四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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懇親会でやりたい事が多すぎて長くなってしまいそうな気がする(汗


懇親会(あたらしい出会い)

「おぉ~」

 

「こ、これが九校戦の懇親会か!」

 

「可愛い子だらけだな!」

 

「そうだな!ぐひひ」

 

きらびやかな会場に五百人近くの男女が立食パーティーを楽しんでいる中、欲望まみれであちこちに視線を走らせるのは俺が呼んだヒデノリ、ヨシタケ、タダクニの三人だ。

 

「全く、嘆かわしいですわ」

 

亜夜子ちゃんがこれ見よがしに溜息を吐くが、彼らには聞こえていない。とかいいつつ俺も色々目移りしているんだがね

 

「お、あの子可愛くね?」

 

「ばっか!あっちの方がいいだろ?」

 

「いやいや、あっちの方が……」

 

このパーティーはドレスコードはないが、皆学校の制服が多い。他のライブ参加者もカジュアルスーツだったりあくまでパーティーの装いを壊さないようにしている。

 

「ていうかさぁ」

 

 

 

 

 

すっげー気になってたんだけど言っていいかな?

 

「お前らその格好何?」

 

「「「え?」」」

 

「え?じゃねぇよ!まずヒデノリ!何だお前それは!?」

 

 

 

「なにって、夏だろ?

 

 

 

 

 

 

 

だから甚平着てきたんだよ」

 

そこには御丁寧に団扇まで持ったヒデノリがいた。

 

「浮きまくってんだよ!会場の雰囲気に合ってないんだよ!さっきから視線が痛すぎるんだよ!」

 

見ろ!と俺は遠巻きに自分たちを見ている集団に一部を指さす。

 

「さっきから達也君達が全力で他人のふりしてるじゃねぇか!」

 

今だって明らかに視線逸らしてるしね。

 

「正直、僕達も他人のふりしたいよ」

 

そうだね!文弥くんじゃなくて弥美ちゃん!でも一人にしないでくじけるから!

 

「あと、ヨシタケ!」

 

「あ?夏だろ?だから涼しい格好にしたんだよ。」

 

そうだね、寒冷化の影響があるとはいえ夏は暑いよね。わかるよ~わかる

 

 

でもね

 

 

 

 

 

「だからって白Tシャツと短パンはねえだろ!御丁寧に虫取り網と帽子までかぶりやがって!」

 

そこには今にも虫取り行きますよ~と言った格好のヨシタケがいた。

 

「この時間ならカブトムシがとれんだよ」

 

「うるせぇよ!ここにカブトムシなんざいねぇよ!むしろ俺がお前を無視したいよ!」

 

 

「あ、ちょっと上手い事言いましたわね」

 

ごめん亜夜子ちゃん。いまちょっと付き合ってあげられないんだ!だからボケないで!

 

「そ・し・て!タダクニぃ!」

 

「え、俺!?」

 

何驚いてんだろうね~この男は?

 

 

お前はさ~

 

 

 

ほんとにさ~

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで制服なんだよ!」

 

「理不尽じゃね!?」

 

そこにはふっつ~に制服に身を包んだタダクニがいた。

 

「そこはボケろよ!なんでふっつ~にふっつ~の格好してんだよ!これじゃオチがつかねぇじゃねぇか!」

 

「そこは海パンにゴーグルとか欲しかったですよね」

 

そうだね水波ちゃん!タダクニには本当に失望したよ!

 

「全く、お前らはTPOもわきまえられないのか!」

 

「いや、俺は普通……」

 

「うるせぇ!この普通に駄目野郎!」

 

「普通に駄目って何!?」

 

「やれやれ、穂波さ~ん、何か言ってやって下さいよ」

 

喚き散らすタダクニの妹の兄を一切シカトしこちらに歩いてきた穂波さんに声をかけると

 

「和人?なにその格好は?」

 

何故か、俺に呆れた視線を向けてきた。ん?俺はちゃんとそこらへんわきまえた格好してるけど?だってここ軍の施設なんでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、迷彩服だけど?」

 

そう、更に暗視ゴーグルと電動ガン、ヘルメットで完全武装している。完全に空気を読んだファッションである。

これは完璧だ。神心会のデンジャラスライオンが主人公のライバルになるぐらい完璧だ。

 

「いやあなた馬鹿ですか」

 

え?なんで?なんでそんな神心会のデンジャラスライオンが夜叉猿Jrに圧勝しようという時に「あんたじゃ無理だ。俺が変わる」とかのたまっちゃう主人公みたいな目をしているんだい?

