どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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敗北の炭は闘志を燃やす

【黒ウサギ視点】

 

大樹さんが見つからない。

 

黒ウサギの頭の上にあるウサ耳を使えば学校一帯の構造や人を大方把握することできる。今回も、大樹を簡単に探し出せると思っていたが、

 

 

(大樹さん、学校にはもういないのでしょうか?)

 

 

美月とエリカの二人と別れた後、大樹を探していた。正確には大樹の居場所が知りたいが正しい。しかし、大樹は電話やメールには一度も出らず、友達の達也にも連絡してもダメだった。

 

黒ウサギは右手に持った買い物袋を見る。中には美月とエリカが一緒に選んでくれた服が入っている。購入した理由は、休日に着ていくためだ。

 

 

(と、途中で大樹さんに見つかりたくないですよ……)

 

 

大樹を探している最大の理由は一つ。買った服を見られたくないからだ。

 

エリカ曰く、男の人とデートする時はいつもと雰囲気が違う服を着ることが大切らしい。男はいつも違う………かかかかか彼女にドキドキするそうだ。

 

………そ、そんなことより!

 

 

(だ、大樹さんはもう家に帰ったんでしょうか?)

 

 

空は暗くなり、電灯が光り出す。ここまで見つからないとすると、大樹はもう家に帰っているのかもしれない。

 

自分の中で結論を出した黒ウサギは帰宅する時に、二階から侵入してクローゼットの奥に服を隠すことに決めた。

 

 

しかし、それはできなくなった。

 

 

「ッ!?」

 

 

黒ウサギの行動は早かった。横に大きく跳躍し、懐からギフトカードを取り出す。

 

その瞬間、

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

黒ウサギがいた場所に巨大なハンマーが振り下ろされた。

 

アスファルトは砕け、黒ウサギにアスファルトの破片が襲い掛かる。手を覆って顔を隠すが、腕と脚に当たり、痛みが走る。

 

右手に持っていた買い物袋がアスファルトの破片と一緒に後ろに飛んでいく。

 

 

「ッ!…………誰です!?」

 

 

苦悶の顔を浮かべながら黒ウサギは襲撃者を見据える。

 

襲撃者はなんと女の子だった。

 

身長は小柄。

 

 

髪はショ()()()()()()()()をしていた。

 

 

そして、一番驚いたことは……黒ウサギと同じ、魔法科高校の制服を着ていることだ。

 

 

(まさかッ!?黒ウサギたちをずっと見張っていたのですか!?)

 

 

黒ウサギの額に嫌な汗が流れる。

 

女の子は自分の身長より何倍も大きいハンマーを手のひらサイズまで小さくした。

 

 

(大きさを自在変える武器ですか………しかし!)

 

 

黒ウサギはフードを脱ぎ、髪の色を緋色に変える。

 

 

ダンッ!!

 

 

刹那、第三宇宙速度に劣らない速さで女の子の後ろをとった。

 

 

(例え相手が反応できたとしても、ハンマーを大きくするまでにタイムラグが生じる!)

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

そして、黒ウサギの綺麗な回し蹴りが女の子の頭にクリティカルヒットした。

 

 

________________________

 

 

【大樹視点】

 

 

ガチンッ!!

 

 

「ッ!」

 

 

俺は背中に突き刺さろうとする槍を体を捻って回避し、刀をぶつけた。

 

ぶつかった勢いを利用して、襲って来た女の子と俺は同時に距離を取る。相手と十分に距離を取ったことを確認してから二本の刀をギフトカードに戻す。

 

 

そして、俺は音速のスピードで逃げ出した。

 

 

先程からこれの繰り返しだった。攻撃されては防御。そして、逃げる。ひたすら繰り返した。べ、別にビビっているわけではないぞ!

 

街のビルの屋上を行き渡って、下の通行人に気付かれないように。

 

 

(ああクソッ!!いつになったら着くんだよ!)

 

 

俺は頭の中で愚痴る。逃走する理由は二つ。

 

まず一つ目はここの街の人々の安全を守るためだ。ここは大通りって言うほどじゃないが1、2人は必ず通る。巻き込まれたらただじゃ済まないだろう。

 

二つ目は街の被害を減らすためだ。自慢ではないが俺たちが本気で戦うと、ここ一帯の家宅が木端微塵に吹っ飛ぶ。もう俺たち大迷惑クズ野郎どもだな。よって、人がいない場所まで移動中だ。

 

 

「ッ!?」

 

 

ドゴッ!!

 

 

俺は思考を中断して後ろに下がる。その瞬間、目の前に女の子が槍を突き刺しながら上から襲い掛かって来た。屋上でも構わずドンパチやりやがって。俺の気遣いを無駄にしてんじゃねぇよ。

 

槍は屋上の床に突き刺さり、地面が砕ける。

 

 

(クソッ、気配が全く分からねぇッ!)

