お気に入りにしてくれてる方には特に申し訳ないです。
今回も少ない文量ですが最後まで読んでもらえると幸いです。
「あっ、はちくんおはよーございまーす。」
な・・・ん・だ・・と・・・・・・!?
俺のスキル『ステルスヒッキー』がきかないなんて・・
さすがはぼっちである。
「・・・うっす。」
「なんですかー。元気ないんですか?」
元気って、お前アントニオ猪木かよ。闘魂注入でもするのかよ。
「いや元気なわけないだろ。今日月曜日だぞ。いやむしろ毎日元気じゃないといっってもいいな。」
「なんでそんなこと胸張って言ってるんですか・・・それはそうと今日からですよね!図書委員の担当って!!」
同情の視線向けてきたかと思えば今度は超いい笑顔になるとか。忙しいやっちゃなーお前は。
「なんでそんなに図書委員やる気なんだよ・・・だったら俺の分までやっといてくれよ。」
「ダメです!!図書委員は2人でやらないとダメだってさっき数学のサエコ先生言ってました。」
なんでもっと適当じゃないんだ!!!青キジ見習えよ!
「放課後ちゃんと来てくださいよ。来なかったら平塚先生にチクリます。」
「わかったよ。行くから平塚先生には言うなよ。」
はぁ。
俺は心の中で某ウニ頭のように「不幸だぁぁぁぁぁあああ」と叫んだのであった。
◆
放課後俺はしぶしぶ図書室へと向かった。
律儀に決められた事をちゃんとこなす俺、マジ社畜の鏡。
サラリーマンはこんなことを毎日毎日やってるのか。
うえ。働きたくねー。
こうなったら就職先は専業主婦だな。
気づくと図書室の前まで来ていた。
扉に手をかけたとき、一人の男の声がきこえた。
「なっ、夏目さん!!あの、図書委員の仕事終わったら校門まできてください!!ま、待ってまるから!!」
男は言い終わったやいなや俺に気づかず走って図書室から出ていった。
うむ。どうやらステルスヒッキー発動していたようだ。
あれ?おかしいよー。僕目の前にいたはずなのに。
俺がメガネに蝶ネクタイの少年のような棒読みしているうちにふと夏目のことを思い出した。
夏目を見ると、どこか諦めたようでいて、今にも泣き出しそうな悲しい顔だった。
あのような容姿だ。
きっとこんなことは今回が初めてではないんであろう。
諦めたような顔になるのはわかる。
だがどうしてそんなにも悲しい顔をしているのか、今の俺にはわからなかった。
このまま扉の前で突っ立っているわけにもいかないので中に入ることにした。
「うっす。」
「・・・あっ、はちくんじゃないですか。遅いですよ。」
先程までの悲しい表情とはうってかわり、優しげな面持ちで出迎えてくれた。
「・・・あ~、さっきのはいつものことなのか。」
「・・・見てたんですか。まあはい、いつものことですよ。自分のことだけしか考えないでいつもいつも好き勝手で相手のこと考えないで。だから男は嫌いなんです。」
そういう彼女の言葉にはどこか力がこもっていた。
「一応俺も男なんだが。」
「あっ、はちくんは大丈夫です。ぜんぜん男って感じしないですし、むしろいるかどうかもわからないですもん。」
えっ?何この子。なにナチュラルにdisっちゃってんの。
この子、怖しい子!!!!
