どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】 作:夜紫希
いつもより長くなっております。
「ほら、俺が大好きな缶コーヒーだ。味は保証する」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
ステイル、神裂の順で二人に缶コーヒーを渡す。
この缶コーヒー、ここの自動販売機だけしか売ってないんだよ。うめぇー。
「何でお前ら和んでるんだよ!!!」
上条は大声でツッコミをする。
俺達は戦いのあと、俺のお気に入りの場所の公園のベンチで休憩していた。
上条がうるさいので弄ることにしよう。
「うるさいぞ、ロリコン」
「誰がロリコンだ!?」
神裂が俺の言葉に驚き、
「彼女に手を出させません…!」
「するか!!」
「ロリコンでもいいんじゃないか?」
「「「お前は何を言っている、ステイル!?」」」
ステイル………お前………。
「でも、上条よりは大丈夫だな」
「俺はそこまで信用ないのか……」
「「「だって【歩く教会】壊して裸にしたじゃん」」」
「はいちょっと待って、何で知っているの皆さん?神裂とステイルが知っているのは分かる。でも裸にしたことまで何で知ってるの?そして大樹は一番知らないはずだぞ?場合によってはお前警察呼ぶよ?」
「……呼ばれて困るのはあなたじゃないですか?」
「………」
神裂の冷静な答えに上条は黙ってしまう。哀れ、上条。
「話を戻すぞー、俺達が仲良くやってるのは目的が同じ。つまり、インデックスを救うことだ。共闘しても損はないだろうが」
話が進みそうになかったので、俺が話を戻す。
「だから俺は神裂に止めを刺さなかった、上条もな」
上条は俺の言葉にうなずいて肯定する。
「さて、ここから真面目な話をするぞ」
こうして、インデックスを助けるための作戦会議が始まった。
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「単刀直入に言う。インデックスを助ける方法を」
「「「はえーよ!!!」」」
開始二秒で解決策が出ました。だって知ってるもん☆
「……今から話すことはステイルと神裂は覚悟して聞いてくれ。」
俺は声のトーンを落とす。
二人は迷う事なくうなずいた。目は真剣だった。
「分かった。話すぞ」
俺は話始める。
「まず、インデックスの脳の状況を言えるか上条?」
「……85%が10万3000冊の本が記憶されている。そして残りの15%あるけど、完全記憶能力のせいで一年間で埋め尽くされてしまい、脳がパンクして……死んでしまう」
「ああ、合ってるか二人とも?」
上条の声は小さくなっていたが、俺達にはちゃんと聞こえた。ステイルと神裂は俺の言葉にうなずく。
「そうインデックスの脳の85%は本で埋め尽くされているんだ」
大樹は三人に問う。
「なぁ、おかしいと思わねーか?」
もっともおかしな点について。
「85%って?」
魔術師の二人は未だに意図が分からず戸惑っている。
が、上条は顔を真っ青になっていた。あることに気がついたから。
「どうやって、どうやって85%という数字が分かったんだ…!?」
「「!?」」
魔術師の二人も気付いたみたいだ。
「そうだ、科学ですらそんなこと分からないのに何故魔術側の人間が分かるのか」
俺は静かに言う。
「答えは単純。俺達は魔術師に騙されていたんだ」
三人を絶句させるには十分だった。
「「「………」」」
大樹は三人を気にせず続ける。
「それと、脳がパンクして死ぬって言ったけど」
俺は言う。
「ありえねぇから」
完全記憶能力なんかじゃ死なないことを。
「し、しかし!」
神裂は反論する。
「彼女は10万3000冊もの本を覚えているのですよ!!だから」
「例えどれだけの図書館の本を覚えても脳がパンクされるなんて脳医学上ありえない話なんだ」
「……………」
科学的に無理。そう否定することで神裂を黙らせた。
「……僕達は、僕達は何をしていたんだ」
ステイルは拳を握り締める。
「僕達は彼女を傷つけていただけじゃないか!!!」
ステイルは唇を噛み締める。
神裂は俯いたが、
「………彼女は一年が経つ3日前に予兆が起きます」
「予兆?」
上条が聞く。
「はい、記憶がパンクする予兆です」
「でも、それはさっき……」
「分かっています。ですが、予兆で強烈な頭痛に襲われるんです。ですから」
信じきれないんだな俺の話を。
でも、予兆の原因ぐらいなら分かる。
「馬鹿が。俺達は魔術側の人間に騙されていたんだ。だったら魔術師がインデックスに細工を施したって考えるのが当たり前だろ。一年周期前に頭痛が起きるように」
「………」
神裂は俺の言葉に何も言うことは無くなった。
次に上条が声を出す。
「なら、インデックスにかけられた魔術」
真剣な目で俺を見る。
「それを解けばインデックスは助かるのか?」
「「!?」」
魔術師の二人は顔を上げる。
