どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

24 / 177
続きです。


危険な緊急任務

通学路に二つの人影があった。

 

 

「おはよう、大樹」

 

 

「おはよう、   」

 

 

俺と   は一緒に登校していた。

 

 

「今日の放課後も部活するの?」

 

 

「まぁな。もうすぐ三年生最後の大会だからな」

 

 

「大丈夫なの?」

 

 

   は心配そうな顔をする。

 

 

「ほっとけばいいんだよ、あんな奴ら」

 

 

きっと部活で俺をいじめる奴らのことを言っているんだろう。

 

 

「きっと俺の二刀流に嫉妬してるんだよ」

 

 

「えー」

 

 

「えー、その返しは無いわー」

 

 

そう言って二人は一緒に笑った。

 

 

「それに俺はもう二刀流に関しては師範代と同等とに戦えるしな」

 

 

「それだけはすごいんだよね」

 

 

「それだけってどういう意味だよ」

 

 

「私がいないと勉強できないとか」

 

 

「うッ」

 

 

俺は目をそらす。

 

 

「別に私は大樹といられるから良いけどね」

 

 

「は?何か言ったか?」

 

 

「内緒よ」

 

 

   は上機嫌になった。

 

 

「応援してるからね」

 

 

「ん?」

 

 

「剣道の大会」

 

 

「ああ、優勝してきてやるよ」

 

 

俺は   と約束をした。

 

 

 

________________________

 

 

 

「………………ッ!!」

 

 

最悪の夢から目が覚めた。

 

 

「はぁ…、はぁ…、はぁ…」

 

 

背中には汗をビッショリかいており、息が苦しい。

 

頭が何度も殴られたような痛みが襲い掛かって来る。

 

 

「もうやめろよ………!」

 

 

俺は頭を抱え込み、夢を見ないように朝まで起き続けることにした。

 

しかし、この苦しみは全くなくならなかった。

 

 

 

________________________

 

 

 

「んなッ!!」

 

 

キンジは掲示板に貼られた紙を見て、驚きの声をあげる。

 

 

2年A組 遠山 金次 

 

専門科目(探偵科) 1,9単位不足

 

 

「アッハハハ!!来年は俺の後輩だな!!」

 

 

隣では大樹が手を叩いて大笑いしている。

 

 

「あんたもよ」

 

 

「HA?」

 

 

美琴はそう言って遠山の字が書かれてる下を指差す。

 

 

2年A組 楢原 大樹

 

専門科目(強襲科) 1,7単位不足

 

 

「なんだとッ!?」

 

 

ば、バカな!?俺が留年だと!

 

 

「本当にバカね、あんたたち」

 

 

アリアは俺たちを見て、ため息をつく。

 

 

「ハッ、緊急任務(クエスト・ブースト)があった!!」

 

 

キンジは急いで隣にある掲示板に移動する。

 

 

「………これだ!!」

 

 

 

カジノ「ピラミディオン台場」

 

私服警備

 

必要生徒数 4~6名(女子を推奨)

 

被服の支給有り

 

1,9単位

 

 

 

「大樹!」

 

 

「断る」

 

 

「まだ何も言ってないぞ!?」

 

 

どうせ『一緒にやろうぜ!』って言うんだろ。

 

 

「俺はこれを受けるからな」

 

 

俺は受ける緊急任務を指差す。

 

 

 

ホスト店「きらら」

 

接客をする

 

必要生徒数 1名のみ(男子生徒のみ)

 

1,7単位

 

 

 

「労働時間は三時間。女と話をするだけの簡単な仕事だ。いいだろ?」

 

 

ドヤァと俺はみんなに見せつける。

 

 

「それは止めておいたいいぞ、大樹」

 

 

「は?なんでだよ」

 

 

あれ?遠山、何でそんなに嫌な顔をするんだ。

 

 

 

 

 

「そこの店、男しか出入りしない店だぞ」

 

 

 

 

 

「一緒にカジノの警備やらせてください」

 

 

何でこんなもの緊急任務にあるんだよ!!

 

 

________________________

 

 

 

「このチョコカツカレーパンください」

 

 

「はいよ」

 

 

俺は強襲科の授業をさぼって購買に来ていた。てか何だこのパン。超不味そう。

 

 

「み、見た目が悪いだけだよな」

 

 

そして一口食べる。

 

 

「ノーデリシャス」

 

 

不味い!!絶対にチョコ要らねぇ!!

