ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

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やっぱこのタイトルですよね~。


第35話~そして伝説へ?~

執事クエスト最終試練。

 

 

ゲッ〇ーロボがナギを手にしている。

 

迎えるは手負いの執事と未だ力が未知数の執事2人。

 

 

「ハヤテ、確認がてらに聞いておくけどよ。お前動けるか?」

 

 

「体の具合は大分良くなりましたが、完全ではないです……」

 

ハヤテもまだ体の状態は完全ではない。 テルはそれを聞くと鉄パイプを構えた。

 

「なら最低限避けることだけ考えろ。 アイツは片腕だけでまともな攻撃なんてできはしない」

 

 

確かに、ゲッ〇ーロボは今は片腕だけである。 一本は破壊され、もう片方はナギを掴んでいるため使えないのだ。

 

 

『甘いぞ……』

 

 

だが、敵もまたテルの予想の範疇を遥かに越えていた。

 

 

『フンヌゥゥゥ!!』

 

バキャン!

 

「「ウッソーん……」」

 

 

目を疑い呟く2人。なんとゲッ〇ーロボの折れた腕から新しい腕が緑色の光ともに生えたのだ。

 

 

「ゲッ〇ーなら何でも有りなのか」

 

 

悪くなった状況を即座に理解するテル。

 

 

ゲッ〇ーロボは片腕だけで地面に突き刺さっていた斧を掴んだ。

 

 

『死ねェェェッ!!』

 

身の丈程の縦に振り下ろす。

 

 

「だが断る!!」

 

「うわ!」

 

舌打ちと共に、テルがハヤテの襟首を掴んで横に跳ねる。

 

 

豪快な音を立てた一撃はいとも簡単に地面を破壊した。

 

 

『逃がさァァァン!!』

 

 

悪魔のような瞳を光らせ、今度は斧を横に薙ぐ。

 

 

「背が少しでも高かったら即死だった」

 

「がふっ」

 

すかさずテルは斧と地面の数十センチの隙間に滑り込む。

 

ハヤテは強引に地面に顔をぶつけた形になった。

 

 

「ん? どしたハヤテ。 アホ毛でも刈り取られたか?」

 

「いや、刈り取られそうになったのは首でした……」

 

冷や汗をかくハヤテの表情は苦笑いだった。 あと少しタイミングがズレていたら確実にハヤテはくびちょんぱされていただろう。

 

 

「ハヤテはもう動けるか?」

 

「ええ、大体は……」

 

そう聞いたテルは鉄パイプを構え、ゲッ〇ーロボと対峙する。

 

 

「俺がアイツの動き止めっからその間にナギを助けろ」

 

「ええ!?」

 

 

ハヤテは何を言ってるのか、テルの言葉を疑った。

 

「お前しか居ないんだ」

 

テルは振り返る事無く続ける。

 

「アイツはお前を待っている、その役は俺じゃねーんだよ……」

 

 

「テルさん……」

 

「その代わりだ……」

 

両手で構えていた鉄パイプを肩に担ぎ、一度振り返る。

 

「ハーゲンダッツ奢れよな」

 

「ハーゲンダッツですか?」

 

「そうだ。 バニラもいいがチョコクッキーのほうが俺は気に入ってるからな」

 

「……分かりました。 絶対に奢ります」

 

ハヤテは顔を両手で叩き、気合いを入れてゲッ〇ーロボを見た。

 

 

『逃げる気力も失せたか……』

 

ゲッ〇ーが薄い笑い声で2人を見る。

 

「ああそうだな」

テルはあっさりと肯定した。

 

「もう逃げる気力はない。 後は立ち向かうだけだぜ」

 

へっと笑い、テルは足踏みをした。

 

「ここからは一歩も動かねえ」

 

 

首を鳴らし、堂々と構え、見上げる。

 

 

・・・来いよ。

 

と言わんばかりだ。

 

 

『小癪なァァァァッ!!』

 

 

どうやら一種の挑発だと感じたのだろう。 怒りのオーラを醸し出し、斧を振り下ろした。

 

 

『終わりだ……?』

 

 

豪快な一撃が響く。 砂塵を上げた先に何か影が。

 

「人間ナメんなよ鉄クズさんよ……」

 