 

 

女の子に虚をつかれてばかりで焦る。相手の気配がここまで分からないなんて………どんなトリックを使ってんだ。

 

しかし、女の子の攻撃はそこで終わりじゃない。すぐに槍を袖の中に戻し、後ろに下がった俺に向かって突進する。追撃の一撃が俺に襲い掛かる。

 

 

「【無刀の構え】!」

 

 

相手の動きに合わせて俺は拳を構える。

 

 

「【黄泉(よみ)(おく)り】!!」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

時には反撃も必要だ。やられっぱなしは性に合わない。俺の右ストレートが女の子の腹部に当たる。

 

 

(と、思ったけど……)

 

 

女の子の反対の手。袖から槍を出してガードしていた。

 

右手の袖から出た槍と全く同じだった。おい、俺の手が一般人なら千切れているぞ。

 

 

(女の子に追い詰められすぎだろ、俺)

 

 

俺はそのまま腕に力を入れ後ろに再び下がる。

 

 

(あの服の中……どうなってんだ?)

 

 

いっそのこと、ひん剥いてやろうかと犯罪者の一歩手前まで考えたがやめる。そろそろ冗談じゃ済まされないほど追い詰められてきたからだ。

 

女の子は未だに一言も喋らない。その代わり、

 

 

最高速度での槍の突きがプレゼントされる。

 

 

「くッ!」

 

 

俺は音速で上に飛翔して攻撃をかわす。

 

追撃が来ると予想した俺はギフトカードから長銃を取り出す。

 

 

神影姫(みかげひめ)

 

 

それは銃のギフトネームだ。ギフトカードにそう書いてあるので間違いないと思う。

 

 

ガガガガガガガガガガガガキュンッ!!!

 

 

鬼種のギフトの力を込めた12発の全弾丸を一瞬にして放った。女の子は槍を二本同時に出し、クロスさせガードする準備をしている。

 

俺は相手がどうなったかを確認せず、そのまま建物の狭い路地に着陸する。どうせあの程度では倒せないことぐらい分かっていたからだ。

 

 

(未だにこの銃の恩恵がどんなのか分からねぇな)

 

 

使いやすさと威力は抜群。文句の付け所は無いが、何かもう一つ能力が欲しいという願望がある。

 

俺は銃を直しながら路地を駆け抜る。そして、ある場所についに行き着く。

 

 

(どうも、東京湾………!!)

 

 

少し荒らしますが許してください。

 

俺の完全記憶能力で覚えた情報が正しければこの時間帯に人はいないはずだ。住宅も近くに無い。あるのは寝静まった工場だけ。

 

ここでならやりたい放題にできる。

 

 

「さぁ………反撃開始だ!」

 

 

俺は右足に力を入れてブレーキの役割を果たさせる。ブレーキをかけながら後ろを振り向くと、女の子がちょうど翼を広げ、空を飛んでいた。

 

 

「オラァッ!!」

 

 

ドゴッ!!

 

 

俺は近くにあった1~2トンもするコンテナを蹴り飛ばす。コンテナはへこみ、恐ろしい速度で女の子に向かって飛んでいった。

 

 

「!?」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

女の子は驚くも、袖の中から槍を出して、コンテナを粉々に粉砕する。だが、女の子の驚きはこれで終わらない。

 

 

女の子の目の前にはすでに俺の投げた刀の刃先が迫っていた。

 

 

「ッ!」

 

 

唐突な追撃攻撃に女の子は目を見開くが、翼を使って横に回避する。クソッ、翼があるせいで空中でも回避できるのか………まぁ、

 

 

そうやって回避するだろうと思ったぜ。

 

 

「これで終わりだ」

 

 

「ッ!?」

 

 

女の子は顔を青くする。俺はコンテナと刀を囮に使った。俺は女の子が回避した刀を右手で掴む。そして、

 

 

ザンッ!!

 

 

そのまま女の子の首を容赦なく斬った。

 

 

「ってはぁ!?」

 

 

俺は声に出して驚愕する。確かに女の子の首を斬った。だが、

 

 

 

 

 

斬ったのにも関わらず、女の子はまだ生きていた。

 

 

 

 

 

斬った切り口から血では無く、青い透明の液体が飛び出していた。水に近い液体だ。

 

液体は首と頭を繋ぎ、離れないように繋がっている。

 

 

そして、俺から頭と一緒に距離を取った後、元通りにくっつけた。

 

 

(何だよアレ!?水人間か!?)

 

 

アニメや漫画で出てきそうな怪物だった。斬っても斬っても復活するスライムのような。

 

 

(これがコイツの神の力!)

