どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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転生条件の例を使って簡単に復習をします。

主人公、大樹が転生する。

転生先で一緒に転生する人を選ぶ。

一緒に転生。

新しい世界で大樹と前の世界の人と過ごす。

そして新しい世界で同じように一緒に転生する人を選ぶ。

三人で新しい世界に転生。

繰り返す。

分かりにくてすいません。

続きです。今回はバトルパートです。


最弱は最強に

俺達二人は魔術師と睨みあっていた。

 

沈黙が続くなか、神裂が沈黙を破る。

 

 

「自己紹介はまだでしたね。神裂 火織(かんざき かおり)と申します。……できれば、もう一つの名は語りたくないのですが」

 

 

「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)」

 

 

 

「「!?」」

 

 

神裂の魔法名を言う前に、俺が言った。

 

神裂とステイルの顔に驚きが走る 。

 

 

「な、なぜ知っているのですか!?」

 

 

「俺は指をくわえて見てるのは嫌なんでね。ずっとお前らのこと調べてたんだよ」

 

 

嘘です。本当はこの世界に来る前から知っていた。

 

 

「……無能力者がそこまでできるとはな」

 

 

ステイルが問う。

 

 

「弱者には弱者の戦いかたがあるんだよ。レベルで相手の強さを判断すると痛い目見るぞ」

 

俺は中指を立てて、魔術師の二人に言ってやった。

 

 

 

 

 

「レベル0を甘く見るんじゃねぇ」

 

 

 

 

 

「「………」」

 

 

二人の目付きが変わった。

 

そろそろ始める時だ。

 

 

ダッ!!

 

 

上条が先手を取るためにステイルに向かって走る。

 

だが、

 

 

「【魔女狩りの王(イノケンテイウス)】!」

 

 

ステイルの目の前に炎の巨神が現れた。

 

炎の巨神は上条に殴ろうとする。上条は臆することなく右手で迎えた。

 

 

バシュンッ!!

 

 

しかし、炎の巨神は消えなかった。実際は幻想殺しは発動しているが、消されていると同時に新しい炎が生み出さしている。おかげで炎の巨神は存在を保っている。

 

 

(上条が足止めしている今がチャンス…!)

 

 

ステイルに向かって走ろうとした時、

 

 

「七閃」

 

 

「!?」

 

 

俺は慌てて横に飛び回避する。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

その瞬間、元居た場所のアスファルトの地面が抉り取られた。神裂はその光景に驚いていた。

 

「初見であれを回避しますか…」

 

 

「あんなモノ、見えれば簡単だろ」

 

 

「…見えるのですか」

 

 

「あぁ、ワイヤーだろ」

 

 

大事なことだからもう一回言うけど、前から知ってる。

 

 

「本当にあなたはレベル0ですか?」

 

 

「おう、【真】のレベル0だッ!!」

 

 

俺は神裂に向かって走る。

 

 

「七閃」

 

 

神裂が迎え撃つが、

 

 

「遅い!」

 

 

「!?」

 

 

大樹は神裂の後ろを取った。身体強化で音速を越える速さで神裂の後ろを取ったのだ。

 

 

(この私が後ろを取られるなんて…!?)

 

 

神裂は刀を盾にして、防御をする構えをする。

 

が、大樹には無意味だった。

 

 

「邪魔だッ!!!」

 

 

回し蹴りを刀にぶち当てる。

 

 

ミシッ!!

 

 

「!?」

 

 

刀からいやな音が聞こえた。

 

 

「ッ!」

 

 

折れるのを防ぐために力を受け流す。

 

 

「七閃!」

 

 

力を受け流しながらカウンターをくりだす。

 

大樹は七閃が来る前に後ろに飛んで回避する。

 

 

(また避けられた…!?)

 

 

自分の攻撃が一度も当たらないことに驚愕する神裂。

 

 

「灰は灰に 、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!!」

 

 

「!?」

 

 

ステイルの手に炎が渦巻き、上条に向かって炎を飛ばした。上条は右手だけでは無理と分かり、急いで横に飛んで回避する。

 

が、

 

 

「七閃」

 

 

大樹から距離を取った神裂は大樹が次の攻撃を仕掛ける前に上条に攻撃する。

 

 

「ッ!?」

 

 

何かに引き裂かれるような痛みが上条の体を襲う。そして、上条は後ろにふっ飛ばされる。

 

 

「上条!」

 

 

大樹が上条の名前を呼ぶ。上条はすぐに立ち上がり、大丈夫なことを見せつける。

 

 

