四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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あれ?そういやまだ幹比古君出てないという事に気づくwww

ごめんよ、もう少し待ってて幹比古君!


前乗り招待(正体)

 

あの後、ディックさんから確認の電話があり、俺がチケットの必要枚数を告げると大体目星がついていたのか翌日には特等席のチケットが届いていた。

 

ヒデノリ達には学校で直接渡したのだが、文弥くんや亜夜子ちゃんにはどう渡そうか悩んでいた所(郵送でもよかったがどうせなら直接渡したかった)

 

「じゃあ、家に泊ってく?」

 

と文弥くんから非常にありがたいお言葉があったので……

 

 

 

「お邪魔しま~す!」

 

「「お世話になります。黒羽様」」

 

「いらっしゃい、ゆっくりしていくといい」

 

俺と穂波さん、水波ちゃんの三人で黒羽邸に遊びに来たのだった。

 

「ひ、広い」

 

「そうかい?四葉本邸程ではないだろう」

 

思わず出た言葉に出迎えてくれた貢さんが応えてくれる。どうやら機嫌は非常にいいようだ。

 

「あそこは広いんですけど、入れない所が多くて」

 

「あ~」

 

四葉邸は非人道的な機密資料やら非人道的な実験材料やら非人道的な某やら彼には刺激が強い物が大量にある。彼に対して相当過保護である当主が彼が入るのを許す筈はないと貢は納得の息をもらしながらそう考えていた。

 

「え?でも普通に実験施設に入って紅林さん半泣きにさせてましたよね」

 

「あら?そうだったっけ?」

 

が水波の言葉に貢はしばらく会っていない序列三位の執事に静かに同情の黙祷を捧げるのであった。

 

余談ではあるが、何度も和人に入られ茶々を入れられているうちに紅林や研究所員の方も自棄になり

 

「サイオンやプシオンがあるならミノフスキー粒子もあるんじゃね?」

 

「よし発見の暁にはガンダム作るぜ!」

 

「いや、まずは牛久の大仏を変形合体させて動かそう!」

 

とか

 

「マイクロブラックホール実験を利用すれば惑星クレイに行けるのでは?」

 

「それだ!バミューダの人魚ちゃんとちゅっちゅするおwww」

 

とか良くない方向にハッスルしてしまいそれを見た真夜に和人ともども流星群(ミーティアライン)で直々にお仕置きされたりしてるので同情する必要は全くない事をここに記しておく。

 

きっと今日も彼等は元気にガンダムをつくっている事だろう。牛久の大仏が地球防衛の為に動き出すのもそう遠い未来ではないのかもしれない。

 

 

 

 

「あ、文弥くんちっす~」

 

四葉の研究施設をある意味壊滅させた張本人はそんな事情を露とも知れず階段から下りてきた少年に声をかける。

 

「やぁ、相変わらずだね」

 

俺を見つけた文弥くんは褒めてるんだかけなされてるんだかわからない挨拶をしてくるが、満面の笑顔の為多分けなされてはいないだろう。あれ?でも文弥くん人を貶める時も超笑顔だったような?

 

「和人、私達の荷物をお願いできますか?今から夕飯の準備をしますので」

 

「え?此方がお招きした客にそこまでして貰うわけには」

 

穂波さんの言葉に招いた客に貢さんが驚愕と恐縮を混ぜた顔で言う。黒羽邸では主にHARという機械が家事を担当しておりむしろ司波家や四方坂家の方が珍しい。今回もHARに任せようと貢さんは考えていたようだ。

 

「いえいえ、急に押しかけたのはこちらですしこれくらいはやらせて下さい」

 

「そ、そうですか。ではお言葉に甘えさせて貰いましょう」

 

貢さんが若干及び腰だったのは前回の件があるせいだろうか。

 

「大丈夫ですよ貢さん。本当に美味しくなってますから、量も普通です」

 

「そ、そうか、助かった」

 

こっそり貢さんに耳打ちするがどうやら本当にそれが心配だったようだ。いや流石に他人の家でやるほどではないと思うよ?

