四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

53 / 80
図書館のいざこざはオールカットでござる(エ?

本当は壬生さんももうちょっと出番あった筈なんだけどもう話をぱっぱか進めたいのでカットということでwww

すまぬ……


魔法科高校生とヤング弁当

「さて、話を聞かせて貰おうか」

 

達也、深雪、エリカを含めた風紀委員達により迅速に図書館を制圧した後、無抵抗で掴まった壬生紗耶香から話を聞こうと真由美、摩利、克人、達也、深雪、エリカ、レオの七人がカフェテラスに集まっていた。

 

「はい」

 

紗耶香は特に怪我もなく(無抵抗だったのだから当然だが)椅子に腰かけていた。

 

「そもそも、私は脅されて無理やり協力されていたんです」

 

「脅されて?」

 

いきなり穏やかでない言葉を聞かされ摩利の目が細くなる。

 

「はい、ある日河原で本を読んでいたら組織のリーダーと思わしき人物があらわれて

 

 

 

いきなり自分の弱点を大声で叫び始めたんです!」

 

「なんだそりゃ!?」

 

思わずと言った感じでレオが口を挟んでしまうが達也も同意見だ。思わず口に出してしまいそうになったので余り彼を責められない。

 

「その弱点をほんの百人に言いふらしただけで私は捕えられて無理やり従わされる羽目になってしまったんですよ!酷いと思いません!?」

 

「いやそれは普通に捕まると思うわ」

 

真由美の言葉に異を唱える者は誰もいなかった。

 

「それで、敵のボスの弱点とは?」

 

場を取り持つ意図で部活連会頭、十文字克人が紗耶香に続きを促す。(克人がこのような事をするのは大変珍しい)

 

紗耶香は克人の言葉に少し思い出すような仕草をした後

 

 

 

「え~と、確か

 

肩の後ろの二本の角の真ん中にあるトサカの下のウロコの右

 

です」

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

「……」

 

七人の視線が紗耶香と交差し、その後七人はその場で頷き合うと

 

「すまん、もう一回言ってくれ」

 

「ですから

 

肩の後ろの二本の角の真ん中にあるトサカの下のウロコの右

 

ですってば!」

 

摩利が代表して紗耶香に言うが、やっぱり彼女の回答は変わらなかった。

 

「え~と、そんな人いるの?」

 

「ていうか人間じゃないですよ」

 

真由美とエリカは困惑、というか明らかに疑っていいるがこんな状況で紗耶香がウソをつくとは思えない。

 

「とりあえず、メモしておきましょう」

 

深雪はどっから出したのかメモ帳にさっきの弱点?をメモし始めた。我が妹ながら随分と強かになったと達也はどこか他人事のように思っていた。

 

 

 

 

「さて今後ですが、問題はブランシュが何処にいるかと言う事です」

 

「待て、まさかブランシュと一戦交える気か!?」

 

皆が落ち着いた後、今晩の買い出しに行くかのような気軽さで飛び出した達也の言葉に摩利がいの一番に眼を剥いた。

 

「一戦交える、ではありません

 

叩き潰すんですよ」

 

「危険よ!生徒会長として賛成できないわ!」

 

そこに達也がこれまた当然のように過激さが増した表現に今度は真由美が声を上げる。

 

 

「しかし、それでは壬生先輩がスパイ容疑で拘留されますが」

 

が達也の言葉に言葉が詰まってしまう。自分の意思でなく無理やり従わされたという背景があるとはいえスパイ容疑は事実、拘留とまでは行かなくても取り調べぐらいはあるだろう。

 

「なるほど、確かに警察の介入は好ましくない。だが七草の言うとおり生徒に命を賭けろとは言えん」

 

「そうですね」

 

言葉に詰まってしまった真由美の代わりに克人が達也に言うが、意外にあっさりと達也は彼の言葉に頷いた。

 

「もとより、生徒会や部活連の力を借りるつもりはありません」

 

「一人で行くつもりか」

 

「奴らは自分の生活空間でテロを起こしました。俺は深雪と自分の日常を壊そうとする者全てを駆除します。それは俺にとって最優先事項です。」

 

激情もなく、底冷えするような冷酷さもなく、ただ単にそこにある事実を述べただけのような平坦な口調が返って聞く者に業火よりも激しい激情を、極寒よりも冷徹な残酷さを感じさせた。

 

「お兄様、ぜひ私もお供を」

 

「私も行くわよ」

 

「俺もだ」

 

「どうして、うちの生徒はこうも好戦的なのかしら……」

 

達也の言葉を聞いて恐れるどころか逆に闘志を燃やし始めた深雪、エリカ、レオの言葉を聞いて真由美が誰に聞かせるでもなく嘆いた。

 

「ですが、ブランシュの居場所が分からなくてはどうしようもありません」

 

真由美の嘆きを聞こえないふりをしていつもの調子で達也に尋ねる深雪に、達也はつい苦笑してしまう。

 

本当に強かになったと

 

「わからないなら、分かる人に聞けばいい」

 

と達也がおもむろに扉を開けると

 

「小野先生!?」

 

「あれ、遥ちゃん?」

 

長い髪をみつあみにしたパンツスーツ姿の当校のカウンセラーの一人、小野遥が驚いた顔で立ち竦んでいた。

 

(遥ちゃん?)

