どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


空と地上の決戦 ~絶対零度編~

【キンジ視点】

 

 

「遠山キンジ、御坂 美琴か」

 

 

ジャンヌは二人の名前を言う。

 

 

「あんた、一体何者?」

 

 

美琴はジャンヌに問う。

 

 

「ジャンヌ・ダルク」

 

 

ジャンヌはサファイアの瞳を細めて誇らしく言う。

 

 

 

 

 

「ジャンヌ・ダルク30世だ」

 

 

 

 

 

「「……………」」

 

 

「し、知らないのか!?」

 

 

美琴とキンジは顔を合わせる。

 

 

「知ってる?」

 

 

「いや、知らないな…」

 

 

「ぐッ!」

 

 

ジャンヌは不機嫌になる。

 

 

「ふんッ、まぁいい。どうせお前たちはここで終わりだ」

 

 

ジャンヌは手に持った剣を構える。

 

 

「この聖剣デュランダルに切れないモノは無いッ!」

 

 

ジャンヌは二人に飛びかかる。

 

 

ズキュンッ! !

 

 

キンジはジャンヌに向かって撃つ。しかし、

 

 

ガキンッ!!

 

 

「なッ!?」

 

 

ジャンヌは剣を盾にしながら突き進み、弾を弾いた。

 

 

「くッ!」

 

 

キンジは剣が降り下ろされる前に後ろにさがろうとするが、

 

 

「逃がさん!」

 

 

「ッ!?」

 

 

足元が凍っていて動けなかった。

 

 

(しまった!?)

 

 

キンジに剣が降り下ろされる。

 

 

「させないわよッ!!」

 

 

バチバチッ!!

 

 

「ッ!!」

 

 

美琴は電撃を出して当てようとするが、ジャンヌは後ろに飛んで避ける。

 

 

「ッ!」

 

 

そのすきにキンジはナイフを取りだし、凍っていてる足元を砕く。

 

 

「貴様は超偵だったか」

 

 

超偵

 

武偵とは違い、超偵は超能力が使える者を言う。

 

先日、俺は美琴から能力者だと聞いた。

 

 

「ええ、そうよ」

 

 

美琴はジャンヌの言葉に肯定する。

 

 

私に続け(フォロー・ミー)、御坂 美琴。イ・ウーで役に立たせてやる」

 

 

「お断りよ、そんな組織」

 

 

美琴はジャンヌの誘いをバッサリっと断る。

 

 

「後悔するなよッ!!」

 

 

ジャンヌは美琴に剣を突き刺そうとする。

 

美琴は電撃を飛ばそうとする。だが、

 

 

 

 

 

「【オルレアンの氷花(Fleur de la glace d'Orleans)】」

 

 

 

 

 

「避けろッ!!」

 

 

ジャンヌの持っている剣から吹雪が吹き荒れる。キンジは危険を察知し、叫ぶ。

 

 

「くッ!!」

 

 

美琴は能力を使い大きく横に飛び逃げる。

 

 

カッ!!

 

 

剣の先から閃光弾を使ったような光が弾けた。

 

 

「「!?」」

 

 

二人は驚愕した。

 

 

 

 

 

さきほど、美琴の居た場所には大きな薔薇の氷が出来ていた。

 

 

 

 

 

「避けられたか」

 

 

ジャンヌは剣を構え直す。

 

 

(厄介な相手だ……)

 

 

キンジは心の中で思考させる。真正面から戦ってもダメだ。

 

 

(恐らく相手はまだ余裕だろう)

 

 

2対1。不利な状況をもろともしない。

 

 

「弱いな」

 

 

ジャンヌは俺たちに言う。

 

 

「私の目的は本来なら一人の超偵を拐ってくることだったのだが、こんな無駄な時間を過ごすくらいなら誘拐方法でも考えているほうが有意義だ」

 

 

拐う?

