どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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投稿が遅れてすみません。

思ったより時間が掛かりました。

続きをどうぞ。



正義の馬鹿と悪の秀才と廻る戦争

【道徳の問題】

 

あなたの信条を教えて下さい。

 

 

 

宮川 慶吾の答え

 

勝者に花束、敗者には石を。

 

 

 

楢原 大樹の答え

 

正義を貫くこと。

 

 

 

吉井明久の答え

 

憲法

 

 

先生のコメント

 

信条は国が定めている法のことではありませんよ。

 

 

________________________

 

「「「「試獣召喚(サモン)!」」」」

 

 

世界史

 

Aクラス

 

楢原 大樹           1102点

 

原田 亮良             18点

 

 VS

 

Aクラス

 

常村 勇作(つねむら ゆうさく)  204点

 

夏川 俊平(なつかわ しゅんぺい) 201点

 

 

 

「「「「「えええェェ!?」」」」」

 

 

「「はあああァァァ!?」」

 

 

観客と3年の先輩、常夏コンビは俺の点数を見て、驚きの声をあげる。

 

 

「ッ!!」

 

 

ズバンッ!!

 

 

俺の召喚獣が持っている剣で常村の召喚獣を斬り飛ばす。先輩が操っていた召喚獣の点数はたった一撃で0点になった。

 

 

「元Fクラスの分際で調子に乗るなよッ!!」

 

 

夏川の召喚獣が俺の召喚獣に向かって突っ込んで来た。

 

 

「させるか!」

 

 

ドガッ!!

 

 

原田の召喚獣は突っ込んで来た召喚獣にスライディングをして転ばせる。

 

 

「しまったッ!?」

 

 

「終わりだあああァァ!!」

 

 

ズシャッ!!

 

 

隙を見て、俺の召喚獣は地面に倒れている夏川の召喚獣に2本の剣を突き刺した。

 

 

世界史

 

Aクラス

 

楢原 大樹 1102点

 

原田 亮良   18点

 

 VS

 

Aクラス

 

常村 勇作    0点

 

夏川 俊平    0点

 

 

 

初めて2人一緒に残ることができた準決勝。やっとかよ。

 

これで残すは明日の決勝戦だ。

 

 

「あんな点数取れるわけがない!」

 

 

「イカサマをしたんだ!」

 

 

常夏コンビは不平だと言い張り始めた。

 

 

「鉄z……西村先生の前で出来るわけないですよ、常夏先輩」

 

 

「「まとめて言うな!!」」

 

 

「見苦しいですよ、とk………常夏先輩」

 

 

「いや変わってねぇだろ!?」

 

 

「もうはやく帰れよ常夏」

 

 

「おい!敬語、敬語!!」

 

 

あー、もう面倒臭い。

 

 

「常夏!出口は後ろだ!回れ右ッ!」

 

 

「「お前先輩舐めすぎだろ!?」」

 

 

「何を言っているですか。俺はちゃんと先輩を敬っていますよ」

 

 

「ほ、本当かよ………」

 

 

「はい。ゴキブリ先輩、はやく退場しろ」

 

 

「「やっぱりしていない!?」」

 

 

そして、俺たちも退場しないといけないことを5分後に気づいた。 無駄な時間を過ごしたよ、てへッ。

 

 

________________________

 

 

 

ガタンッ

 

 

「忍びでござ~る」

 

 

天井から学園長室に侵入した。

 

 

「あんた普通に入れないのかい!?」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

「ぐふッ!?」

 

 

天井から落ちて、着地に失敗した。トホホ(;´д`)

 

 

「あんた、実は筋金入りのバカなんじゃないのかい」

 

 

「それは明久で間に合ってます」

 

 

俺はそこまでバカじゃないやい。

 

 

「ところで何の用ですか、◯◯ババァ学園長」

 

 

「あんた本当に退学にしてあげようかい!?」

 

 

「俺の召喚獣の装備をあんなことにしやがって!!よくも……よくも騙したなあああァァ!!」

 

 

俺は召喚獣が来ていたTシャツを思い出す。紳士と書かれたTシャツを。

 

 

「それはあたしがやったんじゃないよクソジャリ」

 

 

「………どういうことだ?」

 

 

「外部からのハッキングでTシャツの文字を変えられたんだよ」

 

 

「最初はどんな文字しようとした」

 

 

「何も書いていない無地のTシャツだよ」

 

 

「そ、そうか」

 

 

てっきり『バカ』を書いた、とでも言うかと思ったわ。

 

 

「外部をハッキングした犯人は?」

 

 

「まだ捕まってないようだね」

 

 

学園長は首をふる。

 

 

「それよりもあんたに言いたいことがあるんだよ」

 

 

学園長は机に置いているパソコンを俺に見えるように、パソコンを回した。

 

 

「………『試験召喚大会の特別決勝戦のご案内』?」

 

 

パソコンの記事は文月学園の清涼祭の公式ページだった。

 

内容は………!?