 

 

ザバアアアアアンッ!!!

 

 

相手の正体について整理していると、港の海から巨大な水柱が竜巻のように巻き上がる。竜巻は空まで続いていた。

 

 

「……………で」

 

 

でけえええええェェェ!!??

 

何これ!?もう街の安全とかちょっと保障できないんだけど!?

 

 

ゴオオオオオッ!!

 

 

「くッ!!」

 

 

水柱から何十本もの水の槍が発射される。俺は音速のスピードで避けていく。だが、

 

 

「ッ!?」

 

 

水柱から噴出された槍は地面に突き刺さった後も分裂して俺を追いかけてきた。俺は急いで刀を二本取り出し、受け止める。

 

 

(ヤバッ!?)

 

 

しかし、受け止めるのは間違いだった。水の槍は当たった瞬間、左右に別れて俺の体に水が纏わりついた。俺は急いで呼吸を止める。

 

次々と水の槍は俺の周りに刺さっていき、やがて俺を中心とした水球の牢屋が出来上がる。

 

 

(くッ、上手く泳げねぇ!)

 

 

相手の力のせいだろうか。下向かって下降しても、上に向かって上昇しても、全く位置が変わっていない。

 

 

……タイムリミットは20分くらいって言ったところか?

 

 

いくら神の力を持ったとしても、人間の肺に酸素をため込んでおくのは限界がある。エラ呼吸ができれば話は別だが。

 

女の子は両手に2つの水球を作り上げる。そして、水球は形を変える。

 

水球は馬の形に変化した。その形を見て俺は確証する。

 

 

(やっぱり………あいつの神の正体は……!)

 

 

だが、思考は続けれなかった。

 

 

ドゴッ!!!

 

 

(うッ!!)

 

 

二匹の馬は超スピードで俺がいる水球の中へと突進し、攻撃して来た。

 

刀で応戦しようとするも、水のせいで威力は絶望的に下がり、スピードは素人が避けれるほど退化していた。

 

 

(まさか、海におびき寄せるのが仇となるとは思わなかった……!)

 

 

自分の行動の甘さに後悔する。だが、後悔したところで戦況は変わらない。

 

俺はとにかく防御に専念する。

 

 

ガチンッ!!

 

 

俺は水の馬の攻撃を受け流し続ける。これならば大きな動きをする必要はなく、問題なくかわせる。

 

 

(問題はここからどうするか………が、問題だ)

 

 

俺の中で、余裕は消えた。

 

 

________________________

 

 

【黒ウサギ視点】

 

 

「なッ!?」

 

 

黒ウサギは目を疑った。

 

 

女の子の頭に確実に蹴った。そう、確実にだ。

 

 

 

 

 

だが、黒ウサギの蹴りはすり抜けた。

 

 

 

 

 

まるで最初からそこには何も無かったかのように。

 

 

(幻覚!?)

 

 

いや、それは違うと黒ウサギは頭の中で否定する。すでにウサ耳でそこに敵がいるのは分かっている。

 

 

(では、何故当たらないのですか!?)

 

 

全く分からなかった。いるのにいない……存在が。

 

 

「【ソード】」

 

 

「ッ!?」

 

 

女の子が初めて口を開く。短い言葉を言った瞬間、いつの間にか女の子の手には銀色に輝く剣が握られていた。

 

女の子は剣をそのまま黒ウサギへ上から振り下ろした。

 

黒ウサギも負けてはいなかった。あらかじめ握っていたギフトカードから雷を女の子に向かって撃ち出す。

 

 

バチンッ!!

 

 

雷は女の子が持っていた剣にぶち当たる。剣は見事に女の子の手から離れ、上空に飛ばされる。

 

 

だが、それは無意味だった。

 

 

「【ソード・ダブル】」

 

 

「ッ!?」

 

 

黒ウサギは驚愕する。

 

 

女の子の両手には先程と同じ剣が二本握られていた。

 

 

(そんなッ!?)

 

 

黒ウサギが驚愕したのは女の子が出現させた速さだ。

 

剣が飛んでいってから1秒。いや、1秒すら経っていなかった。

 

とてつもない速さで剣を再び作り上げたのだ。

 

 

(このままじゃッ!?)

 

 

黒ウサギは避けきれない。

 

攻撃を受ける覚悟をした。

 

 

「【天輝(あまてる)】!!」

 

 

「「ッ!?」」

 

 

黒ウサギと女の子の間に、一筋の赤い光線が通り過ぎる。

 

女の子は後ろに大きく下がり避ける。

 

 

「大丈夫か!?黒ウサギ!?」

 

 

「原田さん!」

 

 

助けてくれたのは原田だった。原田は短剣を右手に持ち、黒ウサギの横に立つ。

 

 

「はい!問題ありm

 

 

「ぜぇ……!はぁ……!ぜぇ……!はぁ……!!」

 

 

(どちらかという原田さんが大丈夫でしょうか!?)

