ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

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投稿、遅くなりまして申し訳ありません。 ついでに、後半の亜光速な急展開に皆さん、ご注意を。


第117話~一筆啓上”正体”が見えた~

「おはようございますッ 雪路先生!」

 

「ッッッ!?」

 

明朝白皇学院に珍しくも早朝出勤してきた桂雪路は校門で生徒に挨拶をされて驚愕した。 普通ならば、生徒が教師に朝の挨拶をするのはなんら不思議ではない。 では、なぜこの桂雪路は驚愕しているのか。 

 

それは、挨拶をしてきた生徒があの乙葉千里だったからだ。 

 

 

「お勤めご苦労様ですッ」

 

しかも角45度の綺麗なお辞儀付きで。 雪路は堪らず声をあげた。

 

「ちょ、ちょっと千里くんどうしたの!? 極貧生活に耐えられなくなて頭おかしくなったの!? それとも南半球にいってきて風邪でもひいちゃったの!?」

 

雪路のその問いに、千里は上体を起こして、とんでもない、と続けた。

 

 

「常にご享受いただいている雪路先生には感謝してもしたりません。 俺は至って正常でありますッ どうぞお気になさらず、健康体で出勤なさってくださいッッ」

 

と、千里は手元から紙パックの飲料のヨーグルトを取り出すと雪路に両手で差し出した。

 

 

「え、なぜヨーグルト」

 

 

「乳製品は体に効くと加賀美が言っておりました。 今日も一日に栄光あれッ」

 

 

「お、おう・・・」

 

軽く手を上げてそう言って雪路は千里に背を向けると猛然と校舎に向かってダッシュした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇちょっとッ! 聞きたいことがあるんだけどッ!!」

 

 

妹であるヒナギクを凌ぐであろう身体能力をもつ雪路はダッシュして一分ほどして、二年の教室の扉を開いた。 

 

 

「あっ、やべぇジェンガ崩れた・・・先生、まだ来る時間じゃないでしょう、なにやってんだ」

 

息を荒げた雪路の視線の先にはやはりというか、善立 テルが木原 竜児がいた。 なぜか教室に殆どいない中、ジェンガをしながら。

 

「まずジェンガのことに突っ込みたいけど聞いてくれる? 私今日ついに摩訶不思議アドベンチャーに出くわしたの」

 

「どうしたんだ先生、七つの龍の玉でも見つけたのかい? だったら俺にくれよ。 昨日から寝不足でちょっと寝不足を治したいんだ」

 

 

・・・お前はそんなことに願いを使うつもりか。

 

とテルに内心で雪路は突っ込むが、それよりもと話を続ける。

 

 

「千里くんが、敬語を使って私に挨拶をしたのッッ!!」

 

 

 

 

息を整えた雪路の放った一言に二人は、ふーん、と再びジェンガを積み始めた。

 

 

「そうかそうか」

 

「なら、作戦は大成功だな・・やったぜ」

 

 

綺麗なタワーを積み上げた二人はまたしても勝手にジェンガバトルを再開。 テルが先行だったのか、真ん中のブロックを丁寧に引き抜いていく。

 

「聞けェこの不良生徒どもォ―――――――!!」

 

「あぁ!!」

 

「俺たちのジェンガがっ! 希望の塔がッ 何してくれるんだ先生ッ」

 

 

「黙りなさいッ」

 

 

ジェンガに対して非情の正拳突きをかまされ、二人の悲しみの緋弾に対して雪路は怒鳴って対応した。

 

「千里くんがあんな風になったのって絶対あなたたちのせいでしょッ! 教えなさいッ いったいどんな薬盛ったのッ!?」

 

 

「薬を盛るなんてとんでもない。 これは俺たちの作戦なのさ、なぁ木原くん」

 

おうよ、と隣にいたリュウジは散らばったジェンガを拾い集めながら言った。

 

「作戦って・・・なによ」

 

雪路の問いに、テルが薄らわらいを浮かべて立ち上がった。

 

「まぁ、あれだ。 彼は、強く望んだんだよ先生。 王様たる器になるために、一体どうすればいいか俺たちは昨日、必死に考えたんだ・・・・お互いに鍋をつつきながらな」

 