 

 

「『決勝戦は学校内を使って模擬試召戦争を行うだと』!?」

 

 

俺はそこに書かれた文を読んで驚く。

 

 

「何だよこれ!?」

 

 

「落ち着きな。今から事情を話すから」

 

 

俺は学園長に言われ、冷静になる。

 

 

「学校のホームページにハッキングされたんださね」

 

 

学園長はパソコンを操作して、新しいページを開く。

 

 

「決勝戦は学校全体を使って戦う。そんなことをハッキングで書かれてしまったんだよ」

 

 

「そういことだったのか。なら決勝戦は普通に

 

 

「それは出来ない話だね」

 

 

「は?」

 

 

俺は学園長の言葉の意味が分からなかった。

 

 

「理由は何だよ」

 

 

「この祭は上のお偉いさんたちがたくさん見に来るのさね」

 

 

学園長の言葉で決勝戦を中止にできない理由が分かった。

 

 

「なるほど。ハッキングされたことがバレたくない事、特別決勝戦を見たい偉い奴が居る事。この2つのせいで決勝戦を中止にできないんだな」

 

 

「そうさね。さすが2学年最強と謳われるほどの頭の回転のはやさはあるみたいだね」

 

 

「そりゃどうも」

 

 

この学園での不祥事は他の学校より、かなり問題にされる可能性がある。

 

何故大げさにとらえられるかというと、この学校は多くのスポンサーが付いているため生徒の学費は極めて安く抑えているので毎年多くの受験者がいる。そのため近くの他の高校の受験者は減っている。

 

つまり、この学校は他の学校から見ると邪魔な存在なのである。

 

不祥事が起きたら出来るだけ大げさにしようとされるのだ。

 

 

「決勝戦はここに書かれているので構わない」

 

 

「でもあんたにはこの戦い方は不利じゃないかい?」

 

 

ここに書かれているルールでは対戦科目が学校の場所によって違うことである。もし、数学や物理で戦うことになると最悪だ。

 

なら日本史などの得意科目の場所にいたらいいじゃないか。

 

 

だが

 

 

「でもそれを封じられる」

 

 

俺はパソコンに書かれている文を睨み付ける。

 

 

・対戦科目は3分ごとに変わります。

 

 

「同じ場所にいても科目は変えられる。これはオールマイティに点数が高い奴が有利だな」

 

 

原田は2科目は最強だが、他は最弱だ。

 

 

「対戦相手は?」

 

 

「3年の宮川と長谷川。両方Aクラスさね」

 

 

やっぱり来たか。

 

 

「成績は?」

 

 

「それが妙なことにAクラスでは下のほうなんだよ」

 

 

「妙だと?」

 

 

「Aクラスの底辺なのに、ここまでよく勝ち上がってこれたと思わないかい?」

 

 

「別に思わねぇよ。たまたま相手が弱かっただけだろ。それにAクラスならここまで行けると思うが?」

 

 

「そう思ったけさね。だけど違うんだよクソジャリ。妙なのそれだけじゃ無いんだよ」

 

 

学園長は1枚の紙を俺に渡す。トーナメント表だ。

 

 

「これはおかしいな」

 

 

すぐに異変が分かった。

 

 

 

 

 

「こいつら、Cクラス以上と戦ってねぇ」

 

 

 

 

 

F、F、D、E、Dクラスの順番で戦っている。C、B、Aクラスとは一度も戦っていないのだ。妙なことはそれだけでは無い。

 

 

「他の場所ではBクラスがAクラスに勝つのは分かるがDクラスがAクラスに勝っているのは不自然だ」

 

 

「だけど会場は納得しているみたいさね」

 

 

「Aクラスはたまたま不得意科目で、Dクラスはたまたま得意科目だった。多分これだけで会場は納得するだろうな」

 

 

一般人の客も初めて見る人が多い。少しの不自然も感じることは無い。

 

 

