どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。




悪魔が笑う最恐試験

「失礼しました」

 

 

俺はドアを開けて部屋を出る。さきほどまで書類を書かされたが二枚ほど書いただけですんだ。

 

 

(アリアのおかげで助かったぜ)

 

 

事件についてはアリアがほとんど話してくれた。俺は確認するだけの簡単な質問をされるだけだった。

 

 

「あ、終わったのね」

 

 

廊下の壁に背を預けている美琴がいた。

 

 

「……………よくも裏切ってくれたな」

 

 

「今日お弁当作ったんだけど」

 

 

「許す」

 

 

「…………あいかわらず私に甘いわね、あんた」

 

 

やったぁ!!女の子の手作り弁当だぁ!!

 

 

「はやく行くわよ、先生が呼んでる」

 

 

ふふふ、弁当!弁当!手作り!

 

俺の頭のなかは弁当しか考えていなかった。

 

 

________________________

 

 

 

「はーい皆さん。二年生最初のHRをはじめますよー」

 

 

教室全体に教師の声が響く。先生の声で席をたっていた人は全員席につく。

 

 

「去年の3学期に転入してきた子と今日から編入してきた二人の子たちに自己紹介してもらっちゃいますよ」

 

 

先生の後ろには二人の少女と一人の少年がいた。

 

 

ざわざわっ

 

 

教室は一気にざわつく。

 

 

三人は黒板の前まで歩く。その瞬間、

 

 

 

 

 

誰も喋らなくなった。

 

 

 

 

 

「強襲科の神崎・H・アリアです」

 

 

アリアが自己紹介するが、誰1人見ていない。

 

 

「同じく、強襲科の御坂 美琴です。よろしくお願いします」

 

 

美琴も見られてない。

 

 

 

 

 

「強襲科のア◯パンマンです。みんなよろしく」

 

 

 

 

 

アンパンマ◯の顔をかぶっている少年。全員はその少年を見ていた。

 

服はこの高校の男子生徒の制服を着用していた。

 

 

「それじゃ新しい子に質問がある人は手をあげてくださーい」

 

 

バッ!!

 

 

キンジ以外の全員が手をあげた。

 

 

「そ、それじゃあ武藤(むとう)君」

 

 

「先生!なんでアンパ◯マンがいるんですか!?」

 

 

「「ぷッ」」

 

 

その質問に美琴とアリアは笑いだす。

 

 

「あぁ?それくらい自分で考えろよ」

 

 

「◯ンパンマン性格悪ッ!?」

 

 

「ったく仕方ない、説明してやるよ」

 

 

「あ、ありがとうございます?」

 

 

武藤はアンパンマ◯にお礼を言う。なぜ?

 

 

「俺はこの教室にくる前、美琴とアリアと一緒に職員室で待っていたんだ」

 

 

生徒は黙って話を聞く。

 

 

「職員室の後ろには例のアレがあった」

 

 

ゴクリッ

 

 

生徒は唾を飲む。

 

 

 

 

「そう……アン◯ンマンの顔が」

 

 

 

 

 

ズゴッ!!

 

 

教室にいた全員が転けた。

 

 

「そしたら美琴とアリアが俺にかぶせやがって」

 

 

アンパ◯マンは両手を広げる。

 

 

 

 

 

「取れなくなったのぉ………ぐすッ」

 

 

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

クラスの皆は可哀想な目で見ていた。

 

 

しかし、美琴とアリアは笑っていた。

 

 

 

________________________

 

 

スポンッ!

 

 

「や、やっと抜けたぁ……」

 

 

あー、苦しかった。

 

 

「改めてまして、強襲科の楢原 大樹です。助けてくれてありがとう」

 

 

クラスの皆に手伝ってもらい脱出に成功した。

 

 

「そ、それじゃあ席なんだけど」

 

 

「先生」

 

 

アリアは先生に声をかける。

 

 

「大樹とあいつの近くに座りたい」

 

 

おお、出ました!キンジが狙われ…………え?

 

 

「俺も!?」

 

 

ざわざわッ

 

 

「よかったなキンジ!何か知らんがお前にも春が来たみたいぞ!!」

 

 

俺は?俺には来ないの?遠山に負けるの?