 

 

原田はここに辿り着くまでマッハ300kmで黒ウサギを探し回っていた。

 

 

「ふぅ………で、そいつが敵か」

 

 

息を整え(顔色は未だにもの凄く悪い)原田は相手を睨む。

 

 

「誰だ」

 

 

原田は簡単な質問を女の子に投げる。

 

 

「………セネス」

 

 

「本名は?」

 

 

「………そこまで言うわけないじゃん。馬鹿なの?」

 

 

「あぁん!?」

 

 

セネスの言葉に原田が半ギレになる。く、口の悪い女の子ですね。

 

 

「テメェ、何処の神の保持者だ」

 

 

「それも言うわけないじゃん。アホなの?」

 

 

「はいキレたッ!もう謝っても許さん!」

 

 

原田はセネスと距離を一瞬で詰め、短剣を腹に突き刺した。

 

だが、黒ウサギと同様、短剣は体をすり抜けてしまった。

 

 

「………それで隠れたつもりか」

 

 

原田はその場で小さく飛び、

 

 

虚空に向かって。セネスの左隣の空間を回し蹴りした。

 

 

ドゴッ!!

 

 

「くッ!?」

 

 

「え?」

 

 

セネスの呻き声が聞こえた。黒ウサギはその声を聞き、何が起こったのか分からなかった。

 

 

だが、次の瞬間、分かった。

 

 

「ッ!?」

 

 

黒ウサギは驚愕する。

 

 

原田が蹴った虚空にはセネスが現れた。

 

 

セネスは原田の蹴りを見事に食らっていた。セネスは後ろに吹っ飛び地面に叩きつけられる。

 

一方、短剣を刺したセネスは霧のように散布した。

 

 

「な、何で!?」

 

 

「別に驚く事ではないだろ。馬鹿か?」

 

 

「くッ!」

 

 

地面から立ち上がるセネスに此処とぞばかりに原田は憎たらしげに馬鹿にする。正直大人げない。

 

 

「この………ハゲッ!!」

 

 

「ああああああッ!!!もうお前は絶対に許ねぇッッ!!」

 

 

ついにハゲ(原田)の臨界点が突破した。

 

 

「………で、突撃してきたところを串刺しでもするのか?」

 

 

「ッ!?」

 

 

原田は地面に倒れた時にしかけた罠を見切っていた。セネスはあまりの衝撃に後ろに一歩下がる。

 

 

「【天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)】」

 

 

ザンッ!!

 

 

原田は短剣で空中に亀裂を作る。

 

 

「ッ!……【ソード・トリプル】!」

 

 

ガシュンッ!!

 

 

セネスはさらに後ろに下がり、空中に三本の剣を作り出した。

 

三本の剣は地面に突き刺さり、三角形を描くように地面を切り裂いた。

 

 

ドゴッ

 

 

アスファルトは見事に抜け落ち、セネスは切り抜いたアスファルトと一緒に三角形の穴に落ちた。

 

 

「逃がしません!」

 

 

黒ウサギは急いでセネスを追いかけようとするが、

 

 

「よせ!」

 

 

原田が黒ウサギの腕を引っ張り、静止させる。

 

 

その瞬間、

 

 

無数の剣が穴から飛び出してきた。

 

セネスは黒ウサギたちが追いかけてくると予想し、攻撃して来たのだ。

 

 

「【天輝(あまてる)】!」

 

 

原田は飛び出してきた剣の集合体に向かって赤い閃光を放つ。

 

 

ズキュウウウウンッ!!!!

 

 

全ての剣は見事に塵一つ残らず、消えた。

 

 

「………逃げられたか」

 

 

原田は穴を覗いて舌打ちをする。

 

まさか下水道に逃げるとは思わなかった。ウサ耳で追跡しようとするが、すでに遠くに行ってしまったようだ。

 

 

「す、すみません。黒ウサギのせいで」

 

 

「いや、気にするな。それより大樹が心配だ。探しに行くぞ」

 

 

「は、はい!」

 

 

黒ウサギは落としていた買った袋を手に取る。

 

袋はボロボロになっていた。

 

 

 

 

 

黒ウサギは目に涙を浮かべ、そのまま袋は地面に置いた。

 

 

 

 

 

大樹を探すために。

 

 

________________________

 

 

【大樹視点】

 

 

「………ッ!」

 

 

あれからどのくらいの時間がたったのだろうか?

 

無限に作り出される槍。永久的に走り続ける馬の攻撃を耐えながら考えるが、意識がもうろうとしてきている。

 

 

(ちくしょう……まだ20分も経ってないのに……もう息がッ……!)

