どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】 作:夜紫希
プロローグ
「ほ、本当か!?」
「あぁ、さっき伝言を頼まれてね」
「よっしゃあああァァ!ちょっと行ってくる!」
「ごゆっくり~」
ふははは!!俺の時代が来たぞー!
今日で【彼女居ない暦=年齢】の称号を捨てる時が!
俺は廊下を走り抜ける。途中で先生が何か叫んでいたが俺は無視した。
無理だ。今の俺には何も聞こえない。それほど、俺は興奮していた。
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
テンションはMAX。明日は筋肉痛になるだろうなぁ、こんなに走ったら。
そんなことを気にしながら、階段を一気にかけ降り、自分のくつ箱に向かう。
上履きからスニーカーに履き替えた後、体育館の裏へと走っていった。
(もうすぐだ!)
高鳴る胸の鼓動を抑えながら走る。
俺は友人に教えてもらった待ち合わせ場所の体育館の裏にある体育倉庫に向かった。
そして、そこで俺の身に危険が迫っているのも知らずに……。
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「誰も来ないな……」
俺は体育倉庫に無事到着することができた。
しかし、10分、30分、1時間待っても誰も来なかった。
「何故だ」
俺は友人に電話をしようとスマホを取り出す。
電源を入れるとメールが一通届いていることに気付いた。
すぐにメールを開き、中を確認する。内容は【今日は何日?】と書かれt…………………あ。
「エイプリルフールかあああああァァァァ!!!!」
今日は4月1日でした。
「ちくしょう、俺を弄びやがって……。」
ははは、目から汗が出てくるぜこの野郎。あいつは後で泣かす。ボコボコにして絶対泣かす。というかよく1時間も待ったな俺。
俺は友人を殴r……話をするために倉庫を出ようとする。が、
「いてッ」
ドサッ
跳び箱の角が足にあたってその場でこけてしまう。スニーカーを履いてても地味に痛い。
「あー、ついてない……」
愚痴りながら俺は近くにあった棚に掴まり、体を起こそうとする。
バキッ!!
その時、古くなってしまった木材で出来ていたためか、少し体重を掛けただけで棚は簡単に壊れてしまった。
ガララッ!!
「ぐはッ!?」
本日二度目の転倒をする。次は顔から転倒した。さっきより10倍は痛い。
そして、俺は気付かなかった。棚が何であんなに簡単に壊れたのか。
木材で出来ていたからだけではない。
じゃあ、なぜ?
答えは単純だ。
既に重い物が棚にあったからだ。
ラグビー部が体を鍛えるために時々使っている、
鉄アレイが何十個も入っている箱が置いてあったからだ。
鉄アレイは一つで5kg~20kgまでのがよくあるが、ここに置いてあるのは全て15kg。
そんなに鉄アレイあるのにも関わらず、俺はそこに力を加えてしまった。当然棚は壊れる。
だが、棚が壊れるだけの事故では済まなかった。
そして、今から最大の不幸が彼を襲う。
「!?」
気付いたときには遅かった。
すでに俺の目の前に、
何十個もの鉄アレイが降ってきていた。
俺は避けることもできず、
………俺の意識は暗闇に吸い込まれていった。
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「というわけじゃ」
「………」
俺は神にどうして自分が死んでしまったかを聞いた。
ん? 誤字はない。言葉の通りだ。どうやら俺は死んでしまったらしい。
でも、どうやって死んだかわからなかった。
記憶が曖昧になっていて思い出せなかった。
だから、目の前にいるおっさn「神じゃ」……神に聞いてみた。………人の思考に勝手に入ってくんなよ。
「お前さんの死因をまとめると、友人に『お前に告白したい女子が体育倉庫で待っている』と騙され、帰ろうとしたときに転んでしまい、起き上がろうとすると棚が壊れ、棚にあった物が頭を強打し、死んでしまったのじゃ」
不幸のフルコースじゃねーか。今日の占い運勢絶対最下位だわ。
「それにしても……」
ん?
「死因:鉄アレイ(笑)」
いやあああああああァァァァァ!!!!!やめてええええええェェェェェ!!!!!!
まじでショック受けてんだから止めろよ!本当になんだよ鉄アレイって!そんなもので死にたくなかったよ!ラグビー部、許さねぇ……!
「男の汗と涙の結晶がついた鉄アレイ(笑)」
おい!?気持ち悪いこと言うなよ!ラグビー部に謝れッ!てか俺はラグビー部の敵なのか?味方なのか?
