どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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今回は長いです。

続きです。




空と地上の決戦  ~天空編~

(アリアが乗っているのはAMA600便!)

 

 

大樹は空港の中を走っていた。

 

 

(さっき会ったのはジャンヌだった)

 

 

ジャンヌは原作では白雪を誘拐するときに登場する人物。

 

 

(なのにあいつは現れた……!)

 

 

先程から嫌な予感がする。

 

俺はふっと窓を見ると一台の飛行機が動いていた。

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は飛行機の窓からあいつが見えた。

 

 

 

 

 

「アリアッ!!」

 

 

 

 

 

おもわず名前を呼ぶ。しかし、彼女にはその声は届かない。

 

ヤバい。もう離陸しようとしている。

 

 

パリンッ!!

 

 

俺は空港の窓を突き破り、飛行機を追いかける。

 

 

だが、飛行機の車輪は地面を離れ、飛んだ。

 

 

________________________

 

 

アリアは窓の外を見る。外は大雨で遠くが見えなくなるほど暗かった。

 

 

(なんにも通達無しで急に帰ってこいだなんて)

 

 

ロンドンの武偵局部から帰還命令が出された。だが、日帰りで帰ろうと思っている。長くはならないので、みんなにはこのことを報告していない。

 

 

(最近いろいろあって疲れたわ……)

 

 

キンジのチャリジャック、バスジャック。目まぐるしい日々だった。

 

アリアは椅子にもたれかかって目を瞑った。

 

 

(少しだけ……)

 

 

アリアは静かに眠った。

 

 

________________________

 

 

 

 

「さ、ささささ寒いいいいィィィ!!!」

 

 

俺は寒さに震える。

 

 

俺はあの後音速のスピードで走って追いかけて

 

 

 

 

 

車輪に掴まった。

 

 

 

 

 

「おわッ!?」

 

 

そしてそのまま車輪と一緒に機体の中に一緒に収納された。侵入に成功したが中はどんどん温度が低くなり、今にいたる。

 

 

「ああ、疲れたな」

 

 

俺は目を瞑った。

 

 

「少しだけ……」

 

 

俺は静かに眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だめだあああああァァァ!!!!」

 

 

あぶねぇ!!やめろパトラッシュ!!俺はもう死にたくない!!

 

 

「くそッ、どうやってここから出ようか…」

 

 

まさか出口が無いなんて。

 

 

「………ちょっと乱暴だが仕方ない」

 

 

俺は天井に向かって思いっ切り殴った。

 

 

 

________________________

 

 

パンッ!パンッ!

 

 

「ッ!?」

 

 

アリアは飛び起きる。

 

 

(銃声!?)

 

 

まだボーッとする頭を叩き起こして廊下に出る。

 

廊下に出ると二人の男性が倒れていた。

 

倒れている男の後ろには拳銃をもったアテンダントがいた。

 

 

「動かないでッ!」

 

 

アリアはスカートから銃を取りだし、構える。

 

 

Attention Please(お気を付けください)、でやがります」

 

 

そう言ってアテンダントは手に持ったガス缶を投げる。

 

 

プシューッ

 

 

「みんな部屋に戻ってドアを閉めて!!早く!!」

 

 

アリアは乗客に避難を呼び掛ける。

 

機内が一気にパニックに陥った。

 

 

「くッ」

 

 

アリアも部屋に戻り、煙から逃げる。

 

 

(なんとか大丈夫みたいね)

 

 

自分の体がしっかり動くことを確認する。

 

 

(今のは武偵殺し……!?)

 

 

アリアは歯を食いしばる。こんな場所で出会うなんて予想外だった。

 

 

(ちょうどいいわ、ここで捕まえてママの冤罪を晴らしてやる!!)

 

 

ポポーン、ポポポン、ポポーン…………

 

 

機内に謎のアナウンスが流される。

 

 

(和文モールス……)

 

 

 

オイデ オイデ イ・ウー ハ テンゴク ダヨ

 

オイデ オイデ ワタシ ハ イッカイノ

 

バー ニ イルヨ

 

 

 

「上等よ」

 

 

アリアはスカートから二丁目の銃を取り出し、

 

 

 

 

 

「風穴あけてやるわ」

 

 

 

 

 

ドアを開けて、バーに向かった。

 

 

________________________

 

 

 

バーに行くと武偵高校の制服を着た女性が座っていた。

 

顔をよく見ると、さっきのアテンダントだと分かった。

 

 

「今回もキレイに引っ掛かってくれやがりましたねぇ」

 

 

女性はベリベリッと薄いマスクのようなものを剥がした。

 

 

 

 

 

「あんた……(みね)…理子ね」

 

 

 

 

 

キンジの隣の席の女子生徒だった。

 

 

Bon Soir(こんばんは)

 

 

こいつが……武偵殺し!

