どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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永遠の約束

今、俺の目の前には血塗れの少女を背負っている少年が玄関から入ってきた。だから少年に

 

 

「シスターを誘拐とか随分マニアックだな」

 

 

「違うッ!!」

 

「あれ?違うのか?」

 

 

「当たり前だ!……俺が今背中に抱えてるシスターをよく見て同じギャグが言えるかどうか試してみろよ」

 

 

上条は後ろを向き少女の血が見えるようにする。

 

 

「ぎゃああ!?」

 

 

小萌先生が驚く。俺は

 

 

「なるほど、ロリコンか貴様」

 

 

「言えた……だと……!?」

 

 

めっちゃびっくりしてる。だってシスターが何で血塗れなのか知ってるんだもん!

 

 

「……ってあんた誰だよ!?」

 

 

今ごろ?

 

 

「人に名前を聞くときはまず自分の名前から言うのが常識だろ?」

 

 

「えっ、いや、あんたのほうが常識「はよ言え」上条 当麻です……はい」

 

「俺は楢原 大樹だ。事情があって小萌先生と一緒に住まわせてもらっている。ちなみに小萌先生が担当しているクラスに今度転入する予定だ。同じクラスだから仲良くしてくれよな」

 

 

「そうだったのか。こちらこそよろしくな!」

 

 

そう言って上条は俺に笑顔を向ける。だが、

 

 

「てか和んでる場合じゃねぇよおおおおォォォ!!」

 

 

だから気づくの遅いって。

 

 

「人の命が危ないんだぞ!」

 

 

「!」

 

 

俺の顔は驚愕に染まる。そして

 

 

ピッ、ピッ、ポッ、prururururuガチャッ

 

 

『はい、風紀委員の原田ですが』

 

 

「おまわりさん、こいつです」

 

 

「やめろおおおおおおおおォォォォォ!!!!!」

 

 

バシッ!!!! と携帯電話を蹴られる。あ、原田から貰った携帯電話が。

 

 

「すいませんもう時間が本当に無いので勘弁してくださいお願いします」

 

 

と腰を90°曲げて俺にお願いする上条がいた。まぁそろそろ止めておくか。

 

 

小萌先生は終始開いた口がふさがなかった状態だった。

 

_________________________

 

 

上条とインデックスは部屋に上がった。インデックスは床に横たわっている。

 

 

「なぁ、インデックス。なんか俺にやれる事ってないのか?」

 

 

上条はインデックスにそっと話しかける。

 

しかし

 

 

「ありえません。この場における最良の選択肢は、あなたがここから立ち去る事です」

 

 

と無慈悲に告げられた。インデックスの声はまるで機械。感情の無い声だった。

 

 

「……じゃ、先生。俺、ちょっとそこの公衆電話まで走ってきます」

 

 

「て、………え?上条ちゃん、電話ならそこに……」

 

 

と上条はその言葉を無視して、部屋を出ていく。

 

 

「上条!」

 

 

俺も部屋を出る。あ、俺も子萌先生に言い訳を。

 

 

「……小萌先生。俺はコンビニでエロ本を購入するためにちょっとそこまで走ってきます」

 

 

「えぇ!?この状況で何言ってるんですか!?」

 

 

「いざ楽園へ!!」

 

 

「駄目ですよ!!未成年は!!」

 

 

いや、買わないから。…………買わないから。

 

 

_________________________

 

【上条視点】

 

 

 

上条は走っていた。

 

 

何も考えたくなかった。

 

 

ひたすら走り続けた。

 

 

速く、速く、速く走った。

 

 

(俺は何も出来なかった…)

 

 

上条はインデックスを助けることはできない。

むしろ、居るだけで迷惑な存在になっていた。

 

 

(ちくしょう……!)

 

 

上条は右手を握りしめる。

神様の奇跡でも打ち消せるのに、女の子一人を守れなかった。

 

 

(俺があの時、インデックスを引き止めておけば…!)

 

 

今さら後悔しても遅い。この人生(ゲーム)にはセーブやロードは出来ない。もう後戻りは……出来ない。

 

 

(もっと、もっと強かったら…!!)

