どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

27 / 177
緋弾のアリアでのラストバトル突入です。


続きをどうぞ。




越えられない絶望と死の壁

「ボストーク号…!?」

 

 

アリアが潜水艦を見て驚く。他のみんなも同じように驚いていた。

 

史上最大の原子力潜水艦。

 

 

「見て、しまったか……」

 

 

金一の声は小さかった。

 

 

「かつてボストーク号と呼ばれていた戦略ミサイル搭載型・原子力潜水艦だ」

 

 

金一は説明する。

 

 

「ボストーク号は沈んだのでは無い」

 

 

一呼吸置き、金一は潜水艦を睨み付けながら告げる。

 

 

 

 

 

「史上最高の頭脳を持つ【教授(プロフェシオン)】に盗まれたんだ……!」

 

 

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

「……………」

 

 

美琴、アリア、遠山、白雪は驚く。俺はまだ潜水艦を睨み続ける。

 

 

「!?」

 

 

俺は驚愕した。

 

 

艦橋に男が立っていた。その男は、

 

 

 

 

 

【不可視の銃弾】を狙撃銃でやるのが見えた。

 

 

 

 

 

「あぶねぇ!!」

 

 

ビシュンッ!!

 

 

ガキンッ!!

 

 

銃弾は金一の方に飛んできた。

 

俺は飛んできた銃弾をもう銃弾が入っていない拳銃で叩き落とした。

 

 

「チッ、いきなり殺しにかかりに来やがったか」

 

 

黒いコートを着ており、右手にはパイプ、左手にはステッキを持っている。

 

教科書に載っている有名な人物。そいつは歳が20代くらいに若く見える。

 

 

「!?」

 

 

アリアが一番驚いたであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「曾……おじいさま……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリアの祖父、シャーロック・ホームズ1世がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな……」

 

 

遠山も驚愕している。

 

 

パチンッ!!

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

俺たちは目を疑った。

 

 

 

 

 

海が一瞬にして凍りついたのだ。

 

 

 

 

 

(ジャンヌの技か…!)

 

 

シャーロック・ホームズ。こいつはイ・ウーの生徒全員の能力を兼ね備えた完成形の存在。

 

足が震えた。

 

こいつは俺以上の化け物だ。

 

 

 

 

 

「もう逢える頃と、推理していたよ」

 

 

 

 

 

最強の名探偵は凍りついた海に降り立つ。

 

 

 

 

 

「初めまして。僕は、シャーロック・ホームズだ」

 

 

 

 

 

彼はそう名乗った。

 

 

「アリア君」

 

 

呆然としていたアリアはビクッと体を伸ばした。

 

 

「時代は移ろってゆくけれど、君はいつまでも同じだ。ホームズ家の淑女に伝わる髪型を君は守ってくれているんだね」

 

 

シャーロックは飛んで、俺たちが乗っている船に乗り込む。

 

俺とアリア以外の全員が銃をシャーロックに向ける。もしくは刀やワイヤーを構える。

 

 

「鋭い刃物を弄んでいると、いつかはその手に怪我をすることになるものだからね」

 

 

その言葉だけで皆の手は金縛りあったかのように動かなくなった

 

 

「アリア君。君は美しい。そして強い。ホームズ一族で最も優れた才能を秘めた天与を一族に認められない日々はさぞかし辛いものだったろうね」

 

 

シャーロックはアリアに近づく。

 

 

「だが僕は君の名誉を回復させることができる。僕は君を、僕の後継者として迎えに来たんだ」

 

 

「………ぁ………」

 

 

アリアが小さく声を上げた。

 

 

「おいでアリア君。君の都合さえ良ければ、おいで。悪くてもおいで。」

 

 

シャーロックはアリアに手を差し出す。

 

 

「そうすれば、君の母親は助かる」

 

 

「ッ!?」

 

 

アリアの目が見開いた。

 

そしてシャーロックはアリアの手を掴もうと、

 

 

 

 

 

「アリアに触るんじゃねぇ!!!」

 

 

 

 

 

大樹は音速のスピードでシャーロックに近づく。だが、

 

 

 

 

 

「邪魔をしないでくれ」

 

 

 

 

 

ドゴッ!!

 

 

「ガッ!?」

 

 

シャーロックの蹴りが腹にめりこんだ。

 

 

バキバキッ

 

 

腹から嫌な音が聞こえた。何かが砕けるような音が体に響き渡る。

 

そのまま俺は凍りついた海に吹っ飛び、硬い氷の床に叩きつけられる。

 

 

「大樹ッ!!」

 

 

美琴の叫ぶ声が聞こえる。

 

 

バキッバキッバキンッ!