 

 

「この日を待っていたよ、オルメス」

 

 

「ッ!?」

 

 

何でその名前を知ってるの!?

 

 

「あんた……一体何者……?」

 

 

アリア質問に理子は笑みを浮かべて答える。

 

 

 

 

 

「理子・峰・リュパン4世。それが理子の本当の名前」

 

 

 

 

 

「リュパン!?」

 

 

この子、アルセーヌ・リュパンの曾孫なの!?

 

 

「でも家の人間はみんな理子を【理子】とは呼んでくれなかった」

 

 

理子は椅子からおりる。

 

 

「お母さまがつけてくれたこのかっわいい名前を」

 

 

頭を横に振り、呆れたように振る舞う。

 

 

「4世、4世、4世4世さまぁー」

 

 

理子はふらふらと近づいてくる。

 

 

「どいつもこいつも使用人まで……理子をそう呼んでたんだよ、ひっどいよねぇ」

 

 

「そ、それがどうしたっていうのよ。4世の何が悪いっていうのよ……」

 

 

理子は歩くのをやめて立ち止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いに決まってんだろ!!あたしは数字か!?あたしはただのDNAかよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

突如、理子はキレて怒鳴り散らした。

 

 

「あたしは理子だ!!数字じゃない!!どいつもこいつもよォ!!」

 

 

怒り狂った理子は一気に言いたいことを言う。あるいは叫ぶ。

 

 

「曾お爺さまを越えなければあたしは一生あたしじゃない。【リョパンの曾孫】として扱われる!!」

 

 

理子は自分の手を強く握り締める。

 

 

「だからイ・ウーに入って力を得た!この力であたしはもぎ取るんだ!あたしをォ!!」

 

 

理子はアリアを見る。その瞳には殺意が籠っている。

 

 

「100年前、曾お爺さま同士の対決は引き分けだった。つまりオルメス4世を倒せば、あたしは曾お爺さまを越えたことを証明できる」

 

 

理子は続ける。

 

 

「チャリジャックとバスジャックではイレギュラーなことが起きた。邪魔されなかったらもっとはやく戦えたのねぇ」

 

 

理子は右手に持った銃の銃口をこちらに向けた。

 

 

「今日がお前の命日だ、オルメス!!!」

 

ガキュンッ!!

 

 

「ッ!?」

 

 

アリアは理子が撃った弾をとっさに横に避ける。そして、理子に向かって飛びかかる。

 

だが、

 

 

「アリア、二丁拳銃が自分だけだと思っちゃダメだよ?」

 

 

「ッ!」

 

 

理子はスカートから二丁目の拳銃を左手に持つ。

 

 

ガチンッ!!

 

 

理子はアリアの腕を自分の腕で上手く払い、アリアの銃口の先から逃れる。

 

アリアは睨み、理子は笑みを浮かべていた。

 

互いの距離がゼロになった。ここからは近距離の戦闘だ。

 

 

ガッガキュンッ!!

 

 

理子は二発の銃弾撃つ。

 

アリアはそれをしゃがんで避ける。

 

 

ガッガキュンッ!!

 

 

アリアも下から二発の銃弾を撃つ。

 

だが理子は上半身を後ろに傾けるだけで回避する。

 

 

ドゴッ!!

 

 

理子はしゃがんでいるアリアに一発。二発と銃弾を撃たず、手で殴った。

 

 

「ぐッ!!」

 

 

アリアは小さくうめく。

 

 

「は、はは、あははははッ!!」

 

 

理子は気が狂ったように笑う。

 

 

「このッ!!」

 

 

アリアは理子の腕を掴む。

 

 

「なッ!?」

 

 

理子は驚愕する。

 

 

 

 

 

アリアは理子を一瞬にして床に押さえつけたのだ。

 

 

 

 

 

「そこまでよ!!」

 

 

アリアは理子の頭の眉間に銃を突き付ける。

 

 

「ふふふ、アリアは甘いなぁ」

 

 

理子は不気味に笑う。

 

 

「な、何よ!」

 

 

追い詰められているはずの理子が笑いだし、アリアは理子を警戒する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武偵殺しが一人だと思わないことね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