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「すまん、言い過ぎた」
「……分かってくれて嬉しいよ」
おっさん(神)に弄られ、心が折れかけてもう死にたいと思ったが俺、死んでだっけ今。
「その通りじゃ、お前さんは死んでいる。それでは本題を話そう」
「天国か地獄って話でもするのか?」(ナチュナルに心を読んだことはスルーしよう)
「本来ならそのはずじゃが、今回は違う」
今回は違う?……………………………………まさか!?
「私が神か」
「……………」
めっちゃ睨まれた。軽蔑と『こいつ馬鹿なのか?』の二つを含んだ視線だ。なんだよ神に転職じゃねーのかよ。
「お前さん、実は馬鹿なのか?」
「本題を話してくれ」
俺は話を逸らそうとした。ば、馬鹿じゃないもん、点数で人を決めつける人が馬鹿なんだよ!
「そんなこと考える人が一番馬鹿なのじゃ」
「……………」
「本題行こうか」
「そこで話を逸らすのは余計に傷つくんだが?」
「お前さんには転生してもらう」
無視かよ……………………って、
「ゑ?」
転生?俺はまた生きていけるの?
転生ってアレだよなラノベやSSでよくある展開のアレだよな?もう一回人生やり直して『俺って最強だろ!』みたいな無双をするアレだよな?
「そうじゃ、しかし普通の転生じゃない」
「普通じゃない?」(もうお前と会っている時点で普通じゃねぇ)
「お前さんには何度も転生してもらう」(一回一回失礼な事を考える奴じゃな……)
は?ドユコト?
「例えばお前さんに【A】の世界に転生させる」
ふむふむ。
「お前さんはそこで自由に暮らしてもらってけっこうじゃが、ある程度の期間がたったら次に【B】の世界に行ってもらう」
「それに何の意味がある?」
「お前さんをいろんなところに転生させても意味も問題もないのじゃが…」
「?」
「お前さんは【A】の世界の人を一人、【B】の世界に一緒に連れて行くのじゃ。」
「!?」
これってつまり、ドラ〇もんをサ〇エさんの世界に連れていくようなことができるということだよな!?おい、の〇太はどうなる。ぼっちじゃねーか。ジャイ〇ン助けてやってよ。映画のジャ〇アンって心が綺麗だよな?
「そこは少し訂正しておこう。一緒に転生してもAの世界とBの世界、両方に存在することができる」
「よくわからないけど、一緒に転生しても元の世界は問題ないという認識で大丈夫か?」
「あぁ、問題ない」
「これをどのくらい繰り返すつもりだ?」
「さぁ?」
疑問を疑問で返された。これ本当に神なの?
「違う世界に連れていって何の意味があるんだよ?」
「ちょっとしたデータ収集じゃ」
データ?女の子のスリーサイズとか?変態じゃねぇか。いや、コイツは変態の神なのかもしれん!?
「しばくぞ」
マジ切れ乙です。あと怖い。
まぁこのことはあまり気にしなくて大丈夫みたいだな。
「ようするに、最初に俺は【A】の世界に行き、【A】の世界の人と一緒に【B】の世界に行く。次に【B】の世界の人を一人決めて、【A】と【B】の二人を連れてまた新しい世界、【C】の世界に行く。これを繰り返して行くかんじで?」
「あぁ、どんどん人数が増えてくから原作ブレイクしまくりじゃが、気にしなくていいぞ」
自由すぎるだろ。それでいいのか神様。……俺は大賛成だ。
「良いのじゃ」
「あっそ。ところで……」
「転生特典じゃな」
「おう!話が分かっているじゃないか!」
「二つだけなら良いぞ」
「完全記憶能力と身体強化」
「普通じゃのお」
「うるせぇ」
王道こそ正義。安全第一だ。
ちなみに3つも良かったら『主人公補正』を希望した。
「やらぬぞ」
「くれよ」
主人公だぞ、俺は。
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「それじゃ、最初は【とある魔術と禁書目録】&【とある科学の超電磁砲】の世界じゃ」
「おぉ、悪くないな」
「向こうでも死んだらOUTだから気をつけるのじゃぞ」
「もう死にたくねぇよ、あとひとつ聞いていいか?」
「なんじゃ?」
「ハーレム作るのはあr「勝手にせい」……よし!」
「それじゃ、行ってくるがよい
「おう、行ってくる」
次の瞬間、俺の意識がまた暗闇に吸い込まれていった。
楢原 大樹 (ならはら だいき)
年齢17
学年はもう少しで3年生だったが、死んでしまった。
容姿 黒髪のオールバック。
身長 175~180くらい。