どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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今回から【問題児たちが異世界から来るそうですよ?編】が始まります。

続きです。


問題児たちが異世界から来るそうですよ?編
修羅神仏が集まる箱庭


【?】

 

 

 

 

 

NO DATE

 

 

 

 

 

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1枚の手紙の中にはこんな内容が書かれていた。

 

 

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能(ギフト)を試すことを望むならば、

 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 我らの【箱庭】に来られたし』

 

 

 

 

 

そして、4人は異世界に転生する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界が4人にとって『終わり』であり、『最悪』の始まりとなる世界となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼らは知らない。

 

 

 

 

 

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ちぃーす、楢原 大樹でーすッ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶賛空から落下中でーすッ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、美琴たちにメールでもするか」

 

 

俺は空から落下しながら携帯電話を扱う。さすがに何回もこんな体験をすると慣れてしまうものだ。慣れって怖いな。

 

 

「「「きゃあああああ!?」」」

 

 

俺の隣では美琴とアリア。そして優子が落下していた。

 

美琴は薄いピンク色のパーカーを着ており、下は濃いピンク色のフリフリのスカートをはいていた。もちろん短パン装備です。だが美琴らしい服装でとても似合っていた。

 

アリアは武偵高校の防弾制服を着ていた。だが赤色の冬服では無く、青色の夏服を着ている。そんな服でもアリアには雰囲気があっており、とても新鮮な感じがした。

 

優子は長袖の白い服を着て、上から赤色のミニスカートぐらいまでのある長さのキャミソールを着ていた。優子には赤色の服が一番似合って、可愛かった。

 

結論。みんな可愛い。結婚してくれ。

 

 

「って、ちょっと待て」

 

 

3人の服を観察してニヤニヤしている場合ではなかった。

 

 

「一緒に落ちてるのか!?」

 

 

「「「気づくの遅い!!」」」

 

 

「よっしゃああああァァァ!!仲間が増えたぜ!!」

 

 

「何喜んでんのよ!?」

 

 

優子は喜ぶ俺に向かって叫ぶ。

 

 

「ど、何処だここ!?」

 

 

「きゃッ!?」

 

 

「わッ」

 

 

俺の隣に急に現れ、俺たちと一緒に落ちていく3人。と1匹。

 

1人は学ランを着た金髪の少年。もう1人は頭に赤いリボンをし、一昔前の女性服を着て、腰まで伸ばした長い髪の少女。最後の1人は……何だろう。半袖の白いコートのようなものを着ており、オレンジ色の短パンをはいて、こちらはショートカットに切った髪型の少女だった。現代では見ない服装だ。あと猫がいる。

 

 

「美琴!優子!」

 

 

アリアは美琴と優子の手を掴む。

 

そして、アリアのツインテールが大きな翼のようになり、はばたく。アリアたちは落下速度がどんどん減速していく。

 

 

「うん俺を見捨てやがったな」

 

 

まぁ俺は助かるからいいけどな。べ、別に泣いてねぇよ。

 

俺と残りの3人とともに一緒に落下地点の湖に落ちていく。

 

だが、落ちるまで10メートルぐらいというところで、体がクッションにダイブしたような感覚が伝わり、落下スピードが激減した。そして、ポチャンっと音を立てて湖に落ちた。

 

 

 

 

 

大樹を除いて。

 

 

 

 

大樹はそのままの落下速度で湖に向かって落下する。

 

 

(はぁ……人生って厳しい)

 

 

ドシャアアアアアン!!!

 

 

他の3人とは比べものにならない水しぶきをあげた。

 

 

________________________

 

 

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

 

「右に同じだクソッタレ。場合によってはその場でゲームオーバーだぜコレ」

 

 

学ランを着た少年とロングヘアの少女が湖からあがる。

 

 

「………大丈夫?」

 

 

『じ、じぬがぼおぼた………!』

 

 

ショートカットの少女は三毛猫に話かけ、無事を確認する。この少女は猫の言葉を理解しているみたいだ。

 

 

「ていうか助けてくれてもよかったんじゃないか?」

 

 

金髪の少年は上を見上げる。空から3人の女の子がゆっくりと降りてきた。

 

 

「ごめんなさい。定員オーバーだったの」

 

 

ツインテールを翼にして降りてきたアリアは謝罪する。

 

 

「そう、まぁ助かったから許してあげるわ」

 

 

「何で上から目線なのかしら……」

 

 

ロングヘアの少女の言葉に優子は顔を歪める。

 

 

「………まだ1人上がって来てない」

 

 

「「「「「あ」」」」」

 

 

大樹はまだ湖から上がっていないのだ。

 

 