 

「なんか問題あるんかね~」

 

「あなた達……さっさと着替えなさい!」

 

やべ、穂波さん怒らせてしまったぜ、怒るとマジ怖いからここは従った方がいいな。

 

「仕方ないな。一さんから貰った司の椀の制服着るとしようか」

 

「あ、俺メガネ人数分あるぜ」

 

「俺ワックスあるから髪型も合わせられるy」

 

「ア・ナ・タ・タ・チ?」

 

「おら何してんだ!アホな事してないでちゃっちゃと着替えんぞ!(ガクブル」

 

「「「おう!(ガクブル」」」

 

あ、あぶねえ……これ以上ふざけてたら翌日サンドバックの中で見つかるぐらいボコボコにされるとこだったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ大変な目にあったぜ」

 

「何回言ったかわからんがお前の自業自得だ」

 

そりゃないぜ達っつあ~ん

 

「てかよく考えれば俺着替える必要なかったじゃんか」

 

「やかましいぞダメクニ」

 

「コラ!定着したらどうすんだ!」

 

「そんなことはないさダメクニ」

 

「そうだぞダメクニ」

 

「災難でしたね、ダメクニさん」

 

「もう定着してるし!?」

 

悲鳴を上げるダメじゃなくてタダクニを笑いながら見る一同、どうにか溶け込めたようでなによりですね。

そしてそんな光景を見て唖然としている人間が一人

 

「なんというか、僕は今凄いものを見てるんじゃないかって気がしてくるよ」

 

「まぁ迷彩はともかく甚平と短パンはないよね」

 

「いやそっちじゃなく、ていうか迷彩もないよ。ぶっちゃけ一番浮いてたよ」

 

「うそん」

 

目元のほくろが特徴の一見線の細そうな少年の名は吉田幹比古君。達也君に聞いたところ古式魔法?の名家である吉田家の神童であるとか、めっちゃ凄い人じゃん!とか思ったら何やら事情があるようでそこまでは達也君も聞いていないようだった。

 

「じゃあ何が凄いんだい?幹比古君」

 

俺としてはミキと呼びたいんだけど本人が嫌がっているのでじゃあミッキーと呼ぼうとしたら何故か作品ごと削除されるような冷たい震えが止まらなくなってしまったので素直に名前で呼ぶ事にしたのだ。

 

 

「いや、魔法師と非魔法師がこうやってなんの気兼ねもなく笑い合っている事がさ」

 

またそれか、と正直思う。俺が魔法師だらけの四葉で育ったせいかもしれないが魔法師とそうじゃない人の溝はかなり深いらしい。確かに俺の周りで魔法師と仲いい人俺意外にいなかったけどさ

 

「そんな珍しいもんか?」

 

「そりゃそうさ、非魔法師の人にとっては見えない拳銃を突きつけられているようなものだからね」

 

皇帝(エンペラー)か」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない」

 

通じなかったか、残念

 

「魔法師が無意味に魔法を使う事は禁じられているし、当然自制もしている。だけどそれをわかって貰えるのは難しいんだろうね」

 

自制?いやおかしいな~

 

「いやでも幹比古さ~ん、聞いて下さいよ~」

 

俺が少し離れた所にいる達也君とみゆきちを指さすのにつられ幹比古君もあっちを見る。

 

「あの兄妹は俺に会うたびに魔法ぶっ放してくるんですぜ?アレのどこが自制してるっていうんすか~?」

 

「え?そんな……あ」

 

とここで幹比古君が俺の後ろに視線を走らせるが知った事ではないこのまま無い事無い事吹き込んでやるぜ!