 

 

「一体誰を拐うつもりだ」

 

 

「特別に教えてやろう」

 

 

ジャンヌは笑みを浮かべて言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星伽(ほとぎ) 白雪(しらゆき)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なッ!?」

 

 

俺は耳を疑った。

 

 

「な、なんで白雪が!?」

 

 

星伽 白雪

 

彼女とは俺の幼なじみだ。しばらく会っていなかったが学校の入試の日に不良に襲われているのを助けた時に再会した。

 

今でも弁当や朝ごはんを作ってくれる。

 

そして彼女は星伽の巫女だ。だが普通の巫女では無い。

 

 

武装巫女だ。

 

 

星伽神社はその武装巫女が守っているのだ。

 

白雪は鬼道術という超能力があることは聞かされていた。

 

 

その白雪がなぜ狙われている。

 

 

「お前は彼女の素晴らしさを分かっていない」

 

 

ジャンヌは笑う。

 

 

「彼女は原石だ。あれを磨けば磨くほどより強力な超能力者(ステルス)になる」

 

 

「な、何を言っている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女をイ・ウーの騎士にする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるなッ!!」

 

 

俺は右手に持っている拳銃をジャンヌに撃つ。

 

 

ズキュンッ!!

 

 

「?」

 

 

ジャンヌは不思議そうな顔をした。

 

 

「ッ!?」

 

 

俺は驚いていた。

 

 

 

 

 

外したことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ヒステリアモードが切れたことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな……!?」

 

 

こんな大事な時に……。

 

拳銃を握った手が震える。

 

 

「これが終わったら私は彼女を誘拐する」

 

 

俺は……白雪を守れない……。

 

 

「さらばだ、遠山 キンジ」

 

 

ジャンヌは俺に剣を降り下ろした。

 

キンジはその攻撃を避けれない。

 

 

 

 

 

ガキュンッ!!

 

 

 

 

 

キンッ!!

 

 

「くッ」

 

 

ジャンヌは剣を降り下ろすのをやめて、飛んで来た弾を弾く。

 

 

「!?」

 

 

ジャンヌは驚愕する。

 

 

 

 

 

銃弾が飛んできた方向には誰も居なかった。

 

 

 

 

 

ガキュンッ!!

 

 

「なッ!?」

 

 

キンッ!!

 

 

次は後ろから飛んできた。ジャンヌはギリギリ剣で防ぐ。

 

 

「な、何が起きている!?」

 

 

ジャンヌは不可解な現象に焦る。また銃弾の飛んで来た方向に誰もいなかったからだ。

 

 

 

 

 

「諦めちゃダメよ」

 

 

 

 

 

俺の後ろには美琴がいた。

 

 

「キンジが諦めたら星伽さんはどうするの?」

 

 

「ッ!」

 

 

そうだ。ヒステリアモードが切れたくらいで何諦めてる。

 

 

バスジャックの時は無くても大丈夫だったじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……行くぞ、遠山 キンジ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美琴、まずはあの剣を破壊するぞ」

 

 

「どうやって?」

 

 

「俺が剣の動きを止める。美琴は電撃で剣を破壊してくれ」

 

 

「できるの?」

 

 

美琴は心配して聞く。

 

 

 

 

 

「やれるだけやってみる」

 

 

 

 

 

俺は拳銃を防弾制服の上着になおす。そして、上着を脱いだ。

 

上着の中に着ていたカッターシャツになった俺は美琴を見る

 

 

「!」

 

 

美琴が何かに気付いた。どうやら作戦が伝わったみたいだな。

 

俺は右手に上着だけ持ち、左手にナイフを持つ。

 

 

「何をしようと無駄だ」

 

 

ジャンヌは剣を再び構える。

 

 

「その自信を今から捻り潰してやる」

 

 

チャンスは一回だ。

 

 

ヒュンッ

 

 

俺はナイフを投げる。だが

 

 

「遅い」

 

 

避けられた。

 

 

俺はナイフを投げると同時にジャンヌに向かって走っていた。

 

 

バッ!

