四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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何故か三部作になってしまいましたがこんどこそ終わります




きっと……?


最大の苦境(胃袋)~後編~

「うぷ、ごっそさん」

 

「律義に全部食べる事はないのではなくて?」

 

満腹を訴える腹の警告を無視しつつコロッケを両方とも食べ終えると亜夜子ちゃんから至極まともな意見が返ってくる。

確かに黒羽の方々もいるし俺がそんな無理する事はないんだけど

 

「出されたものは残さず食べる。それが我が家の家訓なので」

 

「家訓?」

 

「うむ、てか葉山さんにそう聞いたけど」

 

「え?」

 

四方坂家じゃなく四葉の方?と文弥君が達也君の方を見るが苦笑して肩をすくめるだけだった。

 

「初めて聞いたよ」

 

「あれ?もしかして葉山さんに騙された?」

 

まぁご飯はおいしかったので残した事は一回もないんだけどね

 

「にしても……やってるね」

 

「やってますわね」

 

と俺達が視線を向けた先には無言で中華鍋を振る水波ちゃんと同じく無言でフライパンを振る一さんの姿だった。

 

いつの間にか三番勝負になっていた次のお題目は炒飯、二人とも昨日の残りの冷や飯を使って調理している。

 

羊羹おかずに米を食えというのは無理難題なのでいつもより多めに残っております。

 

 

(ふ、勝った……!)

 

中華鍋を力強く振り炒飯を宙に舞わせる水波は隣の司一の様子を見て表情にこそ出さないが勝利を確信し心の中でほくそ笑む。

使っている具材は全て同じ、ならばこの勝負はいかにパラパラの炒飯を作れるかにかかっていると言っても過言ではない。しかし隣の司一はフライパンを小刻みに動かすだけで水波のように豪快に宙に舞わせる事をしていない。

 

中華料理のシェフなんかがよくやる見た目も豪快なパフォーマンスかと思われがちだがあれは米に直接火を当て、余分な水分を飛ばしよりパラパラな炒飯を作る為の重要な手段なのである。

なのに、隣の彼はそれをやる様子も見られない。時たま木べらで炒飯をかき混ぜたり押しつけるようにしているだけだ。それでは水分が抜けきらず美味しい炒飯は作れない。

 

(叔母様、仇はとるのは目前ですよ)

 

水波は勝負に敗れ沈んでいる穂波に目を向けた。

 

「ほ、穂波さ~ん、ほらほら~楽しく行きましょうよ~」

 

「楽しく逝く、ふふふ、せめて楽に逝けということですね……」

 

「達也君、ヘルプ」

 

「俺にも……出来ない事ぐらい……ある」

 

キバヤシさんはお帰り下さい。いや冗談言ってないでマジで助けてくれ。

 

 

 

 

 

「出来ました」

 

「此方も出来たよ」

 

とほぼ同時に作り終えた二人の炒飯が食卓に並ぶ。と言っても使っている食材が同じなので見分けがつくよう皿の前に『水』と『一』と書かれたプレートが置かれている。

 

「ほぉほぉ」

 

「んじゃまぁ頂きますかね」

 

まずは水波ちゃんのから食べるとしますかね

 

「お、美味い!」

 

「一般家庭でこれだけ美味しい炒飯を頂けるとは」

 

亜夜子ちゃんはじめ、黒羽の方々の評判は上々のようだ。俺も一口食べる。

 

「うむ、やっぱ美味い」

 

満腹でもこれだけ美味いと思わせるあたり凄いと素直に思う。なんたってあの重い中華鍋片手で振れるんだもの、俺は全く持ちあがらず彼女に鼻で笑われたのは秘密だ。

 

「……」

 

手放しの賛辞に水波ちゃんは無言でぺこりと頭を下げるだけだったが俺にはわかる。あれ絶対ドヤ顔してるわ~

と、次に一さんのを食べてみるかな、正直今回は分が悪いんじゃないかな?と料理風景を見て考えながら食べてみる。

 

「ん?」

 

おや?どういうこっちゃ?

