後でつじつまを合わせるというやっちゃいけない事やってしまいました……申し訳ないです
といきなり関係ない話しますがTCGラストクロニクルの厳冬将ヴィクトーと凍える魔風エルダがまんま達也と深雪というwww
ヴィクトーのクロノレアなんてもう完全にお兄様ですよwwwえぇもう爆発せよ(エ?
廃ヤング弁当工場での激闘?は時間にして数十分にも満たなかった。
そしてその激闘を潜り抜けた猛者たちは……
「「「「「「すいませんっでしたぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」
「いやいや、別に気にしてないよ」
メガネをかけた青年、ブランシュのリーダーと見せかけて本当は全然そんな事なかった司一に誠心誠意の土下座をかましていた。
え?十文字家の当主代行がいる?
関係はない、悪い事したら謝る。十師族だろうが魔王だろうが人として生きるならばそれは当然のことなのだ。
「此方の勘違いで大変申し訳ない事をしてしまいました」
かの十師族序列第4位十文字克人は土下座の体制からほんの僅かに頭を上げ司一を見上げてから再び土下座に戻る。
というのも達也と深雪の方はこれといった被害はなかったが克人と桐原の方は何人かに打撲を負わせてしまい、エリカとレオも同じように外をうろついていた善良なサバゲーマーを叩きのめすという失態を犯してしまっている。
向こうが治療もしてくれたし気にしないと言ってくれたから良かったものの普通に傷害罪で訴えられても文句は言えず、特に十文字家、千葉家については家名が地に落ちる危険があったのだ。達也達、特に克人とエリカは土下座一つで済むならいくらでもという心境だろう。
「はっはっはっ!まぁ間違いは誰にでもあるしね~た~つや君?みゆき~ち?にしてもなかなか悪くない景色ですな~」
いっつも氷漬けなり背負い投げなりされてる身としては今の土下座している光景は少し悪戯心が湧く光景だと和人が下心を隠しもしない笑顔で声をかけてくる
「お兄様、深雪は、深雪は屈辱でどうにかなってしまいそうです!」
「耐えろ、耐えるんだ深雪……!全てはそこのアホと座標間違えた似非カウンセラーのせいだ」
「君達って俺相手なら何言ってもいいと思ってね!?
間違えたの完全にそっちのせいじゃん!」
「ぐ!?だ、黙りなさいこのコンドル!」
「あ!言っちゃならない事を言ったなみゆきち!」
だからみゆきちは止めろと言ってるでしょ!という深雪の言葉から和人と深雪の言い争い?が始まってしまう。
「ははは!元気なのは良い事だ!後遺症がないようで安心したよ」
「す、すいません」
それを見た司一は安堵をにじませた声と笑顔を達也に向け、逆に向けられた達也の方が困惑してしまう。
司一の精神極散をもろに受けてしまった深雪は色々と醜態をさらしてしまい彼女の精神状態が不安だったのだが見た限り大丈夫そうで安心したのは達也も同じ意見だった。
(これもあいつの精神安定のおかげか?)
と達也の頭にそんな考えが宿ったがそれを言えば更に調子に乗るだけなので言葉にはしなかった。
「あ、あの~」
すると若干蚊帳の外だったエリカがおずおずと話に割り込んできた。自由奔放を絵にかいたような性格のエリカも流石にこの状況では自重していたようだが耐えきれなかったのだろう。
「何だい?」
「司一さんでしたか?確か組織のリーダーだって聞いたんですけど~」
「あぁブランシュかい?それなら入って直ぐ辞めてしまったよ」
「「「へ?」」」
司一のあっけらかんとした言葉に達也、エリカ、そしてひそかに聞き耳を立てていたレオの声が重なる。
「僕の思想を全く理解できない者たちばかりでね、故に僕は新しい組織を立ち上げる事にしたんだ」
「新しい組織ですか?」
「うむ!その名も!