「……何でだよ?」

 

 

上条が呟く。

 

 

「何でインデックスを傷つけるんだよ」

 

 

「「………」」

 

 

二人の魔術師は沈黙する。

 

 

「知ってんのかよ。アイツ、テメェらのせいで一年ぐらい前から記憶がなくなっちまったんだぞ?一体全体、どこまで追い詰めりゃそこまでひどくなっちまうんだよ」

 

 

返事はない。

 

 

「黙ってたら何も分からないだろ?」

 

 

しばらく黙っていたが

 

 

「僕だって、できればこんなことしたくなかったんだ」

 

 

ステイルが口を開く。

 

 

「けどこうしないと生きていけないんです。」

 

 

神裂も口を開く。

 

二人の表情は悲しい顔をしていた。

 

 

「…死んで、しまうんですよ」

 

 

「ッ!?」

 

 

上条は驚きで声も出ない。

 

 

「完全記憶能力、という言葉は知っていますか?」

 

 

「ああ、一度見たモノを残さず覚える能力だろ。」

 

 

神裂の問いに上条は答える。

 

神裂はうなずき、代わりにステイルが続ける。

 

 

「彼女の性能は凡人。僕たちとほぼ変わらないんだ。」

 

 

「………?」

 

 

「彼女の脳は85%以上が禁書目録。10万3000冊に埋め尽くされているんだ。残り%15をかろうじて動かしている状態でさえ、僕達とほぼ変わらない凡人なのさ」

 

 

「何が言いたい?」

 

 

ステイルの言葉に苛つきを感じている上条。

 

 

「僕達は消したんだよ」

 

 

「だから何が言いたい!?」

 

 

上条は大声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「記憶を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、上条の顔が青くなってた。

 

ステイルは上条に構わず続ける。

 

 

「さっき僕は彼女脳の85%が禁書目録だと言ったね。彼女は常人の15%しか脳が使えない。並の人間と同じように記憶していけば、脳がパンクする。つまり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死んでしまうんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条の呼吸が、死んだ。

 

それほどの驚きだった。

 

ステイルは悲しそうな顔を横にそむけた。

 

上条はもう考えることを放棄しかけたが、【否定】を探すことで脳を働かせる。

 

 

「だって……だって……おかしい。お前……だって、残る15%でも、俺達と同じだって……」

 

 

「はい。確かに言いました。」

 

 

上条の質問に神裂が答える。

 

 

「ですが、彼女に私達と違うモノがあります。」

 

 

「なるほど、ここで完全記憶能力が問題になるのか」

 

 

神裂の代わりに俺が答える。

 

神裂はうなずき、俺の答えを肯定する。

 

俺は言葉を続ける。

 

 

「インデックスは完全記憶能力のせいで、15%をすぐに埋めてしまいパンクしてしまう。それを防ぐためにお前らは一年前、インデックスの記憶を消したんだな」

 

 

「その通りです」

 

 

神裂は認めた。

 

 

「今のが正しいのなら、お前らとインデックスは仲間なのか?」

 

 

「はい。彼女は私の同僚にして……………………大切な……………親友です」

 

 

血を吐くように、神裂は言った。つらい表情だ。

 

 

「それをインデックスは覚えていない。だからインデックスはお前らを悪人だと思ったのか」

 

 

「………」

 

 

俺の言葉に返事は返ってこなかった。

 

 

「何だよ。そりゃ」

 

 

上条は激怒した。

 

 

「なんだよそりゃ、ふざけんな!!アイツが覚えてるか覚えてないかなんて関係あるか!!」

 

 

上条の怒号は止まらない。

 

 

「いいか、分っかんねぇようなら一つだけ教えてやる。」

 

 

上条は二人に人差し指を指す。

 

 

「俺はインデックスの仲間なんだ、今までもこれからもアイツの味方であり続けるって決めたんだ!!」

 

 

インデックスが傷つけられたあの日。上条は決意した。

 

 

「テメェらのお得意の聖書にかかれてなくたって、これだけは絶対なんだよ!!」

 

 

「「………」」

 

 

神裂とステイルは黙る。

 

 

「なんか変だと思ったぜ、単にアイツが【忘れてる】だけなら、全部説明して誤解を解きゃ良いだけの話だろ?」

 

 

上条は続ける。

 

 

「何で誤解したままにしてんだよ、何で敵として追い回してんだよ!!テメェら、なに勝手に見限ってんだよ!!アイツの気持ちを何だと

 

 

その先は聞こえなかった。

 

 

 

 

 

