どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


下剋上と決断と幕だけが閉じる

【数学の基礎問題】

 

Aクラスの平均点は298,5点。

 

Bクラスの平均点は218,1点。

 

Cクラスの平均点は172,7点。

 

3つのクラスの平均点の合計点を求め、少数第1位を四捨五入しなさい。

 

 

 

吉井 明久の答え

 

689点

 

 

先生のコメント

 

正解です。さすがのあなたも正解できますね。少数第1位は3なので切り捨てますね。

 

 

 

楢原 大樹のコメント

 

どうしてそんな四捨五入という悲しいことをいうのですか!?1も2も3も4も救ってあげてくださいよ!今の俺たちにはそういう心がないからいじめなどの犯罪行為が多発しt

 

 

先生のコメント

 

いいから答えを書きなさい!!

 

 

________________________

 

 

「それではかんぱーいッ!!」

 

 

「「「「「乾杯ッ!!」」」」」

 

 

俺が乾杯の合図を送ると、打ち上げに来てくれた人、全員が乾杯と返してくれた。

 

 

「よっしテメェら、肉を食うぞおおおォォ!!」

 

 

「「「「「おぉッ!!」」」」」

 

 

清涼祭が終わり、AクラスとBクラスの合同で、打ち上げをしていた。

 

 

「やった!本当に奢ってくれるの!?」

 

 

「おう、どんどん食え」

 

 

明久はお金が厳しいと言っていたので俺が奢ることにした。

 

 

「僕の2ヶ月分の食料だぁ!!」

 

 

「「「「「え!?」」」」」

 

 

その場にいる全員が驚愕した。

 

 

「3000円でどうやって過ごすんだよ……」

 

 

ここにも人間をやめている奴発見。

 

 

「雄二、あーん」

 

 

「やめるんだ翔子。みんなが箸からナイフに持ち出した」

 

 

おっと、俺の手にもナイフが!?うっかりうっかり。

 

 

「あ、明久君。あーん」

 

 

「アキ、あーん」

 

 

「待つんだみんな。ナイフを投げようとしないで、危ないから」

 

 

おっと俺も投げようとしてたよ。うっかりうっかり。

 

 

「大樹!あーん!」

 

 

「あたしが先よ!あーん!」

 

 

「大樹君!あーん!」

 

 

ヒュヒュヒュヒュッ!!

 

 

「あぶねぇ!?」

 

 

俺は戻ってきた身体強化(仮)を使って避ける。もしくは受け止めた。

 

 

「焼肉パーティーは終わりだ」

 

 

「今からブラッドパーティーの時間だ」

 

 

怖いなこいつら。

 

 

「そういえば執事の接客中にある女の子が後日、会いたい人がAクラスにいるみたいだぞ」

 

 

「「「「「俺か!?」」」」」

 

 

食いついた。すごく。

 

 

「誰が会いたいのって聞いたら、力が強そうで頼れる人って」

 

 

「お前ら表に出ろ」

 

 

「「「「「OK、かかってこい」」」」」

 

 

須川の声でAクラスのほとんどが外に行った。喧嘩して1位でも決める気だろ。

 

 

「本当はなんなのじゃ?」

 

 

「女子プロボクサー選手の人間サンドバッグへのお誘い」

 

 

秀吉の質問に遠い目をして答える。みんなは苦笑いだ。

 

 

「ねぇ、大樹君」

 

 

「ん?」

 

 

優子が背中をつついて俺を呼ぶ。

 

 

「体は大丈夫なの?」

 

 

「余裕」

 

 

召喚獣の痛みがフィードバックしたときはかなり痛かったが、時間が経てば何ともない。

 

 

「それより今回は原田のおかげだな」

 

 

「もがもがッ(俺のおかげ)?」

 

 

「お前が先輩を惹きつけて、生き残っておかないと、俺の回復試験がダメになっちまうからな」

 

 

ぶっちゃけ1万点で止めても良かったが、せっかくなので行けるところまでやった。

 

 

「凄いよね、あの点数」

 

 

「………真似できない」

 

 

工藤とムッツリーニは俺を尊敬するような眼差しで見てくる。

 

 

「ある意味化け物だな」

 

 

「表に出ろ、雄二」

 

 

雄二に化け物扱いされた。

 

 

「もう危険なことをしないでよね」

 

 