「でも、だからといって告白とかしないでくださいね。本当に迷惑です。」
「んなことしねーよ。」
そう言い終えると、俺は図書委員としての仕事を思い出すが、特に誰が本を借りに来るというわけでもないので読書を始めた。
結局本を借りに来る者や、ましてや図書室に来る者もいなかった。
自分としてはずっと本を読んでいるだけなのでとてもありがたかった。
夏目といえば、さっきから忙しくタイピング音を室内に響かせていた。
俺は再び本を読み始めたが読み始めて1分も立たぬうちに見覚えのある人物が俺たちのもとへとやってきた。
「どうやら初日はサボらずちゃんと来たようだな。そういう律儀なとこは評価にあたいする。」
「ぼっちは常に相手の迷惑がかからないように過ごしてるんです。なので俺が本の貸し出し受付にいると借りにくくさせてしまうかもしれないんで明日からはいかないほ「それ以上続けるようなら、衝撃のファーストブリットから抹殺のラストブリットまですべて食らわすぞ。」
「わかりましたから本当に人差し指から指をおらないでください。お願いします。」
真っ直ぐ殴れる拳作ってるとか殴る気満々じゃねーか。
ふぇぇ。平塚先生の目がマジで怖いよ~。
そんな会話をきいてた夏目はどうやら不思議なことがあったらしく、平塚先生にその疑問をぶつけた。
「『衝撃のふぁーすとぶりっと』ってなんですか?あと最後のやつもわからないんですが。」
「ぐはっ!!・・・いや、いいんだ。お前らは知らなくて当然だよ。」
夏目さん、それは平塚先生にとって酷すぎやしませんか。
先生涙目になっちゃってるじゃねーかよ。
「グスン・・・もうあと少しで最終下校時刻になるから君たちもそろそろ家に帰りたまえ。」
泣いちゃってるじゃねーか。
どうにも居たたまれない空気になってしまったので俺は帰ることにした。
「んじゃあ俺帰るわ。」
「まってください。私も帰ります。」
2人が図書室から出ると平塚先生が施錠し職員室へと戻っていった。
しょんぼりとしょげている背中を見ているとこっちまで涙が出てきてしまいそうになる。
誰かもらってやれよ。じゃなきゃ俺がもらってしまいことになる。
「そういえばはちくんってなにで学校来てるんですか?」
「自転車だが。」
「そうなんですか~。じゃあ家はどっちなんですか?」
「なんでそんなこと聞いてくるんだよ。」
「いいじゃないですかー。っでどっちなんですか。」
これ以上言い合っても平行線だと思ったので諦めて答える。
「・・・校門出て西だよ。」
そう答えると彼女はなにかひらめいたようで顔を輝かせてとんでもない事を口にする。
「じゃあ途中まで一緒に帰りましょうよ♪私も家そっちのほうですし。」
「なぜそうなる。」
「私がはちくんと帰ろうが私の勝手じゃないですか。」
それ理由になってねーだろ。アホなのか、こいつは。
「第一、お前今日呼び出されてるんじゃなかったのかよ。」
「いんですいんです。どうせ行ったって、あの人の友達がぞろぞろいて見せもにでもされるんですから・・・・」
彼女はもう悟っているようだった。
きっとこれも彼女の経験から来ているのだろう。
これ以上赤の他人である俺が彼女に踏み込むのは筋違いだ。
結局、俺はなし崩し的に彼女と帰ることになった。
帰り道では特に何があるわけでもなくたわいもない話をして帰った。
実際は小町はどういった人なのかとか小町は可愛いだとか小町は可愛いだとか・・・
あれ?俺小町の話しかしてないじゃん。
◆
帰宅してそうそう小町からの質問攻めに合う。
今日どんな話ししたの?だとかちゃんとアピールしたのかだとか、あまりにもしつこくきいてきたので風呂に逃げ込んだ。
出たらすぐに部屋に戻りベッドに突っ伏したところでふと、彼女のことが思い浮かんぶ。
他人の俺がどうこう首を突っ込むとこではない。
だがなぜあんなに諦めた顔をするのか、今の俺にはいくら考えてもわからない。
きっと彼女の経験してきた過去がそうされるのだろうと、ただの勝手な推測しかできない。
自分は何に悩み、何を考え、なにがしたいのかわからぬまま俺は眠りについていた。
夏目さんらしさ、ヒッキーらしさを書くのが大変だということを改めて実感しました。
次回はもっと頑張ります。