 

 

攻撃に耐え続けて約15分。限界が近づいてきていた。誰だよ。タイムリミットは20分とか言ってる奴は。

 

ついに俺の手から二本の刀が離れる。

 

 

(ここまで……か……?)

 

 

……………いや、諦めらめるかよ。

 

 

優子を……アリアを……美琴を……助けるまで!

 

 

「ッ!!」(死ねるかあああああッ!!)

 

 

心の中で叫ぶ。諦めようとした自分を消すために。

 

俺はCADを取り出す。ただし、ボロボロになった拳銃型CADでは無い。

 

 

 

 

 

俺の最高傑作。【爆弾型CAD】だ。

 

 

 

 

 

何言ってんだコイツ?っと思うところ悪いが、説明は後でする。

 

俺は野球ボールくらいの大きさをした爆弾型CADについたボタンを押す。

 

 

(3……2……1……!)

 

 

その瞬間、爆弾型CADが光り出した。

 

 

(振動減速系広域魔法………)

 

 

俺は全ての息を吐き出し、水を出す。

 

こんな所で死ぬなよ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(【ニブルヘイム】!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチンッ!!

 

 

爆弾型CADは破裂し、魔法陣が展開する。

 

 

魔法が発動した。

 

 

そして、俺に纏わりついていた水が凍結した。

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

不可解なことに女の子は混乱する。

 

俺を閉じ込めていた水球は一瞬にして氷の球に変化した。そして、

 

 

バリンッ!!!

 

 

「うおおおおおォォォ!!!【無刀の構え】!!」

 

 

氷の球を中から粉々に粉砕した。そして、女の子と距離を光の速度で詰める。

 

 

「【神殺天衝(しんさつてんしょう)】!!」

 

 

もうろうとする意識を無理矢理起こし、右手に力を入れる。

 

 

ドゴオオオオォォォッ!!!

 

 

最強の一撃は腹部に当たり、女の子は地面に叩きつけられる。土煙が勢いよく舞い上がり、コンテナが吹っ飛ぶ。

 

無事では済まないはずだ。

 

 

「ゲホッ!ゴホッ!!………はぁ!……!はぁ……!」

 

 

地面に着地して膝をつく。凍った水の塊を強引に口から吐き出し、盛大にむせる。体が凍り付いて震える。だが、この程度なら慣れたものだ。血が凍らなくてよかった。

 

霞む視界の中で女の子を見つける。

 

 

 

 

 

無傷の女の子を。

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

無言でこちらを見つめる。目を凝らしてよく見ると、服にも傷が一つもなかった。

 

 

「お前の正体……水の中で確信した」

 

 

俺はゆっくりと立ち上がる。

 

 

「お前は海洋の王と呼ばれる神……【ポセイドンの保持者】だろ?」

 

 

「!?」

 

 

「何をそんなに驚いてんだよ?」

 

 

女の子は俺の言葉に驚愕する。やっぱりな。

 

 

「ヒントはお前が何個も出していだろ」

 

 

「……………どこでわかったんですか?」

 

 

「やっと喋りやがったか」

 

 

まさかこのまま喋らないじゃね?とか思っていた。

 

 

「まずお前の武器だ。それは【三又の(ほこ)】だろ」

 

 

俺は右手にポケットを突っ込みながら説明する。

 

 

「【三又の矛】は海王ポセイドンが持っている武器だ。一突きで巨大な岩を砕き、大地を震えがせるほど威力を持つと伝えられている。そして、同時に水を支配する力が秘めている」

 

 

「……………」

 

 

「そして、二つ目。お前が攻撃に使った水の馬だ。ポセイドンは馬との関わりはかなり深い。競馬の守護神として称えられるほどな」

 

 

「………さすが最高位の神から力を授かった者ですね」

 

 

女の子は無表情のまま、静かに称賛する。

 

 

「じゃあこちらから二つ質問してもいいですか?」

 

 

女の子は両手の袖の中から槍を。いや、二本の矛を出す。

 

 

「どうして本気を出さないのですか?」

 

 

それは翼のことを言っているのだろう。

 

 

「本気になるまでもないと判断したからだ」

 

 

本当は使えない。が正しい答えだがな。

 

 

「では一番気になる質問をします。どうやって【ニブルヘイム】を発動させたのですか?」

 

 

「さぁ?俺と同じように自分で考えな。これ、宿題な」

 

 

ポケットに突っ込んでいた右手を勢いよく前に出す。右手には拳銃のコルト・パイソンが握られていた。

 

 

「そのような銃で……」

 

 

「お前を倒せないことぐらい分かってる。だから……」

 

 

銃口を空に向けた。

 

 

「今日はもう終わりだ」

 

 

パンッ!!

