どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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《緊急募集! クリスマスに出歩くリア充を撲滅しようの会!》


あったら私は会員ナンバーが一桁でしょうね。

またこの季節ですよ。今日はモンハンでエリアルボマーでリア充を爆破しておきますね。

……………メリークリスマス(泣)


望み続けた至高の幸せ

楢原 大樹は、本気を出した。

 

 

「ぜぇあああああァァァ!!」

 

 

大樹は東京エリアに放置された大量のガストレアの死骸を回収、消毒、貴重なサンプルは菫先生にプレゼントした。現段階で3割しか終わっていなかったが、彼の功績のおかげでたった一日で全て除去することができた。

 

 

「おんどりゃあああああァァァ!!」

 

 

瓦礫を粉々に砕く、投げ飛ばす、集めるを繰り返し、1割程度しか片付いていなかった東京エリアだが、彼の功績のおかげでたった一日で全ての瓦礫を1ヵ所に集めて片付けた。車や人が通れるようになり、作業がさらに捗るようになった。

 

 

「ほわたたたたたたたたッ!!」

 

 

食料を最低限かつ最少量で東京エリアの人々に絶品料理を振舞う。三ツ星シェフが地面に額を付けて「弟子にしてください!」と懇願するほどの出来前だった。

 

 

「まず畑を耕せ! 耕せ耕せ耕せ! 全部の種を使っていいからとにかく耕せ!」

 

 

この日から東京エリアの交差点や高層ビル、学校のグラウンドにも畑が耕されるようになってしまった。現在の東京エリアの3割は畑。菫先生の特殊合成促進薬を使い急激に成長させている。

 

 

「今からここに家を千個建てる。もちろん、3日でやれよ」

 

 

集合住宅地を造り上げ、家を無くした者たちにやっとプライベート空間が与えられた。ちなみに7割は大樹だけで作ったモノである。

 

 

「お前たちには将来、企業社長になってもらう。というわけで教科書を全部暗記する勢いでいけ」

 

 

この日から全東京エリアの学校教育のレベルが高くなるが、最強の教育者のおかげで平均偏差値80という脅威の数値を叩き出している。ちなみに教会の現在最優秀成績の子は大学受験問題演習をやらせている。

 

 

「WRYYYYYYY!!」

 

 

この日、楢原 大樹の活躍によって千葉県を奪還。新たなモノリスが置かれるようになるが、領土拡大規模が大き過ぎたため、半分だけ奪還することとなった。

 

さらに畑も多く耕されるようになり、食料問題はこの日を境に解決。

 

 

「テメェら全員、埋めるから」

 

 

今まで暗躍して来た悪党。人々が貧しい生活を送る中、クーラーをつけた部屋で贅沢して庶民を馬鹿にした貴族を大樹は全て埋めた。経済は著しく上昇。大赤字から大黒字まで変わるほどだった。

 

 

「シイタケだっけ? ソイツから人材派遣してきた」

 

 

大樹が大勢の子どもを連れて来た。そしてこの日、聖天子の元に一通の手紙が届いた。内容はもう二度と東京エリアに逆らわないこと、赤目の子どもを迫害しないことだった。差出人は大阪エリアの統治者である斉武 宗玄だった。隣にいた菊之丞は見て見ぬフリをしていた。

 

 

 

—―—以上、そのような報告が書かれた書類、約2500枚が聖天子の目の前に積み上げられていた。

 

 

「……………」

 

 

聖天子はもう一度考える。たった一人の人間だけ、ここまで壊滅寸前だった都市を短期間で元通り。それどころか新しい建築物が多くてさらに良くなっている。

 

あの戦争は人々を変えた。『呪われた子供たち』に対する態度は良好。昨日の国会では赤目でも普通の学校に通える議題も出されていた。

 

治安も良くなり、悪さをする者たちも減少。最近の警察はボランティア活動に勤しんでいるという噂も聞いた。

 

いやいや、ありえない。一人の人間がここまでできるなんて。

 

 

「なぁ聖天子。この量って半年でも終わらなくね? やめちまえよ」

 

 

聖天子の隣に座った青年が片手にタブレットを持ってケラケラ笑う。書類を椅子代わりにして、グラフを見ていた。

 

 

「ほら、東京エリアの予算だ。2倍にしておいたから」

 

 

まるでゲームのクエストをやっていたかのような対応。聖天子は怖くて何も喋れない。

 

この青年こそ、東京エリアを救った英雄。しかし、今の彼に英雄の名はふさわしくない。

 

背中には習字の達人が書いたかのような勇ましい『一般人』の白色の文字。前は『I LOVE 嫁』と白い文字で書かれた黒シャツを着ており、ダボダボのズボンを穿いている。口に食べ終えたアイスの棒を咥え、3DSを取り出しモン〇ンをやり始める。

 

 

「あと宝玉2つで全部強化終わるのになぁ……あ、ナイス粉塵」

 

 

一般人と変わらない容姿。これが人類の英雄である。

 

彼が帰って来た時は大いに喜び、喜びのあまり抱き付いてしまうほどはしゃいでしまった。しかし、このだらしない姿を見て少し失望している。

 

 

「……はぁ」

 

 

聖天子は溜め息をつき、机にうつ伏せになる。もう全て投げ出したかった。

 

 

「別に投げてもいんじゃねぇの? 部下にやらせるとか」

 

 

「なりませんッ。上に立つ人間がこの程度で音を上げるにはいきません」

 

 

「こ、この程度なのか……」

 

 

大樹はその発言に引いていた。確かに『この程度』で済む量ではない。

 

 

「……大樹さん」

 

 

「あん?」

 

 

「手伝って—―—」

 

 

「やだ」

 

 

「—―—報告書、まとめておきますね」

 

 

「一体何の報告書を書こうとしてんだよ!? ってあぁ!? 嫁だけには勘弁を!?」

 

 

こうして書類は大樹の手伝いもあり、無事に3日後に終わった。八割は大樹が頑張りました。まる。

 

 

 

________________________

 

 

 

 

「あれ? これは何かしら?」

 

 

優子は教会の奥の部屋、大樹の部屋で一冊の手帳のようなモノを見つけた。大樹に頼まれた探し物はすでに見つかっているため、少しだけ中を覗く。

 

手帳を開くと、それが日記だとすぐに判明した。

 

 

「日記……大樹君のかしら?」

 

 

「優子さん。黒ウサギも見つかり……あれ? それは大樹さんの日記帳ですよね?」

 

 

ウサ耳がなくなった黒ウサギも部屋に入って来る。いろいろと騒ぎはあったが、とりあえず大樹が一生懸命慰め、何とか今は落ち着いている。

 

 

「知っているの?」

 

 

「YES! ここに来る前に持ってきていたモノですよ」

 

 

優子は最初のページを開き、最初の日付の出来事読み上げる。

 

 

 

『チャッ○ーに追われた』

 

 

 

「いきなり意味が分からないのだけれど!?」

 

「と、唐突ですね……」

 

 

 

『その後はグロい犬に囲まれて』

 

 

 

「最初からガストレアに遭遇したのね」

 

「た、大変そうですね……」

 

 

 

『何か仮面の男と女の子がいたから適度にボコした』

 

 

 

「「あ……(察し)」」

 

 

 

『この世界のことをいろいろ聞いた。いろんなことを思ったがやはり、許せない』

 

 

 

「差別された子どもたちのことよね」

 

「【呪われた子供たち】は黒ウサギもショックでしたから、大樹さんも相当怒っていたはずです」

 

