ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

63 / 148
第63話~時にはアリの気持ちになってみて~

ジーッ誰かに監視されていると視線を感じたことはないかい?

 

実はそれ、一匹の虫の視線だったり幽霊の視線だったりするんだ。

 

まぁそれは人形とかも例外ではなくてね。

 

みんなが寝ている間にもカサカサと動いている輩もいるわけですよ。

 

ゴキブリとか。

 

今回はそんなおもちゃとかあんま出ない普段は考えられない小さな世界の話。

 

 

 

 

―――――

 

朝の食卓を囲んでいる使用人達をアサシンのような静かさでドアの隙間から覗いている小さな物体。

 

 

名をチビハネという。

 

小さな台風の二つ名を持つこの謎の物体。

 

本編では『やー』しか言わないコイツですが………

 

『アレが三千院家の使用人たち……』

 

今回は普通に喋ってもらいます。 (『やー』だけだと全く伝わらないので)

 

 

『私に課せられたのは三千院家の偵察……だが』

 

少しの隙間からその眼差しはテルへと向けられる。

 

『こんな無防備な状態を晒しているというのにッ! みすみす仕留めないというのは実に勿体無いッ!』

 

ギラリと瞳に炎を写すチビハネ、拳にギュッと力が入った。

 

『何よりもあのクソ野郎には前回のカバディの事もあるのですよッ!』

 

詳しくはヒナ祭り祭り編の終盤をご覧ください。

 

『こうなったらこの屋敷にいる人間たちを全員私の手にかけてやるのデス! デス・オブザ・デスなのデス!』

 

ニヤニヤと笑いながら不吉な言葉をしゃべるチビハネは小さく誰にも聞こえないことを良いことにまるで地を這うゴキブリのごとく物陰を移動していく。

 

『よぅし、まずはこの男からヤッテヤルデス!』

 

意気揚々と狙いに定めたのはハヤテだ。 現在位置はハヤテの椅子の真下。 見事に見つからず、敵の死角に入ることができた。

 

『フン、案外簡単なモンです。こうして食べ物を口へと運んでいる間に侵入を許すとは、なんとも足元がお留守な男か・・・朝ごはんかぁ』

 

その地面とテーブルの隙間から見えるハヤテの口へと運ばれている魚を見て、思わずジュルリと涎を垂らしてしまうチビハネ。

 

イカンイカン、と首をぶんぶん横に振って我を取り戻す。 早速チビハネは準備を始めた。 

手始めにハヤテの足元に忍び寄る。

 

『まるで女みたいな足ですね・・・マスターの足の曲線には及びませんが』

 

靴と執事服の間から微妙に見えたハヤテの肌はすべすべで男のものではないように綺麗である。

 

『ここを・・・こうしてっと・・・』

 

気づかれないように仕掛けるチビハネ、あらかた終わったので暫くハヤテが動き出すまで待機した。

 

「御馳走様でした」

 

そしてようやくハヤテが動き出した。 食器を持ち、椅子を下げて動こうとした瞬間にそのトラップは発動する。

 

「うわっ!」

 

ガシャッーン!

 

食卓の場に響く割る音、ハヤテはバランスを崩して、派手に食器を床へとぶちまけてしまった。

皿は見事に割れてしまっている。

 

「オイオイ、大丈夫かよハヤテ?」

 

まだ食べきっていなかったテルがハヤテに声をかける。 ハヤテも何が起きたか分からなかった。

 

「ええーっと・・・なんか急に足が動かなく・・・ってアレ!?」

 

自分の足を見てハヤテは驚いた。 なんと、ハヤテの靴の紐が両方とも交互に結ばれていたのだ。

 

「一体誰がこんなことを・・・」

 

「決まってんだろ? キ○スパーだよ」

 

「いや、確かにこんな感じのシーンが2あたりで有りましたよ?」

 

「これは伊澄呼んだほうがいいのかもしれないな・・・」

 

と様子を見るため少しばかり腰を浮かせていたテルが勢い良く椅子に座った瞬間――。

 

ザクッ!

