どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

13 / 177
ついに緋弾のアリア編です。


どうぞお楽しみ下さい。




緋弾のアリア編
転生者は報われない


武偵(ぶてい)

 

 

武装探偵の略であり、凶悪化する犯罪に対抗して作られた国際資格である。

 

武装を許可され、逮捕権を有す。

 

報酬に応じ【武偵法】の許される範囲においてあらゆりる仕事を請け負う者たちのことを指す。

 

いわゆる【何でも屋】と呼ばれている。

 

そして、その武偵を育成するための教育機関が東京湾岸部に南北約2キロ、東西500メートルの人工浮島(メガフロート)の上に存在する。

 

 

 

東京武偵高校

 

 

通称【学園島】

 

 

東京武偵高校は一般科目に加えて武偵の活動に関わる専門科目を履修できる。

 

 

強襲科(アサルト)

 

狙撃科(スナイプ)

 

諜報科(レザド)

 

尋問科(ダキュラ)

 

探偵科(インケスタ)

 

鑑識科(レピア)

 

装備科(アムド)

 

車輌科(ロジ)

 

通信科(コネクト)

 

情報化(インフォルマ)

 

衛生科(メディカ)

 

救護科(アンビュラス)

 

超能力捜査研究科(SSR)

 

特殊捜査研究科(CVR)

 

 

このように専門科目は数多く存在する。

 

 

そして、武偵の生徒は一定期間の訓練期間の後、民間から有償の依頼(クエスト)を受けることができる。

 

それらの実績と各種訓練の成績に基づいて

 

 

生徒には【ランク】がつけられる。

 

 

E、D、C、B、Aの順にランクは高くなる。

 

 

そして、Aの上には特別なランクがある。

 

 

【 S 】

 

極限られた人物にだけそのランクが与えられている。

 

差し支えない実力のAランクが束になっても敵わない実力差である。

 

 

そんな人達が集まる学校。東京武偵高校。

 

 

この世界に2人の転生者がやってくる。

 

 

 

 

________________________

 

 

「どうも、楢原(ならはら) 大樹(だいき)です」

 

 

初心に帰って自己紹介する。やっぱり大事だよな、自己紹介。

 

 

「えー、無事に転生することができました」

 

 

隊長!転生前の出来事のことを簡単に報告します!

 

 

「俺は前の世界で御坂(みさか) 美琴(みこと)と一緒に転生することになりました」

 

 

やったぜ!幸せすぎて、今なら空でも飛べそうだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ……飛んでるけどね………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び上空3000メートルからの落下しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またかよおおおおおォォォォォ!!!!!!」

 

 

もう!何で俺だけこんな扱いなの!ぷんぷん!

 

美琴の姿は見えない。違うところから落ちてるのかな?……落ちないで欲しいけど。

 

 

「ちくしょおおおォォォ!!駄神がああァァ!!!」

 

 

駄目だあいつ。早く何とかしないと。

 

 

「あ、学園島が見えた!!まじで海の上にある!!」

 

 

あれが今回の舞台か。楽しみだなぁ~。

 

 

「違う!!それより今だ!これをどうにかしないと!」

 

 

もう濡れるのイヤー!!いや、もっと気にしないといけないことがあるだろうがっ!(ノリツッコミ)

 

そして、だんだんと海面に近づいていく。

 

 

「ふっ」

 

 

俺は笑い、最後にこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう………いやぁ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心が折れた。弱音吐いちまったよ。

 

 

さらば、人生よ。まぁどうせ生きてると思うよ。

 

 

ドボンッ!!

 

 

そして、大樹は海に落ちた。

 

 

________________________

 

 

「ぶはッ!つ、疲れた…」

 

 

どれだけ泳いだのだろう。海岸近くに落ちてくれればいいのによ。泳ぐのあまり得意じゃないんだよ。

 

 

「……………」

 

 

びしょ濡れになった自分を見て、落ち込む。このまま引きこもりになれるレベルで病んでるわ俺。

 

 

「川の次は海か……」

 

 

もう止めてくれ。普通に転生してくれ。ほら気がついたらベッドで寝てましたという展開プリーズ。

 

 

「あ、いた!!」

 

 

天使のような声がするほうに振りかえると、

 

 

「み、美琴!?」

 

 

常盤台中学の制服ではなく、武偵高校の制服を着た御坂 美琴がいた。

 

 

「………何でびしょ濡れになってんのよ」

 

 

「いや、この世界に今来たからだよ………」

 

 

美琴は頭に?を浮かべる。

 

 

「だーかーら、この世界に来るとき空から落とされただろ?」

 

 

俺は美琴に説明する。

 

 

 

 

 

「え?あたし、気がついたらベッドに寝てたけど?」

 

 

 

 

 

はい、神に嫌われました。男女差別反対ッ!!!