 

斧が震える。 金属同士がせめぎ合うようにガキガキと。

 

 

「オラァ! ハヤテェッ! 早く行けェッ!」

 

 

「テルさん!!」

 

テルの後ろにいたハヤテがテルに近づこうとしたがテルが叫ぶ。

 

 

「もう迷うな……とっとと行けぇぇぇ!!」

 

 

「ッッッ!!」

 

その言葉で我に返る。 ハヤテはゲッ〇ーロボに向かって走り出した。

 

 

『ゲッ○ーの武器を受け止めるとは・・・物理法則もあったもんじゃねぇな』

 

「お前がいうなお前が!!」

 

テルが突っ込むがこれは事実で、ゲッターロボがなしてきた事はまさに物理法則を無視することばかりである。

地球が出来たのもゲッ○ー線のおかげだったり、生命が進化したのもゲッ○ー戦のおかげだ。

 

ちなみに、投げたトマホークにゲッ○ービームを当てるとワームホールが出来ます。

 

『囮になって目当ての人物を助けようという三段だろうが・・・させん! ゲッ〇ービィィィム!!』

 

ゲッ○ー頭部が光り、弾ける。 その瞬間、緑色の光がハヤテの目の前を駆け抜けた。

 

その光が通った後は、焼き尽くされたように地面をえぐり出していた。

 

「ハヤテ!!」

 

ナギが吹き飛ばされたハヤテに悲鳴を上げた。

 

『ふふふ……無駄だ。 人間は私に勝てない』

 

「ググググ……」

 

テルも踏ん張っているが、足は震えていた。 更に足が沈んでいく。

 

(一体どうすれば……こんな時、必殺技でもあればいいのに……)

 

ハヤテは体を起こす。が打開策が見つからない。

 

―ならばイメージするんだ。

 

(え?)

 

 

―君の心が主を守る力になるから……あとはイメージだけ…

 

―そのイメージを形にするんだ。 それを実現させる力を君は既に持ってるだろう?

 

聞き覚えがある声。 リィンの声だ。

 

「イメージを力に……」

 

自分の思い描く力。

 

―守りたいんだ…誰よりも速く…誰よりも速く…

 

 

―誰よりも速く、君の元に駆けつけて!

 

 

その瞬間、風が舞った。

 

しかし、それは風なんて優しいものではない。

 

 

言いなれば突風。 いやそれも違う。

それは言うなれば文字通り……疾風。

 

―疾風(はやて)のごとく!

 

 

テルの視点からハヤテが消える。 これはゲッ〇ーの方も同じ事だろう。

 

 

ハヤテが目に追い付けないスピードでゲッ〇ーロボに突っ込んで行く。

 

 

「あ。悪霊発見」

 

 

と、ここで伊澄登場。 迷子の果てにようやく辿り着いたようだ。

 

 

「では除霊っと……」

 

目的を見つけるや、伊澄は札をかざす。 一瞬だけ青白く光るとゲッ〇ーロボの内部に変化が起きた。

 

 

「あれ? あたしは何を……」

 

「いつの間に……」

 

「ここは……どこだ?」

 

雪路、ソニア、千里が順に意識を取り戻した。

 

しかし三人が次に目にしたものは。

 

ギロッ!!

 

赤い眼光で三人の眼前に迫るハヤテの姿だった。

 

 

「「「……え?」」」

 

 

三人は同時に間の抜けた声を出した後、ハヤテが駆け抜ける。 文字通り駆け抜けたのだ。 ロボットの体は有り得ない力で出来た穴がある。

 

 

空中のハヤテの腕の中にはナギの姿があった。

 

 

ハヤテが地面に着いた瞬間、 ゲッ〇ーロボは一瞬光って爆発した。

 

 

「ヨッシャ!! やったぜハヤテ!!」

 

 

テルがハヤテに駆け寄る。 ハヤテはその場で立ち尽くしていた。

 

 

「どうした?」

 

「いや、なんか体中の骨が……」

 

どうやら先ほどの必殺技のおかげで体中にダメージができたようだ。

 

 

「そんな事よりこれで終わったのか?」

 

 

ナギが呟いた。 確かに悪霊は退治したハズだ。 テルやハヤテもそう思っていた。

 

しかし、そう思っていたのはその三人だけである。

 

 

「………!!」

 

 

伊澄が何か感じ取ったか、険しい目をして辺りを見渡している。

 

 

 

『オオオオッッッ!!』

 

 

地の底からの声に一同が反応する。

 

 

緑色の光が一本の柱のように伸びたのだ。

 

 

「オオオ……」

 

「ッッ!?」

 

ハヤテ達は目を疑う。 辺りからゾンビが現れ始めたのだ。

 

 

「なんだこいつら……急にわらわらと……」

 

(テルさま……)

 

 

(ん?その声は伊澄か?)

