どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


試験召喚大会と恐怖の味とたくさんの約束

【英語の問題】

 

次の英文を和訳しなさい。

 

The black cat crossed the I front.

 

 

姫路 瑞希の答え

 

黒い猫は私の前を横切った。

 

 

先生のコメント

 

正解です。crossには「横断する」という意味がありますが、この場合は「横切る」を使った方が正しいですね。

 

 

 

吉井 明久の答え

 

ヤ〇トは私の前でクロスした。

 

 

先生のコメント

 

黒い猫は運送会社のヤマ〇ではありません。それとクロスしたとはどういうことですか?

 

 

 

土屋 康太の答え

 

ジ◯は私の前でクロスした。

 

 

先生のコメント

 

魔女の宅〇便の黒猫の〇ジではありません。運送系から放れてください。

 

 

 

原田 亮良

 

黒い猫は私の目の前で殺した。

 

 

先生のコメント

 

「cross」は「殺す」という意味ではありません。

 

 

________________________

 

 

『3回戦を始めます』

 

 

高橋先生の言葉を聞き、俺と原田は前に歩き出す。

 

モニターに対戦表が映しだされる。

 

 

Aクラス 楢原 大樹

 

Aクラス 原田 亮良

 

 VS

 

Bクラス 霧島 翔子

 

Aクラス 坂本 雄二

 

 

 

「「大会出てるじゃん!?」」

 

 

俺と原田は驚愕する。雄二は大会に出場していた。

 

 

「何で嘘つきやがった!」

 

 

「相手に情報を与えるなんてバカなことはしねぇよ」

 

 

原田の質問に雄二はそう答える。

 

 

「本当の理由は?」

 

 

「FFF団に見つからないようにするためだ」

 

 

俺がもう一度尋ねると雄二は本音をぶちまけた。あいつら本気で殺しに来るからな。

 

 

「まぁ雄二、取りあえず………」

 

 

俺と原田は雄二を睨み付ける。

 

 

「「爆発しろ!!」」

 

 

「お前ら泣きながらよく言えたな」

 

 

羨ましい!!こいつ超羨ましいよ!!

 

 

「俺と原田が勝ったらこのことをFクラス奴らに報告する」

 

 

「翔子!本気で行くぞ!!」

 

 

「私は知られても問題無い」

 

 

「俺にはあるんだよ!」

 

 

「じゃあ交換条件を飲んでくれたら頑張る」

 

 

「おう!何だ言ってみろ!」

 

 

「結婚してほしい」

 

 

「重いッ!はやいッ!無理だッ!!」

 

 

何こいつら。夫婦漫才なら他所でやれ。……嫉妬なんかしてねぇよ。

 

 

「じゃあキスして」

 

 

「「あいつマジ殺す」」

 

 

「相手の闘志を燃やさせてどうする!!」

 

 

目の前でイチャイチャしやがって…!

 

 

 

【保健体育】

 

 

 

『それでは始めてください』

 

 

モニターに科目が表示され、高橋先生が試合開始の合図を送る。

 

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

 

「「坂本殺害(サモン)!!」」

 

 

「おいッ!字が違うだろッ!!」

 

 

保健体育

 

Aクラス

 

楢原 大樹 811点

 

原田 亮良  31点

 

 VS

 

Bクラス&Aクラス

 

霧島 翔子 387点

 

坂本 雄二 301点

 

 

 

「「くたばれえええェェ!!」」

 

 

俺と原田の召喚獣は霧島の召喚獣を無視して雄二の召喚獣に斬りかかる。

 

 

「雄二は死なせない…!」

 

 

SF映画のヒロインを守る主人公のセリフを言う霧島。かっこいいな、おい。

 

 

バシュッ!!

 

 

霧島の召喚獣は原田を斬った。もちろん0点になった。

 

 

「「よっわwww」」

 

 

「うわああああァァァ!!」

 

 

俺と雄二は声に出して笑った。原田はどこかに走って逃げた。あーあ、せっかく30点越えていたのに。

 

 

「さて、本気でいくぜ」

 

 

俺の召喚獣は両手に剣を持ち、構える。

 

 

「気を付けろ翔子。あいつはかなり強いぞ」

 

 

「夫を守るのは妻の役目」

 

 

「よし、もうお前ら手加減なしだ」

 

 

はやく爆発してください。そして爆発しろ。

 

 

「翔子!挟み撃ちだ!」

 

 

雄二と霧島の召喚獣は左右に移動して俺の召喚獣を挟み込む。そして、息の合ったタイミングで同時に攻撃する。

 

 

「二刀流式、【阿修羅の構え】」

 

 

右手の剣を逆手持ちにする。

 

 

「【六刀鉄壁】!」

 

 

ガキンッ!!

