どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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お待たせいたしました。 空っぽの頭をひねって、やっと続きを書くことができました。


それでは続きどうぞ。




空と地上の決戦 ~決戦前の舞台編~

新宿警察署の前には4人の人影があった。

 

 

「ここか……」

 

 

建物を見上げた大樹が呟く。

 

 

「ええ、行きましょ」

 

 

アリアがそう言って中に入る。俺と美琴と遠山はその後を追いかける。

 

俺たちはあのバスジャック事件の後、警察が到着した。武偵殺しの犯人が証拠を残していないか探偵科と鑑定科が調べたが何も出なかった。

 

 

 

 

 

俺は正体を知っているがまだ言わない。まだその時ではないから。

 

 

 

 

そのあとはキンジの家でご飯を食べていた(例のごとく俺が作った)時にアリアが、

 

 

「明後日、あたしのママに会ってみない?」

 

 

俺たちはびっくりした。だが、みんな行きたかったので4人で行くことにした。

 

 

神崎かなえ

 

 

アリアの母親で俺達が助け出す人だ。懲役864年の冤罪を着せられている人物。

 

俺達はその人に今から会う。

 

俺達四人は留置人面会室で待っていた。

 

アクリルの板越しに出てきた美人にアリア以外の三人は驚いた。

 

母親というより、年の離れたお姉さんの感じが強かった。

 

 

「まぁ………この方たちがアリアのお友達ね」

 

 

「ち、違うわよ、ママ」

 

 

「初めまして、アリアのとても仲の良い友達をやっています。御坂 美琴です!」

 

 

「ちょっと!?」

 

 

そんな事を言われたアリアは顔を赤くし、恥ずかしがる。ははは、ナイスだ美琴。

 

 

「同じく、アリアと超仲の良い友達の遠山 キンジです」

 

 

「や、やめなさい!」

 

 

よし、ここは俺も言わなくては。

 

 

 

 

 

「アリアの彼氏をしています。楢原 大樹です」

 

 

 

 

 

ガンッ!ゴンッ!

 

 

「ぐふッ!?」

 

 

アリアに蹴りをいれられ、美琴に殴られた。なんでッ!?

 

 

「な、ななな何言ってるのよ!バカ!!風穴開けるわよ!?」

 

 

おかしい。遠山と反応が全然違う。

 

 

「ふんッ」

 

 

美琴は何で不機嫌なの?もうわからないよ、しくしく。

 

 

「みなさん、初めまして。わたし、アリアの母で神崎かなえと申します。娘がお世話になってるみたいですね」

 

 

「あ、いえ……」

 

 

遠山は緊張しすぎだろ。ああいうタイプが弱いのか?

 

 

「ママ。面会の時間が少ないから手短に話すね。キンジは武偵殺しの三人目の被害者なの。武偵高で自転車に爆弾を仕掛けられたの」

 

 

アリアは早口で言っていく。かなえさんの表情が固くなる。

 

 

「さらにもう一件、一昨日はバスジャック事件が起きてる。奴の活動は急激に活発になってきているのよ。てことはもうすぐ尻尾を出すはずだわ。だからあたし、狙い通りまずは武偵殺しを捕まえる」

 

 

アリアは席を立ち上がる。

 

 

「奴の件だけでも無実を証明すればママの懲役864年が一気に742年まで減刑されるわ」

 

 

一人捕まえても、あと700年以上もあるのか。

 

 

「最高裁までの間に、他も絶対、全部なんとかするから」

 

 

アリアは手に力を込める。

 

 

「そして、ママをスケープゴートにしたイ・ウーの連中を全員ここにぶち込んでやるわ」

 

 

アリアの顔には怒りが現れていた。

 

 

「アリア。気持ちは嬉しいけどイ・ウーに挑むのは早いわ。それよりもパートナーは見つかったの?」

 

 

「そ、それは……」

 

 

アリアは俺の顔を見る。ん?俺?

