どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。





どうやら俺は大切な人達のために戦うらしい

「……………」

 

 

俺は箱の中で寝ている少女を見つめる。周りでは声をだして泣いている人や、下を向いて、床を見続ける人がたくさんいた。

 

 

「    」

 

 

俺は箱の中で寝ている少女の名前を呼ぶ。

 

 

「何で………何で………」

 

 

俺は涙を流す。

 

 

 

 

 

こんなことになったんだよ………

 

 

 

 

 

俺はその場で泣き崩れた。

 

________________________

 

 

彼女が死んだのは今から二年と半年前のことだ。

 

 

俺はいつも通りの生活を送っていた。

 

 

そして、放課後。

 

 

母親から「死んだ」と泣きながら伝えられた。

 

 

自分の耳を疑った。疑って耳をおもいっきり引っ張り、ちぎろうとした。

 

 

彼女が死んだのは自室。遺書や手紙は無かった。

 

 

意味が分からない。いつも放課後に一緒に帰った人が死んだなんて。

 

 

その日から俺の日常は灰色になった。

 

 

味のないご飯。面白くない大好きな番組。いつも以上につまらない授業。

 

 

剣道ことなんかその時はどうでもよかった。

 

 

大会なんてどうでもよかった。

 

 

あの時の俺が最後に笑ったのはいつだろうか?

 

 

もうそんなことは覚えていない。

 

 

________________________

 

 

俺は虐められていた。

 

 

剣道部の連中に。

 

 

この頃の俺は二刀流を特別に使っていいのは俺だけだった。

 

 

師範代に気に入られ、熱心に教えられた。

 

 

だが、周りは俺のことを気に入らなかった。

 

 

竹刀の紛失。バッグを隠され、泥だらけにされたことは多々あった。

 

 

でも気にしなかった。

 

 

嫉妬している奴らが醜いことをしている。そう考えていた。

 

 

だから、放っておいた。

 

 

でも、ある日。

 

あのクズ共は許されないことをした。

 

 

俺をいじめるのではなく、    をいじめだした。

 

 

彼女の泣き顔を見た瞬間。

 

 

俺の中でなにかが生まれた。

 

 

きっと今ならそれが何かが分かる。

 

 

 

 

 

殺意だ。

 

 

 

 

 

その日の放課後。あいつらを竹刀で殴った。

 

 

何度も。何度も何度も。

 

 

やめてくれと懇願してきた。やめない。

 

 

血が出てきた。だから何だ?

 

 

気を失ったやつがいた。邪魔だ。

 

 

気を失っていない奴が最後の一人となった。

 

 

そいつは震えていた。

 

 

俺は両手に竹刀を持って

 

 

殺そうと、剣を降り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめて!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ぁ…………」

 

 

俺は    を竹刀で殴った。

 

 

彼女は急に俺の目の前に飛び出してきた。

 

 

彼女は倒れる。

 

 

頭から大量の血が流れる。

 

 

「    !!」

 

 

彼女に駆け寄った。

 

 

「    !!    !!」

 

 

何度も名前を呼んだ。

 

 

「……………………」

 

 

彼女は小さな声で言った。

 

 

 

 

 

ごめんね

 

 

 

 

 

理解できなかった。

 

 

彼女は何も悪くないのに。

 

 

 

 

________________________

 

 

 

その後彼女は救急車に運ばれ、入院となった。

 

 

俺は停学となった。

 

 

だが、いじめていた奴らは停学すらならなかった。

 

 

ふざけるな。

 

 

何で俺が罰をくらい、あいつらには罰がないんだよ。

 

 

彼女はすぐに退院したが、俺はまだ停学中だった。

 

 

学校に行っているあいつのことが心配だった。

 

 

そして、停学が終わった。

 

 

久しぶりに登校してみたが、彼女は欠席だった。

 

 

周りの視線は痛かった。

 

 

きっといじめていた奴らが俺の悪い噂でも流したのだろう。

 

 

我慢だ。

 

 

明日になれば彼女に会える。

 

 

彼女に謝って、仲直りしたい。

 

 

早く彼女に会いたい。

 

 

だから今は我慢だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、無情にも彼女はその日に自殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月が経った。

 

 

久しぶりに部室にいった。

 

 

置いている荷物を回収するためだ。

 

 

「なんだよ、また来たのかよお前」

 

 

いじめていた奴らだ。

 

 

7人はいる。

 

 

「それにしても残念だったなぁ、彼女さんが死んで」

 

 

そんな挑発に乗らない。

 

 

「まさか本当に死ぬとはなぁ」

 

 

いじめていた奴らは笑う。

 

 

こいつらは何か知っているのか?