 

 

「先生!俺、転入生さんと席代わりますよ!」

 

 

「あ、俺も代わるよ!」

 

 

キンジの横の2つの席が空く。

 

 

「それじゃあ遠山君の隣に神崎さん、その隣に楢原君が座る形でいいかな?」

 

 

「ダメだ!!」

 

 

俺の反論にクラスの皆が俺に視線を移す。

 

 

「俺の隣に美琴が座るならいいだろう!」

 

 

「なッ!?」

 

 

美琴の顔が赤くなる。

 

 

ざわざわっ!!

 

 

「なら私が代わります!」

 

 

俺の席の隣の女の子は言う。

 

 

「よしっ!!」

 

 

ガッツポーズで喜ぶ。よっしゃあッ!!

 

 

「な、なに考えてんのよあんたは!?」

 

 

ふふふ、両手に花だぜ。キラーン。

 

 

「分かった!理子(りこ)わかっちゃった!」

 

 

キンジの逆隣に座っている女の子は席を立ち大声で言う。

 

その理子と名乗った少女の制服はヒラヒラなフリルだらけの制服に改造してあり、金髪で……何か……こう、何?……二次元に出て来そうな女の子みたいな子だった。

 

 

「これはもう修羅場だよ!修羅場!」

 

 

キンジはもう疲れたような目で理子を見ている。

 

 

「ツインテールさんはキンジとアンパ◯マンに二股の恋をしているの!」

 

 

おーい、俺は大樹だよー?

 

 

「でもア◯パンマンは美琴ちゃんに恋をしている!まさに修羅場!」

 

 

ア◯パンマン、表に出ろ。美琴には指一本触れさせん!ていうか、今の修羅場だったか?まぁいいか。

 

 

ざわざわっ!!!

 

 

理子の発言で一気に騒がしくなる教室。

 

 

ズキュンッズキュンッ!!

 

 

銃声が二発なった。

 

教室が静まり返る。撃った犯人はアリアだった。その証拠に銃を二つ取り出し、銃口を上に向けてる。天井には二つの穴ができている。

 

 

「れ、恋愛だなんてくっだらない!!」

 

 

アリアは少し顔を赤くし叫ぶ。

 

 

「全員覚えておきなさい!そういう馬鹿なことを言うやつには」

 

 

銃口を前に向けて、

 

 

「風穴、あけるわよ!!!」

 

 

キーン、コーン、カーン、コーン

 

 

HR終了のチャイムが鳴り響いた。

 

 

________________________

 

 

 

「お前は死にたいのか?」

 

 

身長が二メートル近くあるがごつい男の先生は言う。

 

 

「滅相もございません」

 

 

俺は目を逸らしながら否定する。額からは汗がダクダクと流れている。

 

 

 

 

 

「なら何で武器を持っていないんだ?」

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

「今日は試験をさせると伝えていたが?」

 

 

「き、聞きました」

 

 

「なら何で武装していない?」

 

 

「すいません……」

 

 

クスクスッ

 

 

くそっ、恥ずかしい!

 

職員室で怒られています。

 

俺は今強襲科の試験を受けるはずが受けれない。理由は簡単。武装していないから。

 

 

「舐めているのか?」

 

 

ブンブンッ!

 

 

顔を勢いよく横に振る。

 

 

「まぁこのことは許してやろう」

 

 

あざーす。

 

 

「だが少しくらい訓練はするよな?」

 

 

「もちろんです!全力で取り組みます!」

 

 

「そうかそうか。ならお前は今からここに向かってくれ」

 

 

男の先生は一枚のプリントを俺に渡す。

 

 

「そこで訓練をしてこい。モニターで生徒は全員見てるからカッコ悪いとこ見せるんじゃねぇよ?」

 

 

「了解です!」

 

 

俺は訓練が行われる場所に向かった。

 

 

________________________

 

 

「ここか」

 

 

走って一分で着いた。いやいや本気で走ってないよ?

 

 

「訓練に参加する人はこの名簿に名前を書いてくださーい」

 

 

「あ、書きます書きます!」

 

 

急いで受付場所に行き、名前を記入する。

 

 

「ではこの建物の四階で待機してください。詳しいことはアナウンスが流れますので」

 

 

「はーい」

 

 

俺は建物の中に入り、階段をのぼった。

 

 

(随分ボロボロだな)

 

 

壁はたくさんの穴が空き、床は汚れたコンクリートだ。

 

 

(何が始まるんだ?)