 

 

「………いるわ。ここに」

 

 

「へ?」

 

 

アリアは俺に向かって指をさす。俺は予想外すぎてアホみたな声を出した。

 

 

「大樹ならあたしを助けてくれるわ。どんなときでも」

 

 

すっごい期待されちゃったよ。

 

 

「まぁ助けてやる約束したしな」

 

 

俺はこの三人は絶対に守る。

 

 

「大樹さん」

 

 

かなえさんが真剣な表情で俺の名前を呼ぶ。

 

 

「あなたはどれだけアリアを知っていますか?」

 

 

……………。

 

 

「さぁ?知りません」

 

 

「ッ!?」

 

 

アリアは俺の顔を見る。

 

 

「初めて会ってからそこまで日にちは経っていませんし」

 

 

「だ、大樹」

 

 

美琴が俺の名前を呼んで止めようとする。だけど、俺は続ける。

 

 

「遊んだのも数回ですし、パートナーとは言えません」

 

 

アリアが落ち込んでいるのが横目で見て分かる。

 

遠山は俺を睨んでいる。

 

 

「ですが」

 

 

俺はかなえさんを見て言う。

 

 

 

 

 

「俺にとって大切な人たちの中の一人です」

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 

アリアが俺の顔を見ている。

 

 

「アリアを全く知らないわけではありません。知っていることとすれば」

 

 

俺は笑顔で言う。

 

 

 

 

 

「アリアは母親が大好きな優しくて強い女の子です」

 

 

 

 

 

「大樹……」

 

 

頬を赤くしたアリアが俺の名前を呟いた。

 

 

「美琴と遠山だってアリアのことをそう思っていますよ」

 

 

美琴と遠山の方を見ると、二人も笑みを浮かべていた。

 

 

「そう………」

 

 

かなえさんも優しい笑みを見せた。

 

 

「アリア。とてもいい人達に恵まれたわね」

 

 

「ありがとう、ママ」

 

 

かなえさんは俺の方を向く。

 

 

「アリアをよろしくお願いします」

 

 

「はい、必ず守ります」

 

 

美琴と遠山もうなずく。

 

 

「時間だ神崎!」

 

 

「あ……!」

 

 

後ろにいた二人の管理官が羽交い締めにするような形で引っ張る。

 

 

「やめろッ!ママに乱暴するな!」

 

 

アリアの呼び掛けに応じない管理官。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピシッ!

 

 

「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

その場にいた大樹以外の人が驚愕した。大樹は手をアクリルの上に置いてあるだけでヒビが入った。

 

 

「その人にこれ以上乱暴に扱ってみろ」

 

 

俺は低い声で言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次は許さねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ひッ!?」」

 

 

俺は管理官に殺意を向ける。

 

管理官はかなえさんを急いで放す。

 

 

「ありがとう、大樹さん」

 

 

「………いえ」

 

 

かなえさんは乱暴にされず部屋を退室した。

 

 

………お礼を言われた。

 

 

てっきり怖がらせたと思ったのに違った。

 

 

「大樹」

 

 

アリアは俺の名前を呼び、

 

 

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

アリアにもお礼を言われた。

 

 

「お前ら………俺、怖くなかったか?」

 

 

「そんなわけないだろ」

 

 

遠山は俺の言葉を否定する。

 

 

「ああでもしてくれないと能力使ってたわ。よくやったわね」

 

 

美琴は上から目線で俺を誉める。

 

 

「…………そうか」

 

 

アリアだけじゃなく、俺も大切な人に恵まれてるな。

 

 

________________________

 

 

 

 

「嫌な天気だな」

 

 

俺は空を見上げ呟いた。

 

あれから数日の時がすぎた。

 

 

(そういえば今日、アリア休みだったな)

 

 

今日の俺の隣は空席だった。

 

 

(何でだろう………嫌な予感がする)

 

 

俺は学校のベンチから立ち上がる。と同時にポケットに入れた携帯電話が鳴った。

 

 

「もしもし」

 

 

『大樹、大変だ』

 

 

電話の相手は遠山だった。

 

 

「どうした?」

 

 

『アリアが危ない』

 

 

「ッ!?」

 

 

その言葉に全てを察した。しまった!今日だったか!