「Dクラスの召喚獣を操る技術がうまかったと言えばこの学校の生徒も不自然を感じない」

 

 

「……………」

 

 

学園長は黙って俺の話を聞いて少し間を置いた後

 

 

「勝てるかね」

 

 

「勝ってこいと言って来れば勝ちますけど?」

 

 

俺は軽口を叩いて返す。

 

 

「そんじゃ勝ってきな、クソジャリ」

 

 

「了解、ババァ長」

 

 

そう言って俺は学園長室を出る。

 

 

「よいしょっと」

 

 

天井から。

 

 

「……………」

 

 

学園長は頭を抱えて何も言わなかった。

 

 

________________________

 

 

「いよいよ明日が決勝戦ね」

 

 

初日の清涼祭が終わり、放課後の帰り道に美琴が話しかける。

 

 

「そう、だなッ」

 

 

「明日応援しに行くんだから勝ちなさいよ」

 

 

アリアは俺に勝つよう命令した。なんて強引なんだ。

 

 

「勝つに、決まって、いる、だろッ」

 

 

俺は息切れしながら答える。え?何で息切れしてるかって?

 

 

「大樹、スピード落ちてきたわよ」

 

 

「もっと早く漕ぎなさい」

 

 

美琴とアリアに文句を言われる。

 

 

 

 

 

「自転車で3人乗りはきついいいィィ!!」

 

 

 

 

 

ちなみに毎朝やっています。初日は筋肉痛になったわ。

 

俺の後ろに美琴が座る。これで2人乗りだが、膝にアリアが座って3人乗りに進化した。よって俺は座ったままの状態で自転車をはやく漕がなければならない。

 

 

「あ、あとすこ、し……」

 

 

「「がんばれー」」

 

 

棒読みの応援ってムカつくけど、この2人に言われたら嬉しいな。

 

 

「行くぞおらあああァァ!!」

 

 

~2分後~

 

 

「ひゅー、ひゅー」

 

 

三途の川を見た。

 

 

「はやく帰ってきなさいよー」

 

 

「あたしももまんね」

 

 

倒れている俺を無視してマンションの中に入っていった。

 

 

「で、どうしたんだ優子」

 

 

ビクッ!!

 

 

マンションの近くにある木の後ろに隠れている少女が姿を現す。

 

 

「バレてたの?」

 

 

「余裕で見つけた」

 

 

俺は倒れたまま笑顔で優子の顔を見た。

 

 

「………何かあったの?」

 

 

「へ?」

 

 

急にそんなことを聞かれ、俺はキョトンとする。

 

 

「学園長室に行ったくるって言った後から元気が無いわ」

 

 

「そんなことも分かるのかよ」

 

 

優子の考えは正しかった。そう、俺は悩んでいる。

 

 

「明日の決勝戦。勝てるのが厳しいんだ」

 

 

俺は倒れたまま黒く染まりつつある空を眺めながら言う。

 

 

「みんなの期待を裏切らないように

 

 

 

 

 

「そんなんじゃダメッ!!」

 

 

 

 

 

優子が大声をあげる。

 

 

「大樹君が教えてくれたじゃない!」

 

 

優子は俺の手を握る。

 

 

「アタシは負けてもいいと思うよ。そんなに重く考えないで」

 

 

優子は真っ直ぐな瞳で俺を見つめる。

 

 

 

 

 

「アタシは絶対に大樹君の味方だから」

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

俺はやっぱりバカだと実感した。

 

 

「自分であんなこと言っておいて、まさか今度は自分が励まされるなんてな」

 

 

「助け合いは大切よ」

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

俺は立ち上がる。

 

 

「なら明日の大会、応援してくれ」

 

 

「言われなくてもするわよ」

 

 

俺たちは笑顔になり、微笑んだ。

 

 

「ここまで来たんだ。夕飯食べていけよ」

 

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

優子と一緒にマンションに入って行った。

 

 

(明日の大会は明日から可能になる腕輪の使い方しだいだ)

 

 

俺は歩きながら頭を思考させる。

 

 

(優子には無理するなって言われたけど)

 

 

明日は勝たなきゃダメだ。

 

 

(俺たちをバカにしたことを後悔させてやるッ!!)