 

 

「あいつ、愛するお前のために死んだんだぜ?」

 

 

は?

 

 

「俺たち、あいつにこう言ったんだよ」

 

 

そいつは笑いながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が死んだら楢原をもういじめないってな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何言ってんだ………お前……」

 

 

俺の顔が真っ青になったのが自分でも分かる。

 

 

「おっと、殴りかかるなよ?俺のじいちゃんはここの校長。父さんは教育委員会だ」

 

 

そいつは笑う。

 

 

「この前みたいにお前だけ停学なっちまうぞ?」

 

 

……………ああ、そうか。

 

 

「まぁ、約束は破るけどな。とりあえず今日からお前を俺たちのサンドバッグにするけどいいよな?」

 

 

こいつらが…………

 

 

「おい、何さっきから黙ってんだよ」

 

 

彼女を殺したのか。

 

 

俺は自分の荷物から2本の竹刀を取り出す。

 

 

今日で………剣を持つのはやめよう…………

 

 

その後は全て忘れよう。

 

 

今はこいつらを………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うあああああああああァァァァァ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部室の壁や床は真っ赤に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

「………………」

 

 

思い出した。何もかも、完璧に。

 

 

「お前さんはその後、捕まった。じゃが、警察の調べで、いじめていた奴らが彼女を脅していたことなどが分かり、お前さんは転校するだけで済んだ」

 

 

神が俺の隣にいた。

 

 

「お前さんはそのことを必死に忘れようとした。そして忘れた」

 

 

「……………」

 

 

「高校での学校生活が残り一年となったころにはもう覚えてすらいなかった」

 

 

神はどこかの探偵のように答え合わせをする。

 

 

「そして、体育倉庫でお前さんは死んだ」

 

 

「……………」

 

 

「そのあとは転生してもらえるようになった」

 

 

「……………」

 

 

「じゃがお前さんはワシがあげた転生特典」

 

 

神は言う。

 

 

「完全記憶能力で思い出してしまった」

 

 

神は続ける。

 

 

「犬男と戦っている時、刀を見ると体が動かなかった理由はトラウマがよびがえり、体が硬直してしまったのが原因じゃな」

 

 

「……………」

 

 

「聞いておるのか?」

 

 

「……………ああ」

 

「残念じゃが死んでしまったのう」

 

 

「……………」

 

 

「お前さんの身体強化は進化をやめていたからのう」

 

 

「………どういうことだ」

 

 

「包丁で指を切ることはできるかのう?」

 

 

「当たり前だろ、そんなの」

 

 

「なぜじゃ?」

 

 

「皮膚はそこまで強くない。すこし当たっただけでも血は出る」

 

 

「お前さんも?」

 

 

「そうだ。身体強化を持っても変わらない」

 

 

「じゃが、お前さんは床をぶち抜いても手には傷ひとつつかなかった」

 

 

「ッ!?」

 

 

矛盾している……?

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「身体強化はお前さんは思いが力の源なんじゃ」

 

 

「思い?」

 

 

「お前さんの身体強化の強さはお前さんが決めたんじゃ」

 

 

「俺が?」

 

 

「ナイフは切れるっという常識。床をぶち抜くことくらいできるという考え方」

 

 

「…………」

 

 

「お前さんの身体強化は進化すると嘘を言われても、信じた。そして、強くなったと勘違いして、お前さんは強くなった」

 

 

「なッ!?」

 

 

それが身体強化………いや。

 

 

「俺にどんな特典を渡した」

 

 

「それは秘密じゃ」

 

 

「………………」

 

 

「お前さんはまだまだ強くなれる」

 

 

「もう………終わったけどな………」

 

 

俺は死んだ。

 

 

「お前さん、死んだ彼女の名前はわかるか?」

 

 

「……………」

 

 

思い出せない。

 

 

「彼女はお前さんのことをどう思っていたのじゃろうか」

 

 

知らない。

 

 

「ワシは愛していたと思うぞ」

 

 

「ッ」

 

 

その言葉に罪悪感を感じた。

 

 

「命を捨ててまで守りたかった人じゃぞ」

 