 

「アッ――――――――――!!」

 

この世の終わりとも言えるような叫びが上がった。

 

「ど、どうしたんですかテルさん!?」

 

ギャグ漫画のように椅子から飛び上がったテルにハヤテが恐る恐る尋ねる。 テルはお尻の方を摩っていた。

 

「だ、誰だッ! 俺の椅子に剣山なんて置いたヤツはァァァ!」

 

テルの言うとおり、座っていた椅子の場所には三千院家の生花室にある剣山が何故かあった。

 

「ま、まさかお前なのかハヤテ!」

 

「ぼ、僕じゃありませんよ! なんで僕のせいになるんですか!?」

 

「先輩イジメだ! 自分の方が長くこの屋敷に仕えて安定した暮らしをしていたのを新入りの俺に脅かされるのを恐れて俺にやったんだろ!」

 

「なんで僕がそんなことしなきゃならないんですか!? テルさんこそ僕の靴紐、結んだんじゃないんですか!?」

 

「どうやってお前の真下にわざわざ潜って靴紐結ばなくちゃならねぇんだよ!」

 

と怒鳴りながら二人は言い合う。 実はお前が、違うお前がやった、いいや俺はやってない。 その台詞回しが続いていく・・・その一方で。

 

『キャハハッハハハ!! バッカでぇ! 簡単に引っかかってやがんのぉ!!』

 

机の真下では悪魔が盛大に笑っていた。

 

『しかし、この状況はとても見ていて気分がいい。 仲間割れ、これほどに戦術的に有効な手段があったであろうか・・・』

 

今でもまだテルとハヤテは言い争いを続けている。 

 

『このまま使用人の仲を引き裂けば、あの男の戦力を削ることがデッキる!』

 

最後にパッチンと指を鳴らすチビハネ。 最初と全く違う任務になっている気がするが・・・。

 

『ククク・・・いいっぞいいっぞ! ほら右拳を突き出せよジョー、お前のパンチはなんの為にあるんだ! さっさとその重い拳を野郎の拳に叩け付けちまいな!』

 

まるでストリートの喧嘩をはやし立てる野次馬のように二人の争う光景を眺めるチビハネ・・・と、そこで。

 

「はい! もうそこまでにして!」

 

と間に割って入る高い声。 マリアだ。

 

「二人とも、こんなことで争っている時間はないでしょう? ご自分の仕事を思い出しなさい」

 

「むぅ・・・」

 

「納得がいきませんけど・・・」

 

と二人が唸って喧騒が収まったときにマリアが手をパンっと叩いて鳴らした。

 

「じゃあもうこれでおあいこにしましょう。 さぁさぁ、早く仕事に戻ってください」

 

とマリアの仕切りっぷりにテルとハヤテも渋々応じていく。 そしてここでマリアがはっと気づいた。

 

(お、思わず年長者としての力を見せつけてみましたが、こんなことだから年増だと思われてしまうのかしら)

 

メイドさんは今日もまた悩んでしまう。

 

 

―――――――

 

 

「ったく・・・こんな早い時間帯から酷い目に遭うとはな」

 

朝食を終えた使用人たちはそれぞれ自分の仕事をするために持ち場へと足を進めた。 

 

やってきたのは屋敷の庭。  もはやここにきてからは日課となっている庭の手入れだ。

 

「そんじゃあさっそくお手入れでも始めっか・・・この雑草をハヤテと見立てて」

 

さっきの奇妙な気分を払拭するために気持ちを切り替えてテルはまず草むしりから取り掛かった。

 

そしてその10メートルくらいの草むらの影では。

 

『どうやら仕事に取り掛かり始めたようですね・・・では早速ッッ!!』

 

と、ニヤリと笑った黒羽は身の丈以上の容器を取り出した。

 

ザシュ、ザシュ。

 

「ぬん・・・と」

 

珍しく今日は天気がいいためか、麦わら帽子をかぶっているテルである。鎌を使って雑草をスムーズに刈り取れるのは想像以上に楽しい。

 

そしてだいぶ進んできたところでちょいと大きく成長した雑草を見つけた。 雑草狩りをしているときにこういうひときわ目立つ雑草を見つけてしまったためか、途端に意識が向けられる。 