・・・とても必死さを感じられない回想ね。

 

雪路に構わず、テルと竜児は続ける。

 

「そしてたどり着いたもっとも合理的な方法はッ! 朝に登校してくる全校生徒に敬語で挨拶をするという方法だったのだ!」

 

 

 

「強面高身長の彼が朝に大きな声で挨拶をしてくれるッッ 白皇学院の女子たちはこんなシチュエーションを待っていたのかもしれないッ そう考えたのは橘ワタルだとも。だが、それよりも人に感謝、挨拶という人間の正しい一歩を踏み出すことが今の彼には必要なのだと、そう考えた!」

 

 

「いや、絶対あんたら面白半分でやってるでしょ」

 

傍から見てみれば、一体どんな罰ゲームであろうか。 今頃朝の挨拶なんて適当に廊下で会ったら挨拶をするくらいなのにと、雪路がジト目でこちらを見てくるのに対してテルはとんでもない、と手を振って返した。

 

「これは、王様も同意してくれたんだぜ」

 

「千里くんが?」

 

「そうだとも先生、アイツ貧乏になっちまって会社立て直さなきゃって必死になってさ、ちょっとでも自分変えてぇんだとよ。 俺にできないことが皆に出来てるなら、そこから始めなきゃいけねぇのかなって」

 

 

確かに、と雪路は思った。 これまで廊下で千里と会ったとしてもその時は大抵同じクラスの唯子と喧嘩をしている時だったり、喧嘩をしていない時だったとしても普通に通り過ぎていくだけだっただろう。 

 

やったこともないことをいきなりやる。 千里には信念と同時に行動力も備わっていたのだ。

 

「まぁ、だから時間かかるかもしれねぇけどさ。 変な目で見たりしないでくれよ先生、アイツ意外にセンチなところあるからさ、応援してやろうぜ」

 

親指をグッと立ててテルに言われ、雪路は息を吐いた。 それは落胆を現すものではなく、安堵を示したものである。

 

・・・良かった、別に変にからかわれてたわけじゃなかったのね。

 

この二人に限ってそんな事はないかもしれないと思った雪路ではあるが、学校という集団生活の場では真面目な気質の人間を利用して面白おかしく動かすことを楽しむ人間というのは存在するのは事実だ。 

 

白皇ではあまりそんなことは今のところ話は上がらないがないとも限らない。 一教師として、そういったことは監視しなければならないが、今回のことは大丈夫だろう。

 

「なら、私も協力するわよ」

 

え? と、テルと竜児は首を傾げた。 雪路は腕を組んでしょうがないと言った表情でいうのだ。

 

「あんたたちだけだと馬鹿な方向に転ぶ確率高いわけだから、少しばかり知恵を授けてやっても」

 

「いや結構です」

 

「同じく」

 

こら。 と、雪路は二人の頭を鷲掴みして動きを止めた。

 

「いや、だって先生上手く成功したら報酬をせがんで来そうじゃないですかー」

 

「こう言った類で桂先生が絡んできたら気をつけろってヒナギクに言われてるんですよ」

 

 

・・・くそうヒナめッ! 人が真面目にやろうとしている時に変な手を回しおって!

 

 

内心でそう悪態をついたが、雪路は大きく咳をして気を取り直したか二人に指差して言い放つ。

 

「そうじゃないわっ! 私は一教師として一人の生徒をサポートするって言ってんのよ!」

 

 

おおっ、と目の前の二人から感嘆のセリフが漏れた。しかし、その直後には

 

「おい、明日雪降るってよ」

 

「ああ、先生がまともなこと言い出したら雪が降る、はっきりわかんだね」

 

 

 

・・・こいつらぁ!

