ハヤテのごとく!~another combat butler~ 作:バロックス(駄犬
どうも、一年間冨樫病のごとく執筆をサボっていたバカヤローこと、バロックスです。だれか覚えている人いるかな。 久しぶりの投稿になりました。
第110話~テル、バトルドームをする~
「で? 結局、王様は一日かけたにもかかわらずアルバイト先を見つける事ができなかったと?」
三千院家邸。 相変わらずソファにてぐったりと横になってPSPを弄っている主、三千院 ナギは椅子に座りコーヒーを飲む千里にだるそうに言った。
「だまれだまれ! 周りの奴が俺に合わせないのが悪い! 俺の力を理解していない社会が悪いのだ!」
今日というこの一日を使い、三千院家の一同はこの家に潜む居候、乙葉 千里のアルバイトを探す手伝いをした訳だが、結果は全滅。 無駄骨という言葉が似合うほどの一日であった。
「たくよぉ、せっかくいい感じで締めて終わらせたのにそんな言い訳かましてるようじゃいつまで経っても夢叶えられないぜ?」
側でテルが疲れた感じで肩を回しながら言った。
「まぁ今日一日で分かったと思いますが、千里様に接客業は向かないということです。 ジョブチェンジしましょう。 大手企業の社長という役職には貴方は務まりません。 あ、ジョブチェンジするどころか、チェンジする職がありませんね。 人生チェンジでどうでしょう?」
「あー! 黒羽さん、これ以上千里さんのライフを削るのはやめてください!」
ハヤテが黒羽を止めるが、当の千里はコーヒーカップを口につけたまま体を硬直させていた。 よく見ると腕がプルプルと震えている。よほど悔しかったのだろう。
「なぁ黒羽、男ってのは・・・夢を見る生き物なんだよ」
流し目でそう黒羽に言ったテルを見て彼女はため息をつきながら言った。
「・・・ふぅ、で? 満足ですかテル」
「や、やめて! 『何言っちゃってんの?』みたいな 『満足げに言える立場ですか?』みたいな目で俺をみないでェェェ!!」
と、そんなやり取りを見ていてハヤテが一つ疑問を浮かべてテルに尋ねる。
「そう言えば、テルさん。 一つ聞きたいことがあるんですけど・・・」
「ん? なんだよ」
黒羽にいじめれられて出ていた涙を拭うテルにハヤテが怪訝な表情で言った。
「テルさんに、夢ってあるんですか?」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
誰もが静寂にその返事を待つわけだがとうの本人が中々喋ろうとはしなかった。 やがてハヤテが
「あっ・・・」
何かを察したように口元を隠した。
「だ、大丈夫ですよテルくん。 夢のない人って、アレじゃないですか! 自由人って感じで! 他人のレールに支配されない雲のような人じゃないですか!」
事情を理解したマリアが苦笑いを浮かべてテルのフォローに回る。 流石はマリアだ。 どんな時でも一流の対応をしてくれる。 だがしかし、その隣の人は。
「でも、それってダメ人間の典型的なパターン・・・」
「わー! 黒羽さーん!」
黒羽に関しては、フォローを入れるどころか、ひび割れたガラスハートをハンマーで砕くという所業をやってのけた。
「お、俺だって好きで夢がないわけじゃないんやい!」
「な、泣かないでくださいよ」
「じゃあさ! お前、お前は夢とかあるのかよ!」
涙目になったテルがハヤテを指差した。
「えーっと・・・特に・・・」
「お前は!?」
と今度はナギを指差す。
「私の生活を一生邪魔されない最高の豪邸に住みたい」
「もう住んでるだろうが!」