 

 

『何で嫁と一緒じゃねぇんだよ! ぶっ殺すぞ!!』

 

 

 

「怒るポイントはそこなの!? 話題がズレているわよ!?」

 

「怒るところが違うのですよ!?」

 

 

 

『嫁に会える。会えない。会える。会えない。会える。会えない。会える……花占いはクソだと思う』

 

 

 

「結果は会えないだったのね」

 

「意外と乙女なことをしていることに黒ウサギはビックリですよ」

 

 

 

『あみだくじもクソだ』

 

 

 

「次のページ、全部あみだくじね……」

 

「全部会えないになっているのですよ……」

 

 

 

『仮面の男と世界を掌握することを約束した』

 

 

 

「規模が大きくなっていないかしら!?」

 

「東京エリアの話はないのですか!?」

 

 

 

『あとは後ろから俺が刺せばオッケー☆』

 

 

 

「大樹君裏切るつもりだったの!?」

 

「そう言えば……結局先に裏切られるのは大樹さんでしたよね……」

 

「……何か可哀想だわ」

 

 

 

『そして、俺は嫁に会うことができた。そして、感動をみんなに伝えたい』

 

 

 

「「……………」」

 

 

 

『どさくさに紛れておっぱい触ったけど、正直腕を飛ばしてもいいからもう一回触りたい』

 

 

 

「しょ、正直に書くわね……」

 

「まぁ黒ウサギたちの前でも『ナイスおっぱい』とか言いますからね」

 

「ちょっと欲望に忠実過ぎないかしら? もう少し抑えて生きていくほうがちょうどいいわよ」

 

 

 

 

『優子の控えめなおっぱいも最高でした!』

 

 

 

「殺すわ」

 

「抑えてください! 抑えてくれないと大樹さんが死にますよ!?」

 

「抑えすぎてこれ以上小さくなったらどうするのよ!?」

 

「何がですか!?」

 

 

「ちょっとうるさいわよ? どうしたのよ」

 

 

「あら? その手帳はもしかして大樹君の?」

 

 

扉を開けて入ってきたのはアリアと真由美。黒ウサギは「なんでもないですよ!」と言うが、優子は涙目だった。

 

 

「これ……大樹君のバカ日記よ……」

 

 

(優子さん、完全に拗ねているのですよ……)

 

 

「律儀ね。どういう風の吹き回しかしら?」

 

 

「大樹君が日記なんて想像つかないわ」

 

 

アリアは本物かどうか疑い、真由美も半信半疑だった。

 

 

「それで、何が書いてあるのかしら?」

 

 

アリアが続きを読む。

 

 

 

『黒ウサギと真由美のおっぱいは何というか……凄かったです』

 

 

 

※ここから先は台本形式です。ゴチャゴチャし過ぎて作者も混乱したので。べ、別にクリスマスは関係ないんだからね!

 

 

優子「殺しましょ」

 

アリア「ええ、手伝うわ」

 

黒ウサギ「お二人方お待ちを!? たまたまですよ! 偶然です!」

 

アリア「偶然で胸は大きくならないわよ黒ウサギ。風穴開けるわよ」

 

黒ウサギ「何故か黒ウサギも敵対されているのですよ!?」

 

真由美「つ、続きを読みましょ! 争いはいけないわ!」

 

 

 

『しかし、俺はヘタレだ。女の子に手を出せない。出したいが出せない。クソ、リア充はどうやって彼女を作ったんだ』

 

 

 

優子「か、悲しい一文ね……」

 

黒ウサギ「確かに黒ウサギと一緒に寝ても手を一切出さなかったのですよ……」

 

アリア「黒ウサギ。今の話、あとでゆっくりと聞くわ」

 

真由美「そうね。しっかりと……ね?」

 

黒ウサギ(大樹さん。命の危機はこうやって感じ取るのですね……)

 

 

 

『教会を修復。これで子どもたちの安全を守るぜ!』

 

 

 

優子「今じゃ立派な教会になっているわね」

 

黒ウサギ「YES! 設備も十分に整っているので不自由なことは何一つありません」

 

アリア「本当にボロかったのねここ。やっぱり大樹は凄……人外ね」

 

真由美「素直に褒めてあげてもいいんじゃないかしら……」

 

 

 

『イエスロリコン! ノータッチロリコン!』

 

 

 

優子「危ない発言のようでセーフなのかしら?」

 

黒ウサギ「アウトだと思います」

 

アリア「えぇアウトね」

 

真由美「私もアウトでチェンジね」

 

優子「……アタシもアウトで」

 

 

 

『嫁と手を繋いだりしたいが、自分から触ったら嫌われそうなので自分の手と手を繋いで我慢します』

 

 

 

優子「悲しいわよ!」

 

黒ウサギ「大樹さん……そのくらいで嫌いになるわけないじゃないですか」

 

アリア「やっぱり奥手過ぎるわね……恋愛経験ゼロなのが見え見えだわ」

 

真由美「ま、まぁそこが大樹君のいいところじゃない」

 

 

 

『さっきから嫁嫁っとさりげなく書いているのが恥ずかしい。でも書きたい』

 

 

 

優子「何か……子どもね……」

 

黒ウサギ「幼い……とは言えませんが発想が」

 

アリア「中学生ね」

 

真由美「好きな子の名前を呼びたいけれど苗字で呼んでしまう男の子の心境かしら?」

 

(((どうして真由美(さん)がそこまで分かっているのかは聞かないでおこう)))

 

 

 

『美織嬢から10億もするビームサーベルを見せてもらった。構造はこっそりと覗き見させてもらったので、理解できた。こっそり作ってベッドの下に隠して置こう』

 

 

 

優子「……あったわ」

 

黒ウサギ「凄いですね……アレと本物そっくりですよ」

 

アリア「何でこんな無駄なモノを作るのかしら……」

 

真由美「これは……経費ね。いくらかしら?」

 

 

———1万五千円。

 

 

優子「安すぎないかしら!?」

 

黒ウサギ「10億をここまで安くするのは無理があるのでは!?」

 

アリア「待って! 起動できたわ!」

 

真由美「どういう原理なのか。そんな考えは放棄しましょ。納得したいなら答えは『大樹君』よ」

 

(((あ、納得できそう)))

 

 

 

『菫先生から死体の胃袋から取り出されたドーナツを食わされた。しばらく何も食べたくなおろろろろろ』

 

 

 

優子「……次のページに行きましょ」

 

「「「うん」」」

 

 

 

『いろいろあり過ぎて書くのダルい。省略すると東京エリアの危機でーすッ! ざまああああああwwwww!!』

 

 

 

優子「あれ!? 何でこんなことを書いているの!?」

 

黒ウサギ「助けたかったはずですよ!? あのかっこいい大樹さんはどこに!?」

 

アリア「聞いた話と違うのだけれど!? どういうことよ!?」

 

真由美「待って! 続きがあるわ!」

 

 

 

『俺の嫁に手を出したり子どもをいじめるからそうなるんだよ! バーカッ!』

 

 

 

優子「そ、そういう意味なら少しは理解———」

 

 

 

『ふぁーーーwww このままガストレアの侵入許しちゃおwww』

 

 

 

優子「———理解できない!?」

 

 

 

『マジでうけるwwwこのパニックに乗じて悪人の銀行通帳ハッキングし放題www金も草も増えるwww』

 

 

 

黒ウサギ「ちょっとウザいですね……というか犯罪ですよ!?」

 

アリア「あの頃から全くブレないわね……」

 