 

 

俺はコルト・パイソンの銃口を空に向け、引き金を引いた。銃口から一つの銃弾が空に向かって進む。

 

 

パアンッ!!!

 

 

「ッ!?」

 

 

銃弾は空で破裂し、大きな赤い光が炸裂した。女の子はその光に驚愕する。

 

撃ったのは閃光弾の一種だ。

 

 

「……仲間を呼ぶつもりですね」

 

 

「ああ、そうだよ。……ったく

 

 

 

 

 

いつ、水の中に毒なんか仕組んだんだよ……」

 

 

 

 

 

俺の口から赤色の液体が流れ落ちる。視界は悪く、左目は完全に見えない。かろうじて右目は鬼種の力が宿っているため、何とか見えているが最悪な状況のは変わらない。

 

 

「あなたを痛めつけている時に盛らせていただきました。ただの毒ではありませんよ?」

 

 

「チッ、そうかよ。………お前の名前、いい加減聞いてもいいか?」

 

 

「エレシスです」

 

 

「エレシス。最後に質問がある」

 

 

俺はエレシスを睨み付ける。

 

 

「お前らの目的は何だ」

 

 

「……………」

 

 

エレシスは口を開かない。そう易々と言わないか。

 

 

「言わないならそれでいい。だけどな」

 

 

俺は喉を潰す勢いで声を荒げて言う。

 

 

「お前らは俺の大切な人を傷つけたッ!絶対に許さねぇッ!!!覚悟しろッ!!!」

 

 

「ッ!?………毒はもう全身に回ったはずです。あなたは絶対に死にます」

 

 

俺の声にエレシスは恐怖するも、すぐに無表情になって喋る。

 

 

「じゃあやってみろよ……!俺は絶対に……死なねぇ……!」

 

 

体に力が入らなくなり、その場に崩れ落ちる。

 

だけど、俺はエレシスを睨み続ける。

 

 

「………あまりこういう事は嫌いなのですが……仕方ありません」

 

 

エレシスは飛翔して両手から矛を発射する。矛は空中に浮き、海の水を纏う。

 

 

「【双水龍(そうすいりゅう)】!!」

 

 

次の瞬間、水を纏った二本の矛が俺の倒れている地面に突き刺さる。一突きで巨岩を砕き大地を震撼させる威力。

 

 

ドゴオオオオォォォ!!!

 

 

港を崩壊させるには、十分な威力だった。

 

 

________________________

 

 

「……………ッ!」

 

 

目を開くと、眩しい光が俺の視界を妨げる。

 

起き上がる……ことはできなかった。体に力が入らない。

 

 

「ここは……?」

 

 

「大樹さん!」

 

 

俺が口を開くと、すぐに黒ウサギの声が聞こえてきた。

 

すぐに俺の視界には涙目の黒ウサギが入ってくる。

 

 

「どこだ、ここは?」

 

 

「病院です。それよりも体の傷は大丈夫なんですか!?」

 

 

「病院だと………?」

 

 

俺は思い出す。エレシスに負けたことを。

 

自分の体を見てみるとほとんど包帯でグルグル巻きにされていた。腕にも。足にも。腹にも。頭にも。

 

 

「い、生きていたのか……俺」

 

 

「ああ、医者は奇跡だと騒いでいたぞ」

 

 

黒ウサギの後ろから原田の声が聞こえてきた。俺はゆっくりと起き上がる。

 

 

「うッ……」

 

 

「まだ無理をしてはいけません!はやく横になって……!」

 

 

「大丈夫だ。このくらい」

 

 

黒ウサギは止めようとするが、俺の言葉を聞いてやめる。痛みに耐えながら、上体だけ起こす。

 

 

「……一応聞いておくが、俺はどのくらいヤバかった?」

 

 

「心臓をぶちまけてたって言ったら信じるか?」

 

 

「もういい。何も聞きたくない」

 

 

「冗談だ」

 

 

「だよな!さすがにそんな体になったら助かる見込みなんて……」

 

 

「「……………」」

 

 

「おい何で目を逸らした!ねぇ嘘だよね?ねぇ!?」

 

 

もうここまで来るとゾンビだろ。俺はTウ〇ルスでも注射されたの?