 

「うるせぇよ……」

 

 

「お前さんは彼女が守ってくれた命を、ここで終わってよいのか?」

 

 

「うるせぇって言ってるだろッ!」

 

 

「あの二人はどうなる?」

 

 

「ッ!」

 

 

俺は美琴とアリアを思い浮かべる。

 

 

俺は………

 

 

「また彼女のように二人も同じ運命を辿るのか?」

 

 

「違うッ!!!」

 

 

「ならもう答えは出ておろう」

 

 

俺は………もう弱くない。

 

これは彼女がくれた人生だ。

 

 

「なぁ」

 

 

無駄にしない。

 

 

「何じゃ」

 

 

彼女の分まで生きる。

 

 

「考え方や思いが俺に最高の力をくれるって解釈でいいか?」

 

 

俺は……

 

 

「そうじゃ」

 

 

「なら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は死なない!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

「大樹ッ!大樹ッ!」

 

 

「………ぁ………ぁぁ…」

 

 

美琴は必死に頭から血を流す大樹の体を揺らす。しかし、ぴくりとも動かない。アリアはその光景にショックを受け、何も喋れなかった。

 

 

「いや、いやぁ………」

 

 

アリアは後ろに下がり、

 

 

 

 

 

「いやああああああああァァァァァ!!!!!」

 

 

 

 

 

アリアの体全体が緋色に光った。

 

 

「さぁ、来るんだアリア君」

 

 

アリアは右手の人差し指をシャーロックに向けて光を放つ。

 

シャーロックも同じように光を放った。

 

 

パァッ…………

 

 

光はぶつかり、融合した。

 

 

「僕には死期が推理できた。どんなに引き伸ばしても、今日この日までしかもたないと」

 

 

二つの光は互いを消すように収まってく。

 

 

「僕はその日までに緋弾を子孫の誰かに【継承】する必要があった」

 

 

美琴は大樹を抱きながら聞く。

 

 

「だが緋弾の継承には条件があった。ひとつは性格だ。情熱的でプライドが高く、どこか、子供っぽい性格をしていなくてはならない」

 

 

シャーロックは続ける。

 

 

「2つ目はアリア君が女性として心理的に成長する必要があったこと」

 

 

緋色だった光球が透明になる。

 

 

「3つ目、継承者は能力が覚醒されるまで、最低でも3年のあいだ緋弾と共にあり続ける必要があった」

 

 

融合していく2つの光は、レンズのような形に変わっていく。

 

 

「これを成立させるために、僕は今日までこの緋弾を持ち続けて、さらに3年前の君に渡されなければならなかった」

 

 

レンズになにかが映りだした。

 

 

「うそ………」

 

 

アリアはレンズを見て驚愕する。

 

 

「これが、日本の古文書にある【暦鏡(こよみかがみ)】。時空のレンズだ」

 

 

レンズの中にいるのは

 

 

 

 

 

金糸のような亜麻色のツインテールを煌めかせているアリアだった。

 

 

 

 

 

目の色も赤紫色ではなく、サファイアのような紺碧の瞳をしている。

 

 

「アリア君。君は13歳の時、母親の誕生日パーティーで狙撃されたことがあるね」

 

 

「……………はい」

 

 

「撃ったのは僕だ」

 

 

「!?」

 

 

アリアの目が見開いた。

 

 

「いや、これから撃つのだ。これはどちらの表現も正しい」

 

 

カチャッ

 

 

シャーロックは左手に拳銃を持ち、構える。

 

 

「緋弾の力をもってすれば、過去への扉を開くことさえもできる。」

 

 

シャーロックは銃口をレンズに映ったアリアに向ける。

 

 

 

 

 

「僕は3年前の君に今から緋弾を継承する」

 

 

 

 

 

「よけてッ!!」

 

 

美琴はレンズに向かって叫ぶ。

 

レンズの中のアリアはこちらを向き、背中がシャーロックのほうに向けられ

 

 

 

 

 

パァンッ!!

