どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】 作:夜紫希
大樹「いいわけあるかボケ!!!」
ですよね。本当にすいません。
※この話は『デート・ア・ライブ編』の『認められた誓いの言葉』を投稿した後に出した話です。その話を閲覧後に読むことを強くオススメします。
「祝え」
「唐突過ぎる上にどうすりゃいいんだよ」
「馬鹿か? 俺の誕生日だぞ? 祝えよ」
唐突に始まった大樹の誕生日。今回は全ての話と物理法則を無視した大樹の誕生日の話である。
偉そうに玉座に座る大樹。『祝え』と書かれたシャツを着ている。
馬鹿な野郎を相手にしている原田は大きなため息をついた。
広い部屋に豪華な装飾がされている、大樹の背後には大きな文字で『祝! 楢原 大樹 誕生日おめでとう!』と書かれている。
「それで、お前何歳になったんだよ」
「次回の話で多分19歳になると思う」
「この話じゃないのかよ……というかメタいな」
「まぁリアル時間と話は別だから。この話が作り上げられた時点でメタいも何も、全て崩壊したわ」
「崩壊させた、の間違いだろ」
「誰が?」
「お前しかいねぇだろ!?」
「犯人が俺だからなんだ? いいから祝おうぜ」
「さっきから祝え祝えうるせぇぞ。俺がお前を祝ったら虚しくなるだけだと思うが? それとも、俺だけで『ハッピーバースデー』を歌えとでも?」
「もう既に裏の舞台で皆が俺の誕生日のために準備しているぞ」
「何でもありかよ!?」
「何でもありだぞ?」
「何だその『当たり前だろ』みたいな顔! ムカつくなお前! 大体、どうやって祝えばいいんだよ」
「男は体を張って死ぬ気で俺を楽しませろ。女の子は性的奉仕活動を———」
ガキュンッ!!
一発の銃弾が、大樹の頭部を貫いた。
そのまま床に倒れて大量の血が溢れ出した。
「———ぐふッ」
「……………お前、こんなデタラメな場じゃなくても普通に生き返るだろ」
「まぁな」
ヒョコっと起き上がり玉座に座る。頭から血を流しているが、平常運転である。
「じゃあ俺も用意してみるか」
「ちなみにつまらなかったら斬り捨て御免だから」
「鬼か!!」
________________________
———美琴のプレゼント
「美琴。俺は鉛筆の芯を貰っても全力で喜べるから安心しろ」
「それはむしろ病院に行って欲しいわね……」
久々に見る常盤台の制服を着た美琴。うんうん、やっぱり可愛いな!
「ずっと登場がなかったから今日は思いっ切り楽しんでくれ」
「あったわよ! 番外編が!」
「あとは『デート・ア・ライブ』では冒頭で少しだけだな。苦しそうな表情は見ていられなかったぜ」
「……もちろん、助けてくれるわよね?」
「任せろ」
キリッとした表情で言うが、美琴は溜め息が出てしまう。
「記憶喪失のアンタが言うと、無責任にしか聞こえないわね」
「しまったあああああァァァ!!!」
好感度が下がったことにショックを受ける大樹。誕生日だというのに、心にダメージを負った。
「まぁいいわ。はい、誕生日おめでとう」
「おお!!」
美琴が大樹に渡したのは手作りクッキーだった。可愛いラッピングされた包装に、チョコで『だいき』と書かれているのはポイントが高い。
「優勝決定だな」
「嬉しいけど気が早いわよ……」
「ハッハッハッ」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………ごめん、地味なプレゼントで」
「マジでごめん!? もっとド肝を抜くようなモノが来ると警戒していたんだ! いつもの日常を見てみろよ!? 俺、普通の人間なら何百回も死んでいるんだぜ!? それに美琴は全然悪くないから!」
「あたしはみんなのようにとんでもないプレゼントを渡せないわッ!!」
「それはちょっと待てぇ!! 今からどんなプレゼントが来るんだよ!! お願いだ美琴! どこにも行かないでぇ!!」
———アリアのプレゼント
「誕生日おめでとう、変態」
「ありがとうアリア。でもゼロ距離から撃たれたらさすがに痛いぜ?」
「普通死ぬわよ馬鹿」