 

 

凍りついた海にヒビが入り、溶け始めた。

 

 

「くそッ……」

 

 

俺は必死に体を動かそうとするが

 

 

バキンッ!!

 

 

冷たい海に落ちてしまった。

 

 

________________________

 

 

 

「さぁアリア君」

 

 

「あ……」

 

 

シャーロックはアリアをお姫様抱っこをして潜水艦の艦橋に向かって飛ぶ。

 

 

「行こう。君のイ・ウーに」

 

 

「アリアッ!!」

 

 

キンジが叫ぶ。

 

 

「このッ!!」

 

 

美琴は怒りに任せて電撃をシャーロックに向けて放つ。

 

 

ボスッ!!

 

 

「嘘ッ!?」

 

 

美琴は驚きの声をあげる。

 

 

 

 

 

シャーロックの目の前には砂の盾が出現した。

 

 

 

 

 

「あれは妾の!?」

 

 

パトラが叫ぶ。

 

 

サァ………

 

 

砂の盾の後ろには既にシャーロックとアリアの姿は居なかった。

 

 

________________________

 

 

 

「ぶはッ!!」

 

 

俺は海面から顔をだす。

 

 

「大樹ッ!!」

 

 

美琴が俺の名前を呼ぶ。少し涙目だった。

 

 

「悪い、心配かけたな。それよりアリアは」

 

 

「潜水艦の中よ」

 

 

夾竹桃は俺に手を伸ばしながら答える。

 

 

「分かった。行ってくる」

 

 

「おい!一人で行くのかよ!!」

 

 

遠山は俺に向かって叫ぶ。

 

 

「あいつを倒せるのは俺だけだ」

 

 

「でもあんたさっき負けたじゃない!!」

 

 

そうだ。俺は音速のスピードで飛びかかったのにあいつは反応できた。

 

 

「でも、俺はアリアを助けないといけない!だから

 

 

 

 

 

パチンッ!!

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

頬に鋭い痛みを感じた。

 

 

 

 

 

「だからって一人で行かないでよッ!!」

 

 

 

 

 

美琴は涙を流しながら叫んでいた。

 

 

「あんたにはあたしが見えないの!?」

 

 

美琴は俺の服を乱暴に掴む。

 

 

「あんた……言ったわよね。あたしが傷つくのは見たくないって」

 

 

美琴は俺の目を真剣に見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたしだってあんたの傷つくのは見たくないわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美琴……」

 

 

俺は痛感した。

 

 

 

 

 

バカだな、俺は。

 

 

 

 

 

美琴を傷つけたのは俺じゃねぇか。体じゃなく、心を。

 

 

「最低だな………俺」

 

 

俺は呟く。

 

 

「美琴」

 

 

俺は泣いている彼女の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に行こう。これからも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………うんッ!」

 

 

美琴は笑顔で答えてくれた。

 

 

「みんな、俺たち二人でアリアを助けに行ってくる」

 

 

「………できるのか?」

 

 

遠山は少し笑顔で聞いてきた。

 

 

「愚問だな。なぁ美琴」

 

 

「そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちなら」「できるッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と美琴はハイタッチを交わした。

 

 

________________________

 

 

 

「ここが……!?」

 

 

俺と美琴は防弾制服に着替えたあと、潜水艦の中に侵入した。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

………どうやら潜水艦は沈み始めたみたいだ。もう後戻りはできない。

 

 

「何よここ……」

 

 

そこはまるで博物館か美術館だった。高い天井から巨大なシャンデリアが照らし、床には恐竜の全身骨格標本がそびえ、周囲には動物の剥製が並べられていた。

 

生きたシーラカンスや熱帯魚を入れた水槽が並べられた暗い部屋を抜け、孔雀や歩き極彩色の鳥が飛び交う植物園を駆け抜け、鉱石を陳列した標本庫を突っ切る。

 

 

(どこだよッ!アリア!)