 

 

 

 

 

銃弾はアリアの背中を貫いた。

 

 

 

 

 

そして、レンズになった光球は消えた。

 

 

「…………ッ!!」

 

 

アリアは何も喋れない。

 

 

「緋弾には2つの副作用がある。緋弾には延命の作用があり、共にある者の肉体的な成長を遅らせる。体格があまり変わらなくなったのはそれが原因だ」

 

 

シャーロックは続ける。

 

 

「もうひとつは体の色が変わることだ。髪や瞳などが綺麗な緋色に近づいていく。今の君のようにね」

 

 

シャーロックは緋弾を失ったせいか、いきなり何歳か歳を取ったように見える。

 

 

「これで講義は終了だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか。話が長すぎてもう一回死ぬところだったぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

シャーロックもこのときは驚いただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭から血を流している大樹がシャーロックの目の前にまで接近していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴンッ!!

 

 

 

 

 

「ぐッ!」

 

 

大樹は右手でシャーロックの腹部を殴った。

 

シャーロックが初めて顔を歪める。

 

 

「【無刀の構え】」

 

 

大樹はそのまま右手に力を入れて

 

 

 

 

 

「【黄泉送り】!!」

 

 

 

 

 

ズドンッ!!

 

 

シャーロックの腹に重い衝撃が襲う。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

そのまま後ろに勢いよく吹っ飛び、ICBMにぶつかる。

 

だが

 

 

「なかなかやるね。その技はなんだね?」

 

 

シャーロックは何事もなかったかのように振る舞う。

 

 

「俺の先祖はかなり変わった奴だよ」

 

 

俺は説明する。

 

 

「ただ技だけを磨き続ける人だった。戦なんてモノは興味はなく、争いを好まない奴だったんだ」

 

 

大樹はアリアと美琴のところに行く。

 

 

「現代風に言うとサーカスみたいなことをして稼いでいたらしい」

 

 

大樹はアリアと美琴の手を握り、微笑む。俺は大丈夫だと。

 

 

「そして、その技を昔からずっと引き継いできた」

 

 

大樹はアリアから2本の刀を借りさせてもらう。

 

 

「あの日、俺は技を捨て、もう使いたくないと思っていたが………」

 

 

俺は2本の刀を持ち、構える。

 

 

「でも、もうそんなこと言ってられないな」

 

 

俺は右手の刀をシャーロックに向ける。

 

 

 

 

 

「役に立つときが来たぞ、先祖」

 

 

 

 

 

シャーロックはこちらに歩いてきた。

 

 

「ならばその力を見せてくれたまえ」

 

 

 

 

 

ガガガガガガガガガガガガキュンッ!!

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

シャーロックの高速の12連撃の【不可視の銃弾】が大樹に向かって飛んだ。

 

 

あまりの早さにアリアと美琴は驚愕する。

 

 

「二刀流式、【阿修羅の構え】」

 

 

ジャキンッ!!

 

 

「!」

 

 

 

 

 

「【六刀鉄壁(ろっとうてっぺき)】!!」

 

 

 

 

 

シャーロックはまた驚く。

 

 

大樹は2つの刀を高速で振り回し、銃弾を全て弾いた。

 

 

先祖の技には【構え】と【技】がある。

 

【構え】はその場に応じた戦闘スタイルを瞬時に変えたりすることができる。攻撃に徹するか、防御に徹するか。状況に応じて変えれる。そして【技】は【構え】の中に入っている技術だ。

 

先程の【阿修羅の構え】は防御に優れた戦闘スタイルだ。そして、【六刀鉄壁】は四方八方からの全ての攻撃を叩き落とす技術だ。

 

「シャーロック、次で終わらせてやるよ」

 

 

髪がもう白髪になったシャーロックに言う。

 

 

「いいだろう、来たまえ」

 

 

俺が使える最強の技で決める。

 

 

 

 

 

「二刀流式、【紅葉(こうよう)鬼桜(おにざくら)の構え】」

 

 

 

 

 

 

俺は刀を十字にする。

 

 

次に出す技の名前は、彼女の名前が入っている。

 

 

俺は彼女の名前を思い出した。

 

 

彼女と一緒に考えた技。

 

 

その技で、決める。

 

 

 

 

 

俺はもう弱くないことを証明するために。

 

 

 

 

 

俺は創造する。

 

 

音速を越えたスピードで走ることを。

 

 

「ッ!」

 

 

 

 

 

光速のスピードでシャーロックの目の前まで走る。

 

 

 

 

 

俺は創造する。

 

 

シャーロックを倒すことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【双葉(そうよう)雪月花(せつげつか)】!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斬った瞬間は音はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーロックは無傷だ。

 

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオオオオオオンッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーロックの後ろにあるICBMや壁や床が十字を描くように、全てを吹き飛ばし、破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天井には星が………いや夜の空が見えた。