武偵高校の制服を着たアリアがジト目で俺を見下す。もし俺がドMだったらこれがプレゼントだと勘違いするところだったぜ。ヒャッハー。
アリアは俺の前に来た瞬間、背負い投げで玉座から引き下ろし、関節技を決めて後頭部に銃口を押し付けていた。
「これがプレゼントよ」
「ありがとうございます!!」
俺がドMかな?(困惑)
「あんた……大丈夫?」
「本気で心配するなよ。嘘だ嘘。冗談冗談」
「ならいいけど」
まぁ一言だけ言わせていただくよ。首をちょっと動かせばこの角度から見えるんだよ。
(そう、スカートの中がね……)
心の中で泣きながら敬礼した。制服を考案した高校に感謝。スカートが短い事に感謝。そして何よりアリアに感謝。
「それよりプレゼントね。今から渡すけど頑張りなさい」
「が、頑張る? え? ドユコト?」
アリアが取り出したのはサッカーボールぐらいの大きさの箱。
箱の側面には『10:00』とタイマーがセットされており、様々な色の配線が繋がっていた。
……これはアレだろうか? 所定の時間になるとアレしちゃう感じのアレだよな?
「制限時間内に解除しないと、あたしのプレゼントは爆発するわ」
「プレゼントに時限爆弾付けやがったあああああァァァ!?」
美琴が言っていたのはコレか!? 確かにヤバい! クッキーをしっかりと味わって正解だった! もう休める暇がなさそう!
「炸薬は奮発して五千㎤にしたわ!」
「ふぁッ!? ビルが吹っ飛ぶレベルじゃねぇかおい!?」
「理子に負けない爆発力よ!」
「何で武偵殺しと張り合ってんだお前!?」
ってうわぁ!? もうタイマーが動き出している!?
「だが残念だったなアリア! 爆弾処理の知識は完璧に記憶している!」
時限爆弾の配線などを次々と調べる。すぐに構造を理解し、配線を切る必要がないことが分かった。
タイマーを丁寧に取り外すと、小さなキーボードのようなモノが姿を見せた。
「ヘッ、やっぱりボタンの入力で止めれる様になっているのか。パスワードは俺の携帯端末を接続してハッキングすれば余裕だぜ!」
「順調ね」
アリアは悔しがる素振りは見せず、感心して見ていた。
携帯端末のディスプレイがパスワードを表示する。俺は表示された通りにキーボードに入力する。
「パスワードは『だいきはおとこがだいすき』! って何だコレ!? 最悪なパスワードに設定してんじゃねぇよ!?」
「お気に召さなかったかしら?」
「気に入ったらホモだろ!?」
ええい! とにかく時限爆弾のタイマーは止まったし、箱の鍵も無事開いた。プレゼントを貰って喜ぶとするか。
そして、箱を開いて俺は驚愕した。
「……………はれ!?」
中身がない。
「え!? そんな!? 嘘でしょ!? プレゼントは!? ええええええェェェ!!」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ!? プレゼントは———」
「分かった!! 空気がプレゼントだな!? スーハーッ!! スーハーッ!!」
「そんなわけないでしょ!? やめなさい、みっともないわよ!?」
「わ、悪い。でも大好きな女の子からプレゼントがないとか……ショックで死にそう」
「う、うるさいわねッ! ちゃんとあるわよ!」
アリアは俺の胸に向かって小さな箱を押し付けて来た。戸惑いながらも俺は受け取る。
「プレゼント、なのか……」
「そうよ。本当に爆発したら困るでしょ」
俺は言えなかった。最初からこんな刺激的なプレゼントをしなければいいのではないのか?っと。
アリアに色々と振り回されたがプレゼントは嬉しい。だから、俺は笑顔で告げる。
「ツンデレのアリアは可愛くて良いが、恥ずかしがっているアリアは何かエロさを感じて最高だぜ!」
———優子のプレゼント
「だ、大樹君? 凄い鼻血の量だけれど大丈夫?」
「アリアのパンチは俺に元気をくれる」
(ドMな発言というより、変態の発言にしか思えないわ)
少しどころかかなり引いていた優子。
文月学園の制服を着た優子は血塗れになった大樹から距離を取っていた。
「プレゼントここに置いておくわ。じゃあ———」