「いや、それは……」

 

 

「約束しないと風穴」

 

 

「はい頑張ります」

 

 

美琴の言葉に同意できなかったが、アリアが俺の腹に銃口が向けられた。おい、どっからだしたその銃。

 

 

「心配したんだから」

 

 

「……すいません」

 

 

アリアの正直な気持ちを聞いて、反省する。

 

 

「アタシもできればやめてほしいわ」

 

 

「ああ、心配かけて悪かった」

 

 

清涼祭の後、宮川たちは停学処分となり、俺たちは保健室に行かされた。体は大丈夫だったがみんなに心配かけたみたいでさっきから大丈夫と聞かれっぱなしだ。

 

 

「とにかく俺は大丈夫だから今は楽しもうぜ」

 

 

「そうだな、売上金額も余裕でノルマを越えたし、パーッと行くか!」

 

 

「「「「「いぇーい!!」」」」」

 

 

俺たちは焼き肉を楽しむことにした。

 

あ、外での乱闘だけど、須川が1位が決まったみたいだぜ。その後警察の方々にお世話になったみたい。

 

 

_______________________

 

 

「マジ◯ガー………ゼエエエエット!!」

 

 

「「「「「い、いぇーい!」」」」」

 

 

俺の歌で盛り上がる。俺たちは2次会でカラオケに来ていた。

 

 

「意外だな、こういう曲が好きなのか?」

 

 

「ああ、ロボットは熱くて男のロマンだ!」

 

 

マク◯スとかめっちゃ好きだ。愛してる。

 

 

「それにしても優子はドリンクを注ぎに行ってから結構時間が経ったが遅くないか?」

 

 

「あ、あああ姉上はきっと悩んでいるのじゃ!!」

 

 

俺の言葉に何故か焦る秀吉。

 

 

「何に悩むんだよ」

 

 

「ど、ドリンクとかじゃ」

 

 

「はい?」

 

 

ドリンク悩むのに30分もかかるのか?病気じゃねぇか。

 

 

「……姉上は歌が下手だからのう……」

 

 

「……………」

 

 

聞こえてしまった。そういえばそうだった。

 

 

「あー、ちょっと俺トイレ行ってくるわ」

 

 

そんな嘘をついて、優子を探しに行くことにした。

 

 

________________________

 

 

【優子視点】

 

 

「はぁ……どうしよう」

 

 

自慢では無いが、アタシは歌が下手だ。

 

 

「みんなにバレたくない」

 

 

かれこれ30分。ドリンクバーの近くをうろうろしている。

 

 

「大樹君にバレるのだけは絶対にイヤ」

 

 

彼に失望されたくなかった。アタシは歌が下手だなんて優等生にあってはならないこと。

 

 

「……………」

 

 

でも、大樹君ならそんなアタシを受け入れてくれると思う。でも怖かった。残念なことに今までそんな経験がないから、こんなことを言う勇気は無かった。

 

 

「秀吉に相談してみようかしら」

 

 

あの弟なら解決方法を見つけてくれるかもしれない。

 

アタシはみんながいる所に戻ろうと歩く。

 

 

「ねぇ、そこの君。今1人かな?」

 

 

後ろから金髪染めた髪の男性が声をかけてきた。

 

 

「いえ、友達が待っているので」

 

 

「そんなこと言わずにさぁ」

 

 

「俺たちと遊ばねぇ?」

 

 

男の仲間と思われる人が後ろに4人もいた。

 

 

「そこで部屋取ってあるんだ」

 

 

「奢ってあげるから来なよ」

 

 

「…………!?」

 

 

アタシは囲まれてしまった。逃げようにも逃げれず、怖くて声が出ない。

 

 

「ね、ほら行こうぜ」

 

 

「は、放して……!」

 

 

「何にもしないから大丈夫だよ」

 

 

手を掴まれてしまった。優子の力では男の腕力に敵わない。

 

男たちはニヤニヤして、優子が困るのを楽しんでいる。

 

 

「だ、大樹君ッ!!」

 

 

思わず彼の名前を叫んでしまった。

 

 

 

 

 

「その手を放しやがれえええェェ!!」

 

 

 

 

 

ドゴンッ!!