突然後ろから声がかけられた瞬間、首に何かを刺された。そして、アリアは強烈な目眩に襲われ、横に倒れた。

 

アリアは倒れていながらも、必死に意識が落ちないようにする。

 

 

「…………あ、あんたは……………!?」

 

 

 

 

 

イ・ウーのメンバー、夾竹桃(きょうちくとう)がいた。

 

 

 

 

 

「な、なんであんたが……!?」

 

 

夾竹桃はあたしの戦妹(アミカ)である間宮(まみや) あかりが今追っているはずの人物。

 

 

「全くなにやられているの」

 

 

「ごめんね~、キョーちゃん。理子は悪い子だから」

 

 

「理由になってないわよ。私はわざわざ間宮の秘毒をお預けしてまで来たのだからちゃんと勝ちなさい」

 

 

………やられた。

 

甘かった。相手が一人だと決めつけるなんて。

 

 

「くふふふ、これで理子の勝ちだね」

 

 

理子は右手に持った銃をアリアに押し付ける。

 

 

「じゃあね、アリア」

 

 

アリアは目を瞑った。

 

 

(あたしはまだ死ぬわけにはいかない!)

 

 

アリアは体に力を入れようとするが入らない。

 

 

(まだママを助けるまでには!)

 

 

アリアは心の中で叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(誰か助けてッ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキュンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

理子と夾竹桃は驚愕した。なぜなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリアが消えたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたな、アリア」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理子と夾竹桃の後ろから声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにはアリアをお姫様抱っこをしている大樹がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大樹……!」

 

 

アリアは名前を呼んで、意識を失った。

 

 

「な、なんでお前がいるッ!?機内の入り口で見張っていて、来ていないことを確認したはずなのにッ!?」

 

 

理子が大声を出す。

 

 

「俺はそんなところから入っていないぞ」

 

 

大樹は顔に笑みを浮かべて、

 

 

 

 

 

「車輪と一緒に来たからな」

 

 

 

 

 

「「は?」」

 

 

「ひとまず退散だ」

 

 

大樹は後ろを向き、走り去る。

 

 

「逃がすかッ!!」

 

 

理子は銃を大樹に向けて発砲する。

 

 

ガキュンッ!!

 

 

「させるか!!」

 

 

大樹は横にある客室ドアを開けて、盾を作る。

 

 

ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ

 

 

「「なッ!?」」

 

 

一瞬にして合計10枚の壁を作った。少しは時間稼ぎができるだろう。

 

 

(アリアを安全な場所に……!!)

 

 

大樹はアリアを抱えて逃げ出した。

 

 

________________________

 

 

大樹はアリアをベットに寝かせる。

 

ここは飛行機の一番奥の客室だ。

 

 

(さっき居たのは夾竹桃……!)

 

 

状況から察するに、アリアは毒にやられたのだろう。

 

 

(何で夾竹桃がいるんだよ……!)

 

 

夾竹桃は毒に関してはエキスパートだ。下手をするとアリアはもう……。

 

 

(一刻もはやく病院に行かないと…!)

 

 

アリアには一体どんな毒を射たれたのか分からない。対処法も分からない。

 

 

「………解毒剤」

 

 

もしかしたら夾竹桃が持っている可能性がある。

 

……なら俺の目的は明確だ。

 

 

「どんな理由があるにしろ、あいつら絶対に捕まえる。」

 

 

俺はアリアに顔を向ける。

 

 

「すまん、こんなことになって」

 

 

約束したはずなのに。

 

 

「守るって言ったのに」

 

 

だけど。

 

 

「もうこれで終わりだ」

 

 

 

 

 

アリアを傷つけるのは。

 

 

 

 

 

「もう絶対にさせねぇ」

 

 

 

 

 

俺は部屋を出た。

 

 

________________________

 

 

 

「バッドエンドの時間ですよー」

 

 

理子と夾竹桃が奥から現れる。

 

 

「夾竹桃」

 

 

「なにかしら」

 

 

「アリアにどんな毒を射ちやがった」

 

 

夾竹桃は笑みを浮かべて教えてくれた。

 

 

弛緩毒(しかんどく)よ」

 

 

………………。

 

 

「説明してください」

 

 

「もう少し勉強したらどう?」

 

 

うるせいやい。

 

 

「解毒剤はあるのか」

 

 

「持っているわよ」

 

 

夾竹桃は手に取り出す。

 

 

「いくらだ」

 

 

「よこせとは言わないのね」

 

 

犯罪行為はしませn………なるべくさけます。

 

 

「欲しければ取ってみなさい」

 