それ見たことか。とテルが両手を広げた。
「ほれ見ろ! 俺たちの年頃の奴らが確かな夢なんて持ってるわけがないんだよ!」
「私たちに話を振るどころか、無視してしてしまうのはどうしてですかねぇ・・・」
「やっちゃいませんか?マリアさん。 ほらこんな所に三節棍が・・・」
後ろの方で、話を振られるのを待っていたマリアと黒羽がただならぬ殺気を放っていたのは言うまでもないが。
〇
「って、くだらない夢談義してる場合じゃなかった。 咲夜はまだかー?」
PSPを上に掲げて、ナギは足をばたつかせた。 咲夜の家に先程連絡を入れて早三十分である。 いつもの咲夜ならこの時間帯にはやってくるはずだ。
その言葉に合わせるように、玄関の方でチャイムが鳴り響いた。 噂通り、咲夜が来たのだろう。
「流石咲夜だな。 通しておいてくれ」
「お前、一応幼馴染なんだから自分から迎えに行けよ」
えー、と言った表情でナギは顔を渋らせた。
「いいじゃん。 いつも窓を蹴破って登場してお前に被害が加わるよりはマシだろー」
と、ハヤテがうんうんと頷いているのが後ろで見える。 どうやらこう言った事が過去にはあったようだ。
コンコン。
部屋の扉をノックする音がした。部屋と玄関の距離が近いという事もあってかここにたどり着くのも早かったらしい。
「アレ? もうきちゃったよ。どうする? こちらから開けるべき?」
とテル。
「え? でもいつもの咲夜さんなら簡単に入ってくると思うんですけど」
とハヤテ。
確かに、いつもの咲夜なら快活に扉を開けて近くにいたテルに飛び蹴りをお見舞いするレベルだろう。 だが今回はなぜかまだ入ってこない。 そればかりか。
コンコン。
「これは一体・・・?」
「まさかコレは?」
「知っているのか黒羽!?」
冷静に分析する黒羽に対してテルが声をあげた。
「こちらがノックしたらこちらが必ず開けて迎えなければならないという高貴なる者の高貴な振る舞い、ノブレス・オブリージュの象った暗黙のルール・・・!」
コンコン。
「えー、ようは咲夜さんはこちらが開けるまでずっとノックし続けるというわけですね」
「なんかこっちが無視し続けて、ずっと扉の向こうでノックし続ける咲夜を想像するとなんかシュールというか、かわいそうだな」
マリアとテルが未だにノックされてる扉を見つめるが、まだ入ってくる気配はない。 これは完全にこちらが考えてるとおりにこちらが開けない限りずっと叩き続けるつもりだ。
「よし、ハヤテ。 出番だ。 ラッキースケベであるお前の力を活かす時が来たぞ」
テルがハヤテの肩を叩く、が。 当のハヤテはどういう理由で自分なのか理解ができないためテルに聞き返す。
「ど、どういう意味ですか?」
コンコンッ。
「考えてみろ。 この先、起こりうる展開を、まずお前が扉を開けようとする! すると同時に扉が開く! 咲夜が入ってくる! お前が開けようと伸ばした手が咲夜の胸にスーパータッチ! ナギがキレる! 女性陣からは暴虐の嵐! そんな分かっている地獄に俺がわざわざ行く必要はない! だからお前が行け!」
コンコンコンコンッ!
「なんですかその超理論は! しかもなんで僕が咲夜さんを触って他の人たちから特に理由のない暴力を受けなければならないんですか!」
ココココココココンッ!
「オイ! そろそろ我慢の限界だって言ってるからさっさと行けぇ!」
「そんな無茶苦茶なぁぁぁ!!」
背中を押され、半強制的な力のせいでハヤテが前のめりになる。咄嗟に右腕を突き出すハヤテだったが、何の因果か本当に扉が開いてしまう。
・・・だ、だめだー!