 

 

そして四階に着くと、真ん中で待機した。周りに人は誰もいない。

 

 

(下にはあんなに人が居たのに何故だ?)

 

 

軽く30人はいた。

 

 

(そして名簿に書いてあったのが俺を除いて4人)

 

 

この建物は6階立て。ひとつの階に1人の人間を置くならあと一人は参加するはず。

 

 

(なるほど、見学か)

 

 

30人近い人たちは全員見学だったのかもしれない。先生も言っていたしな。

 

 

(………ごちゃごちゃ考えても仕方ない)

 

 

俺はアナウンスを待つことにした。

 

 

『今から訓練を始めます』

 

 

アナウンスはすぐに鳴った。女の子の声が建物全体に響く。

 

 

『ルールはバトルロワイヤル方式です。参加人数は6人。範囲はこの建物の中のみです。窓から出たりした場合は失格です』

 

 

おぉ、なかなか本格的だな。

 

 

『武器は違法で無ければ許可します。グレネード等も使っても構いません。ナイフ、近接格闘は当然ありです』

 

 

ん?武器?グレネード?持ってないぞ?

 

 

『勝利方法は相手を無力化、もしくはナイフを首に当てるなどの相手に勝利し、最後の一人になった者のみが勝ちです』

 

 

ガチ訓練キター!!!って俺は武器持ってねぇよ!?

 

 

『なお参加者一名は教官、残りはAランク武偵の参加となっております』

 

 

はぁ!?俺はEランクだぞ!?

 

 

ビーッ!!

 

 

無慈悲にも開始の合図を知らせるブザーが鳴り響いた。

 

 

 

________________________

 

 

 

訓練が始まった。いや訓練にしては本格的すぎる。そう……これは訓練じゃない。殺し合いだ……大袈裟だな。訓練で良いよ。

 

教師から貰ったプリントをもう一度見る。

 

 

(参加者は全員Aランク。なのにプリントにはここで訓練を受けると書かれている)

 

 

間違い通達。いや、嫌がらせだ。名簿に書く作業もあった。

 

 

(………ん?)

 

 

足音が後ろからした。

 

 

(集中して聞かないと聞き逃すくらい音が小さいな)

 

 

さすがAランク。だが、

 

 

(俺なら十分に聞こえる!)

 

 

柱の後ろに隠れて息を潜める。待ち伏せだ。

 

そして、

 

 

ゴッ

 

 

「うッ!?」

 

 

歩いて来た敵に気付かれないように近づき、手を刀のようにして、相手の首の後ろを叩く。

 

 

バタッ

 

 

少年は気を失い、倒れた。

 

 

(一度こういうのやってみたかったんだよね)

 

 

俺は少年を部屋の隅に移動させる。戦闘に巻き込まれたら大変だ。

 

 

(この少年は下から来たのか)

 

 

ここは四階。一つのフロアに一人居るなら、下にはあと二人いるな。

 

 

(下から攻略していきますか!)

 

 

俺は足音を殺しながら、階段を降りていった。

 

 

________________________

 

 

こちらジャック。A地点まで到着した。

 

…………簡単にいうと二階まで来た。

 

 

(二階には居ない…………一階か?)

 

 

一階に二人居ることになる。

 

 

(銃声は聞こえないから闘ってないはず……いや)

 

 

俺みたいに敵を倒すなら別か。

 

音を殺しながら俺は階段を降りていく。一階に辿り着き、部屋を恐る恐る見る。

 

しかし、一階にも誰も居なかった。

 

 

(……………よし)

 

 

俺はわざと足音をたてて、部屋の中央に行く。

 

 

その時、

 

 

「「もらった!!」」

 

 

前と後ろから人が出てきた。

 

彼らは協力していたのだ。例えば最後の二人になるまで協力しよう。とか言って組んだのだろう。

 

だが、

 

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

さきほどまで居た場所に大樹は居なかった。

 

 

 

 

 

「後ろだ」

 

 

ゴッ!

 

 

「がはッ!?」

 

 

前にいた少年の横腹を回し蹴りぶっ飛ばす。

 

少年は壁にぶつかり、動かなくなった。気を失わせただけだ。

 

 

「このッ!!」

 

 

ガガガガガガガッ!!