 

「もうあれだよね?猛獣だよ猛獣」

 

「あの、和人?」

 

「馬鹿の一つ覚えみたいに冷却、冷却ですよ。ありのままに雪の女王でも目指してろっていうの?」

 

「か、和人……後ろ」

 

「達也君も一切止めないし、むしろ加わってくるし。もう鋼のシスコン番長だね」

 

「あ~もうそれくらいで」

 

「あれですよwww鋼のシスコン番長がペルソナ!って叫んでありのままの姿見せながら雪の女王降臨みたいなwww」

 

全く世の中クソだな!

 

「か、和人!和人!」

 

さっきからどうしたのさ幹比古君

 

「も~う、何さね?」

 

「う、後ろ、後ろ」

 

後ろ~?と顔が真っ青の幹比古君につられて後ろを見ると

 

 

「よう、鋼のシスコン番長だ」

 

「ありのままの雪の女王ですよ?」

 

「」

 

一切温度を感じない笑顔の司波兄妹がそこにはいた。これ俺死んだね。

 

 

 

「ロープロープロープ!」

 

「ロープは認められない。深雪」

 

「はいお兄様」

 

「ぎゃああああああ!ギブギブギブ!!」

 

「ん?ギブ?」

 

「イエス!ギブギブ……」

 

「フン!」

 

「ギブルチ!?」

 

「ギブミーか、そうかそうか」

 

「いい度胸ね。これで沈みなさいぃぃぃ!」

 

「んなこと言ってねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

調子乗り過ぎた俺は結局、相手みゆきち(敵)レフェリー達也君(敵)という四面楚歌でしかない残虐ファイトに巻き込まれるのでした。

 

おいこらぁぁ!周りも爆笑してないで助けろよ!なんか他校の人も笑いながら見てるしね!

 

 

 

てかヒデノリ達はぁぁぁ!?早く助けてくれぇぇぇぇぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

「はははは!あははははははは!!」

 

「なぁ、文弥よ~」

 

「ん?なに?あと一応弥美って呼んで貰えるかな?」

 

和人と深雪の一幕を少し離れた所で笑いながら見ていた女装中の文弥はふと肩を叩かれる。叩かれた方を見ると少し申し訳なさそうな顔をしたヨシタケがいた。

 

「じゃあ弥美、あのその格好してんのってさ、もしかして俺らのせい?」

 

はい?と思わず口にしかけ文弥はひと月ほど前に和人の家に遊びに行った時の事を思い出し、あぁと合点がいったように息を吐く。

 

「いや、あれは許して貰えたんだけど、紆余曲折合ってさ」

 

「そ、そうか、あのさ弥美」

 

あの時の事を思い出しながら眉を八の字にする文弥に今度はヒデノリが話しかけた。

 

「?」

 

「その気をつけた方がいいと思うぞ」

 

「え?なんで?」

 

「あ~その~」

 

歯切れの悪いヒデノリの言葉に文弥は訝しげに身を細める。

 

(なぁ、ヒデノリ!)

 

(なんだダメクニ!)

 

(ダメクニ言うな!じゃなくて、あそこにいんのってさ……)

 

(わかってるよ)

 

ヒデノリの背後からひそひそ声でタダクニが指さす先には

 

 

 

 

「……」

 

こちらをちらちら見ながらそわそわしまくっている在る男子生徒がいた。

 

 

 

再びあえて言おう。森崎であると

 

 

 

(あれ、森崎だよな)

 

(そうだな~ヨシタケ~こっち、ていうか文弥の事めっちゃ見てるな)

 

(あぁまるで思い人に会えたかのような目だな)

 

(ヨシタケ、それまんまじゃねぇか)

 

「ねぇ、何の話してんのさ」

 

いつの間にか輪になりひそひそ声で会話を始めた三人に文弥は訝しげな視線を更に深くする。

 

「あぁ悪い。今作戦会議中なんだ」

 

「作戦?」

 

「そ、そうそう」

 

ははは~と愛想笑いでごまかす三人の視線の先には

 

「…………」

 

今なお、めっちゃこっちを見ている森崎がいた。何を隠そうこの森崎氏、とある事情により文弥、正確に言うと女装したヤミちゃんに一目ぼれしているのだ。

 

とある事情=魔法科高校生と普通科高校生の文化祭他参照

 

 

(くそ、どうする?あいつ俺達の事も見てるぞ)

 

(そうだな、気をきかせろよお前らと言いたげな目をしているな)

 

(あの野郎!人の苦労も知らないで!)