 

 

________________________

 

 

【試験召喚大会の会場】

 

 

「あ、大樹よ!」

 

 

「え?どこどこ?」

 

 

「ほら、右の方よ」

 

 

アリアはモニターに映った大樹を見つけ出す。明久はまだ見つけていなかったので美琴が教える。

 

 

「原田もいるのじゃ」

 

 

「………足が震えてる」

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

秀吉が原田を発見したが、ムッツリーニの発言でみんなのテンションが下がった。

 

 

「すごく緊張してるね」

 

 

「大樹君を見習ったほうがいいわ」

 

 

工藤は原田を見て笑い、優子は原田を残念そうな目で見ていた。

 

 

「そういえば坂本君が居ませんね」

 

 

「ここに居るぞ」

 

 

姫路の疑問に雄二は後ろから声を掛ける。

 

雄二の体はボロボロだった。

 

 

「「「「「 何があった 」」」」」

 

 

「翔子にやられた」

 

 

「だ、大丈夫なの?」

 

 

島田が心配する。

 

 

「雄二は吉井と浮気した。許さない」

 

 

「「してない!!」」

 

 

「少し向こうでお話しましょ、明久君」

 

 

「アキ、こっちに来なさい」

 

 

「2人とも目が笑ってないよ!?」

 

 

明久は姫路と島田に両腕を捕まれる。

 

 

「姫路に島田よ、もうすぐ始まるから後にしたらどうじゃ」

 

 

秀吉に言われて姫路と島田は仕方なく座る。

 

 

「助かったよ秀吉。さすが僕のお嫁さんだね」

 

 

「明久よ、後から後悔せぬようにな」

 

 

地雷を次々と踏んでいく明久を秀吉は哀れみの目で見ていた。

 

 

『それでは特別決勝戦のルールを説明します』

 

 

高橋先生がマイクを使って話した瞬間、みんな口を閉じ、静かにする。

 

 

『決勝戦は2対2の模擬試召戦闘を行います。本来の試召戦争とほぼ同じです』

 

 

 

たくさんあるモニターの一つにルールが書かれた画像が映しだされる。

 

 

『召喚フィールドは学校全体に展開しており、対戦科目が変わっても、召喚獣は消えません。そして戦いから逃げても敵前逃亡にならず、引き続き戦争の続行が可能です。なお、対戦科目は場所によって変わり、3分ごとに科目が変更されます』

 

 

「得意科目の場所にずっといれないじゃないか!」

 

 

「お前は得意科目でも低いから意味がないだろ」

 

 

明久の言葉に雄二はバカにして返す。

 

 

『勝利方法は2人のペアをどちらかが先に倒すと勝ちです。もし、召喚フィールドを故意で出た場合は失格となります』

 

 

2年Aクラス 楢原 大樹

 

2年Aクラス 原田 亮良

 

 VS

 

3年Aクラス 宮川 慶吾

 

3年Aクラス 長谷川 智紀

 

 

対戦表がモニターに表示された。

 

 

『それでは試召戦争を始めますッ』

 

 

学校全体に召喚フィールドが展開した。

 

 

「いよいよ始まったね」

 

 

明久はモニターを見ながら言う。観客も騒いでおり、みんな熱狂して応援などをしている。

 

 

「大樹が宮川先輩と遭遇したわ!」

 

 

「えぇ!?もう!?」

 

 

美琴の声を聞き、明久は驚愕する。

 

 

『『試獣召喚(サモン)!』』

 

 

世界史

 

Aクラス

 

楢原 大樹 119点

 

 VS

 

Aクラス

 

宮川 慶吾 856点

 

 

 

「「「「「え」」」」」

 

 

大樹の友達、クラスのみんなは驚いた。

 

 

「なんで大樹の点数が低いのよ……!」

 

 

優子の声は震えていた。

 

 

________________________

 

 

【学校内 2階廊下】

 

 

世界史

 

Aクラス

 

楢原 大樹 1197点

 

 VS

 

Aクラス

 

宮川 慶吾 8561点

 

 

 

「………全て合点がついたぜ、クソ先輩」

 

 

俺はあり得ない点数を前にして、驚愕した。だが全てが分かった。

 

 

「ハッキングをしていたのはお前らだな」

 

 

「正確には長谷川だ」

 

 

宮川は不気味に笑う。

 

この学校のホームページもこの点数もハッキングして作り出されたものだ。

 

 

「今、会場のモニターには1桁減らした点数が映してある。誰も変には思わないさ」

 

 

「バカだろ。それでもお前の点数は800点以上。疑問に思われるに決まっている」

 

 

「そんな疑問を解消したのはお前だろ」

 