ぽん。
「う・・・ん?」
まずハヤテが疑問に感じたのは、突き出したであろう右手の感触。 むにゅ、という柔らかい感触のはずだが、なぜか板のようなハリのある硬さがあったからだ。
「えーっと・・・」
次に上を見上げてハヤテは顔を青くする。 見上げてしまう時点で相手は咲夜ではない。
「ふむ。 随分と手荒な歓迎だな綾崎 ハヤテ。 やはりそのうっかりラッキースケベは噂通りだと言ったところか・・・」
ハヤテの目に入ってきたのは白髪で少しだけ肌の黒い西洋風の顔をした男だった。
〇
「で? 咲夜、これがお前の言ってたもう一人入ってきた使用人なのか?」
ソファにどっかりと背を預けているナギは相席に座ってる咲夜に尋ねた。
「せや。 なかなか男前な使用人やろ? ほれ、お前から自己紹介せい!」
「ぐほっ!」
と、咲夜に背を叩かれて前に一歩出る。 男は咳払いをして口を開いた。
「はじめまして・・・・私の名前は白銀 拓斗(しろがね たくと)だ。 訳あって愛沢家に厄介になってる。 これから宜しく頼む」
小さく笑みを浮かべた白銀と名乗った男は、硬そうな雰囲気があったが、どこか涼しげな面影を持っていた。
「と、言ってみたが初対面の人と話をするというのは些か緊張するものだな・・・」
「ハハッ!そんな涼しげに自己紹介しておいて今更なに言うとんねん!」
「がはっ!」
背後からのハリセンが白銀の頭部に甲高い音を立てて直撃する。
「なんかこのやり取りを見てると、この人の苦労がわかる気がする・・・」
「全くだ。 体がいくつあっても足りないな」
ハヤテとテルが同時に頷いてみせた。
「それでナギ、お前が言っていた面白いモノってなんや。 ソファーで寝そべってないでさっさと出さんかい!」
白銀を叩いてみせたハリセンをしまうと咲夜はナギに要件を述べる。 白銀も思い出したかのように手を叩く。
「おお、そうだったな! おいテル、あれをこっちへ」
寝そべっていたナギが態勢を起こすと指でパチンと鳴らすとテルがめんどくさそうに「へいへい」と言いながら箱を咲夜の目の前に持ってきた。
「ん? この箱なんや?」
「フッフッフッフ・・・これこそがこの私がネットでわざわざ探して購入した至高の物品! 今大人だったら絶対一度はやってみたかったと言える対戦ゲーム・・・その名も!」
勢い良くナギが箱を開けると、そこには菱形の盤面があった。 菱形の角の部分にはハンドルが四つ、盤面には風車やベル等の役物がいくつも設置されている。
「バ〇ルドォーム!!」
「・・・・」
咲夜が目を点にして見つめる。
「バトル〇ォーム!」
「・・・・」
咲夜がハヤテに視線を送るが合わせてもらえなかった。
「ツ〇ダオリジナルかカラー!」
「・・・・」
「3Dアクションゲームッ!」
「・・・・」
「超!エキサイティング!!」
「・・・・」
「バトルドォ」
「もう、ええんや、ナギ・・・」
そっとナギの肩に手を置いた咲夜だった。
「な、なぜだ! お前だって知っているだろう!? あの金曜日の青い狸のアニメのCMでお茶の間を震撼させたあのおもちゃだぞ!?」
「ナギィ・・・これ、いったいいつの物なんや。 何年も前のおもちゃや・・・ウチらももうそんな歳やあらへん」
そして咲夜はバ〇ルドームのトリガー部分を握る。 哀れみな目でナギを見ながら、彼女はトリガーを引いた。
「それにな、ナギ。 これ、見てみぃ。 トリガー引いてもな、球が・・出ないねん。 エキサイティング、できないねん・・・あと、トリガー・・・戻らないねん」
咲夜が手を離すと握っていたトリガーの部分が、戻らずに引いたままになっていた。