「死んだな」

 

 

「ええ、死んだわね」

 

 

「助からない」

 

 

「「「勝手に殺さないで!」」」

 

 

見知らぬ3人は湖を見ながら呟く。美琴とアリア。そして優子は反論し、否定する。

 

 

「でも長すぎるわね……」

 

 

美琴は湖を見ながら呟く。が、

 

 

「ぶはッ!」

 

 

やっと大樹が湖の底からあがって来た。

 

 

「大樹!何でそんなに上がってくるのが遅いのよ!」

 

 

アリアは腰に手を当て怒る。いや、泳げない人にそんなこと言われたくないんですけど。

 

 

「いや、落下スピードが速すぎて湖の底まで行ってしまったんだよ」

 

 

「それでも遅すぎない?」

 

 

大樹の言い分に美琴は首をかしげる。

 

 

「ああ、旨そうな魚が泳いでいたから獲ってた」

 

 

「「「「「何やってんの」」」」」

 

 

俺は湖から巨大な魚を掲げ、みんなに見せる。魚は軽く見積もっても10人分はある。

 

 

「さて、焼こう」

 

 

「私も食べたい」

 

 

ショートカットの少女が近づいてきた。

 

 

「おう、いいぜ。ほら、みんなで食べようぜ」

 

 

湖から上がり、近くにあった枯れ木を集め、火をおこす。魚を大胆に火あぶりにする。

 

 

「じゃあ焼きあがるまでに自己紹介しようぜ。ついでに火の近くにいれば服も乾くだろ」

 

 

俺は魚のセッティングが完了し、みんなに向かって言う。そして俺たちは火を囲むようにして座る。

 

 

「私は久遠 飛鳥(くどう あすか)よ。あなたは?」

 

 

「悪い。自分から自己紹介を提案しておいて俺が言わないのはダメだな。俺は楢原 大樹だ」

 

 

「よろしくね、一般人さん」

 

 

「いや、せっかく自己紹介したんだから名前で呼べよ。てかそれ名前じゃないから」

 

 

「それもそうね。大樹、私のことは飛鳥でいいわ。よろしくね」

 

 

「ああ、こちらこそよろしくな、飛鳥」

 

 

飛鳥と俺は自己紹介をする。いや、明らかに2人だけの会話になってるけどな。

 

 

「大樹、まだ?」

 

 

「はやいだろ。まだ焼けてねぇよ。それより名前は?」

 

 

魚をずっとガン見している少女に名前を尋ねる。

 

 

「春日部 耀(かすかべ よう)。私も名前でいい」

 

 

「よろしくな、耀」

 

 

耀は魚を見続けたままうなずく。どんだけ好きなんだよ、魚。

 

 

「御坂 美琴よ。よろしくね飛鳥さんに耀さん」

 

 

「あら?呼び捨てでいいのよ。私も美琴と呼ぶから」

 

 

飛鳥は首を振って、美琴に呼び捨てするよう言う。耀はうなずいて、自分も呼び捨てでいいと伝える。

 

 

「分かったわ。よろしくね飛鳥、耀」

 

 

「じゃあ次はあたしね。神崎・H・アリアよ」

 

 

美琴の自己紹介が終わり、次にアリアが言う。

 

 

「「「小学生?」」」

 

 

「落ち着けアリア!!」

 

 

俺は拳銃を取り出したアリアを抑える。

 

 

「そこの3人!アリアは立派な高2だ!」

 

 

「「「え」」」

 

 

事情を知らない3人に俺はアリアが高2だと伝えると、3人は驚いた。

 

 

「そう………ごめんなさいアリア」

 

 

「わ、分かってくれたならいいわ」

 

 

飛鳥の謝罪にアリアは落ち着く。

 

 

「木下 優子よ。アタシも優子でいいわ」

 

 

「よろしくね、優子。私も名前で呼んで頂戴」

 

 

「よろしく。以下同文」

 

 

以下同文って何だよ。めんどくさがりすぎだろ、耀。

 

 

「最後は俺だな。逆廻 十六夜(さかまき いざよい)だ。一応確認するが全員手紙をもらったのか?」

 

 

金髪の少年は十六夜という名前らしい。

 

 

「ええ、貰ったわよ」

 

 

飛鳥は十六夜の言葉を肯定し、耀はうなずき肯定を示す。

 

 

「え?もらってないわよ」

 

 

「そうなの?もしかして他の3人も?」

 

 

美琴は手紙を貰ったことを否定する。飛鳥は他の3人に質問する。

 

 

「ああ。俺、美琴、アリア、優子はそんな手紙は貰ってないな」

 

 

「じゃあお前らどうやってここに?」

 

 

俺の言葉に十六夜は質問する。

 

 

「さぁ?」

 

 

「さぁって、あなたね……」

 

 

飛鳥に溜め息をつかれ、呆れられる。

 

 

「それより魚が焼けたし食おうぜ」

 

 

話を中断して、みんなで魚を食べることにした。

 

 

________________________

 

 

 

(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……)

 

 

物陰から大樹たちを見ている人がいた。

 

 

(しかも召喚したのは3人のはずですのに、どうして7人に増えてるのですか!?)