 

 

真面目に答えた自分が情けないといったくらいに恥ずかしさを感じた雪路はこの気持ちを発散すべく、その矛先を積み上げられているジェンガへと向けた。

 

「授業に関係ないものを持ち込んだら没収よ!」

 

 

「そんな先生!」

 

「俺たちの希望の塔をッ!」

 

 

即座にジェンガを箱に詰めて必死に箱を渡すまいと構えるテルに雪路は問答無用で箱を取り上げるのであった。

 

「教師を馬鹿にするからこうなるのよッ」

 

 

こうして、奇妙な三人組による千里応援隊が誕生したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は変わり、日が沈んだ頃の鷺ノ宮邸。

 

学校を終えた咲夜はその足で鷺宮邸に足を運んでいた。 大きな檜のテーブルで囲んでいる二人は優雅にお茶などを飲んで、リラックスムードだ。

 

だが、ただ単にお茶を飲みに、遊びに家に来たというわけではない。 咲夜や伊澄にとって重要な話をするために咲夜はここに来たのだ。

 

「伊澄さん、それで結局のところどうなんや?」

 

湯呑を静かに置いた咲夜が話を切り出した。 伊澄も湯呑を置いて対応するのだが、おっとりの性格が出たのか、当初の話し合いの目的を忘れてしまったようで。

 

「どう、って・・・・ああ、前にやったカバディのことね咲夜。 私、あれから練習して結構レベルを上げたのよ。 勝負よ咲夜」

 

「ちょっと待たんかーい! まだカバディの話引っ張ってんのかい!? もうええねん! カバディはもうええやで伊澄さん!」

 

以前、咲夜が伊澄をテルの元に行かせない為に提案していた「修羅場を起こすにはカバディを制す」というのを律儀に守っていたらしい。 その日のカバディ勝負は咲夜が全勝したわけだが。

 

「この前は咲夜に完敗したけど、今なら負ける気がしないわ。 あれから練習を重ねて息止め時間を3秒ほど更新したのよ」

 

 

「あんま、変わってないやんけ・・」

 

呆れたような声で咲夜は肩を落とす。 というよりも、そこまでカバディをマスターして修羅場を展開したいのだろうか。

 

 

「それより、本題に戻すで伊澄さん。 話というのは、もちろん・・・白銀の事や」

 

 

「まぁ・・・察しはついていたけど」

 

 

嘘をつくな嘘を。 と額に皺を寄せる咲夜はしょうもないことだと考えて続ける。

 

 

「巻田と国枝に頼んでアイツの情報を調べてみたんやけど、奇妙な点があってな・・・」

 

「奇妙な点?」

 

伊澄が首を傾げた。

 

 

「経歴が不明なところが多すぎるんよ。 ここで執事職をやるのは確か初めてのはずなのに、まるで前職だったかのような手際の良さや」

 

「なら咲夜、愛沢家で働く前は一体どんな仕事を?」

 

「んー。 某出版社でアシスタントやってたって聞いたから、その出版社に問い合わせてみたんや。 一応、その出版社で白銀拓斗というアシスタントはいたらしいんやけどな」

 

「けど?」

 

伊澄に聞かれて咲夜の表情が曇った。

 

 

「そこにいた白銀拓斗っていうのは40歳の独身で、2ヶ月まえにもう病気で亡くなってるんや」

 

「・・・つまり、今三千院家にいる白銀拓斗は・・・・偽名ってことかしら」

 

伊澄の問いに、咲夜は渋々首を縦に振った。

 

「いよいよわからなくなってきたで。 アイツがナギの遺産目当てで執事研修を持ちかけたのなら、別にテルを追い出す必要はないはずや」

 

「そうね。 テル様を追い出すのは、三千院家の遺産を相続するハヤテ様を「倒す」という条件とはまた違ってくるものね」

 

伊澄は目の前で頭を掻きながら、テーブルに顔を突っ伏してる咲夜を見て小さく笑った。

 

「・・・なんや、伊澄さん」

 

「いいえ、ただテル様のことになると咲夜も必死になるのね、と思って」

 

「なーーーーアホな!」

 

即座に咲夜は立ち上がった。

 

「テルのことを気にしてるわけやあらへんからなァ! いくら今一緒に愛沢家で働いてるからって変な感情なんてないんや! フリーザがいいやつになるくらい有り得へんのや!!」

 

「はいはーいそうですね」

 