 

 

魔術師と戦ったあとからずっと考えてた。

 

もしあの時、紙のインクが消えないよう細工されていたら敗北していただろう。

 

 

あの時は運がよかっただけ、本当は負けていた。

 

 

そんな言葉が頭の中から離れない。

 

その時俺は泣きそうな顔になっていた。

 

 

 

 

 

「いつまで暗い顔してるんだ」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

いつの間にか、さっきの少年が横を走っていた。

 

驚いたが、顔に出ないように仮面をかぶる。

 

 

「……なんでついてきた」

 

 

素っ気ない態度をとってしまった。

 

 

「何でそんなに落ち込んでるか聞くために」

 

 

俺を慰めるのか?ふざけんじゃね。

 

しかし俺は

 

 

「インデックスを助けてやれなかったからだ…」

 

 

自然と声に出ていた。

 

 

「何があったんだ?」

 

 

何故か俺は今日あったことを話した。本当は話してはいけないのにと思うも口から言葉があふれるでる。

 

あの時は、インデックスを引き止めておけばよかったこと。

 

インデックスを守れず傷だらけになってしまって後悔したこと。

 

インデックスの回復魔術に俺が回復魔術をするのに邪魔なことが悔しかったこと。

 

 

全部言った。肩で息するほど疲れてしまった。

 

言い過ぎた。

 

そう思った。

 

彼に謝ろうとすると

 

 

 

 

 

「よかったな」

 

 

 

 

 

あり得ない言葉が返ってきた。

よかった?何が?

 

 

「お前話聞いていたのかよ!?」

 

 

「聞いたよ。命懸けで魔術師と闘って彼女を守ったこと。傷を治すために彼女を背負って、子萌先生のアパートまで走ってきたこと。彼女の回復魔術を成功するために出来るだけ遠くに行こうと走ってきたこと……凄いことじゃんか」

 

 

「!?」

 

 

驚いた。こんな評価されるとは思わなかった。

 

その言葉を聞いたとき心が軽くなった。

 

 

「もっと誇ってもいいんじゃないか?」

 

 

駄目だ。俺はそれでも………

 

 

「もうお前にはどうするか分かってるだろ」

 

 

「………」

 

 

「罪悪感なんか抱いてたら、彼女は悲しむぞ」

 

 

わかってる!!

 

でも、俺じゃ……

 

 

 

 

 

「俺じゃ駄目だとか思ってるのか?」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

「今のインデックスには」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前しか頼れる味方がいないんだぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そうか。

 

 

「いいのか?」

 

 

「当たり前だ。今の彼女にとって」

 

 

彼は言った。

 

 

 

 

 

 

「お前しかいないんだ」

 

 

 

 

 

「でも俺はレベル5でも無い。最弱のレベル0だ。」

 

 

「知ってる」

 

 

「不良に喧嘩売られても、自分が不利ならば逃げる」

 

 

「弱いな」

 

 

「そうだな、でも」

 

 

俺は宣言する。

 

 

 

 

 

「インデックスは絶対に助ける」

 

 

 

 

 

言い切った。

 

 

「そうか」

 

 

彼は後ろを向き

 

 

 

 

 

「お前ならできる」

 

 

 

 

 

彼もまた言い切った。

 

 

「回復魔術終わったみたいだ。子萌先生から連絡があった」

 

 

「!」

 

 

「はやく会ってこいよ」

 

 

 

俺はまた走り出した。

 

 

 

 

 

 

さっきより、はやく走れた。

 

 

_________________________

 

【大樹視点】

 

 

 

 

「すげぇな」

 

 

大樹は心の底から感心した。上条に 。

 

幻想殺しがあっても、俺は魔術師と闘えない。

 

きっと怖くて放棄してしまうだろう。

 

 

(励ます必要無かったな)

 

 

彼はきっとドン底に落とされても、絶対に這い上がってくる。守るモノを守るために。

 

上条 当麻は記憶があっても無くても強い人間だった。

 

 

「俺もいつかはあいつみたいになりたいなぁ」

 

 

でも、なることはできない。

 

 

なぜなら

 

 

俺は上条 当麻じゃない、

 

 

楢原 大樹だから。

 

 

俺は俺のやり方を貫く。

 

 

あいつが脇役?いいや、上条は主役だ。

 

 

脇役は俺が…………いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

二人で主役するか。

 

 

 

_________________________

 

 

「青春だなぁ」

 

翌日、俺はアパートの部屋の前にいた。スーパーで買い物をして帰ってきたとき、上条の怒鳴り声が聞こえた。

 

何事かと思い盗み聞きしてると……大丈夫みたいだな。

 

上条はインデックスを守る約束をしていた。

 

上条とインデックスを留守番させて正解だったな。

 

 

(俺も覚悟を決めなきゃな…)

 

 

俺は二人のために戦うときがある。

 

その時に俺は悪役になってもいい。

 

 

 

 

 

 

ハッピーエンドを迎える。

 

 

 

 

 

そんなこと決意した。

 

 

「ぎゃああああああァァァァ!!!!!!」

 

 

噛みつかれたか…。上条の叫び声が聞こえた。

 

 

「そろそろ行くか」

 

 

俺はドアノブを回した。

 

 

_________________________

 

 

「おっふろ♪おっふろ♪」

 

 

インデックスはスキップをするほど上機嫌だった。

 

 

(やべぇ、超かわいい)

 

 

なんだあの小動物。お持ち帰りOKですか?