ブランシェだ!」
「いやほぼまんまじゃん!?」
遂にエリカが敬語を放り投げるがまぁ仕方のない事だ。達也でも同じことをする自信がある。凄く嫌な自信だが
「正直、名前は有名なブランシュの尻馬に乗ろうと思っていたのだがやっぱ上手くはいかないものだね」
「えぇ~?」
げんなりとした気持ちを隠しきれないエリカのため息にも似た呟きに一同似たような面持ちで微妙な視線を送る。
「なので!新しい組織名を名乗る事にした!」
司一自身もそんな視線を向けられている事に気付いたのか、それを断ち切るようにことさら大声で宣言する。
「新しい組織名?」
「ほぉほぉなんですか?」
周りにいた部下(司一に聞いた所部下でなく仲間だそうだ)が興味深げに周りに集まっている。
「うむ!新たな組織名は
ツカの爪団だ!」
「ツカの」
「爪」
「団?」
「とはなんです?」
上からエリカ、レオ、桐原、克人の順で司一に問う。
「そう、地球と人類に優しいクリーンでエコな世界征服を目標とした組織、それがツカの爪団だ!」
世界征服にクリーンでエコって?とツッコミを入れたいのはやまやまだがそれを言ったら負けな気がして達也はギリギリで言葉を腹の底に押し込める事に成功する。
「さぁ、みんなで一緒にぃ!
ツ~カ~の~つ~め~」
「「「「ツ~カ~の~つ~め~」」」」
周りの仲間達だけでなく、何故か和人達まで加わり、人差し指を爪に見立てているのかそれをシャカシャカと前後に動かす。
(ダサッ)
(ダセェ)
(ダッサ……)
(ダサいな)
(ダサいわ)
(……ダサい)
此方に落ち度がある手前言葉にはしなかったが、彼等の意思は一つだった。
「これからはブランシェ改めツカの爪団をよろしくぅ!」
「「「「夜露四苦ぅ!」」」」
はーははははは!と尾を引く笑い声をバックに達也達は昼食用に作ったものが余ったからとカレーピラフまで頂き帰路についたのであった。
因みに貰ったピラフを食べた深雪が
「わ、私のより美味しいだなんて……」
と大変ショックを受け、それをどっからか聞きつけた穂波と水波が共に『打倒!司一!(料理方面)』を掲げることになり
「筑前煮が終わったと思ったら今度はカレーピラフかよ!?」
とどこかの少年が悲鳴を上げる事になるのだがそれは別の話である。
「あぁ~疲れた~」
コンビニに行ってくると穂波さんに言い残し、俺こと、四方坂和人は夜の帳を一人で歩いていた。
「三人分もカレーピラフ食わされて味の違いなんてわからんがな」
前回の筑前煮の件があったので、今回は穂波さんと水波ちゃんにばれないよう貰ったその場で食い(非常においしかったです)何食わぬ顔で家に帰って来たのだが
~以下回想~
「ただいま~」
「おかえりなさい」
「お邪魔してます」
「はい、おかまいなく~」
と珍しく穂波さんだけでなく水波ちゃんも玄関先で迎えてくれ、おや?と思っていたがその答えは直ぐ明かされた。
「なるほど、カレーピラフですか」
「え”?」
な、なんでばれたの!?
俺が戦慄していると、穂波さんが笑顔で自身の後ろを指さした。穂波さん、その笑顔少し怖いです。
俺が恐る恐る穂波さんの後ろを見ると
「あんなメガネのカレーピラフに負けるなんてお兄様の妹として許されないわ、まだよ、まだ足りないわ!あの味に勝つためにはもっと、もっとよぉぉぉぉぉ!」
「」
あかん、これ俺の未来が見えるわ。
完全にヒートアップしてしまったみゆきちの姿を数日前の水波ちゃんに重ねながら俺は自分の胃袋と格闘する事になる未来を思い涙するのであった。
~回想終了~
「これ運動しないと間違いなくメタボ一直線だぞ」
それなら残せばいいと思うかもしれないが女性陣のあの圧力の中でその勇気がある方がいたら是非お目にかかりたい。
てかみゆきちも大好きなお兄様に振る舞えよと言いたいが、不完全なものをお兄様に召し上がっていただくわけにはいかないとのこと
完全に実験台ですね?わかります
「と、とりあえず黒烏龍茶を」
完全に体脂肪率を気にする中年男性みたいな事を言いながらコンビニの途中にある公園を通りがかると
「あれ?一さん?」
「あぁ君か」
ベンチに座り何やらたそがれている司一さんに出会った。
「何してるんですか?」
「いやなに、ここにいれば君と会える気がしてね」
ん?なんか妙な雰囲気だね~
もしかして、気付いたのかな?
