ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

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第49話~呪いなんて信じない~

―鷺ノ宮家、物置。

「なんやコレ?」

 

物置にて伊澄の手伝いをしていた咲夜はある物をみつけた。

 

 

咲夜が見つけたものはヒナ人形、だが奇妙な事にそのヒナ人形はおヒナ様が2つあるのだ。

 

 

「明日がヒナ祭りやからヒナ人形飾るのは分かるけど……」

 

 

「不良品じゃねーの?」

 

 

その場にはテルも居た。 無論、強制手伝い出歩き。 報酬は無し。

 

 

「むやみに触ってはいけませんよ2人とも」

 

 

伊澄が奥の方で注意をしながら続ける。

 

 

「それは呪いのヒナ人形…下手に触って封印が解けたら大変なことになるわ」

 

 

伊澄が言うにはそのヒナ人形は危険である代物だということ。

 

「ふーん……」

 

 

しかし咲夜は既に手に持ち、ヒナ人形を弄っている。 話を聞いていたのか……

 

 

「呪いのヒナ人形? コレがかい? 笑おうにも笑えねぇな……」

 

びしっ びしっ。

 

「ちょ、何やってんテル?」

 

テルはあろうことかヒナ人形にデコピンをかましていた。

 

そして次の瞬間。

 

ベキッ!

 

「…………」

 

快音と共にへし折れた……首が。

 

「「…………」」

 

テルと咲夜はお互いを見合わせる。

 

そして伊澄が一言。

 

「特にありえないけど、首をもいではダメよ。首をもぐと封印が解けて……」

 

くるっと振り返った伊澄は目を光らせて言い放った。

 

「この辺で一番、運のない人に……恐るべき呪いがかかるから!!」

 

 

そして言い放った直後、伊澄は硬直した。 言っていた側から、ヒナ人形の首がもげている姿を目にして……。

 

 

「「「…………」」」

 

 

それを見たテルは咲夜からヒナ人形を取り上げてた。

 

 

「………」

 

そして無言のままヒナ人形を地面に置き……

 

 

「悪霊退散んんんんっ!!!」

 

地面に置いたヒナ人形向かってプロレス式エルボ―が炸裂した。

 

 

バキャッ!

 

「なにしとんじゃああああ!!!」

 

咲夜が叫びながら突っ込む。 テルが体を退かすと、そこには原型を留めなくしたヒナ人形の欠片が残されていた。

 

 

「あ? 見て分かんないのかよ、除霊だよ除霊」

 

「除霊どころか逆に霊をキレさせるような事してどうすんねん!? オーバーキルにも程があるやろ!!」

 

「あわわわわ……」

 

 

しかし、咲夜が振り返ると伊澄が恐るべき表情で震えていた。

 

「どうしたんや伊澄さん?」

 

「全身を壊してしまったのですね……」

 

「なんかあるんか?」

 

震えながら言う伊澄に咲夜が恐る恐る聞いた。

 

 

「全身を壊すと……」

 

「「壊すと?」」

 

 

その震える口から絞り出した言葉は……

 

 

「体の欠片が残らないくらいに爆発するという恐ろしい呪いにかかってしまいます……」

 

 

「………え?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、彼は硬直した。

その時間約1分間。

 

「エエエエエエエエエエッッッ!!?」

 

 

そして目をカッと見開き叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてこんな事に……」

 

鷺ノ宮家の手伝いを終え、帰宅途中のテル。

 

「まぁまぁテル、元気出しぃや? まだ死ぬって決まった訳やないんやで?」

 

「そうですよ。 余り悲観的にならずに行きましょう」

 

その重い足を引きずるように歩くテルの後ろを咲夜と伊澄が歩く。

 

 

「んなこと言われてもよぉ……ってか、なんでお前ら付いて来てんの?」

 

「テル様の呪いの不幸も捨て置きないですがテルさま以外にも不幸な人物がいるんですよ」

 

「誰だそりゃ?」

 