 

 

後ろにいた少年が銃を撃つ。

 

俺はその銃弾を見切り、

 

 

 

 

 

イナバウアーで避けた。

 

 

 

 

 

「はあああああァァァァ!?」

 

 

少年は避け方に驚愕する。

 

 

クルンッ

 

 

俺はイナバウアーの状態から横に回転し、体制を整える。と同時に音速のスピードで相手に迫る。

 

 

「フィギュアパーンチ!!」

 

 

「ガッ!?」

 

 

要するに腹パン。少年は前から崩れ落ち、床に倒れた。

 

そして一言。

 

 

「フィギュアスケート、明日夜8時から放送されるぞ」

 

 

スケートの宣伝をした。頑張れ!浅田〇央ッ!

 

 

________________________

 

 

(あと二人か)

 

 

再び四階まで戻ってきた大樹。

 

残るは教官と生徒1人。さすがに協力は無いだろう。

 

 

(五階にも人はいない……)

 

 

残るは六階だけ。

 

 

(きっと生徒はやられてるだろ)

 

 

となると残りは教官だけとなる。

 

俺は息を潜めながら階段をゆっくりとのぼる。

 

 

ガギュンッ!!

 

 

「ガッ!?」

 

 

大樹があげた声ではない。上から聞こえた声だ。

 

 

「もう終わりか?弱いなおい」

 

 

大樹は身を隠しながら様子をうかがう。

 

教官と少年が戦っていた。

 

 

ゴスッ!

 

 

「グッ!?」

 

 

教官と思わしき人物が少年の顔を蹴り飛ばす。少年は鼻や口から血を流していた。

 

力の差は歴然。教官が一方的に生徒をボコボコにしていた。

 

 

「!?」

 

 

その教官には見覚えがあった。

 

 

「おい」

 

 

大樹は隠れるのを止めて、二人に近づく。

 

 

「なんだお前、生き残っていたのか」

 

 

 

 

 

俺にプリントを渡した男だった。

 

 

 

 

 

「もうそいつは無力化されている。もう止めろ」

 

 

俺は身長が二メートル近くある男を睨み付ける。

 

 

「何言ってるんだお前?」

 

 

男はニヤリッと笑い、

 

 

「瀕死になるまでしなきゃ無力化とはいえないだろ?」

 

 

「………ッ!!」

 

 

……この糞野郎!!

 

 

「ほらよ」

 

 

男は倒れている少年をゴミを投げるような仕草で、こちら側に投げるた

 

 

「くッ」

 

 

俺は前に走って少年を受け止める。その時、

 

 

「隙だらけだ」

 

 

ガギュンッ!!

 

 

銃声が鳴った。

 

 

ドスッ

 

 

「グッ!?」

 

 

銃弾は俺の左腕に当たる。しかも銃弾は訓練用じゃない。実弾だ。

 

 

「この野郎ッ!!」

 

 

「動くな、もう囲まれている」

 

 

「!?」

 

 

建物の柱の後ろから、何台ものセグウェイが出てきた。

 

セグウェイには銃が固定されていた。

 

 

「前に武偵殺しの事件で使われたモノを真似してみたんだ」

 

 

前に2台。右と左に3台ずつ。そして後ろに2台の計10台。

 

 

(囲まれた!?)

 

 

俺ならこの状況は簡単に突破できる。だが今は怪我をした少年がいる。

 

「おっと、余計なことはするな。動くとセンサーが反応して射撃してしまうぜ?」

 

 

「くっ」

 

 

どうする?階段までの距離は遠い。

 

考えろ。助かる方法を。

 

この状況を打破する策を!!

 

 

「いいのかよ?これ、みんなに見られてんだろ?」

 

 

話をして時間稼ぎをする。今はそれしかなかった。

 

 

「この階だけは映らねぇんだよ、残念だったな」

 

 

「………このことがバレたら牢屋行きだな?」

 

 

「そうならないように今からボコボコにするんだろ」

 

 

前、右、左、後ろ。くそっ!突破口は無いのか!?

 

 

「俺はこれを続けて半年、全くバレねぇんだよ」

 

 

「……………」

 

 

「お前ら以外にこうなったやつはあと3人ほどいるぜ?」

 

 

「ッ!!」

 

 

俺は唇を強く噛む。口の中には鉄の味がした。

 

 

「そろそろお喋りも終わりにしようか」

 

 

「ッ!」

 

 

無い。俺だけでも逃げれるが、下手したら少年の命が危ない。

 

 

(ちくしょう……!!)

