どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


海に響く戦闘の旋律

「鬼だ……」

 

 

「悪魔だ…」

 

 

「ゲスだ…」

 

「だまらっしゃーい」

 

 

仲間にそこまで言われるとへこむぞ!?

 

 

「遠山」

 

 

俺は遠山を呼ぶ。

 

 

「お前は兄貴と決着をつけてこい。一人で」

 

 

「ッ!?」

 

 

遠山は目を白黒させて驚いていた。

 

 

「む、無理だ!今の俺は

 

 

「あ、そうだった」

 

 

ゴスッ!!

 

 

俺は遠山を軽く蹴飛ばし

 

 

「きゃッ!?ききききキンちゃん!?」

 

 

「むぐッ!?」

 

 

白雪の胸にダイブさせた。羨ましい……。

 

 

「バニーガールは良かったか、遠山?」

 

 

「ホントにやってくれたね、大樹」

 

 

簡単にヒステリアモードになったな。

 

 

「ごめんよ、白雪」

 

 

「う、うん……」

 

 

白雪の顔は真っ赤に染まっている。

 

 

「それじゃあ、俺らは8人でパトラをやっつけるか」

 

 

「女性をいじめるのは感心しないな」

 

 

「敵の心配より自分の心配しろよ」

 

 

そう言って俺らは笑う。

 

「んじゃ逝ってこい」

 

 

「大樹、字が違う」

 

 

おい、それは言ったらアカン。

 

 

________________________

 

 

【キンジ視点】

 

 

「兄さん」

 

 

俺は兄さんと対立する。

 

 

「キンジ、俺と戦うのか?」

 

 

兄さんは俺に向かって殺気を放つ。

 

 

「ああ、兄さんがアリアを殺そうと企んでるなら」

 

 

「お前はたった一人の兄に逆らうのか?」

 

 

「違う」

 

 

俺は右手に拳銃を持つ。

 

 

「俺の憧れの存在だった兄さんはもう死んだ。人殺しをするような奴と俺の兄さんを一緒にするな!」

 

 

俺は銃口を兄さんに。いや、

 

 

 

 

 

「元・武偵庁特命武偵、遠山金一!殺人未遂罪の容疑で逮捕する!!」

 

 

 

 

 

金一に銃口を向けた。

 

 

「いいだろう。かかってこい」

 

 

だが金一は銃を持たない。構えもしない。

 

いや、あれが構えなのだ。

 

 

【不可視の銃弾(インヴイジビレ)】

 

 

金一が使う技だ。

 

目に見えないスピードで繰り出される早撃ち。

 

アリアでも見えなかった恐ろしい技だ。

 

 

(それでも勝つんだ!!)

 

 

パンッ!!

 

 

金一の正面が一瞬だけ光った。

 

 

ドスッ

 

 

俺は避けなかった。

 

 

「何故避けなかった?」

 

 

俺の腕から血が流れる。だが、俺は笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

「………視えたぞ、【不可視の銃弾】!!」

 

 

 

 

 

わざと喰らった。そして突破口が見えた。金一は驚きで目を見開く。

 

 

「……さすが俺の弟だな。だが見抜いたところで状況は変わらん」

 

 

「いや、変わるさ」

 

 

俺は自信を持って答える。

 

 

 

 

 

「変えて見せる」

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

金一は嫌な顔で見ていた。

 

 

「アリアを殺さなくてはイ・ウーは壊滅できないんだ」

 

 

イ・ウーの壊滅だと!?

 

 

「方法は2つ。【第一の可能性】はイ・ウーのリーダーの死と同時にアリアを抹殺し、イ・ウーが新たなリーダーを見つけるまでの空白期間を作ることだ」

 

 

「それが何になる」

 

 

「束ねる奴らが居なくなれば彼らは、生徒たちは【同士討ち(フォーリング・アウト)】を始める」

 

 

【同士討ち】

 

武偵が強大な犯罪組織と戦う時に、その組織を内部分裂させて敵同士を互いに戦わせて弱体化させる手法。

 

 

「そして、【第二の可能性】は現リーダーの暗殺」

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は暗殺という言葉に驚く。

 

 

「だが、俺やお前らには【第二の可能性】は無理だ」

 

 

「だからアリアを殺すのかよ…!」

 

 

俺は金一を睨み付ける。

 

 

「そうだ」

 

 

金一は素っ気なく答えた。

 