「分からんのか自分? アイツしか居らんやろ」

 

と咲夜が言った矢先、テルが足を止める。 三千院家に着いたのだ。

 

 

「まさか……」

 

とテルが思い浮かんだ人物の名を口にしようとしたときだった。

 

 

「ぬああああ!! な!! なんですかこれは―――!!!」

 

 

聞き慣れた叫びが耳に入った。

 

 

 

 

 

三人が中に入ると、そこには信じられないかのような光景がそこにあった。

 

 

その場に居たのはハヤテとマリア。

いたって普通の組み合わせ、だが今回はハヤテが異常だった。

 

 

「お、お前……自らメイド服を…」

 

「違いますよ違いますよ! 断じて違いますからテルさん!」

 

よほど気が動転しているのか、涙目になっているハヤテだった。

そう、目の前にいるハヤテは着ていたのだ。 メイド服を……それも完璧に着こなしていて……。

 

 

「手遅れでしたね……」

 

「そのようやな……」

 

「え、お前ら…どういうことだってばよ?」

 

2人だけ事情を知っている事にテルは戸惑いながら聞いた。

 

 

 

 

――――

 

 

「ヒナ人形の呪い?」

 

「そうなんです。 誰かが壊したせいで迷惑を掛けてしまい、申し訳ありません」

 

チラッ。

 

「ホントすまんな~誰かが壊したせいでなぁ~」

 

 

チラッ。

 

「お前ら、そんな視線を向けるなよ。 俺もつい出来心でだな」

 

「そうかそうか、出来心で星になってしまうんならそりゃしゃあないわな~」

 

 

テルの言葉にケラケラ笑いながら言う咲夜。

 

「え…咲夜さん、何です?」

 

しかしその言葉に疑問を持ったハヤテが聞いて来た。

 

 

「実はやな……」

 

 

 

 

―――――

 

 

「そんな……嘘でしょう? テルさんが爆弾になってしまったなんて……」

 

 

「嘘だと俺も信じたいが、伊澄が言うにはそういう事らしい……」

 

 

頭を掻きながらテルは呑気に答える。

 

 

「よくそんな呑気にしてられますね。 一応僕の呪いより酷い物なのに……」

 

「もう割り切るしかねーよ。 俺一度憧れてたんだよねー人間爆弾」

 

「いや、割り切るにしても無茶じゃ……」

 

「ほら、何だっけ? どっかの漫画の爆弾使いも『芸術は爆発だ!』とか言って前向きに自爆したじゃん。 アレぐらいの気構えでいなきゃな」

 

 

「それはまた斬新ですね」

 

「テル様の呪いもですが、ハヤテ様の呪いも恐ろしいですよ?」

 

と伊澄が割って入ってくる。 その言葉を聞いたハヤテは反応する。

 

 

「どういう事……ですか伊澄さん?」

 

 

「その呪いを3月3日のヒナ祭りまでに解かないと……」

 

重い雰囲気を醸し出す伊澄にハヤテは思わず喉を鳴らす。

 

伊澄の口が開かれた。

 

 

「一生女装が好きな男の子になってしまうんです!」

 

 

「………」

 

伊澄の口から出た呪いの内容に、一同はうーんと首を捻った。

 

「微妙な呪いですね……」

 

 

「だな」

 

テルも目を細めて頷く。

 

 

伊澄から聞いた話によると遡る事、時代は江戸時代になる。 そこにはどうやら変わった……有り得ないくらいの変人がいたそうだ。

 

その人物はお雛様を作る腕の良い職人だったが、事あろうかその職人は女装が好きだった。

 

『はーッ! 何故女の子に生まれなかったんだ俺はッッ』

 

 

そしてある日間違ってお内裏さまに十二ひとえを着せてしまう。

 

 

それが超キモイと仕えていた城内で話題沸騰、運悪くその職人の横領事件もバレてしまい職人は……斬首。

 

 

しかし今わの際でも職人は……

 

 