「この時間は涼しくていいですよね」
「うむ、思考を冷静にさせてくれる」
一さんが開けてくれたスペースに俺も座る。
(和人の奴には悪い事してしまったかな)
あの後、司一から貰ったカレーピラフを食べた深雪の反応から何やら不吉な気配を悟った達也はFLT(フォアリーブステクノロジー)に用が出来たとウソ八百の言い訳を駆使し穂波と共にどこかへ行く深雪を達也は笑顔で見送る事が出来たのであった。
そして、今達也は深雪を迎えに行く最中というわけだ。当然彼女に用事の詳細を聞かれた時のシミュレーションも完璧だ。
とコンビニのライトが照らす夜道を通り抜け公園を同じく通り過ぎようとすると
(ん?あれは)
公園のベンチに見覚えのありすぎる面子が座っているのを確認ししばし足を止める。
「そういえば弟さんがいるって聞いたんですけど」
「ん?あぁ、甲と言ってね。ブランシュの思想に侵された部員たちを救いたいと言って色々と動いていたようだ」
「立派ですね~」
「僕にはもったいない出来過ぎた弟さ」
確かにブランシュの下部組織エガリテには剣道部の部員が多くいた。てっきり達也は司甲が扇動している側の人間かと思ったが真実は全く逆だったようだ。
「助けたりはしなかったんですか?」
「もしものときは頼むと言われてはいたがね、蓋を開けてみれば生徒達の方で解決していたようだし僕は必要なかったようだ」
達也からは彼等の背中しか見えなかったがそういった司一の背中が少しさびしげに見えたのは気のせいではないだろう。
「なるほど~、それで」
とここで和人が不自然に言葉を切る
「話って何ですか一さん
いや司一を名乗っている誰かさん?」
(なに?)
そろそろ深雪を迎えに行くかと思っていた達也は聞き逃せない事を言われその予定を変更する事になった。
「気付いていたか」
「まぁ、自分の事ですから」
「違いない」
と二人はくすくすと笑うがその温度は先ほどと比べて若干低い。
「別に偽物ではないよ。憑依転生というやつかな?私が自分の存在を知覚した時、その身体は司一と呼ばれる男のものだったという事さ」
「憑依、か」
苦虫をかみつぶしたような気配を和人から感じる。『憑依』という言葉は彼にとってあまり愉快な言葉ではない。
「『私』が『私』であると確信出来るのは精神極散と『一』というこの一文字だけ、まぁ今はこの体と司一という人生で満足しているし折り合いもとっくに付けている。今更どうこうするつもりはないよ」
「それを聞いて安心しましたよ」
(なんだ?何を話している?)
