大樹を思い出し、黒ウサギは強く歯を食い縛る。

 

儚い望みに大樹も絶望しかけている。それでも大樹は戦うことを決意した。『人殺し』の罪を重く受け入れていた。

 

だから、夏世にも伝えなければならない。

 

 

「だからッ……!」

 

 

「信じてみます」

 

 

「ッ!」

 

 

黒ウサギが何かを言う前に、夏世は黒ウサギに優しい笑みを見せた。

 

 

「つらかったのでしょう。ガストレア(ひと)を殺すことは、悪です。正しいはずがありません。正義が悪人を殺してもそれは悪です」

 

 

(大樹さんと……同じことを……)

 

 

『俺は人を傷つけた。正義のヒーローになることは絶対に無い。なるのは……悪の化け物だけだ』

 

 

黒ウサギは泣きそうな声で話す。

 

 

「悪なんて……悪なんていらないのですよ……!」

 

 

「そうです。必要ないのです。民警はいらない存在かもしれない。ガストレアを、人を殺した悪ですから」

 

 

「違いますッ!!あなたがたは……!」

 

 

「だから……」

 

 

夏世は手を黒ウサギの頬に手を置いた。

 

 

 

 

 

「私たち悪人を、救ってください」

 

 

 

 

 

「………救いますよ……絶対に救ってみせるのですよ……!」

 

 

夏世は笑顔で告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたたちは、正しい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に黒ウサギは涙を流した。

 

 

(大樹さんの泣き虫が移ってしまったのですよ……)

 

 

黒ウサギは涙を拭き、夏世を優しく抱きしめた。

 

その(ぬく)もりの暖かさに、感じたことの無い暖かさに夏世は静かに目を閉じる。

 

 

「信じてみます。その可能性に、その言葉に」

 

 

夏世の言葉に黒ウサギはさらに抱き締める力を強めた。

 

 

「……………」

 

 

その時、二人を見ていた蓮太郎も静かに決意を固めていた。

 

これからの戦いのために必要な決意を。

 

 

「蓮太郎」

 

 

「……なぁ延珠」

 

 

いつの間にか一連を見ていた延珠が蓮太郎に声をかける。蓮太郎は拳を握り絞めたまま延珠に声をかける。

 

 

「絶対に、勝つぞ」

 

 

「妾も、負けない」

 

 

二人は手を握り、強く決意した。

 

みんなで帰るために。

 

 

 

しかし、彼らは気付いていない。

 

 

既に最悪な展開へと駒が進んでいたことを。

 

 

 




活動報告を書きました。内容は、


Twitter始めました。(最強の定例分)


始めた理由は『いつ更新するのか分からない』『小説の現在状況が分からない』という理由です。更新する時はTwitterで報告して、皆様に伝えようと思います。

活動報告に私のTwitterのリンクページがあるので、フォローしてくれると大変うれしい限りです。

他にも感想で書けないことや『作者、ここ字が違う』や『作者、最新話のネタ滑ってる』など書いてくれても構いません。質問などはできる限り返信してお答えしたいと思います。

感想や評価をくれると嬉しいです。Twitterもよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。