もう一つの逆襲のシャア~Zは宇宙を駆ける~   作:parui

1 / 1
MSも人も、


一話【戦争の道具】

「アムロ大尉!」

「カミーユ、どうした?」

 

リ·ガズィのコックピットの中で、作業を行っているアムロ大尉に声を掛ける。

 

「サイコフレームの研究はどうなんですか?」

「あぁ、順調ではないな。元になるものがあるとはいえ·········」

「元ってジオンの誰かが横流ししてきたという噂の?」

「ん、あぁ·····恐らくはな」

 

サイコフレームの技術の基礎は、ジオンからの横流しだという噂がある。

誰かがでっち上げた適当な噂だと思っていたが、

時がたつごとにその信憑性は高くなっていった。

誰も知らないのだ。

この情報が誰から手に入れたのか。

「火のないところに煙はたたぬ」という諺もあるが、それは本当かもしれない。

 

「しかし、あのシャアが反乱を起こすなんて···········」

「カミーユにとっては········クワトロ·バジーナだったか」

「やめてください、僕にとっての認識は既にシャア·アズナブルです」

「あぁ、悪かった」

 

アムロ大尉は冗談で言ったのだろうが、正直そう言われるのはかなり嫌だ。

もうあいつはクワトロ·バジーナではない。

俺の知っているクワトロ·バジーナは俺が殴ったときに壊れ、

最後の戦いの時に死んだんだ。

今、ジオンを統括しているのはあくまで、シャア·アズナブルだ。

 

「ではアムロ大尉、失礼します」

「後でな」

「はい」

 

笑顔で手を振りながら別れを告げるアムロ大尉の元を離れ、

自分の機体のところに行く。

 

ZガンダムMk-V。

俺がもう一度設計に関わった、Z計画の派生一つ。

基本的な見た目はZとあまり変わらず、

機動性に重きを置き、サイコミュを含む性能を全体的にパワーアップした機体。

現在、ロンド·ベルでトップの性能を誇っている。

しかし、アムロ大尉のνガンダムがもう少しで完成するらしいので、

ナンバー2になるのは時間の問題だ。

 

遠くから眺めていると、横から声が掛けられる。

 

「カミーユさん············」

「ハサウェイじゃないか、なにかあったのか?」

「いや、なにもないんです。偶然見掛けたから·········」

「あぁ、そうか」

 

俺に声を掛けたのは彼、ハサウェイ·ノアだ。

クェスとかいう一人の女の子のために乗艦した子供。

ふとフォウのことを思い出し、キリと胸が痛む。

 

「ZガンダムMk-V·······すごいですね」

「そうでもないさ、直ぐに追い抜かれるよ」

「何にです?」

「νガンダムにさ」

「νガンダムって···········?」

「············戦争の道具さ」

「········?」

 

νガンダムを戦争の道具と称するカミーユ。

しかし、彼は知っていた。

自身もまた、戦争の道具であることに。




戦争の道具さ。




長くは続かないと思います。
フィフス·ルナはもうドーンですしおすし。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。