 

 

今の俺には何もできない。そんな自分に絶望する。

 

首が重くなり、下を向く。

 

 

「なんだよ?諦めたのか?」

 

 

下を向いたまま右手に力を入れる。撃たれた左腕から血が床に落ちた。

 

 

 

 

 

床?

 

 

 

 

 

「それじゃあ、フルボッコタイムの始まりだ」

 

 

あった。この状況を打破する方法。

 

俺は笑みを浮かべる。その顔を見た男の表情が曇る。

 

 

「何だ?頭でもおかしくなったのか?」

 

 

「そうだな、全く」

 

 

俺は右手に力を。ありったけの力を入れる。

 

 

 

 

 

「こんな方法、頭のおかしい奴しか考えないだろ」

 

 

 

 

 

俺は床に右手を降り下ろす。

 

 

「砕けろおおおおおおォォォォォ!!!!!」

 

 

ドゴオオオオォォォォ!!!!

 

 

爆発でもしたような音が鳴り響く。

 

 

「なっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大樹は六階の部屋全体の床を破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガガガガガガガッ!!

 

 

セグウェイに固定された銃は発泡するが、バランスを崩して狙いを外す。

 

六階に居た三人とセグウェイ10台は五階に落ちる。

 

 

「ッ!」

 

 

大樹は少年を抱えたまま綺麗に着地する。そして階段まで急いで走っていく。

 

 

(とりあえず安全な場所へ!)

 

 

俺は一気に四階まで降りる。そして、一番最初に倒した人をおんぶする。

 

 

(男をお姫様だっこ。もう1人はおんぶ。最悪だなおい)

 

 

再び走り出した。

 

一階まで来たところで二人を降ろす。

 

 

(一階には四人の生徒。これで全員か)

 

 

四人の安否を確認したあと俺は階段を再びのぼる。

 

 

あの野郎だけは許さない。

 

 

________________________

 

 

「クソッ!」

 

 

大樹は再び五階に戻ってきたが、男は瓦礫をどけてやっと脱出できたみたいだ。

 

 

「よぉ、随分まぬけだな」

 

 

大樹は馬鹿にしながら挑発する。

 

 

「このガキッ!!」

 

 

ズキュンッ!

 

 

男は発泡する。が大樹は頭を傾けるだけで回避する。

 

 

「ちっ!」

 

 

男は舌打ちする。そして服の中から手榴弾を取り出す。

 

 

「くたばれッ!!」

 

 

チンッ

 

 

ピンを抜いて俺に投げる。

 

 

ドゴオオオオォォォォ!!!!

 

 

大樹の目の前で爆発した。

 

 

 

 

 

「どこに投げてんだ?」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

後ろから声がした。男の顔は真っ青になり、恐る恐る振り返る。

 

そこには無傷の大樹がいた。

 

 

「ば、バカなッ!?」

 

 

大樹は殺意が籠った瞳で男を睨み付ける。

 

 

「ひッ!?」

 

 

それだけで男は悲鳴をあげる。

 

 

「今の俺は最高にぶちギレてる」

 

 

男に向かって歩く。

 

 

「く、来るな!!」

 

 

ズキュンッ!

 

 

男はまた発泡する。

 

 

「邪魔だ」

 

 

ガキンッ!

 

 

「!?」

 

 

大樹はさきほど拾った瓦礫の破片を持っていた。それを投げて銃弾を相殺する。

 

 

「ッ!!」

 

 

ガチンッ!!

 

 

「ガッ!?」

 

 

まだ撃とうとする男。大樹は瓦礫の破片をもう一度投げて、男の拳銃にぶち当てる。

 

 

「歯を食いしばれよ」

 

 

「や、やめろ……」

 

 

男の声は小さかった。

 

 

「お前みたいな悪党は大嫌いだ、だから」

 

 

「やめろおおおォォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が、全部潰すッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴンッ!!!!

 

 

ありったけの力を入れた右手で、男の顔を殴る。

 

 

ガゴンッ!!

 

 

建物を支える柱にぶつかるが、そのまま柱を破壊して後ろに吹っ飛ぶ。

 

 

ドンッ!!!

 

 

一番後ろの壁まで飛んで行き、やっと止まる。

 

男はぐったりとしており、もう動かない。残念ながら気を失っただけだ。

 

 

この訓練。いや、この戦闘は楢原 大樹の勝利で幕を閉じた。

 

 




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