 

 

「場所はッ!?」

 

 

『羽田空港だ』

 

 

「分かった、すぐ行く。お前も早くアリアと合流しろ!」

 

 

『わかった』

 

 

俺は電源を切り、音速のスピードで走りだした。

 

 

________________________

 

 

 

「な、なんだよこれ……」

 

 

俺は羽田空港に着いた。だが、

 

 

 

 

 

「何で凍ってるんだよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空港の中は氷で覆われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が楢原 大樹か」

 

 

「!?」

 

 

奥から声が聞こえて振り返る。

 

 

 

 

 

魔剣(デュランダル)……!?」

 

 

 

 

 

ジャンヌ・ダルクがいた。

 

 

 

 

 

 

銀髪を2本の三つ編みにし、つむじの辺りで結ったストレートロングヘアの髪形。綺麗な蒼色。サファイアのような瞳。

 

西洋な甲冑を身に纏い、剣を握っていた。

 

 

「ほう、私を知っているのか」

 

 

おかしい。ジャンヌの出番は早すぎる。

 

 

「何でここに居る」

 

 

「足止めだ」

 

 

「………まさか!?」

 

 

俺の質問に答えるジャンヌ。その答えに少し思考して結論を出す。

 

 

 

 

 

「確実にアリアを殺す気か…!!」

 

 

 

 

 

「お前はかなりの実力者と聞いた。彼女ではかなわない敵らしいからな」

 

 

彼女。それは武偵殺しのことだ。

 

 

ひゅッ

 

 

「ッ!」

 

 

ジャンヌは俺の足元に向かってナイフを飛ばすが、俺は後ろに飛んで避ける。だが

 

 

「なッ!?」

 

 

ナイフの刃から床が凍りだす。そして、俺の着地する場所まで凍った。

 

 

(ヤバいッ!)

 

 

凍りついてる床に触れた瞬間に体を凍らせられる。そう思った瞬間。

 

 

 

 

 

「大樹!!」

 

 

 

 

 

バチバチッ!!

 

 

「美琴!?」

 

 

美琴は電撃を床に飛ばし、氷を砕いた。

 

 

「何でここに!?」

 

 

「俺が呼んだ」

 

 

ガキュンッ!

 

 

遠山の声が聞こえたかと思うと、遠山は拳銃を持ってジャンヌに向かって撃つ。

 

 

「くッ」

 

 

ジャンヌは剣を盾にして銃弾を防ぎ、弾いた。

 

 

「大樹、アリアを助けに行ってくれ」

 

 

「だ、だけど」

 

 

「大丈夫よ、ここは私たちが何とかする」

 

 

美琴は俺を見て言う。

 

 

「武偵憲章第1条」

 

 

「ッ!」

 

 

ったく。ズルいなお前らは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「仲間を信じ、仲間を助けよ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人の声が重なった。

 

 

「頼んだ!!」

 

 

俺は走りだした。

 

 

「逃がすか!」

 

 

ジャンヌは俺に向かって剣を振るおうと飛び出すが、

 

 

「させないッ」

 

 

バチバチッ!

 

 

美琴は電撃を飛ばし、ジャンヌの進行方向を妨げる。

 

ジャンヌは急いで後ろに飛んで回避する。その隙に俺は空港の中へと走って行った。

 

 

「君の相手は俺たちだ」

 

 

遠山は銃を構える。美琴も電撃を身に纏わせて構える。

 

 

 

 

 

「「ここから先は行かせない」」

 




明日から再びしっかりと毎日投稿しますのでよろしくお願いします。


感想や評価をくれると嬉しいです。

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