四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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劣等生16巻を読んで書いてみたくなった話です。


早すぎる邂逅(悪酔い)

 

あの残虐非道な食戟バトルからしばらく経ったある日、達也君が九校戦?のエンジニアにとかいうのに選ばれたとかみゆきちとかは選手として出場するとか。俺?う~ん興味はあるけどどうしよっかな~と決めかねている状況だ。

 

今日はちょっと趣味の物を買いに少し遠出している。と言っても東京内だけど

 

「全く、これは取り扱っている店が少なすぎて困る」

 

「別にそれってオンラインでもできるんだし買う必要ないんじゃない?」

 

「なに、リアルも触っておかないと調整とかやりづらくなるし、そもそもオンラインでのパックゲットできるかも知んないしね」

 

そういうもんか~と言ってまた前を向き歩を進めるのは今回たまたま行く店がかぶったので一緒に行く事になった文弥君だ。

 

「この後どうする?どっか落ち着ける場所探す?」

 

「そうだね~出来ればTCG出来る場所がいい」

 

例えばリアル集会場と呼ばれているサイゼ○アとか

 

「近くにあったかな」

 

と携帯端末を操作し始めた文弥君に探索は任せ、俺は目の届く範囲に何かないか辺りを見回す。

 

「ん?」

 

と路地裏でもないが微妙に人目のつかない場所に女性だろうか?肩掛けのハンドバックを手に持ちかなり危ない足取りでふらふらと歩いているのを見つけた。

 

「あの~大丈夫ですか?」

 

流石に放っておけず、文弥君がちゃんと近くにいるのを確認して俺はその女性に声をかける。

 

「んあ?」

 

その女性は俺の声にきだる気な声を上げながらも此方を向く。歳は大学生ぐらいだろうか、髪を六・四の右分けの髪をセミロングにし右耳にピアスが見えた。結構な美人さんだが焦点定まっていない目と

 

(さ、酒臭っ!?)

 

体中から漂うアルコール臭がそれを台無しにしていた。ていうかこの人どっかで見た事あるんだけど

 

「あの~」

 

「ちょうどいい、ちょっと付き合って」

 

「え!?」

 

まさかの逆ナン!?と年甲斐もなくテンションが上がるが正直嫌な予感しかしないので

 

「文弥君ヘルプ!」

 

助けを呼ぶ事にした。情けないとか言うツッコミはナシでお願いしたい。

 

「一体どうし」

 

携帯端末に向けていた目を此方に向けた瞬間文弥君が固まる。一体どうしたのかと思ったが

 

「あ~文弥君、お久~」

 

逆ナンお姉さん(仮称)からまさかの言葉が紡がれた。というか自分で立ち上がる気力もないのか俺に遠慮なしに体重をかけてくるんだが……重いし、酒臭いし、酒臭いし全くドキドキしないよ。

 

「え、え!?」

 

文弥君は状況に頭の整理が追いついてないのか目を白黒させるばっかで助けてくれない。

 

「文弥君お知り合いですか~?だったら助けてくれ」

 

「し、知り合いも何も」

 

その人はと文弥君はこの人が誰か教えようとしてくれたのだが

 

「よし!文弥くんも来なさい!お姉さんが御馳走してあげるから~」

 

「げ!ちょ!?」

 

腕を掴まれ脱出不可能になってしまう。

 

「さぁ~しゅっぱ~つ」

 

「「え、えぇぇぇぇぇぇ!?」」

 

二人して引きずられるように連れて行かれる。その様はまさしくドナドナのようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかる!?あんのクソガーディアン、主人を差し置いてさっさと結婚決めやがったのよ!?」

 

「え、えぇ」

 

「しかも、『我が主にも幸せがありますように』とか失笑と一緒にのたまいやがって、余計なお世話だってのよぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

「酷いですね~」

 

「そうよね!?酷いわよね!?」

 

とここでお姉さんは中ジョッキを一気飲みで空にすると

 

「すいませ~ん!黒霧島水割りで下さーい!」

 

(まだ飲むのかよ!)

 

女性に連れてかれた(誘拐とも言う)先はよくある大衆居酒屋で席に着くなりビールを一杯開けると待ってましたとばかりに彼女の口激ラッシュが幕を開けた。

 

まぁ要約すると、彼女の護衛役が自分の先を越して結婚して護衛役から外れるらしくそれに対する愚痴やら周りの男が下らないのしかいないやら、かれこれ時計が一回りするくらいはずっと喋り通しだ。

因みにその間に生中三杯とグラスワイン二杯をあけている。止めようものなら手加減なしの拳orグラスが飛んでくるので俺も文弥くんも早々に諦めてしまった。

 

てか聞き流してたけどガーディアンがいるってことは、この人四葉関係の人だよね?俺あんま見覚えないんだけど、屋敷にいたかなこんな人

 

(文弥くん)

 

(なに?)