 

宮川の言ってることが理解できなかった。

 

 

「お前が4桁の点数を出してくれたおかげで、観客は微塵も疑わない」

 

 

そうきたか。俺は内心で舌打ちをする。

 

 

「仮にバレたとしても、学園長は止めないだろうな」

 

 

問題を起こしたくない。学園長が言っていた。

 

 

「そろそろ始めようぜ」

 

 

宮川の召喚獣は両手に銃を持ち、構える。

 

 

「俺の武器は普通のとは比べんモノにならないくらい強えんだよ」

 

 

召喚獣は黒いコートを羽織っており、黒のシルクハット被っていた。手には黒く光る拳銃。

 

 

「ドミネ〇ターだ」

 

 

「サイ〇パスかよ」

 

 

いきなり何言ってんだよこいつ。

 

 

「こいつは犯罪係数があがr

 

 

「おい待てバカ」

 

 

何でサ〇コパスなんだよ。ドミネー〇ーかっこいいけどよぉ。

 

 

「音声は邪魔だし、犯罪指数でのロックとかは無いけどな」

 

 

「それただのチートの拳銃」

 

 

俺は召喚獣を構えさせる。

 

 

「くたばれチート野郎ッ!!」

 

 

俺の召喚獣は宮川の召喚獣に突っ込ませる。

 

 

ドキュンッ!!!

 

 

「なッ!?」

 

 

廊下の縦と横の大きさを半分にしたぐらいの巨大な光の球が宮川の拳銃から発射された。

 

 

 

 

 

 

 

世界史

 

Aクラス

 

楢原 大樹 36点

 

 

 

 

 

 

 

「があッ!?」

 

 

体に痛みが襲ってきた。

 

 

「普通の1発でこの強さか」

 

 

「な、何を……した……!?」

 

 

体全体が焼けるように熱く、痛い。

 

 

「お前らの召喚獣を【観察処分者】にしたんだよ」

 

 

観察処分者

 

 

成績不良、学習意欲が欠ける生徒に与えられるもの。現在は明久だけが持っている称号だ。

 

その者の召喚獣は特別で召喚フィールド内であれば、モノに触れることができるというメリットがある。だが、それを利用して教師の手伝いをさせられるのが観察処分者だ。

 

そして、デメリットがある。

 

それは召喚獣が受けた痛み。痛みをフィードバックをで何割か共有されてしまうことだ。

 

 

「くッ!」

 

 

そして現在その痛みを受けている。

 

 

「さきに言っておくけど召喚獣を使って俺を殴ろうとしても無駄だからな。そんなシステムは削除した」

 

 

「ゲスが……!!」

 

 

「代わりに召喚獣のフィードバックを上げておいたからさぞかし痛いだろうな」

 

 

今の俺ならこいつをボコボコにできる。だが学園長に迷惑はかけたくない。あんなババァでもいい奴だ。

 

 

(今は逃げる!!)

 

 

俺は後ろを向き、召喚獣と一緒に走り出した。

 

 

「無駄だって言ってんだろ!」

 

 

ガッガキュンッ!!

 

 

また巨大な光の球が2発射撃される。

 

 

「ッ!!」

 

 

階段がある曲がり角を曲がり、避ける。そして階段を駆け上がり、3階を目指す。

 

 

(原田と合流しないと!!)

 

 

原田は2教科以外点数が低い。1人でいるのは危険だ。

 

 

「いた!!」

 

 

Aクラスの前に原田がいた。

 

 

数学

 

Aクラス

 

原田 亮良  1222点

 

 VS

 

Aクラス

 

長谷川 智紀 8968点

 

 

だが既に戦っている状態だった。

 

 

「逃げろ!原田!!」

 

 

俺は叫び、原田を呼ぶ。

 

 

ドガッ!!

 

 

長谷川の召喚獣が持っている大きなハンマーで殴りつける。

 

 

数学

 

Aクラス

 

原田 亮良 17点

 

 

 

「嘘だろッ!?」

 

 

原田は驚愕した。そして

 

 

「ッ!?」

 

 

原田の体に痛みが走る。声すらあげれないほどの。

 

 

「とどめだッ!」

 

 

長谷川の召喚獣が突っ込んで来る。

 

 

「させるかッ!!」

 

 

ガキンッ!!

