四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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すいません、ヴァンガードの新弾《討神魂撃》をカートン買いしてデッキ組んでたら執筆遅れてしまいました

とりあえず夢紡ぐラナンキュラスアーシャが予想以上に使いやすくて強かったです(ブシロ感



懇親会(その裏で)

そもそも九校戦前の懇談会は懇談というよりも選手通しの顔合わせ、さらに言ってしまえば鞘あての側面が強く、同じ高校同士で固まっている事が多い。

 

だが今回は魔法師と非魔法師の溝を埋めるためのイベントの一環として非魔法師の間でも人気の高いゴールデンキャッスルを呼んでいるため例年よりも和気藹々とした空気が漂っている。

 

「毎年これなら楽なんだけどね~」

 

「まぁ最後の年だけでもリラックスできるならいいだろう?」

 

誰にともなく呟いたのは一高の生徒会長、七草真由美だ。それに意外にも律義に応答したのは風紀委員長の渡辺摩利であり二人ともノンアルコールカクテルを片手に剣呑がとれた表情で辺りを見回している。

 

「ねぇ摩利」

 

「なんだ真由美」

 

「気のせいならいいんだけど、一高の今年度主席入学生が一般男子にチョークスリーパーホールドをかけているのが見えるんだけど」

 

「奇遇だな、私の目にもそう見える」

 

「……止めた方がいいかしら?」

 

「いいんじゃないか?盛り上がってるし」

 

摩利の言葉の通り彼女たちの周りには人だかりができており

 

「行けぇぇぇぇ!!深雪!落とせっ!落とせっ!」

 

「負けんな和人!男の子の意地見せろ!」

 

「そうです!負けたらあなたのことずっとコンドルって呼びますよ!」

 

「いやそれいつもと変わらないんじゃあ……」

 

こんな声援だか罵倒だかわからない声があちこちから聞こえ

 

「は~い、今のオッズは6:1で深雪嬢が有利、和人坊は大穴だよ!さぁ張った張った!」

 

なんか賭博している人もいる。ていうかあれゴールデンキャッスルの金城さんじゃない!?

 

 

「……どうしましょうか」

 

「真由美、十文字を見ろ。奴は全力でアレを見ないようにしている」

 

「それを見習うのはどうかと思うんだけど」

 

真由美が喧騒から少し離れた一角を見るとそこには確かに他の生徒と談笑している十文字克人がいた。

よく見てみると確かに意図的に克人はあの喧騒から目を逸らしている。完全に我関せずの姿勢だ。

 

「特に迷惑がかかっているわけでもなし、暖かい目で見守るのも先輩の役目だろう」

 

「いや一人の男の子が死に掛かっているわよ?」

 

「彼なら大丈夫だ。よく知らないがそんな気がする」

 

んな適当なと思うがそろそろ世界最強と評された老師の挨拶の時間だ。流石に馬鹿騒ぎも終わらせなければならない。とここで真由美はある事に気づく

 

「あれ?そういえばあーちゃんは?」

 

「中条なら作業車だが?そうだ、あいつも呼んでこなければな」

 

真由美の言葉に摩利もあーちゃんことあずさがいない事に気付いたらしい。五十里辺りに呼んでこさせるかと呟いた摩利に真由美は首を横に振ってこたえた。

 

「あーちゃんならちゃんと来るように言ってあるし流石に老師の言葉を欠席するような子じゃないわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あわわわわ、会長~助けて下さ~い)

 

と件の中条あずさは今絶対的ピンチに陥っていた。何故なら

 

「中条さん、お久しぶりです」

 

口調は丁寧だが梓よりだいぶ高い身長と強面で威圧感が半端ないヤンキーと

 

「そちらの会長はお元気でしょうか?」

 

これまたひげがワイルド過ぎるヤンキーと

 

「中条さんも選手なのですか?流石ですね」

 

帽子を目深にかぶり目が良く見えないヤンキーと

 

 

 

有り体に行ってしまえば三人のヤンキーに囲まれていた。

 

(や、やっぱりまだ慣れない……)

 

まぁ当然ヤンキーなどではなく和人達の通う高校の生徒会の面々であり(和人からチケットを貰っていた)あずさとも面識があるのだが、彼らの強面と彼女の元来の気の小ささから未だろくに会話も出来ていない始末だ。

 

「唐沢、多分だがこれはエンジニアの衣装だ」

 

「エンジニア?」

 

「そういや魔法師の道具には専用の整備が必要だって聞いたな」

 

(道具じゃなくてCADですぅ)

 

と心の中で思っていても言えないあずさであった。

 

 

 

ここで今の状況を第三者視点で軽く纏めてみよう。

 

強面のヤンキー三名に絡まれている(ように見える)小さい女の子が一人

 

恐ろしい程簡潔にまとまってしまったが、ようは非常に誤解を招きかねない状況なのだ。

 

 

「あの、すいません」

 

「「「はい?」」」

 

「その子の事、離してあげてくれませんか?」

 

「「「……はい?」」」

 

(はい?)

 

例えばこんな感じで

 

「その子、困っているみたいですし、ね?」

 

その生徒は赤を基調とした制服を身にまとっており恐らく魔法科高校の生徒だろうが一高ではない。

 

身長はすらりと高く顔立ちは甘く整っており、何も言わなくても女性が寄ってきそうな好青年であった。

 

(知り合いかモトハル?)

 

(いや、こんなイケメンの知り合いはいない)

 

(……あ)

 

(どうした唐沢)

 

(今の状況……)

 

((状況?))

 

と唐沢に言われモトハル、副会長の二人がしばし思案し

 

((もしかして、中条さんに絡んでると思われてる?とか……))

 

(多分)

 

(((ははは……)))

 

と理由に思い当たると

 

 

(((なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?)))

