どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


強襲科最強の4人

ざわざわっ

 

 

「「はぁ…」」

 

 

大樹とキンジはもう何度目になるか分からないため息を同時に吐く。

 

強襲科でたくさんの人から見られたり、ひそひそと話されたりされているからだ。

 

理由は簡単。

 

大樹はAランク武偵を倒し、悪徳教官までボコボコにした少年。しかも武器無しで。

 

キンジは入試でSランクを取った人物。最強の一年として有名になった人物だ。

 

強襲科の全員がそんな有名人たちを放っておくわけがない。

 

 

「居心地悪すぎるだろ、ここ」

 

 

「全くだ。はやく帰りたい」

 

 

大樹とキンジは愚痴る。多分、今の俺たちは目が腐っていると思う。

 

 

「………帰ってきたみたいだぞ」

 

 

大樹は後ろを見て言う。

 

そこには美琴とアリアがいた。

 

 

「本当にやるのか?」

 

 

キンジは面倒くさそうな声で言う。

 

 

「当たり前よ。一度決めたことはやるの」

 

 

アリアの返答にキンジは嫌そうな顔をした。

 

そう今から特訓をするのだ。

 

 

「それじゃあ始めるか」

 

 

俺は低い声で告げる。

 

 

「覚悟は………いいよな?」

 

 

コクッ

 

 

美琴とアリアはうなずく。キンジはあまり乗るきではなさそうが、一応うなずいた。

 

 

ざわざわっ

 

 

強襲科の人が騒ぎだす。一体何が始まるのか緊張感が伝わる。

 

俺は手元に持ってる缶コーヒーを飲み切る。

 

 

「これで準備は整った」

 

 

大樹の目は真剣だった。

 

 

「ルールは無用だ。とにかく倒せ。倒して、倒して、倒しまくるんだ!」

 

 

その言葉を聞いた強襲科たちはざわつきだす。

 

 

「おい、これって不味いんじゃないのか?」

 

「模擬戦闘でもこれはやばいだろ」

 

「誰か先生呼んでこいよ」

 

 

ざわざわッ

 

 

「うるせぇ、外野は黙ってろ」

 

 

大樹の一言で周りは静かになる。

 

 

「これは真剣勝負なんだよ、邪魔するんじゃねぇ」

 

 

そして、大樹は缶コーヒーは床に置く。

 

 

「さぁ!始めようぜ!」

 

 

大樹は笑みをうかべて言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「缶蹴りをッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

「いくぞッ!!最初はグー!ジャンケン」

 

 

大樹たちは右手を振りかぶって、

 

 

「「「「ポンッ!!」」」」

 

 

大樹 チョキ

 

美琴 チョキ

 

キンジ パー

 

アリア チョキ

 

 

「げッ!?」

 

 

キンジは嫌そうな顔をする。綺麗に一発で決まったな。

 

 

「時間は一時間!!罰ゲーム内容は缶を多く蹴った人が決めることができる!」

 

 

大樹がルール説明をする。

 

 

「範囲は半径700メートルだ!それじゃあ」

 

 

大樹は右足を大きく振りかぶり、

 

 

「ゲームスタートだああああァァァ!!!」

 

 

カァアアアアアアンッ!!!

 

 

缶を蹴り飛ばす。缶はもの凄いスピードで飛んでいく。

 

それと同時に美琴とアリア、そして俺は逃げ出す。

 

 

「なッ!?」

 

 

キンジは大樹が蹴った缶が予想外な距離まで飛ばされたことに驚く。

 

しかし、キンジは急いで走って缶を回収しに行った。意外と勝負ごとにマジで取り組む子かもな。

 

こうして地獄の缶蹴りゲームが始まった。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

強襲科の人たちは開いた口が塞がらなかった。

 

 

________________________

 

 

 

「タイムアップッ!!!」

 

 

「「やったぁ!!」」

 

 

「ふぅ、負けたよ」

 

 

勝負はキンジが負けた。いや正直危なかった。

 

キンジは試合の前半はもうボッコボコにやられていたが、

 

 

「あ、キーくんだ!!」

 

 

理子が来て、

 

 

「おわッ!?」

 

 

理子が転けた。何かわざとらしいような気がしたが……まぁいい。

 

そして………もうお分かり頂けただろう。

 

 

「ッ!?」

 

 

理子の胸がキンジの顔に直撃した。うらやましい。

 

