どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


火龍誕生祭 お祭り編

【大樹視点】

 

 

「ただいm

 

 

「た、大変ーッ!!」

 

 

ドゴッ!!

 

 

「ぐふッ!?」

 

 

【ノーネーム】の本拠地に帰って来た俺と黒ウサギ。玄関の扉を開けた瞬間、割烹着とキツネ耳が特徴的な少女、リリが俺の腹に向かって頭突きしてきた。俺の最初の一言が邪魔された………。

 

 

「ご、ごめんなさいッ!」

 

 

リリは謝り、急いで俺から離れる。

 

 

「大丈夫だ……ど、どうしt

 

 

「大変なんだよ黒ウサギのお姉ちゃん!!」

 

 

あれ?最後まで喋れない。てか喋らせて貰えない。どんだけ大変なんだよ。

 

 

「どうしたのですリリ。大樹さんのお腹よりも大変なこととは一体……?」

 

 

「黙っておくように言われてた招待状が見つかっちゃって……!」

 

 

リリの言葉を聞いた瞬間、黒ウサギが固まった。え?何?その招待状って、何かヤバイの?

 

 

「それで、これを渡されて………」

 

 

「ん?手紙?」

 

 

全く動く気配の無い黒ウサギに変わって俺が手紙を代わりに読む。

 

 

 

『黒ウサギへ

 

 近日行われる箱庭の北と東の【階層支配者】による

 共同祭典【火龍誕生祭】に参加してきます。

 

 あなたと大樹も必ずくること。あとレティシアもね。

 

 私たちにこの祭りを秘密にしていたことと大樹と勝手に

 デートした罰として、

 今日中に私たち6人を捕まえられなかった時、

 

 

 6人ともコミュニティから脱退します

 

 

 死ぬ気で探してね☆

 

 ジン君は道案内に連れていきます。

 

 

 追記 大樹は美琴、アリア、優子を今日中に捕まえなかったら

    絶交らしいわよ。相当機嫌を損ねているから頑張ってね♪』

 

 

 

その瞬間、大樹は地面に倒れたそうだ。黒ウサギは激怒したそうだ。

 

 

________________________

 

 

【火龍誕生祭に行きたい組視点】

 

 

「良いぞ。路銀は私が支払ってやる」

 

 

コミュニティ【サウザンドアイズ】の幹部、白夜叉は許可を出した。

 

 

「あら、あっさり」

 

 

「拍子抜け」

 

 

飛鳥と耀は白夜叉の以外な対応に少し驚く。

 

現在(大樹と黒ウサギが手紙を読んでいる頃)、十六夜、飛鳥、耀、美琴、アリア、優子、ジンの七人は白夜叉の部屋に居た。

 

理由は【火龍誕生祭】が行われる北に行くため、白夜叉と交渉をしていた。

 

何故交渉する必要があるのか?

 

 

それは、北まで980000kmもの距離があるからだ。

 

 

ちなみに地球一周は約49000kmである。

 

ここに居る問題児たちは最初は歩いて行こうとしたが、ジンにその事実を言われたので招待人である白夜叉にどうにかしてもらおうと来たわけだった、

 

 

「怪しいわね。何かあるんじゃないの?」

 

 

「鋭いの」

 

 

アリアの指摘に白夜叉はうなずく。

 

 

「実は北のフロアマスターの一角が世代交代したのは知っておるかのう?」

 

 

「い、いえ……」

 

 

白夜叉の質問にジンは首を振る。

 

 

「おんしらに誘いかけた【火龍誕生祭】とは、その新たなフロアマスターのお披露目を兼ねた大祭でな」

 

 

白夜叉は一度言葉を区切る。

 

 

「【サラマンドラ】が此度の主催であるコミュニティだ」

 

 

ジンはコミュニティの名を聞き、ハッとなる。

 

 

「【サラマンドラ】とはかつて親交がありました。それでどなたが頭首に?長女のサラ様か次男のマンドラ様でしょうか?」

 

 

「いや、おんしと同い年のサンドラだ」

 

 