 

「ということで、私と叔母様の荷物をお願いします」

 

「あいよ~」

 

まぁお安い御用だと穂波さんの荷物を受け取り水波ちゃんの荷物も受け取ろうとするが、何故か直ぐに渡さずこちらを見てくる。なんぞ?と思っていると

 

「下着とかも入ってますんで、盗まないで下さいね?」

 

なんてことを薄く笑いながら言ってきおったよ。そもそも一緒に暮らしてるんだからふとした拍子に見てしまう事もないわけではないわけで、それを何をいまさら言っているんだ?

 

てなことを言うとなんか必死に言い訳してるみたいで水波ちゃんの思うつぼであるのは長い付き合いでよくわかってるのでここは一発でそんな破廉恥なことは考えてもいないと分からせなければなるまい。

 

「はっ、もうちっと歳食ってから出直してこい小娘」

 

色々考え、某青タイツ兄貴をリスペクトした結果

 

「死ね!」

 

顔を真っ赤にした水波ちゃんから思いっきり顔面に荷物をおみまいされたとさ、解せぬ。なぁ文弥くん俺なんか間違えた?

 

「和人、そろそろデリカシーってやつを身につけた方がいいと思うよ」

 

な、なにおう

 

 

 

 

とまぁこんな一幕があったがとりあえず自分の荷物を文弥くんの部屋に置き、穂波さんと水波ちゃんの荷物を亜夜子ちゃんの部屋に置こうと彼女の部屋の前にいる。

 

「亜夜子ちゃ~ん。いるかい?」

 

軽くノックしながら部屋の中にいるであろう亜夜子ちゃんに向かって声をかける。どっかのラノベ主人公みたいな事はしないのだよ。

 

「は~い、少し待ってて下さいな」

 

するとやはり中にいたのか亜夜子ちゃんから返事が返ってくる。中を少し整理してたのか少しバタバタと物音がした後

 

「あぁ和人さん、久しぶりですわ」

 

Tシャツにズボンという非常にラフな格好をし腰まで届きそうな黒いロングヘアーをうなじ辺りで軽く一まとめにし後ろに流した見た事もない少女がそこにいた。

 

少なくとも俺は会った事がない。

 

 

「誰?」

 

「はい?亜夜子ですけど」

 

HAHAHA!君が亜夜子ちゃんだって?冗談きついぜwww

 

「亜夜子ちゃんはもっとこう、ツインテールでテレポートでですのですのな子だった筈……」

 

「それは風紀委員(ジャッジメント)ですの!」

 

「え?風紀委員(ジャッジメント)ですの?」

 

「違います!」

 

「なんだと!?じゃあ君は一体……なんですの?」

 

「だから亜夜子ですの!ってわざとやってるでしょう!?」

 

ちっ、ばれたか。まぁ亜夜子ちゃんで遊ぶのはこれくらいにしておこう。

 

 

 

「すんません、意地悪が過ぎました」

 

「全くですわ」

 

「いやでも最初はホントわかんなかったよ」

 

女の子って服装だか髪型でめっちゃ変わるよね。

 

「達也さんが来るならもっと着飾ったんですけど、あなた程度ならこのぐらいで充分ですわ」

 

「どうせならどてらでも着ればいいのに」

 

(なにがし)色シンフォニーみたいにさ、アニメは伝説に残りましたね(白目)

 

 

「この季節にそれは暑すぎですわ」

 

「確かに」

 

ごもっともな反論を受けてしまってはこれ以上何も言えない。何も言えないので荷物を置くと少し早いが例の物を渡す事にする。

 

「ほい、ディックさんからライブのチケット」

 

「っ!!こ、これが、あの伝説の……!」

 

亜夜子ちゃんが俺が持っているチケットをまるで宝剣のように押し戴くと恍惚とした表情を浮かべる。

 

「ふ、ふへへへ」

 

恍惚過ぎて怪しい笑いまでしだしている、ちょっとお兄さんも流石にドン引きですよ。まぁ喜んでくれてるならいいか。

 

「じゃ、俺はこれで」

 

「そういえば和人さん」

 

「え?」

 

いつの間に素に戻ったのか亜夜子ちゃんがチケットをしっかり抱えたままこっちを見ていた。

 

「聞いた話ですが、ゴールデンキャッスルには創設に関わった重要メンバーがいるって話ですけど、誰か心当たりありません?」

 

「え~と、何で俺に?」

 

「だってあなた何の因果か知りませんがメンバーと仲がいいじゃありませんの」

 

あ~なるほど、だから俺が知ってるんじゃないかと思ったんだね。

 