「帰らないでくれよ!? もっと俺と話そうぜ!」
「わ、分かったから血を拭きなさい。怖いわ」
とりあえずタオルで鼻血を拭き、血で汚れたTシャツを着替えた。文字はいつもの『一般人』である。
「……その指輪って」
「おう。アリアのプレゼントだぜ!」
大樹の右手の薬指には銀色に輝く指輪があった。英語の文字が掘られており、綺麗だった。
「『
「そ、そう……」
「本当は左手の薬指にしたかった」
「それは……凄く危険だと思うわ……」
「うん、アリアにもやめてって顔を真っ赤にしながら怒られた」
(それは照れているの間違いよ大樹君)
恋愛感情に時々鈍い大樹に優子は溜め息を漏らす。
大樹がニヤニヤしていると、優子が頬を膨らませていることに気付いた。
「え? どうした優子?」
「……別に」
顔を逸らす優子に大樹は一つの答えに辿り着く。
「安心しろ優子! 優子の誕生日は俺が指輪を買ってやるからな! もちろん、左手の薬指につけてくれて構わないぜ!」
「そのセリフ、アタシだけに言うわけじゃないでしょ?」
「うッ」
優子はジト目で大樹を見る。言われたことに反論できない大樹は汗をダラダラと流していた。
「……………くッ」
「え?」
「だ、大樹君……本気に捉え過ぎよッ……冗談なのにッ……!」
「なッ!?」
お腹を抑えて笑いを堪える優子に大樹の顔が赤くなる。
「ちゃんと分かっているわよ、大樹君のこと。そうじゃないと好きになんてなれないわ」
「ッッッ!!??」
微笑みながら大樹に言う優子の表情に大樹の顔は真っ赤になった。あまりの可愛さに口をパクパクして何も喋ることができていない。
「はい、プレゼントよ。中はペンダントよ。アタシも、大樹君から貰ったからあげるわ」
優子は自分の首から下げたペンダント———【絶対防御装置】を見せる。
大樹は中をあけて綺麗な装飾が施されたペンダントを取り出す。
「付けてあげるわ」
「ああ、頼む」
優子にペンダントを渡す。
俺の後ろに回り込み、優子は俺の首にペンダントを付けた。
「ねぇ大樹君」
「ん?」
「これからも、よろしくね」
「おう!」
「それと」
「ん?」
「……このプレゼントって本編ではどうやって処理するの?」
「……作者の都合次第だろ」
「……そう」
「……何かごめん」
「大樹君は悪くないわ」
———黒ウサギのプレゼント
「黒ウサギのプレゼントは大樹さんが喜ぶようなモノを選びました!」
「ま、まさか……その恰好は……!?」
黒ウサギは告げる。
「黒ウサギのプレゼントは1時間だけ大樹さんのメイドになることです!」
「よっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
(((((うるさッ)))))
大樹の喜びの叫びは裏舞台まで響き渡った。
黒ウサギはいつものバニーガールからメイド服へと着替えた。黒色のワンピースの上から白のフリルが付いたエプロンを着用している。
ウサ耳と白のフリルがついたカチューシャの組み合わせは抜群。最高にメイドだった。超メイドだった。
「じゃあ最初目的であるご奉仕から始めよう!まずは服を脱いで———」
「あ、そういうのは駄目です☆」
「ちくしょおおおおおォォォ!! なら膝枕で耳掃除を!」
「かしこまりましたご主人様♪」
「ぐふッ、破壊力すげぇ……!」
既に大樹の鼻から血がタラタラと流れている。
大きなソファに座る黒ウサギ。大樹はその隣に座り、頭を黒ウサギの膝の上に乗せた。
「だ、大樹さん……上を見上げるのはやめてください……」
「何故だ!? 俺は黒ウサギの顔をずっと見ていたのに! 耳掃除なんてどうでもいい! 俺は———!」
「胸ばかり見ているからですよ!!」
「———チッ」
バレてしまっては仕方ない。だけど、隙を見て、また見ればいいことの話だ。クックックッ。
「ティナ。次大樹が見たら撃っていいわよ。目を潰しなさい。ついでに胸も許可するわ」
「ティナちゃん。遠慮はいらないわ。どっちとも撃っていいのよ」
「黒ウサギに当たってもいいから大樹君を撃ちなさい」
「分かりました。必ず撃ち抜きます」
((裏舞台で不穏な会話が!?))
