どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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続きです。


もう答えは決まっている

「またか…」

 

 

テーブルに置かれたコーヒーを飲みながら呟く。片手には最新機種のタブレット(バイトして買った)をもってニュースを眺める。内容は立て続けに研究所が襲われる事件だ。

しかし、この事件は普通では公開されていない。

 

 

(襲われている研究所は…)

 

 

絶対能力進化(レベル6シフト)計画

 

 

名前の通り超能力者(レベル5)絶対能力者(レベル6)へ進化させる実験。

 

しかし、この実験で成功する可能性があるのは学園都市で7人の超能力者の内、ひとりだけしかいない。

 

その人物は、

 

 

学園都市第一位 一方通行(アクセラレータ)

 

 

実験内容は特定の戦場を用意し、シナリオ通りに戦闘を進める事で成長の方向性を操作する。

 

予測演算の結果、128種類の戦場を用意し、

 

 

 

 

 

超電磁砲(レールガン)】御坂 美琴を128回殺害する事で絶対能力者になると結果が出た。

 

 

 

 

 

【超電磁砲】を複数確保するのは不可能だ。

 

 

しかし【量産型能力者(レディオノイズ)計画】の【妹達(シスターズ)】を利用することで可能にできる。

 

 

【妹達】とは御坂 美琴を素体にしたクローンである。

 

しかし、性能は素体である御坂の1%にも満たない劣化版しか作れなかった。

 

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行は武装させた()()()の【妹達】を殺害することで絶対能力者への進化を達成することが判明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、あと少しで一万人目が殺害されるところまで順調に進んでいる。

 

 

(襲撃された研究所の全てがこれに関わっているな)

 

 

コーヒーをもう一度飲む。さっきと味が違って不味くなっていた。

 

 

(本来なら上条が止めるんだが…)

 

 

10032次実験で上条は一方通行を倒すことになっている。

 

しかし、

 

 

上条は魔術師と戦いにイギリスに行った。

 

 

(最初が違うとここまで違くなるのか…!?)

 

 

原作ブレイク。上条はステイル達とよく悪の魔術師を倒すために共闘することが多々ある。

 

記憶喪失ならこんなことにならなかっただろう。

 

 

「……………」

 

 

俺はタブレットを見つめながら事件の解決法を思考しる。コーヒーはもう冷えきっていていた。

 

 

 

_________________________

 

 

「クソッ!!」

 

 

ダンッ!!

 

 

俺は目の前にあるテーブルを叩く。客からの迷惑そうな視線も無視する。俺はまたいつもの喫茶店にいた。

 

あれから数日後、研究所が残り二つだけとなった時、美琴が片方を潰している間、俺はもう片方の研究所を潰した。

 

パソコンはひとつ残らず壊した。

 

情報はハッキングして消した。が、

 

 

「引き継ぎ施設は78…!」

 

 

奥歯を噛み締めながらタブレットに写っている文字を小さな声で読んだ。

 

当初の128もの施設を引き継ぎをしようとしたが、俺が研究所を破壊したため、数が減った。が、

 

 

(それでも多すぎる!)

 

 

さらに研究所が破壊された場合、新しい施設を用意すると書かれている。

 

 

(どうする?このままじゃ…)

 

 

いつか美琴は一方通行に超電磁砲を撃ち、返り討ちにされることを望む。

 

美琴は自分がとても弱い存在だったと研究者に見せつければこの実験が終わると考えるだろう。

 

この実験は美琴は強いという前提で計画されているから、最初の原点である美琴は弱かったという認識をさせることで実験を凍結させようと研究者は思うだろう。

 

 

(………解決案はある)

 

 

美琴とは逆の発想。一方通行が実は弱かったことにする。これは上条が本来ならばやることだ。

 

無能力者(レベル0)が一方通行を倒すことで実験を終わらせる方法。

 

だが、

 

 

 

 

 

大樹には幻想殺しが無い。

 

 

 

 

 

倒せない。どう頑張っても無理だった。

 

一方通行の能力は運動量・熱量・光量・電気量など、体表面に触れたあらゆる力の向き(ベクトル)を自由に操ることができる。

 

今の俺には倒せない。

 

 

(ちくしょう…!)

 

 

右手を血が出てしまうくらい強く握った。

 

 

そのとき、窓の外に、

 

 

 

 

 

横断歩道を歩いている美琴がいた。

 

 

 

 

 

しかし、額にゴーグルが着けている。

 

 

(妹達!?)