 

 

雄二の召喚獣が持っているメリケンサックは逆手持ちにした剣で受け止め、霧島の召喚獣が持っている刀は弾いた。

 

 

「【六刀暴刃】!」

 

 

【阿修羅の構え】の応用技を使い、受け止めていた雄二の召喚獣を前に飛ばし、剣で斬りつけた。

 

 

「雄二ッ!」

 

 

「次は霧島だ!」

 

 

俺は召喚獣を操作して、霧島の召喚獣の後ろをとる。

 

 

「負けない……!」

 

 

ガキンッ!!

 

 

霧島の召喚獣は後ろを向いた状態で俺の召喚獣の剣を刀で受け止めた。

 

 

ズバンッ!!

 

 

そして俺の召喚獣に刀で一撃を食らわせられた。

 

 

「まだだ!!」

 

 

俺は一度後ろに下がり、両手に持っている剣を投げた。

 

 

「くッ」

 

 

霧島は辛うじて刀で2本の剣を弾いた。

 

 

「そこだッ!!」

 

 

「!?」

 

 

俺の召喚獣は霧島の召喚獣の懐に潜りこんでいた。

 

 

「吹っ飛べッ!!」

 

 

ドゴッ!!

 

 

右足で回し蹴りを霧島の召喚獣にぶち当てた。霧島の召喚獣は空中に投げ出される。

 

 

「とどめだッ!!」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

追撃のかかと落とし。霧島の召喚獣はそのまま地面に叩きつけられた。

 

 

保健体育

 

Aクラス

 

楢原 大樹 743点

 

原田 亮良   逃走

 

 VS

 

Bクラス&Aクラス

 

霧島 翔子   0点

 

坂本 雄二   0点

 

 

 

逃走って何だよ。そんなこと書くなよ。可哀想だろうが。もっと書け。

 

 

「雄二」

 

 

俺は雄二に微笑みかける。

 

 

「FFF団、今呼んだから」

 

 

こうして雄二は黒いローブを着た奴らに連れていかれた。

 

 

 

________________________

 

 

「何が起きたんだ……!?」

 

 

大会から帰ってくると、Bクラスで執事をしていた奴らのほとんどが倒れていた。

 

 

「明久!何があったんだ!!」

 

 

近くに明久が倒れていた。俺は明久の体を揺らして起こす。

 

 

「だ、だい……き……」

 

 

「おい!こっちにも倒れているぞ!」

 

 

原田は厨房でもさらに倒れている人を発見する。

 

 

「にげるん、だ……」

 

 

明久は必死に何かを俺に伝えようとしている。

 

 

「来る……ひ、ひ……!」

 

 

パタッ

 

 

「明久?おい、起きろよ明久。起きろって言ってんだろ!!」

 

 

「やめろ大樹!明久はもう……!!」

 

 

その時、後ろのドアが開いた。

 

 

 

 

 

「みなさん、また焼いてきましたよ!」

 

 

 

 

 

おk、理解した。

 

 

「や、やぁ姫路」

 

 

メイド服を着た姫路が降臨した。原田の声も、足も震えていた。

 

 

「あれ、みなさん床に寝そべってどうしたのですか?」

 

 

あなたがこの地獄絵図を作りだしたんですよ。とてもじゃないが言えない。

 

 

「み、みんな疲れたから休んでるんだよ」

 

 

俺は姫路に嘘をつく。

 

 

「そうだったんですか!でもこの殺人兵器(クッキー)はどうしましょうか……」

 

 

あれ?クッキーの字が違う気がする。幻覚を見始めたようだ。

 

 

「あ!他のクラスに配ってきますね!」

 

 

被害者をこれ以上増やさないでッ!!

 

 

「ひ、姫路!俺たちはまだ食べてないよ?」

 

 

原田の足の震えが最高潮に達した。ざ、残像が見えるぞ!?

 

 

「ももももももらってもいいかな?」

 

 

俺の声は震えていた、ものすごく。原田以上に俺がビビっていた。

 

 

「はい!いいですよ!」

 

 

もう逃げることはできない。

 

 

「こ、これで全部なのか?」

 

 

「はい。もう材料が切れてしまって……」

 

 

よし。もう被害者は俺たちだけでいい。

 

 

「では私は店番に戻らないといけないので戻りますね」

 

 

そう言って姫路は教室を出て行った。

 

 

「秀吉、ムッツリーニいるんだろ」

 

 

テーブルの下から2人が現れる。

 

 

「俺たちは今から死ぬ。だからここの店番を頼んだぞ」

 

 

「承知……した……!!」

 

 

「………命に代えても守る」

 

 

秀吉とムッツリーニは悲しそうな顔をした。

 

 

「原田」

 

 

「ああ、逝こう」

 

 

俺たちはクッキーを食べた。

 

 

________________________

 

 

『それでは4回戦を始めま……楢原君』

 