聞こえなかったわけではない、聞こえていてそれでいて理解出来なかったのだ。これは達也にしてみれば相当珍しい事であり同時に屈辱的な事でもあった。
自分の理解の及ばない世界に、あの二人は立っている。その事実が達也の消えた筈の心にくすぶりを生み出すのだ。
「これからどうするつもりなんです?」
「当然、地球と人類に優しい世界征服を実行するさ」
あれ、本気だったのかと達也が思ったかは定かではないが、とんでもない理想論を超えた暴論だとは考えていた。
「そうですか」
「笑わないのかい?」
「笑って欲しかったんですか?」
質問に質問(それもわりかし手痛い)で返され司一はそっと溜息を吐く。
「元が自分だからでしょうかね、なんとなく本気で言っているのかそうじゃないのか分かるんですよ」
「ふふ、そうか、そうだ私はこの上なく本気だ」
達也の角度からは見えないがきっとその目に宿る光は本物の輝きなのだろうと思わせる声をしていた。
「嗤う者もいるだろう。諦める者もいるだろう。戦争こそ人類の進化の歴史などとしたり顔でほざく者もいるだろう
だが、そんなものはくそ喰らえだ。『僕』はただ世界中のだれもが当たり前に光満ちた明日を迎えられる世界が、世界中のだれもが最高の今日を終える事のできる世界が欲しいだけだ。
その為に世界征服が必要だというのならそうするだけさ」
いつの間にか、和人だけでなく達也も司一の言葉に聞き入っていた。
「僕のツカの爪団ならそれが出来ると思っている」
「最高の今日、ですか」
「今日は面白かったろう?僕はそんな今日を全ての人に提供するのさ、その為には国境だの魔法師、非魔法師のしがらみだのめんどくさいのが多くてね」
「だから世界征服なんすか?」
「うむ、僕の支配下に世界が置かれれば素晴らしい世界が待っているぞ!」
自信満々に高らかに笑う司一に和人もつられて笑い出す。
(あの人もあの時は最高の今日だったのかな、そうだといいな)
鈍い痛みと共に思い出すのはある人物の少なくとも確かにある思い出、確かにそんな世界も悪くないかもしれない
だが
「しかしだね、そんな世界を作る上で障害があるんだ」
司一の言葉で風向きが嫌な方向へ変わり始める。
「障害?」
「君の家だよ」
「はい?」
家って……家?
「え?穂波さんも水波ちゃんも別にそんな事ないと思いますけど」
「いや、そっちじゃないさ」
司一の意図が分からない和人であったが彼の多分に含みのある言葉に一気に無言になる。そしてそれは聞き耳を立てている達也も同じであった。
和人の家、それは今住んでいる家のほかにもう一つ、むしろ故郷はどこかと聞かれたら彼はそちらの方を応えるのではないかと思うほど慣れ親しんだ家
そして達也にとってもなじみの深い家でもある。
(司一、奴はあいつの家、四葉について把握しているというのか!?)
和人には知らぬ事だが、彼のパーソナルデータを含めた個人情報は四葉によって徹底管理され達也や深雪と同レベル、下手したらそれ以上のセキュリティで護られている。和人の方も四葉との関係を喋るのは得策でないと分かっている筈だ。というか葉山さんが口を酸っぱくして言い聞かせていた
それをいともたやすく突破して見せるとは、彼の底が未だ知れない。達也の胸に戦慄に近い感情が去来する。
「君の家は有名だ。それも悪い意味でね」
和人が無言なのも気にせず司一は淡々と満月には少し足りない八分月を見ながら告げる。
「かの家があるうちは僕の望む世界は絶対に訪れない。ならばどうするか
わかるね?」
ここで意図的に言葉を切り司一は和人を見る。彼の返答を待つつもりのようだ。
「確かに、俺の家にそういう噂や事実があるのは知っています」
しばらくして和人はまっすぐに司一を見返しながら喋り始める。そこには後ろめたさも焦りもなかった。
「でもそれだけじゃないのも事実として知っている」
「ほう?その証拠は?」
「それはもうあなたも分かっているでしょう?」
何?と司一が訝しげな視線を向けると、和人はニヤリと笑いながら自分を指さした。
「まさか、自分がいるからとでも?」
「俺だけじゃないですよ~」
司一がいら立ったような声を出しても和人のニヤニヤ笑いは止まらなかった。司一はしばらくその顔を見ていたが
「ふっ」
静かに笑いだす。
「なるほど、確かに『今日初めて会ったが、甲に聞いた通りの子たちだった』納得したよ、彼らのような子がいるなら君の言う事も間違いではないのだろうな」
(今日初めて会った?)