 

 

「ッ!?」

 

 

右手に持っていた上着をジャンヌの目の前に投げつけた。

 

 

「その程度で目眩ましになると思っているのか!」

 

 

ジャンヌは両手で持っていた剣のうち左手を放し、横になぎ払う。

 

上着は床に落ち、視界が見えるようになる。

 

 

「終わりだ!!」

 

 

ジャンヌは右手にもっている剣を降り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぐッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌの顔に床に落ちたはずの上着が襲ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美琴ッ!!」

 

 

俺はジャンヌが怯んでいるうちに剣を奪い取り、上に投げた。

 

 

「任せなさい!!」

 

 

チンッ

 

 

美琴は右手にあるコインを弾く。

 

 

ズキュウウウンッ!!!!

 

 

空気が悲鳴をあげたかのような音が響く。

 

 

 

 

 

美琴の右手から、超電磁砲が出た。

 

 

 

 

 

超電磁砲はキンジが投げた剣を砕き、そのまま空港の屋根を貫通する。

 

 

ガラランッ!!

 

 

刃が折れた剣が落ちてきた。

 

 

「私の………聖剣が………!?」

 

 

ジャンヌは目を疑うような光景を目の当たりにする。

 

 

「ッ!!」

 

 

ジャンヌは逃亡しようと後ろを向いて逃げようとする。

 

 

「なッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌの目の前にさっき投げられたキンジのナイフが空中で浮いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュンッ

 

 

「くッ!!」

 

 

空中に浮いたナイフは一瞬でジャンヌの首筋に当てられる。

 

 

「動かないで」

 

 

美琴は拳銃を構える。

 

 

「「ジャンヌ・ダルク、お前(あなた)を逮捕する(わ)」」

 

 

俺はジャンヌに手錠をかけた。

 

 

________________________

 

 

「何をした」

 

 

「え?」

 

 

大人しくなったジャンヌが美琴に話しかける。

 

 

「貴様の超能力が全く分からなかった」

 

 

ジャンヌは分からなかったことについて挙げていく。

 

 

弾がどこからもなく現れたこと。

 

床に落ちたはずの上着が顔に襲ってきたこと。

 

空中に浮いたナイフ。

 

 

「簡単なことよ」

 

 

美琴は自分の拳銃を床に落とすが、落ちなかった。

 

 

空中で止まっている。

 

 

「磁力を操作することで意のままに動せるの」

 

 

拳銃は美琴の回りをぐるぐる回る。

 

「ナイフのトリックは分かった。だが上着は鉄などついてないぞ」

 

 

俺はトリックを教えるために上着を手に取る。

 

 

「それは俺が細工したんだ」

 

 

俺は上着から、

 

 

 

 

 

拳銃を取り出す。

 

 

 

 

 

「ッ!!」

 

 

ジャンヌが思い出したような顔をする。

 

美琴は上着に入った拳銃を操ることで上着を浮かしたりすることができたというわけだ。

 

 

「なるほど、私はまんまと騙されたというわけか」

 

 

ジャンヌの顔には笑みがあった。

 

 

「最後のトリックも教えてくれ」

 

 

銃弾がどこからもなく現れるトリック。

 

 

「あたしが撃った弾を能力でただ操っただけよ」

 

 

美琴は拳銃を構えて発砲する。

 

 

ズキュンッ!!

 

 

だが

 

 

パキンッ!!

 

 

「ッ!?」

 

 

美琴の後ろの壁に弾が当たる。

 

 

「こんな感じでねッ」

 

 

美琴は拳銃をくるくる回す。

 

 

ジャンヌはため息を吐く。

 

 

「私はとんでもない奴と戦っていたのか」

 

 

「俺から見たら二人ともとんでもないぞ」

 

 

俺は思った通りのことを言う。

 

 

「これでも(グレード)は高い方なんだがな、貴様のGは何だ」

 

 

ジャンヌの問いに美琴は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「G27よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なッ!?」

 

 

ジャンヌの顔が青くなる。

 

 

「まぁGなんてどうでもいいわ」

 

 

美琴は自分が開けた穴を見る。

 

 

 

 

 

「大樹は大丈夫、よね」

 

 

 

 

 

小さな声で、そう呟いた。

 

 

 




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