真由美「むしろ酷くなったと思うのは私だけかしら?」

 

 

 

『スコーピオン、やっつけた。よし、寝るか』

 

 

 

優子「軽ッ!」

 

黒ウサギ「あの炎は異常ですよ……普通に出すような人は、大樹さんだけしかいないですよ」

 

アリア「大体何が起きたのか分かるの自分が嫌いだわ」

 

真由美「モニターを見ていた人たち、全員口が開いていたわね」

 

 

 

『ここで真剣な話をしよう。最近、思うんだ。俺は一体どっちなのか』

 

 

 

優子「大体予想が付くわね」

 

黒ウサギ「黒ウサギも」

 

アリア「あたしもよ」

 

真由美「みんな分かっているのね」

 

 

 

『俺はおっぱい派なのかお尻派なのか』

 

 

 

「「「「知ってた」」」」

 

 

 

『いや、知ってたとか言わないでいいから一緒に考えてよ』

 

 

 

優子「見透かされてる!?」

 

黒ウサギ「ちょっと怖いですよ!?」

 

アリア「落ち着きなさい! 次の文を見るのよ!」

 

 

 

『って俺しか読まねぇだろ』

 

 

 

優子「あ、馬鹿だったわ」

 

 

 

『なんか悪口言われているような気がする』

 

 

 

優子「やっぱり見透かされてる!?」

 

 

 

『かゆ……うま……』

 

 

 

黒ウサギ「ゾンビ!?」

 

 

 

『まぁ死ねない体ですけどね』

 

 

 

アリア「ウザいわね! この書き方腹が立つわ!」

 

 

 

『マジなんなの。ガチガチの装備でリオレ〇アで乙する奴、何なの!?』

 

 

 

真由美「急に話題が変わっているわよ!?」

 

 

 

「「「「はぁ……はぁ……」」」」

 

 

文句を言い過ぎた一同。全員肩を上下している。

 

 

優子「や、やめましょ。何があっても冷静に捉えるのよ……」

 

黒ウサギ「そ、そうですね……」

 

アリア「あたしも賛成よ……」

 

真由美「じゃあ読みましょう」

 

 

 

 

 

『今日は街中の女の子のお尻をペロペロした。おやすみ』

 

 

 

 

 

優子「しばきに行くわよ」

 

 

「「「了解」」」

 

 

 

________________________

 

 

 

優子「———少しやり過ぎたかしら?」

 

 

黒ウサギ「いいえ、大樹さんはあれくらいしないと反省しませんッ」

 

 

アリア「黒ウサギに同意よ。全く、今日は口を利いてあげないわ」

 

 

真由美「多分、それは大樹君が自殺するわ……」

 

 

大樹をしばき終えた女の子たち。大樹は「えぇ!? 急にどうし———ごばッ!?」となった。今は玄関の入り口近くで倒れている。

 

彼女たちは続きを見る。

 

 

 

『まぁそんな度胸、俺にはないけどな。そもそも好きな人がいるのにできるわけない』

 

 

 

「「「「あッ」」」」

 

 

不穏な空気が流れる。彼女たちは目を合わせた後、頷いた。

 

 

優子「こ、これから少しだけ優しく接しましょ」

 

 

黒ウサギ「そ、そうですね。大樹さんも誤解するようなことを書いたので五分五分ですよ」

 

 

アリア「えっと、そ、そうね。むしろあたしたちは悪いことはないわ」

 

 

真由美「じゃあ今日は私が手作り料理を作ってあげるわ」

 

 

優子&黒ウサギ((それは優しくない))

 

 

アリア「?」

 

 

優子と黒ウサギは視線を逸らし、真由美の料理の腕を知らないアリアは首を傾げた。

 

彼女たちは悪いという気持ちを自覚していた。人の日記を勝手に読み、大樹をアレしてしまったことに。

 

 

黒ウサギ「つ、続きを読みましょう!」

 

 

優子「そ、そうね。黒ウサギの言う通りよ」

 

 

黒ウサギの言葉に真由美は頷く。そして、次のページをめくった。

 

 

 

『リオ〇イア 正正正正正正

 リオレ〇ス 正正正      』

 

 

 

優子「日記として機能できていないわよ!?」

 

黒ウサギ「何を数えているのですか!?」

 

 

 

『もきゅ 正正正正正正正正正正

 にゃん 正正

 だもん 正正正』

 

 

 

アリア「また数えてあるわね……」

 

真由美「これは何かしら?」

 

 

 

『結果、嫁たちの語尾にもきゅを付けることを提案する』

 

 

 

「「「「却下!!」」」」

 

 

 

『今日は金髪の女の子に出会った。まぁ出会い方は絶対に普通じゃないと思うが。名前はティナ・スプラウトらしい』

 

 

 

優子「ティナちゃんとの出会い方が気になるわね……」

 

黒ウサギ「どうやら続きがあるみたいですよ?」

 

 

 

『とりあえず後をつけた』

 

 

 

アリア「風穴ね」

 

真由美「言い逃れができない犯罪じゃない……」

 

 

 

『なるほど。聖天子の暗殺を企んでいたか。後をつけて正解だったぜ。こりゃ護衛に力を入れるしかねぇ』

 

 

 

優子「……ズルくないかしら?」

 

黒ウサギ「これ、絶対に誤解されるような書き方ですよ……」

 

アリア「わざとね」

 

真由美「性質が悪いわ……」

 

 

 

『やっぱり襲われたww1キロ先からの狙撃ww余裕wwコポォww』

 

 

 

優子「舐めているわね……」

 

黒ウサギ「ティナさんが見たら絶対に怒るのですよ」

 

 

 

『すげぇ。ここからでもパンツが覗けた』

 

 

 

アリア「有罪ね」

 

真由美「その前にどんな視力をしているのよ!?」

 

 

 

『この一週間、ティナとデート三昧だった。嫁に仕事と言って出掛けるのが辛かった。多分、浮気ってこういう気持ちになるんだな』

 

 

 

優子「……罪悪感があるなら許してあげてもいいわね」

 

黒ウサギ「そうですね。最終的にティナさんを救いたかったらしいですからね」

 

アリア「やっぱり大樹らしいわね」

 

真由美「いつまでも変わらない。それがいいのかもしれないわ」

 

 

 

『ティナに殺されそうになった(泣)』

 

 

 

優子「何が起きたのかしら!?」

 

黒ウサギ「唐突過ぎますよ!?」

 

 

 

『血の量が尋常じゃない。これはヤバ』

 

 

 

「えッ? おかしいわね。ここで途切れているわ」

 

「ちょっと優子!? 生きているのに死んだみたいな演出はやめてくれないかしら!?」

 

「待って真由美……見開き1ページ開けて、続きがあったわ」

 

「無駄な演出はやめて欲しいのですよ!?」

 

 

 

『おはよう。というわけ今、病院のベッドの上です』

 

 

 

「「「「何があったの(ですか)!?」」」」

 

 

 

『ティナ救った。悪の組織もぼちぼち潰した。恩恵使えなくなった』

 

 

 

優子「箇条書きしないで欲しいわ!」

 

黒ウサギ「何のための日記ですか!?」

 

アリア「さらりと最後とんでもないことを言っていないかしら!?」

 

真由美「そう言えば知らなかったわね。大樹君、弱くなったのよ」

 

 

 

『弱い。俺は弱い。多分、本気を出してもモノリスを半壊しかできねぇ』

 

 

 

アリア「本当に弱くなったの!?」

 

優子「う、嘘じゃないわアリア!」

 