 

「ハッ、なめるなよ!」

 

 

俺は音速のスピードで夾竹桃に近づこうとするが、

 

 

「ッ!?」

 

 

やめて後ろにさがる。

 

 

「あら、見えていたのね」

 

 

 

 

 

夾竹桃のまわりにはワイヤーが張り巡らされていた。

 

 

 

 

 

T  N  K(ツインテッドナノケブラー)ワイヤー」

 

 

夾竹桃はワイヤーの説明を始める。

 

 

「その防弾制服にも織り込まれている極細繊維よ」

 

 

「チッ」

 

 

俺は舌打ちをする。ワイヤーは見えるが問題は張り巡らせた形だ。体がすり抜ける場所が見つからない。

 

 

ズキュンッ!!

 

 

「ッ!」

 

 

大樹は体を横にそらして銃弾を避ける。

 

 

「はやくどけよ、イレギュラー」

 

 

理子が撃ったようだ。

 

 

「イレギュラーだと?」

 

 

「理子の計画では一番お前が邪魔だったんだよ」

 

 

「ごめんなさい、とでも謝ればいいのか?」

 

 

「ッ!!このッ!!」

 

 

ズッズキュンッ!

 

 

理子は二発銃弾を俺に向かって放つ。

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃弾が空中で止まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何だコレ!?)

 

 

否、銃弾は少しずつこっちに向かって来ている。

 

銃弾が超スローモーションで見えているのだ。

 

 

(もしかしたら、いける!!)

 

 

俺は二発の銃弾に右手を向ける。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人差し指と中指、中指と薬指に銃弾をはさんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルンッ

 

 

銃弾の勢いを殺さないように素早く体を回転させる。

 

 

(これでどうだ!)

 

 

銃弾がはさまった指を放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャンッ!!ガシャンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたッ!?」

 

 

理子の両手に痛みを感じた。そして、理子の顔は驚きに変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理子の銃が両方共壊れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃弾は見事に両方の拳銃の銃口の中に入った。

 

 

「せ、成功した………」

 

 

銃弾返し(カタパルト)

 

 

遠山が使う技の一つだ。物語ではまだ使えないが。

 

 

(俺の場合は2つ………)

 

 

もう人間ちゃう。化け物や。

 

 

「あ、ありえない……」

 

 

理子は後ろにさがる。顔が真っ青になっている。

 

 

「チェックメイトだ」

 

 

俺は二人に告げる。

 

 

カチャッ

 

 

俺は右手と左手に服の内側から出した銃を持ち、二人に狙いを定める。

 

この銃はアリアから借りたモノだ。

 

 

「あら、わたしはまだよ」

 

 

夾竹桃の後ろからトランクが現れる。隠していたか。

 

 

ガシャンッ

 

 

 

 

 

夾竹桃は多銃身機関銃(ガトリングガン)を取り出した。

 

勝利を確信した夾竹桃は笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やらせるかああああァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は地面に落ちてある理子の拳銃の残骸を蹴り飛ばした。

 

 

ガシャンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残骸が音速のスピードで当たり、多銃身機関銃を破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

「もう一度言う。動くな」

 

 

俺は再び二人に向かって銃を構える。

 

 

「あーあ、あと少しで理子がアリアを殺せたのに」

 

 

「そんな物騒な考え……やめろ」

 

 

俺は理子を睨む。

 

 

「大樹は何で理子の体に銃弾を当てなかったの?」

 

 

「女の子にそんなことしねぇよ」

 

 

「大樹って優しいね。でも」

 

 

理子はニヤリッと笑った。

 

 

 

 

 

「それが仇になるよ?」

 

 

 

 

 

理子の髪が不自然に動く。

 

 

ぐらりッ

 

 

その時、飛行機が大きく揺れた。

 

 

(しまった!?)

 

 

俺は体制を崩す。

 

 

「ッ!?」

 

 

夾竹桃もバランスを崩した。夾竹桃は知らなかったみたいだ。このことに。

 

だが、俺が見たのは最悪の光景だった。

 

 

 

 

 

夾竹桃がワイヤーに向かって倒れようとしていた。

 

 

 

 

 

(あのバカッ!!)

 

 

俺は音速のスピードで夾竹桃のところに向かって走る。

 

 

(あのワイヤーは簡単には切れない)

 

 

防弾制服の極細繊維だ。とてもじゃないが素手で切るのは不可能。

 

 

(それでも!!)