 

 

「毒もあったらしいが、どうやって解毒した?」

 

 

「黒ウサギがギフトを使って消したんだ。お前、内臓のほとんどダメになって

 

 

「原田。死にたくなるからそれ以上喋るな。」

 

 

覚えてろよ、エレシス。

 

 

________________________

 

 

俺たちは敵について話し合っていた。

 

港は崩壊は警察などが全力で捜査しているらしい。ニュースでも大きく取り上げられていた。ついでに竜巻のことも。

 

もしかしたら逮捕されるんじゃないかとビビっていたが、原田が証拠を揉み消してくれたおかげで捕まることはないらしい。

 

そして、俺が襲われている時に黒ウサギも襲われていたことを話し合っていた。だが、その話し合いではありえない事態が起こっていた。

 

 

「で、ではもう一度確認しますね。相手の性別は?」

 

 

「「女!」」

 

 

「髪型は?」

 

 

「「ショート!!」」

 

 

「髪の色は?」

 

 

「「紫!!!」」

 

 

「「「全部一致!?」」」

 

 

俺たちは驚愕する。武器と能力以外、特徴が一致しているのだ。

 

 

「え!?マジでどういうこと!?」

 

 

「大樹!お前、嘘吐いてるだろ!」

 

 

「吐いてねぇよ!?何で疑った!?」

 

 

「俺と黒ウサギ。2対1でお前が嘘を吐いている!分かったか!?」

 

 

「はぁい!?分かってたまるか!相手が分身したって線とか考えろよ!」

 

 

「「あ、なるほど」」

 

 

二人とも俺が嘘ついてるとしか思っていなかったのですね。……………今日から少しだけいい子になろう。

 

 

「でも、どうやって分身したんだ?」

 

 

「さっき俺が話したエレシスなら出来るんじゃないのか?水で」

 

 

「なるほど。馬を作れるなら人間もできるな。確かに筋は通る」

 

 

でも、何か見落としているような気がする。………何を見落としてる?

 

 

(敵……神……能力……水……武器……)

 

 

引っかかる。何かに引っかかる。

 

 

「そもそも何で黒ウサギが狙われた?俺が狙われるのは分かるけどよ」

 

 

「戦力を削りに来たんじゃないのか?」

 

 

原田の答えに俺は首を横に振る。

 

 

「俺も最初はそう思った。でも、あの時俺は追い詰められた。分身であるセネスがこっちに来ていたら俺は確実に殺せたはずだ」

 

 

セネスの実力は分からないが、黒ウサギを追い詰めるほどなら強いはずだ。

 

 

「では、何故黒ウサギに攻撃したのでしょうか?」

 

 

「……………黒ウサギが可愛すぎて嫉妬したというのは?」

 

 

「ねぇよ。惚気てんじゃねぇよ」

 

 

俺の答えを原田は否定する。黒ウサギの顔が赤いのは照れてるからだろうか?違うな。俺が真面目に考えないから怒っているのだろう。

 

 

「というか学校に行かなくていいのか?」

 

 

俺は日めくりカレンダーを見て別の話を持ち出した。

 

 

「………大樹、今日は休みだぞ」

 

 

「は?木曜日が休みだなんて

 

 

「今日は土曜日だ」

 

 

「……………あれぇ~、もしかしてぇ?」

 

 

「そのまさかだ、大樹」

 

 

俺、2日も寝てたのかよ。あと日めくりカレンダー、仕事しろ。

 

 

「逆に心臓ぶちまけておいて、すぐに起きるのがおかしいんだよ」

 

 

「だから言うな!ってそれ嘘じゃなかったの!?」

 

 

うぅ……泣きそうだよ……。

 

 

「大樹」

 

 

原田は改めて俺を見る。

 

 

「俺は今から敵の……」

 

 

「分かってる。どのくらいで帰って来る?」

 

 

原田は声音を低くして言う。俺は原田がこれから何をするか知っていたので別の質問をする。

 

 

「分からん。早く帰って来るかもしれないし、遅いかもしれない。世界の時間はバラバラだからな」

 

 

「そうか」

 

 

「大丈夫か?」

 

 

原田の確認する。それはエレシスが俺を襲ってきた時に倒せるかどうか。そう聞いている。

 

 

「大丈夫だ。次はミンチにする」

 

 

「こえーよ」

 

 

俺は自信を持って返してやった。

 

これ以上、黒ウサギと原田に心配かけられない。迷惑もかけたくない。

 

 

「そうだ。忘れないうちに、ほら」

 

 

原田は俺にあるものを軽く投げる。

 

投げたモノ。それは爆弾型CADだった。

 

 

「もうこれで最後にしてくれ………もうしんどい……」

 

 

「悪かったな。今度は違う奴に頼むわ」

 

 

「それにしても………本当に俺たちはとんでもないモノを作ったな」

 

 

「ああ。お前の計算式がここまで凄いなんて……」

 

 

「そういうお前の魔法式の組み方とか気持ち悪いだろ。装置とか吐き気がする」

 

 

「おい、何で罵倒した。何で褒めねぇんだよ」

 

 

【爆弾型CAD】

 

 

