「少し時間いいかしら?」
「すいません、今30秒で世界救ってる最中なんで」
「・・・・・・」
~少々お待ち下さい~
「前が見えねぇ」
「少し時間いいかしら?」
「ふぁい」
見た目に反して、容赦のないお方のようで
真夜さんは四葉家の当主で忙しいのかと思ったら、そうでもないようでたまに様子を見てきてくれる。真夜さんいわく
トップはいざという時、働けばいいの
らしい。まぁ、当主が何事にも首を突っ込んでは部下もやりづらいのだろうし
それだけ部下を信頼しているということになるのだろう。多分
「それで、どうかしら?ここでの暮らしは?」
「デュエルグリーブは制作が用意した罠だと思います。おかげでウォ・・・ツギィ・・・と呼ばれる羽目に」
「いい加減そっちから離れなさい」
カサブランカ超名曲だと思います。
「その分だと、なんの問題もなさそうね」
「問題なさ過ぎて、部屋をカービィのマルク戦仕様に変えられるレベルです」
「葉山さんの折檻じゃ物足りなかったかしら?」
笑顔の真夜さん超怖いです。超平伏して許しを乞う。
「全く、あなたと話していると会話が成り立たないわね」
「私の数少ない長所です」
「それを長所と言える度胸も長所とすべきね」
む?誉められてるはずなのに貶められた気しかしない
「葉山さんから聞いたけど、魔法の才能はなかったみたいね」
「そうみたいですね~なんか干渉力?とかなんとかあるみたいですけど全部最低ランクにも達していなかったみたいで」
魔法力の強弱の定義は現在、サイオン構築の早さ、構築可能な情報体の規模、エイドスを書き換える強度の3つで示されている。(それに当てはまらない例外がいるにはいるが)
彼はその3つで最低値を軽く下回る数値をたたき出し、それは現代の魔法と称されるものが一切使えないということだ。
そうなると、実験をことごとく失敗に追い込んでくれたあの力はそれによらない力、プシオンか、もしくはもっと別の力か
だが、真夜はその結論にむしろ喜びとは言わないまでもそれに似た感情を抱いていた。
プシオンでもない、サイオンでもない。おおよそイデアに存在しない何かを突き止めることは四葉の理念、「精神とは何か」の答えを得るために必要なことでありその素材が労せず転がり込んできたのだ。存在せぬ何かを観測する有効な術がないのが不満ではあるが、それも今だけの話、時間はいくらでもある。じっくりとやらせてもらうだけの話
「魔法が技術化されたといっても、まだ非魔法師の方が割合的には多いのだからそんなに落ち込むことはないわ」
だからこそ、このようなくだらないやりとりにも付き合ってやっている。
「使いたい魔法が108程あったんですけどね」
「煩悩と同じ数なのが果てしなく不安だけど、どんな魔法が使いたかったの?」
「え?そりゃぁ某笑顔動画でいい所で絶対時報に邪魔される魔法とか」
予想以上にくだらなかった回答に思わず彼の頭をはたいたのは間違いではないと真夜は今でも思っている。
魔法の評価基準がこれでよかったか自信がない・・・・・・
話が進まなさすぎるのでそろそろメインキャラと絡ませたほうが良いような気がしてきた。