 

 

どうやら一般人と書かれた服を着ている少年。ピンクの服を着たショートカットの少女。ツインテールの小さな女の子。そして赤いキャミソールを着た唯一真面目そうな少女。

 

以上4人には手紙が来てないようだった。

 

 

(しかも魚を食べて、とても仲が良さそうですよ!!)

 

 

7人は笑い合い、すでに友達と言っていいくらいに仲が良さそうだった。

 

 

________________________

 

 

 

「ていうか俺たちはともかく、招待された3人は案内人とかいないとおかしくね?」

 

 

(ここにいるのですよ)

 

 

魚を食っている大樹の言葉に隠れている人は心の中で返答する。

 

 

「じゃあそこに隠れている奴にでも聞くか?」

 

 

十六夜は物陰に隠れている人のいる場所に視線を向ける。物陰に隠れている人はビクッと驚く。

 

 

「あら、気づいてたの?」

 

 

飛鳥も気づいていた。いや、

 

 

「優子以外みんな気づいてたな」

 

 

「え?だ、誰かいるの?」

 

 

優子を除く全員が気づいていた。優子はそんな言葉を聞いて戸惑う。

 

 

「でも、魚を食ってからにしようぜ」

 

 

「「「「「賛成」」」」」

 

 

「放置しないでください!!」

 

 

大樹の言葉に全員(優子を除く)が魚を再び食べ始めた。隠れていた人はツッコミを入れながら出てきた。

 

 

「うわッ、妖怪だ」

 

 

「妖怪!?そんなこと初めて言われましたよ!?」

 

 

俺はとりあえず出てきた奴をバカにしてみた。

 

物陰から出てきたのは、バニーガールだった。服はカジノで着ていそうな黒い服を着ており、赤色のミニスカートでガーターベルトをしていた。髪は青色でウサ耳をしていた。いや、本物だな。それと胸でかい。

 

取り敢えず、

 

 

「説明はよ」

 

 

「切り替え早くないですか!?」

 

 

ウサギは驚愕する。だがウサギは咳払いをして両手を広げる。いよいよ説明するみたいだな。にしても胸でかいな。

 

 

「それではいいですか?定例分で言いますよ?言いますよ?さぁ、言います!!」

 

 

「チッ」

 

 

「今舌打ちしましたね!?」

 

 

長い。前フリ超長い。あと胸大きい。

 

 

「はぁ……では言いますよ」

 

 

はよ言えや。

 

 

「ようこそ、【箱庭の世界】へ!ギフトを与えられた者達だけが参加できる【ギフトゲーム】への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

 

「ギフトゲームだと?」

 

 

俺はウサギの言った言葉に疑問をいだく。

 

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は普通の人間ではございません!」

 

 

みんなの視線が痛い。いや、俺は一般人だよ(嘘)

 

 

「その特異の力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます」

 

 

十六夜と飛鳥と耀はそんな力を持っているのか。こいつら俺より強いのか?

 

俺はこの世界を知らない。原作を読んでないから主人公、ヒロイン、世界観、敵など全く知らない。この3人の強さも、このウサギもな。

 

 

「【ギフトゲーム】はその【恩恵】を用いて競い合う為のゲーム。そして箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ」

 

 

「質問だ」

 

 

俺は手を挙げる。

 

 

「どうぞどうぞ♪」

 

 

「お前、誰?」

 

 

「「「「「あ」」」」」

 

 

みんなが声を出す。ウサギも。いや、コイツ自己紹介しないからずっと気になっていたんだよ。

 

 

「す、すみません!黒ウサギと申します!!」

 

 

なんだよ。ウサギに黒がついただけかよ。てかお前の場合は青ウサギじゃね?上半身の服しか黒くねぇよ。

 

 

「それでは気を取り直して話を続けさせてもらいます」

 

 

「嫌だね」

 

 

「続けます!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭に生活されるにあたって、数多とある【コミュニティ】に属していただきますよ♪」

 

 

「もっと嫌だね」

 

 

「属していただきます!!さっきから何なのですか!!」

 

 

十六夜はことあるごとに拒否していく。黒ウサギは怒っている。

 