 

「……何でしょうか?」

 

 

高橋先生は俺を見て、首を傾げて質問する。

 

 

『もう1人のペアの方は?』

 

 

死にました。

 

 

「体調不良で保健室に行っています」

 

 

あいつは姫路の料理に耐えられなかった。

 

 

「やべぇ……ホントは俺も休みたいのに」

 

 

頭がくらくらとし、気分が悪い。あの料理ってどうやったここまで酷くなるんだよ。

 

 

『あなたも大丈夫ですか?』

 

 

「はい、昆布ですから」

 

 

『……本当に大丈夫ですか?』

 

 

「はい、頑張ってください」

 

 

『……………』

 

 

何か聞かれたけど適当に答えておいた。あー、帰りたい。

 

 

Aクラス 楢原 大樹

 

VS

 

Bクラス 木下 優子

 

Bクラス 工藤 愛子

 

 

 

モニターに対戦表が映された。

 

 

「だ、大丈夫なの?」

 

 

優子が心配して聞く。

 

 

「ああ、問題ある」

 

 

「そう………ってあるの!?」

 

 

優子が驚きの声をあげる。

 

 

「はは、本当に危そうだね」

 

 

「笑いごとじゃないわよ!」

 

 

「あははははははははは」

 

 

「「……………」」

 

 

俺が笑った瞬間、2人の顔が凍った。あれ?笑うところじゃないのか?

 

 

【英語】

 

 

対戦科目がモニターに表示される。

 

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

 

「はぁ、試獣召喚(サモン)」

 

 

俺は溜息をつき、召喚獣を召喚する。

 

 

英語

 

Aクラス

 

楢原大樹 510点

 

 VS

 

Bクラス

 

木下優子 387点

 

工藤愛子 367点

 

 

 

「やぁッ!」

 

 

優子の召喚獣はランスを持って、俺の召喚獣に向かって突っ込んで来る。

 

 

ズシャンッ!!

 

 

「は?」

 

 

だが俺はそのことに理解できず、攻撃をくらってしまった。

 

 

(クソッ、反応できねぇ!!)

 

 

脳の処理が追いつかない。俺は立っているだけで精一杯だ。姫路の料理はここまでヤバいとは……。

 

 

「僕も行くよ!」

 

 

ザンッ!!

 

 

工藤の召喚獣が持っている大きな斧が召喚獣に振り下ろされた。そして直撃した。

 

 

(こうなったら……!!)

 

 

俺は目を閉じる。

 

 

「とどめよ!」

 

 

優子の掛け声で、2人の召喚獣は俺の召喚獣に向かってきた。

 

 

「【紅葉鬼桜の構え】」

 

 

 

 

 

召喚獣ではなく、自分にかける。

 

 

 

 

 

(よし!見える!)

 

 

召喚獣は十字に剣を構える。

 

 

「【双葉・雪月花】!!」

 

 

ズバンッ!!

 

 

英語

 

Aクラス

 

楢原 大樹 97点

 

 VS

 

Bクラス

 

木下 優子  0点

 

工藤 愛子  0点

 

 

2人の召喚獣をまとめて斬った。

 

 

「うはッ」

 

 

俺は体に負担がかかり、鼻血を出して、その場に倒れた。

 

 

________________________

 

 

 

「知らない天井だ」

 

 

一度は言ってみたベスト10に入るセリフを言ってみた。

 

俺はあの後気を失ったみたいだ。ここは保健室。隣では顔面蒼白の原田が寝ている。

 

 

「あ、起きたわね」

 

 

俺の寝ているベッドの隣に、椅子に腰を掛けて座っている優子がいた。

 

 

「あの後倒れてびっくりしたんだからね」

 

 

「悪い、迷惑かけたな」

 

 

どうしても勝ちたかったから本気だしたんだよ。

 

 

「今度何かお礼をするよ」

 

 

「じゃあどこかに連れて行ってほしいな」

 

 

「今度美琴とアリアで遊園地に行くから一緒に来るか?」

 

 

「それじゃダメよ」

 

 

優子は手でバツのマークを作る。なんで?

 

 

「2人だけで行きたいわ」

 

 

「そ、そうか」

 

 

それってデートですか?嬉しすぎて爆発しそう。

 

 

「どこか綺麗な景色で食事したいわ」

 

 

「わかった。探しておくよ」

 

 

こんなに女の子と遊ぶ約束したのは初めてだな。こんな状況になったのは姫路の料理せいだが、まぁ少し感謝するわ。ホントにちょっとだけ。

 

 

「絶対に驚くほどの綺麗な景色見せてやるよ」

 

 

俺は自信を持って、笑顔で言った。

 

体はいつの間にか痛みなどがすべて消えて、体調が回復した。

 

 




次で清涼祭が終了です。


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