 

 

『大樹、メールが来たわよ』

 

 

携帯電話から美琴の声がメールを知らせる。ふははは、いいだろ?美琴の着信ボイスだ!土下座して頼んだかいがあったぜ!

 

 

「美琴からか」

 

 

俺はメールを開く。

 

 

 

 

 

『アリアが決闘をしている』

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は不味いパンを急いで全部食べて、強襲科に向かった。

 

 

________________________

 

 

 

 

「それじゃあ、始めましょう」

 

 

「……………」

 

 

女の子は銃も持たず構える。そして、アリアは銃を両手に持ち構える。

 

十分前に目の前にいる女の子に札幌武偵高(サツコウ)の女子生徒にアリアは決闘を申し込まれた。

 

断る理由も無かったため、受けることにした。

 

美琴はアリアを心配していたが、大丈夫だと伝えて納得させた。

 

 

ざわざわッ

 

 

強襲科の生徒がギャラリーとして見学している。もちろん美琴も見ている。

 

 

「始めッ!!」

 

 

強襲科の蘭豹(らんびょう)先生が合図する。

 

 

ガッガキュンッ!!

 

 

と同時にアリアは二発の銃弾を撃つ。だが

 

 

パッパンッ!!

 

 

ガッガキンッ!!

 

 

「ッ!?」

 

 

銃弾は何かに当たり、軌道をそらされた。

 

 

(まさか今の一瞬で銃を撃ったというの!?)

 

 

アリアは女の子の早撃ちに驚愕する。しかし驚きは顔には出さないようにする。

 

 

「………【ピースメーカー】ね」

 

 

「よく分かったわね。私の銃はコルトS A A(シングルアクションアーミー)。通称は平和の作り手(ピースメーカー)

 

 

アリアは銃をなおし、背中から二本の刀をとる。

 

 

「でもどうして分かったの?」

 

 

「あたしには銃声とマズルフラッシュで分かるわ」

 

 

女の子は目を細めて小さな声で言う。

 

 

「そう。さすがはホームズ卿の曾孫ね」

 

 

「ッ!」

 

 

アリアは女の子に向かって跳びかかり、刀を振るう。

 

 

「遅いわ」

 

 

パンッ!!

 

 

「うあッ!?」

 

 

アリアの体に痛みがはしった。被弾した。

 

 

「アリアッ!!」

 

 

美琴が名前を呼ぶのが聞こえる。

 

 

(銃が見えない!?)

 

 

どんなに目をこらしていても見えなかった。見えたのはマズルフラッシュだけ。

 

 

ざわざわッ

 

 

ギャラリーが今の戦いを見てざわつく。

 

 

「どうなってんだこれ!?」

 

 

「弾が見えなかったぞ!」

 

 

「札幌武偵高にあんなすげぇ女子が居たのか!」

 

 

アリアは撃たれたと同時に隅っこに飛んでいった刀を見る。

 

取りに行くのは駄目だと判断し、アリアは2つの銃を再び両手に持つ。

 

 

「神崎・H・アリア」

 

 

女の子はアリアの名前を呼ぶ。

 

 

「もうちょっとあなたを見せてごらん」

 

 

パンッ!!

 

 

右前方が光り、銃声がなった。

 

 

ガキンッ!!

 

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 

その場にいた全員が驚いた。

 

 

アリアと女の子の間には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右手に銃を持った大樹がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

大樹は無言で女の子を睨み付けた。

 

 

________________________

 

 

【大樹視点】

 

 

「あなた………楢原 大樹ね」

 

 

「ああ」

 

 

俺は女の子の質問を肯定する。こいつは、

 

 

 

 

 

カナだ。

 

 

 

 

 

俺もよくわからないがカナは遠山の兄貴、遠山 金一(きんいち)でもあるらしい。

 

 

「あなた………今銃弾を叩き落としたわね」

 

 

そう、大樹はカナが撃った銃弾を自分の拳銃に当てて叩き落とした。

 

 

「楢原ァ!!てめぇ授業サボった癖に授業妨害してるんじゃねぇ!!」

 

 

蘭豹は大樹に叫ぶ。

 

 

「うるせぇなッ!!!ちょっと黙ってろッ!!!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

大樹のキレた叫び声に蘭豹だけでなく、ギャラリーの生徒も恐怖を感じた。

 

 

「おい」

 

 