 

 

多彩な部屋の数々を走って突っ切るが、全くアリアが見つからなかった。

 

 

「くそッ!」

 

 

たくさんの肖像画がある部屋で、俺はイラつきシャーロックの肖像画を叩く。

 

 

「……………」

 

 

美琴はその肖像画を真剣に見ていた。

 

 

「ッ」

 

 

美琴は肖像画を能力を使って、軽く攻撃した。

 

 

バチバチッ

 

 

「美琴?」

 

 

「この先………空洞だわ」

 

 

肖像画を手で破ると、奥には通路があった。

 

 

「この先にシャーロックが……!」

 

 

俺たちは再び走り出した。

 

 

通路を抜けると教会があった。奥ではステンドグラスが綺麗に光っていた。

 

 

「アリアッ!!」

 

 

俺はステンドグラスの下で祈りを捧げているピンク色のツインテールをした少女を呼ぶ。

 

 

「大樹………美琴………」

 

 

アリアは振り返る。アリアも防弾制服を着ていた。

 

俺たちはアリアのもとまで駆け寄る。だが、

 

 

 

 

 

「帰って」

 

 

 

 

 

「え……?」

 

 

冷徹な一言。アリアの言葉に耳を疑う美琴。

 

 

「あたしはここで、曾お爺さまと暮らすの」

 

 

「何、言ってるのよ……」

 

 

「……………」

 

 

美琴は首を横に振っていた。信じたくないんだろう、そのことを。

 

俺は黙って話を聞く。

 

 

「一族は果たすべき役割を正しく果たすことが求められるものなの。そうじゃないと、存在することが許されない………」

 

 

アリアは自分の一族について、悲しげに言う。

 

 

「あたしは欠陥品と呼ばれ、バカにされて、ママ以外には無視された」

 

 

アリアは手に力を入れる。

 

 

「あたしはッ、ホームズ家にはいないものとして扱われたのよッ!!ずっと昔からッ!!」

 

 

アリアは叫ぶ。その叫びは怒りや悲しみなどの、負の感情が詰まったものだった。

 

 

「あたしがここまで来れたのは曾お爺さまを心の支えにしてきたからよ。彼は武偵の始祖でもあるの。だからあたしは武偵になったの」

 

 

アリアは後ろに下がる。俺たちと距離をとった。

 

 

「あたしにとって曾お爺さまは神様のようなものなの。その彼があたしの目の前に現れて、あたしを認めてくれたの!欠陥品と呼ばれたあたしを後継者と呼んでくれた!」

 

 

アリアはシャーロックに対する気持ちを俺たちに向かって言った。

 

 

「でもそのシャーロックが、かなえさんに罪を着せたのよ!」

 

 

「そんなのもう解決できるわ。曾お爺さまはあたしにイ・ウーを下さると言った。だからこの事件は……」

 

 

「は、犯罪者の一員になるの……!?」

 

 

「そうじゃないとイ・ウーに勝つことは不可能よ!」

 

 

アリアは叫んだ。だが、

 

 

「あなたたちじゃ………曾お爺さまには……勝てない……」

 

 

すぐに声は小さくなった。

 

 

「……………」

 

 

黙って聞いていた俺は

 

 

「それでも俺はシャーロックを潰すぞ」

 

 

「ッ!?」

 

 

アリアの目が見開いた。

 

 

「あいつは俺の大切な人たちを傷つけた。あいつは許せない」

 

 

「大樹はあたしを傷つけるの……?」

 

 

そうきたか……。

 

 

「曾お爺さまを傷つけて、あたしを傷つけるの?」

 

 

「………なら撃てよ」

 

 

「え……?」

 

 

 

 

 

「曾お爺さまを守りたきゃ俺を撃て」

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は両手を広げる。

 

 

「簡単な質問だ。俺たちとシャーロック。どちらが大切か」

 

 

最低な質問だと自分でも思う。それで何が解決できるだろうか。

 

 

「そ、そんなの……!」

 

 

「……………」

 

 

アリアは唇を強く噛み、スカートの中から銃を取り出した。銃口は俺に向いている。

 

 

「曾お爺さま、よ……」

 

 

アリアの答えの言葉は小さく、震えていた。手も震えている。

 

 

「だから帰って!!」

 

 

「なら撃てよ」

 

 

「い、いやよ……!」

 

 

「俺はシャーロックを倒すぞ。何がなんでも」

 

 

ガキュンッ!!

 

 

アリアは俺の足元に発砲する。

 

 

「お願いッ……帰ってよッ……」

 

 

「大樹!」

 

 

美琴が俺を呼んでいる。でも俺はアリアに近づく。

 

 

「こ、来ないで……」

 

 

「……………」

 

 

俺はアリアにどんどん近づく。

 

 

ガキュンッ!!