 

 

俺は召喚獣を突っ込ませ、長谷川の召喚獣の武器の軌道をずらした。

 

 

数学

 

Aクラス

 

楢原 大樹 14点

 

 

「なッ!?」

 

 

こんなに低い点数に攻撃を妨げられたことに驚愕する長谷川。

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

「ぐッ、何とかなッ」

 

 

俺の声に一応返すことはできるみたいだ。

 

 

「走れるか?」

 

 

「どこに逃げる?」

 

 

「分からん。とりあえず走るぞ」

 

 

俺と原田は走ってその場を逃げ出した。

 

 

「待ちやがれッ!」

 

 

長谷川は見逃すわけもなく、召喚獣を突撃させる。

 

 

「この野郎ッ!!」

 

 

ガコンッ!!

 

 

俺は廊下の端に置いてある消火器を蹴り飛ばした。

 

 

バシュンッ!!

 

 

「くそッ!」

 

 

消火器は見事に軽い爆発を起こし、煙を巻き上げる。

 

 

(このくらい見逃してくれよババァ!!)

 

 

そうじゃないと俺たちは下手したら大怪我だ。

 

俺たちは階段を降りるのであった。

 

________________________

 

 

「敵は来ていないみたいだな」

 

 

俺と原田は職員室の机の下に隠れていた。もう臆病者と言われてもいいよ。

 

 

「これからどうする?」

 

 

「多分全部あの点数だろうな」

 

 

総合科目の召喚フィールドがあると思うとぞっとする。

 

 

「でもモニターでバレるだろ?」

 

 

「残念だがもう細工してある。向うでは点数が1桁少なく見えるらしい」

 

 

「でも中止にできれば」

 

 

「残念だが学園長はそうならないように解決したいと願っているから却下」

 

 

「俺たちどんだけ残念なんだよ!!」

 

 

「静かにしろ。バレる」

 

 

勝ち目が全くないよ。助けてドラ〇もん。

 

 

『わしじゃ』

 

 

「おふうッ!?」

 

 

「!?」

 

 

急に頭に声が響いてびっくりした。そんな俺を見て原田は驚愕する。

 

 

『特典の修理が終わったぞ』

 

 

(だから機械みたいにいうなよ)

 

 

なんかダサいじゃん。

 

 

『今送ったぞ』

 

 

(はやいなおい)

 

 

嘘だろ?何も変わったように思えないんだが。

 

 

『それじゃまたのう』

 

 

帰るのもはやかった。神ってなんであんなに大雑把なんだろう。

 

 

「静かにしろ」

 

 

「え?」

 

 

俺は原田の口を抑える。

 

 

「近いぞ」

 

 

ガラッ

 

 

職員室のドアが開けられた。

 

 

「ちッ、ここにもいねぇか」

 

 

声からして宮川だ。

 

 

「やっぱクズは逃げることが得意な弱虫だな」

 

 

殴りたい気持ちをぐッと抑える。

 

 

ガラッ

 

 

ドアは閉められ、宮川はどこかに行った。

 

 

(聴覚が以上に発達したな)

 

 

耳を研ぎ澄ませば、階段を上る音まで聞ける。

 

 

「はは」

 

 

俺は乾いた声で笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたぞ、突破口を……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当か!?」

 

 

「だけど原田の力が必要だ」

 

 

この作戦は原田が重要だ。

 

 

「とりあえず1時間、死ぬなよ」

 

 

「へ?」

 

 

さぁ、チート野郎どもに最ッッ高に面白いモノを見せてやろうぜ!

 

________________________

 

 

【試験召喚大会の会場】

 

 

「大樹からメールが来たわ」

 

 

美琴が携帯電話をみんなに見せる。

 

 

【件名:今日の夕飯何がいい?】

 

 

『俺たちなら問題ない。今から凄いの見せてやるから待っていろ

 

 

 PS:夕飯は打ち上げで焼肉にするのもいいかと思います』

 

 

 

 

「だ、大丈夫なのかしら、これって」

 

 

優子がなんとも言えない顔をして、みんなにどう思うか聞く。

 

 

「………大丈夫と思う」

 

 

「僕もそう思うよ」

 

 

ムッツリーニと工藤は自信を持って言う。

 

 

 

 

 

『うわあああァァァ!!死にたくないいいィィィ!!』

 

 

 

 

 

モニターには原田が映し出されていた。

 

原田は宮川と長谷川に追いかけられていた。

 

 

「「「「「やっぱダメじゃね?」」」」」

 

 

「あ!メールがまた来たわ!」

 

 