 

潜水艦はいつの間にか浮上していた。もし海の中だったら沈没していただろう。

 

シャーロックは言葉が出ないほど驚いていた。

 

 

ビッ

 

 

シャーロックの頬が斬れた。傷口から赤い鮮血が流れる。

 

 

「俺の勝ち、………だッ」

 

 

バタッ

 

 

大樹は前から倒れた。

 

 

「「大樹ッ!!」」

 

 

美琴とアリアは大樹に駆け寄る。

 

「大樹ッ!しっかりして!」

 

 

「やべぇ………この技使わなきゃよかった………」

 

 

人殺しは流石に駄目だろ…。

 

美琴の呼び掛けにしっかりと答える大樹。

 

 

「ひぐッ、だいきぃ……!」

 

 

アリアはもう泣いてしまった。

 

 

「泣くなよ、ちょっと疲れただけだ」

 

 

俺は寝ながらアリアの頭を撫でる。

 

 

「実に見事だった」

 

 

シャーロックは手を叩き、拍手する。

 

 

「あれは確かに僕の敗けだ。約束は守るよ」

 

 

シャーロックはICBMに乗り込んだ。

 

 

「それと君を殺してしまってすまなかった。あとでどうにか生き返らせようとしたんだが、必要なかったね」

 

 

「ゾンビなんぞお断りだ、老いぼれ名探偵が」

 

 

「はは、本当に口の悪い少年だ。僕の推理をここまで狂わせたのは君が初めてだ。歳には勝てないものだね」

 

 

「それで、今から死ぬつもりか?」

 

 

「【老兵は死なず。ただ、消え去るのみ】と。さぁ卒業式の時間だ。花火で彩ろう……」

 

 

シャーロックは笑い、ICBMのドアを閉めた。

 

 

「曾お爺さまッ!!」

 

 

アリアは俺が持っていた2本の刀を奪い取り、逆手に持ち、右左と交互に突き刺しながら、アリアはロッククライミングのようにICBMをよじ登る。

 

 

「待って!アリアッ!!」

 

 

美琴は能力を使い、アリアの後を追いかける。

 

 

「アリア君、短い間だったが楽しかったよ。何か形見をあげたいところだが、申し訳ない。僕はもう君にあげるものを持っていないんだ 」

 

 

シャーロックの声が中から聞こえる。

 

 

「だから名前をあげよう。僕は【緋弾のシャーロック】という2つの名を持っている。その名を君にあげよう」

 

 

シャーロックは最後の言葉を言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さようなら、【緋弾のアリア】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、ICBMがゆっくりと持ち上がっていく。

 

 

「アリ、ア………み、こと………」

 

 

俺はボロボロになった体を無理矢理動かし、ICBMに向かって飛翔する。

 

 

ガシッ!!

 

 

僅かな窪みに捕まり、一緒に持ち上がっていく。

 

 

「アリアッ!!もう放さないと!!」

 

 

「いやよ!曾お爺さまがどこかに行っちゃう……」

 

 

2人の声が上から聞こえてくる。

 

 

そして

 

 

 

 

 

ミサイルはもの凄い速さで上昇した。

 

 

 

 

 

「ぐッ!!」

 

 

尋常じゃない風圧が襲い、呼吸が出来なくなる。

 

美琴とアリアも耐えることに精一杯だ。

 

 

ボンッ!!

 

 

ミサイルは雲を突き抜けた。

 

地平線が丸く弧を描いて見え始める。

 

あまりの気温の低さに体が凍りついてきた。

 

 

「ッ!!」

 

 

美琴とアリアが手を離したのが見えた。

 

 

 

 

 

(アリアッ!!美琴ッ!!)

 

 

 

 

 

俺も手を離して、落下する。

 

 

俺は体を真っ直ぐに伸ばして落下速度を加速させる。

 

 

俺の下を先に落下しているアリアと美琴の手が届きそうで届かない。

 

 

 

 

 

「美琴おおおォォ!!!アリアあああァァ!!!」

 

 

 

 

 

2人の名前を叫ぶ、そして

 

 

 

 

 

「届けええええええェェェ!!!!」

 

 

 

 

 

バシッ

 

 

右手で美琴の手を掴み、左手でアリアの手を掴んだ。

 

 

そのまま俺は2人を抱き寄せる。

 

 

「ごめんね……」

 

 

アリアが謝った。

 

 

「こんなことになって………」

 

 

「「許す」」

 

 

「え?」

 

 

俺と美琴は笑顔で言う。

 

 

「許すって言ったんだよ」

 

 

「だからもう気にしないでいいわよ」

 

 

俺と美琴はアリアに言う。

 

 

「ありがとう。ありがとう、あたしのパートナーと親友。あたしはあんたたちを誇りに思う」

 

 

アリアは強く俺たちを抱く。

 

 

「だからあたしはそんなあんたたちを助けたい!!これからも!!」

 

 

ゴッ!!