そこからキンジは強かった。

 

そういえばまだキンジの能力説明していなかったな。

 

    

ヒステリア(Histeria)サヴァン(Savant)シンドローム(Syndrome)

 

 

通称HSS。

 

遠山は【ヒステリアモード】と呼んでいる。

 

まぁ理論説明は長いから簡単に言うと、

 

 

 

 

 

性的に興奮するとスーパーモードになるんだ。

 

 

 

 

 

悪いな遠山。説明するのが難しかった。ヒステリアモードになると論理的思考力、判断力、反射神経などが飛躍的に向上する。

 

あと、ヒステリアモードになったら不思議な心理状態になるらしい。

 

ひとつは女の子を何がなんでも守りたくなってしまうこと。女の子から「助けて!」って助けてを求められたら求められるままに戦ってやりたくなってしまうとか。なんだこの紳士。絶対モテるな。

 

そしてもうひとつは、

 

 

「大丈夫かい二人のお嬢さん?」

 

 

「え、えぇ…」

 

 

「も、問題ないわ」

 

 

キンジの言葉に驚く美琴とアリア。

 

 

そう、もうひとつは女子に対してキザな言動を取ってしまうこと。誰だお前。

 

 

ヒステリアモードの時の遠山は女子に優しく接するわ、誉めるわ、慰めるわ、あげくの果てにさりげなく触るらしい。ちょっと最後は聞き逃せない。ちょっと署まで来てもらおうか。

 

ヒステリアモードがどれだけ凄いかというと、

 

美琴のチート技である電撃で缶を飛ばす攻撃なんか缶に当たる前に遠山が缶を踏んでいた時はびびった。

 

俺が音速のスピードで缶を蹴ろうとしたら遠山は銃で缶を撃ち、俺からの蹴りを回避させたりされた。

 

 

もう人間離れしているのだ。ざまぁwww。俺と同類オメデトウ。ヨロシクネ。

 

 

「そ、それじゃあ、罰ゲーム行こうかぁ」

 

 

肩で息をする俺。一時間ずっと集中してたし、ずっと走っていた。もう俺のライフ0。

 

 

「強襲科の奴ら全員に喧嘩売ってこい」

 

 

「おいそれはヤバいだろ」

 

 

あ、戻ってる。よう、通常モードのキンジ。

 

 

「じゃあ二学年全員に喧嘩売ってこい」

 

 

「悪化したぞッ!?」

 

 

「ったく、文句ばっか言いやがって」

 

 

「今の俺が悪いのか?……もっと別のことにしてくれ」

 

 

「スカートめくり30連続行ってみようか」

 

 

「ぶっ飛ばすぞ」

 

 

怒るなよ、冗談だよ。

 

 

「嘘だ、10連続だ」

 

 

「本当に勘弁してくれ」

 

 

頭下げられちゃったよ……。仕方ない。

 

 

「じゃあ強襲科の担当の先生に好きですって言う」

 

 

「死ねと?」

 

 

「……………」

 

 

「え?嘘だよな?嘘だと言ってくれよ?」

 

 

キンジは大樹の胸ぐらを掴む。焦り過ぎだ。服が伸びるだろ。

 

 

「じゃあもうこれにするか」

 

 

「?」

 

 

俺は長い白のハチマキみたいなものを取り出す。

 

 

 

 

 

「ゴムパッチン」

 

 

 

 

 

「「「「「うわぁ……」」」」」

 

 

美琴とアリアどころか強襲科全員が声を上げた。

 

ゴムパッチン。それはお笑い芸人がよくやるやつだ。片方のゴムを口で加えて反対から引っ張り、放すあれだ。

 

 

「おいッ!?長すぎるだろ、それ!!」

 

 

3メートルはある。だがもう遅い。

 

 

「確保ッ!!」

 

 

バッ!