「うるっせえんだよ、ド素人が!!!」

「黙れ、能力者が!!!」

 

 

 

 

 

なぜなら二人が大声を上げて上条を怒鳴りつけたからだ。

 

神裂は怒鳴り続ける。

 

 

「知ったような口を利くな!!私達が今までどんな気持ちであの子の記憶を奪っていたと思ってるんですか!?分かるんですか、あなたなんかに一体何が!!」

 

 

火に油を注いだようにさらに叫ぶ。

 

 

「私達がどれほどの決意の下に敵を名乗っているのか!!大切な仲間のために泥を被り続ける私やステイルの気持ちが、あなたなんかにわかるんですか!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

神裂の豹変ぶりに驚く上条。

 

次にステイルが叫ぶ。

 

 

「僕達だって足掻いて、足掻き続けたんだ!!思い出を作ったりして忘れないようにたった一つの約束をして日記や写真を胸に抱かせて!!」

 

 

神裂同様、ステイルも叫ぶ。

 

 

「日記を見ても、写真を見ても………彼女は謝るんだ。ゴメンなさいっと。それでも諦めないで何とか記憶を残そうとした。何度も繰り返した。何度も、何度も、何度も!!」

 

 

そしてステイルは静かに告げる。

 

 

「それでも、家族も、親友も、恋人も、全部………無に還るんだ」

 

 

ステイルは俯く。

 

神裂が言葉を続ける。

 

 

「私達は………もう耐えれません。これ以上、彼女の笑顔を見続けるなんて、不可能です」

 

 

神裂も俯いてしまった。

 

 

 

 

 

「「ふざけんな!!!」」

 

 

 

 

大樹と上条は叫ぶ。

 

上条は右手を握りしめる。自分の爪が皮膚に食い込んで今にも血が出てしまいそうになるくらい。

 

 

「んなモノは、テメェらの勝手な理屈だろうが」

 

 

大樹は二人を睨めつけながら言う。

 

 

「インデックスの事なんざ一瞬も考えてねぇじゃねぇか!!」

 

 

上条は足に力を入れながら怒鳴る。

 

 

「ハッ、笑わせんじゃねぇ」

 

 

鼻で笑い大樹は二人を馬鹿にする。

 

 

そして、上条が

 

 

 

 

 

「テメェらの臆病のツケをインデックスに押し付けてんじゃねぇ!!!」

 

 

 

 

 

叫ぶと同時に走る。

 

ステイルは炎の巨神で上条の進路を妨害する。

 

上条は再び炎の巨神を右手で殴る。がさっきと同じように消えなかった。

 

 

「無駄だ、君には倒せない!」

 

 

「ああ、俺だけでは倒せないな」

 

 

上条は大樹を見ながら言った。

 

大樹は神裂にから七閃の攻撃を避け続けていた。

 

 

(まだか…!?)

 

 

大樹は心のなかでは焦っている。

 

大樹は上条を見ていた。いや、炎の巨神を見ていた。

 

 

(まだ消えないのかよ!)

 

 

大樹は七閃を避けながら走り続ける。そして、

 

 

(これでどうだ!)

 

 

次の瞬間、炎の巨神は消えた。

 

 

「馬鹿な!?なぜ消えた!」

 

 

ステイルは辺りを見渡すと、あるモノが目に入った。

 

 

 

 

 

大樹がばらまかれているはずのルーンを何十枚も手に持っていたからだ。

 

 

 

 

 

大樹は笑みを浮かべて「どうだ?」と言わんばかりの顔をしていた。

 

 

「い、いつの間に…!?」

 

 

ステイルは声に出して驚いていたが、神裂のほうが驚いていた。

 

 

(私の攻撃を避けながらルーンを回収していた!?)

 

 

上条はステイルに向かって走り続ける。

 

 

「しまった!?」

 

 

「ステイル!」

 

 

神裂はステイルを呼ぶ。助けようと七閃を

 

 

「どこ見てんだよ」

 

 

「!?」

 

 

神裂はミスを犯してしまった。大樹から目をはなしてしまったことを。

 

すぐ目の前に大樹が構えていた。

 

 

 

 

 

「「うおおおおおおおおォォォ!!!!」」

 

 

 

 

 

上条はステイルの顔に右ストレート。

 

大樹は神裂に回し蹴りを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギリギリのところで当てなかった。

 

 

「「………」」

 

 

魔術師は驚いて放心していた。そして、負けたことを悟った。

 

 

「「俺達の勝ちだ、この野郎!!」」

 

 

勝敗が決した。

 




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