美琴に新たなメールが来て、着信音が鳴る。

 

 

【件名:できれば明日の朝ごはんもよろしく】

 

 

『1時間後に美琴はモニターに細工されたやつ破壊してくれ。

 

 

 PS:今から焼肉予約するから打ち上げの参加人数を確認しておいて』

 

 

 

「ぶっ飛ばしてくる」

 

 

「待つんだ神崎さん!!大樹はちゃんと指示を出してくれているじゃないか!!」

 

 

アリアは学校に行こうとしたところを明久が止める。

 

 

「また来たわ」

 

 

美琴の携帯電話が再び震えだす。

 

 

【件名:あ、2次会ってどこでする?】

 

 

『焼肉屋でドリンクバーの飲み放題追加で1人3000円いるっていうことみんなに伝えておいて

 

 

 PS:あ、今日の夜は見たいアニメがあるので録画しておいて』

 

 

 

「アタシも行くわ」

 

 

「待つんだ姉上!そんなバットでたたいたら大樹は死んじゃうのじゃ!!」

 

 

会場は盛り上がっています(笑)

 

________________________

 

 

「そろそろ1時間です」

 

 

姫路がみんなに知らせる。モニターに映っている原田はいまだに走り続けていた。宮川と長谷川は挟み撃ちにしようと企んでいる。

 

観客はそんな様子を見て、つまらなさそうにしていた。

 

 

「御坂、どうやって細工を外すんだ?」

 

 

バチンッ!!

 

 

「今やったわよ」

 

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

雄二の質問に美琴は終わったことを告げる。

 

 

ざわざわッ

 

 

観客は一気に騒がしくなった。

 

 

古文

 

Aクラス

 

原田 亮良    22点

 

 VS

 

Aクラス

 

宮川 慶吾  8291点

 

長谷川 智紀 8832点

 

 

 

「嘘でしょ!?」

 

 

「あの先輩はずるをしていたみたいね」

 

 

島田が驚きの声をあげる。だが驚いているのは島田だけではない。美琴は細工されていたことを話す。

 

 

「モニターに1の位の点数が見えなくなるように細工されていたわ」

 

 

「卑怯者……!」

 

 

霧島は静かに言うが、怒っていることは伝わる。

 

 

「今すぐやめさせないと!」

 

 

「それはダメよ」

 

 

工藤の言葉を優子が否定する。

 

 

「大樹君は大丈夫って言ったわよ」

 

 

「でも!」

 

 

「工藤。やめておくんだ」

 

 

雄二も工藤を止める。

 

 

「大樹なら今から凄いモノ見せてくれるはずだ」

 

 

雄二は心配など微塵もしていなかった。

 

 

「大樹が来たわ!!」

 

 

美琴がモニターに指を差し、みんなに伝える。

 

大樹は宮川と長谷川に挟み撃ちをされている原田のところに向かっていた。

 

 

「試獣召喚(サモン)!!」

 

 

大樹は叫び、召喚獣を召喚する。

 

 

英語

 

Aクラス

 

楢原 大樹   509点

 

原田 亮良    11点

 

 VS

 

宮川 慶吾  8911点

 

長谷川 智紀 8655点

 

 

 

「何も変わっていない……?」

 

 

美琴は期待を裏切られたような感覚になった。

 

大樹はごく普通に戦っていた。

 

 

「このままじゃ負けるよ!」

 

 

明久がみんなに向かって言うが、誰も何も言わない。

 

 

「大樹……」

 

 

アリアは名前を呼ぶ。手に力を込める。

 

 

「武偵憲章1条!『仲間を信じ、仲間をたすけよ』!あたしは大樹を信じる!!」

 

 

アリアはみんなに聞こえるように叫ぶ。

 

 

「そうよ!まだ何かあるわ!」

 

 

美琴も便乗する。

 

 

「アタシも大樹君を信じているわ!」

 

 

優子も大声を出す。

 

 

「僕も大樹を信じるよ」

 

 

「ワシもじゃ」

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

「………大樹は勝つ」

 

 

明久、秀吉、雄二、ムッツリーニもうなずく。

 

 

「私も信じます!」

 

 

「そうね。あいつは強いわ」

 

 

「僕たちは応援しないと」

 

 

「頑張って、楢原」

 

 

姫路、島田、工藤、霧島は応援を始める。

 

 

「「「「「頑張れ!」」」」」

 

 

 

 

 

ニヤリッ

 

 