「ああ…ッ 一度でいいから女の着物を着たかった……ッッ」

 

 

その強い想いが呪いとなり、以来運の悪い物を女装させる呪いがかかったのです。

 

「キモイな……」

 

 

「それに横領ってあまり同情できませんね……でもなんでよりによってメイド服なんですか?」

 

 

話を聞き終えたテルとハヤテ。 結局は自業自得みたいなものだ。

 

「それはおそらく……」

 

伊澄がハヤテの問いに袖で口元を隠しながら言った。

 

 

「その職人の……趣味です」

 

その大昔にメイド服があったのかといったツッコミは無しだ。

 

「まぁ……ビックリするほど似合うとるんやから……無理せんでもエエんちゃう?」

 

「いいわけないじゃないですか!こんなな…!」

 

 

突然の咲夜の一言に伊澄とマリアは改めてメイド服のハヤテを見つめる。

 

確かに、そんじょそこらの女が着るよりも遥かに着こなしている。

 

だが女装が好きではないハヤテにとって良いものではない。

「でも意外と好評やで?」

 

「まぁ♪」

 

 

「よし、今の内に写真に収めてその手の奴らに売りつけるか……」

 

 

「マリアさんもテルさんも恐ろしい事考えないで下さい!!」

 

「それと自分、ウチのささやかな疑問を聞いてもらってもええか?」

 

「な、なんですか?」

 

咲夜の怪しい視線にハヤテは嫌な予感がした。

 

「自分…スカートの下はどうなってるん?」

 

 

嫌な予感的中。 その瞬間、ハヤテの背筋が凍りついた。

 

「な…何がいいたいんですか?」

 

「いや……だからほら」

 

わきゃわきゃと危ない笑みを浮かべ両手を怪しく動かしながら咲夜はその距離を詰めていく。

 

 

「な…ちょっとでエエから」

 

「わー!!わー!! 何やってんですか―――!!」

 

咲夜はあろうことか、ハヤテのスカートの部分に手を掛けてきたのだ。

 

 

いかん、このままではこの小説的にも危ない。 そう思ったのか。

 

 

「親父かお前は……」

 

グイッと咲夜の体が引っ張られる。 テルが先の曲がった鉄パイプを咲夜の襟首に引っ掛けていた。

 

 

「う…うう……」

 

「オイオイ、ギリギリだったっつーの。 泣くなよ」

 

「だってそんな事…されたら……僕は…俺は…私は……」

 

 

「ゴメンゴメン、ウチが悪かった」

 

「余りの恐怖に自分の一人称が混乱してますね……」

 

 

息を荒くしながら涙目のハヤテに、少しやりすぎた感があった咲夜は笑いながら謝る。 マリアはその光景を眺めていた。

 

 

「え~、ゴホン。 それで呪いの解き方ですが……」

 

顔を少しだけ赤くした伊澄がわざと咳をする。

 

「呪いは3月3日のヒナ祭りが終わるまでにと言いましたが、具体的にどうすればいいかというと……」

 

 

「というと?」

 

 

「ヒナ段のおヒナ様…つまりこの辺で一番高い場所の主を…倒す事です」

 

 

 

 

 

(たとえば…たとえばの話だ)

 

 

場所は変わり、ここは白皇学院。 時計塔がそびえ立つその近辺を桂 ヒナギクは歩いていた。

 

(そんな事は百歩、いや二百歩、いやいやもっともっとず~っと譲って……有り得ない事だが、たとえ話の一つとして……)

 

 

このヒナギク、現在絶賛不調である。

 

 

(私が・・・ハヤテ君のことをす、好きだとしよう・・・)

 

その瞬間、体温の上昇とともに顔をの周辺がなにやら熱くなるのを感じてしまう。 自分でも何を言ってるのだろうと気恥ずかしい仮定。

 

 

(だから悪魔で仮定の話として!! 万が一、億が一、そういうことだとしても!)