大樹と黒ウサギの体が震えあがる。ティナの命中度からすると絶対に当たる。というか黒ウサギは巻き込むなよ!?
「み、耳掃除だけお願いします」
「わ、分かりました」
命が惜しい大樹と黒ウサギ。黒ウサギはすぐに大樹の耳を掃除して、終わった。
緊張した。別の意味で。
「じゃあ今から———」
シュバッ!!
突如大樹の姿が消えた。黒ウサギは戸惑うが、数十秒後にはシュバッ!!と片手にオムライスを乗せた皿を持っていた。
「ケチャップで愛の言葉をお願いします」
「土下座!? べ、別にそのくらいならいいですよ!? メイドカフェならよくあるシステムじゃないですか!」
大樹の土下座には強い意志が籠っていた。メイドとなった黒ウサギとイチャイチャしたいという強い意志が。
黒ウサギはどうせなら自分で一から作りたかったが、味の勝負では勝てる気がしないと気が付き、落ち込んだ。
「黒ウサギだって……美味しいオムライスぐらい作れるのですよ……」
「ど、どうした黒ウサギ? 大丈夫だ! 俺のオムライスは三ツ星レストランでも余裕で通じるくらい美味しいから安心しろ!」
「とんでもない追撃やめてください!? そんなオムライスなんてこうですッ!!」
「うぉい!? 全部のケチャップ使ってんじゃねぇよ!? オムライスが真っ赤な分厚い装甲を身に纏ってんぞ!? これ食ったら死ぬんじゃねぇの!?」
———10分後
「げほッ……げほッ……ケチャップまるまる一本はキツいわ……」
「黒ウサギが意地を張ったばかりに……」
「いや、事情を知ったら俺が全面的に悪い。ところで作ってくれたのか、オムライス?」
「YES!」
黒ウサギはテーブルに美味しそうなオムライスが乗った皿を置いた。大樹は目を輝かせ、ケチャップを黒ウサギに渡す。
「で、では……書きますね……」
「お、おう……」
変な緊張をしてしまう。黒ウサギは慎重にケチャップで文字を書いていく。
そして、完成した。
「完成です!!」
———『I love you』と書かれたオムライスが降臨した。
(や、やべぇ……嬉しくてニヤニヤが収まらねぇ……!)
「それでは大樹さん……その……」
「ん? どうした?」
黒ウサギはスプーンを取り出し、オムライスを一口で食べれるようにすくう。
スプーンを俺の口の方に近づけ、顔を赤くしながら恥ずかしそうに言う。
「あ、あーんッ……!」
———もう一生俺のメイドになってくれないかな?
俺は黒ウサギに食べさせて貰いながら、この一時を楽しんだ。視線は体に穴が開きそうなくらい痛かったけどね!