 

「なかなか立派なヤツだな、下に大根でも埋まってんじゃないかって位だ・・・だがこの厳しい世の中、雑草魂なんてこの鎌にかかれば一瞬だぜ」

 

根っこからつかんで、ちょっと趣向を変えて引っこ抜こうとテルは力をいれた。 だが雑草は微動だにせず。

 

「コイツは見事な雑草魂、この停滞しきった世の中に踏まれても折られても燃え尽きない魂というのを

教えてくれている」

 

仕方ない。 とここは立派な彼(雑草)の強靭さに甘んじ、潔く鎌を使うことを選択したテル出会ったが・・・。

 

「アレ?」

 

ゴム手袋ごしに感じる密着感。 手が動かない。 テルの両手は雑草の根元をつかんだまま動けないままで到。

 

「な、なんで・・・?」

 

どうしてこうなってしまったか。 雑草の呪いなのかと考えていたとき、雑草自体を見てみると奇妙な液体が目に取れた。

 

「この液体は・・・?」

 

と、今度は足元に転がっていた容器を見つけた。 その容器にはこう書かれていた。

 

『超特性・スーパー瞬間接着剤DX』

 

「だ、誰だこんなことしたやつは・・・」

 

辺りを見回してみたが誰かがいたという形跡がない。 このとき、テルはどうしようかと酷く悩んでいた。

 

「まぁ誰か呼ぶしかねぇよな、流石にこの雑草・・・動きもしねぇし。 おーい、誰かいるかぁ?」

 

ギュオオオオオン!!

 

とテルの呼びかけに答える声があった。 うん?と反応し、テルが声のした方へと視線を向ける。

 

ギュオオオオン!!

 

「・・・・え?」

 

そこに居たのはマリアでなければハヤテでもナギでもない。

 

 

テルのもとへと向かっていったモノはエンジンのはいった芝刈り機であった。

 

「ハアアアアアアアアアアアッ!?」

 

テルは猛然と叫ぶ。 なぜこんな所に芝刈り機があるのか。 と疑問に思うさなか、恐怖は加速する。

 

「え? 誰もお前呼んでないんですけど! いや、これやばくね!?」

 

その芝刈り機は担い手がいないままでもエンジンさえ入ればまっすぐ走る代物だ。 しかも誰がやったのか知らないが、芝刈り機にはロープで二つほどのチェンソーがくくりつけられている。

 

「なんなんだよあの魔改造っぷりは!! D○AD or R○SINGに出てきそうな殺戮兵器が今俺の目の前に!!」

 

このままでは確実に命を刈り取られてしまう。 テルはただがむしゃらに抵抗した。 接着剤は非常に強力であり、一度張り付いたら車で引っ張っても取れない代物である。

 

「ぐおおおおおおおお!!」

 

迫り来る芝刈り機を前にテルは思いっきり力を込めた。 問答無用に芝刈り機は唸りを上げる。 そして次の瞬間。

 

「燃え上がれ俺のコスモ(小宇宙)ォォォォォ!!」

 

ズポォ!

 

「ごふっ!」

 

勢い良くテルの体が後方へと吹き飛んだ。 幸い、体がつながっているのを見ると自分はまだ生きているらしい。

 

「あー。 抜けた、抜けたよ。 魂も抜けかけた・・・」

 

どうやら芝刈り機がテルを切り裂く前にテルが雑草を根っこごと引き抜いたらしい。 さっきまでは全然抜けなかったのにあっさり抜けてしまった。 これが火事場の馬鹿力というやつである。

 

「もう、誰かに呪いをかけられているとしか考えられない・・・もうダメだ。 お暇をいただいて今日はもう休みてぇ・・」

 

朝から続く不幸にテルは打ちのめされていた。 取り敢えずは目の前の仕事を片付けよう。 そう思って芝刈り機を使って手入れを始めたテルだった。

 

 

テルが芝刈り機を発動して手入れを始めたとき、その光景を眺めるようにチビハネはコ○ン像の影に隠れていた。

 