黒ウサギ「そうです! 優子さんの言う通りですよ!」

 

真由美「落ち着いて二人とも。弱くなったけれど、『強くない』とは言っていないわ」

 

「「「なるほど」」」

 

 

 

『やったぜ! 今日は嫁たちとデートだ! これは楽しむしかねぇ!』

 

 

 

アリア「……ふーん」

 

優子「あ、アリア……そんな目で見ないで……」

 

黒ウサギ「く、黒ウサギたちはティナさんの監視という重大な任務が……」

 

真由美「そうよ! 決して遊んでなんか———」

 

 

 

『優子の服選び。全部可愛いから反応に困る』

 

 

 

優子「……………」

 

 

 

『黒ウサギとカップル専用の飲み物を飲もうとしたが、恥ずかし過ぎる。意外と大胆なんだよな、黒ウサギ』

 

 

 

黒ウサギ「……………」

 

 

 

『真由美とのツーショット。これは俺が恥ずかしい。何故平気な顔でお姫様抱っこできたのだろうか』

 

 

 

真由美「……………」

 

 

 

『さて、本来の目的であったティナの服選び。ちゃんと可愛い服を選べました。まーる』

 

 

 

アリア「さて、言い訳はあるかしら?」

 

優子「待って! アタシはちゃんと服を選んでいるわ! 黒ウサギと真由美が問題よ!」

 

黒ウサギ「売られました!? でも待ってください! 黒ウサギは大樹さんが服選びばかりだと飽きてしまうと思っての考慮です!」

 

真由美「そうね! 私も同じよ! 大樹君が飽きてしまわないように———」

 

 

 

『黒ウサギと真由美の服もちょっとだけ選びたかったな』

 

 

 

黒ウサギ「大樹さん!?」

真由美「大樹君!?」

 

 

アリア「優子は無罪でいいわ。他二人は有罪ね」

 

優子(ちゃんと服を選んでいて良かったわ……本当は他の所も少し回ったことは言わない方がいいわね)

 

 

 

『いつかアリアと美琴の服も選びたい。そのためには必ず救わないといけない』

 

 

 

アリア「……ちゃ、ちゃんとあたしのことも考えているのね」

 

真由美「そうね。今度、二人で行って来たらいいわ」

 

アリア「真由美……」

 

黒ウサギ「そうですよ! 行くべきです!」

 

アリア「黒ウサギ……ええ、そうね」

 

 

アリアは良い笑顔で告げる。

 

 

アリア「でも、話はするから」

 

真由美「逃げられなかったわ……」

 

黒ウサギ「さすがですよ……」

 

 

 

『おはよう。眠すぎて死にそう』

 

 

 

優子「だから唐突過ぎるわよ……」

 

 

 

『鉛を溶かしながら目の治療をするとかムズいだろッ! 普通できねぇよ!』

 

 

 

アリア「何があったの?」

 

黒ウサギ「実は子どもがカクカクシカジカですよ」

 

アリア「ふーん。やっぱり大樹は優しいわね」

 

黒ウサギ「YES! 今は教会で元気に過ごしていますよ」

 

 

 

『あ、手元が狂った。これはもうどうしようもない。替え玉を用意しよう』

 

 

 

「「「「えええええェェェ!?」」」」

 

 

 

『ラーメン、ラーメン、俺はとんこつから醤油に変える。とんこつ、お前のネチョネチョになった勇姿は忘れない』

 

 

 

優子「カップ麺じゃない!」

 

黒ウサギ「手元が狂うと言うより置いた時間が長いだけですよ!?」

 

アリア「腹が立つわね! もう一度殴りに行きましょ!」

 

真由美「待って」

 

 

真由美の真剣な声に全員が止まる。真由美は次の文を読み上げた。

 

 

 

『アリアと出会った。しかし、緋緋神に乗っ取られていた。悔しい。何もできなかったことが。殺されそうになったことが』

 

 

 

彼女たちは無言で次のページをめくる。

 

 

 

『原田のことを疑い、俺は完全に屑になった。もう自分が何をしたいのか分からない。だが目的は決まった。あの世界に戻り、アリアを救う方法を見つけ出す。それが、今ある目的』

 

 

 

優子「大樹君、結構追い詰められたから余裕が無かったのよ」

 

黒ウサギ「黒ウサギも、痛いほど分かりました」

 

アリア「……………」

 

真由美「あまり気にすることはないわよ。こうして今、幸せになれているのだから」

 

優子「そうよ。アリア、落ち込む必要なんて無いわ」

 

黒ウサギ「YES! 笑顔でいてください!」

 

アリア「……そうね。ありがとう」

 

 

 

『鬱だ、死のう』

 

 

 

「「「「ちょっと!?」」」」

 

 

 

『冗談だ。怒るなよ』

 

 

 

優子「また読まれているわよ!? やめてくれないかしら!?」

 

 

 

『ここから先はあっちの世界での出来事を書く。まだ詳しく嫁に話していないし、嫁に言えないようなことを書くけど、このスリルがたまらないぜ!』

 

 

 

「「「「ッ!」」」」

 

 

四人は視線を合わせる。同時に大樹の馬鹿を確信する。

 

 

優子「これは見るべきじゃないかしら」

 

黒ウサギ「そうですね。黒ウサギたちに言えないことも書いてあるようですし……」

 

アリア「あまり詳しく聞いていないから気になっていたのよ」

 

真由美「ええ、読みましょ」

 

 

 

『と思ったけど眠いからやめる。おやすみ』

 

 

 

「「「「何で(ですか)!?」」」」

 

 

 

『俺は将来、桂〇 桂馬のような恋愛マスターになりたい』

 

 

 

「「「「何で(ですか)!?」」」」

 

 

 

『そろそろ目からビームを出していい時期だと思う』

 

 

 

「「「「何で(ですか)!?」」」」

 

 

 

『ツッコミがワンパターンになってない?』

 

 

 

「「「「読まれてる!?」」」」

 

 

 

『読み返して気付いた。コイツ、ムカつく。書いている奴、誰だよ』

 

 

 

「「「「大樹(君)(さん)でしょ!!」」」」

 

 

 

『馬鹿なことをしていないで続き書くか。無事に俺とティナはあっちの世界に転生できた』

 

 

 

アリア「ティナと一緒だったのね」

 

優子「大樹君だけじゃ不安だったからね」

 

黒ウサギ「黒ウサギは主戦力として残されました」

 

真由美「私と優子も魔法があるから残ったわ。あっちの世界で適材適所だったのは彼女だったのよ」

 

 

 

『そして、国際指名手配犯になりました』

 

 

 

「「「「だから何で(ですか)!?」」」」

 

 

 

『どうやら美琴とアリア、キンジが行方不明になったせいで俺が殺人の容疑で疑われた。みんな俺を狙って撃つわ撃つわ。全く効かないけど、悲しい。キンジ、くたばれ』

 

 

 

優子「そういうことね」

 

黒ウサギ「何故かキンジさんだけ当たりが強いのですよ……」

 

アリア「さすがあたしの奴隷ね」

 

「「「奴隷!?」」」

 

 

 

『夾竹桃、理子、平賀、武藤はどうでもいいとして、次々と友達に会っていくなか、コルト・パイソンがぶっ壊れた。ヒルダ、許さねぇ……!』

 

 

 

アリア「ヒルダ!? どうして【竜悴公姫(ドラキュリア)】と戦っているのよ!?」

 

優子「その名前から大体ヤバイってことは察したわ」

 