「その通りだ」
俺は答える。まだ希望はあるということ。
「俺達はインデックスに細工されている魔術を解除するんだ」
「……ってやるよ」
俺の言葉に上条が賛同する。
「10万3000冊の本を守るためだけにインデックスを傷つけないといけないというなら
まずは、その幻想をぶち殺すッ!!!」
上条は右手を握り締めながら言った。
「僕達も協力させてくれ」
ステイルが言う。
「彼女を救いたいのは私達も同じです」
神裂がステイルに続けて話す。
これで役者は揃った。
「それじゃ、助けるか」
俺の言葉にうなずく三人。
「インデックスを」
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作戦会議(インデックスを助けるとか大雑把に決めただけ)が終わった直前、電話が掛かってきた。小萌先生からだ。
俺は席を立ち、その場から少し離れ電話をとる。
「もしもし?」
『な、楢原ちゃん!大変です!シスターちゃんが!』
「!?」
俺は小萌先生から知らせを聞き、すぐに三人のところに戻る。
「おい!!インデックスが!!」
倒れた事を伝えた。
俺達は魔術師を連れて、子萌先生のアパートに戻った。
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「ではお願いしますねー」
子萌先生はそう言って部屋から出ていく。
あの後、俺達は子萌先生のアパートの部屋まで走って(俺と神裂は超人的スピードで上条とステイルを置いてきた)戻ってきた。
そして子萌先生は銭湯に行き、俺と神裂で布団で横になっているインデックスの看病をしている。
10分後……
「た、ただいま……」
汗だくになった上条&ステイル帰宅 。おい、いつからお前らの家になった。
「い、インデックスは大丈夫か!?」
「た、倒れてる奴に言われたくないと思うよ僕は……」
「いいからはやく来いお前ら」
玄関で倒れてる上条とステイルに来るように言う。
「インデックスは何で倒れたか分かるか?」
俺が二人に質問する。
「さきほど話した予兆です」
「強烈な頭痛のことか」
神裂の答えに上条が答える。神裂はうなずき肯定する。
「僕達は脳がパンクする予兆だと聞かされた」
ステイルが続ける。
「でも、記憶を消さなくてもいいと分かった。なら予兆での頭痛の原因を取り除かなければならない」
「どんな魔術が掛けられているか分かるか?」
俺の質問に二人は首を横に振る。
上条は自分の右手をインデックスの頭にのせる。
「駄目だ、何も起きない」
「………前から思っていたのだがその右手は一体どんな能力が?」
ステイルは上条の右手を見て、疑問を口にする。
「俺の右手は異能の力ならなんでも消すことができるんだ」
「……それで頭に魔術が掛かっているなら打ち消せると思ったわけか」
ステイルは右手の謎に納得したようだ。
「……まだインデックスに触れてないところを」
「「変なところ触ったら殺す」」
「触るか!!」
ステイルの手には数枚のルーン。神裂はいつでも七閃ができる体制。おい落ち着けお前ら。
「………!」
上条が何か思い付いたようだ。
上条はインデックスの口を開き中を見る。そして右手を彼女の口に入れる。ステイルと神裂は上条の真剣さを見て静かに見ていた。
そして、
バギンッ!!
「ッ!?」
上条の右手が勢い良く後ろに飛ばされた。
「避けろッ!!!!」
「「「!?」」」
ステイルが大声を出す。その瞬間、何かが爆発し、飛ばされた。
玄関まで飛ばされ、ドアが壊れ、部屋の廊下にドアと一緒に飛ばせれる。ステイルと上条は本棚にぶつかり、神裂は玄関で膝をついていた。
……一応全員意識があるみたいだ。
しかしそんなことを気にしている場合じゃなかった。
インデックスは部屋の奥で立っており、
目には真っ赤な魔方陣が光っていた。
「警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum」
インデックスは機械のように何かを言っている。
「禁書目録の【首輪】、第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備………失敗。【首輪】の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の【書庫】の保護のため、侵入者を迎撃を優先します」
とインデックスは壊れた本棚のそばにいる上条を見る。
「【書庫】内の10万3000冊により、防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算………失敗。該当する魔術は発見できず。術式の構成を暴き、対侵入者用の
インデックスは
「侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。これより特定の魔術【
魔術を発動した。
バギンッ!!