俺はカナに銃を向ける。

 

 

「一秒であの世にご案内させてもいいが?」

 

 

大樹はカナを脅す。

 

 

「……………」

 

 

カナはしばらく黙っていたが、

 

 

「分かったわ、ここは一旦引くわ」

 

 

そう言ってカナは後ろを向き、この場から立ち去った。

 

「大丈夫か、アリア」

 

 

俺はカナが立ち去ったのを確認して、アリアのもとに駆けつける。

 

 

「大樹………あんた」

 

 

「分かってる。決闘の邪魔をして悪かったと思ってる。」

 

 

俺はアリアが怪我をしていないか確かめる。防弾服を着ていても強い衝撃がくる。

 

 

「アリア!!」

 

 

美琴がこちらに駆け寄ってきた。

 

 

「美琴も聞いてほしい」

 

 

俺は美琴とアリアに言う。

 

 

「俺は大切な人が傷つくのは見たくない」

 

 

俺はアリアと美琴の手を握る。

 

 

「二人を傷つけるモノは俺が全部潰す。そして、一生守ってやるからな」

 

 

「「い、一生!?」」

 

 

ボッとアリアと美琴の顔が赤くなる。

 

 

「そ、そそそうね、頼りにしてるわ!」

 

 

「ちゃ、ちゃちゃちゃんと守りなさいよ!」

 

 

「おう、任せろ」

 

 

俺は笑顔で二人にそう言った。

 

 

________________________

 

 

 

【キンジ視点】

 

 

「カナ!!」

 

 

俺は強襲科から出てきた兄さん。いや、カナを呼ぶ。

 

 

「キンジ?」

 

 

カナは俺のいる方を振り向く。

 

 

「昨日は大丈夫だった?」

 

 

「あ、ああ」

 

 

やっぱり夢じゃなかったんだ。

 

昨日の夕方、空き地島で俺はカナに言われた。

 

 

 

 

 

「これから一緒にアリアを殺しましょう」

 

 

 

 

 

もちろん断った。そんなこと出来るわけがない。

 

俺はカナを止めようと戦った。だが負けた。

 

カナの攻撃で空き地島の風力発電のプロペラから落とされ、気を失った。

 

 

「あの後、私のワイヤーで釣り上げて、気絶しているあなたを部屋まで運んだのよ」

 

 

「……………そうかよ」

 

 

「ほんと昔っから手が掛かる子」

 

 

カナは俺に微笑む。

 

 

(やっぱりカナの中では俺はいつまでたっても子供なんだな)

 

 

俺は口をへの字に曲げた。

 

 

「私これからホテルに帰るわね」

 

 

「………その後はアリアを殺すのか」

 

 

「殺さないわ」

 

 

「え?」

 

 

「楢原 大樹………面白い子ね」

 

 

カナが何を言っているのか分からなかった。

 

 

「キンジ、もうアリア達に関わるのはやめなさい」

 

 

カナは歩いていく。しかし俺は追いかけない。

 

 

「あなたを危険にさらしたくない」

 

 

そう言ってカナは帰っていった。

 

 

「……なんだよそれ」

 

 

痛くなるほど手に力を入れる。

 

 

「半年も失踪しておいて……いきなり何だよ…!!」

 

 

俺の震えた声は、誰の耳にも届かなかった。

 

 

________________________

 

 

 

【大樹視点】

 

 

「ここは……?」

 

 

いや、見たことあるな。

 

 

「ワシじゃよ」

 

 

「シャアアアアアァァァ!!!」

 

 

ゴスッ!!

 

 

「危ないやつじゃの」

 

 

「いってえええェェェ!!!」

 

 

神に飛びかかったら返り討ちにされた。頭が割れる!!

 

 

「よくも……よくもだましたなああああァァァ!!」

 

 

「何がじゃ」

 

 

「決まってるだろ!俺を二回も空から落としやがって!美琴と俺の扱いが違いすぎるんだよ!!」

 

 

「まぁそんなどうでもいいことは置いといて」

 

 

「どうでもいい!?置くの!?」

 

 

うわッ!神って残酷!