「さ、サンドラが!?彼女はまだ11歳ですよ!?」

 

 

ジンが飛び上がるほど驚愕した。

 

 

「ジン君も11歳でアタシたちのリーダーじゃない」

 

 

「なんだ御チビの恋人か?」

 

 

「そうですけど……って違います!違いますから!」

 

 

優子の言葉にジンはうなずこうとするが、十六夜が横槍を入れてきた。ジンは手をブンブン降り、否定する。

 

 

「そのサンドラがどうしたのかしら?」

 

 

「東のフロアマスターである私に共同の主催者を依頼してきたのだ。此度の大会で」

 

 

美琴は話を戻そうとして、白夜叉に尋ねる。

 

 

「それは筋が通りませんよ」

 

 

ジンは白夜叉の言葉に、耳を疑うような発言を聞いた。

 

 

「どうしてなの?」

 

 

「【階層支配者】とは箱庭の秩序を守り、コミュニティの成長を促す役職なのですが、北側では複数のマスターが存在するんです。だから、新たなフロアマスターの誕生祭なら同じ北のマスターたちと共同主催すると思います」

 

 

ジンは美琴の質問に丁寧に答える。

 

 

「幼い権力者を良く思わない奴らが居る。そんなところだろ?」

 

 

十六夜は推理して言う。白夜叉は苦笑いで十六夜の言葉を肯定する。

 

 

「箱庭の長たちでも思考回路は人間並みなのね」

 

 

飛鳥は溜め息を吐き、呆れる。

 

 

「これには事情があってだな……」

 

 

「ちょっと待った」

 

 

白夜叉が話を進めようとしたとき、十六夜が止める。

 

 

「それ、長くなるか?」

 

 

「「「「「あッ!」」」」」

 

 

十六夜の言葉に白夜叉以外の者が声を出し、気づいた。

 

 

「白夜叉様!どうかこのまm

 

 

「『黙りなさい!』」

 

 

「ッ!?」

 

 

飛鳥はギフトを使って、ジンの口を封じる。

 

 

「大樹は多分すぐに見つけるぞ!」

 

 

「人間じゃないから?」

 

 

「「「「「うん」」」」」

 

 

十六夜の言葉に耀は理由を当ててみる。そして、みんなはうなずいた。

 

 

「白夜叉!あたしたちを北に送って!今すぐに!」

 

 

「それは構わんが私の頼みごとを

 

 

「「「「「大樹が受ける!」」」」」

 

 

「よし分かった」

 

 

アリアは白夜叉にはやく送るように言う。白夜叉は頼みごとの内容を話したかったが、大樹が売られたことによって成立。

 

 

パンッ

 

 

白夜叉は手を合わせてるように、叩いた。

 

 

 

 

 

「着いたぞ」

 

 

 

 

 

「「「「「……………え?」」」」」

 

 

その場にいる全員が状況を把握できなかった。

 

 

________________________

 

 

 

白夜叉に連れ出され、町を見渡すことができる高台に来ていた。

 

 

「これが北の町……!」

 

 

優子は目の前にある光景に驚く。

 

目の前には東と北を区切る、天を衝くかのような巨大な赤壁。境界壁だ。

 

それだけでは無い。

 

 

「あれって……ガラスの街……!?」

 

 

「綺麗……」

 

 

町は遠くから見ても分かるくらい色鮮やかなカットガラスで飾られた歩廊に美琴は指をさす。アリアはその美しさに目を奪われた。

 

 

「へぇ……980000kmも離れてるだけであって、東とは随分と文化様式が違うんだな」

 

 

「キャンドルが歩いてる……」

 

 

至る所に足が生えた可愛らしいキャンドルが歩き回っている。十六夜は興味深そうにし、耀はキャンドルを見て、驚いた。

 

 

「ねぇ!あそこのガラスの歩廊に行ってみたいわ!」

 

 

「構わんよ。話の続きは夜にでもしよう」

 

 

飛鳥は目を輝かせながら指をさす。白夜叉はうなずき、許可する。

 

 

「……………さすがに早くねぇか?」

 

 