インデックスの目にあった2つの魔方陣が大きくなる。直径が2メートルを越える2つの魔方陣が重なるようにし、左右の目の中心に固定された。
「 」
インデックスは何かを歌う。内容は理解できない。人の言葉ではないからだ。
そして魔方陣は輝き、空間を引き裂くように真っ黒な亀裂が四方八方に走り抜け、1つの防壁みたいなモノをつくりだした。
刹那、
ゴッ!!!
亀裂の奥から光の柱が上条に襲いかかった。
「!?」
上条はとっさに右手を出し打ち消す。が、消えない。
(【
上条はステイルと戦った時を思い出す。
「ど、【
「そもそも何であの子が魔術を…!?」
ステイルと神裂は驚く。
「そんなことは後回しだ!!上条を援護しろ!!」
俺は上条を助けるように言う。
「上条の右手がインデックスに触れれば助けれる!!」
ステイルと神裂の目が見開く。
「お前らがずっと望んできたことだろッ!!!」
ステイルと神裂の心に火をつけるのは簡単だった。
「Fortis931」
ステイルの服の内側から何万枚というカードが飛び出した。壁や床、天井を隙間なく埋まった。
「命を助けることができるなら僕はそのためなら誰でも殺す。いくらでも壊す!そう決めたんだ、ずっと前に」
ステイルはルーン一枚右手に持ちながら言う。
そのとき上条の腕が弾き飛ばされた。
上条に光の柱が襲いかかる。が
「Salvare000!!!」
神裂は魔法名を叫ぶ。
神裂は畳に七閃をあてた。インデックスは足場を失い後ろに倒れ込む。光の柱は上を向く。そのときに壁と天井が一気に引き裂かれた。光の柱は雲まで引き裂く。
破壊された部分が光の羽となり、はらはらと舞い散る。
「それは【
神裂は上条に叫んでいた。
上条はそれを分かった上でインデックスに向かって走りだす。
だが、インデックスが上条に再び光の柱を当てるため、狙いを定めようとする。
「【
上条の前に炎の巨神が現れ、上条の盾となる。
「行け、上条 当麻!!」
ステイルは初めて上条を名前で呼ぶ。
上条はぶつかりあう炎と光を迂回してインデックスのもとに走る。
「警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。戦場の検索を開始………完了。現状、最も難易度の高い敵兵【上条 当麻】の破壊を優先します」
光の柱がもう一度上条に向く。が炎の巨神が上条をまた守る。
あと1メートル。そこまでインデックスに迫っていた。
「ダメです!!!上!!!」
神裂が大声を上げる。
上条の頭上に光の羽が舞い降りてきた。羽に触るとダメージが与えられる仕組みになっているのだろう。
「警告、二十二章第一節。炎の魔術の術式の逆算に成功しました。曲解した十字教の教義(モチーフ)をルーンにより記述したものと判明。対十字教の術式を組み込み中………第一式、第二式、第三式。命名、【
光の柱が赤く染まった。
光の柱が炎の巨神を押している。炎の巨神が消えるのも時間の問題だろう。
上条は、
光の羽を無視してインデックスに向かって右手を出した。
上条は光の羽が自分に当たることよりインデックスを助けることを優先した。
上条は心のなかで叫んだ。
この
まずは、その幻想をぶち殺す!!!!
バギンッ!