 

 

 

 

「ふざけるなッ!!」

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 

俺の叫びに金一は眉を寄せる。

 

 

「何でそういう解決方法しか出せねぇんだよ!」

 

 

俺は銃を持っていない左手に力を入れる。痛くても強く握り続ける。

 

 

「俺がバカなあんたに教えてやるよ」

 

 

「………なんだと?」

 

 

金一から怒りを感じさせた。

 

 

「俺たちをしっかり見ていろよ。俺たちは」

 

 

左手に兄さんの形見であるバタフライ・ナイフを持ち

 

 

 

 

 

「絶対に負けない」

 

 

 

 

 

右手に持った拳銃の銃口を金一に向けた。

 

 

「………そうか、残念だ」

 

 

金一はため息をつき、落胆する。

 

 

「眠れ、キンジ。兄より優れた弟などいない」

 

 

俺は金一に向かって走り出した。

 

 

「浅はかだ」

 

 

パンッ

 

 

(見えるッ!!)

 

 

金一が腕を動かすのが!

 

 

俺は左手に持ったナイフを、

 

 

 

 

 

飛んできている銃弾に投げた。

 

 

 

 

 

ガチンッ!!

 

 

 

 

 

ナイフと銃弾は当たり、銃弾は横に逸れて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイフは金一に向かって回転しながら飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

金一は驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイフは見事に金一の持っている拳銃。ピースメイカーの銃口に刺さり、壊れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

「動くな」

 

 

俺は右手に持った銃の銃口を金一に向ける。既に距離は詰めていた。

 

 

 

 

 

「兄さん、俺たちは弱くない」

 

 

 

 

 

兄さんは驚く。そして、

 

 

「強くなったな、キンジ」

 

 

兄さんは目を瞑り、両手を上げた。

 

 

________________________

 

 

【大樹視点】

 

 

ここで一言。

 

 

 

 

 

パトラさん、マジぱねぇわ。

 

 

 

 

 

「78ッ!!」

 

 

犬男を永遠と倒していた。

 

 

「おかしいッ!無限大の力は封じたのにッ!」

 

 

「大樹!まだ海から出てくるわよッ!」

 

 

美琴が電撃を振り撒きながら言う。

 

 

「パトラの強さはイ・ウーでは元・NO.2だッ」

 

 

剣を降り下ろしながらジャンヌは説明する。

 

 

「簡単に言うと大樹の倒したブラドより強いということよ」

 

 

夾竹桃はTNKワイヤーを使って犬男を縛り上げ、引き裂く。

 

 

「イ・ウーでは元・NO.2ってどういう意味よッ」

 

 

ガッガキュンッ!!

 

 

アリアは二発の銃弾を撃ち、2人の犬男の頭の額に当てる。

 

 

「パトラは退学されたんだよッ」

 

 

ガッガキュンッ!!

 

 

理子もアリアと同じように両手に拳銃を持って犬男の胸に当てる。

 

 

「あまりにも素行が乱暴すぎて退学になったの!いわゆる大樹みたいな問題児ッ!」

 

 

理子は髪の毛を操ってナイフを二本持ち、犬男を切りつける。

 

ていうか俺って問題児なの?いや、超ウルトラ心当たりある。しかもつい最近、授業サボって購買行ってたわ。反省反省。

 

 

「それじゃあ、ブラドは元々NO.3だったのねッ」

 

 

バチバチッ

 

 

美琴は電撃を飛ばして犬男に当てる。

 

 

「なるほど。パトラはピラミッド無しでも結構強い奴だったのかっよッ!82ッ!!」

 

 

犬男はトゲがついた鉄球を投げてきたが、殴って鉄球を破壊したあと、犬男に近づき、蹴り飛ばした。

 

 

「パトラの力は私と桁が違う。ここまで強いなんてッ」

 

 

ズバッ!!

 

 

白雪は銘刀イロカネアヤメで犬男を斬る。

 

 

「いや、強くねぇよ。でも数が多いッ!89ッ!!」

 

 

音速のスピードで犬男に近づき、右ストレートを喰らわせた。

 

 

ガキュンッ……!