和人の事ではないだろう。となると思い当たる節は一つしかない。
(俺と、深雪か)
まぁ、随分と買ってくれたものだとむずがゆくなるが不思議と悪い気はしなかった。
「だが、それは未来の話だ。彼らがかの家を継いでからの話だ。それまで待てとはとても承諾できる話ではない」
「今、と言う事ですね?」
「そうだ」
それでも司一は折れなかった、それだけ意思の固さと強さが見受けられる。
「僕を納得させられるか?今の家を、良き家だと」
「ふ~む」
難しい問題だと達也は率直に思った。今とはすなわち事実であり、四葉の非道と悪道は変える事の出来ない事実なのだからそれを捻じ曲げるなどそれこそ魔法でもない限り不可能だ。
さっきは先の見えない未来の話だからこそ煙に巻く事が出来たが今回はそうはいかないだろう。
「納得はさせられませんね」
「なら」
「でも断言はできます」
司一のほんの少しの失望をにじませた声を遮り和人が何かを思い出しているのか遠い空を見て笑う。
「俺の家は、『あの人』がいるあの家は最高な俺の居場所だと」
あっけらかんと言い放つ彼に達也は呆れるでもなく皮肉気に感心するでもなく、素直に見事だと思った。
和人の言葉に何か思う事があったのか司一は少しばかり無言であった。
「……納得できんな」
「ですよね~」
絞り出したという表現が適切な司一の言葉にこれまたあっさりと返す和人に達也は笑いをこらえるのに少し苦労しなければならなかった。
こうなったあいつは厄介だぞ、司一?
「納得できない、ならどうします?」
攻守逆転とばかりに今度は和人が司一に言う
「どうするかなど、決まっているさ」
殊更感情の色がない平坦な声に司一の覚悟が見て取れる。恐らく彼は本気で四葉と一戦交えようというのだろう。
「そうですか、なら俺はあんたを止めにゃならん」
「できるとでも?」
「出来る出来ないじゃない」
お互いにベンチに座り同じ方向を向いていた二人が初めて向き合う。
「あの人に手ぇだすってんなら、どんな手を使っても止めにゃならん。これだけは誰にも譲れねーんでね」
今まで見た事がない強い眼の光に、実力では数段上をいく筈の司一がたじろいた、ように達也には見えた。
「何のためにそこまで……」
意図して出た言葉ではないのは茫然とした司一の表情で明らかだ。その言葉に和人はそっと目を閉じる。
(何のために……か)
思い出すのはあの日のあの言葉……
それと
「自分の為、あともう遠い所に行ってしまった人の為、ってとこですかね」
こう言った和人の表情を知るのは目の前の司一のみだった。
「なるほど、君にも目指すべき世界があるようだね」
そっと眼鏡を直し再び和人を見る司一にもう動揺もなかった。あるのは強い意志のみ
「そんな大層なもんじゃありません、ただ失いたくない世界があるだけです」
自分で守れる力もないのにと和人は皮肉気に笑うがその目には司一に勝るとも劣らない強い意志があった。
「わかった。もう言葉はいらないようだね」
「えぇ、決着をつけましょう」
(まさか、司一と戦うつもりか!?)
今まさに戦いの火ぶたが切って落とされようとしているのを感じ達也は盛大に焦る。司一、言動こそちんぷんかんぷんだが実力でいえば今まで達也があった人間の中でも最強と言ってもいい力の持ち主だ。
彼の精神極散の恐ろしさは今日、身をもって知ったばかりなのだから
(く、CADは持ってきているが、不意打ちならいけるか?)
とても和人一人でかなう相手ではなく加勢しても勝算があるわけでもないがここまで聞いた以上黙って立ち去る事は出来なかった。
「では……」
(術式は分解……)
「いざ……」
(奴の意識が和人に集中する瞬間を狙って一撃で決める)
「「勝負!!」」
(行くぞ!)
二人の掛け声を合図に踏みだした達也の足は
「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」
「なにィィィィィィィィィ!?」
一歩目から盛大にずっこける羽目になる。
「あれ?達也君なんでそんな所で寝てんの?」
お前ら馬鹿のせいでずっこけたんだよ!と言いたい気持ちをぐっと抑え、達也はついた泥を払うと無表情でCADを構え
「とりあえずお前達二人とも分解するがいいな?」
「「何故に!?」」
カードゲームに興ずる馬鹿二人に死刑宣告を告げた。
え~というわけで入学編終了でっす!
すっごい不完全燃焼感!不思議!
最期にシリアス挟もうかと思ったけどやっぱやめた結果がこれだよ
実はこの後、ヴァンガードの詳細なファイト描写を書こうと思いましたが一体誰が得するんだと思いなおしバッサリカットですwww
次回から九校戦編になりますのでどうぞよろしくお願いいたします。