 

心の中で絶叫した。声を出さなかった自分をほめてやりたい。

 

ちくしょう思えば中学の時もこんなんあったな、と三人は昔の苦い思い出を歯噛みと共に思い出していた。

この外見のせいで何度あらぬ誤解を受けた事か

 

ちらりと三人が助けに入った(と本人は思っている)少年を見ると、軽く笑みを張りつけながらもその目は油断ない光を帯びていた。完全に臨戦態勢だ。

 

三人はそれとなく視線を合わせると軽くうなずく。

 

「な、何だテメェは~!」

 

「しゃしゃってんじゃねぇぞ~」

 

若干、というか結構演技が棒なのは御勘弁願いたい。彼等は少年に恥ずかしい思いをさせない為に頑張っているのだから

 

「いやいや、暴力はやめましょうよ暴力は」

 

「うるせぇんだよ!」

 

まずトップバッターの唐沢が無意味に大ぶりなパンチをばれない範囲で当たらない速度で繰り出す。

 

「っ」

 

少年はそれをかがんで交わすと姿勢を戻す勢いでアッパーカットを唐沢の顎に叩き込む。

 

「ぐは!(やれやれ……)」

 

「てめぇ~!」

 

次にモトハルが少年に掴みかかろうとするが

 

「せい!」

 

「げふ!(トホホ)」

 

裏拳で叩きのめされ

 

「ぐぅ!(やだなぁ……もう)」

 

ついでに何もしてない副会長がハイキックを喰らい派手に壁に激突する。

 

「ふぅ、大丈夫ですか?」

 

「え?え?」

 

少年に声をかけられたあずさは大層混乱している。まぁ知り合いがいきなりこんな事になれば混乱しない方がおかしいのだが

 

「さ、ここは危険です。行きましょう」

 

「あ、あの……その」

 

(ど、どうしよう。この人なんか誤解してる!?)

 

そんな混乱したあずさの頭でもこの少年があのシチュエーションを少し誤解してしまったというのはわかった。

 

(ご、誤解を解かないと!でもでも……)

 

と意気込む?が気の余り強くない彼女は副会長程ではないが大柄な少年の導かれるままに手をひかれてしまう。

 

(ふ、これでいい)

 

三人はその顛末を気絶した振りをして薄目で見ていた。

 

(我々が実は知り合いだと知ったらその男はとてつもなく恥ずかしい思いをする)

 

(あとは適当にごまかし願います。中条さん)

 

と少年にばれないようアイコンタクトであずさにメッセージを送るが

 

(誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと誤解を解かないと……)

 

 

(((め、めっちゃテンパってるぅぅぅぅ!?)))

 

残念ながらあずさにそこまで察する余裕がないようで目に見える程慌てている。

 

(も、もしかして状況に追いつけてないんじゃ)

 

(マジかよ!?)

 

(くそ!予想外だ!)

 

「あの、どうかしましたか?」

 

あずさの慌てように流石に不思議に思ったのだろう少年があずさの顔を覗き込むように見てくる。

 

(わ、わたしがどうにかしないと!)

 

この場合は残念ながらが適切だろう。あずさはこう見えて結構責任感のある人間だった。

 

「あ、あの!」

 

(((マズイ!)))

 

「はい、何でしょう?」

 

「こ、この人たちはですね」

 

(すいません中条さん!)

 

「へう!?」

 

あずさの言葉を止めるため一番近くで倒れていた副会長があずさの背中を触れるくらいの軽い勢いで蹴りを入れる。

 

これが某果物ちゃんだったらわりかし遠慮なく蹴りを叩きこむのだが、流石に罪悪感が勝った。

 

ホントに触れるレベルだったのだが面白いようにあずさはびくつき倒れている(演技をしている)三人を見る。

 

とここであずさはこれでも去年の主席入学者であり、総合成績ならあの服部にすら勝っているという優れた才女なのだ。

つまり何かおかしいと思えばしっかり考える事が出来る子であり、今回も倒れている三人が何を考えていたのか考え

 

(あ)

 

やがて答えに至った。

 

(よし気付いた!)

 

彼女の合点がいったと言う顔にやれやれと安堵のため息を吐きそうになるのをどうにか押さえた三人だったが

 

そううまくいかないのが世の中である。

 

 

「え?」

 

あずさは少年の制服の腹辺りを両手で掴み

 

「や、やんのかこらぁ~」

 

知り合いに習い、恐喝の真似を始めたのであった。

 

(そうじゃない!)

 

(駄目だこりゃ)

 

 

 

 

結局、少年にはバレてしまったそうな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、将輝なにしてたのさ?」

 

そろそろ主賓の挨拶が始まっちゃうよ。と声をかけた吉祥寺真紅郎は帰ってきた親友の様子を見ておや?と思う。

 

「あぁ、少しな」

 

「どうしたの?凄い顔赤いけど」

 

見れば何があったのか燃えるように顔が赤くなっており酒でも飲んだのか?と邪推してしまう程だ。

 

「いや、凄く恥ずかしい思いをしてしまったんだ」

 

「?」

 

将輝と呼ばれた少年、一条将輝の言葉に盛大に頭に疑問符が浮かぶ真紅郎であったがちょうど来賓の挨拶が始まってしまい聞く事は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず一条君を登場させました。ぶっちゃけこのネタはずっと一条君にやらせたかったのですwww

このネタを違和感なくやる為に色々と一般高校生をどう九校戦にねじ込むか思考錯誤しましたね。テラ無駄な努力www

そしてやっぱり懇親会が長くなるというねwwwあと一話で懇親会は終わらせる予定です(確定と言っていない)






ただラストクロニクルの新弾もカートン買いしなければならないのよね(ボソ

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