黒ウサギ「黒ウサギも、ただ者ではないことが分かりました」

 

真由美「また厄介ごとに巻き込まれているのね……」

 

 

 

名古屋女子武偵(ナゴジョ)に囲まれたった』

 

 

 

アリア「もう! だから何でよ!?」

 

優子「確か武偵って……アリアと同じような人たちよね?」

 

アリア「そうよ優子。簡単に言うと、警察より厄介な集団に囲まれているわ」

 

優子「どのくらい厄介なの?」

 

アリア「発砲許可が下りてる」

 

優子「それは厄介というより危ないわね……」

 

 

 

名古屋武偵男子(ナゴダン)にも囲まれたった』

 

 

 

アリア「何で増えるのよ!?」

 

 

 

『こうして無事に目的を達成した後は中国に飛び立ちました』

 

 

 

黒ウサギ「えぇ!? 解決したのですか!? あっさり過ぎないですか!?」

 

アリア「あたし……頭が痛いわ……」

 

優子「アタシも……」

 

真由美「そんなに簡単に国に入れるのかしら? 国際指名手配犯なんでしょ?」

 

 

 

『タラララタッタッタ~♪ トッキーが仲間になった!』

 

 

 

「「「「誰!?」」」」

 

 

 

『トッキーの職権乱用で国外逃亡成功。現在警察に追われております』

 

 

 

優子「成功してないじゃない!」

 

黒ウサギ「失敗ですよ!」

 

アリア「下手ね。船で近づいて泳いだ方が確実よ」

 

真由美「あら? 確か大樹君から聞いた話だと泳げな———」

 

アリア「———黙りなさい。大樹はあとで風穴だから黙りなさい」

 

 

 

『曹操四姉妹に狙われた。非常に厄介な相手と聞かされていたが、楽勝だな。あと緋緋神に遭遇』

 

 

 

優子「最後が一番重要じゃないかしら!?」

 

黒ウサギ「だからどうして簡単に流すのですか!?」

 

 

 

『どうやら緋緋神は(コウ)にも乗り移れるようだ。これはもっと先の日で気付いたが、覇美にも乗り移れるらしい』

 

 

 

アリア「……へぇ、本当みたいね」

 

真由美「確認を取ったのね?」

 

アリア「ええ、できるらしいわ。今はあたしが抑えているからできないわ」

 

真由美「そうね。あまり人に迷惑をかけないようにしないとね」

 

アリア「もうする気はないみたいよ」

 

 

 

『そして、俺の最高で最強の師匠、姫羅に出会った』

 

 

 

「「「ッ!」」」

 

真由美「……これって大樹君の師かしら? でも死んだって聞いたわよ?」

 

優子「……ええ、そうよ。アタシも今初めて知ったわ」

 

黒ウサギ「姫羅さんが……」

 

アリア「……続きを読みましょ」

 

 

 

『その時の俺は酷いモノだった。姫羅が苦しんでいるにも関わらず、俺はそれに気付くこともできず、ただただ刀を振り続けた。

 

それだけ、姫羅が敵になったことが許せなかった。

 

結局鬼の力を頼り友を、大切な人を悲しませ、怯えさせた。

 

そこからは酷い出来事ばかりだ。

 

ロシアに行こうとするも、墜落してティナに重傷を負わせてしまう。そこで姫羅の鬼に出会い、本格的に力に飲まれ飲み込み、狂った。

 

病院にティナを置いて行き、一人でイギリスへと向かう。今思い返せば、絶対に反省すべき点。二度としないことを誓う』

 

 

 

優子「そんなことが……」

 

黒ウサギ「やはりあちらでも苦しんでいたのですね……」

 

アリア「バカよ……もっと周りを頼りなさいって言っているのに……」

 

真由美「大丈夫よ。今の大樹君を見れば分かるでしょ?」

 

アリア「……そうね。続きを読みましょ」

 

 

 

『というわけで巨乳メイドを雇いました』

 

 

 

その時、空気が絶対零度並みに凍った。

 

 

 

『リサ・アヴェ・デュ・アンク。本当に凄いメイドだった。料理の腕は超一流だし、俺の好みや体調を全て掌握して食事を出す。会計なんか七割引きさせるとか、もう完璧過ぎる。嫁に修行させたい』

 

 

 

さらに空気が凍った。ここは氷河期。

 

 

 

『そして美人で巨乳と来た。これ、欠点あります?』

 

 

 

教会にいた子どもたちの会話が聞こえる。「何か寒くない?」「奥の扉……凄いオーラが……!」「せ、先生! 部屋の奥が!」「大樹先生が庭に埋められているんだけど!?」「えぇ!?」

 

 

 

 

 

『やはり俺は、おっぱい派なのかもしれない』

 

 

 

 

 

 

———大樹の絶叫が轟きました。

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

『―――というわけでシャーロックが生きていることが判明。ワトソンや……ジェームズ?に追われるはめになったが、何とかアリアの母、かなえさんに会うことができた。ついでに金一とパトラも出会った』

 

 

優子「ここでやっと会えたのね」

 

黒ウサギ「アリアさんのお母様に黒ウサギは会ってみたいですよ」

 

アリア「ええ、ママのおとぎ話(フェアリーテイル)を聞いたら幸せ一杯な気分で眠れるわよ」

 

真由美「それは楽しみね。どんな物語かしら?」

 

 

女子の会話は盛り上がる。大樹? 誰それ?

 

 

 

『こうして再度アリアを救うことを決意した俺は妹のメヌエットに会いに行った』

 

 

 

優子「意外ね。妹がいるの?」

 

黒ウサギ「黒ウサギもびっくりですよ」

 

アリア「クォーターよ。メヌは純血の英国人。あたしなんかよりよっぽど推理力がいいわ」

 

真由美「大樹君、また妹に手を出したのかしら」

 

アリア「出したら風穴乱舞よ」

 

黒ウサギ「もう既に外で……いえ、何でもないです……」

 

 

 

『こうして俺はメヌエットのお馬さんになりました』

 

 

 

「「「「何でッ!?」」」」

 

 

 

『ヒヒーンヒンヒンヒヒン。ヒヒーンヒン? ヒンヒン、ヒヒーンヒヒーン』

 

 

 

優子「何語よこれ!?」

 

黒ウサギ「解読できないですよ!?」

 

 

 

『危なかった。メヌエットの催眠術を鏡の前で真似したら自分にかかった。ティナにお尻を蹴られなかったらずっと馬のままだったわ』

 

 

 

アリア「何してるのよ!?」

 

真由美「馬鹿だわ……もう本物の馬鹿よ……」

 

 

 

『二度目だよ。ティナに馬になってるとこ見られるの』

 

 

 

優子「二回も!?」

 

黒ウサギ「一体何をやっているのですか!?」

 

 

 

『俺は一体何をやっているんだ!?』

 

 

 

黒ウサギ「こちらが聞いているのですよ!!」

 

 

 

『ところで日記を書いてて全然気づかなかったのですが、外に生き残りのガストレアが見えます』

 

 

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

 

 

『おっと、話がズレていたな。そんなことより続きを書こう』

 

 

 

優子「待って!? そのガストレアはどうなったのよ!?」

 

黒ウサギ「書いてないのですよ!? どこにもガストレアのことがないのですよ!?」

 

アリア「気になるから書きなさいよ!」

 

真由美「どうしてそんな意地悪をするの!?」

 

 

 

『続きはWebで!』

 

 

 

「「「「ウザい!!」」」」

 

 

 