 

(この人誰?ガーディアン言ってるし四葉の人だよね)

 

(そういえば、面識は殆どなかったっけ)

 

文弥くんがこっそり教えてくれたがこの人は津久葉夕歌さん。四葉の分家『津久葉』の御令嬢だそうだ。

そりゃ俺見覚えない筈だわ。文弥くんや亜夜子ちゃん、それに達也君とみゆきち以外の分家の人とは親戚一同が会する時じゃないと会わないし、そんとき俺大体出席せずどっか遊び行ってたもんね。

 

(ん?四葉関係ならこの会話やばくね?)

 

(大丈夫遮音フィールド張ったし、いざとなったら黒羽と津久葉の力を使うから)

 

なんかこの居酒屋が闇へと消える未来が見えるんだが、流石にそんな事にはならないと信じたいが

 

「見せつけやがってあのヤロ~、ねぇ文弥く~ん、黒羽にいい人いない~?」

 

「い、いや~ちょっと心当たりが」

 

「えええぇ?文弥くんつ~め~た~い~」

 

あ、文弥くん『うぜぇ』って思ってる目をしているね。まぁ確かにあれは相当うっとうしいが

 

「んじゃあ、あんた!」

 

「げ」

 

標的が俺に変かわったか!そして文弥くん?何ホッとしてるんだい?二人しかいないんだから次は必然的に君だよ?

 

「ん~?」

 

逆ナンお姉さん改め夕歌さんは目を細め俺の事をしばらくじっと見ていたが

 

「あ~思い出した!あんたアレね!」

 

手で自分の掌をポンと叩くと俺を指さした。もしかして葉山さんや真夜さん辺りから何か聞いてるのかな?

 

「真夜さんお気に入りのコンドル野郎!」

 

「人違いです」

 

何でどいつもこいつも人のトラウマ抉ってくるかなぁ!てかあの二人俺の事なんて言ってるんだよ!

 

「ええええ!?絶対そうだよ!」

 

「いや~全く心当たりないですね」

 

「みかんでマッサージ」

 

「that's 雷神 んほぉ!」

 

「やっぱそうじゃない!」

 

「しまったぁ!?」

 

くそ!酔っているとはいえ流石は四葉の分家、高度な誘導尋問を仕掛けてくるとは見事なり

 

「酔っ払いにかまかけられるとか……」

 

う、ううううううるせぇし!別に悔しくねぇし!

 

「ねぇねぇ~なんでコンドル刺さってないのよぉ~それともこれから刺さるの~?」

 

「刺さらないし!刺さる予定もないし!」

 

「つまんな~い!」

 

人のトラウマを面白い、つまらないで片づけないで頂きたい。

 

「こ~んどる!あ、それこ~んどる!」

 

「そのおぞましいコール止めてくれ!」

 

助けてふみえもん!この夕歌さん全然止まらないよ。

 

「遮音フィールドだけじゃなくて店の監視カメラも改ざんして、あ、それとあれも」

 

あ、駄目だ流石にこれは救援頼めないわ、もう文弥くん充分にふみえもんしてくれてるわ。

俺が一人で夕歌さんの相手か~

 

「……」

 

「あれ?」

 

なんか夕歌さん急に大人しくなったんだけど

 

「気持ち悪……」

 

「すいません!トイレ借ります!」

 

「う、動かさないでぇ、吐きそう」

 

ええぃ!やかましい!とばかりに顔が真っ青の夕歌さんをどうにかトイレにぶち込む事に成功する俺であった。

 

 

 

 

「とりあえず、君の家に連れてくしかないね」

 

「マジかよ」

 

「事情は説明しといてあげるから」

 

「和人く~ん……お水ちょうだ~い」

 

「頑張って」

 

「ちくせう」

 

まぁこの後一番大変だったのは突如酔っ払いの世話をする羽目になった穂波さんと水波ちゃんだったりするのだが食戟の件もあってか意外になじられなかったのはありがたかったです。

 

 

 

そして、翌日四方坂家全員に土下座せんばかりの勢いで平謝りする夕歌さんの姿があったとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





劣等生最新刊より四葉分家の一つ津久葉家の御令嬢、津久葉夕歌さんを登場させました。

原作に一度酒を飲んで酷い目に遭ったと書いてあったので酷い目にあわせてみました(笑)
彼女のガーディアンは原作では死亡していますがここでは寿退社と言う事にしています。この作品には血生臭い成分はほぼありません

新発田家の勝成さんやガーディアンの堤姉弟もいいキャラですので機会があれば出していですね

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