 

 

俺はワイヤーを掴み手に力を込める。そして、

 

 

 

 

 

一気にワイヤーを引き伸ばした。

 

 

 

 

 

ブチッ

 

 

 

 

 

一本を切った。だが十分だ。

 

自分の体がはいれる空間が出来ていた。

 

俺はその穴に飛び込み夾竹桃を抱き止める。

 

 

「ぐッ」

 

 

俺の左手から大量の血が流れ出した。右手は何とか無事だった。

 

だが、指などが切れなかったことは不幸中の幸いなのだろう。

 

 

「ばいばいきーん」

 

 

理子はその場から逃げ出した。

 

 

「まちやがれッ!!」

 

 

ガシャンッ

 

 

俺は手錠を夾竹桃と廊下の手すりにつける。そして、俺は理子を追いかけた。

 

理子はバーの片隅にいた。壁には丸い円のように爆薬が貼り付けてあった。

 

 

「ホントにイレギュラーな存在だねぇ……」

 

 

理子は不機嫌そうな声で言う。

 

 

「理子の計画無茶苦茶だよ」

 

 

「うるせぇ、早く捕まれ。アリアが待ってる」

 

 

「アリア、アリアアリアアリア」

 

 

理子は俺を睨みつける。

 

 

 

 

 

「何であいつばっか味方するんだよォ!!」

 

 

 

 

 

怒鳴った。

 

 

「何で理子には……いないんだよ……」

 

 

だが、その元気はすぐに無くなり、下を向いた。

 

 

「ッ!?」

 

 

俺はあることに気づいた。

 

 

 

 

 

「理子………ペンダントはどうした?」

 

 

 

 

 

俺は学校でペンダントを着けているのをみたことがある。だが理子のペンダントがなかった。ペンダントが取られるのはこの事件のあとのはず。

 

 

「な、何で知っているの………!?」

 

 

「いいから答えろ」

 

 

「………取られたの」

 

 

「………ブラドにか」

 

 

「……何でも知っているんだね」

 

 

理子は小さな声で言う。

 

 

「バスジャックの時にあれほどの大掛かりなことをしたにも関わらずアリアを倒すことが出来なかったから」

 

 

 

 

 

理子は涙を流す。

 

 

 

 

 

「取られ………ちゃった……!!」

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

俺は銃をポケットに直す。

 

 

「理子」

 

 

彼女の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がブラドから取り返してやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

理子は驚き、俺の顔を見た。

 

 

「む、無理だよ。ブラドは

 

 

「大丈夫だ」

 

 

理子の言葉に声を重ねる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がぶっ潰してやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 

俺は理子の手を掴みこちらに引っ張る。血だらけになった左手で触るのは流石にヤバイので右手で理子の手を引く。

 

 

「もう逃げるな。俺が助けてる」

 

 

優しい声音で理子に言う。理子は目を見開いて驚いていた。

 

 

「ほ、ホント?」

 

 

「ああ、俺はいつだって女の子の味方だ」

 

 

理子の言葉に俺は肯定する。

 

 

「当然、理子の味方でもあるからよ」

 

 

「大樹……」

 

 

 

 

 

ドゴオオオオォォォ!!!

 

 

 

 

 

「うおッ!?」

 

 

突然の出来事に俺は後ろに理子と倒れる。

 

 

「ミサイルだよ!!」

 

 

わ、忘れてた!!

 

 

「理子!」

 

 

俺は理子の顔を見て言う。

 

 

「とりあえず、この状況を何とかするぞ!」

 

 

理子は笑って答える。

 

 

 

 

 

「まかせて、だいちゃん!」

 

 

 

 

 

「その呼び方はやめてくれ」

 

 

母親を思い出します。母ちゃん、俺は元気でやっています。一回死んだけど。

 

 

________________________

 

 

 

「夾竹桃!!」

 

 

俺は廊下にいる夾竹桃に駆け寄り、話しかける。

 

 

「アリアの解毒剤をくれ!!」

 

 

「これよ」

 

 

「出さないってならちかr…………ってはやっ!!」

 

 

即答したうえに、もう俺の手には解毒剤らしきモノが!?

 

 

「お、おう。と、とりあえずこの状況をどうにかしたいからてつd「わかったわ」………そうか」

 

 

はえー。まじはえー。夾竹桃先輩かっくいー。

 

俺は夾竹桃の手錠を外した。

 

 

「二人は先に操縦室に行ってくれ!」

 

 

俺はアリアのいる部屋に急いで行く。

 

 

「アリア!!」

 

 

ドアを勢い良く開けて、俺はアリアの寝ているベッドまで駆けつける。

 

 

「解毒剤だ!」

 

 

解毒剤はドリンクみたいに飲むみたいだ。俺はアリアに飲ませる。

 

効果はすぐに現れた。

 

 

「……大……樹?」

 

 

「おう、俺だ」

 

 

「大樹!!」

 

 

「おごッ!?」

 

 

ガンッ!!