 

もう充分気ぃきかせてるってのによ!と作戦会議から森崎への愚痴になりつつある三人

を尻目に

 

「はぁ喉渇いちゃったな。あ、あそこに飲み物あるじゃん」

 

文弥はヨシタケ達を置いて歩きだしてしまった。

 

 

森崎のいる方へ

 

 

(((あぁぁぁぁぁ!?)))

 

三人はしまったと思うがもう遅過ぎた。

 

 

 

 

「すいませんっと、やっぱ人が多いな」

 

九校戦参加者とライブ参加者で人数は五百人を超える。それが和人と深雪のおかげでその一部が集まっており(あれはイベントの一つと思われているようだ)文弥の周りは結構な人だかりができていた。

 

おかげで目的の場所まで行くのも一苦労だ。いつもだったらこんな人だかりもうまく抜けられるのだが、ファッション重視で動きづらい女装だったのが災いして遅々として歩みは進まない。

 

「ん、とすいません通りま、うあっ!」

 

結果、無理矢理通ろうとして転びそうになってしまう。

 

「おっと、大丈夫ですか?」

 

が後ろに人の気配を感じるとその人が自分の肩を支えてくれたおかげで転ばずに済んだ。

 

「すいません。ありがとうございます」

 

文弥がお礼を言いながら振り返ると、そこにはどこかで会った気がする少年がいた。

 

「いえ、前もこんな事がありましたね」

 

前に?と少年の言葉で文弥が記憶の糸を辿ると

 

「あ」

 

「思い出していただけましたか?」

 

そういえば前もこんな時に助けて貰った気がする。

 

「あはは、毎度すいません」

 

「いえいえ、森崎駿と言います」

 

「黒羽ふ、弥美です」

 

そういえばあの時は名前も聞かなかったと二人して頭を下げながら自己紹介する姿は見てて微笑ましさを誘う。

 

 

少年と女装少年じゃなければ

 

 

「弥美さんですか、なにか欲しいものでもあったんですか?」

 

「あ~、ちょっと喉が渇いて」

 

「そうでしたか」

 

と森崎が言い、周りを見渡しドリンクの置かれているテーブルを見つけると

 

「何が欲しいんですか?」

 

「え?そこまでして貰うわけには」

 

文弥が恐縮して断ろうとするも森崎は尚も笑顔のままだった。

 

「いいんですよ。ぼくもちょうど喉が渇いていたんでついでにとってきますよ」

 

「あ」

 

と文弥の返事を待つ間もなく言ってしまった。

 

(森崎さんか、結構いい人だな)

 

負けん気の強そうな顔立ちと目の光からは想像外だった気遣いを見せられ文弥はいい意味で期待を裏切られた気分だった。

 

 

 

 

「なぁ、結構いい雰囲気じゃね?」

 

「さっき、森崎とすれ違ったんだけどありがとうって言われちまったよ」

 

「なんか色々後戻りできなくなってきてんな」

 

その顛末をこっそり見ていた三人が好き勝手言っているのを知らず文弥(女装)と森崎が和気藹々と話していた。

 

「なんかもう、いいんじゃね?」

 

「「はぁ!?」」

 

それを見ていたヒデノリの発言にコイツ正気か?という二人の視線が突き刺さる。

 

「いや、幸せって人それぞれだからさ」

 

「いやいやいや!」

 

「大事なとこが違うからね!なんかもう見てて申し訳なくなってくるから!」

 

ヨシタケとタダクニがなんか遠い目をしているヒデノリの肩を揺さぶる。

 

「もう正直に言おう。

 

 

 

ぶっちゃけもう無理」

 

「「ホントにぶっちゃけやがったよ!?」」

 

 

 

 

 

森崎の明日は明るい(目逸らし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 





幹比古君やっと登場させられました。待たせて申し訳なかったです。

あと男子高校生の日常キャラ久しぶりに出したきがするwwwといってもネタはだしてませんけど

予定では九島閣下の挨拶まで行くはずだったのにな~やはりどうしても話しが脱線する傾向にあるようですね僕は

これ閣下の挨拶で一話、ライブで一話とか使いかねないぞwww

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