「う、嘘だッ! 絶対、エキサイトできるって! えなりが・・・」
「アレな、えなりやないねん・・・」
〇
「見事に轟沈しましたね・・・」
三千院家は今、静寂に包まれていた。
「チョウ、エキサイティン・・・」
全ての使用人たちの向ける視線の先には虚ろな目でカチカチとレバーを引くナギの姿があった。
当然だが、レバーを引いてもボールは出てこない。
「とんでもないハズレ玩具を買ったものだ。まぁ、俺の嗜好にはまったく合わない玩具であったが」
腕を組んでいた千里がどっかりとソファに座り出す。 しかし、この絶望の淵を体験している人物は凪だけではなかった。
「ボールヲアイテノゴールニシュゥゥ・・・」
「まさか、テルさんまであのおもちゃに期待していたとは・・・」
ナギと一緒に、球が出てこないトリガーを動かしていたのはテルだった。 二人とも夢を打ち砕かれたようで、二つの瞳には影が見える。
「まぁ、あれだけ当時熱狂していたのであれば今の子供たちが欲しがってしまっても可笑しくはないですね」
マリアに続いて、ハヤテたちもうんうんと頷いてみせる。だが、昔見ていたあの有名なレトロゲーがこんな出来だったとは二人は思わなかったのだろう。
「しかし、いつもの咲夜さんならどんな場面でもツッコミを交えて対応するのに、なぜか素の反応でしたね」
あー。とハヤテの問いに、咲夜が答えた。
「ウチもアレ買った時があってな。 ナギと一緒でテレビで影響受けて買ったのは良かったものの、いざ始める時には球は出ない、トリガー戻らない、無理に動かしたら外れる。 流石のウチもナギに見せる前に倉庫行きや」
「この世界は残酷なんですね・・・」
「せやな」
*『勿論、これは一部の例であって普通にこのおもちゃでは遊ぶことはできます』
「まぁ、せっかくこっちに来たわけやしなぁ・・・白銀」
「我が主、どうした」
咲夜の呼びかけに白銀が応じる。
「アレ、なんとかできるか?」
「ふむ。 そうだな・・・この場所に、ここよりも広い場所はあるだろうか?」
口元に手を当てて、バトルドームの盤面を見ながら彼は聞いた。
「ええ、ここより一つ大きい部屋が地下にはありますが・・・大体国立競技場くらいの」
「さりげなくとんでもない敷地が地下にあることを言わないでください」
マリアのとんでも発言にテルが突っ込むと、白銀がよしっと頷き一同に言う。
「できれば三時間ほど時間をくれないか。 あと、手伝える人間を何人か貸して欲しい」
「何をするんですか?」
ハヤテが問うと、彼は不敵な笑みを浮かべてこう答えた。
「作るのさ。 誰もが楽しめる、夢をみせてくれるバトルドームを」
〇
三時間後、白銀を除く一同は彼が指定した時間に来るよう言われた部屋に足を運んでいた。
「白銀さん、一体何者なんですか?」
ハヤテが廊下を歩く中、咲夜に尋ねる。 咲夜は少しだけ悩んで一言。
「まさしく謎の執事やな、なんでもできる」
「ほぅ、ちなみにこの男とアイツではどっちが有能だ?」
ナギがテルを指差すと咲夜は躊躇いもなく、
「そりゃ断然、白銀や」
言った。
「気持ち悪いやつだと思うけどね俺は。 なんかキザ野郎の匂いと、ホモの匂いがぷんぷんするんだよなぁ・・そう思うだろハヤテ」
「テルさん。そんなこと言っているからいつまで経っても執事として上達しないんですよ、ちょっとは白銀さんを見習ったらどうですか?」
「まったくだ。 あの執事とお前を交換できるんなら即交換するぞ?」
ハヤテに続いてナギのラッシュが襲いかかる。
・・・なんで俺はさっきからアイツと比べられてるの? ついさっき知り合ったばかりの人になんでこんなに比べられなきゃならないの? イジメ? イジメなのか!?