 

 

「うぐッ!?」

 

 

アリアに飛びつかれたのは死ぬほど嬉しい。だが、アリアの頭は見事に腹に強打。そして後ろの壁に頭を激突して死ぬほど痛い。

 

 

「大樹!ありがとう!」

 

 

「う、嬉しいのは俺もだが今は……」

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

 

 

 

『この飛行機は現在墜落中よ』

 

 

 

 

 

夾竹桃がアナウンスでとんでもないことを言い出した。

 

機内が一気に騒がしくなる。

 

 

「あ、あいつ!!」

 

 

「だ、大丈夫だアリア!!今は仲間だ!!」

 

 

「な、仲間!?あんた向こう側についたの!?」

 

 

「違げぇよ!!」

 

 

『早く帰って来てだいちゃん!!』

 

 

「その名前で呼ぶな!」

 

 

『じゃあア〇パンマンで』

 

 

「どこだ!盗聴器はどこだ!!」

 

 

何で俺の言葉に返せた!

 

 

『違う違う。あーそこそこ。もう!椅子の下だよ!』

 

 

「キリがねええェェ!!」

 

 

盗撮までしてたよ!

 

 

________________________

 

 

「というわけだ。こいつら仲間。OK?」

 

 

「なるほどね」

 

 

アリアに二人の説明をした。俺たちは操縦室にいる。

 

 

「でも逃がさないわよ」

 

 

「俺もそのつもりだから大丈夫だ」

 

 

アリアは操縦席に座っている二人に言う。

 

 

「ええ、好きにするといいわ」

 

 

「チッ、何でオルメスなんかに……」

 

 

二人は抵抗しないみたいだ。

 

 

「ねぇ」

 

 

夾竹桃は俺たちを呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着地するときの車輪が壊れているのだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「なッ!?」」

 

 

「………………」

 

 

アリアと理子は驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やべぇ、心当たりがありすぎる…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたたちがやったのでしょ!!」

 

 

「そんなことしてねぇよ!!」

 

 

アリアと理子が喧嘩し始めた。あー、やめてぇ。

 

 

「あ、あのな」

 

 

俺は……俺は……!

 

 

 

 

 

「さっきのミサイルで壊れたっぽいぞ!」

 

 

 

 

 

嘘を言った。

 

 

「「「ダウト」」」

 

 

ソッコーでばれた。今の一秒掛かったか?

 

 

「窓から飛行機の下の状況を見るのは不可能よ」

 

 

夾竹桃に論破された。

 

 

「ふッ」

 

 

俺は笑い、

 

 

 

 

 

「すんません多分俺が壊しましたごめんなさい」

 

 

 

 

 

俺のお仕置きが決定した。

 

 

________________________

 

 

 

「ぐすん」

 

 

俺は今正座をしている。

 

 

「なるほどね、だからだいちゃんを発見できなかったのか」

 

 

「だからだいちゃnなんでもありません」

 

 

銃をこっちに向けたアリアが………怖いです。

 

 

「ねぇだいちゃん」

 

 

「はいなんでございますか」

 

 

もうこれ以上は体が持たないッス。

 

 

「武藤君に連絡取れる?」

 

 

「ああ、ちょっと待ってろ」

 

 

俺は武藤に電話する。

 

 

『もーしーもーしー?』

 

 

 

 

 

美琴の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

「…………すいませんまじで間違えました」

 

 

み、美琴!?何で!?

 

 

『あんた、あたしには掛けてこないで……』

 

 

「そ、それには深いわけが!?」

 

 

『………心配、した…んだからぁ…』

 

 

美琴が泣き出した。

 

 

「ちょッ!?ご、ごめん!まじでごめん!!」

 

 

ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!