 

 

「……………………………………………ひぐっ」

 

 

「ちょっとあんた!?何泣いてるのよ!!」

 

 

違う!汗だ!目から汗が止まらないだけなんだ!

 

 

~10分後~

 

 

「はぁ、そういうことだったのね」

 

 

「理不尽だろ……」

 

 

俺は前の世界でも同じことがあったことを話した。そう、川に落ちたことを。

 

 

「そういえば美琴はいつこの世界に来たんだ?」

 

 

「昨日の夜来たばっかりよ」

 

 

「そうか」

 

 

そして、俺は一番気になっていることを聞く。

 

 

「なんで高校生の服なの?」

 

 

俺の記憶が正しければ美琴は中3だったような……。

 

 

「これよ」

 

 

美琴は一枚の紙を取り出す。

 

 

「あたしのポケットに入ってあったの。この制服に着替えて、今日の午前から始まる編入試験を受けろって書かれてるの」

 

 

美琴が簡単に説明する。

 

 

ん?

 

 

「ちょっと待て。俺は?試験は?」

 

 

「大樹は特別編入で試験受けなくていいみたいよ」

 

 

おお、よかった。これで学校行けなかったら何しにこの世界に来たんだよって話になるわ。

 

 

「確かランクは……E」

 

 

おい。最低ランクじゃねーか。

 

 

「何でいつも最低なんだよ……」

 

 

レベル0、Eランク。2つとも一番下だよこの野郎。

 

 

「はぁ、とりあえずどうするかなぁ……」

 

 

家に帰りたい。でも無いんだよね。

 

 

「とりあえず家に帰る?」

 

 

「いや、俺は家無いよ」

 

 

「え?」

 

 

美琴はキョトンと驚く。

 

 

「家、無いの?」

 

 

「おい待てや。まさか……」

 

 

いやだ。もう聞きたくない。

 

 

「あたしはマンションの部屋の一室貰ったよ」

 

 

もう俺のライフは0ですよ?美琴さん。神は俺を見捨てたのか……。まぁ俺を空から落すぐらいの扱いだもんな。うん、酷い。

 

 

「ぷっ」

 

 

俺の絶望する姿を見て、笑う美琴。ドSの素質があると見た。

 

 

「ごめんごめん。あんたの部屋もあるわよ」

 

 

「よっしゃああああァァ!!」

 

 

神は俺を救った。ありがとう。でも落とした恨みは忘れない。

 

 

「あんたとあたしで一緒に住むらしいよ」

 

 

え?それって、

 

 

「同棲……」

 

 

「なっ!?」

 

 

俺の言葉に美琴は顔を赤くした。

 

 

バチバチッ!!

 

 

「ぎゃッ!!」

 

 

俺の体に電気が走り、痛みが襲い掛かった。体は痺れ、膝から崩れ落ちた。

 

 

「な、何言ってるのよ、あんたは!!」

 

 

どうやら美琴の能力で出された電撃みたいだ。

 

 

「ほら!さっさと行くわよ!」

 

 

すいません。痺れて動けません。

 

 

________________________

 

 

「ここよ」

 

 

美琴に案内してもらい、今日から住むマンションの前にいた。

 

薄い黒色のマンションで、10階立てだった。外装が綺麗なので新築なのだろう。

 

 

「学校から近くはないが、遠くもない」

 

 

なかなかいいな。遅刻しそうでも走れば間に合うし。おっと、本気を出せばすぐに着けるんだった。てへっ。

 

中に入るとエレベーターに乗り10と書かれたボタンを押す。

 

 

「最上階か」

 

 

「そうよ。しかも1部屋しか無いんだから」

 

 

oh………凄くね?

 

 

「家賃はどのくらいだろう」

 

 

「月々15万よ」

 

 

「高っ!!」

 

 

ひゃー!前いた世界でのバイト3ヶ月分の給料じゃん!ひゃー!俺全然稼げてないじゃん!

 

 

「でも大丈夫でしょ」

 

 

「何で?」

 

 

「え?通帳よ、通帳」

 

 

ちょっと待てや。いや待ってください。

 

 

「ポケットに入ってるでしょ」

 

 

大樹はポケットを確認する。4回も。

 

 

「………もしかしてまた無いの?」

 

 

コクッとうなずく。

 

 

「つ、通帳を見せてくれるか?」

 

 

「え、ええ。いいわよ」

 

 

御坂 美琴と書かれた通帳。中を開けると、

 

 

 

 

 

残額 300,000,000と書かれていた。

 

 

 

 

 

「3億………」

 

 

俺の通帳を誰か知りませんか?3億と書かれた通帳を。

 

 

「………暗証番号教えるから一緒に使いましょ?」

 

 

「………うん」

 

 