 

 

俺はすぐに外に出て彼女を追いかけた。

 

 

「御坂!」

 

 

呼び掛けると振り替えってくれた。

 

 

「ミサカのことでしょうか、とミサカは確認をとります。」

 

 

「ああ、間違いない」

 

 

やっぱり妹達だ。

 

 

「単刀直入に聞く。シリアルナンバーは?」

 

 

「ミサカのことを知っているのですか、とミサカは警戒します」

 

 

「大丈夫だ、実験を邪魔しようとは思ってないからな」

 

 

妹達はしばらく黙っていたが、

 

 

「ミサカは10032号です、とミサカは自分のシリアルナンバーを明かします」

 

 

「………そうか」

 

 

シリアルナンバーを言ってくれた。しかも

 

 

上条が助ける時の妹達だった。

 

 

(もう…時間がない…)

 

 

おそらく、明日の夜には実験が行われるだろう。

 

 

「あなたは自分のクローンが現れたらどう思いますか、とミサカは尋ねます」

 

 

「は?」

 

 

突然の質問に驚くが、ちゃんと答える。

 

 

「びっくりはするのじゃないか?」

 

 

「びっくりですか、とミサカは確認をとります」

 

 

「人それぞれだと思うぞ。もしかしたら気持ち悪がられるかもしれないし」

 

 

俺の発言を聞いた後、ミサカは顔を後ろを向けた。

 

 

 

 

 

「お姉様はわたしのことを気持ち悪いと思ったのでしょうか」

 

 

 

 

 

「………何か言われたのか?」

 

 

俺は理由を聞き出す。

 

 

「はい、もう私を見たくないと言いました」

 

 

「………」

 

 

大樹は下を向き、黙った。

 

 

 

 

 

「あの時ミサカは胸が痛くなりました、とミサカはお姉様に言われた時のことを話します」

 

 

 

 

 

「!?」

俺はその言葉を聞いて目を見開いた。

 

 

俺は愚かだった。

 

 

今の彼女はクローンだ。けど

 

 

人間だ。

 

 

感情を持った立派な人間だ。

 

 

モノじゃない。人形じゃない。

 

 

……楢原大樹。何故ここで立ち止まっている。

 

 

「その痛み、取りたいか?」

 

 

「治せるのですか、とミサカは医者でも治せなかった痛みを取れると言われて驚愕します」

 

 

何やってんだ俺は。もう答えは出てるじゃないか。

 

 

「ああ、待ってろよ」

 

 

「どこへ行くのですか、とミサカはあなたの行く先を聞きます」

 

 

人に、上条に、頼ってんじゃねーよ俺。

 

 

「ちょっとお嬢様を救ってくるだけだ」

 

 

 

 

 

俺が 一方通行を倒してやる。

 

 

妹の存在価値を否定させないために。

 

 

 

_________________________

 

 

【第三者視点】

 

 

ドゴオオオォォ!!!

 

 

「ひあああっ!」

 

 

突如、爆発が起こり、研究員はふっとばされる。

 

 

「何だ……?」

 

 

「爆発……?」

 

 

研究員は状況が理解できていない。が

 

 

「………いえ、あれは」

 

 

一人の研究員が気付く。

 

 

バチバチッ!

 

 

「ひっ!?」

 

 

煙の中には御坂 美琴がいた。

 

 

「うわあああっ!!」

 

 

研究員達は恐怖のあまりに慌てて逃げ出した。

 

 

美琴は気にせず、装置を壊し続けた。

 

 

_________________________

 

 

【美琴視点】

 

 

 

(そうよ、まだ終わった訳じゃない)

 

 

美琴は電撃の槍を飛ばし、装置を壊していく。

 

 

(諦めちゃダメだ)

 

 

四方八方に電撃を飛ばし壊す。

 

 

(ぜんぶ潰してしまえばいい)

 

 

データの欠片も残らないように壊す。

 

 

(いまあるもの、これから引き継ぐものもぜんぶ)

 

 

壊す。

 

 

(機材も)

 

 

壊す。

 

 

(資金も)

 

 

壊す。

 

 

(欲も野心も底を割って跡形も無くなるまで!!)

 

 

「アハッ、アハハハハハハ!!」

 

 

(そうすればいつか!)

 

 

 

 

 

『いつか?』

 

 

 

 

 

もう一人の【私】が心の中で問う。

 

 

 

 

 

『そんな都合のいい日が訪れるとしてその時までにあと何人【妹達】が死ぬの?』

 

 

 

 

 

美琴は歯を噛み締める。

 

 

「うるさいっ!!!」

 

 

電撃が飛ぶ。四方八方に飛ばしながら床や壁を抉りとる。

 

 

「ならどうすればいいってのよ!?」

 

 

美琴は叫ぶ。

 

 

「計画を!今!すぐに!中止に追い込む!」

 

 

部屋のほとんどが瓦礫や機材の破片だけになった。

 

 

「どんな方法があるっていうのよッ!!」

 

 

美琴は肩で息をする。

 

 

ふと、目にあるものが映った。

 

 

壁にモニターがあった。かろうじて電撃から逃れた機材。

 

モニターの右上には【LIVE】という文字がある。

 

しかし、画面に映っている二人の人物を見て驚愕した。

 

 

「なんで…」

 

 

暗い路地裏の一本道の場所で、

 

 

「どうして…」

 

 

学園都市第一位の一方通行が不気味に微笑んでる。

 

その一方通行の目の前には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんであんたが戦っているのよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右腕から血を流し、その腕を抑えて痛みに耐えている少年。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大樹!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楢原 大樹がいた。

 

 




次はバトルパートとなります。

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