 

 

ビッ

 

 

「ッ!」

 

 

アリアはまた発砲する。銃弾は右耳をかすった。右耳から血が流れる。

 

だが、歩くのはやめない。

 

そして、アリアの目の前まで来た。

 

 

「アリア」

 

 

俺はアリアの震えている拳銃を持った手を優しく包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ってこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ぁ……」

 

 

アリアの目から涙が流れ出した。

 

 

「俺たちはアリアが必要なんだ。誰でもない、アリアが必要なんだ」

 

 

俺の後ろから美琴も駆け寄り、一緒に優しく握った。

 

 

「あたしもアリアといつまでも親友でいたいわ」

 

 

「み、美琴……」

 

 

アリアは美琴を見る。

 

 

「チャンスをくれないか?」

 

 

「チャ、ンス…?」

 

 

俺はアリアに提案する。

 

 

 

 

 

「シャーロックは俺と美琴で戦わせてほしい」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

アリアは驚愕する。

 

 

「俺たちが勝ったら戻って来てくれるか、アリア」

 

 

「だ、大樹……」

 

 

アリアが俺を悲しげ見る。

 

 

「アリアは何もしなくていい。アリアはシャーロックを撃てないのは分かっている」

 

 

俺は真剣にアリアの綺麗な瞳を見つめる。

 

 

「俺はアリアが大切な人だ。だからもうこの方法で解決するしかない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちが勝ったら戻って来てくれ、アリア」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリアは驚いて、何も喋れなかったが、

 

 

「………うんッ」

 

 

アリアは小さくうなずいてくれた。

 

 

________________________

 

 

 

俺は美琴とアリアと一緒に奥に進んでいく。

 

この先にシャーロックはいるらしい。

 

今までに一番広大なホールにでた。奥には巨大な柱が並んでいた。いや

 

 

「ICBM……!?」

 

 

美琴が驚く。柱の正体は大陸間弾道ミサイルだ。

 

弾頭の性質次第ではどんな大国でも1日とかからず壊滅するだろう。

 

 

「なんでなの……!」

 

 

アリアが周りを見渡す。

 

 

 

 

 

「あたし、この部屋を見たことがある……!」

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

俺は理由を知っている。

 

 

「本当なの?」

 

 

美琴がアリアに尋ねる。

 

 

「ええ、あるわ。そしてここで2人を見たことがある」

 

 

ブツンッ

 

 

美琴が何か言おうとしたとき、音楽が流れてきた。

 

曲はモーツァルトの【魔笛】だ。

 

 

 

 

 

「音楽の世界には和やかな調和と甘美な陶酔がある」

 

 

 

 

 

シャーロックがICBMの裏から現れた。杖をカツカツッと響かせながら近づいて来る。

 

 

「それは僕らの繰り広げられる戦いという混沌と美しい対象を描くものだよ」

 

 

シャーロックは立ち止まり、笑みを浮かべる。

 

 

「このレコードが終わる頃には、戦いのほうも終わるだろうね」

 

 

「曾お爺さま……」

 

 

アリアは一歩前に出る。

 

 

「あ、あたしはあなたを尊敬しています。だから銃を向けることはできません」

 

 

アリアの声は小さいが、はっきりと聞こえる。

 

 

「彼らは私がやっと見つけた大切な人たちです。だから…」

 

 

「いいんだよ、アリア君」

 

 

シャーロックは笑顔だった。

 

 

「僕より彼らが大事な存在になったことはとてもいいことだ。君たちはさきほどより強く結びついたのだろう」

 

 

シャーロックの言い方に苛立ちを感じる。

 

 

「ここまで推理通りかよ、名探偵」

 

 

「こんなの推理の初歩だよ」

 

 

シャーロックは俺たちを弄ぶかのように笑う。

 

 

「なぁシャーロック」

 

 

「なんだい」

 

 

「俺たちはお前をマジで倒す」

 

 

俺はシャーロックを睨み付ける。

 

 

「賭けをしようぜ、クソ名探偵」

 

 

「口が悪い少年だ。それで、何を賭ける?」

 

 

「俺たちが負けたら俺たちをお前の好きにしろ」

 

 

俺はいつでも戦えるように構える。

 

 

「俺たちが勝ったらアリアの母、かなえさんを釈放できるようにしろ」

 

 

「いいだろう」

 

 

シャーロックは即答した。

 

 

「君たちが勝てばの話だがね」

 

 

「ハッ、その安いプライド、捻り潰してやるよッ!!」

 

音速のスピードでシャーロックに飛びかかる。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

「なッ!?」

 

 

回し蹴りを喰らわせようとしたが、受け止められた。いや、受け流されたのだ。

 

 

「ッ!」

 

 

俺は後ろに飛んで後退する。そして、

 

 

バチバチッ!!