 

「おう?これはこれは」

 

俺の怪訝な反応が気になったのだろう、黒羽のみんなも一さんの炒飯の方に群がる。

 

「これは……」

 

「どうしました?」

 

「あ、いや……」

 

文弥君が食べ目を見開いたのを見た水波ちゃんが遂に限界だったのだろう、文弥君に控えめではあるが詰め寄る。

 

「文弥様、どうかご正直に申し上げて下さい」

 

「あ、えっと~」

 

水波ちゃんの言葉に文弥君が目を泳がせる。先ほどの亜夜子ちゃんのあれを思い出したのだろう、言葉に詰まるが

 

「正直に申して下さらなければ、そこのコンドルが焼き鳥になります」

 

「理不尽にも程がある!」

 

流石に怒っていい筈だ、ま!喧嘩になっても絶対勝てないけどな!

 

「とんだゲテモノ料理になりそうですわね」

 

やかましいよそこ

 

「えと~じゃあ言うけど、正直一さんの方がぱらぱらで美味しい……かな?」

 

「な!?」

 

パラパラ!?あの料理方法で何故!?水波の中に疑問が湯水のようにわき出てくるが

 

「火力の違いだよ」

 

それに答えたのは他ならぬ一さんだった。水波ちゃんがキッと一さんの方を見る、睨むまでは行ってないが目の光が少々強い。一さんも傍目には飄々としているが内心ビビりまくりだろうね。

 

「火力?」

 

「そう、専門店と一般家庭のコンロの大きな違いはその火力さ、専門店なら鍋を大きく振り米に直接火を当てるのはいい手段なんだが、一般家庭の火力の弱いコンロでは空気に触れて冷めてしまい逆効果なんだよ」

 

「へ~」

 

「そ、そうなんだ」

 

「だから、あまり振らずにしっかりと火を通す事が美味しく作るコツなんだ」

 

「な、なななな……」

 

俺と文弥君が素直に感心している横ではそれどころではない水波ちゃんがわなわなと震えていた。一応彼女の名誉の為に言っておくと、彼女が過ごした四葉の屋敷には一流料理店顔負けの設備が整っており、当然火力の強いコンロもあった。そこで基本的な料理を覚えた彼女がこれを知らなくても何も悪くない。悪くないのだがいかんせんタイミングが悪すぎた。

 

「私の……負けです……っ!」

 

「水波ちゃん?ぶっちゃけこれ勝ち負けじゃあ」

 

「ふ、憐れみはやめてください」

 

あぁもう、この桜井一族めんどくさいなぁ!

 

「任せておいて水波ちゃん、私が勝てばいいだけの話よ」

 

と今まで沈黙を保っていたみゆきちが水波ちゃんの肩をぽんと叩きながら一さんの方を見る。その目は可愛いだけの、綺麗なだけのお人形さんではない本物の輝きと強さがあった。確か達也君が一番好きな目だと言ってたっけ?

 

「達也君、今みゆきちが達也君のとても好きな目をしているよ」

 

「出来ればもっと別の状況で見たかった……!」

 

「た、達也さん、気を確かに」

 

若干声に震えがある辺り本気で悲しいのだろう。亜夜子ちゃんがそれを察して慰めの言葉をかける。

 

「宜しく、お嬢さん。君をいじめたメガネですよ」

 

「ぐっ!?な、なるほど、精神攻撃というわけですね?」

 

みゆきち驚くほど狼狽してるんだが、話に聞いただけだけど相当凄かったみたいだね。

 

「いじめたメガネ?」

 

「どういう事?」

 

「いや、俺も聞いただけなんだけどさ」

 

「和人?言ったらあなたをかしわ天にするわ」

 

事情を知らない文弥君と亜夜子ちゃんに教えてあげようとするとみゆきちから恐ろしい言葉が飛び出す。なんで君たちは人の事を料理しようとするんだい?

 

「お題はてんぷらです。一品作ってそれを食べて貰います」

 

「一品だけかい?」

 

「えぇこれだと思う一品を作って下さい」

 

「ふむ、まぁいいだろう」

 

みゆきちはよっぽど自信があるのだろう。余裕の笑みを浮かべている、対する一さんもその余裕に対して警戒する事もなく頷いた。

 

「では」

 

「あぁ」

 

と二人は揃って厨房へと消えて行った。

 

「はぁ~食った食った」

 

「もう腹いっぱいだぜ~」

 

と今まで最大戦力として食卓を壊滅してきた黒羽実行部隊の方々だが遂に限界を迎えてしまったようだ。

 

「和人の坊主、今日はありがとな」

 

「達也坊っちゃんも助かりましたぜ」

 

「俺達は今日はこの辺で」

 

おやおや、何帰ろうとしてるんですかね~?