『チッ・・・仕留め損なったです。 まさかあのトラップを回避できるとは。 だが効果は充分・・・』

 

項垂れるように芝刈り機を扱うテルを見る限り、身体のダメージよりも精神的なダメージの方が高いとみられた。 これにチビハネはうっすらと笑う。

 

『次の準備に入るために移動しますかね・・・』

 

チビハネは笑いながらその場を後にした。

 

 

普通の人の目からして足元辺りまでしか伸びない雑草も、 10cmほどの人形からすればその光景は広大な草原である。 チビハネはその道を辺りを見渡していた。

 

『とてもとても広いのです。 いつもマスターといる場所とは比べ物にならないですね・・・』

 

屋敷の門からして普通にデカすぎるだろと思っていたが、中の広さもかなりのもだ。 自分の住んでいるところと比べると天と地の差を感じた。

 

『ではここの屋敷の使用人を始末してマスターにこの場所を提供すればいいのでは・・・アレ? これすごくね? 私って天才?』

 

と、新たな欲望を浮かべたところで・・・。

 

ドポッ!

 

『・・・・・』

 

一瞬、チビハネは自分の体に何が起きたのか分からなかった。 いつの間にか頭の上から重みを感じると、いつの間にか自分はびしょ濡れになっていた。

 

『・・・天気は晴れでは?』

 

そして空を見上げた瞬間、黒羽は大空を覆う無数の飛来物を確認した。

 

水だ。 だがただの水ではない。 一粒一粒の大きさが自分の頭よりデカイのだ。 

 

そりゃあ、そんなの自分には訳ないが空が晴れているのにこの現象は奇っ怪だと感じられずには居られない。

 

『ク・・・まさか私の存在が気づかれた? これは私に対する攻撃ッ?』

 

実際はというと・・・。

 

「♫~♫」

 

マリアが家庭菜園に水やりをしているからであった。

 

「あら? 間違って水をストレートにしてしまいました。 これでは野菜たちが傷んでしまいます」

 

ホースの先につけられている摘みを切り替える。 すると先程は一直線だった水が綺麗なシャワーへと形状を変えた。

 

「ま、マリアさん・・・」

 

「あらどうしたんですかテル君? 魂でも借りられたような顔して・・・」

 

その場へとやって来たのは先程の殺人芝刈り機に命を狙われたテルだった。 やつれたかのようば表情である。

 

「俺って呪われそうな顔してますか?」

 

「どうしたんですか急に・・・まぁ年中不幸、というよりもヤル気を感じられないような顔をしているのは確かですが・・・」

 

「そ、それは今の俺の精神状態ではかなりキツイっす」

 

「まぁ、そんなことよりこちらの仕事を手伝ってもらってもいいですか? 水一緒に撒いてください」

 

自身の今起きている事を「そんなこと」と簡単に流されてしまったテルは渋々としながらマリアから渡されたホースを受け取る。 

 

「あ~、水はいいなぁ・・・何もしなくても流れていくし、管さえあればどこへでも行けるんだから」

 

そのセリフは「もう何もかも放り出してしまいたい」という逃避行を表していた。

 

 

『カモが二匹、飛んで火にいるなんとやら・・・』

 

なにやら色んな格言が混じっているがここではあまり気にしない。

 

『奴らが放水攻撃をしているわけですか・・・水攻めとはなかなか考えてやがりますね』

 

 

お目当ての人物を見つけたかチビハネは水やりをしているマリアとテルの姿を確認した。 ちなみに今はトマトの上に乗って頭に降りかかる雨はそこら辺に落ちていたペットボトルのキャップを頭に被せて凌いでいる。

 

『なんとか良い方法はないですか・・・ん?』

 

と、チビハネの目に写ったのは地面を貼っているホースだった。 よく見れば、そのホースはテルの持っているホースへと繋がっている。

 

『オオウ?』

 

TRICKの上田次郎のような声を出すと、何か思いついたかのようにトマトの上から降りてホースへと近づく。

 

『ちょいと面白いこと思いついちゃいました・・・・ヌオリャッ!!』

 