 

レオが放った違和感ありありの呼称に疑問を抱きつつもとりあえずそれは棚に上げる事にし、達也は未だ驚愕から立ち直っていない遥に目を向ける。

 

「あはは、流石に九重先生秘蔵の弟子からは隠れ遂せようがないようね」

 

達也の視線を感じたのか遥は苦笑いしながら部屋に入ってきた。

 

「あまり、自分を偽っていると本当の自分がわからなくなりますよ」

 

「ふふ、肝に免じておくわ」

 

遥は達也の言葉にそう返すと紗耶香に目を向ける。

 

「力に慣れなくてごめんなさいね、ヤング弁当さん」

 

「壬生です」

 

「もう大丈夫みたいで安心したわ、ヤング弁当さん」

 

「だから壬生です。泣きますよ?」

 

「それで!小野先生がブランシュのアジトを知っているんですか?」

 

涙目になりつつあった紗耶香に助け船を出す意味でエリカがあえて大きな声で遥に尋ねた。遥はその声に反応し紗耶香から視線を外したのでほっとしたのは彼女だけの秘密である。

 

「地図を出してくれる?その方が早いわ」

 

と遥は自分の端末を出しながら、既に言われる事を予想していた達也が出していた端末に目的のデータを転送する。

 

「これは」

 

「眼と鼻の先じゃねぇか」

 

エリカとレオが憤慨したように言うとおり、ブランシュのアジトは徒歩でも一時間もかからない場所にあった。

 

「ここは廃工場ですか?」

 

「えぇ、町はずれの廃ヤング弁当工場にアジトはあるわ」

 

「うわぁぁぁぁん!」

 

「壬生さん!?」

 

遂に泣き出してしまった紗耶香に遥が慌てて駆け寄る、何事か言っているが恐らく逆効果だろう。エリカの気遣いが水泡に帰した瞬間である。

 

「よし、場所は割れた。日が暮れないうちに行こう」

 

「はい」

 

「おうよ」

 

「オッケー」

 

面倒くさい気配を感じた達也はさっさと目的地に向かう事にし、同じ事を考えていたのだろう三人もそそくさとカフェテリアを後にした。

 

「なぁっ!?あいつら~」

 

「十文字君何処に行くの?」

 

摩利が歯噛みしている傍ら、こっそり出口に向かっていた克人を真由美が目ざとく見つける。

 

「あいつらだけに任せるわけにはいかん。十師族代表として俺もブランシュ討伐に向かう」

 

「この惨状を放置してか?」

 

そういう摩利の背後には更に泣き声が大きくなっている紗耶香とわたわたとするばかりで混乱している様子の遥、この事態を収拾するのは並大抵のことではないだろう。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……ふっ」

 

克人は軽く笑いながらそのまま去って行った。

 

(逃げた)

 

(逃げたわね、十文字君)

 

巌のような確固たる意志と信念を持っているとされる十文字家次期当主の評価が少し下がった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克人が用意したのだろうオフロードカーに達也が乗り込むと

 

「おっと、噂の風紀委員様か」

 

黒髪を短く切りこんだ男子生徒がいた。良く見ればその人物が文化祭で服部といざこざを起こしていた生徒だとわかった。

 

「あなたは……」

 

「俺は桐原、桐原武明だ。よろしくな司波達也」

 

「宜しくお願いします。桐原先輩」

 

達也が記憶を掘り起こすまでもなく本人から自己紹介を受け達也も軽く頭を下げた。何故ここに?とは恐らく聞くだけ野暮なのだろうと思いそれ以上何もいわず達也は車に乗り込んだ。

 

「全員乗ったな?では行くぞ」

 

何故か急いで乗り込んできた(そのように達也には見えた)克人の言葉で一同はブランシュのアジトに向かった。

 

 

 

「そういえば」

 

達也以外のメンバーとも自己紹介を済ませた桐原が誰にともなく呟き自然と他の者の視線も彼に集まる。

 

「壬生は確か秘密を聞いたせいで無理やり従わされてたって話だが」

 

「はい、その通りです」

 

「一体壬生は何の秘密を知ったんだ?」

 

桐原のこの言葉に達也はしばし間を置かなければならなかった。

 

「敵の首領の弱点だ」

 

そのかわりなのか克人が彼の疑問に簡潔に応えてくれたがそれでは多少言葉が足りない。

 

「弱点?それは一体……」

 

そう、あの言い方ではこう聞かれて当然なのだ。こうなると此方としては本格的に困ってしまう。

 

何故なら

 

(なんだったかな?)

 

(なんだっけ?)

 

(おぼえてねぇな)

 

(……忘れたな)

 

ここにいる誰一人、彼女から聞いた弱点を覚えていなかったからだ。

 

「桐原先輩」

 

ただ一人を覗いて

 

「私でよければ壬生先輩から聞いた事をお伝えいたしますが」

 

「あぁそりゃありがたい」

 

深雪はただ一人彼女から聞いた事をメモしていたのだ、深雪はポケットからメモを取り出そうとし

 

「あら?」

 

取り出そうとし……

 

「……おかしいわね」

 

「深雪?」

 

「いえ、大丈夫です覚えてますから」

 

しばらくポケットというポケットをあさり結局諦めたのか、深雪はこほんと咳払いし桐原の方を向いた。

 

「敵の首領の弱点は

 

肩の後ろの二本のゴボウの真ん中にあるすね毛の下のロココ調の右

 

です」

 

「……なんだって?」

 

可憐な容姿に似つかわしい澄んだ声で紡がれた謎の呪文に近い言葉に。桐原はどっかの難聴主人公みたいなリアクションをしてしまうがそれを責められる者は誰もいなかった。

 

 

~~~~

 

二本のゴボウの真ん中にある

すね毛の下の

ロココ調の右(字余り)

 

~~~~

 

「俺達は一体、これから何と戦いに行くんだ?」

 

桐原の混乱と困惑に満ちた唸りにも近い声をBGMに達也達はブランシュのアジトに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 




あれ?司一登場しなかった?

肩の後ろの二本のゴボウの真ん中にあるすね毛の下のロココ調の右(CV早見沙織)

なんかもうこれだけで面白い気がしたので色々と雑になってしまいましたwww


すまぬ、すまぬ……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。