テルは内心で不満を漏らす。 確かにいきなり現れた人間と自分を比べられて批判を食らってしまったら溜まったものではない。
「まぁまぁ、一応はテルくんだって頑張ってるんですから。 ちょっとずつ上達もしてますし・・・料理以外は」
・・・ああぁ、マリアさん。 やはり貴方は天使だ。
テルは涙を浮かべながら感謝する。一流のメイドたる者、容姿も完璧ならフォローも完璧であった。
「おっと・・・着いたな。 ここがアイツが呼んでいた部屋か」
話をしている間に、一行は目的地の部屋の前に着いたようだ。咲夜が扉を開けて、全員が中へと入っていく。
辺りは、真っ暗だった。
「なんや? なんも見えへんやないか・・・おーい白銀ェ! まさかまだ出来てないんかぁー!?」
「お待たせしたな主よ!」
咲夜の呼びかけを待っていたかのように、暗闇にスポットライトの光が一つ点いた。 スポットライトの先に映し出されたのはマイクを持った白銀だ。
「そして三千院家の主よ。 見るがいい! 完成された夢の世界をッ!」
白銀の合図と同時に手を上げると、天井に設置されていたであろうライトが一斉に点灯された。 その光の眩しさに一同が目を瞑る。
「うぉ! まぶしっ・・・ってなんじゃこりゃあ!?」
テルが次に目を開けたとき、そこには巨大な盤面が広がっていた。 中央が小さな山のように盛り上がっており、その上には四本の小さな足から出来た大きなボールが入った箱。 そして盤面には釘や風車、ベルなどが設置されている、どれも巨大だ。 10mくらいはあるのではないだろうか。 そして極めつけは一番奥に設置されている羽役物、全部で四つある。
「ま、まさかこれは・・・・!?」
ナギが輝きを取り戻した表情で白銀のいる上を見た。 白銀がいる場所は、出口と向かいにある一番奥の羽役物の上に設置されている鉄柱だ。
「そう! 超巨大バトルドームだ!」
マイクを握る手の小指を立てた白銀が言い放った。
「盤面の面積は国立競技場と同じくらい。 ボールの大きさは20m、役物は全て鉄製、四人同時プレイ可能! 三千院家と愛沢家、そしてSONYの技術を全て結集してできた究極のアドベンチャー!」
「やっぱりこの敷地の広さは現実味が薄れますね・・・」
「ダメだ・・・突っ込んだら負けなんだハヤテ」
ハヤテとテルが目の前の超巨大バトルドームを見つめながら、二人は現実を受け入れた。
「いやぁ、さすがは三千院家と愛沢家のスペシャリスト達、この広い敷地にこの巨大施設を設置するために三時間で仕上げてくれるとは恐れ入った。 感謝の極み・・・」
盤面の外の観客席では、数百人に及ぶ三千院家の技術者と労働服を愛沢家のSP達がマッスルポージングを決めていた。 辺りを見回して何かに気付いた咲夜が白銀に聞いた。
「ところで白銀ー、これどうやって動かすんや?」
「よくぞ聞いてくれた我が主。 四つの羽役物の付近にエレベータが設置されている。 人数が合わないので、一つの場所に二人ずつ入って行ってくれ。 二人以上のスペースは保証されている」
「よっしゃ! なかなかの出来やないかい! 行くでナギ!」
「おう! ボールを相手のゴールにシュートだ!」
咲夜とナギが同時に駆け出す。 先ほどとは打って変わったテンションに三千院家の使用人たちも安堵の表情を浮かべた。
「いやーお嬢が笑顔になって良かった。 それよりですねマリアさん、せっかくなんで俺とペアにでも・・・」
とテルがいち早くマリアを誘おうとした瞬間、彼の体は凄まじい腕力で引っ張られた。 慌てて振り向くと、テルを掴んでいた人物は千里だった。
「ちょっ! お前、なんてことをしやがる!」
「行くぞ! 王を決める究極の戦いがそこにはある!!」
「ふざけんな! お前までガキのような目してんじゃねぇよぉぉぉぉ!!」
強引に、そして楽しそうに鼻息を荒くした千里に無残にも、テルは引きづられていった。
「うーん、それじゃあ二人でペアを組みますか、ハヤテ君♫」
「えっ、あ、ハイ!」
・・・テルさん、すみません。
恨めしそうにこちらを睨むテルに申し訳ないと思いながらも二人はエレベーターに向かっていくのだった。
「ふむ。 全員揃ったようだな・・・」
各エリアの鉄柱の上に、全員が現れて白銀は再びマイクをとった。
「ではこれより、ビッグバトルドーム・アルティメットバトルin三千院家を開催する!」
後書き
ある程度、物事にケリをつけてこの場所に戻ってきました。バロックスです感想が溜まっていることにも気付かず、多くの読者の皆様にはご迷惑をおかけしました。 さて、急に再開したと思ったらいきなり新キャラです。 一応物語の中盤に差し掛かってるので色々と動き出してきます。 新キャラの行動に注目して頂ければと思います。
また感想をいただけると嬉しいです。