 

「達也君」

 

「おう」

 

「なぁ!?ドアノブが消えた!?」

 

ドアに手をかけた男から悲鳴が上がる。当然達也君による分解だ。

 

「なら無理矢理」

 

「させません」

 

「ぐへっ!?」

 

タックルでドアをぶち破ろうとした人は達也君による華麗な足払いで床を転がる。

 

「な、何すんだよ!」

 

倒れた男から当然ながら抗議の声が上がるがこっちはそれどころではないのだ。

 

「楽しい食事の時間は終わりってことですよ」

 

「な、なぬ?」

 

「これからは……戦いの時間なんだよ!」

 

「お嬢、じゃなくて若、彼は何を言ってるんですかい?」

 

「ごめん、僕もわかんない」

 

黒服の男の言葉にこう返す事しか出来ない文弥であった。

 

「簡単に言うと、まだ返せません、というか返しません。ね?達也君」

 

「すいませんが」

 

「え”?」

 

まさか達也君にまで言われるとは思ってなかったのだろう。黒服達が一斉に凍りついた。

 

「でも、俺達もう食えないんだけど」

 

「大丈夫、いざとなったら達也君に胃の中分解して貰うから」

 

「それ死ねって事じゃねぇか!?」

 

阿鼻叫喚が黒服達から上がるが地獄の沙汰までと言う奴だ。とことん付き合って貰う。

 

 

「というわけなんで文弥君も亜夜子ちゃんもよろしく」

 

「まぁ覚悟はしてたけど」

 

「本当にあなたといると碌な事になりませんわね」

 

二人からも了承?の言葉を貰ったので、こっから地獄のデスマーチと行こうではないか。

 

とか言ってる間に二人とも出来たみたいだね。みゆきちが先番なのか大皿をドンと机に載せる。もう色々あり過ぎて乗せる所がなくなってきているんだが

 

「みゆきちのは~なんだこれ?」

 

丸い何かに衣がついているのはわかるが形から中身が全く予想できない。みゆきちの事だから変なのはない筈だけど

 

「頂くとしようか」

 

達也君が先手を切ってみゆきちのてんぷらを食べる。相変わらずみゆきちの事になると人が変わるというかせっかちになるというかね~

 

「んじゃ俺も~、ほら黒羽のみんなも!」

 

「ちくしょう、どうしてこうなった……!」

 

「諦めろ、和人はともかく達也坊っちゃんからは逃げられん」

 

知っていたか?大魔王からは逃げられないのだよ。重い足取りで黒羽のみんなも食卓に向かう。

 

「おっ、これもしかして……アイスクリームか?」

 

え?アイスクリームのてんぷらだって?

 

「そうです。私とお兄様の思い出の一品なんですよ」

 

「思い出ですか、いいですわね~そういうの」

 

亜夜子ちゃんがほうと感嘆のため息を吐くが、その思い出どっちかというと苦い方の思い出だからね?俺は昔食べたみゆきち作の外アツアツ中ひんやりの超てんぷらを思い出す。

 

「あの~その思い出、俺もいる筈なんだけど」

 

ていうか無数の俺の屍の上にそれがあると言っても過言ではない。どっちかというと俺とみゆきちの思い出だと思うんだよね。

 

「さぁ、みなさんも私とお兄様の愛、じゃなくて思い出の品、どうぞご堪能下さい」

 

「シカト!?」

 

かたくなに俺の犠牲をなかった事にしたいらしいな。

 

「メガネにいじめてもらうぞ」

 

「お兄様?今からとり天を作りますので少々お待ちいただけますか?」

 

「ぐええええええっ!?」

 

ちょ!?マジで首が締まってるんですけど!?笑顔でギリギリと首を締めあげるみゆきちに全員ドン引きしている(達也君は気合いでその場に踏みとどまってるけど)がそれより助けて下さい。い、意識が……

 

 

 

しばらくお待ちください

 

 

 

 

 

 

「た、助かった……」

 

「大丈夫か坊主?」

 

「亜夜子お嬢の時もこんなんだったよな、お前さんも学ばんね~」

 