 

 

「ッ!」

 

 

遠くから狙撃音が聞こえてきた。銃弾は見事に犬男の額に当てる。

 

さすがレキだ。狙撃率100%じゃねぇか。

 

 

「そのパトラはどこいったのよッ」

 

 

美琴はキョロキョロと辺りを見渡し、パトラを探す。

 

船にパトラの姿は見えない。

 

 

「あそこにいるわ」

 

 

夾竹桃が海に向かって指をさす。

 

 

 

 

パトラは海の上に立っていた。

 

 

 

 

 

「うわッ!?あいつズルい!!92ッ!!」

 

 

いや、俺も人のこと言えたもんじゃないけど。

 

 

「このッ!!」

 

 

ガキュンッ!!

 

 

アリアはパトラに向かって一発だけ撃つ。

 

 

ボスッ

 

 

「!?」

 

 

パトラの目の前に砂の盾が現れた。銃弾は全く貫通せず、砂にめり込んでいた。

 

 

「妾にそのような攻撃は通用せんわい」

 

 

「だったらこれならどうだッ!!95ッ!!」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

犬男をパトラに向かって蹴り飛ばした。

 

 

ゴスッ!

 

 

だが盾に当たった瞬間に犬男は砂に変わる。

 

 

「無駄じゃ」

 

 

パトラは余裕の表情を浮かべる。

 

 

「96ッ!97ッ!98ッ!99ッ!100ッ!!」

 

 

連続でパトラに向かって蹴り飛ばす。もしくは掴んで投げ飛ばす。

 

だがやはり盾に当たった瞬間に犬男は砂となる。

 

大量の砂がパトラの回りを撒き散らす。

 

 

「懲りぬのう」

 

 

パトラはあきれる。

 

 

だが俺はこう思う。

 

 

 

 

 

作戦成功。

 

 

 

 

 

パトラの回りの砂が目眩ましになっているということにパトラは気づいていない。

 

 

ピンッ

 

 

コインを弾く音が聞こえる。

 

 

「お前の負けだ、パトラ」

 

 

 

 

 

ズキュウウウウンッ!!!!

 

 

 

 

 

空気を引き裂くような音が響く。

 

美琴はパトラに向かって超電磁砲を撃ちだした。

 

 

「ッ!?」

 

 

盾は簡単に貫通した。

 

パトラにはギリギリ当たらなかった。いや、美琴はわざと当てなかったのだろう。

 

 

サァッ………

 

 

船にいた犬男が全員、砂となった。パトラの驚きが犬男を操作する集中力が切れて、砂となったのだろう。

 

 

「ッ!?」

 

 

ジャポンッ

 

 

その時、浮遊していたパトラが海に落ちた。………………え。

 

 

「パトラ!!」

 

 

遠山と金一の戦いが終わって、俺たちの戦いを見ていた2人。金一がパトラを見て、助るために海に飛び込んだ。

 

 

「兄さんッ!」

 

 

遠山は金一の名前を呼ぶ。

 

 

「ぷはッ!」

 

 

10秒も経たずにパトラと金一が水面から顔をだしてきた。

 

 

「何をするのぢゃ!妾は泳げるぞッ」

 

 

「そうだな。でも恐怖のせいで体が動かなかったら溺れてしまうよ?」

 

 

「なッ!?」

 

 

遠山の兄貴すげぇな。そんなことまで分かったのかよ。

 

金一に助けられたパトラの顔は真っ赤だった。

 

 

________________________

 

 

 

「これで一件落着か」

 

 

キンジは大きく息を吐き、そう呟いた。

 

 

「キンちゃん、終わったよ」

 

 

白雪はキンジの治療が終わった。しかし、応急措置なのではやく病院へ行くことを勧める。

 

 

「あ、ああ」

 

 

遠山は白雪から目を逸らす。今あいつ、白雪の胸見た後目を逸らしやがった。

 

 

「ねぇ」

 

 

美琴が俺を呼ぶ。

 

 

 

 

 

「何かが来るわ……!」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

遠山の兄貴、金一が立ち上がり、

 

 

 

 

 

「みんな!逃げるんだッ!」

 

 

 

 

 

「…………!」

 

 

金一は叫ぶ。

 

俺は海を見続けた。いや、睨み続けた。

 

 

(やっぱり来たか…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザアアアアアアアッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場に居る全員が驚愕した。

 

海が持ち上がっているのだ。

 

否、何かが浮上してきた。

 

 

「黒幕の登場だ………!」

 

 

俺は浮上してきたモノを睨み付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海の中から潜水艦が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その巨体の装甲には【伊U】の文字が描かれていた。

 




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