俺の知能で作り上げた魔法式。学園都市の科学を利用した装置。そして、原田の頭脳で割り出された計算式。この3つを組み合わせたCAD。それが【爆弾型CAD】だ。

 

簡単に仕組みを説明すると、

 

 

 

 

 

魔法が使えない俺。つまり、()()()使()()()()()でも()()()使()()()()()()()()()()だ。

 

 

 

 

まぁ一度だけだがな。

 

手順としてまずCADの中に俺の作った特別装置にサイオンを補給しておく。これがもの凄く難しすぎて失敗ばかりだったぜ。今までに何十回も【ニブルヘイム】を原田と一緒に喰らったよ。その内一回は死にかけた。ガチで。

 

【ニブルヘイム】を発動させるには原田がサイオンを半日かけて入れる必要がある。ちなみにこの段階が一番失敗した。これのせいで毎日毎日【ニブルヘイム】三昧だった……。嬉しくない。

 

そして、ボタン一つでアラ!不思議!

 

信号を読み取って魔法式が展開。特別装置が起動しサイオンが送られる。

 

 

「そして、あらかじめ入れておいた魔法式が発動する仕組みになっているのだ!本当はもっと複雑な構造になっているけどな!」

 

 

「お前、誰と喋ってんの?」

 

 

はい、原田の発言は無視しまーす。

 

ちなみに爆発して、使い捨てなのはちゃんと理由がある。それh

 

 

「それで……また作ったんですか……?」

 

 

「「ッ!?」」

 

 

俺と原田は殺気を感じて震える。ヤバい……黒ウサギにまたバレてしまった!

 

 

「あれ一つでどれほどのお金を使いました?」

 

 

「え、えっと……大樹!知ってるよな!?」

 

 

そこで俺に振る!?えっと……あ!

 

 

「……テレビ一台分?」

 

 

「3台分ですよね……?」

 

 

「「すいませんでしたあああああァァァ」」

 

 

一度、【ニブルヘイム】が誤作動を起こして、家を氷漬けにしたことがある。さらに、貯金を使いすぎて……それ以来、黒ウサギは……ああ!思い出すだけで足の震えが止まらん!

 

 

「もう作らないと約束しますか?」

 

 

「するする!な、大樹!」

 

 

「あと1個だk

 

 

「諦めろ!死にたいのか!?」

 

 

ハッ!?

 

 

「もう作りません!」(今後も作っていく予定です!)

 

 

「……何故でしょうか。騙されてる気がします」

 

 

「そ、そうだ!まだ午前中だし、遊びに行こうぜ!約束していただろ!?」

 

 

俺は逃げ道を探した結果、これに辿り着いた。

 

その時、黒ウサギは悲しそうな顔をした。俺は様子が変なことに気付く。

 

 

「どうした?」

 

 

「い、いえ!あの……」

 

 

黒ウサギは言い淀む。

 

 

「黒ウサギ」

 

 

「え?」

 

 

原田は持っていた紙袋を黒ウサギに渡す。そして、黒ウサギは中身を見て驚いた。

 

 

「こ、これって!?」

 

 

「もちろん、落としたやつは捨てた。ただ、同じ物をもう一個買ってきただけだ。楽しんで来い」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

何の話をしているか分からない。だけど、原田がイケメンに見える……!?

 

 

「あ……でも、大樹さんの怪我が……」

 

 

「ん?それなら治ったよ、今」

 

 

俺はベッドから降りてズボンを穿く。先程の弱々しい俺はもういない。

 

 

「「……………」」

 

 

「おい、何で後ろに下がる。何だよその顔は」

 

 

二人は無言で一歩、二歩と後ろに下がった。ひどい。

 

俺は落ち込みながら包帯の上から服を着る。久しぶりのお気に入りTシャツですよ!ほら!『一般人』Tシャツ!いいだろ?

 

 

「やっぱりフードは被るのか?」

 

 

「当たり前だ」

 

 

「フードマンの名に恥じない行動だな」

 

 

「【ニブルヘイム】発動ッ!!」

 

 

「やめろッ!本気で死ぬ!!」

 

 

しぶしぶ爆弾型CADを置いて、俺はTシャツの上からフード付きパーカーを着る。こんな快晴(炎天下)のなかパーカー無しで外に出るとか無理。引きこもりたい。そしてニートになりたい。

 

 

「というわけで行こうぜ、黒ウサギ」

 

 

「はい!」

 

 

俺と黒ウサギは病室を出て行った。部屋に残された原田は背伸びをして、気持ちを入れ替える。

 

 

「さぁて……じゃあ俺は」

 

 

原田は懐から白いチョークを取り出す。

 

 

「帰るか………」

 

 

原田は小さく呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が死んだ世界に」

 

 

 




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