 

 

 

モニターに映っている大樹が笑った。

 

 

【日本史】

 

 

3分が経過して、召喚フィールドの科目が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本史

 

Aクラス

 

楢原 大樹 28291点

 

原田 亮良    21点

 

 VS

 

Aクラス

 

宮川 慶吾  8971点

 

長谷川 智紀 8470点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「はあああァァ!?」」」」」

 

 

「「「「「ええええェェェ!?」」」」」

 

 

「「「「「嘘おおおおォォォ!?」」」」」

 

 

会場にいる全員が驚愕。いや大驚愕した。

 

 

________________________

 

 

「な、なんだよその点数は!?」

 

 

「これが俺の実力だが?」

 

 

宮川の顔が青くなるのが分かる。ふははははは。

 

なぜこんなに点数が高いかって?

 

 

今さっき回復試験受けてきた。

 

 

試召戦争ならこの戦法は使うだろ?

 

ちなみに超スピードで問題を解いた。鉄人の口がふさがらなかった顔といったら傑作だった。

 

 

「お前もハッキングか!」

 

 

長谷川が突っ込んで来る。

 

 

「二刀流式、【阿修羅の構え】」

 

 

長谷川の召喚獣が持っているハンマーが振り下ろされる。

 

 

「【六刀暴刃】!!」

 

 

ズギャアアアアン!!!

 

 

長谷川の召喚獣が一瞬で消えた。

 

 

「は?」

 

 

否、点数が0になったのだ。

 

 

「残りはお前だけだ」

 

 

俺は宮川を睨む。

 

 

「ありえない。ありえないぞこんな事!!」

 

 

宮川は腕輪を発動する。

 

 

「くたばれえええェェェ!!!」

 

 

2つの黒い拳銃の武器が変形し、1つの大きな拳銃になる。

 

 

ズオオオオッ!!!

 

 

どす黒く光る巨大な球が発射された。

 

 

「腕輪、発動」

 

 

「遅えぇ!!」

 

 

黒い球体が大樹の召喚獣を飲み込み

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

爆発した。

 

 

「大樹ッ!!」

 

 

原田は叫んで無事を確認する。

 

 

「はは、無理だ。これで終わりだ」

 

 

 

 

 

「やっぱ雑魚だな、お前」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

黒い爆風の煙が晴れていく。

 

 

「な、なんだよあれは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃぶ台が降臨していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちゃぶ台!?」

 

 

原田はその物体を見て、驚く。

 

 

「「「「「無茶苦茶だ!!」」」」」

 

 

会場から声が聞こえたような気がした。

 

 

「奥義(大樹自作)!!!」

 

 

エビ反りをしてくるくると回転し、地面に弧を描く。

 

 

スパンッ!!

 

 

「なッ!?」

 

 

俺の召喚獣は遠心力で勢いをつけて、超スピードで宮川の召喚獣の足払いをする。

 

そして、こけた召喚獣の背中を支えて

 

 

「吹っ飛べ」

 

 

ちゃぶ台返しの要領で宮川の召喚獣を吹っ飛ばした。

 

 

「そして吹っ飛べ!!」

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

ついでにちゃぶ台も返して、宮川の召喚獣に当てて、さらに高く吹っ飛ばした。

 

 

「まだまだ!!追撃だ!!」

 

 

空中を舞っているちゃぶ台の4本のうち、2本を掴む。

 

 

ドゴッ!!!

 

 

さらに舞っている宮川の召喚獣を叩き落とした。

 

 

「そ、そんな………」

 

 

宮川は召喚獣を動かそうとしても、できなかった。

 

 

「俺たちをバカにしたことを後悔するんだな」

 

 

地面に叩きつけられた宮川の召喚獣に向かって

 

 

 

 

 

「俺たちを舐めんじゃねぇ、この大馬鹿野郎」

 

 

 

 

 

ドゴオオオオオオンッ!!!

 

 

 

 

 

とどめの一撃、ちゃぶ台を召喚獣に叩きつけた。

 

 

 

日本史

 

Aクラス

 

楢原 樹 28291点

 

原田 良    21点

 

 VS

 

Aクラス

 

宮川 慶吾    0点

 

長谷川 智紀   0点

 

 

 

その瞬間、優勝者が決まった。

 




重ね重ね何度も言いますが遅れてすみませんでした。

もしかしたらこれから更新が遅れることがあります。


感想や評価をくれると嬉しいです。

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