 

テルの耳に聞き覚えのある声。 以前のように、念で声を届けているのか。

 

(物凄い妖力です……あの緑色の光は冥界の扉をこじ開けてる可能性があります)

 

(なるほど、だから死者が生き返ってたりしてた訳か……)

 

(全ての原因は……あの光の源……)

 

 

テルが光りの柱に目を向けるとその場所には大きな緑色の結晶があった。

 

 

「え? アレってたしかゲッ〇ーの心臓―」

 

(アレの放つ光りが全ての原因です。 ですが……)

 

 

「伊澄?」

 

途端に伊澄が会話を止める。 テルが不思議に聞いた。

 

 

(壊すしか方法がないんです。でも破壊すれば危険な事に……)

 

どうやらあの心臓とも呼べる結晶は、膨大なエネルギーの塊のようだ。 伊澄は破壊する事により生じる危険を恐れているのだ。

 

 

(テルさまも早く逃げてください。後は私が――)

 

「えっ、テルさん何やってるんですか!?」

 

 

途中聞こえたハヤテの声に、伊澄は目を向ける。

 

 

大変な事に、テルは伊澄の言葉を無視して、結晶の上によじ登っていた。

 

 

「よいしょ……ハヤテ!!」

 

 

結晶の上に乗ったテルは腕を回しながらハヤテに言った。

 

 

「今からコイツぶっ壊すから! 体低くしてろ!」

 

 

『えええ!?』

 

 

結晶から声が聞こえる。 どうやら悪霊は完全に成仏してなかったようだ。

 

『何言ってんのお前? コレ俺の心臓だよ? どうなるか知ってる? 俺らの心臓ね、壊すと地球の半分は破壊できるよ? 知らないの?』

 

「あん? んなの知ったこっちゃねぇんだよ。 アレな、ちゃんと武蔵がやらないとダメなんだよ」

 

 

『いやいやダメだって! 考え直して! 300円あげるから!』

 

 

「だーかーらー、知ったこっちゃねぇんだよ」

 

テルは高々と鉄パイプを振り上げた。

 

「俺はな、決めてんだよ。大切なモン護る為ならいくらでも、この命、くれてやるって!!」

 

 

一呼吸おいて、テルは叫んだ。

 

 

「ゲッ〇ー線は! 俺らと共にあるッ!!」

 

 

振り下ろした鉄パイプは見事結晶にヒビを入れ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

「♪~♪」

 

同時刻。 西沢 歩は、呑気にパフェを食べながら道を歩いていた。

 

 

「あ~このロイヤルプリンセスパフェ最高~♪ 朝から並んで買った甲斐があったよ~~」

 

 

幸せそうにパフェを頬張る歩はスキップしながら道を行く。

 

 

「あ~幸せぇ♪ 幸せスパイラルぅ~~♪」

 

 

クルクル回りながら空を見上げたその時であった。

 

 

 

 

ドゴオオオオオンッッッ!!!

 

 

まさしくそんな感じの爆音が、歩の横で起こった。

 

 

先ほど隣にあった教会から巨大な爆発とともに、崩れ去っていく。

 

 

歩の横に建っていた。神聖な教会は一瞬にしてジーザスとかした。

 

 

「なななな何が起こったのかな!?こんな場所で爆発って…ア―――ッッ!?」

 

 

歩が叫ぶ。 自分の足元には朝並んで買ったパフェが……

 

 

「あ、あたしのロイヤルプリンセスパフェが……」

 

地面に膝を着き、orz。

 

 

第二部初登場の割になかなか酷い扱いである歩だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの~悪霊退治を頼んだのですが……教会ごとなくなるとは……」