 

 

強襲科の人たちがキンジを抑える。

 

 

「あばよ、遠山」

 

 

大樹はキンジの口に無理やりゴムを噛ませる。

 

 

そして伸ばす。伸ばす、伸ばす。

 

 

「ッ!!」

 

 

あまりの長さに、何人もの人たちが目をそらす。

 

 

 

 

「また来世で会おう」

 

 

 

 

 

俺はゴムを放した。

 

 

________________________

 

 

 

「いてぇ…」

 

 

真っ赤になった顔をしているキンジは呟く。

 

 

「超楽しかった」

 

 

「超痛かった」

 

 

それぞれ違う感想を述べる大樹とキンジ。

 

俺達4人は家に帰宅していた。

 

 

「今日の飯は何にしようかな」

 

 

俺は今日の夕飯について思考する。

 

 

「大樹、料理できるの?」

 

 

「人並みには」

 

 

「あの味で人並みなの……!」

 

 

アリアの質問に答える俺。美琴は何か言っていたが聞こえなかった。

 

 

「キンジとは大違いね」

 

 

「悪かったな、料理できなくて」

 

 

キンジは全く罪悪感の無い謝罪をする。

 

 

「ふむ、今日はあれが届くな」

 

 

昨日注文しておいたんだよねー。

 

 

「何が?」

 

 

そういえば美琴にも言ってなかったな。

 

 

 

 

 

「超高級なカニとももまん」

 

 

 

 

 

「「「………ごくりッ」」」

 

 

どんだけ食べたいんだよ……。ちなみにももまんは前から興味があったので注文しておいたんだ。カニは俺が好きだからだ。金はこういう時に使うんだ。

 

 

「あー、アリアと遠山も食べに来るか?」

 

 

「「行く」」

 

 

即答かよ。

 

俺たちはカニの話をしながら帰っていた。どう調理するかの話だけど。

 

その時、アリアが急に立ち止まった。

 

 

「どうかしたか?」

 

 

キンジがアリアに声をかける。

 

 

「ここって何?」

 

 

「ゲームセンターだろ、そんなことも知らないのか?」

 

 

「帰国子女なんだからしょうがないじゃない」

 

 

そんな会話をする二人に美琴が提案する。

 

 

「まだ時間もあるし入ってみない?」

 

 

「そうだな」

 

 

俺はその提案に賛成する。

 

 

「二人も入るよな?」

 

 

アリアとキンジは大樹の言葉にうなずいた。

 

 

「んじゃあ、遊ぼうか」

 

 

俺たちはゲームセンターの中に入った。

 

 

________________________

 

 

 

中に入ると耳が痛くなるような音がドワッと襲ってきた。

 

 

「うるさい場所ね」

 

 

アリアが店に入って言った感想の一言でございます。イメージアップしなくては……!

 

 

「ねぇ、何これ」

 

 

アリアは近くにあった機会に指をさす。

 

 

「UFOキャッチャーだ」

 

 

「UFOキャッチ?」

 

 

キンジが名前を教えるが、アリアにはよく分かっていないみたいだ。

 

 

「なんかコドモっぽい名前ね」

 

 

僕の名前はU・FO・キャッチャーだよ!あ、子供の名前じゃない、子供っぽい名前ですね。間違えました。

 

アリアは箱の中にある縫いぐるみを見る。

 

 

「ッ!?」

 

 

アリアの視線が釘付けになる。

 

 

「ど、どうしたの?」

 

 

美琴が心配して話かける。

 

 

 

 

 

「……かわいー……」

 

 

 

 

 

ズコッ

 

 

美琴とキンジは転けた。

 

アリアは箱の窓に張り付いて縫いぐるみをずっと見ている。ってアリアの顔、頬がめっちゃ緩んでいますよ。あと可愛い。

 

 

「ほしいの?」

 

 

コクコクッ

 

 

美琴の言葉に上下にうなずくアリア。

 

 

「ならこの美琴様にまかせなさいッ」

 

 

っと言って美琴は百円を入れると、箱から音楽が流れ出した。

 

美琴はボタンを押して、アームを右に移動。次に奥に移動させて

 

 

「ここよッ!」

 

 

アームが縫いぐるみに向かって落ちていき、耳を掴む。

 

そして引っ張りあげる。

 

ここで縫いぐるみの説明をしよう。縫いぐるみの名前はレオポンという猫みたいな小さな縫いぐるみだ。

 

美琴がとっているのは携帯などに付けれるチェーンがついたストラップ型の縫いぐるみだ。

 

チェーンの穴の大きさはあまり大きくない。アームでこの穴を狙うのは難しいだろう。だから美琴は耳を狙ったのだ。

 

だがこのチェーンが奇跡を起こすきっかけとなる。

 

 

一匹のレオポンがどんどん上に上がっていく。

 

 

「「「おお」」」

 

 

美琴を除く三人が声をあげた。

 

取れそう。そう思った。

 

 

「あ」

 

 