十六夜は後ろを振り向き、驚愕した。

 

 

「え?どうしたの、十六y

 

 

「逃げるぞ!」

 

 

「きゃッ!?」

 

 

飛鳥は十六夜にどうしたか聞こうとしたが、十六夜は飛鳥をお姫様抱っこし、町に向かって飛翔した。

 

 

「ようぉぉぉやく見つけたのですよ………問題児様方……」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

 

 

後ろに黒ウサギが降臨していた。

 

 

 

 

 

「えッ、わッ!?」

 

 

ガシッ

 

 

耀は逃げようとしたが、肩を掴まれた。もの凄いスピードで。

 

 

「耀さん……後デタップリオ説教タイムナノデスヨ」

 

 

「りょ、了解……」

 

 

黒ウサギの気迫に押され、耀はうなずくことしか出来なかった。

 

 

「あたしたちも逃げましょう!」

 

 

「「……………」」

 

 

「ど、どうしたの…?」

 

 

美琴は逃げようとするが、アリアと優子が苦笑いしていた。

 

 

「……………あ」

 

 

アリアと優子の視線の先には、

 

 

 

 

 

『一般人』のTシャツを着た少年が土下座をしていた。

 

 

 

 

 

「大樹………」

 

 

美琴が名前を呼ぶ。

 

 

「ホント申し訳ありませんでした」

 

 

「えっと、大樹君」

 

 

謝罪する大樹に優子は言葉をかける。

 

 

「どうやってここまで来たの?」

 

 

「【境界門(アストラルゲート)】を使いました」

 

 

優子の質問に丁寧に返す大樹。まだ土下座している。

 

 

「待って。あれってかなりのお金が必要なはずよ」

 

 

【境界門】は外門と外門を繋ぐ、言わばワープすることができる門だ。本来ここに来るときはその門を使って来るのだが、料金が半端なく高いのだ。

 

 

「貰いました」

 

 

「ど、どうやって?」

 

 

その言葉に耳を疑った。恐る恐るアリアは聞く。

 

 

「ルイオスに」

 

 

「「「あぁ、納得だわ」」」

 

 

三人は納得した。

 

コミュニティ【ペルセウス】のギフトゲームの後、大樹はルイオスとその部下を配下?にした。最初は鼻に赤いチューブをぶっ刺し、説教して、心を入れ替えた。

 

ルイオスは

 

 

「僕は一からやり直すよ。そしてまた五桁まで這い上がって見せる…!」

 

 

っと目標を掲げ、大樹に忠誠を誓った。一方部下の方は

 

 

「ルイオス様に我々はついていく!」

 

 

っと、【ペルセウス】は長は大樹と言っても過言ではなくなった。

 

この前は大樹と【ペルセウス】全軍が真正面から戦って、鍛錬をしていた。※大樹が圧勝しました。

 

最近は【ノーネーム】の復興のために、手伝いに来ている。

 

 

「あいつも丸くなったわね」

 

 

アリアは溜め息を吐く。

 

 

「ねぇ大樹」

 

 

美琴が名前を呼ぶ。

 

 

「はい何でしょうか」

 

 

「く、黒ウサギとは何かあったの?」

 

 

「…………………………………え?」

 

 

大樹が頭で理解するのに5秒ほどかかった。大樹は顔をやっとあげた。大樹の額は赤くなっていた。

 

 

「だ、だから!黒ウサギとは何かあったのか聞いているの!」

 

 

「何も無い……と思うが?」

 

 

「そ、そう。それならいいわ」

 

 

美琴の大きな声に大樹は驚く。大樹は否定し、美琴は納得する。

 

 

「ほ・ん・と・う・に!何もないのね!?」

 

 

「何もありませんので銃を下ろしてください!!」

 

 

アリアは拳銃を取り出し、大樹の眉間に銃口を向ける。

 

 

「修業を許可したのはアタシたちだけど、黒ウサギも行くなんて油断していたわ」

 

 

優子は大樹に聞こえない声で呟いた。

 

 

「もうあたしたちも町を見に行きましょ」

 

 