『それにしてもティナに謝った謝った。激おこだったからな。腕を組んで頬膨らませているのは姿は可愛いかった』

 

 

 

優子「反省してるのかしらこれ……」

 

 

 

『まぁ嫁の怒った姿も可愛いことは今更言うまでもない』

 

 

 

黒ウサギ「て、照れますね……正直に書き過ぎです……」

 

 

 

『でも割合的に痛いのが多いので優しくしてください』

 

 

 

アリア「もう手遅れよ……」

 

 

 

『無理ならドMになるしかねぇ!!』

 

 

 

真由美「やめて!?」

 

 

 

『そんなわけでメヌエットとゲームしたが、とりあえずメヌエットには新しい学校や親友に会わせて人生を謳歌させた。バッチグー』

 

 

 

優子「……ありがとうって素直に言える?」

 

アリア「なッ!? 余計なお世話よ優子!」

 

 

 

『多分、アリアに話したらグーが返って来そうなのでやめておく』

 

 

 

黒ウサギ「……アリアさん」

 

アリア「何よ!? 黒ウサギまで!?」

 

 

 

『チューが返って来たらいいなぁ(チラッ)』

 

 

 

真由美「するの?」

 

アリア「しないわよ!!」

 

 

 

『しないのか……』

 

 

 

アリア「何で会話に入って来ているのこれ!?」

 

黒ウサギ「アリアさんがそう答えると予想していたのでは?」

 

優子「アタシでも、少しだけできそうだわ」

 

真由美「不思議ね。私もよ」

 

 

 

『悲報 鬼に飲まれる』

 

 

 

優子「飲まれたの!? というか何この書き方!?」

 

黒ウサギ「ニュースで報道されませんよ!?」

 

 

 

『余裕で討ち破りました。あの時は死にそうでした』

 

 

 

アリア「だから矛盾してるわよ!」

 

真由美「一体どっちが真相なのかしら……?」

 

 

 

『その後シャーロックに拾われて、命を救われた。でも俺が寝ている間に人体実験するのは良くない』

 

 

 

アリア「お爺様!?」

 

優子「どうしてそんなに危ない出来事が起こるのかしら……」

 

黒ウサギ「黒ウサギも、不安ですよ……」

 

真由美「そうね……大樹君だからよ」

 

黒ウサギ「真由美さん。それを言えばいいってわけじゃ……」

 

 

 

『こうして、俺の血は豚だろうがキンジだろうが血液型を同じになってしまうことが分かった』

 

 

 

「「「「えええええェェェ!?」」」」

 

 

 

『ブヒイイイイイイイィィィ!!』

 

 

 

優子「だから何を書きたいのよ!?」

 

黒ウサギ「血の話はどうなったのですか!? 凄く気になるのですよ!?」

 

 

 

『また……催眠術に……』

 

 

 

アリア「ホント学習しないわね!?」

 

真由美「わざわざ日記に書くことかしら……」

 

 

 

『延珠ちゃんの蹴りは洒落にならない』

 

 

 

優子「命懸けじゃない!?」

 

黒ウサギ「それより子どもに何をさせているのですか!?」

 

 

 

『残念ながら俺に残ったのは快感ではなく、後悔と虚しさ。そして、怪我だけだった』

 

 

 

「「「「馬鹿ッ!?」」」」

 

 

 

『あぁ^~尻がジンジンするんじゃぁ^~』

 

 

 

優子「もう付き合っていられないわ……」

 

黒ウサギ「日記、半分以上残っていますよ……」

 

 

 

『もう書くの疲れた。ページ飛ばそ』

 

 

 

黒ウサギ「一気に無くなりました!?」

 

優子「勿体ないわよ!?」

 

 

 

『勝利。四十人だけで四百万人の戦争に勝った』

 

 

 

「「「「嘘ッ!?」」」」

 

 

とんでもないことが書かれていた。

 

 

 

『勝利。神の力が無くなっていても姫羅にボコボコにされる程度で済みました』

 

 

 

優子「負けてないかしら!?」

 

黒ウサギ「どれだけ怪我をしたのですか!?」

 

 

 

『まーた腕がもげちゃったよ』

 

 

 

アリア「重傷じゃない!?」

 

真由美「どうしてあるのかしら……ヒトデの仲間か何かなの?」

 

 

 

『とりあえず俺は姫羅を救うことができた。あの時はボロボロ泣いちまったけど、本当は最後まで顔を見ていたかった。例え許されない存在だとしても、許してくれる存在がいる。まぁ俺とか俺とか俺とか? だから、あのまま消えないで欲しかった。

でも約束は忘れない。この誓った約束、姫羅と赤鬼、邪黒鬼に恥じた姿を見せるわけにはいかない。これからも俺は、救い続ける』

 

 

 

優子「……立ち直れたのね」

 

黒ウサギ「姫羅さんが救われてよかったです」

 

アリア「救えなかったら風穴祭りよ……ちゃんと頑張ったのね」

 

真由美「ふふッ、さすが大樹君よ」

 

 

 

『その後は空を覆うUFOみたいなのを消したり、男に憑りついた何かを消しました』

 

 

 

優子「気になるわよ!」

 

黒ウサギ「もっと具体的に表現してください!」

 

 

 

『ら、ラ〇ュタは本当にあったんだ!』

 

 

 

アリア「もういいわよ!」

 

真由美「この日記を読むには諦めが大事だわ……」

 

 

 

『緋緋神の情報をゲット! これで解決策は……ねぇよ』

 

 

 

「「「「ないの!?」」」」

 

 

 

『確かにパイプを切れば緋緋神はアリアの体から出るかもしれない。だが、それでは意味が無い。一方的に突き放したところで、緋緋神は救われない。もしかしたらアリアも救えないのかもしれない。それだけは駄目なんだ』

 

 

 

優子「……しっかりと考えていたのね」

 

黒ウサギ「待ってください。黒ウサギはこのオチの———」

 

 

 

『例え服を脱がすことになったとしても、仕方ないよね』

 

 

 

黒ウサギ「———だと思いました!」

 

アリア「最低よ! 変態! 痴漢! 馬鹿! ゴミ!」

 

真由美「悪口が酷いけれど仕方ないとしか言えないわ……」

 

 

 

『もし駄目だったその先のアレをやってもいいよ………ねぇ?』

 

 

 

アリア「何させるつもりだったのよッ!!」

 

黒ウサギ「次のページが血だらけで解読できないのですよ……」

 

優子「鼻血なの……これ……?」

 

真由美「量が尋常じゃないわ……」

 

 

 

『こんにちは、いつもステキな高〇 純次です』

 

 

 

「「「「誰!?」」」」

 

 

 

『こうして元の世界に帰ることができたけどさぁ……どうなったか知ってる?』

 

 

 

黒ウサギ「何でムカつく書き方をするのですか!?」

 

アリア「確か翼が出せないとか言っていたわね」

 

 

 

『同じ沼にドボンだよ。笑えよベ〇ータ』

 

 

 

アリア「……笑いもしなければ同情もしないわ」

 

優子「厳しいわね」

 

 

 

『あ、ジュピターさん。ガストレアに襲われそうになっている。でも凄いカッコイイこと言ってる! 駄目だ! まだ助けちゃ……あッ……それは……カッコイイいいいいいいィィィ!!!』

 

 

 

真由美「すぐ助けなかったのね……」

 

黒ウサギ「もし怪我をしていたら許せませんッ」

 

 

 

『ジュピターさん死亡のお知らせ』

 

 

 

「「「「死んだッ!?」」」」

 

 

 