 

 

「スイマセンスイマセン」

 

荒れ地となった場所で、伊澄と本当のシスターフォルテシアが伊澄と会話している。

 

 

「おいハヤテ、大丈夫か?」

 

 

「大丈夫だ。 問題ない……とはいかないようです。 体中の骨が……」

 

 

「ま、自爆だし、修行あるのみだな……」

 

 

「そのようだな」

 

 

直立で体を奮わせているハヤテにナギが溜め息をついている。リィンも一緒だ。

 

 

「百万円は!? 私の百万円はどこ!?」

 

 

「お姉ちゃん、仕事サボってんだから早く帰るわよ」

 

血眼の雪路がヒナギクにより引っ張られている。

 

 

「あの……そろそろ離れて欲しいんだけど……」

 

「まだ体調がちょっと……」

 

 

何故か岩場により添うワタルとシスター。 このいきさつは後ほどに。

 

 

 

「ゴホッゴホ……はぁ~散々な日だったな」

 

体の上にのしかかる部品を押しのけるテル。

 

 

這い出て来たや直ぐにハヤテ達の元へ。

 

「おお、テルよ。 普通に無事だったか」

 

 

ナギが少し残念そうにするがテルがすぐさまナギの頭にチョップ。

 

「い、痛いぞ!!」

 

 

「この馬鹿やろうめ。少しは感謝したらどうだ……んで?コレは一応クリアした事になるのか?」

 

 

「元々仕組まれたものだし大丈夫なんじゃないか?」

 

 

「まぁ…それもそうだが……」

 

 

テルも少し考えて頷く。

 

 

その後、三千院家の救急車でハヤテは運ばれていった。

 

 

全身の骨がどうだのと言っていたが、ハヤテは超人的な回復力を持つので深く考えないようにする。

 

 

「結局、あんま俺が来なくても良かったんじゃねぇか?」

 

 

小さく呟いたテルだったが。

 

 

「そんな事はないぞテルくん」

 

「おおう!?」

 

 

後ろにいた唯子に飛び退くテル。

 

 

「君が来なければ、あの2人は状況を覆す事は出来なかったと思うぞ。 最後の爆発も恐らく君がやらなければならない事だったんだろ?」

 

 

唯子には恐ろしい洞察力があるらしい。推理小説とか読んでそうだ。

 

 

「ま、これも未来の一つだ。 これからも君は、君のしたいことだけをすればいい」

 

凛とした態度で言う唯子。とここで……

 

 

「オオオオッ!」

 

 

地面から千里が現れた。

 

「貴様ら!俺を置いて先に進むとはそれでも人間か!!」

 

 

「しつこい奴だな……生命力はゴキブリ並だな」

 

唯子の目が細くなる。

 

「貴様に褒められても嬉しくないぞ!!」

 

「別に褒めてなどいない、消えろ、筋肉しか頭にない脳筋ゴキブリデカ男」

 

「貴様ァッ!今日こそ決着をつけてやるッッ!!」

 

 

「望むところだ……」

 

竹刀を構えて唯子がニヤリと笑う。

また2人は戦い始めた。

 

 

 

久しぶりに見たこの騒がしい風景。これで日常が戻るわけではない。ハヤテはこれからも狙われ続けるだろう。

その度にハヤテが敵を倒すかもしれない。自分はあまり必要はないかもしれない……だが。

 

 

―君は君がやりたいことだけをすればいい。

 

 

 

「言われなくても……」

 

頭を掻きながらテルは空を見上げる。

 

「俺は最初からそういう事しか考えてねーよ」

 

白い雲を眺めながらテルは言った。

そしてポケットから何かを取り出す。

 

「これはあっても給料にはなんねーからな……」

 

手にあるのは一枚のメダル。先ほど拾ったものだ。

 

「ま、ゲームクリアにはなるだろ一応」

 

へっと笑うとその小さなメダルを親指で弾き、空に打ち上げた。

 

 

 

第35話~そして伝説へ?~完

 




これで執事クエスト編は終了です。 やっぱーゲ○ターは反則でした。 あまり分からないネタを披露してしまったことを少しながら後悔しています。

次回は4話ほど短編を続けて、からのシリアス長編に。

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