 

最近出会った真っ直ぐな気持ちの少女のことを考えるとその気持ちを全力で日てしなければならない。

 

ヒナギクはその少女を応援すると決めたのだから。

 

(だから・・これはもう・・・)

 

「ずいぶんと悩んでいるようだね」

 

と背後から懐かしい声。 ヒナギクが振り返るとそこには黒い神父の服を着た男・・リィンが立っていた。

 

「あなたは・・・あの時の神父さん?」

 

「いかにも、俺の名前はロック○ン・ス○ラトス、成層圏の彼方まで狙い撃つ男さ・・・」

 

「へ?あなたってそんな名前だったの?」

 

「冗談、これはこの世界ではない私の名前だよ・・・まぁ冗談はさておき、あのダンジョンにいた人ぐらいにしか私の姿は見えない。 悩みがあるなら神父らしく相談に乗るが?」

 

「そんな・・・相談だなんて・・」

 

フッと笑うとリィンはヒナギクにその聞くがヒナギクは戸惑う、自分でも何で悩んでいるか分からないのだ。 いや、ホントは分かっている。

 

「それでも・・・」 

 

「え・・・?」

 

その内を察したかリィンが続ける。

 

「それでも何を悩んでいるか分からないときは、目を閉じて考えてみるといい。 自分の心に素直になれば、なすべきことは見えてくるはずさ・・・」

 

(・・・・)

 

珍しく冷静に悟るリィンの姿はやはりその本職である神父であった。 その言葉の通りにヒナギクは瞳を閉じて自分の心に言い聞かせる。

 

(自分の心に・・・素直になれば・・・)

 

 

 

-------------------

 

「しかしこの辺で一番高い場所って・・・もしかして白皇の?」

 

「時計塔(ガーデンゲート)でしょうね」

 

またまた場面は変わり、三千院家屋敷。 一同は呪いの解決方法について談義していた。

 

「てことはヒナ段の主って・・・」

 

「まぁ生徒会長さんということになるでしょうね・・・」

 

ハヤテの予想は見事当たっていたようで伊澄がヒナギクの名をあげる。

 

「よかったな~ 知り合いなら事情を説明すりゃわざと負けてくれるやろ?」

 

「ええ。 とてもいい人なので大丈夫だと思います」

 

咲夜とハヤテもこれで事件は解決といったかのようにほっとしたようだ。

 

「ていうか、俺の呪いもハヤテと同じ解除方法でいいの?」

 

「ええ。 テル様の呪いももとは同じヒナ人形からです。 だからどちらかが先に解除すれば同じくして呪いも解かれるかと」

 

テルの呪いも、ハヤテと同じように解除すれば簡単に爆発はしなくなるらしい。 しかもハヤテかテル、どちらかが条件を満たせば呪いは二人とも強制解除。 割と簡単だ。

 

「そうか・・・ならこの呪い、ハヤテに任せてもいいな。 俺はなにもしねぇ」

 

「さらりと仕事をハヤテに丸投げしよったな自分・・・」

 

不安の色も消えたテルの小言を咲夜はぼそりと呟く。 よほど面倒くさいのだろう。

 

「では事情の方は私の方から手紙でお伝えしましょう」

 

「せやな」

 

伊澄の提案に咲夜がうんうんと唸る、だが。

 

 

「いや、それは俺がやろう」

 

意外な事にその手紙を書く作業を受け持つと提案したのはテルだった。

 

これには一同もビックリだ。

 

「な、なんやテル。

別に手紙書いたからって特別手当てなんて出るわけやないんやで?」

 

「そうですよ。一銭にもならないんですよ?」

 

「まぁ何という事でしょう。明日は雪なんですかね?」

 

「お前ら……俺を守銭奴とか思ってんじゃねーか?」

 

テルは怒りの気持ちを抑えながら続ける。

 

「コイツの事だ。文をとったしても内容とトラブル付きでややこしい事になるに違いない……」

 

 

「たしかに……」

 

 

「む、むぅ……」

 

咲夜が同意するなか、伊澄は少し膨れていた。

 