 

 

俺は床に向かって何度も土下座をする。

 

 

「こ、この埋め合わせは絶対する!!何でもする!!」

 

 

『……何でも?』

 

 

「何でも!!だから許してくれ!!」

 

 

『………分かった。代わるね』

 

 

ホッ

 

 

『もしもし、武藤だ』

 

 

「轢いてやる」

 

 

『ええ!?』

 

 

おっと、やつあたりしちゃったぜ☆

 

 

『ってそんなことより神崎さんが大変だぞ!!』

 

 

「アリアなら隣にいる」

 

 

『そうか…………はぁ!?』

 

 

「実はかくかくしかじかなんだ」

 

 

『分かるか!!』

 

 

便利じゃない世の中だな。

 

 

「飛行機、ハイジャック、なんとか操縦権利ゲット、だけどミサイル飛んできた、ヘルプミー。OK?」

 

 

『何でだろう………大体分かった』

 

 

まじかよ……。

 

 

『ミサイルはどこを破壊した?』

 

 

「翼についてる内側のエンジンを二基をやられた」

 

 

『良い報告をしよう。その飛行機は最新モデルだ。内側のエンジンが破壊されても問題なく飛べる』

 

 

「じゃあ俺から悪い報告だ。こいつ、燃料漏れしてるぞ」

 

 

『なッ!?』

 

 

「そして車輪も壊れた」

 

「壊したのはあんただけどね」

 

 

心の底からごめんなさい。

 

 

『最悪な状況だな。とりあえず、羽田空港に緊急着陸してくれ。俺は羽田空港に連絡をする』

 

 

「いや、そいつは無理だ。羽田空港に緊急着陸はできない」

 

 

『……なんだと?』

 

 

「防衛なんちゃら大臣からの許可がおりないようになってる」

 

 

『チッ』

 

 

武藤は舌打ちをして、違う電話機で電話をし始めた。無駄なのに。

 

 

『大樹?』

 

 

「おお、遠山か」

 

 

武藤の代わりで遠山が電話に出た。

 

 

『大丈夫なのか?』

 

 

「正直わからん。主に俺のせいで」

 

 

『……………』

 

 

車輪を壊したのは駄目だったな。いやわざとじゃないよ?

 

「………神崎・H・アリア」

 

 

夾竹桃がアリアを呼ぶ。

 

 

「私、操縦とかできないのだけれど」

 

 

「「なぜ座った!!」」

 

 

あれ?でも車輪の壊れているかどうか分かるから……あれ?

 

 

「それじゃあ、お願いね」

 

 

夾竹桃とアリアが席を代わる。

 

 

「大樹」

 

 

「ん?」

 

 

夾竹桃が俺に何かを差し出した。

 

 

「これ使って」

 

 

「何これ?」

 

 

「毒よ」

 

 

「おい!」

 

 

「消毒液」

 

 

「あ、なるほど」

 

 

左手の怪我に塗るのか。

 

 

「サンキュー、助かるぜ」

 

 

俺はビンに入った茶色い液体を左手につける。

 

 

「ッ!!」

 

 

いっっっっっったい!!

 

 

「大丈夫?」

 

 

「あ、ああ何とか………!?」

 

 

俺は驚愕した。なんと左手の怪我が

 

 

「治ってる!!」

 

 

傷痕も無く、治っていた。元通りと言っても過言ではない。

 

 

「これも毒なのか?」

 

 

「そうよ、特殊な毒よ」

 

 

これを毒と言って良いのだろうか。いや言っていいわけがない。これ反語な。テストに出るぞー。

 

 

「……………ねぇ」

 

 

「うん?」

 

 

「何であの時助けたの?」

 

 

夾竹桃が俺に質問する。

 

 

「人助けが俺の仕事だからだ」

 

 

「………へぇ」

 

 

な、なんだその目は。や、やるのかコラァ!!

 

 

「面白いわね、あなた」

 

 

「よく言われる」

 

 

顔とか、顔とか、顔の事とか。くそッ、イケメンになりたかった。

 

 

『………大樹、忘れていないか?』

 

 

遠山の声が下に置いている携帯電話から聞こえる。うん。忘れてた。

 

 

『大樹の言うとおり羽田空港は使えなかった』

 

 

「そうだな」

 

 

『でも今、自衛隊が安全な場所に案内してくれるらしい』

 

 

俺は窓の外を見る。窓の外には戦闘機が一機が並んで飛んでいる。

 

 

「理子、アリア。誘導を無視しろ」

 

 

『おい、大樹!!』

 

 

「撃ち落とされるぞ」

 

 

『「「「なッ!?」」」』

 

 

アリア、理子、夾竹桃。そして、電話越しの人たちも驚くのが分かった。

 

 

『どういうことだ!?』

 

 

遠山が大声をあげる。

 

 

「簡単なことだ。政府は俺たちを見捨てたのさ」

 

 

『!?』

 

 

俺は隣に並んで飛んでいるジェット機を睨む。

 

