四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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毎度更新が遅くなってしまい申し訳ないです。という言葉すら最早何度目か(汗

本当、定期的に更新出来ている方はどうやってやっているのか……本当に羨ましいです。



今回は原作ではスピードシューティングの決勝を観戦しましたが今回はその裏で行われていたバトルボードについて書いていきたいと思います。


服部トライダガー半蔵(バトルボード予選)

「お~い!達也君、こっちこっち!」

 

九校戦一日目の午後、本来であれば七草真由美の出場するスピードシューティングを観戦する予定だったのだが、バトルボードでタイマンであれば三巨頭を上回り一校最強と称せられる服部刑部が出場するとあって急遽予定を変更したのだ。

 

真由美の競技と重なる時間であったため、観客はまばらかと思いきや、やはり十文字家や七草家の一族をも上回る魔法の実力には皆注目しているのだろう満員御礼といっても差支えなく会場は混雑していた。

 

そんな中で先に席を確保しておいてくれたのかエリカが会場についたばかりの達也を見つけ手を振りながら声をかける。

 

「予選なのに凄い人だな」

 

「正直、会長の方に人が流れると思ってたんだけどな~」

 

「それだけ、服部先輩の試合が楽しみな人が多いということですよ」

 

達也が確保されていた席に腰掛けるやいなや挨拶代わりに言った言葉にレオが賛同を示し、美月が柔らかく微笑みながらやんわりと返答した。

 

「バトルボード?」

 

「あぁ、それはね……」

 

その脇では概要を知らない和人の為に幹比古が説明をしてあげていたが、スピードシューティングの時と違うのは、午前中は外に出ていたヒデノリ達にも説明するため、文弥(女装)、と亜夜子、更には雫とほのかもみんなして説明の輪に入っていたことだろうか(雫の熱の入り具合が凄まじいのはみんなスルーしていた)

 

因みに穂波はある誰かと約束がある為、ここにはいない。一同暖かい目で見送ったのは秘密だ。

 

「服部先輩には特に不得意な魔法はないと聞いているが……」

 

「そうですね、オールマイティーな魔法技能とそれを組み合わせる複合魔法が強みだと」

 

深雪の言葉通り、服部の長所は幾つもの簡単な魔法を組み合わせる事により一つの大きな事象を引き起こす複合魔法と、相手の急所をまるで分かっているかのように的確なタイミングで突く勘の鋭さである。

 

達也自身が服部の魔法を見たのは例のブランシュ襲撃の時だけでありあの時は魔法を放つタイミングこそ卓越した技量ではあったが魔法自体が単純な物であったため、本当の意味で服部の魔法を見るのはこれが初めてとなる。

 

と、ここまで考え達也の知覚に面白いものが引っ掛かる。

 

「なるほど、今回の試合は老師も注目しているみたいだな」

 

「え、嘘!?」

 

達也の言葉に深雪の逆隣にいたエリカとちゃっかし達也の言葉を聞いていた水波がきょろきょろとあたりを見渡す。

 

達也はそれに軽く微笑みながらある一点を指さし、しばし固まった。

 

 

 

 

そこには、確かに世界最巧と称された九島烈がおり、更にその近くには実は帰っていなかったらしい四葉真夜の姿もあったからだ。

 

 

(……深雪)

 

(はい)

 

(これがおわったら青木さん達にねぎらいの言葉とお土産を送っておこう)

 

(えぇ、とびっきりいいのを送ります)

 

恐らく四葉の本邸で血涙を流しながら仕事をこなしているであろう使用人達に達也と深雪は心から同情するのであった。せめて九校戦産のお土産が慰めになるのを願うとしよう。

 

「あれ?あの人って四葉家の当主じゃない?」

 

「そ、そうですね」

 

「へ~四葉の当主にまで注目されるなんて服部先輩もやるのね~」

 

「ソウデスネ~」

 

(頑張って水波ちゃん!)

 

白目をむきそうな水波を必死で応援する深雪であった。表立って手助けできないのが心苦しい。

 

 

「あ、始まりますよ!」

 

がほのかのこの声でとりあえず水波は救われたのだった。

 

 

(この恨みはコンドルにぶつけます)

 

記憶が戻った和人にとりあえず死亡フラグが立った瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 

 

(おう、刑部。気合は十分だな)

 

(当然だ。先輩達は俺の優勝が前提で戦略を立てているだろうからな)

 

一方、バトルボードの会場では服部刑部がコスチュームに身を包みながら試合の準備をしていた。

 

それに茶々を入れるかのように服部の心のうちに潜む仁がはやし立てると、大番狂わせは許されんと真面目に服部は付け加えた。これももう慣れたものでもう服部の顔色は小揺るぎもしない。

 

(優勝は当然、とは自信も十分じゃないか)

 

(当然だ。なんたって……お前がいるんだからな)

 

自身の精神の中で仁が絶句したのがわかった。してやったりとちょっとした喜びに浸っていた服部であったが

 

 

 

(お前……そういうのは七草真由美に言ってやれば)

 

(やかましい!)

 

思いっきりやりかえされてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

(服部刑部、私の魔法を二年連続で防いだその技量、今年もとくと見せて貰おうか)

 

来賓席で椅子にゆったりと座りながら、九島烈は楽しげにレースの開始を見ていた。

 

「楽しそうですわね。老師?」

 

「おうとも、若き魔法師が覇を競い合うのはいつ見ても良いものだ」

 

傍から見てもそれがわかるのか烈が招待した、四葉家の主である四葉真夜にそれを見抜かれても彼は声を揺らして笑って見せた。

 

「特にこのレースは面白い物になるだろう」

 

「服部刑部、ですか?」

 

「うむ、魔法技能はともかく彼の勘と対応力は高校生どころか十師族レベルの魔法師と比べても群を抜いている」

 

十師族という制度を作った他ならぬ九島烈自身の言葉に真夜は軽く目を見張った。彼がここまで太鼓判を押すのはかなり珍しい。

 

 


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