 

 

その隙に美琴がシャーロックに向かって電撃を飛ばした。

 

 

パキンッ!!

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

俺たちは驚愕した。

 

 

シャーロックの目の前には大きな氷の壁ができていた。

 

 

「美琴ッ!!」

 

 

俺は上に飛び、美琴を呼び掛ける。

 

 

「大樹ッ!!」

 

 

バチバチッ!!

 

 

美琴は電撃の槍を作り、大樹に向かって投げた。

 

 

 

 

 

「貫けッ!!」

 

 

 

 

 

俺はその槍をオーバーヘッドキックで蹴返す。

 

美琴との連携技だ。

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

電撃の槍を蹴った瞬間、爆発的に威力が上がり、氷の壁を貫いた。

 

電撃の槍はそのままシャーロックに向かっていく。

 

 

「推理通りだよ」

 

 

シャーロックの目の前に第2の盾。砂の盾が現れた。

 

砂の盾はひとつではない。10枚はある。

 

 

ズバンッ!!

 

 

9枚は貫いたが、10枚目が貫けなかった。

 

 

「う、嘘でしょ…!?」

 

 

美琴は驚愕する。

 

 

「まだだッ!!」

 

 

俺はシャーロックに向かって落下していき、

 

 

ドゴンッ!!

 

 

最後の砂の盾を蹴り飛ばした。

 

盾は崩れ、シャーロックが見える。

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は盾を破壊したことを後悔した。

 

 

 

 

 

砂の盾の中から爆弾が現れた。

 

 

 

 

(やべぇッ!)

 

 

ドゴオオオオオンッ!!!

 

 

「ッ!?」

 

 

あまりの衝撃強さに声が出なかった。

 

 

「「大樹ッ!!」」

 

 

美琴とアリアは俺の名前を叫ぶ。

 

俺は美琴たちのところまで吹っ飛んだ。

 

 

「ぐッ」

 

 

口の中は鉄の味がした。

 

 

「大樹君、戦いの真っ最中だが、今から【緋色の研究】を講義しないといけない」

 

 

「緋色……だと……?」

 

 

まさか……

 

 

シャーロックは静かに目を閉じた。

 

 

「「「!?」」」

 

俺たちは目を疑った。

 

 

 

 

 

シャーロックの体が緋色に光だした。

 

 

 

 

 

「僕がイ・ウーを統一出来たのはこの力があったからだ」

 

 

シャーロックはポケットから一発の銃弾を取り出す。

 

「これが緋弾だ」

 

 

弾頭は薔薇のような、炎のような、血のような、緋色をしていた。

 

 

「至大なる超常の力を人間に与える物質。【超常世界の核物質】なのだ」

 

 

「それがイロカネか……」

 

 

倒れていながらも、シャーロックの言葉を返す。

 

 

「知っているのかい?君はもしかして博学なのかな?」

 

 

「ハッ、学校では問題児だけどなッ。日本では緋々色金(ヒヒイロカネ)って名で呼ばれてる金属だろッ」

 

 

「素晴らしい。そこまで知っているのかい」

 

 

シャーロックは本当に感心していた。

 

 

「アリア君」

 

 

シャーロックは右手の人差し指をアリアに向ける。

 

その瞬間、

 

 

 

 

 

アリアの右手の人差し指が光だした。

 

 

 

 

 

「な、なによ……,これ……」

 

 

美琴もアリアも驚愕していた。

 

 

「それは【共鳴現象(コンソナ)】だ。質量の多いイロカネ同士は、片方が覚醒すると共鳴する音叉のように、もう片方も目を覚ます性質がある」

 

 

シャーロックは目を細めた。

 

 

「………僕が推理していた光の強さじゃないね」

 

 

シャーロックは左に銃を持ち。

 

 

「大樹君、悪いが」

 

 

銃口をこちらに向けて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死んでほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキュンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーロックが撃った銃弾は大樹の額を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ッ!?」」

 

 

美琴とアリアが目を疑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は二度目の死を迎えた。

 

 





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。