「そうね。ほら、はやく立ちなさい」

 

 

アリアの言葉に美琴は肯定する。美琴は正座している大樹を立ち上がらせる。

 

 

「ゆ、許してくれるのか?」

 

 

「そ、そうね。許すわ」

 

 

美琴は目を逸らして答える。大樹はホッ息を付いた。

 

 

(あたしたちが黒ウサギへの嫉妬から始まったんだけどなぁ……)

 

 

今更そんなこと言えなかった。

 

 

 

________________________

 

 

【大樹視点】

 

 

どうも、大樹です。許してもらいました。一週間一度も連絡入れなかったことを反省しています。

 

 

「このクレープ、学園都市より美味しいわ!」

 

 

「ふ、太らないかしら…?」

 

 

俺は美琴たちにクレープを買ってあげた。もちろん、ルイオスの金でな。美琴は美味しそうに食べ、優子は食べるのをためらっていた。

 

 

「優子は細いんだから大丈夫だろ」

 

 

「細くて悪かったわね!」

 

 

怒られた。

 

 

「黒ウサギってなんであそこまで大きいのよ……」

 

 

優子はがっかりしていた。クレープの味が嫌だったのか?

 

 

「俺の食べるか?」

 

 

「…………えッ!?」

 

 

優子は俺の食べかけのクレープを見て驚いた。

 

 

「ほら、あーん」

 

 

「え、ちょっと…!」

 

 

「いらないのか?」

 

 

「………ッ!」

 

 

パクッ

 

 

優子は急いで俺のクレープを食べた。そして後ろを向く。

 

 

「うまいか?」

 

 

「お、美味しいわ。ありがとう」

 

 

それならよかったよかった。俺も食べよう…………ハッ!?

 

 

(これってまさか……間接キス!?)

 

 

な、なんてこった!?俺は自然とそんなことをしていたのか!俺、成長したなおい!

 

 

ガキュンッ!!

 

 

「あぶねぇ!?」

 

 

俺に向かって一発の銃弾が飛んで来た。

 

 

「ニヤニヤしてんじゃないわよ!この変態!」

 

 

「すいませんでした!」

 

 

俺は無心で食べることにした。いや、無心で食べないと俺の額に突き付けられた拳銃が火を噴くから。

 

 

________________________

 

 

「ももまんクレープって作れるかしら?」

 

 

「余裕だな」

 

 

「あんた何でも作れるわね……」

 

 

女の子の要望に応えれる俺って素敵!アリアに向かって親指を立てる。美琴はそんな俺を見て少し引いていた。何故だ。

 

 

「さぁ残り制限時間は少しだけしかないよ!誰か挑戦する人はいますか!?」

 

 

大通りを抜けた先に大きな広場があった。真ん中では人だかりが集まっていた。

 

俺たちは気になり、様子を見に行く。

 

人だかりの中心にはボクシングリングのような檀上があった。黒いタキシードを着た司会者がマイクを使って叫んでいた。

 

 

「何やってんだ?」

 

 

「おおっと挑戦者が現れたぞ!!」

 

 

「は?」

 

 

俺は司会者に何があっているのか尋ねたら、司会者に腕を引っ張られリングに上がらされる。

 

 

「おい!何だよこれは!」

 

 

「ルール説明ですね!ルールは簡単です!」

 

 

おい。話聞け司会者。

 

 

「相手を倒すだけです!」

 

 

「超大雑把!?」

 

 

簡単すぎて驚愕した。

 

 

「お前が対戦相手か」

 

 

リングの端には赤いマントを羽織った男が居た。男の頭には角みたいなモノが生えており、右手には大きな大剣を握っていた。

 

 

「おい司会者。こんな弱そうなヒョロヒョロ君だしてんじゃねぇよ」

 

 

男の言葉に周りの人間が一斉に笑い出す。って司会者も笑うなよ。

 

 

「武器とかありかよ」

 

 

「あぁ?司会者は武器なしなんて言ってねぇぞ」

 

 

男は構える。

 

 

カンッ!!