 

「どこの世界に行っても政府はクズだな」

 

 

『おいッ!?もう時間が無いぞ!!どうやって着陸する!!』

 

 

俺は目を瞑り、思考する。

 

 

(車輪がでない状態での着陸は駄目だ)

 

 

機体がバラバラになる。

 

 

(コンクリートじゃない場所………)

 

 

いや、無理だ。あったとしてもほとんど使えない。

 

 

(大きな浜辺は無い)

 

 

いや、その前に着陸する時の距離が足りない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(距離が…………足りない…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これしかない」

 

 

俺は皆に向かって言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水面着陸」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『な、何考えているんだ!?』

 

 

携帯電話から武藤の声がする。

 

 

「車輪が出ない状況でコンクリートに着陸するのは危険だ。だが水面なら問題ない」

 

 

『おおありに決まってるだろ!!』

 

 

武藤は叫ぶ。

 

 

『水面着陸の成功確率は低いんだぞ!?経験が全くない初心者ができるわけがない!?』

 

 

「だったら今からできるようになる」

 

 

『は?』

 

 

「理子、できるだけ多くの空港と通信を取ってくれ」

 

 

「まかせてー」

 

 

『な、何する気だ』

 

 

「繋いだよ、だいちゃん」

 

 

「よし、そいつらに水面着陸方法を一度に言わせろ」

 

 

『一度に!?お前、聖徳太子じゃないんだぞ!!』

 

 

「できる。10人…………いや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「50でも構わない。言わせろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「「「はああああァァァ!?」」」』

 

 

「やかましいぞ」

 

 

『50ってお前ッ!?本気で言っているのか!?』

 

 

「余裕」

 

 

完全記憶能力を使えばな。どうも、(スーパー)聖徳太子です。何この名前。全然かっこよくない……。

 

 

「よし、それじゃあ通信を繋げ」

 

 

俺はヘッドフォンを着け、聞こえてくる声を聞いた。

 

 

________________________

 

 

 

「………………ふぅ」

 

 

俺はヘッドフォンを外す。

 

終わった。前半の方はほとんどが「水面着陸とかバカじゃねぇの?」みたいなことを言われた。うるせぇよ……。

 

だが後半はしっかりと熱烈に教えてくれた。

 

 

「理子、バトンタッチだ」

 

 

俺は理子と席を代わる。

 

 

「武藤、お願いがある」

 

 

『何だ』

 

 

「着陸したときにすぐに救助できるように手配してくれ」

 

 

『……あーもう分かったよ!絶対にしくじるなよ!!』

 

 

通話が切られる。

 

 

「あー、あー、お客様。今から当機は緊急着陸をする。激しい揺れが襲いかかるのでご注意ください」

 

 

俺は機内全体にアナウンスを流す。

 

 

「それじゃあ………やるぞ」

 

 

俺の言葉にアリア、理子、夾竹桃の三人はうなずいた。

 

 

________________________

 

 

 

着陸地点である海が見えてきた。

 

 

「水面着陸する……!!」

 

 

俺は全神経を集中させる。

 

飛行機は徐々に水面に近づく。

 

 

(海は着地地点じゃない)

 

 

ザバアアアアァァァ!!

 

 

水面に機体が接触した。

 

 

(海は機体のスピードを落とすための過程に過ぎない)

 

 

飛行機の飛行スピードが徐々に落ちていく。

 

水面に着地しても沈んだら終わり。なら水面に着地したあとどこで止まるかが重要だ。

 

 

(機体を止める役割は………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前方に海辺の砂浜が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(砂浜だ!! )

 

 

ガタガタガンッ!!!

 

 

「きゃッ!?」

 

 

アリアが小さな悲鳴をあげる。

 

機体が大きく揺れた。今壊れても全くおかしくない揺れだ。

 

 

ドシャアアァァァ!!!

 

 

機体はそのまま浜辺に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「止まりやがれえええええェェェ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機体は砂浜の上にのり、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………は、はは」

 

 

止まった。本当に止まった。機体はしっかりと海の上ではなく、砂浜に着陸した。

 

 

「やったぜ………」

 

 

俺以外の三人は気を失っている。怪我は無いみたいだ。

 

 

「帰ってきたか………日本に」

 

 

俺は力なく笑う。変な形で帰って来たぞ日本。笑えよ。

 

外では騒がしい声がする。きっと武藤たちだ。助けに来てくれたのだろう。

 

俺は力一杯叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちはここにいる!!全員無事だ!!」

 

 




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