上条の右手がインデックスの頭に触れた瞬間、展開していた魔方陣が壊れた。
「警、こく。最終……」
もう何を言っているのか分からなくなっている。
「再生、不可………消」
ブツンッ
インデックスの口からはもう何も聞こえない。目を閉じ、その場に崩れ落ちた。
上条はインデックスが転ばないように優しく抱き寄せる。
その時、上条の頭に光の羽が舞い降りきていた。
が、
「正義を語る矢よ!!」
大樹が叫ぶ。
「一刻の時、一矢に悪を貫く光をやどしたまえ!!」
弓を引く。
「【アストライアーの聖矢】!!!」
矢の先から100を越える光の矢が放たれる。
光の矢は光の羽を全て消した。
「もっと自分の体、大切にしろバカ野郎」
そこには弓を構えた楢原 大樹がいた。
_________________________
「朝ごはんできたぞー、集まれー」
「やったー!!」
インデックスが一番にちゃぶ台の前に席につく。そのあとインデックスに続いてどんどん席につく。上条が最後についた。そして
「「「「「「いただきます」」」」」」
「楢原ちゃーん、醤油とってくださいー」
「はいよー」
「おかわりなんだよ!」
「はいはーい、ってはえーよ!!」
平和な朝食だった。だが上条は違った。
「なんでお前らも居るんだよ!」
ステイルと神裂に上条は言った。
「うるさいぞ、ご飯くらい静かに食べるんだ」
ステイルに怒られる上条。
「え?この状況をおかしいと思っているの俺だけなの?」
「火織、お茶のおかわりなんだよ!」
「はい、どうぞ」
「……………」
ここで何かを言えば異端者扱いされると思ったのだろう。上条、まじ哀れ。
俺が弓を射った後、インデックスと上条は救われた。
俺はインデックスにステイルと神裂の誤解を解いてやったが、インデックスが怒っていた。しかし、最後には仲直りをした。神裂は号泣してずっとインデックスに抱きついており、ステイルはインデックスを背に向けて、プルプル肩を震わせていた。
え、俺と上条?ああ、帰ってきた小萌先生に部屋が壊れているのを見られ、廊下に正座させられてました。トホホ。
そのあとは部屋を直しました。俺と上条で。
俺があの時に射った矢はインデックスに手伝って貰って台所の下に隠していたんだ。俺が材料を集めインデックスがお祈りをしてくれたモノだ。比率で表すと1:9で俺が左でインデックスが右だ。俺何もしてねーじゃん。役立たずジャン?
そして、あの時に射った。
ちなみにあの後ステイルと神裂に壊された。これがあると、ある国が戦争を始めるらしい。こわっ!
アストライアー。
ローマ神話の正義の神の名前だ。ゼウスとテミスのあいだの娘。
昨日はこの神に世話になった。サンキュー。
いやいや本当に感謝してるよ。だって上条に降っている光の羽を打ち落とすだけだったのに全部打ち消すからびっくりしたよ。
それに、
(こうしてご飯を一緒に食べれるのだから)
俺は神に祈りを捧げた。
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「真ん中がいいんだよ!」
「私も真ん中がいいですー!」
「何喧嘩してんだよ、二人一緒に真ん中居ればいいだろ?」
「僕はここでいいよ」
「ステイル、そこは写りませんよ」
「よーし、撮るぞー」
インデックス、子萌先生、上条、ステイル、神裂は部屋で並んでいた。
俺はカメラにタイマーをセットしていた。
ご飯を食べたあと俺は風紀委員の原田が貸してくれたカメラをインデックスが見てみんなで撮りたいと言い出した。ステイルは嫌がっていたがインデックスの一言で撃沈した。おいインデックスに甘過ぎるだろお前。
そして、部屋の中で撮影している。
「ごー、よーん」
秒数を数えながら五人のところに行く。
「さーん、にー、いち!!!」
パシャッ
その写真には
敵としてインデックスを追い回したステイルと神裂。
敵から一年近く必死に逃げてきたインデックス。
それを助けるために右手を握り締め戦った上条。
インデックスを魔術を使い助けてくれた子萌先生。
そして俺。
そんな彼らはたくさんの事があった。敵対したり、傷つけあったり、泣いたり。
みんなが幸せに解決できる方法。そんなモノはないと思っていた。
一生交わることはない、平行線だと。
じゃあ何故彼らは写真を撮っているのか?
簡単だ。
俺達は目的が同じだったからだ。
インデックスを救うという目標が。
誤解と魔術側の人間が嘘を吐いたのが原因だ。
そのせいで、命懸けで戦ったりした。
でも
それを解くことができた。
そして最後には一緒に戦った。
助けたい人を助けれた。
そして、今……。
この写真には、
全員が笑顔で写っていた。
通算UAが1200越えました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
次回は超電磁砲編に入っていきます。