「ややこしいのは嫌いだからな。下手して俺、爆☆殺なんてことになったら大変だ。だから頼むわ伊澄」

 

「わ、分かりました……その代わり、ちゃんと書いて下さいよ?」

 

と両手を合わせて頼むテルに伊澄は渋々と同意した。

 

「フフ・・・」

 

「どうしたんですか咲夜さん?」

 

ハヤテが横をちら見すると伊澄とテルの光景を見て笑っている咲夜が目に入った。

 

「ん? あの二人見てると面白くてなぁ~」

 

面白がって見ている咲夜にハヤテはふーんと言った顔で見ていた。

 

 

 

 

 

「まぁでもこの姿で会うのは恥ずかしいですけど・・・他の生徒に見られるのもアレなので夜にでも生徒会室に来てもらって・・・」

 

「ですがハヤテくん・・・」

とマリアがハヤテの話に割って入ってくる。

 

「明日の夜には白皇学院五つの伝統行事の一つ、「ヒナ祭り祭り」があるので夜も人がいっぱいですよ?」

 

「・・・・え?」

 

そのマリアの一言にハヤテは固まった。

 

「え? そんなに人が・・・?」

 

「はい、結構。 前日も設営の人が一日中いっぱいです」

 

あくま冷静に答えているマリアであるが、ハヤテにとってはもはや絶望に近い。

 

「ヒナ段の上で倒さないと呪いは・・・?」

 

テルが伊澄に視線を移しながら聞くと伊澄は冷静に一言。

 

「解けません」

 

 

もう、どうあがいても絶望。 そう簡単に物事がうまく運べる訳がない。

 

--------------

「ヤイサホォォォーーーーー!!」

 

今回で何度目のサイドチェンジになるんだというツッコミは遠慮していただきたい。 ここはとある高層ビルの上。 一人の男が屋上の貯水タンクの上で遠くに向かって雄たけびを上げていた。

 

「ヤイサホォォォォ!!」

 

その男の名前、木原 竜児という。 以前ナギを誘拐した少年である。

 

「・・・・・」

 

その男の後ろで立っているのは黒い長髪の黒衣に身を包んだ少女。 名を黒羽という。

彼女もまたナギ誘拐した木原に協力をしていた人物だ。

 

「ヤイサ・・・ホォォォッッ!?」

 

視線を感じたか後ろを振り返ると木原は驚いたかのように叫んだ。 どうやら今まで黒羽が後ろにいたのが気付かなかったようだ。

 

「・・・・」

 

「お、おおう! 黒羽さん! もう戻ってきてたんスか!? い、一体いつからそこに!?」

 

「・・・最初から」

 

と空色の瞳で木原を見つめながら黒羽は静かに答える。 音もなく背後に迫る・・・まるで忍者のようだ。 いや、もしくは竜児がただのバカなのか。

 

「ふぅ・・・こいつは恥ずかしいところを見せちまったぜ」

 

と額の汗を拭いながら木原は呟く。 

 

「・・・・」

 

その木原を黒羽はじーっと見つめる。

 

「いや、その・・・なんだ? 暇だったから、一人だったからその・・・叫んでみたかっただけなんだからな? 別にさびしかったわけじゃ・・・ん?」

 

とセリフを中断するかのように、木原の言葉が途切れる。 黒羽が何かを差し出してきた。 白い肌の色の手に摘ままれ差し出されたのは一枚の紙。 

 

それを取り、木原は読み上げる。

 

「なになに・・・白皇学院伝統行事、ヒナ祭り祭り?」

 

再び視線を黒羽に向けると黒羽は小さな声で

 

「仕事」

 

と言った。

 

「行くの?」

 

「そう・・・」

 

と、黒羽は首を縦に振る。それを見てか、木原は後頭部に手をやりやれやれと言った表情になった。

 

 

 

 

 

 

こうして・・・誰も知らないヒナ祭りがやってくる。






クレイジーダイヤモンドさえあれば・・・

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