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

  

 

 

 

刹那、アタシの目の前で男たち全員が吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

「があッ!?」

 

 

「がはッ!?」

 

 

壁に叩きつけられた者、天井まで吹っ飛ばされた者たちは床でうずくまり、もがく。大樹の攻撃はこの世のモノとは思えないほどデタラメさだった。

 

 

「大丈夫か優子?」

 

 

腰が抜け、床に座り込んでいるアタシに大樹は手を伸ばす。

 

 

「こいつッ!!」

 

 

金髪の男が懐からナイフを取り出し、大樹に向かって突っ込む。

 

 

「危ないッ!!」

 

 

大樹は後ろを向いたままだ。

 

 

だが

 

 

 

 

 

パシュ

 

 

 

 

 

大樹はナイフを見ないまま、右手の人差し指と中指の間に挟んで止めた。

 

 

 

 

 

 

 

「………ッ!?」

 

 

ナイフを持った男の顔が真っ青になる。

 

 

「おい」

 

 

大樹の顔は怒っていた。

 

 

「「「「「ひッ!?」」」」」

 

 

男たちは顔を見て、悲鳴を上げる。

 

 

「5秒で立ち去れ。じゃなきゃ」

 

 

パキンッ!!

 

 

大樹はナイフを刃を折った。

 

 

「ば、化け物だッ!!」

 

 

男たちはそんな言葉を吐き捨て、逃げて行った。

 

アタシはその光景が信じられなかった。

 

 

 

 

 

アタシは大樹が何者なのか分からなくなった。

 

 

 

 

 

「優子」

 

 

大樹はアタシの名前を呼ぶ。

 

 

「ちょっと外で話さないか?」

 

 

顔は笑っていた。でも、楽しいや嬉しいという感情はその顔には無い。

 

 

_______________________

 

 

【大樹視点】

 

 

俺は優子を連れて近くの公園のベンチに座っていた。周りに人影は見えない。

 

 

「単刀直入に話すよ」

 

 

俺は重くなった口を開く。

 

 

「俺はこの世界の人間じゃない」

 

 

隣に座っている優子の目が見開いた。

 

 

「ついでに言うと美琴もアリアもこの世界の人ではない」

 

 

俺は優子が驚いているのを無視して話を続ける。

 

 

「俺は理由があっていろんな世界をまわっているんだ」

 

 

美琴がいた世界は学園都市という超能力を開発している巨大な学校があること。アリアのいた世界は犯罪組織などに立ち向かうために作られた国際資格である武偵があることを伝えた。

 

俺は学園都市第1位と命がけの戦いをした。シャーロックには一度殺された。そんな危険なことがあったことを全部はなした。

 

 

「俺はみんなと旅みたいなモノをしているんだ」

 

 

優子は下を向いて聞いている。表情は分からない。

 

 

「これからも誰かと一緒に行きたいと思っている」

 

 

「いつ、帰るの?」

 

 

小さい声だが聞こえた。

 

 

「あと3日もないらしい」

 

 

「!?」

 

 

そう、これは前もって言われていたことだ。神が身体強化(仮)を返して3日後、転生する。これはこの世界に転生すると決められていたことだ。

 

 

「別に心配しなくていい。俺たちが転生したら忘れられるんだ」

 

 

優子の顔が悲しみ歪むのが分かった。

 

 

「アタシも」

 

 

優子が俺の手を掴む。

 

 

「アタシも連れて行って!!」

 

 

優子の目には涙がたまっていた。

 

 

「美琴とアリアがいいならアタシも連れて行って!!アタシもあなたとの過ごした時間を忘れたくない」

 

 

「優子……」

 

 

俺は優子の手を掴み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その手を引きはがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

優子はその言葉に耳を疑った。

 

 

「これから行く世界が危険な場所だったらどうするんだ」

 

 

俺は決めていた。

 

 

 

 

 

この世界では誰も連れて行かないことを。

 

 

 

 

 

優子みたいな一般人が関われるモノではない。美琴やアリアみたいに強くなくてはいけない。

 

 

「ごめんな。俺は優子が大切だ」

 

 

だからこそ

 

 

「君を連れていけない」

 

 

「……………」

 

 

そして、優子の目から大量の涙があふれた。

 

俺は彼女に何もできない。してはいけない。

 

唇を噛み、優子を慰めたい気持ちを抑える。

 

 

(最低だ)

 

 

口の中は鉄の味としょっぱい味がした。

 

 


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