 

 

「一週間後に転生じゃ」

 

 

「分かった。その時にお前を倒すわ」

 

 

「めんどくさいのう……」

 

 

はは、絶対潰す。

 

 

「ところでクソ駄神」

 

 

「もっと悪くなったのう」

 

 

「転生特典の返却は可能か?」

 

 

「………一度渡したものは無理じゃのう」

 

 

「………そうか。じゃあ一週間後な」

 

 

そこで俺は目を覚ました。

 

 

________________________

 

 

 

 

「ストレートフラッシュ」

 

 

「ぐッ」

 

 

ざわざわッ

 

 

対戦相手はどっかの金持ちのオッサンは顔を歪める。まわりの客たちは俺のカードを見てざわめいていた。

 

俺は公営カジノの警備をやっている。遊びながら。

 

 

「なにやってるんだ、大樹」

 

 

遠山がこちらの様子を見に来たようだ。

 

 

「社長狩り」

 

 

「やめろ。今すぐやめろ」

 

 

チッ、あと一人で5人目だったのに。

 

俺と遠山はその場から立ち去る。

 

 

「大樹はトランプ得意なのか?」

 

 

「まぁな」

 

 

真剣衰弱とか絶対に負ける気がしない。

 

俺は遠山からジュースを貰い一緒に飲む。

 

 

「この金どうしよう」

 

 

「いくらあるんだ?」

 

 

「1億」

 

 

「ぶふッ!!」

 

 

「うわッ!?汚なッ!?」

 

 

キンジは大樹に向かってジュースを吹き出した。

 

 

「何やってるんだよ!!返してこい!!」

 

 

「よし、ゴミ箱にシュート」

 

 

「おい!?」

 

 

返すのがめんどくさいです。

 

 

「まじでやったよこいつ……」

 

 

「あ、美琴たちじゃん」

 

 

俺の前から4人の女の子がこちらに来た。

 

4人の内、3人はバニーガールだが、レキは金ボタンのチョッキを着ていた。

 

 

「くッ、俺はカメラを持ってこなかったことを一生後悔するだろう」

 

 

楢原、一生の不覚……!

 

 

「何やってんのよ、あんた」

 

 

四つん這いで悲しんでる俺に美琴が話しかける。

 

 

「キンジ、大樹はどうしたの」

 

 

「え、いやー、その」

 

 

アリアに聞かれたキンジは答えようにも答えられなかった。

 

 

「はッ!?」

 

 

俺は気付く。

 

 

「携帯電話があった!!」

 

 

俺は携帯電話を開けて

 

 

「二人とも写真をとらせ

 

 

グサッ

 

グサッ

 

 

「バルスッ!?」

 

美琴とアリアの頭についているウサ耳の先端で俺の両目が潰された。

 

 

「き、キンちゃん、この衣装どうかな……」

 

 

「ど、どうって言われても…」

 

 

「美琴、そのウサ耳を少し貸してくれ」

 

 

俺は美琴のウサ耳を手に持ち、

 

 

グサッ

 

 

「うぐおッ!?」

 

 

「キンちゃん!?」

 

 

遠山の目を突いた。リア充よ、滅べ。

 

 

「キンちゃんをいじめちゃだめ!!」

 

 

グサッ

 

 

「ぐあああああァァァ!!!」

 

 

白雪にもやられた。しかもさっきより威力が強い。もう失明しそう。

 

 

「みなさん」

 

 

レキが皆に呼び掛ける。

 

 

「よくない風が吹き込んでいます」

 

 

レキはバーのカウンターに走り、中に飛び込む。

 

 

「レキ?」

 

 

キンジはレキが飛び込んだバーのカウンターに行くと。

 

 

ガシャンッ!!

 

 

ドラグノフ狙撃銃を構えた。

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

「え、何?何が起きてるの?」

 

 

美琴、アリア、遠山、白雪の4人はレキの様子を見て、事件が起きたと察した。大樹は未だに涙が止まらないせいで状況が把握できない。

 

 

ガキュンッ!!

 

 

ドゴンッ!!

 

 

フードを被った人間の頭に当たった。

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

だがそいつは人間じゃなかった。

 

全身が真っ黒の体をしており、腰に茶色い布を巻きつけているだけの姿。

 

 

そして頭が犬だった。

 

 

犬男がいた。

 

 

「みんな逃げろッ!!」

 

 

遠山は客に向かって叫ぶ 。

 

 

カジノは一瞬でパニックになった。

 

 

 

 

 

「え!?マジで何が起きてるんだよ!?」

 

 

 

 

 

大樹の目はまだ回復していない。

 




お気に入りがなんと200を越えました。

ありがとうございます。


感想や評価をくれると嬉しいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。