 

 

コングが鳴った。え?はやくね?俺何も準備しt

 

 

「くたばれ小僧!!」

 

 

ガキンッ!!

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その場にいる俺以外の全員が驚いた。

 

 

 

 

 

男の持っていた大剣が俺の頭にぶつかった瞬間、折れたのだ。

 

 

 

 

 

「修業じゃなくて人間やめに行ったのかしら?」

 

 

美琴は苦笑い。違います修業です。

 

 

「ば、馬鹿な!?」

 

 

「はいドーン」

 

 

ドゴッ!!

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は男の目の前まで歩き、蹴っ飛ばした。

 

 

 

 

 

空高くまで。

 

 

 

 

 

「「「「「はああああァァァ!?」」」」」

 

 

観客全員が声を上げた。

 

 

ドゴオオオオオォォォ!!

 

 

そして、リングのど真ん中に落ちてきた。

 

 

「しょ、勝者は挑戦者d」

 

 

「そこまでだ!!」

 

 

リングの周りには炎の龍紋を掲げ、トカゲの鱗を肌に持つ集団が集まっていた。

 

集団は司会者や男を捕まえていき、

 

 

「お前もだ」

 

 

「え」

 

 

俺は両腕を掴まれた。

 

 

「大樹!」

 

 

美琴が俺の名前を呼ぶ。

 

 

「貴様ら、この男の関係者か?」

 

 

「そうよ!はやく大樹を放しなさい!」

 

 

集団の中の一人が質問にアリアが怒りながら言う。

 

 

「貴様らも来い!」

 

 

「放してッ!」

 

 

アリアたちが乱暴に抑えられる。

 

 

「大人しくしろ!」

 

 

「きゃッ!?」

 

 

美琴が地面に抑えつけられた。

 

 

「いい加減にしろ!」

 

 

「ぐはッ!!」

 

 

俺を抑えつけていた奴をぶん殴る。

 

 

「美琴たちから離れろ!!」

 

 

ドゴッ!!

 

 

「がはッ!?」

 

 

俺は音速のスピードで集団どもを吹っ飛ばしていく。

 

 

「奴を取り押さえろ!」

 

 

「やれるもんならやってみろクソ野郎が!!」

 

 

ドゴオオオオオォォォ!!

 

 

俺は集団に突っ込み一気にぶっ飛ばす。

 

 

「「「「「ぐあああああァァァ!?」」」」」

 

 

美琴たちを傷つけたお前らは絶対に許さん!!

 

 

________________________

 

 

 

「「すいませんでした」」

 

 

俺と黒ウサギは土下座をしていた。俺の隣には十六夜、美琴、アリア、優子が正座していたが、土下座はしない。

 

ここは運営本陣の謁見の間。俺たちは連れてこられたのだ。悪いことをしてな!(ドヤッ!)

 

飛鳥と耀、それにレティシアの姿は見えない。

 

 

「【ノーネーム】の分際で騒ぎを持ち込むとはな。相応の厳罰は覚悟しているか!」

 

 

「あぁ?」

 

 

「大樹さん!そこは睨んじゃダメですよ」

 

 

大きな声で俺たちに怒鳴る男。こいつはマンドラというらしい。ぺッ。

 

俺は睨んだが、黒ウサギが止める。

 

 

「これマンドラ。それを決めるのはおんしらの頭首、サンドラであろう」

 

 

白夜叉はそう言って謁見の間の上座にある玉座に座っている幼い少女を見る。

 

この少女の名はサンドラ。北の【階層支配者】だ。

 

 

「今回の件ではそちらのお二人が壊した建造物ですが、白夜叉様がご厚意で修繕してくださいました。負傷者は奇跡的にいなかったようなのでこの件に関して私から不問とさせていただきます」

 

 

十六夜と黒ウサギに何があった。何故追いかけるだけで建造物が壊れる。解せぬ。

 

 

「そして広場であった騒ぎですがそれはこちらに非があります。戦闘や乱闘系のギフトゲームは許可を取らない限り、禁止していたのにも関わらず開催した者達がいたので、捕えるつもりでした。ですが、何も知らない参加者に乱暴なことをしてしまいました」