棒読みとわかってしまうくらいのわざとらしさに咲夜は顔を真っ赤にして今にも噛み付いてしまいそうな勢いだったがペースに載せられるのも癪だと考えたのか、落ち着いてから話を元に戻す。

 

「今のところ、全然動きを見せないのが不思議なくらいや。 伊澄さんから見て、アイツ(白銀)はどうや? なんか変な感じはしないんか?」

 

 

そうですね、と伊澄は袖で口元を隠した。

 

「私がその人を初めて見たのは白皇の昼休みなのですが、有名なレインボーパンを買いそびれたのを無理に頼んで配送してもうのがきっかけでした」

 

買ったんか、あのパンを。

 

「私が感じたのは――――――」

 

と咲夜は感想を聞いてみたかったのだが、その前に伊澄が口を開いた。

 

 

「あの人からは”この世ならざる存在の力”を感じます・・・とても強い意志も」

 

その言葉を聞いた咲夜は目を点にして、やがてこう答えた。

 

「幽霊?」

 

「いいえ、ちゃんと生きています。 ですが、5割ほどしか生命の波動を感じません・・・・」

 

・・・生命の波動って数値化できるんやな、光の巫女ってスゲー。

 

「なんなんやろ。 あいつってどっかのゲームに出てくるサーヴァントなのかな」

 

「確かになんとなく、弓矢を持つ人に似てますよね」

 

咲夜は改めて考えてみる。 白銀拓斗という名を語る男について。 彼は本当に悪人なのだろうか、と。

 

伊澄は言った。 彼は意志の強い人間だと。 実際彼は決めたことに対しては徹底して取り組むし、その姿勢に惹かれて短期間で周囲の人間の信頼を勝ち取った。 それでも驕ることなくストイックとまではいかなくても、日々精進を心がけている。

 

一時期、咲夜は風邪を引いた。 巻田も国枝も居なかった中、白銀がお粥を作ってくれたことがある。 その日はずっとつきっきりで看病をしてくれて、容態が落ち着いた後は、話し相手にもなってくれた。  決して、悪人ではないのかもしれない。

 

白銀がこんなことを言っていたことを思い出す。 初対面にも関わらずハリセンツッコミを行った時、彼は笑ってこういったのだ。

 

 

――――まったく、こうしていると昔の仲間を思い出してしまう。

 

 

その時、友人の名前は口にしていなかったが、どんな人物かと言えば、自分と同じような関西ツッコミ系のキャラだったらしい。 どうにも、もう亡くなったとか。

 

 

 

 

 

「咲夜」

 

回想にふけっている中、現実に戻したのは伊澄の一言だった。 ハッと我に返り、伊澄を見ると彼女は自分の方ではなく、開いていた戸の向こうに佇む影を見つめていた。

 

 

「どうやら、向こうから来てくれたみたいよ」

 

 

え、と声を上げる間もなく伊澄と同じ視線を追う。 そこにはビニール袋を抱えた白銀の姿があった。

 

 

「いやぁ我が主殿、そして伊澄お嬢・・・レインボーパンを届けに来たぞ」

 

 

 

 

 

 

 

「発注ミスで1つ余分に作ってしまった。 ちょうどいい、主も一緒に食べるか? お前にレインボー」

 

悠々とやって来たその男は、笑顔を浮かべてパンの入っているであろうビニール袋を咲夜に手渡した。 中からはまだ焼きたてなのか、芳醇な香りが漂ってくる。

 

 

「ありがとうございますシロナーガさん」

 

「人の名前を間違えるのはなかなか失礼だと思うぞ・・ それじゃなんか私は蛇みたいじゃないか」

 

「待て白銀」

 

ガクッと肩を落とす白銀に対して咲夜は待ちきれずに口を開いた。

 

 

「なにしにきたんや。 わざわざここに来んでも、こんな夜に届ける必要なんて何もなかったはずや」

 

咲夜の問いに、白銀は小さく鼻で笑った。

 

 

「ふふ、いやぁ、そろそろ感づかれると思ったのでね。 心配してきてみれば我が主はまだつかみきれてないみたいだ」

 