———真由美のプレゼント
「はい、クッキーよ」
「それ被ってるから」
「はい、時限爆弾よ」
「それだけ渡したらただのテロリストだから」
「はい、ペンダント」
「だからそれ被ってるから。というかプレゼントがどこにもないぞ」
「はい、メイド服」
「それだけ渡されても困るだけ———」
「黒ウサギが着た後よ?」
「———言い値で買おうじゃないか」
「売りませんッ!!」
バシンッとハリセンで俺の後頭部を叩いた後、真由美からメイド服を奪い去って行った。いや、俺は悪くないと思うのだけれど?
「……もちろん、プレゼントはあるよな?」
「え? ないわよ?」
「(´・ω・`)」
「冗談よ」
「ビビらせるなよ。後少し遅かったらショックで死んでいたぞ」
「大樹君のメンタルって私たちに対して脆過ぎないかしら……」
「それで? プレゼントは!?」
「……私ね、思ったのよ。やっぱり物をあげるなら心を込めてあげたいなって」
「お?」
「だから心を込めて作ったプレゼントがあるの」
「おぉ!!」
「だから、受け取って欲しいの———」
真由美は手のひらサイズの箱を大樹に渡す。大樹は笑顔で箱を開けた。
「———手作りケーキを!」
((((;゚Д゚)))) ハワワワワワワワワ!!
全身が震えた。箱の中にあったケーキに俺は心の底から震えた。
『誕生日おめでとう!』の文字が『あの世へようこそ!』にしか見えない。
真由美の料理は恐ろしい。
……今日、俺は誕生日なのに罰ゲームを受けるのか。
「う、美味そうなチョコレートケーキだなぁ……」
「え? チーズケーキよ?」
(予想を斜め上行くどころか異次元まで行ってるんだけど!? 何でケーキが黒いんですかねぇ!? 俺の知っているチーズケーキとは全く違うんですけど!?)
「あ、ありがとう……後で食べるよ……」
「焦らなくても大丈夫よ。食べる時間も、ちゃんと話し合って取ってあるから食べていいのよ」
(嫁たちに見捨てられたちきしょおおおおおおォォォ!!)
女の子たちは舞台裏から顔を出して憐れむような目で俺を見ていた。そこ! 涙を流さない! 死ぬわけじゃないから! 多分!
「……ハッハッハッ、俺は好きな女の子から消しゴムのカスを貰っても喜ぶことができる男……このケーキ、全て俺が頂く!!」
「何その酷い前フリ!? 私の料理は消しゴムのカスじゃないわよ!?」
「いただきまーすッ!!」
チーズケーキをフォークで一口サイズに切り分けて口の中に入れた。その瞬間、俺の味覚に衝撃が走った。
「う、うめえええええェェェ!!??」
「「「「「ええええええェェェ!?」」」」」
「ちょ、ちょっと!? 急に何よ!?」
あまりの美味しさに驚愕してしまった。舞台裏にいた女の子たちも驚愕の声をあげた。
「何だこの美味は!? 口の中に入れた瞬間、チーズの風味と甘みが一気に広がり、普通のチーズケーキではありえない食感が俺の口の中を溶かされてしまいそうだ!」
ポトッ
大樹の手からフォークが落ちた。
両膝を着いて、認めた。
「俺の、完敗だ……!」
「勝負じゃないわよこれ!?」
———ティナのプレゼント
「私も手作り料理です」
「うーん、ここでやっぱりピザが来るのね」
緑色のドレスを着たティナがテーブルにピザを並べる。種類が多くてどれも美味しそうだが、数が尋常じゃない。
これを全部食えば確実に腹は苦しくなるだろう。
「大樹さん」
「ど、どうした?」
「大樹さんはいつになったら私のことをお嫁さんに認めてくれるのですか?」
「ファッ!? いや認めたらロリコンに———」
「大丈夫です。もう読者の方々は大樹さんのこと、ロリコンだと思っています」
「馬鹿な!?」
「変態だと思っています」
「まぁ……自覚は、ある……うん」
思い当たることが多いことに大樹はホロリと涙をこぼした。仕方ない。これは自業自得だと。
「落ち込まないでください。私は大樹さんのこと、ちゃんと分かっていますから」
「ティナ……」
ティナは微笑みながら告げる。
「誕生日おめでとうございます。私の大好きな大樹さん」
「ティナああああああァァァ!!」
号泣だった。自分のことをこんなに思ってくれていたことに感激した。
ティナを抱き締め俺は頭を何度も撫でる。
その頃、裏舞台でその様子を見ていた女の子たちは思う。
(((((ティナ、恐ろしい子ッ……!)))))