ホースを両手で持つと力任せにホースをくの字にする。 水が通っているとはいえ、チビハネの腕力を侮ってはいけない。

 

するとその結果だが。

 

 

 

「あれ?」

 

突如水の勢いが弱くなったかと思うと、水は完全に止まってしまった。 テルは唸りながらホースを叩いたりとするが水は出てこない。

 

「マリアさーん、水が止まっちゃったんですけど・・・」

 

「本当ですか? 自分でホース踏んでたりしませんか?」

 

「そうかと思ったんですけど踏んでたりしませんでした。 見てくださいよコレ、ウンともスンとも言わないんです・・・」

 

と、ホースの先をマリアへと向けてトリガーを何度か引くが水は出てこない。

 

「あらら・・・ホントですね。 壊れちゃったんでしょうか・・・・」

 

そしてその諸悪の根源はというと・・・。

 

 

『ぐぬぬぬ・・・・』

 

力の限りホースの水を止めていた。 

 

最初は余裕だったものの、流石にこんな力のいる動作を長くは続けていられない。 限界がきたのだ。

よく見ると腕はぷるぷると震えている。

 

『も、もう・・・限界ッ!!』

 

バッとホースを手放したチビハネ。 すると、後ろで気付かなかったがホースを通えなかった水が溜まりにたまってホースの形状はタコの頭のように大きくなっていた。

 

それが通えるようになったことで、ホースは唸る蛇のように荒ぶりながら動く。

 

『Oh・・・』

 

 

「壊れちゃったんだったら仕方ないんじゃないですかね・・・でも新しいしすぐ壊れるなんてないんですけど・・・」

 

とマリアが唸るようにホース先を覗いているとホースがガクガクと震え出していた。 気づいたときにはもう遅い、ホース先からもの凄い勢いで水が飛び出した。

 

「これがリアルハイドロポンプ!?」

 

と、人の全身を覆ってしまうくらいの水が飛び出したことにテルは驚く。 マリアは見事に水に包まれた。

 

「うわぁ・・・」

 

見事なまで決まったハイドロポンプにより、マリアは全身びしょ濡れになってしまった。 

 

「だ、大丈夫ですかマリアさん・・・!?」

 

心配をしていた矢先、テルを殺気が包み込む。 その殺気はマリアから放たれていた。

 

「テル君・・・人にホースは向けなくてもよかったんじゃないですか・・・」

 

「た、たしかにそうですけど・・・はい、ええーっとマリアさん・・怒ってます?」

 

もの凄い笑顔で投げかけるプレッシャーにテルは恐怖する。 

 

「別に怒ってないですよ? でもこれなら呪われて仕方ないですよね・・・」

 

と、立ち上がったバツがついたかのようにマリアは慌てて顔の水を拭い取った。

 

「と、取り敢えず・・・ここはもう終わりましたので次の場所に行っても大丈夫ですよ・・あ、あとそれから・・」

 

「はい?」

 

急に喋りづらそうになったマリアにテルが聞き返す。 マリアは恥ずかしそうにしながら。

 

「あ、あんまり見ないでください・・・じゃないと社会的に抹殺します!」

 

「あ、スイマセン!」

 

今のマリアのメイド服はびしょ濡れだ。 これは恥ずかしいというのも無理はない。 個人的にまだ見ていたいがこれ以上は本当に抹殺されかねないので慌ててクルッとUターン、すぐさまその場を走り出した。

 

「・・・くしゅん」

 

と誰もいなくなったところでマリアが寒さのためかくしゃみをした。 

ため息を深く付いたマリアである。

 

 

 

 

「はぁ・・・さっきのはラッキーだったのか、不幸だったのか。 少なくともこれからの生活、またしても気まずくなっちまうのは確かだな」

 

ラッキーがあった反面、これからのことを考えたときに死にたくなるという思いがさらに強くなったテルだった。

 

 

 

『クックック・・・進行はとても順調なのです! この調子でジャンジャン行きますよ!!』

 

チビハネはチビハネでもの凄い調子に乗っていた。

 

次回へと続く・・・。







後書き
最弱が最強。 そんなスタンドがどこかにいましたね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。