といっても、と白銀はその言葉を付け足して続ける。

 

 

「”鷺宮の光の巫女”はどちらかというと気づいているんじゃないのか」

 

「・・・」

 

伊澄はだんまりだ。 代わりに咲夜が問う。

 

「なんでお前が伊澄さんの秘密を知ってんのやッッ」

 

「情報ありきの世界だ。 裏の者なら知らない者はいない・・・・」

 

肩をすくめて彼は不敵に笑う。 だが、ここで黙り込んでいた伊澄が口を開いた。

 

「・・・正確には、最初から知っていたのでは?」

 

「・・・流石だ」

 

続け様に伊澄の問いが飛ぶ。

 

「どうしてテル様にこのような仕打ちを?」

 

「そうや、ナギの遺産目当てか? そっちならテルじゃなくて、ハヤテの方を狙わんと意味ないで!?」

 

 

三千院家の遺産? とその言葉に彼は首を振る。

 

 

「私は別に遺産には興味はないよ。 お金なんて今の私にはなんの価値にもなりはしない」

 

白銀は二人を見据えると、どこか信念を込めた瞳で二人に言った。

 

「私の目的は、善立 テルの抹殺――――」

 

 

 

 

彼が『抹殺』の二文字を口にしたその瞬間だった。 咲夜も目を疑っただろう。

 

一秒とも満たないその間で、白銀は伊澄の右手から放つ青白い光に包まれたのだ。それは人一人を丸呑みするくらいの太さで、周りの物すらも衝撃で吹き飛ばしていく。 

 

 

妖怪に対してまさに一撃必殺とも呼べる霊力の塊を伊澄はあろうことか白銀に放っていた。

 

 

「な、なにしてんねん伊澄さん!」

 

「なにって・・・テル様に害をなす妖怪退治を」

 

素っ頓狂な顔でそう語る伊澄の目はどこか狂気を孕んでいた。 それに動じるのは今のこの状況では良くないことだと理解した咲夜は

 

「一般人! あれ生身の人間ッ! ノーマルヒューマン! 至近距離で八葉の力を使ったら――――――」

 

 

「私が・・・どうかしたのかな?」

 

 

煙の中からの声に、二人は思わず身を固めた。 その視界が晴れたそこには。

 

 

「なかなか、力のある術だ。 ちなみに、私はこのとおり、人間だ。 決して妖怪なんかじゃあないよ」

 

無傷の白銀が立っていた。

 

「うそ、そんな・・・一体どうやって」

 

有り得ない。 伊澄は率直にそう言葉を作った。 今まで力が通用しなかった相手は後にも先にもあの能力を使用できていた黒羽舞夜、ただひとりである。 

 

 

「白銀・・・アンタ、一体」

 

「咲夜、下がっていて・・・この人はッッ!!」

 

額に汗を浮かべながら、伊澄は目の前の思わぬ強敵から咲夜を守る為に前へと踏み出す。

 

 

「目的は・・・なんなのですか」

 

「・・・私はもう準備は完了した。 彼を仕留めるシナリオはもう出来上がっている」

 

そう言って白銀は悲痛な表情で語りかけるのだ。

 

 

 

 

「俺は・・・『助けられなかった人間』を『この時代』で、『この手で』助けたいだけなんだ」

 

 

 

「『この時代で』・・・・? 白銀、アンタ・・・まさか」

 

伊澄も、咲夜も二人して同時に考えたことだろう。多分、これは正解なのだろう、はなまるで100点がついてしまうくらいの。 だがそれは先に口を開いた白銀の言葉によって遮られた。

 

 

「伊澄、咲夜・・・悪ィんだけど、お前らの協力が必要だ。 ここまで知られちまった以上、お前らは俺の駒になって働いてもらうぜ」

 

 

 

ニヤリと、どこかで見た覚えのある笑みを白銀が浮かべた瞬間、一際大きな光が放たれた。   




かなり長い規模でプロットを用意してたんですがいつまでたってもこれじゃあ終わらんな、待たせるのも悪いと思い、かなり省きました。 なので今回は短めです。 

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