 

上条はインデックスに話しかける。

 

 

「何だよそんなに気にしてたのか?正直、匂いなんてそんな気になんねーぞ?」

 

 

「汗かいてるのが好きな人?」

 

 

「そういう意味じゃねぇッ!!」

 

 

「もしもし、警察でs」

 

 

「やめろッ!!!」

 

 

バシッ!!

 

 

あ、原田から(以下略)

 

 

あれから3日経ち、俺達三人は戦闘に向かっていた。

 

 

あ、戦闘になることは俺しか知らないか、テヘペロ☆

あー、あー、訂正訂正。俺達は銭湯に向かっていった。

 

 

実は子萌先生のアパートは風呂が無いのだ。

だからこの様に銭湯に行くしかないのだ。

 

 

道中でインデックスの話を聞いた。

 

彼女には一年前にあるものを無くした。それは

 

 

記憶だ。

 

 

「くそったれが………」

 

 

上条が呟いてるのが聞こえた。無意識で呟いてるのだろう。

 

こんな小さな少女が魔術師にわけもわからず追い回されていることを考えると俺でも怒りを覚える。

 

 

だけど今は我慢しろ、上条 当麻。

 

 

_________________________

 

 

「あれ?」

 

 

上条が周囲を見渡す。

 

 

「…誰もいない」

 

 

不気味なくらい静かだった。

 

 

「…たぶん、これは」

 

 

「僕が人払いの刻印(ルーン)を刻んだ」

 

 

インデックスが何かを答えようとしたとき、男の声がした。

 

漆黒の修道服を着た2メートル近い身長の人が現れた。髪が赤色に染め上げられ、顔の下にバーコードみたいなタトゥーがある。

 

 

(ステイル=マグヌス……)

 

 

俺は心の中で呟く。敵だ。

 

 

「この一帯にいる人に【何故かここには近づこうと思わない】ように集中を逸らしているだけです。多くの人は建物の中でしょう。ご心配はなさらずに」

 

 

「………」

 

 

次は女性の声が聞こえた。インデックスが上条の後ろに隠れる。

 

ステイルの後ろから女性が歩いてきた。女はTシャツに片足を切ったジーパンを履いていた。腰には2メートルは越えるであろう刀が鞘に収まっていた。

 

 

(……神裂 火織か)

 

 

「魔術師……!」

 

 

上条が敵を睨み付ける。

 

 

(原作通りじゃないな……?)

 

 

原作ならばインデックスとはぐれ、神裂(かんざき)と上条が戦うはずだった。だが、

 

 

(二人同時で来たか…!)

 

 

「インデックス、子萌先生のところに帰るんだ」

 

 

上条がインデックスに引き返すように言う。

 

 

「でも!!」

 

 

「大丈夫だ、約束しただろ」

 

 

「………」

 

 

上条は優しく微笑む。

 

 

「……絶対、絶対に帰ってくるんだよ!」

 

 

「当たり前だ。帰ってくるときはコンビニでお前の好きなアイス買ってきてやる」

 

 

インデックスは泣きそうな顔になるが我慢し、来た道を走って引き返した。

 

 

「いいのかい?あの子を一人にして?僕らの仲間がすぐに追いかけに行くよ?」

 

 

「それはあり得ないな」

 

 

「……なぜそう思うのですか?」

 

 

ステイルの嘘を大樹は見抜いた。神裂は俺に理由を聞く。理由?簡単だろ。

 

 

「俺はお前らを知っているからだ」

 

 

「……理解出来ないですね」

 

 

「する必要なんかねーよ。なぁ上条?」

 

 

「あぁ、そうだな」

 

 

俺達は二人の魔術師を挑発する。

 

 

 

 

「「どうせここでお前らとここで決着をつけるからな」」

 

 

 

 

俺達二人は拳を握り締めた。

 

 

 




次回はバトルパートです。

頑張って書きます。


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