『嘘でーすッ☆』

 

 

 

優子「……さすがに慣れたわね」

 

黒ウサギ「ですが、この怒りは消えません」

 

 

大樹死亡、確定。

 

 

 

『ジュピターさんの後はアリア。緋緋神もしっかりと救った。残る問題は山積みだったが、今日で終了させた。聖天子のところに遊びに行くか』

 

 

 

優子「あら? もう昨日のことを書いているの?」

 

黒ウサギ「結構飛ばしましたから」

 

アリア「今日のことで最後みたいね」

 

真由美「長かったわね」

 

 

 

『邪黒鬼のこと、これからどうしようか? まだ嫁たちに話すタイミングが分からない』

 

 

 

———以上、大樹の日記はここで終わっていた。

 

※台本形式、ご愛読感謝の極みです。

 

書いてあることは半分理解、半分不可解な嫁たち。彼女たちは考える。

 

 

「鬼のことよね?」

 

 

「YES! 黒ウサギと優子さんの考えていることは同じかと」

 

 

「日記には何も書かれていなかったわね。その姫羅と一緒に消えたのかしら?」

 

 

「でも『これからどうするか』って書いてあるから生きているのじゃないかしら?」

 

 

うーんっと悩む四人。その時、扉から小さな一匹の黒い犬が入って来た。

 

三日前、大樹が拾って来た子犬だった。真っ黒な毛並みに少し鋭い目つきをしている。賢そうな犬に見えた。

 

しかし、子どもたちどころか嫁にも懐かない。大樹と一緒にいることが多い不思議な犬だった。何故あのような変態に懐くのか……理解できない。

 

 

「何か……見下しているようで気にくわないわね……」

 

 

『そいつは悪かったな。だが見下しているじゃない。観察しているんだ』

 

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 

アリアの言葉に子犬が返した。男の声のような響きに、普通じゃないとすぐに分かる。

 

 

「大樹の仕業ね! まだ反省していないのね!」

 

 

『い、いやアイツは関係ない……とは言えないが、もういい。お前たちは俺のことを知っているだろ?』

 

 

アリアの発言に訂正を加えようとするが、子犬は諦めてしまった。

 

 

「まさか……邪黒鬼ですか!?」

 

 

『ああ、そうだ』

 

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

 

黒ウサギの答えを肯定した。『鬼』のイメージじゃないどころの話ではない。『犬』だ。

 

 

「はぁ……土が服の中に入ってる———何で俺の部屋にいるんだ?」

 

 

ちょうど土の中から這い上がって来た大樹が帰って来た。汚れているが無傷である。

 

 

「って俺の日記!? 隠していたのに何で!?」

 

 

『俺が出した』

 

 

「テメェかジャコ! しばくぞ!?」

 

 

『その名前はやめろと言っているだろ!』

 

 

「うるせぇジャコ! ジャコ! ジャコ! 雑魚! ジャコ!」

 

 

『どさくさ紛れて悪口を言うな!』

 

 

ガブッ!!

 

 

「痛ッ!? 噛むなクソ犬!!」

 

 

『食いちぎってやる!!』

 

 

「お? やってみろよ? その牙、へし折ってやる」

 

 

「……あのー、大樹さん。その犬が鬼なのは本当なのですか?」

 

 

黒ウサギが争う二人に慎重に問いかける。大樹は喧嘩しながら答える。

 

 

「ああそうだよ! 邪黒鬼だ! 今はクソまぬけドブ犬だけどな!」

 

 

『【魔炎(まえん)双走炎焔(そうそうえんえん)】!!』

 

 

「やめろおおおおおォォォ!? 教会燃やす気か!?」

 

 

必死に両手で犬の口を抑える大樹。黒ウサギは呆れてしまい、これ以上の追及をやめてしまった。

 

 

『何故こんな姿になった!?』

 

 

「知るかッ! 俺は巻物に力を少し流しただけだ! あとはお前がやったんだから知っているだろ!?」

 

 

『なら問おう! 動物は何が好きか!』

 

 

「嫁」

 

 

『動物と言っているだろ!!』

 

 

「犬だけど?」

 

 

『それが原因だ! お前の好みがこちらに反映された! 意志の力を巻物に魔法回路に注いだせいでな!』

 

 

「へぇー、あっそ」

 

 

『【魔炎(まえん)双走炎焔(そうそうえんえん)】!!』

 

 

「やめろって言ってんだろうがああああああァァァ!!」

 

 

「ストップ!」

 

 

ピタッと大樹と邪黒鬼———ジャコの動きが止まる。声を出したのは真由美。

 

 

「これ以上の喧嘩はダメよ。仲良くしたのなら、これからも仲良くしなさい」

 

 

「無茶言うな真由美。コイツと俺は犬猿の———」

 

 

『冗談でも言うな小娘。コイツと仲良くなど———』

 

 

「できるわよね?」

 

 

「あ、はい」

『あ、はい』

 

 

「弱ッ!?」

 

 

真由美の威圧の声に大樹とジャコは仲良く震えながら抱き合う。優子は驚愕するしかなかった。

 

 

「大樹さん……」

 

 

「な、何だ黒ウサギ? もうジャコとは仲良くしているぞ? もう愛し合っていると言っても過言じゃない」

 

 

『気持ち悪いことを言うな』

 

 

「好きな動物は……ウサギじゃないんですか?」

 

 

(((((え? そこ?)))))

 

 

「うん、犬」

 

 

(((((えッ!?)))))

 

 

ビックリだった。大樹がウサギより犬の方が好きだと言ったからだ。大樹ならウサギとすぐに乗り換えてもおかしくないと思っていたが……。

 

 

「ど、どうして……」

 

 

「だけど黒ウサギ。よく聞け」

 

 

大樹は黒ウサギの手を握り、微笑む。

 

 

「バニーガールは、超好きだ」

 

 

(((((あ、大樹だ)))))

 

 

おかえり、大樹(変態)

 

 

「でも、今はウサ耳がないから———」

 

 

「あ、アリア!」

 

 

アリアの失言は、止めることはできなかった。

 

 

ズーン……

 

 

黒ウサギは黒い負のオーラを出しながら落ち込んだ。

 

 

「あちゃー、またか……」

 

 

「……ゴメン」

 

 

「素直に謝るアリア。逆に良いな」

 

 

「あんたは一度脳に風穴を開けなさい」

 

 

「ほほう? 俺には切り札がある。人の日記を勝手に見ていいのかな?」

 

 

「そうね。このことを水に流して欲しかったら、土下座しなさい」

 

 

「あれ? 何で俺が逆境に立たされているんだ?」

 

 

「だ、大樹君……黒ウサギ黒ウサギ」

 

 

ハッと優子に言われて気付く。大樹は黒ウサギをベッドに座らせて励ましの言葉をかける。

 

 

「大丈夫だ黒ウサギ! 俺が何とかしてみせる! 多分!」

 

 

「最後余計よ!」

 

 

だって原因が全く分からないもん。どうしようか本気で悩んでいる。

 

 

『……いや、そこの女は原因を知っているはずだ』

 

 

「……………」

 

 

ジャコの言葉に黒ウサギは何も返さない。俺はジャコの襟首の毛を掴み、

 

 

「うるせぇ」

 

 

ゴオォッ!!