女の子たちは戦慄していた。あれは全て計算されたモノだということを。
大樹は美味しそうにピザをどんどん食べ尽す。大樹が満足しているなら別にいいかっと女の子たちはしぶしぶ納得した。
「大樹さん、私は大樹さんの何ですか?」
「嫁ッ!!!」
———この後、女の子たちは乱入した。
———原田のプレゼント
「どーも! 俺のプレゼントは漫才でもやろうと思いまーす!」
「」
大樹は絶句していた。原田はダンディ〇野が着るような黄色のスーツに赤い蝶ネクタイをしていたからだ。
いつもと全く違うテンションになった原田は手を叩きながら喋りはじめる。
「いやー季節は春になりましたねー! 春と言えば……? そうです! 無駄な脂肪……ってそれは『腹』やないかーいッ!」
「」
「腹と言えば原田ですって!? お客さん、失礼なことを言わないでくださいよー!」
「」
「最近自分、お腹の回りが気になっているんですよ。ダイエットして痩せなアカンなって思って、毎朝ジョギングを始めたんですよ。そしたらお腹が空きますよね? だからちゃんとお肉を食べて体調を整えたら全く意味がないことに気が付いたんやわー!」
「」
「……………ふぅ」
原田は息を小さく吐くと、大樹に向かって笑顔で告げた。
「はい、終わり☆」
———刹那、大樹の拳が原田の顔面に直撃した。
ドゴオオオオオオオオォォォ!!
巨岩すら粉々に砕く威力で殴った。風圧で部屋のテーブルや装飾が吹き飛んでしまう。
「超ウルトラスーパーアルティメットド級でクソつまらないッ!!! 後味が悪すぎるんだよクソ野郎ッ!!」
「ざまぁみやがれ! ずっとイチャイチャして甘い空間作りやがって……! こっちはブラックコーヒーでも飲まないとやってられねぇよバカ!!」
「嫉妬か!? 嫉妬なんだな!? お前のヒロイン誰もいないやーい!」
「うるせぇ!! 作者が言うには『いるにはいるけど出すタイミングをどうするか考えている』って言ってんだよ!」
「アッハッハッ!! 違う違う! 作者は『いるにはいるけど出すタイミング逃したワロタ(笑)』って言ってるから!!」
「大馬鹿野郎共がああああああァァァ!! 作者の性格も悪ければ主人公の性格も悪いのかよぉ!!」
「え? こんなにモテているのに性格が悪いだって? 冗談キツいぜ☆」
「あー殺意湧いた! 超殺意湧いた! この話なら本気で戦えるから安心しろハゲ!!」
「ハゲてねぇよ!? 大体何だよお前ら!? 俺は髪をオールバックにしているだけであってハゲているわけじゃねぇよ!」
「どうしたデコハゲ? もっとハゲるぞ?」
「はい処刑! はい許さん! お前は絶対に許さねぇから!」
この後、大樹と原田の拳だけで戦った喧嘩は引き分けで終わった。
大樹と原田は仲良く床に倒れてた。
原田は既に意識を失い、大樹も失いそうになっていた。
「た、誕生日なのにッ……俺ッ……今日は誕生日なのにッ……!」
ガクッ
これが彼の最後の言葉となった。
「「「「「いや、誕生日は昨日だから」」」」」