そう言って、美琴は優しく俺の頭を撫でた。

 

 

________________________

 

 

 

「この部屋よ」

 

 

「わー、広いなー、綺麗だなー」(棒読み)

 

 

「………何かもう見てられないわ」

 

 

ごめん。俺の扱いがここまで酷いなんて思わなかったから。

 

部屋の中は一式そろっていた。装飾品がないだけで、テーブル、テレビ、ベッド、冷蔵庫、洗濯機などの生活に必要な必需品はそろっていた。

 

 

「そういえば誰がこんなの用意したんだろう?」

 

 

「気にしたら負けだ」

 

 

神です。犯人は神様ですよ。

 

俺たちは椅子に座る。

 

 

「美琴は試験受けたんだよな?」

 

 

「そうよ。しかも今日ね」

 

 

「………ランクは?」

 

 

「もちろんSよ」

 

 

ですよねー。もう分かってましたよ。……何か美琴の言葉だけを聞くとSMみたいですよね。じゃあ俺はドMかよ。違うよ。

 

 

「専門科目は?」

 

 

強襲科(アサルト)よ」

 

 

「へー、以外だな。超能力捜査研究科に入ると思ってた」

 

 

レベル5だしな。

 

 

「何であんたそんなに詳しいの?」

 

 

ギクッ!

 

 

「さっき海で武偵高校特集を拾って、泳ぎながら見ていたんだよ」

 

 

「本はくちゃくちゃじゃないの?」

 

 

やべぇ!何か無いのか!?

 

俺はポケットに手を入れて閃く。

 

 

「ほ、本に武偵高校のURLが書いてあって、携帯電話で調べたんだよ!」

 

 

よかったぁ!!防水で!!原田には感謝だな。

 

 

「なるほどね、理解したわ」

 

 

ホッ、こんな嘘に騙されるなんて、美琴は将来詐欺に会いそう。まぁそんな詐欺師は俺が潰すけどな。

 

 

「あ、俺の専門科目は?」

 

 

強襲科(アサルト)にしておいたわ」

 

 

「美琴が決めたのかよ……」

 

 

「何よ、文句ある?」

 

 

「いや、美琴と一緒だから文句はねぇよ」

 

 

「………そ、そう」

 

 

美琴は俺から顔をそらす。

 

 

「そ、そういえばあんた!」

 

 

何かを思い出し、席を立つ。

 

 

「専門科目の先生から明日、試験をするらしいから覚悟しておいてだって」

 

 

あれ?用意じゃなくて覚悟ですか?危ない予感しかしない。

 

 

「そ、そうか」

 

 

「あと夕食はどうする?」

 

 

「そうだな………買い物しに行くか」

 

 

「料理出来るの?」

 

 

「ふふふ、このシェフにお任せあれ」

 

 

「そう、なら期待するわよ?」

 

 

「おう!んじゃ買い物行きますか」

 

 

「ええ」

 

 

俺たちは近くのスーパーに出掛けた。

 

 

________________________

 

 

 

「そろそろ寝るか、明日も早いし」

 

 

「そうね」

 

 

俺たちは高校の教科書を広げて予習をしていた。まぁ俺は完全記憶能力があるからほとんど覚えたぜ。え?数学?何それおいしいの?

 

 

「………美琴」

 

 

「うん?」

 

 

俺は真剣な目で美琴を見る。

 

 

 

 

 

「後悔してないか?」

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

美琴はしばらく黙ったあと。

 

 

「半分かな」

 

 

「半分?」

 

 

「ええ、もといた世界でまだやりたいこともあったわ」

 

 

「……………」

 

 

俺は黙って聞く。

 

 

「黒子や佐天さんに初春さんに会いたいと思ってる」

 

 

美琴は大樹を見る。

 

 

 

 

 

「でもね、もう半分は来てよかったと思ってる」

 

 

 

 

 

「え」

 

 

俺は驚愕して、つい声が出てしまう。

 

 

「今日大樹と一緒に居てすっごく楽しかった」

 

 

美琴は続ける。

 

 

「料理ができる大樹を見て少し悔しかったけど…」

 

 

「え?」

 

 

「でもね」

 

 

美琴は笑顔でこちらを向く。

 

 

 

 

 

「いつか100%、来てよかったって思わせてよね」

 

 

 

 

 

美琴の言葉に涙がでそうになった。

 

俺は上を向いて涙をこらえる。

 

 

「……分かった。約束する」

 

 

美琴の目をしっかりと見て、俺は右手の小指を前に出した。

 

 

「うん。約束」

 

 

俺たちは右手の小指どうしを絡ませる。

 

 

「それじゃおやすみ」

 

 

「ああ、おやすみ」

 

 

二人はそれぞれ自分の部屋に戻った。

 

 




感想や評価をくれると嬉しいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。