なんとか黒羽の方に救出して貰い一息つく、亜夜子ちゃんといいみゆきちといい最近の淑女はバイオレンス過ぎて困る。

 

「え~と、僕の番でいいのかな?」

 

若干置いてけぼり感を味あわされていたらしい一さんが控えめに聞いてくる。

 

「えぇ、どうぞ」

 

「じゃあ、僕からはこれを」

 

と一さんが出したのは

 

「これ……お茶?」

 

湯呑みに入った人数分のお茶だった。意図が分からずみんなの頭に疑問符が浮かぶ、実はお茶に見せかけた一さんの得意のビックリ料理なのかな?

 

「いえ、普通にお茶だよ。皆さんも一息ついて下さい」

 

と思ったけど一さん本人から否定されたのでこれはホントにただのお茶と言う事になる。

 

「ほぅ、落ち着きますわね」

 

「ふふふ、五臓六腑に染みわたるぜ……」

 

「癒されるぅ~」

 

へにゃりと表情を崩した亜夜子ちゃんを筆頭にししおどしの特徴的な音が似合いそうなくらいリラックスした表情になる。今まで食ってばかりだったからこういうのって凄くありがたいよね。

 

「はっ!?」

 

一緒にお茶を啜っていた穂波さんが急に眼を見開く。いきなりどうしたんでしょうね?

 

「まさかお茶で一息入れた後に自分のてんぷらを振る舞う作戦では?」

 

「「!?」」

 

彼女の言葉に水波ちゃんとみゆきちががたっと音を立てて立ち上がる。確かに皆立て続けに食べさせられ疲弊していた。それを一度リセットする事で再び胃の中に食べ物を入れる体制を整えさせたという事だろう。

 

「や、やられた……!」

 

「流石は一つの組織を統べる首領といったところですか」

 

「あの~」

 

二人が勝手に戦慄していると一さんから控えめに声がかけられる。

 

「別に僕からはこのお茶以外何も出ないんだけど」

 

「「え?」」

 

二人揃って一さんの方を見るが一さんは苦笑しながら頬を掻くと

 

「だってみんなもうお腹いっぱいだろう?無理矢理食べさせるなんて僕の流儀に反するし、今回はこれでおしまいとしようじゃないか」

 

天からの恵みに等しいありがたいお言葉が降り注いだ。

 

「あ、あんた司一といったか?いい奴だなぁ」

 

「ありがてぇ……ありがてぇ……!」

 

「おかしいな、何故だか前が見づれぇや……」

 

この地獄から解放された下界の人々から喜びの声が上がる。実際にガッツポーズしている人もいたし、そんなに辛かったのか。だが第四次羊羹テロまで生き残った俺からすれば序盤で救われて運がいいと思うよ。

 

「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」

 

一方、みゆきちとしてみれば心境は非常に複雑で、勝負単体で見れば一さんは勝負を放棄した形だしみゆきちの勝ちだと言っていいだろう。が周りの反応を見ればどちらの出した物が喜ばれたのかは一目瞭然だ。

さしずめ、試合に勝って勝負に負けたといったところか。というかみゆきち?仮にも乙女がぐぬぬとか言ってはいけません、達也君が凄い悲しい目をしているから

 

「あ、私『司の椀』という弁当のデリバリーサービスを行っておりまして」

 

「なに!?あの美味い飯がいつでも食えるだと!?」

 

「しかも夜食サービスまでついているぅ!?これは頼むしかねぇ!」

 

「ここで出会ってのも何かの縁です。どうか今後ともごひいきに」

 

「俺絶対頼むぜ!任務中とか腹減るからな」

 

と少し目を離したすきに一さんがちゃっかし黒羽の方々に自分の会社の宣伝してるし、多分こうやって仲間を増やしてるんだろうね。

 

「文弥、止めなくていいのか?」

 

達也君が言った通り黒羽は機密性の高い情報を取り扱う四葉の分家だ。その懐に外部の、それも一応四葉に敵対する意思をとっている人間を入れるのは百害あって一理なしだと言いたいのだが

 

「え?」

 

一さん作の冷やしコロカレーをおかずに炒飯食べてる文弥君を見て

 

「いや、何でもない」

 

達也君はそれ以上何も言わなくなってしまった。地味に一さんの料理が気にいったのか文弥君

 