 

 

「そうそう。全く迷惑したぜ」

 

 

「貴様ッ………!」

 

 

サンドラの言葉に俺はうなずく。マンドラは俺の言葉にいらだちを隠しきれない。

 

 

「ですが、兵たちを

 

 

「ボコボコにしたことについてはすいませんでした!」

 

 

俺はサンドラに頭を下げる。

 

 

「えっと、こ、このように本人も謝っているので、不問にしましょう」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

「チッ」

 

 

サンドラにお礼を言う。マンドラは舌打ちをした。嫌な奴だな。

 

 

「さて、昼の話の続きをしようかのう。特に大樹には頑張ってもらわんと」

 

 

「え?何がだよ?」

 

 

白夜叉は事情を知らない俺に説明し始めた。

 

 

________________________

 

 

「お前ら喧嘩売ってんのか!?」

 

 

俺の声が謁見の間に響く。

 

 

「俺に頼み事を押し付けんなよ!お前らがやれよ!」

 

 

「いや、やるが?」

 

 

「やるのかよ!」

 

 

どっちだよ!十六夜の言葉を聞き、混乱する俺。

 

 

「ジン!久しぶり!」

 

 

「わッ!」

 

 

サンドラが玉座から降り、ジンに向かって抱き付いた。羨ましい。

 

 

「コミュニティが襲われたって聞いて心配した……。本当はすぐに会いに行きたかったんだ……けどいろいろあって……」

 

 

「仕方ないよ。まさかサンドラがフロアマスターになっていたなんて……」

 

 

サンドラはジンの両手を握る。ジンの顔が赤い。

 

 

「こいつが御チビの恋人か」

 

 

「ち、違いますって」

 

 

「爆発しろ」

 

 

「大樹さん!?」

 

 

十六夜はジンをからかい、俺はジンに舌打ちしながら言った。

 

 

ガチンッ!!

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その瞬間、マンドラがジンに斬りかかった。俺は右の腰にある刀で受け止める。

 

 

「どういうつもりだ」

 

 

「馴れ馴れしいのだ【名無し】風情が!サンドラはもう北のマスター、我らがコミュニティ【サラマンドラ】の威厳を貶める気か!」

 

 

「この野郎ッ……!」

 

 

俺の質問にマンドラは荒々しく答える。俺はその言葉にキレる。だが、

 

 

「ま、マンドラ兄様!彼らはかつての盟友!そのような態度は……!」

 

 

サンドラが止める。

 

 

「礼節よりも誇りだ!そのようなことを口にするから周囲から見下されるのだと言っているのだ!」

 

 

「やめんかマンドラ」

 

 

白夜叉の一言でマンドラは口を閉じる。

 

 

「ふんッ、【サウザンドアイズ】も余計なことをしてくれたものだ」

 

 

いや、閉じなかった。こいつマジでぶん殴ろうか。

 

 

「此度の噂も東が北を妬んで仕組んだことではないのか?」

 

 

「噂?」

 

 

美琴はその言葉に首を傾げる。

 

 

「白夜叉が俺たちに依頼したことと関係あるのか?」

 

 

「うむ。此度【ノーネーム】を呼び出したのはな、【サウザンドアイズ】の幹部の一人が予知した未来故だ」

 

 

十六夜の質問に白夜叉は着物の裾から一通の手紙を取り出し答える。

 

 

「未来予知か。そんなこともできる奴がいるのか」

 

 

いつのまにか怒りが冷めた俺は感心する。

 

 

「その者は未来の情報をギフトとして与えておってな、この封書はそやつから誕生祭のプレゼントとして送られたのだ」

 

 

白夜叉は説明する。へぇ、プレゼントが予知した未来だなんて豪華だな。

 

 

「見てもいいか?」

 

 

十六夜は白夜叉に聞き、白夜叉はうなずく。手紙を受け取り、開封した。

 

その瞬間、十六夜の目つきが変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『火龍誕生祭にて【魔王襲来】の兆しあり』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内容は最悪の未来予知だった。

 

 





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