アリアが声をあげる。

 

なんとレオポンについてるチェーンがもう一匹のレオポンの足に引っ掛かって二匹同時に上に上がっているのだ。

 

 

「おお、すごいな」

 

 

キンジは感心した。だが

 

 

「まだよ」

 

 

美琴の顔は真剣だった。

 

 

「「「!?」」」

 

 

三人は声を失った。

 

 

 

 

 

もう一匹のレオポンのチェーンに二匹のレオポンの足が絡まってた。

 

 

 

 

 

そしてそのままアームは帰ってきて、

 

 

ストンッ

 

 

四匹が穴に落ちた。

 

美琴は四匹の景品をもって一言。

 

 

 

 

 

「あたし、これ得意なんだ♪」

 

 

 

 

 

「得意ってレベルじゃねぇよ!?」

 

 

神業だった。神の領域に踏み込んでいた。

 

美琴の言葉にツッコミを入れる大樹であった。

 

 

その後、レオポンは一人一個ずつ渡され、みんな携帯電話につけた。

 

アリアは今日一番の笑顔で喜んでいた。

 

 

 

________________________

 

 

 

UFOキャッチャーのあとはキンジと格闘ゲームで対戦した。もちろん、罰ゲームつきで。

 

そして俺が勝った。ノーダメージで。ゲームは俺の十八番だ。舐めんな。

 

 

「んじゃあ二回目のゴムパッチン行こうか」

 

 

ゲームセンターで遊んでいた他の学生たちに協力してもらい、キンジに二回目のゴムパッチンをした。

 

 

「もう顔の感覚が無い」

 

 

再び真っ赤になった顔のキンジの感想だった。

 

 

「三回目をしたら治るかも?」

 

 

「頼むからもう止めてくれ」

 

 

えー、ゴムパッチンやりたいやりたーい。

 

 

「ねぇねぇ、あれは」

 

 

上機嫌のアリアはプリクラ機を指をさす。

 

 

「プリクラね」

 

 

「プリクラ?」

 

 

「あの中で写真を撮って、その写真に落書きできる機械よ」

 

 

美琴がアリアに説明する。

 

 

「なら四人で撮りましょ!」

 

 

アリアの提案に誰も異議を唱えない。

 

俺達はプリクラ機の中に入る。

 

プリクラ機にお金を入れるといろいろと指示が出された。俺達はそれに従うが、

 

 

「ど、どこにいればいいんだ?」

 

 

へいへい、遠山びびってるー。大丈夫、俺も少しびびってる。へ、変な顔にならないように気を付けないと……。

 

 

「大樹、笑顔がひきつってるよ…」

 

 

美琴に指摘される。すんません。

 

プリクラ機から「はい、チーズ」の合図が出され写真を撮る。

 

 

「それじゃあ、次は落書きね」

 

 

美琴が画面を操作する。

 

 

「なんでも書いていいの?」

 

 

「ええ、何でもいいわよ」

 

 

アリアの質問に答える美琴。アリアは画面に文字を書いていく。

 

 

「何でそれを書いた」

 

 

「いいじゃない、別になんでもいいんでしょ?」

 

 

「そうだが……」

 

 

アリアの書いた文字にキンジは微妙な顔をするが、

 

 

「まぁアリアがいいって言うならいいか」

 

 

納得した。頬が緩んでますよー。

 

プリクラは四等分に綺麗に分けられた。俺は携帯電話の裏に貼った。なんか今日だけで携帯電話がすごくなったな。

 

 

「そろそろ帰ろうぜ、帰りにスーパー寄っていかないと材料が無い」

 

 

カニとももまんだけでは健康に悪い。野菜を買いたい。

 

 

「そうね、帰りましょうか」

 

 

アリアが俺の言葉に賛成してくれた。

 

俺たちは再び帰り道を歩く。その時、俺は何度もプリクラを見ていた。

 

プリクラには何度も取り直しをしてやっと皆が笑顔で撮れたプリクラ。そこにはアリアらしい文がこう書かれていた。

 

 

 

 

 

仲間を信じ、仲間を助けよ。

 

 

 

 

 

俺はその文字を見てこう呟いた。

 

 

 

 

絶対にお前らを守ってやるよっと。

 

 




通算UAが10000越えました。

作品をたくさんの人が見てくれて本当に嬉しいです。


次回はとても長い話となっています。



感想や評価をくれると嬉しいです。

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