「文弥?達也さんの言うとおりですわ。彼が私達の家に対してどのような立ち位置にいるのかよく理解して」

 

「因みにこれは女性に人気のダイエットメニューでして」

 

「一さん、そのメニューについて詳しく教えて下さる?」

 

「俺に味方はいないのか……」

 

すがすがしい程に一瞬で鞍替えしてしまった亜夜子ちゃんを見て達也君が切なげに呟いた。流石にこれは可哀想だね

 

「達也君、俺がいるぜ♪」

 

「何故だろう、凄く泣きたくなるよ」

 

「それどういう意味!?」

 

しまいにはこっちが泣くぞ!とまぁ和気藹藹としてきたのはいいんだけど

 

「これどうするよ?」

 

「うむ」

 

俺と達也君の目の前には未だ大量にある食事の数々、まぁみんなに少しづつ持って帰って貰うとしてそれでもちょっと残りそうなんだよね

 

「も、申し訳ありませんお兄様」

 

「私もちょっと熱くなっちゃいました」

 

ある種の狂騒にも似た熱気から覚めたのか小さくなってしまっているみゆきちと穂波さんに文句を言うわけにもいかずどうしたものかと頭を悩ませるのだった。

 

「……」

 

「水波」

 

「ぅ、すいません、でした」

 

唯一、普通にしていた(ていうかそっぽを向いていた)水波ちゃんも穂波さんの咎めるような声と目線には逆らえなかったのか渋々と言った感じで頭を下げる。

 

「そ、そんなに俺に頭下げんの嫌なんか?」

 

「人間としての尊厳を捨てたようなものですから」

 

「一さ~ん、みゆきちが」

 

「ちょっとぉ!?何呼ぼうとしてるんですか!?」

 

いや、メガネにいじめて貰おうかとおもってな(ゲス顔)

 

「ふん、せっかく……のに」

 

「え?なんか言った?」

 

「何も?鳥にしか聞こえない声でも聞いたんじゃないですか?」

 

ふぇぇ、水波ちゃんのコンドルいじめがとまらないよぅ

 

「しかし、実際どうしましょうか」

 

「まぁ最悪捨ててしまっても」

 

「いや!それはもったいない!それなら食う!」

 

こんな美味いもんを捨てるなんて罰が当たるぞ!

 

「食べられるのか?」

 

「余裕余ゆ、うぷっ」

 

「もう限界じゃないですか」

 

ち、ちくしょう。これまでか。とか思っていたら思わぬところから救いの手が差し伸べられた。

 

「文弥、亜夜子。連絡もしないで何処に行ったのかと思ったらこんな所にいたのか」

 

「あ、お父さん」

 

当然のように気配を消し居間に上がりこんできたのは文弥君と亜夜子ちゃんの父親である貢さんだった。

 

「部下たちまで一体何を、おかげで夕飯を食い損ねてしまった」

 

ほう?食い損ねたとな?

 

「貢さん」

 

「君か、久しぶりだな」

 

「多くは言いません。食え」

 

「は?」

 

貢さんが唖然としている隙に両脇を文弥君と亜夜子ちゃんが、後ろを達也君が固める。

 

「父さん、食べましょう」

 

「お父様?食べて下さいまし?」

 

「お、お前達?なんでそんな目が据わってるんだ!?ていうか食えってこれをか!?流石にこんなには」

 

「「「「問答無用!」」」」

 

「ちょっ!?むが、むごごぉぉ~~~~~~~!?」

 

 

 

 

 

貢さんのくぐもった悲鳴をBGMにこの度の食戟は幕を閉じるのでしたとさ

 

 

 

 

 

結局、穂波さん達は週一で一さんに料理を教わるという方向性で決着し今後我が家の食卓の平穏が荒らされる事はなかったという。

 

因みにあの後俺だけ貢さんから追いかけまわされる羽目になりました。

 

 

 

解せぬ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なぜか無駄に長くなったうえに間も空いてしまって申し訳ないです。


GW中は旅行に行ってましてしかも最終日に体調崩すというデスコンボを喰らいました(汗

劣等生16巻読んで色々衝撃を受けました。マジか!?って感じです。
読んでて話が一つ思い浮かんだんで次回はその話になると思います。

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