「彼がいなければゴールデンキャッスルはなかったとまで言われてるんですからファンとしてはどうしても知りたいんですの」

 

これまたディックさん盛大に話盛ったな~。多分てか確実にそれ俺の事だよね?まぁ言っちゃてもいいか。

 

「あ~実はそれ俺の」

 

「きっととても凛々しく素敵な方に違いありませんわ」

 

事なんだよねと続けようとした言葉は亜夜子ちゃんのどこか宙に浮いたような声に霧散してしまう。

 

「え?いや」

 

「なんたってレフトブラッドの劣等感に悩んでいたメンバーを救い、更に沖縄基地の危機すら救ったと言うのですからきっと心も力もお強い方なのでしょうね」

 

いや劣等感とか後になって知ったし危機救ったのは達也君と霧くま軍団だから、と言ってやりたいが熱に浮かされている亜夜子ちゃんにはきっと届かないだろう。

 

「あの~実はそんな大した奴じゃないみたいな感じだったらどうする?」

 

「はぁ?」

 

「例えば、俺……みたいな」

 

「はっ」

 

歯切れ悪く言った俺の言葉を亜夜子ちゃんは鼻で笑う。さっき俺も水波ちゃんに向かってやったけどこれはイラッとくるね。後で水波ちゃんにはちゃんと謝っておこう。

 

「んなわけないでしょうに、あなたみたいなのが二人いたら世界が滅びますわ」

 

散々な言いようである。

 

「あぁ、一体どんな方なのでしょう。そうだ!」

 

と手を叩くと此方をニッコリと亜夜子ちゃんが見てくる。なんか凄い嫌な予感がするんだが

 

「その伝説のメンバーにあなたから言って会えませんこと?」

 

やっぱりぃぃぃぃ!?そんな予感はしてたよ!

 

「い、いや~それは」

 

「そこをどうにか!お願いしますの!」

 

自分を紹介するってどんな罰ゲームだよ!だが亜夜子ちゃんも必死なのか普段は下げない頭をこれでもかと下げてくる。

 

「あなたのお願いなんでも叶えてあげますし、なんなら高校行ったら風紀委員になって本当にジャッジメントですのって言ってもいいですわ」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

な、なにぃぃぃぃ!?そこまでの覚悟があるというのか!?

 

「い、いやそこまでしなくてもいいから!大丈夫だから!」

 

ばれた時が怖すぎる!

 

「じゃ、じゃあ会わせてくれますの!?」

 

「え~~~っと」

 

「うぅぅぅ……」

 

「あ~~~~」

 

「駄目……ですか?」

 

うん、その涙目は反則だと思います。

 

「き、機会があったら、話しておくよ」

 

「本当ですの!?」

 

「で、でも期待しないでよ?結構忙しいみたいだし」

 

嘘だよ!全然暇だよ!てか目の前にいるよ!

 

「お願いします!」

 

ちょwwwやめてそんな花の咲いたような笑顔でこっち見ないでwww罪悪感で死にそうになるから……

 

「じゃあ、俺は行くから……」

 

「お願いしましたわよ!絶対お話しして下さいまし!」

 

「う、うん」

 

最後に満面の笑みで俺に罪悪感と言う名のダメージを刻みつけ亜夜子ちゃんは部屋のドアを閉めた。

 

そこにぽつねんと残される俺のなんと間抜けな事か。

 

 

 

 

「……」

 

「あ、和人帰ってきた。時間かかったね」

 

ゲームでもするかい?とコントローラーを差し出してくる文弥くんがなんか凄く救いです。

 

「文弥くん」

 

「?」

 

「俺は一人の少女の笑顔の為に嘘をついた……それは果たして悪だろうか?」

 

「いやなに意味わかんない事言ってるのさ」

 

「もしかしたら俺死ぬかもしれんし」

 

「あ~はいはい、とりあえずゲームやる?」

 

「うん」

 

バレたら骨は拾ってくれよ?文弥くん

 

 

 

 

 

 

 

 





牛久大仏ってあんま有名じゃないんですよね。

おっそろしくでかくて東京からでも天気が良ければ見えるんですよね

一部では第三次世界大戦になったら日本を護る為に動き出すと信じられているようですがwww

夜にライトに照らされる大仏はマジで動きだしそうな迫力がありますので近くに来た際にはぜひご覧ください。

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