 

 

『キャンッ!?』

 

 

そのまま窓から放り出した。音速で。

 

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

 

「どんな理由があっても黒ウサギが言いたくないなら俺は聞かねぇし、聞く必要も無い」

 

 

俺は黒ウサギの頭の上にそっと手を置き、優しく撫でる。

 

 

「信頼しているからな」

 

 

「大樹さん……!」

 

 

黒ウサギは頬を赤く染めて目を瞑る。

 

 

「……大樹さん。黒ウサギのことは———」

 

 

「安心しろ。嫌いになるわけがない」

 

 

「———そうですね。黒ウサギに、言わせてください」

 

 

「ああ、言っていいぞ」

 

 

黒ウサギは大樹の手を握り、自分の頬に置く。俺は抵抗せず、黒ウサギの頬に手を置くことを許容する。

 

———黒ウサギの話をまとめるとこうだ。

 

叙事詩・マハーバーラにて英傑カルナに軍神インドラが課した試練(ゲーム)

 

太陽神の息子であるカルナは不死不滅の恩恵(ギフト)を得た。太陽の鎧を着て生を受けた力は強大だが、引き換えに彼の肌は鎧と一体化。つまり脱ぐことが不可能になってしまった。

 

そしてこの鎧を欲する神が現れた。そう、軍神インドラだ。

 

インドラは彼が己に課した制約を利用し、身分を隠しながら太陽の鎧を寄越せとカルナに命を下す。当然カルナは拒否した。

 

しかしカルナは相手が軍神だと知ると、不死不滅の鎧を渡すことを決意。だが肌と一体化したこの鎧を渡すことは、『覚悟』が必要だった。

 

 

 

 

 

———カルナは、全身の生皮をナイフで剥ぎ取った。

 

 

 

 

 

こうして剥ぎ取った生皮———不死不滅の鎧を軍神インドラに捧げた。

 

その献身に心を打たれたのが帝釈天(たいしゃくてん)様が、一度限りの必勝の槍を授ける。それが———黒ウサギの持った必勝の槍である。太陽の鎧も黒ウサギの恩恵だ。

 

 

「———そして圧倒的な力には、それ相応の対価を支払う必要がございます」

 

 

「……それが今の状態に関係しているのか」

 

 

一度の戦いで槍と鎧を同時に使った場合———英傑カルナと同様、それ以上のペナルティを与えられるのだ。

 

 

「神の力を甘く見ていました。まさか同時に二個も恩恵を使っておいて、この大怪我です」

 

 

「黒ウサギの判断は間違っていねぇ。あの時、槍と鎧を使わなかったら死者は絶対に出ていた」

 

 

「……ですが神気を失い霊格が保たれている状況は不安定です。あの時は最悪、消滅してもおかしくなかったです」

 

 

消滅という言葉に全員が息を飲む。黒ウサギは無理して笑うが、その笑顔は心を痛めるモノだった。

 

 

「絶対にさせねぇよ」

 

 

だが、大樹は違う。彼の瞳には何が何でも黒ウサギを傷つけさせない絶対の闘志が燃えていた。

 

 

「軍神だろうが英傑だろうが知ったことじゃねぇ。神を倒してでも、その(ことわり)をぶっ壊す」

 

 

「大樹、さん……!」

 

 

「今まで見て来ているから分かるだろ? 嘘じゃねぇ、本気だ俺は」

 

 

黒ウサギは目に涙を溜めて、泣きそうな表情で大樹の顔を見る。大樹は笑い、指でこぼれた涙を拭き取る。

 

 

「まぁだから……何だ? その、な……あ、安心しろ……」

 

 

急に照れ臭くなった大樹は視線を逸らしながら言葉を掛ける。それがおかしかったのか、女の子たちはみんな笑いだした。

 

 

「わ、笑うなよ……」

 

 

「ご、ごめんなさい……ちょっと馬鹿みたいだったから……!」

 

 

「優子の言葉、超傷付く」

 

 

「大樹さん……お願いがあります」

 

 

黒ウサギは赤い目を擦りながら大樹を見る。俺は微笑みながら聞く。

 

 

「おう、何だ?」

 

 

「黒ウサギは我慢しました。大樹さんがいない間、とても寂しかったです」

 

 

いつもの調子で喋りだす黒ウサギに安心できるが、言葉が不安。

 

 

「お、おう……俺もだ」

 

 

「ですから、黒ウサギに何かしてください」

 

 

「な、何を……」

 

 

「抱き締めるのは当然ですが、他に何かしてください」

 

 

「他にか……愛の言葉をささやくとか?」(抱き締めるでもハードル高いわ……)

 

 

「大樹さんの言葉は軽いので却下です」

 

 

軽いんだ。俺の言葉。いつも好きとか連呼してるからな。駄目だな俺。

 

いや、本気で何すればいいのか分からないぞ? 何だ? 抱きながらお尻を触るとか? 変態じゃねぇか馬鹿。

 

 

「わー、大樹君が何をするのか楽しみねー」

 

 

優子の棒読みが怖い。

 

 

「風穴」

 

 

二文字でここまで恐怖するのは初めてだな。さすがアリア。

 

 

「風穴♪」

 

 

真由美のは狂気を感じた。

 

 

「せ、せやな……言葉じゃ駄目?」

 

 

「行動で、示してください……」

 

 

顔真っ赤にしてまで言うセリフなのか……まじハードルが高跳びだわ。

 

だが、俺を甘く見たな黒ウサギ。この最強の童貞、逃げる一手はない。

 

 

「黒ウサギ」

 

 

「ッ!?」

 

 

低い声で名前を呼び、黒ウサギを抱き締める。右手は黒ウサギの腰の後ろに回し、左手は黒ウサギのすべすべの顎をクイっと上に動かす。

 

それだけで黒ウサギはパクパクと口を開け閉めを繰り返し、顔は沸騰しそうなくらい真っ赤だ。

 

 

「悪い子には、お仕置きが必要か?」

 

 

俺キメエエエエエエエェェェ!!!

 

いや、誰の真似かって? キンジだよ。ヒスった時の。いやぁ、似合わないな俺。というかキモイ。むしろキモイ。

 

 

「はうぅ……!」

 

 

あれ? 効果あるのか……嘘やん……。

 

……はい、続行。

 

 

「ふぅ」

 

 

「ひゃうッ!?」

 

 

黒ウサギの耳に優しく息を吹きかける。ビクッと体を震えさせて、黒ウサギは俺の肩に頭を置いて身を預ける。

 

 

「それで、本当に行動でいいのか?」

 

 

「や……駄目です大樹さん……」

 

 

「何を言ってる? 大樹様だろ?」

 

 

だーかーらー、何を言っているの俺!? 歯止めが効かないよ!

 

 

「だ、大樹……様……」

 

 

言っちゃったよ……! これはもう乗るしかねぇ。

 

 

「良い子だ……ご褒美は何が欲しいんだ、仔猫ちゃん?」

 

 

「うぅ……!」

 

 

黒ウサギは俺の服をギュッと強く掴みながら顔を隠す。マジ可愛いんだけど。

 

だが、そろそろ時間だ。

 

 

 

 

 

「———満足です」

 

 

 

 

 

「そう、死になさい」

 

 

 

 

 

我が生涯に、一片の悔い無し。

 

 

 

 

 





台本形式だった場面は申し訳ないです。手抜きです。申し訳ないです。

ギャグを入れ過ぎた結果こうなりました。ですが、たまには話が全く進まない話もいいかと思ったので(番外編の存在を一時的に忘却)

あと一話だけですね。ブラック・ブレット編は終わりです。悲しい。ロリ王国が……女の子が……ツルペタ幼女が……。

次回、ブラック・ブレット編は最終回。この物語は、まだ終わらない。

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