 

「【ギフトゲーム】の勝者はゲームの【主催者(ホスト)】が提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

 

「……【主催者】って誰?」

 

 

耀が質問をする。魚を食べながら。

 

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあります」

 

 

おい、仕事しろよ神。

 

 

「コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。特徴として前者が多いのですが【主催者】が修羅神仏なだけであって凶悪かつ難解なものが多く」

 

 

黒ウサギは一度言葉を区切り、

 

 

 

 

 

「命の危険もあるでしょう」

 

 

 

 

 

真剣な声音で言った。

 

命の危険。俺はその言葉を聞いた瞬間、驚愕した。

 

美琴たちに危険な目にあってしまったらどうしよう。そんなことを考えただけで怖くなった。

 

 

「しかし、見返りは大きいです。【主催者】次第ですが、新たな【恩恵】を手にするも夢ではありません」

 

 

どうやら恩恵というものはそこまで凄いモノらしい。

 

 

「後者は参加するためのチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて【主催者】のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

 

カジノみたいだな。金がないとゲームができないし、負ければ一文無し。

 

 

「チップは何を賭けるのかしら?」

 

 

優子が黒ウサギに質問する。

 

 

「それも様々です。金品、土地、利権、名誉、人間………そしてギフトを賭けあうことも可能です」

 

 

「待ちなさい。それって命も賭けれるって言うこと?」

 

 

アリアは黒ウサギの話を中断させ質問する。

 

 

「はい、可能でございます」

 

 

「……………そう」

 

 

アリアは口を閉じた。

 

【ギフトゲーム】。確かに面白いシステムだと思う。だが人の命まで賭けれるとなると、一歩間違えばそれは命賭けの戦いになる。

 

アリアは正義感が強い。これから先、命を賭けるゲームにはできるだけ。いや、関わらないようにしたいと俺は思った。アリアに無茶をさせれない。

 

 

「ねぇ、【ギフトゲーム】はこの世界の法律みたいなモノなの?」

 

 

次に美琴が質問する。

 

 

「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは8割正解の2割間違いです」

 

 

「じゃあやっぱり犯罪はダメだと?」

 

 

俺は黒ウサギの間違いを当ててみる。

 

 

「YES!箱庭でも強盗や窃盗は禁止です。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩はことごとく処罰します」

 

 

何か問答無用で死刑にされそうな勢いだなおい。

 

 

「ですが【ギフトゲーム】は本質が全く逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。【主催者】が提示したゲームをクリアすればタダで賞品を手にすることが可能だということですね」

 

 

何だこの世界。実はかなり物騒なんじゃないか?

 

 

「そう、なかなか野蛮ね」

 

 

俺と同じことを考えていた飛鳥は言う。

 

 

「ごもっとも。ですが【主催者】は自己責任でゲームを開催しています。奪われるのが嫌な腰抜けは最初からゲームに参加しなければいいだけでございますよ」

 

 

黒ウサギは俺たちを挑発していた。だがそれはやれるものならやってみろという挑戦でもあった。

 

 

「1つ聞いていいか?」

 

 

今までずっと傍観者であった十六夜がようやくここにきて口を開く。

 

 

「どういった質問です?ルールですか?それともゲームそのものですか?」

 

 

「そんなことはどうでもいい」

 

 

いや、よくねぇだろ。

 

 

「俺が聞きたいのはたった1つ」

 

 

十六夜は真剣な目で告げる。

 

 

 

 

 

「この世界は………面白いか?」

 

 

 

 

 

(コイツとは気があいそうだな)

 

 

素直にそう思った。

 

 

「YES。【ギフトゲーム】は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯」

 

 

黒ウサギは笑顔で返答する。

 

 

「箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保障いたします♪」

 

 

十六夜は黒ウサギの言葉を聞き、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

その瞬間、誰かの視線を感じた。

 

 

 

 

 

「誰だ!?」

 

 

俺は後ろを振り向き、正体を探る。

 

 

「ど、どうしたのですか!?」

 

 

黒ウサギが俺の声に驚く。他のみんなも驚いていた。

 

 

(あれ?)

 

 

振り向いた瞬間、視線が消えた。

 

 

「どうしたのよ大樹?」

 

 

優子が心配して声をかける。

 

 

「いや、そこに誰かがいたような気がしたんだ」

 

 

「それは無いですよ。黒ウサギの耳はこの一帯のことを全て把握しています。この近くに人は絶対にいません」

 

 

絶対とまで言われたら信じるしかない。

 

 

(俺の気のせい?)

 

 

俺は心はモヤモヤした気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『影』は。いや『最悪』は近づいていた。

 

 

 





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