 

 

海面が見えてきた。暗くてよくわからないが、もうすぐで衝突することぐらいは分かる。

 

 

「あたしの大切な人を失わせはしない!!」

 

 

アリアは目を閉じ、集中する。

 

 

「曾お爺さまはきっと、この瞬間が来ることも推理してたんだわ。だからホームズ家の女に代々この髪型にさせた……!」

 

 

俺と美琴は目を疑った。

 

 

アリアのツインテールが大きく、大きく、

 

 

 

 

 

翼のように広がった。

 

 

 

 

 

ばさッ

 

 

落下速度がみるみるうちに落ちていく。

 

 

俺はその翼にみとれていた。

 

 

「あ、あんまり見ないで。………すごく、恥ずかしい………!」

 

 

「綺麗………」

 

 

「うぅ……」

 

 

美琴に誉められ、顔を赤くするアリア。

 

 

「本当に綺麗だな……」

 

 

「もうッ……!」

 

 

アリアは拗ねて、下を向いて喋らなくなった。

 

暗い海に、一つの光が見える。

 

船だ。

 

 

船には遠山、白雪、理子、レキ、ジャンヌ、夾竹桃、遠山の兄貴である金一、そしてパトラがいた。

 

みんな驚いた表情でこちらを見ていた。

 

 

「ね、ねぇ」

 

 

アリアは震えた声で言う。

 

 

「ぶ、武偵憲章1条!!」

 

 

「仲間を信じ、仲間を助けよ…………あ」

 

 

俺は言っては気づいた。

 

 

「それがどうしたの?」

 

 

美琴は分かっていないようだ。

 

 

「何でも言ってみろよ、アリア」

 

 

俺はアリアに言う。

 

 

「と、とりあえず浮き輪になりなさいッ!!」

 

 

アリアは泳げないんだ。

 

美琴は笑いをこらえている。

 

 

「おう、まかせろ」

 

 

次の瞬間、再び落下した。

 

アリアのツインテールは翼をやめたのだ。

 

 

ザバンッ!!

 

 

「ぷはッ」

 

 

アリアと美琴を抱き寄せたまま、海面から顔をだす。

 

 

「ははッ」

 

 

自然と笑いが込み上げてきた。

 

 

(俺の人生は面白いぞ)

 

 

俺は彼女の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとな、双葉(ふたば)」

 

 

 




技とキャラと転生特典の説明と感想を書かせていただきます。


無刀(むとう)の構え】

文字通り、刀を持っていない状態の構えです。


【黄泉送り(よみおくり)】

相手の腹に拳をぶつけ、衝撃を与えます。名前が物騒ですね。


【阿修羅(あしゅら)の構え】

四方八方に攻撃をしたり、防御ができるようになる構え。防御の方が攻撃より優秀である。

【六刀鉄壁(ろっとうてっぺき)】

刀を高速で動かし、防御する技。阿修羅→腕が六本→六刀鉄壁。五秒で完成しました。


【紅葉鬼桜(こうようおにざくら)の構え】

技の威力を規格外並みに上げる技。デメリットとして体に負担がかかる。紅葉(もみじ)とは読みません。


【双葉(そうよう)・雪月花(せつげつか)】

二刀流専用で刀を十字にして、敵を十字に切る技。十字で突っ込みません。斬ります。そして双葉(ふたば)とは読みません。雪月花って文字はかっこいいですね。


双葉(ふたば)

大樹の親友で黒髪のロングヘア。中学三年あたりで自殺。苗字は考えてなゲフンゲフン、不明。


【身体強化】→【?】

自分の死を拒否させてしまうほどの力。思いや考え方によって強さが変動。チートを越えたと思います。


感想や評価をくれると嬉しいですが、技や大樹の過去については批判しないでほしいです。

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